説明

組立て立体型酸素マスクずれ防止具。

【課題】既存の酸素マスクに改良を加えることなく、現状の酸素マスク装着患者に、酸素マスクと切り離して独立させた器具であって、素早く酸素マスクの脱着ができるようにして酸素マスクがずれないようにした組立て立体型酸素マスクずれ防止具を提供する。
【解決手段】平面部材を複数の変形T字型に切抜き後、適所にゴム紐止めクリップ17と接合テープを接着または縫製して固定させた部品を制作し、組み立てると立体型となり、患者の頭に被せ、ゴム紐止めクリップ17に、酸素マスク14の余りゴム紐15を引っかけて挟み、摩擦抵抗で、酸素マスク14がずれないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸素マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開 2005−177398 帽子型酸素マスク
【特許文献2】特開 2005−253925
【特許文献3】特開 2008−154899 装着者に不快感を与えない酸素マスク
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の酸素マスクの装着方法は、1本のゴム紐を患者の耳から頭部に回して使用されている。長期間断続的に使用しているとゴムの圧力で耳が切れ出血するなどの事故が多いうえ酸素マスクが鼻からずれ、そのまま数時間放置すると脳に酸素が供給されず、低酸素脳症となり患者は植物状態になる危険性がある。看護師の頻繁な巡回監視が必要となり看護師不足の現状では現在なお重要問題として課題にあがっている。
【0004】
現場の看護師スタッフは当番の時、見落とす等の要因で患者が死亡するなどした場合、看護師本人や病院の責任も追及される重大問題を抱えている。一刻も早く本題を解決しなくてはならない全国病院の重大課題でもある。
酸素マスク装着患者の殆どがずれるので、少々ずれるのは仕方ないとか、当たり前との誤った認識麻痺があるが、この問題の解決手段は今迄に無くどうすることもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための手段は、▲1▼既存の酸素マスクに改良を加えることなく、其のままの状態で素早く酸素マスクずれ防止具に装着できること。▲2▼体向して仰向け状態や臥状態にしても酸素マスクがずれないこと。▲3▼日に数回痰の吸引などで酸素マスクを患者から離すことがあり、酸素マスクとの脱着が素早く且つ安全に安心してできなくてはならないこと。以上の3点が最も重要な事項である。そこで長時間肌に接しても優しい柔軟素材を選定し、引張りに強く肌からずれ難いもので且つ肌に食い込んだりして圧迫性壊疽状態にならない素材、ゴム紐固定具が簡単に取り外しできること。以上の重要点を解決して、酸素マスクと切り離して独立させた、組立て立体型酸素マスクずれ防止具を考案して解決した。解決手段を以下に記す。
【0006】
手段(1)既存の酸素マスクに改良を加えることなく、其のままの状態で素早く酸素マスクずれ防止具に装着できる解決手段は、既存の酸素マスク全てに付いているゴム紐である。本発明の着目はその余分のゴム紐部分を利用して酸素マスクのずれない角度にゴム紐を固定し、固定したゴム紐が移動しなければ酸素マスクはずれないことを臨床試験で発見し、その手段を採用した。
手段(2)体向して臥状態や仰向け状態にしても酸素マスクがずれないようにするための手段は、平面の部材を変形T字型や局面など様々な形に切り抜いて、各所に必要な接合凹凸部と、ゴム紐止めクリップを取り付け、素早く酸素マスクの余りゴム紐を挟んで固定させた。本考案の組立て立体型酸素マスクずれ防止具は、立体構造に組立て患者の頭に被せる形状になっている。患者の髪が枕に接する面積と組立て帽子型酸素マスクずれ防止具が、当たる面積の比率を後者の方を極力少なくすることで安定度が極めて高くなり、酸素マスクがずれないようになった。
【発明の効果】
【0007】
国内外の病院で酸素マスクを必要としている患者は何十万人と計り知れない。ずれない酸素マスクの発明により以下の効果がある。(1)従来の酸素マスクは断続的に使用すると患者の耳にゴム圧がかかり切れて出血するのでゴム紐がかけられなく、酸素マスクの使用が困難であったが、本発明の酸素マスクずれ防止具はずれないのでその心配はなくなった。(2)酸素マスクを使用すると患者の唇や、口中乾燥して荒れてくるうえ口中に分泌物が固く付着し其の塊が気管に入ると窒息死するなどの危険があった。口中の乾燥を緩和させるために水を含ませたガーゼを酸素マスクの脇に挟みこんで処置していたが、酸素マスクがずれるので緩和策は無意味で効果なくその心配もなくなった。
また、看護師さんは、日に数回、痰の吸引他のチェックで酸素マスクを患者から離すことがあり酸素マスクとの脱着が素早く且つ安全にできるようにすることが肝要であるが、本考案の組立て立体型酸素マスクずれ防止具で解決できた。
【0008】
従来の酸素マスク装着患者は10人使用中8人がずれているのが病院の現状である。耳にゴム圧がかかり傷になり黴菌が浸入し他の病気の併発や、脳に酸素が供給されず、低酸素脳症、植物状態後死亡の経過を辿り医療事故として訴訟になるなど担当者と病院側にも大きなリスクがあり、看護師の頻繁な見回りによる監視が必要で目が離せなかった。看護師不足の現状のなか病院は過酷な条件下で悩んでいたが、ずれない酸素マスクの発明で前述の問題が解決でき、且つ病院の抱えているリスクが減少し、人件費の削減、於いては国の医療費の削減に大きく貢献できるなど計り知れない効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記のように構成された組立て立体型酸素マスクずれ防止具は、既存の酸素マスクに改良を加えることなく其のままの状態で素早く装着できるようにした、酸素マスクと切り離して独立させた器具である。体向で仰向け状態や臥状態にしても酸素マスクがずれないようにして、日に数回痰の吸引などで酸素マスクを患者から離すことがあるが、酸素マスクとの脱着が簡単且つ安全にできるのが好ましい。発明を実施するにあたり、以上の点が発明を実施するうえで最も重要な形態である。
【0010】
酸素マスク必要患者の殆どは正常な判断力や動作力の低下した患者であり、酸素マスクを嫌がって外そうとしても外し難い構造にして、且つ酸素マスクずれ防止具から容易に脱着できる構造でなければならない。また、国内外酸素マスク全メーカー全製品に手を加えることなく、酸素マスクの両側に通してある、ゴム紐の余りを利用して、酸素マスクがずれない形態にした。
【実施例】
【0011】
臨床試験に於ける実施例について図面を参照して説明する如く、[図1]は酸素マスク装着患者図であり、[図2]に示すように短時間で酸素マスクは鼻からずれてくる。この状態のときゴム紐が延びて耳にゴム圧がかかり出血する。植物状態で口や顎を動かせない患者以外の殆どが同状態となる。[図3]は酸素マスクがずれてゴム圧で耳が切れ出血して布やガーゼを当てての処置状態図。このようにしても直ぐマスクがずれてくるので看護師などの常時監視が欠かせず其の労力は大変である。
【0012】
[図4]は酸素マスクずれ防止具初期試作臨床試験図でこの図に示す如く酸素マスクのゴム紐は耳から外して首に回し頭の中央部にゴム紐を伸ばして止める。その角度は首に回したゴム紐に対して30〜50度以内で効果がみられた。しかし患者の体向等で真横状にした時や患者が頭を動かした時などの臨床試験では頭に回した数本の帯ベルト状のものが枕に接した面積が少なく、髪の毛が絡んで滑って位置が変わるなどした。8回目の試作でずれない基本原理を発見し、改良を加えて以下のものを考案した。
【0013】
[図5]は組立て立体型酸素マスクずれ防止具の分解右側部であり、平面部材を変形T字型右サイドパネル(2)の形状に切抜き、各部に役割を果たす、フロントヘッドバンド上(4)、バッグヘッドバンド下(5)トップヘッドバンド下(6)を設けて、接合テープA(12)を接着または縫製して固定させる。また耳除け部(8)のアール部分を数か所に設けて、ゴム紐止めクリップ(17)を必要に応じ数個、接着または縫製して固定させる。
【0014】
[図6]は組立て立体型酸素マスクずれ防止具の分解左側部で、平面部材を変形T字型左サイドパネル(3)の形状に切抜き、各部に役割を果たす、フロントヘッドバンド下(9)、バッグヘッドバンド上(10)トップヘッドバンド上(11)を設けて、接合テープA(12)を接着または縫製して固定させる。また耳除け部(8)のアール部分を数か所に設けて、ゴム紐止めクリップ(17)を必要に応じ数個、接着又は縫製して固定させる。
【0015】
[図7]に示す如く、組立て立体型酸素マスクずれ防止具の組立て前の分解斜視図、変形T字型右サイドパネル(2)と変形T字型左サイドパネル(3)の二枚の部品を、立体型に組立てる方法の説明図であり、接合テープA(12)と接合テープB(13)を接着または縫製して固定させ、脱着可能な接合テープが絡み合って、[図10]に示すように患者(20)の頭に合わせて調整できるべくようにされている。
【0016】
通常の酸素マスク使用方法は[図1][図2][図3]のように耳にゴム紐がかかり装着されている。本発明の組立て立体型酸素マスクずれ防止具(1)の装着方法を[図10]で説明する如く、酸素マスク(14)に付随している酸素マスクゴム紐(16)は患者(20)の首に回して、酸素マスク余りゴム紐(15)を[図9]に示すゴム紐止めクリップ(17)のゴム紐鋏みベロ(18)の溝(19)に挟み込んで1回または2回廻して止める。其の方法は酸素マスク余りゴム紐(15)の脱着が素早く出来るとともに、患者(20)に装着時、酸素マスク(14)が外れない仕組みに構成されているので安心である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
酸素マスクがずれない器具としては今日まで国内販売されてなく、また酸素マスクがずれない装置の付いた酸素マスクも販売されていない。酸素マスクに関連するものは医療用機器として厚生省の認可が必要である。酸素マスクずれ防止具を酸素マスクと一体で販売すると、医療器具となり厚生省認可までに相当の時間が掛かり世に出回るまでに相当の年月と莫大な投資が必要となる。それまでに、何千人、何万人の命が失われないとも限らない。
本発明の組立て立体型酸素マスクずれ防止具は、酸素マスクと切り離して使用できるようにしたため医療器具でなく雑具扱いでの認可となり、酸素マスクメーカー又は医療機器販売店に窓口を絞り、宣伝費をかけなくても病院が必ず購入して使用するものである。また医療費の削減、病院の経費削減に一役買う画期的な発明であり、産業上の利用可能性は無限で其の経済効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 酸素マスク装着患者斜視図
【図2】 酸素マスクずれ状態斜視図
【図3】 酸素マスクずれ患者出血処置状態斜視図
【図4】 酸素マスクずれ防止具初期試作臨床試験斜視図
【図5】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具分解右側部
【図6】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具分解左側部
【図7】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具の組立て前の分解斜視図
【図8】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具組立て完成右斜視図
【図9】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具組立て完成左斜視図
【図10】 組立て立体型酸素マスクずれ防止具を装着した患者斜視図
【符号の説明】
1 組立て立体型酸素マスクずれ防止具
2 変形T字型右サイドパネル
3 変形T字型左サイドパネル
4 フロントヘッドバンド上
5 バックヘッドバンド下
6 トップヘッドバンド下
7 耳
8 耳除けアール部
9 フロントヘッドバンド下
10 バックヘッドバンド上
11 トップヘッドバンド上
12 接合テープA
13 接合テープB
14 酸素マスク
15 酸素マスク余りゴム紐
16 酸素マスクゴム紐
17 ゴム紐止めクリップ
18 ゴム紐鋏みベロ
19 溝
20 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存酸素マスクと切り離して独立させた、組立て立体型酸素マスクずれ防止具のゴム紐止めクリップに、既存酸素マスクの余りゴム紐を、引っかけて挟み、摩擦抵抗で酸素マスクが、ずれないようにしたことを特徴とする組立て立体型酸素マスクずれ防止具。
【請求項2】
平面部材を複数の変形T字型に切抜き後、適所にゴム紐止めクリップと接合テープを接着または縫製して固定させた部品を制作して、組み立てると立体型になることを特徴とした組立て立体型酸素マスクずれ防止具。
【請求項3】
組立て立体型酸素マスクずれ防止具のゴム紐止めクリップに、酸素マスクの余りゴム紐を引っかけて酸素マスクがずれないようにして、酸素マスクを使用する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−250003(P2012−250003A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136754(P2011−136754)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(509106142)医療法人社団輔仁会 (3)
【出願人】(597087295)
【Fターム(参考)】