説明

組織マッピングシステムと方法

調査中の組織の表面にあてがうための試験電極10の二次元アレイと各試験電極の下にある組織の電気的特性を測定するための回路手段50〜66とを含む組織マッピングシステム。一実施例における電気的特性は、各試験電極の下にある組織のインピーダンスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は生体の組織をマッピングするシステムと方法に関連するが、とくに皮膚の傷に限定されない。
【背景技術】
【0002】
傷の測定は、所定の治療または包帯の効果を予測する際に医者が有する唯一の方法であるように見なされている。事実、臨床試験において最も良く報告される傷の特徴は傷の面積である1。現在、多数の方法があるが、そのほとんどすべては簡単なものであり、たいていは主観的であり、それらの精度が疑問視されている。
【0003】
最も頻繁に使用される手法は二次元の手法であり、直線的測定、傷のトレーシング(tracing)、面積測定(planimetry)、および立体写真測定法(stereophotogrammetry)を含む。
【0004】
直線的測定値はおそらく最も簡単であり、傷測定用のゲージまたは定規を使って、長さ方向の軸に垂直に測定された最長の長さと最も広い幅で求められる2。迅速にかつ費用がかからずに測定できるのは明らかであるが、この方法は非常に主観的であるため、ある程度不正確になるであろう。
【0005】
傷を調べる際にしばしば使用される第2の直線的測定は面積の測定である。医療産業に関与するいくつかの製造業者は、傷の面積を推定するために使用できる同心円の付いたゲージを製品化した。しかし、形が完全な円をしている傷は非常に少ないから、この方法は測定結果の中に大きな誤差を導入するであろう。形状が対称的であることが明らかな場合でも、傷の領域を主観的に同定することは、この方法に不正確さをもたらす。
【0006】
面積測定、傷のトレーシングあるいは、アセテート法は、4センチメートルの格子付き計量用画用紙の使用を採用しており、この場合、トレースした傷の面積の中の完全な正方形が計算され、結果は平方センチメートルで示される2
【0007】
傷のパラメータを決定するために使用される更なる2次元の手法は、適当なソフトウエアを備えたコンピュータに接続されたビデオカメラの使用を含む複雑高価な方法である立体写真測定法を使う手法である。影響を受けた部位の平面に標板(target plate)を置いておくと、ビデオ上に傷が捕捉される。標板は、傷の画像がコンピュータにダウンロードされる前に傷の真の画像を捕捉するために、正しい方位と歪みの訂正を可能にする。表示された画像から創傷部位がトレースされると、ソフトウエアは傷の長さ、幅および面積を計算する2。この方法とデータベースに結果を記録する能力との改善された精度は、この手法を以前の手法よりも有利にするが、その費用が制限となっている。
【0008】
Kantor1の研究は、傷のパラメータを決定する際にこれらの方法が適切であることを提言しているが、測定値を得るためには包帯を除去する必要性が致命的な欠点になっている。健康の観点から、包帯を更新し交換する必要性のあることは明らかであるが、交換の頻度が傷の状態に影響を与えることがある。傷のある部位にいつも手を加えていること(continual agitation)は 治癒の促進にはならず、粘着性のある包帯を除去することは、新しい組織の形成を阻害する役目となりうる。したがって、選択したパラメータを計算するために包帯を除去することを必要とせずに傷を測定する方法を開発することが望まれている。
【0009】
正確で組織を傷つけないマッピング手法は、創傷治癒と最も効果のある明確な同定を促進/向上させると主張する各種治療の効果を科学的に予測することを可能にする点で非常に興味があり、かつ有利である。
【0010】
皮膚には、体温調節、免疫および保護を含むいくつかの機能があり、完全な皮膚に外傷が含まれると、負傷していると言われる。
【0011】
傷は重症度で変わるので、主として損傷と含まれる皮膚層の深さまたは浸透度によって測定される。損失した皮膚の一部が表皮を超えて真皮に拡張されない場合の軽微な擦り傷は、表皮の傷と定義され、深い傷は、真皮深部(lower dermal layers)に達する組織のかなりの損失が明らかな場合の傷である。
【0012】
皮膚自体を置換する皮膚の能力は、創傷治癒の定義を説明するのにいくらか助けになる。1998年発行の「負傷している患者を介護する原理(Principles of Caring for Patients with Wounds)」に関するCRESTの指針は、病理学的文脈における治癒を、生体の損壊した組織と生きている組織の置換と定義している3。傷の発症(onset)は、生態系と免疫系からの一連の細胞事象と生化学的事象を誘発させることによって、処理過程の有機経路により傷が治癒することになる。
【0013】
治癒の過程は、連続しているが明確ではない4つの段階、すなわち止血(haemostasis)、炎症(inflammation)、増殖(proliferation)および成熟(maturation)に分割されうる。止血は、真皮層の深部で一般に起こることである出血を止める過程である4。つまり、傷の後に続いて周囲組織内の管からの血液の流出(管外遊出)が血液凝固と血小板活性化を開始させる。傷の修復を支援することは、止血、管外遊出、および新組織の形成を始動する(trigger)血小板活性化である。血管収縮は、ヒスタミン、セロトニンおよびアデノシン三リン酸(ATP)のような一連の化学的メディエータ(mediator)の放出の結果である。化学的メディエータの役割は、循環する白血球(微生物から生体を保護する無色血液成分(colourless blood component which protects against micro organisms))を影響を受けた部位に引きつけることである4。血管収縮の始まりも、第2の段階つまり炎症段階が始まるときと同時である。
【0014】
局所的に血液量が増加すると、周囲の組織に血漿が漏れだして組織を隆起させ炎症になる。好中球と単核白血球が休止中の傷に到達して活性化すると、好中球は、攻撃的な細菌の除去に取りかかり、単核白血球は、治癒過程を加速する増殖因子をつくり出すマクロファージになる。マクロファージ自体も病原体を食菌して組織の残骸をきれいにする。この段階の最終ステージは、内皮を刺激して新しく形成された欠陥の成長を監視する増殖因子が放出されることを見ている。
【0015】
第3ステージ、増殖段階は、組織の増殖と再生、すなわち、結合組織(connective tissue)、つまりその形成が新しく形成された血管に依存する肉芽組織(granulation tissue)である。血管は、細胞に窒素と酸素を供給することによって組織の再生に適切な環境を与える。第1に線維芽細胞が傷の層内にコラーゲン繊維の網を形成するとともに、ねばねばした物質、プロテオグリカン(proteoglycan)をつくり出すと、組織層に充満し、線維を束ねて安定した組織(framework)を形成する。上皮形成と収縮は、このステージにおける最終過程であって、傷は外周から中心に向かって上皮を再生する。細胞が表皮を横切って細胞同士が合うまで移動すると同時に、傷は筋線維芽細胞だけ収縮する。
【0016】
治癒過程の第4かつ最終ステージは成熟段階であり、この段階は負傷したときから数週間でありうるとともに、増殖段階中は下方にあるコラーゲン繊維のリモデリング(remodelling)を含む4。このコラーゲンは柔軟かつ粘着性があるとともに、この段階で規則正しく強靱なコラーゲンと置換する。治癒過程における最後の働きは、創傷部位からの線維芽細胞の除去と、その場所から離れた血管の再構築であり、これらは傷跡の組織を収縮させるとともに色を薄くすることになる4
【0017】
皮膚は主たる3つの層、すなわち、皮下層、真皮および表皮(最強の層)から作られている5
【0018】
最も外側の層である表皮は環境と直接接触しているので、太陽光線を和らげるとともに外部の部材(製品、水など)に対する保護障壁を備えている。生体の他の機関とは異なり、表皮は自己再生するので、常に表皮は替わっている6
【0019】
最も外側の層を形成する角質層のある表皮は、いくつかの更なる層に分割される。下部基底層の細胞は、皮膚の表面に向かって押し上がるとき絶えず倍増するとともに変化する。これらの細胞は扁平になり、収縮しさらに脱水状態になるので、細胞の核を失うとともに硬化タンパク質をつくり出し最終的には角質層を形成する。表面の死んた細胞は絶えず脱落し、下部層から移動する細胞と置換する7
【0020】
角質層は、数層の死細胞(dead cells)からなり、生体における位置に依存して厚さが変わり、最も厚い層は手の掌上と足の裏側にある。角質層は加齢とともにより厚くなり、雨、風、気温など自然力(elements)にさらされると、しわになりやすい5
【0021】
相対的に非導電性の角質層と、導電性の水和された下部組織は、コンデンサにおける2枚の極板間の誘電体の働きをする。したがって、角質層の電気的特性は、1つの容量Cpによって表されることが多い8
【0022】
しかし、いくつかのイオンが角質層の障壁を横断するから、これはコンデンサに並列に接続された大きな並列抵抗Rpによって表される。
【0023】
皮膚の下にある組織は導電性であり、上記並列接続と直列な抵抗RTによって表される9。この等価回路のモデルが図1に示されている。簡単な抵抗とコンデンサを含むこの等価回路のモデルは、皮膚の複雑な電気的特性の単純化であることは明らかである。
【0024】
非常に高い周波数におけるコンデンサのインピーダンスはゼロに近くなるから、総合インピーダンスはRTの値に近づく。低周波におけるコンデンサのインピーダンスは無限大に近づくので、電流はRTとRPの直列結合を介して流れ、一般に総合インピーダンスは高周波の場合よりも遙かに大きい。
【0025】
理論的に述べると、「古典的」モデル(抵抗とコンデンサを並列に接続した等価回路)のインピーダンス軌跡は、図2に示すように、中心が正確に実軸上に位置する半円の弧から構成されるはずである。
【0026】
しかし、図3は、電極−皮膚インタフェースの測定されたインピーダンス軌跡の点の典型的な形を示しており、上に説明した簡単なモデルが皮膚の電気的特性を完全に特徴付けるためには適切ではないことを明示している。
【0027】
高周波と低周波における実軸との切片であるRinfとRCは、高周波と低周波の限界抵抗値である。円弧の中心が実軸より下に降下していることは、角度φで示されている。ω0(=2πf0)は円弧の頂点の角速度である。これはリアクタンスXSの値が最大になる点である6
【0028】
上記のようなインピーダンスの軌跡は、1940年、Coleによって導かれた式によって良くモデル化されていることが判明している(式1)10

【0029】
この式は、生物学のある組織の複素インピーダンスを説明するために使用されている。αは次元が無く、その値は、0<α≦1であって、φ=απ/2のようにφに関連する。α=1の場合、インピーダンスの軌跡は半円の弧であり、その中心は、周波数切片角度(frequency intercept angle)φが90°になる実軸上にある。通常の場合であるα<1の場合、軌跡は、下に下がった半円の弧であり、その中心は実軸の下にあり、周波数切片角度φは90°より小さい.
【0030】
Coleの式(1)によって説明される複素インピーダンスは、いくつかの等価回路に対応する。図4は、そのような回路の1つを示している。
【0031】
ZCPAは実験によって立証できる位相角が一定のインピーダンスであり、抵抗Rp に並列に接続されており、ここで、

【0032】
KはZCPAの大きさの測度


であり、その単位はΩs−αである。これらの回路素子は、ColeのパラメータR、R0、ω0およびαを使って以下のように表される。

【0033】
所定の部位にある皮膚の角質層が(例えば、外傷または疾病の結果として)破れたり、すり減ったり、あるいは欠けている場合、(皮膚の容量と抵抗、CPとRPの並列結合による最も簡単な場合(図1)に表示される)大きな角質層インピーダンスが存在しないため、その部位で測定された低周波インピーダンスが激減することを容易に理解することができる。下部組織の小さな抵抗、RTだけになっているであろう。
【0034】
例えば、創傷部位の内部と周辺における皮膚部位の低周波インピーダンスをマッピングすることは、健康な皮膚(高インピーダンス)と傷(低インピーダンス)の主要な差を明確に立証する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
したがって、本発明の目的は、とくに皮膚の傷だけでなく、組織をマッピングするために改善されたシステムと方法を提供することである。
【0036】
したがって、本発明は、調査中の皮膚の表面にあてがうための一組の試験電極と、各試験電極の下にある組織の電気的特性を測定するための回路手段とを含む組織マッピングシステムを提供する。
【0037】
望ましくは、システムは前記測定された特性とその派生物(derivative)を人間が読める形で表示する手段を更に含む。
【0038】
望ましくは、電気的特性は各試験電極の下にある組織のインピーダンスである。
【0039】
本発明は、組織をマッピングする方法であって、調査中の組織の表面に一組の試験電極をあてがい各試験電極の下にある組織の電気的特性を測定することを含む方法を更に提供する。
【0040】
本発明は、傷害組織の表面にあてがうための一組の試験電極と各試験電極の下にある組織の電気的特性を測定するための回路手段とを組み込んだ創傷包帯を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の一実施例は、皮膚の電気的インピーダンスを測定して、包帯を除去することを必要とせずに傷のサイズ、形状、深さおよび組成(composition)を監視するために使用できる高性能の創傷包帯の使用を含む。この実施例の原理は図5に図式的に示されているが、ここでは明確にするため、電極を接続するリード線は省略されている。
【0042】
創傷包帯12の中に組み込まれた試験電極10のアレイが無傷の皮膚16の創傷部位14の上に置かれると、各試験電極10の下にある組織の個々のインピーダンスを使用して、傷の二次元のマップを生成することができる。十分な数の小面積の電極を使用すると、測定されたインピーダンスの値から傷の形状とサイズを確定することができる。時間の経過とともに、この手法を使用して傷の形状とサイズの変化をフォローすることができる。
【0043】
等価な電気回路を用いて、組織の電気的特性をモデル化することが可能である。数学的または等価回路のモデルを正しく選択すると、モデルの要素を根本的な物理過程(underlying physical process)に関連付け、治癒過程を研究して治療範囲の有効性を正しく予測することが可能である。
【0044】
多数電極のアレイを使用すると、1つの測定場所から次の測定場所に1つの電極を移動させることを必要とせずに、異なる場所の監視が可能になる。
【0045】
ヒドロゲルは、現在創傷包帯として使用されている。何故ならばヒドロゲルは傷の層を外部の汚染源から保護し水和して、創傷治癒を通じて必須の環境を向上させるからである。またヒドロゲルは、スクリーン印刷や同様な技術に使用されるとともに、生物インピーダンスを監視する電極を構築する際に使用され、精緻で可撓性があり目立たない電極アレイの製造にも順応できる。したがって、試験電極はヒドロゲルをベースとした創傷包帯に組み込まれるとともに、包帯を除去することを必要とせずに傷と治療の効果を監視するために使用される。現在の手法に対する顕著な改善は、このシステムが傷層の邪魔をしないことである。好適実施例は、包帯の一部として、あるいは、包帯を構成するために使用できるように設計されているので、好適な実施例では、傷の調査中、治癒過程の一部として形成される新組織が妨害されない状態にしておくことができる。傷の面積を計算するだけでなく、この装置は、創傷治癒を効果的に支援している。
【0046】
上に説明した従来技術のほとんどは、傷の長さや幅の値、よくても容積の値をつくり出しているが、立体写真測定法を除くどの方法も傷のマップや画像をつくり出していない。立体写真測定法を使用するとしても、コンピュータを使用して傷の写真をトレースした後の画像から傷パラメータを計算しなければならない。ダウンロードする傷の実サイズの画像を得ることに関連した難しさのため、この方法は不正確なことがある。
【0047】
1つに実施例における本発明は、創傷部位から直接傷のマップをつくるとともに、医師からの関与がほとんどないコンピュータ画面で、面積の計算、組織のタイプなどを備えた画像を形成するので、主観性と誤差が小さくなる。
【0048】
傷とくに全層傷(full thickness wound)が治癒するとき、新組織が、最終的には皮膚が形成されるいくつかの過程またはステージを通過する。したがって、創傷治癒の他の表示は、創傷層に含まれる組織のタイプである。組織の電気的特性を、数理的な電気回路と等価な電気回路、またはそれらのいずれかでモデル化することが可能である。数学的モデルまたは等価回路モデルを正しく選択すると、モデルの要素を根本的物理過程に関連付け、治癒過程を研究して治療範囲の有効性を正しく予測することが可能である。
【0049】
したがって、本発明は、医師が組織の特徴を決定して、包帯に組み込まれた個々の電極の下に存在する組織のタイプを評価することを可能にする。次にこの情報を使用して、傷の状態を確定することができる。
【0050】
重症の全層傷がいくつかあると、何らかの介入をしないと、多くの痛む箇所は治癒しない。薬剤、創傷包帯の使用、および電気信号の印加などいくつかの治療法が採用されている。これらの手法が持つ創傷治癒に対する影響は、理想的には、電気的インピーダンス分光学(EIS)を使用して予測される。電界(直流、パルスなど)の印加が創傷治癒を促進することが報告されている11,12,13。残念なことに、創傷治癒を予測する難しさのため、最良の「電気的治療」をはっきりと確定することは不可能であった。この欠点は、インピーダンスアレイの使用によって対処されうる。何故ならば、包帯をとらずに試験電極を使用して所望の「電気的セラピー治療(electrotherapeutic)」信号を印加し、その効果を評価することができるからである。試験電極は、イオン導入(iontophoretic) 薬剤を届けることと得られたセラピーの効果や組織の外傷の予測のために使用することができる。
【実施例】
【0051】
次に添付の図面を参照し一例として本発明の一実施例を説明する。
【0052】
最初に図7と図8を参照すると、試験電極10の5×5正方アレイが可撓性のある薄い絶縁基板18にスクリーン印刷され、各試験電極10は、前記基板にスクリーン印刷されたそれぞれのリード線20を有する。スクリーン印刷は、電極とそれに関連するリード線の正確なパターン形成と配置を可能にする。リード線20は、シルク印刷用含銀インク(例えば、イングランド、ノアコートのPF-410含銀導電性インク)のような導電性の部材を使用して形成されることが望ましく、試験電極10はシルク印刷用含銀/含塩化銀インクを使用して形成され、電極−ゲル・インタフェース(例えば、イングランド、ブリストルにあるヂュポンの部品番号第5874号)における良好な電気的パフォーマンスを保証することが望ましい。イオン導入法または後で説明する他の電気的セラピー治療信号を適用するために電極が使用される場合は、他の部材を使用してもよい。全部で25本のリード線20は絶縁基板18の突起型コネクタエッジ26で共に接続される。
【0053】
いくつかの基準電極22も基板18にシルク印刷される。本実施例の場合、実質的に平行なストリップ上の6個の基準電極22が与えられ、そのうちの4個は、5個の試験電極10の隣接する列のそれぞれの対の間にそれぞれ延びており、そのうちの2個は試験電極アレイの外側に適用される。6個の基準電極22は交差するリード線24によって共通に接続され、さらなる1本のリード線28は、すべての基準電極22をコネクタエッジ26に接続する。
【0054】
各リード線20、24、28の上に絶縁層30(図8)を堆積させ、電気的短絡を回避する(例えば、イングランド、ノアコート製の誘電体インクSD2460 Flex Komp A & B)。しかし、各リード線20、28の数ミリメートルは、駆動回路(図9)に接続するためにコネクタエッジ26のところで露出している。基板18は、イングランド、ワンテージにあるオートタイプ製のCT4耐熱性ポリエステル基板でもよい。基板18は創傷包帯12に組み込まれている。
【0055】
基板18は一枚の連続シートでもよいし、穴あけするか、指状の突起(peninsulas)に切断して可撓性を向上させるとともに、必要な場合は湿気を逃すようにしてあってもよい。適当な部材(イングランド、ルートンにあるメガフィックス製の8104/8000C 1.6 mm 粘着性の泡材料)による裏当てを使用し、必要に応じて指状の突起を保持し容易に利用できるようにしてもよい。
【0056】
ヒドロゲル層32は電極ゲルとして使用される。何故ならば、ヒドロゲルは皮膚に対して良好な耐性があり、現在は創傷包帯(例えば、イングランド、ラムズベリのファーストウオーター製SW200またはSW206ヒドロゲル)で使用されている。ヒドロゲル層32の単一シートを使用し、図8に示すようにすべての試験電極10と基準電極22とそれらのリード線をカバーしてもよいし、試験電極10と基準電極22のそれぞれに個々のヒドロゲルのパッドを配置してもよい。ヒドロゲルの単一シートの場合、相対的に非導電性のヒドロゲルの部分が挟まることによって、電極とそれらの上にあるゲル領域はお互いに絶縁される。このことは、ヒドロゲルの製造中か、例えばヒドロゲルシートの一部を選択的に乾燥させる熱ブレードで、ヒドロゲルシートを処理することによって達成される。いずれにしても、何らかの手法が使用されると、各電極と下にある組織との間のゲルを介した抵抗に比較して、隣接する電極間の電気抵抗が高くなるはずである。
【0057】
一般に、アレイ中の電極数が多くなれば、解像度も良くなる。最適数は、所定の用途、診断中の傷のサイズおよび要求されるマッピングの精度によって決まる。用途と傷のサイズに依存して決まる代表的な範囲は5×5から100×100の正方アレイである。日常的に行われる臨床的監視に使用される場合は(for certain routine clinical monitoring applications)、わずか2個の試験電極で十分である。電極の代表的なサイズは1mm×1mmから1cm×1cmまでの範囲である。インピーダンス測定に対して一連の電極を配置することが可能である。最善状態は所定の用途によって決まるであろう。
【0058】
図7および図8の電極アレイに対する駆動回路を説明する前に、組織の電気的特性を測定するいくつかの手法を最初に説明する。
【0059】
電流を注入して得られた電圧を測定するために同じ2個の電極が使用される場合(逆もまた同様)、この方法は2電極法(2-electrode technique)と呼ばれる。この場合、2つの電極−皮膚インタフェースのインピーダンスがこれらの間の下にある組織のインピーダンスと直列に測定される。
【0060】
4電極法は、異なる電極対を介して電圧を検出するために使用される電極への電流の注入を含む。理論的には、この方法は4つの電極−皮膚インタフェースからの寄与を回避するので、電圧検出用電極間の組織の特性を最適条件で観察するはずである。
【0061】
他の電極または標本の大半からの寄与がなくても個々のインタフェースの特性を調べることを可能にする3電極法が存在する。理想的には、この手法は、電極−皮膚が1つあるだけの部位のインピーダンスを調べるために適している。
【0062】
上記説明に基づくと、本実施例の創傷マッピングで使用されることに好適な電極法は、3電極法(図6)である。この手法は、交流電流が通過する試験電極10と、通常は、調査中の生態部分の裏側に配置して電流ループを完結する「背面(back)」電極34との使用を含む。試験電極10の真横に配置される基準電極22は、試験中の電極−皮膚間インピーダンス、Z1の両端の電圧降下V1だけを事実上感知する。
【0063】
高入力インピーダンス電圧計によって検出された電位ΔVは、以下に示す電圧から測定される。

【0064】
使用する電圧計は入力インピーダンスが極度に高い計装用増幅器を内蔵しているので、電圧計(及びZdermis+Z2)を流れる電流は、無視できるくらい小さい。したがって、組織インピーダンスと基準電極の両端で測定された電圧、V1-2とV2もそれぞれ無視可能である。結果として、測定された電圧差ΔVは、調査中の試験用電極−皮膚インピーダンスの両端の電圧差に等しいに過ぎない。調査中の電極−皮膚インタフェースのインピーダンスZ1は、測定された電圧降下ΔVを、注入された電流Iで割ることによって、簡単に求められる。
【0065】
図7に示す本実施例における1つの基準電極22は、複数の試験電極10に共通である。この配置は、基準電極に対する接続に変更を必要としないという利点があり、アレイ中の1つの試験電極から他の試験電極へとインピーダンス測定が実行される。更なる利点は、基準電極が細長く結合しているので、アレイ中の試験電極によってカバーされる表面が最大になることである。一般に背面電極34は、調査中の生態の場所の裏側に最も良く配置されるが、使いやすいようにアレイの中に組み込まれていてもよい。この場合、背面電極は、例えば、アレイの周辺エッジ(図示されず)の周りで基板18にスクリーン印刷された長い電極でもよい。
【0066】
アレイを形成する試験電極10は、図7に示すように正方形または円でもよく、あるいは、所定の用途に最適であるとともに製造手法に順応するものであればいかなる他の形でもよい。アレイ中の試験電極の配置は、所定の用途と使用されるアルゴリズムによって要求されるとおり、規則的でも規則的でなくてもよい。例えば、試験電極と基準電極は一連の同心円でもよい。図10a。または試験電極は、車輪状の基準電極のスポーク間に配置されてもよい。図10b。代替方法として、試験電極は同心の基準電極間に配置されてもよい。図10c。多数の順列が可能なことは明らかである。図10における試験電極と基準電極に対するリード線は、明確にするために省略されている。リード線の接続は、(i)他の電極の周囲で組み合わされてもよく(ii)誘電体層で間隔を置いた層に堆積させ電気的に短絡させずにリード線を交差させてもよく(iii)リード線が堆積した電極の側を避けるように基板の反対側にスルーホール板を置いてもよい。
【0067】
次に図9を参照すると、使用する5×5アレイの電極10は、リボンコネクタ52によってロータリスイッチ50に接続される。リボンコネクタ52は25本の導線を有し、それぞれ1本が25個の試験電極10のそれぞれに個別に接続され、1本は全部で6個の基準電極22に共通に接続される。電極アレイの端部における接続は、基板コネクタエッジ26のリード線20、28の露出した端部に対して圧着コネクタ54によってつくられており、ロータリスイッチにおける接続は、26芯DINコネクタ56によってつくられる。ロータリスイッチは2本の出力線58、60を有する。出力線58は基準電極リード線28に常時接続されている。リード線60は、スイッチ50のロータリ位置に従って、試験電極10のどれか1つに選択的に接続可能である。
【0068】
線58、60は、背面電極34からの入力を有するインタフェース回路62の該当する入力に接続される。インピーダンス解析器64はインタフェース回路62とロータリスイッチ50を介して電極アレイに接続される。スイッチ50の位置ごとにインピーダンス解析器64が作動して交流試験電流を発生させ、図6を参照して説明した原理に基づき、現在選択されている試験電極10の下にある組織から得られるインピーダンスを測定する。インピーダンス解析器64は、イングランド、ハンプシャー、ファムボローのSolartron Analytical社から市販されているSolartron 1260 インピーダンス/利得位相解析器(Impedance/Gain Phase analyser)を含むことができる。インタフェース回路62は、インピーダンス解析器64の障害または不適切な設定の場合、試験電極の電流を許容レベルに制限する。
【0069】
解析の結果は、創傷マップ画像としてビデオディスプレイ装置66に直接表示される。換言すると、試験電極10の5×5正方行列(または他のサイズ)に配列されたインピーダンスの値は、個々の位置が電極アレイの位置に対応する同様な行列で、対応する色彩、形状または数値として装置66上に表示される。その結果は、プリンタやプロッタなど、人間が読むことができる表示装置の形に代替的にまたは追加して出力される。
【0070】
用途と出力条件に応じ、試験電極ごとに1つのAC周波数で測定が実行されるか、複数周波数のそれぞれで測定が実行される。一般に、適当な周波数範囲は、1ミリヘルツから100キロヘルツ、望ましくは、1ヘルツから50キロヘルツであるが、単一周波数で測定された場合は、後者の範囲の低い方の端の値が望ましい。
【0071】
考察したように、傷に対し試験電極10を使用してイオン導入法や他のセラピー治療用電気信号を適用することができる。その場合、適当なセラピー治療信号発生器68がインタフェース回路62に接続されるが、インタフェース回路62は、そのようなセラピーを適用することが望ましい場合、インピーダンス解析器64からセラピー治療信号発生器68に切り替えるスイッチング回路を含む。
【0072】
上記実施例の修正形においては、別々な基準電極22は使用されない。その代わりに、選択された試験電極10のどれかで測定中、隣接する試験電極がその基準電極として一時的に働く。したがって、測定を実行中の所定の試験電極のために一時的に基準電極として働く特定の試験電極は、図9のロータリスイッチ50によって線58に接続されるであろう。
【0073】
本実施例の有利な特徴は、アレイ中のどれか4個の電極の組みに適切に接続することによって4電極法の使用が可能なことである。4電極手法は下部組織のインピーダンスの調査を可能にするとともに、傷内部の組織を予測するために使用される。電極間の距離は、電界が組織を縦貫する深さに影響を与えるので、距離を選択して異なる深さの傷を調査することができる。小面積の電極が多数組み込まれた電極アレイにおいては、組み合わせを選択し、縦貫深さの範囲に対する創傷部位を調査するとともに、マッピングすることができる。
【0074】
研究のために完全な特徴を示すことが必要ならば、適当に広い周波数範囲(代表的にはメガヘルツからミリヘルツまで)を使用し、十分に多数のデータ点を求めなければならないことは明らかである。日常的に本発明を臨床的に使用する場合に(for routine clinical use of the invention)所定の用途に要求されるものは、戦略的に選択した1つまたは複数の周波数の測定値で十分である。インピーダンス測定のために印加する信号の振幅は、得られる電流密度が十分低く、電気的安全性と皮膚インピーダンスの直線性を保証するものでなければならない。
【0075】
例えば、創傷治癒における電磁界の影響を調べる研究目的の場合、非常の多くの周波数を使用し、広い周波数範囲にわたって皮膚または組織のインピーダンスを測定することに関心が持たれるであろう。数学的モデル(例えば、Coleの方程式(式1))や等価回路のモデル(例えば、図4)から計算されたパラメータのマップは、モニターの画面に表したり、記録のために印刷したりすることができる。代替方法として、例えば、インピーダンスパラメータによって判った特定領域の面積、パラメータの比率あるいは、そのようなパラメータを含む計算値を計算したり表示したりして、マップを表示したり、調べたり解釈したりする手間を省いてもよい。
【0076】
以下の記述に基づく計算値のマップは、創傷部位の異なる領域と含まれる組織の違いを強調するために使用される。すなわち、
(i)所定の周波数において測定されるインピーダンス(またはアドミッタンスや同様な電気的特性)の大きさ(絶対値成分、実数成分および虚数成分)と位相角。
(ii)そのような数回の測定が各種周波数で実行された場合の上記の比。他の数学的計算も可。
(iii)数学的モデル(例えば、Coleのモデル)のパラメータと比、またはそのようなパラメータを含む他の数学的計算値。
(iv)等価回路のパラメータと比、またはそのようなパラメータを含む他の数学的計算値。
【0077】
傷のない表皮の場合、低周波で測定されたインピーダンスは、下部組織のインピーダンスというよりも、皮膚インピーダンスに偏っている。したがって、創傷部位のマップは、単一周波数で測定された創傷部位のインピーダンスをマッピングすることによって簡単に求められるので、手続きを大幅に単純化できる。
【0078】
研究に基づく所定の用途に対して1つだけのモデルパラメータに関心が持たれる場合、2つまたは3つだけの周波数における測定点だけが要求される。例えば、図4に示す等価回路モデルのK、αおよびRPの計算は、少なくとも2つの周波数の使用が必要であり、高い精度が要求される場合はもっと多数の周波数が必要であろう。
【0079】
前述の原理に従って適切に設計されたインピーダンスアレイは、心臓や脳のような他の臓器/組織の電気的特性を研究するために使用されうる。非常に小型の(マイクロメートルの範囲内の)電極は、薄膜の手法を使用して可撓性のある基板上に製造することができる。心臓の場合、この発明を用いて虚血部位を検出し、特徴付けし、更にマップをつくることができる。
【0080】
本発明は、ここで説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく改造もしくは変更することができる。
【0081】
参考文献
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6. Lackermeier, A. H. , McAdams, E. T. , Moss, G. P., Woolfson, A. D.;'In vivo A. C. Impedance Spectroscopy of Human Skin: Theory and Problems in Monitoring of Passive Percutaneous Drug Delivery', Annals of the New York Academy of Sciences 1999 ; 873: 197-213.
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11. K. M. Bogie, S. I. Reger, S. P. Levine, and V. Sahgal,"Electrical stimulation for pressure sore prevention and wound healing,"Assistive Technology, vol. 12, pp. 50- 66, 2000.
12. G. D. Mulder,"Treatment of Open-Skin Wounds with Electric-Stimulation, "Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, vol. 72, pp. 375-377, 1991.
13. S. I. Reger, A. Hyodo, S. Negami, H. E. Kambic, and V. Sahgal,"Experimental wound healing with electrical stimulation,"Artificial Organs, vol. 23, pp. 460-462, 1999.
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】人間の皮膚の電気的特性を示す図である。(説明済み)
【図2】人間の皮膚の電気的特性を示す図である。(説明済み)
【図3】人間の皮膚の電気的特性を示す図である。(説明済み)
【図4】人間の皮膚の電気的特性を示す図である。(説明済み)
【図5】本発明の一実施例の一般的原理を示す模式図である。(説明済み)
【図6】本発明の実施例で使用されているインピーダンス測定の原理を示す模式的回路図である。
【図7】本発明の一実施例で使用されている試験電極の5×5正方アレイの平面図である。
【図8】図7の線X-Xで取られた試験電極アレイの断面を示す図である。このアレイは創傷包帯の中に組み込まれている。
【図9】図7のアレイを使用する創傷マッピングシステムのブロック図である。
【図10】試験電極アレイの代替形式を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査中の組織の表面にあてがう一組の試験電極と、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定するための回路手段とを含む組織マッピングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記一組の試験電極は、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上に配置される前記システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記一組の試験電極は、二次元アレイ、望ましくは正方アレイの電極を含む前記システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のシステムにおいて、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した抵抗と比較して高い前記システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記ゲルはヒドロゲルである前記システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記試験電極のリード線は、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上で露出されるとともに絶縁部材でカバーされる前記システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記測定された特性とその派生物、またはそれらのいずれかを、人間が読める形で表示する手段を更に含む前記システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記基準電極は、絶縁部材でできた可撓性のある前記裏当て上に配置される前記システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、1つの基準電極は、複数の試験電極と共通である前記システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、所定の試験電極で測定中、隣接する試験電極は、一時的にその試験電極の基準電極として働く前記システム。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの他の電極は、絶縁部材でできた可撓性のある前記裏当て上に配置される前記システム。
【請求項15】
請求項9から請求項14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記システム。
【請求項16】
請求項9から請求項15のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記測定または各測定は、1ミリヘルツから100キロヘルツ、望ましくは1ヘルツから50キロヘルツまでの周波数で実行される前記システム。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記一組の試験電極は、創傷包帯の中に組み込まれる前記システム。
【請求項18】
組織をマッピングする方法であって、調査中の前記組織の表面に一組の試験電極をあてがい、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定することを含む前記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記一組の試験電極は、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上で二次元アレイの中に配置される前記方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の前記抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した抵抗と比較して高い前記方法。
【請求項21】
請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の方法において、前記測定された特性とその派生物、またはそれらのいずれかを、人間が読める形で表示することを更に含む前記方法。
【請求項22】
請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記方法。
【請求項23】
請求項18から請求項22のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって測定される前記方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって測定される前記方法。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載の方法において、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記方法。
【請求項26】
請求項18から請求項25のいずれか1項に記載の方法において、前記一組の試験電極は、創傷包帯の中に組み込まれて傷にあてがわれる前記方法。
【請求項27】
前記傷害組織の表面にあてがわれる一組の試験電極と、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定する回路手段とを組み込んだ創傷包帯。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査中の組織の表面にあてがう二次元アレイの試験電極と、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定するための回路手段と、前記測定された電気的特性に基づいて組織の視覚的なマップを備える表示装置とを含む組織マッピングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記試験電極のアレイは、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上に配置される前記システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記電極のアレイは、正方アレイである前記システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のシステムにおいて、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した前記抵抗と比較して高い前記システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記ゲルはヒドロゲルである前記システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記試験電極のリード線は、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上で露出されるとともに絶縁部材でカバーされる前記システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記二次元アレイは、少なくとも25個の試験電極を含む前記システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記基準電極は、絶縁部材でできた可撓性のある前記裏当て上に配置される前記システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、1つの基準電極は、複数の試験電極と共通である前記システム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、所定の試験電極で測定中、隣接する試験電極は、一時的にその試験電極の基準電極として働く前記システム。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの他の電極は、絶縁部材でできた前記可撓性のある裏当て上に配置される前記システム。
【請求項15】
請求項9から請求項14のいずれか1項に記載のシステムにおいて、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記システム。
【請求項16】
請求項9から請求項15のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記測定または各測定は、1ミリヘルツから100キロヘルツ、望ましくは1ヘルツから50キロヘルツまでの周波数で実行される前記システム。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記試験電極のアレイは、創傷包帯の中に組み込まれる前記システム。
【請求項18】
組織をマッピングする方法であって、調査中の前記組織の表面に二次元アレイの試験電極をあてがい、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定し、前記測定された電気的特性に基づいて組織の視覚的マップを表示することを含む前記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記試験電極のアレイは、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上に配置される前記方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の前記抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した抵抗と比較して高い前記方法。
【請求項21】
請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の方法において、前記二次元アレイは、少なくとも25個の試験電極を含む前記方法。
【請求項22】
請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記方法。
【請求項23】
請求項18から請求項22のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって測定される前記方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって測定される前記方法。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載の方法において、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記方法。
【請求項26】
請求項18から請求項25のいずれか1項に記載の方法において、前記試験電極のアレイは、創傷包帯の中に組み込まれて傷にあてがわれる前記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査中の組織の表面にあてがう二次元アレイの試験電極と、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定するための回路手段と、前記測定された電気的特性に基づいて組織の少なくとも1つの領域の物理的特性を表す少なくとも1つの値を与える手段とを含む組織マッピングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記物理的特性は、面積である前記システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記与える手段は、表示装置に複数の値を与えて、前記組織の領域の物理的拡張を表す視覚的なマップを備える前記システム。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3に記載のシステムにおいて、前記試験電極のアレイは、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上に配置される前記システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記電極のアレイは、正方アレイである前記システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のシステムにおいて、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した前記抵抗と比較して高い前記システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記ゲルはヒドロゲルである前記システム。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記試験電極のリード線は、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上で露出されるとともに絶縁部材でカバーされる前記システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記二次元アレイは、少なくとも25個の試験電極を含む前記システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のシステムにおいて、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記回路手段は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって、前記電気的特性を測定する前記システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、前記基準電極は、絶縁部材でできた可撓性のある前記裏当て上に配置される前記システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、1つの基準電極は、複数の試験電極と共通である前記システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、所定の試験電極で測定中、隣接する試験電極は、一時的にその試験電極の基準電極として働く前記システム。
【請求項16】
請求項11から請求項15のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの他の電極は、絶縁部材でできた前記可撓性のある裏当て上に配置される前記システム。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか1項に記載のシステムにおいて、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記システム。
【請求項18】
請求項11から請求項17のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記測定または各測定は、1ミリヘルツから100キロヘルツ、望ましくは1ヘルツから50キロヘルツまでの周波数で実行される前記システム。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記試験電極のアレイは、創傷包帯の中に組み込まれる前記システム。
【請求項20】
組織をマッピングする方法であって、調査中の前記組織の表面に二次元アレイの試験電極をあてがい、各試験電極の下にある前記組織の電気的特性を測定し、前記測定された電気的特性に基づいて組織の少なくとも1つの領域の物理的特性を表す少なくとも1つの値を与えることを含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記物理的特性は、面積である前記方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、複数の値が表示装置に与えられ、前記組織の領域の物理的拡張を表す視覚的なマップを備える前記方法。
【請求項22】
請求項20,請求項21または請求項22に記載の方法において、前記試験電極のアレイは、絶縁部材でできた可撓性のある裏当て上に配置される前記方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、各試験電極は、導線性ゲルでカバーされ、隣接する試験電極間の前記抵抗は、各試験電極とその下にある前記組織との間のゲルを介した抵抗と比較して高い前記方法。
【請求項24】
請求項20から請求項23のいずれか1項に記載の方法において、前記二次元アレイは、少なくとも25個の試験電極を含む前記方法。
【請求項25】
請求項20から請求項24のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、各試験電極の下にある前記組織の前記インピーダンスである前記方法。
【請求項26】
請求項20から請求項25のいずれか1項に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織が一部を形成する有機体にあてがわれた前記試験電極と少なくとも1つの他の電極との間に交流電気信号を印加することによって測定される前記方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、前記電気的特性は、前記組織にあてがわれた各試験電極と隣接する基準電極との間の前記電圧を測定することによって測定される前記方法。
【請求項28】
請求項26または請求項27に記載の方法において、試験電極ごとの測定は、複数の異なる周波数で実行される前記方法。
【請求項29】
請求項20から請求項28のいずれか1項に記載の方法において、前記試験電極のアレイは、創傷包帯の中に組み込まれて傷にあてがわれる前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−508732(P2006−508732A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556714(P2004−556714)
【出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006399
【国際公開番号】WO2004/049937
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505211710)ユニバーシティ オブ アルスター (4)
【Fターム(参考)】