説明

組織増強装置

組織を充填する医療装置及び方法が開示される。本装置は、充填されるべき組織の中へ送達するための第1の構成から、充填されるべき組織の内部で本装置が膨張するか、または膨張するように強制される第2の構成を有する。膨張した装置の外部形状は、所望の結果を実現するために、その長さに沿って特注されてもよい。本装置は、皮膚の中に配置されるように適合され、顔面の皺を減らしたり、または唇のような顔の造作を増強したりするために使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組織増強装置(tissue augumentation device)に関する。
【背景技術】
【0002】
顔面の見た目を改善するために軟部組織を増強する美容処置に対する需要が増大している。米国美容形成外科学会議は、美容処置が2003年には830万件近く行われ、一昨年から20%増加したことを報告する。これらの最も一般的な処置は、より若々しい見た目を取り戻すために顔の皺及び線を取り除いたり、または唇を豊かにしたりすることが目的である。
【0003】
額の中及び目の周りの動的な皺の周囲の小さい顔面筋肉を麻痺させるためにボツリヌス毒素が使用される。非動的な皺を伸ばしたり、または顔面組織(鼻唇線、唇など)を増強したりするために使用されている材料には、イナメドコーポレーション社(Inamed Corporation)のコスモダーム(CosmoDerm)及びコスモプラスト(CosmoPlast)などの多様な形態及び配合のシリコーン、コラーゲン;レスティレン(Restylene)及びヒヤロフォーム(Hyaloform)などのヒアルロン酸誘導体;並びにラディアンス(Radiance)などのカルシウムヒドロキシルアパタイトの細粒などの注入可能な軟部組織充填剤が含まれる。自己由来の脂肪も脂肪吸引によってドナー部位から採取され、次いで目標顔面組織の中へ注入される。これらの注入可能な充填剤は簡便であり、いくつかの処置は簡単な診療室処置としてさえ行われ得るが、その結果は一時的なものであり、しかもこの充填剤は、一旦注入されたら取り除くことができない。
【0004】
移植人工組織充填剤はよく知られており、一般に外科的切開によって配置される。これらには、アトリウムメディカル社(Atrium Medical)によって市販されたゴア(Gore)皮下増強材料(S.A.M.)、すなわち、アドバンタ(Advanta)、並びにティシューテクノロジーズ社(Tissue Technologies)、すなわち、現在のインテグラライフサイエンシーズ社(Integra Life Sciences)によって市販されたウルトラソフト(Ultrasoft)及びソフトフォーム(Softform)を含めて、ePTFE系の管、繊維、またはシートが含まれる。外科的移植組織充填剤は、ライフセルコープ社(LifeCell Corp.)からのアロダーム(Alloderm)及びコラーゲンシスインク社(Collagensis, Inc.)からのデュラダーム(DuraDerm)のように生物源にも由来し得る。
【0005】
外科的移植充填剤は、傷及び腫れによって多くの患者には受け入れがたい長い回復時間、感染または肉芽腫形成の恐れ、糜爛、縮み、及び移動などのいくつもの制約を有する。多くの患者は、インプラントが周囲の皮膚よりも硬いので、それが皮膚下で触知可能であることを受け入れることができない。患者が希望しても移植充填剤は取り除くことが難しい可能性があるし、またはその除去を要する合併症も生じる。
【0006】
理想的な顔面組織充填剤とは、完全に生体適合性であり、大きな外科的切開によるのではなく、相対的に細い針によって配置しやすく、恒久的であるが、位置直しを見込んで処置時にまたは将来のある時点で除去が可能であり、感染または免疫反応の恐れが非常に薄く、時間経過に伴う拡大、収縮、または移動がなく、糜爛せず、しかも患者に知覚されることがないものであろう。
【0007】
カテーテルの中に収まるのに十分に小さい外形を有し、しかもこのような装置がカテーテルの遠位端から釈放されるときに自己拡大するかまたは強制的に拡大される生体適合性医療装置が、血管系、心臓血管系、及び神経脈管系への介入では広く普及している。このような装置には、様々な種類及び構成の自己拡張式またはバルーン拡張式ステント、及び塞栓コイルが含まれる。これらの装置は、しばしば金属から形成され、ePTFEのスリーブのような重合体によって被覆され得る。
【特許文献1】米国特許第5630844号明細書
【特許文献2】米国特許第5779672号明細書
【特許文献3】米国特許第6102891号明細書
【特許文献4】米国特許第6342250号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0007991号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0106410号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0028243号明細書
【特許文献8】米国特許第6660301号明細書
【特許文献9】米国特許第6368658号明細書
【特許文献10】米国特許第6042875号明細書
【特許文献11】米国特許第6652883号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、皮膚組織のような非血管系空間内部に配置可能であり、所望の美容上または治療上の結果をもたらすようにインサイチューで拡大可能であるような同様の性質の装置に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態では、本発明は、移植可能な組織増強装置を含む。一実施形態では、本装置は、近位端、遠位端、及び空洞を有する細長い柔軟な管状本体と、近位端の弁付き開口と、閉鎖遠位端とを含む。好ましい実施形態では、本装置は、第1の構成及び第2の構成を追加的に有し、組織増強装置は、弁付き開口を介して充填剤を空洞の中へ導入することによって第1の構成から第2の構成に変形可能である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、本発明は、第1の構成及び第2の構成を有する組織増強装置を含み、第1の構成は管状進入導管(tubular access channel)に通して収まるように適合され、第2の構成は、組織に組織増強サイズ及び形状で充填するように適合され、組織増強装置は、管状導管に通してこの装置を組織の中へ送達することに続いて充填剤をこの装置の中へ導入することによって、第1の構成から第2の構成に変形可能である。
【0011】
本発明の他の実施形態では、本発明は、移植のための第1の構成から、増強のための第2の構成に変形可能である細長い柔軟な本体を有する少なくとも1つの組織増強装置と、本体の内部への進入を可能にする充填剤管と、本体を第1の構成から第2の構成に変形する充填剤とを含む、組織を増強するためのキットシステム、すなわち、品目の寄せ集めを含む。
【0012】
本発明の更に別の実施形態では、本発明は、柔軟組織を増強する方法を含む。一実施形態では、本方法は、患者の処置部位を識別すること、処置部位の下方の組織の中へ切開器具を導入すること、切開器具を使用して組織平面を創出すること、変形可能な組織増強装置を組織平面の中へ導入すること、及び第1の容積を有する第1の縮小した構成から、この部位にある間の第2の容積を有する第2の拡大した構成に組織増強装置を変形することを含む。一実施形態では、第2の構成は第1の構成よりも少なくとも約5倍大きい。
【0013】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、本体の内部に進入するために、近位端に少なくとも1つの穴を更に含む。
【0014】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、装置が組織の中へ送達された後で、充填剤をこの穴に通して装置の中へ導入すると、第1の構成から第2の構成に変形可能である。
【0015】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、線維組織内殖を促進する材料を含む。
【0016】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、装置を所望の部位に位置決め可能にする少なくとも1つの把持手段を含む。一実施形態では、この把持手段は一以上のつまみを含む。
【0017】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、内層及び外層を含み、この外層は、線維組織内殖を促進する多孔性材料を含み、内層は、本体に柔軟性を追加し、更に充填剤材料と接触するエラストマー系材料を含む。
【0018】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、少なくとも2つの層を含み、外層がePTFEを含み、内層がシリコーン、ポリウレタン、または熱可塑性エラストマーを含む。一実施形態では、本装置は、内層及び外層のみを含む。一実施形態では、本装置は一以上の追加的な層を含む。別の実施形態では、本装置は単一の層のみを含む。
【0019】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、充填剤は、一以上の流体を含む。この流体は一以上の液体を含む。この液体は生理的食塩水を含む。
【0020】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、充填剤は、成形された構成を保持するために、充填剤が変形する前に、手で所望の構成に形作られ得る材料を含む。
【0021】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、充填管の通過を許容するが、充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止する。本明細書に説明される一以上の実施形態では、この封止は、外部的介入をいずれも伴わずに行われる(例えば、本装置は自然に自己封止する)。
【0022】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、充填管の通過を許容するが、充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止する一以上の穿通可能な隔壁を含む。
【0023】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、この装置の内部空洞を複数のチャンバまたは隔室に分割する複数の内部邪魔板を含む。これらの邪魔板は、充填管の通過を許容するが、充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止する穿通可能な隔壁を含んでもよい。
【0024】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、被充填領域の輪郭を変更するために、別々に充填されるように適合される2つ以上の隔室を含む。
【0025】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、所望の輪郭を実現するために、選択的に膨張または収縮される。
【0026】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、約1mmから約8mmまでの範囲内の直径を有する。
【0027】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、約1cmから約6cmまでの範囲内の長さを有する。
【0028】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、約0.003インチから約0.020インチまでの範囲内の壁厚を有する。
【0029】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、約1mmから約10mmまでの直径を有する第2の構成を有する。
【0030】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置の第1の構成は、約14ゲージから約20ゲージまでの範囲内のゲージを有する管状進入導管に通して収まるように寸法決めされる。
【0031】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置の第1の構成は約1.6mm未満の直径を有する。
【0032】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は1本または複数の縫合糸を含む。
【0033】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、組織の中へ挿入される前に、実質的に未膨張であるように適合される。他の実施形態では、組織増強装置は、組織の中へ挿入される前に、部分的に膨張させられるように適合される。
【0034】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、充填剤は、移植処置中に、かつ少なくとも1回、移植に引き続いて、組織増強装置の中へ追加され、それによって長期にわたって調整可能な組織増強装置を設ける。
【0035】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、特定の外形を創出するためにセグメントに様々な量の充填剤材料が充填されることを可能にするように、内部がセグメント化される。
【0036】
本発明の一実施形態では、増強システムが提供される。一実施形態では、このシステムは、本明細書に説明される一以上の実施形態の組織増強装置と、処置部位の下方の組織を分離して、組織平面を創出する切開器具とを含む。
【0037】
本発明の一実施形態では、本明細書に説明される一以上の実施形態の組織増強装置と、管状進入導管とを含む組織増強システムが提供される。一実施形態では、管状進入導管は、針、カニューレ、またはカテーテルを含む。
【0038】
本発明の一実施形態では、本明細書に説明される一以上の実施形態の組織増強装置と、充填剤を供給する充填管とを含む組織増強システムが提供される。
【0039】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、顔面の傷跡、線、または皺の処置で使用するためにある。
【0040】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、顔面組織を増強するように適合され、かつそのために使用される。
【0041】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、顔面の皺を伸ばす(augmenting facial wrinkles)ように適合され、かつそのために使用される。
【0042】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、組織増強装置は、体または顔面上の線、傷跡、または皺を充填するように適合され、かつそのために使用される。
【0043】
本発明の一実施形態では、複数の組織増強装置が提供される。一実施形態では、使用者が所望のサイズを選択することを可能にするように、組織増強装置が複数の様々なサイズで提供される。一実施形態では、組織増強装置の少なくとも1つが、0.5から2mm、1.5から5mm、2から6mm、または2から8mmの膨張直径を有する。
【0044】
本発明の一実施形態では、本発明は、複数のチャンバを間に形成するように結合された少なくとも2枚の柔軟シートを含む移植可能な組織増強装置を備え、前記チャンバは、一以上の前記チャンバを所望の構成に拡大する充填剤を収容するように適合されている。一実施形態では、シートは、充填剤をチャンバに供給する管によって穿通され、かつこのような管を引き抜くと自己封止することが可能な材料を含む。一実施形態では、シートは、チャンバを形成するために、それらの周囲に隣接しかつそれらの周囲の間で一体に接合される。一実施形態では、シートは格子状のパターンでその周囲の間を一体に接合される。別の実施形態では、2枚のシートが設けられ、各シートが多層から形成されている。一実施形態では、その周囲が人間の頬に概ね相応するように形作られる。一実施形態では、本装置は、その充填前状態で、約15mm未満の厚みを有する。
【0045】
本明細書に説明される一以上の実施形態では、本装置は、より大きなシート配置の中に位置決めされ、そこから一以上の装置が切り取られ得る。
【0046】
本発明の一実施形態では、本発明は、複数のチャンバを間に形成するように結合された少なくとも2枚の柔軟シートを含む装置を移植すること、及び組織の中に所望の輪郭を実現するために、内部の一以上のチャンバを、部分的にまたは完全に、選択的に充填することを含む組織を増強する方法を包含する。
【0047】
本発明の一態様によれば、組織増強システムが提供される。本システムは、人間の組織の内部に配置されるように適合された管状導管と、この管状導管を通過するように適合された組織拡張器とを含む。第1の構成及び第2の構成を有する組織充填装置が設けられる。第1の構成は管状導管に通して収まるように適合され、第2の構成は組織を充填するように形成される。本装置は、管状導管に通して本装置が組織の中へ送達された後で充填剤が本装置の中へ導入されると、第1の構成から第2の構成に変形可能である。
【0048】
管状導管は、針、カテーテル、カニューレ、または他の進入装置でもよい。増強されるべき組織は皮膚でもよい。
【0049】
本発明の別の態様によれば、組織増強装置が提供される。本装置は、近位端及び遠位端を有する細長い柔軟な本体を含む。本体の内部に進入するために、少なくとも第1の穴が近位端に設けられる。縫合糸が遠位端から延びる。
【0050】
処置部位に経皮進入するために、針が縫合糸に付着されてもよい。本体は、円形のまたは平坦な断面を有し得る管状スリーブを含んでもよい。本体は周囲に沿って一体に接合された2枚の材料を含んでもよい。本体はまた、2つの同心管状層を含んでもよい。本体の内部に進入するために、少なくとも第2の穴が設けられてもよい。穴を閉鎖するために、一以上の弁が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの隔室が柔軟な本体の内部に設けられてもよい。
【0051】
本発明の他の態様によれば、組織を増強するためのキットが提供される。このキットは、移植のための第1の構成から、増強のための第2の構成に変形可能である少なくとも1つの細長い柔軟な本体を含む。少なくとも1本の縫合糸が本体に付着される。本体の内部への進入を可能にするために、充填剤管が設けられる。「充填剤管」という用語は、「充填管」と相互互換的に使用される。本体を第1の構成から第2の構成に変形するために、充填剤が追加的に供給される。
【0052】
本体は、一以上の内部隔室を有し得る管状スリーブを含んでもよい。本体は弁を追加的に含んでもよい。少なくとも第2の縫合糸が本体に追加的に付着されてもよい。充填剤は、液体を含んでもよく、かつインサイチューで重合されてもよい。キットは、充填剤を充填剤管の中へ注入するために、注射器を追加的に含んでもよい。
【0053】
本発明の他の態様によれば、組織を増強するためのキットが提供される。このキットは複数の細長い柔軟な本体を含み、これらのそれぞれが移植のための第1の構成から増強のための第2の構成に変形可能であり、複数のサイズ及び形状で設けられる。少なくとも1本の縫合糸が各本体に付着される。本体を処置部位に送達するために、配備管が設けられる。本体内部への進入を可能にするために、充填剤管が設けられ、本体を第1の構成から第2の構成に変形するために、充填剤が供給される。
【0054】
本発明の別の態様によれば、組織を増強するためのキットが設けられる。このキットは複数の細長い柔軟な本体を含み、これらのそれぞれが、移植のための第1の構成から、増強のための第2の構成に変形可能である。この柔軟な本体は、複数のサイズ及び形状で提供される。少なくとも1本の縫合糸が、各本体に付着される。本体内部への進入を可能にするために、充填剤管が設けられ、本体を第1の構成から第2の構成に変形するために、少なくとも2つの異なる充填剤も供給される。これらの充填剤は、異なる粘度及び/または異なる硬度を有してもよい。
【0055】
本発明の一態様によれば、組織を充填する方法が提供される。本方法は、管状導管を組織の内部に挿入するステップと、組織充填装置を導管の中へ挿入するステップとを含む。管状導管は、組織充填装置を組織の内部に残すために、組織充填装置の上を伝って抜き取られる。本装置は組織を再構成するために変形される。
【0056】
管状導管は、針、カニューレ、または他の進入装置を含んでもよい。組織は皮膚でよい。
【0057】
本装置を変形するステップは、鼻唇溝を平坦にしてもよい。本装置を変形するステップは、別法として唇を豊かにしてもよい。
【0058】
本発明の他の態様によれば、組織を充填する方法が提供される。本方法は、針を組織の中へ挿入するステップと、ガイドワイヤ(例えば、縫合糸、金属フィラメントなど)を針に通過させるステップとを含む。針は除去され、カテーテルが、このワイヤの上を伝って通される。組織充填装置がカテーテルに通して挿入され、カテーテルは、組織充填装置の上を伝って引き抜かれ、それによって組織充填装置を組織の内部に残す。
【0059】
本発明の他の態様によれば、組織を充填する方法が提供される。本方法は、組織充填装置を収容する針を組織の中へ挿入するステップを含む。組織充填装置は、充填剤管のような、この装置と接触しているシステム構成要素に対する前向きの圧力によって、組織に対して実質的に一定の位置に維持され、他方で針は組織充填装置の上を伝って引き抜かれ、それによって組織充填装置を組織の内部に残す。組織充填装置は、充填剤材料を充填剤管に通して組織充填装置の中へ注入することによって充填され、充填剤管は除去される。組織は皮膚でよい。
【0060】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、この部位の下方に変形可能な組織増嵩装置(tissue bulking device)を導入するステップとを含む。この増崇装置は、第1の縮小した容積から、この部位にある間の第2の拡大した容積に変形される。
【0061】
導入するステップは、本装置をワイヤの上を伝って導入するステップを含んでもよい。導入するステップは、本装置を管に通して導入するステップを含んでもよい。導入するステップは、遠位縫合糸を使って本装置の遠位端を引っ張るステップを含んでもよい。
【0062】
変形するステップは、充填剤を本装置の中へ導入するステップを含んでもよい。識別するステップは、皺を識別するステップを含んでもよい。部位は、鼻唇溝、上唇、下唇、顔面の皺、または組織増崇が望まれる他の部位を含んでもよい。
【0063】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、この部位の寸法を測定するステップとを含む。部位の寸法に適切なサイズ及び形状を有する組織増崇装置が、変形可能な組織増崇装置のキットから選択される。選択された変形可能な組織増崇装置が部位の下方に導入され、本装置は、第1の縮小した容積から、この部位にある間の第2の拡大した容積に変形される。測定するステップは、縫合糸、または増強されるべき経路に沿って複数の標識含み、かつ標識の数を計数するか、もしくはそれを読み取る他の測定装置を通すステップを含んでもよい。
【0064】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、この部位の下方に変形可能な組織増崇装置を導入するステップとを含んでもよい。重合体が組織増崇装置の中へ注入され、組織増崇装置はインサイチューで(例えば、皮膚表面の手による操作、型の当てはめなどによって)所望の構成に形作られる。次いで、重合体は、所望の構成を保持させられる(例えば、保持可能にされる、すなわち、積極的に触媒作用が引き起こされるか(actively catalyzed)または外部開始剤を加えることによって重合が開始される(initiated))。
【0065】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、切開器具を処置部位の下方の組織の中へ導入するステップとを含む。組織平面が、切開器具を使用して創出され、変形可能な組織増崇装置が組織平面の中へ導入される。本増崇装置は、第1の縮小した容積から、この部位にある間の第2の拡大した容積に変形される。
【0066】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、組織充填装置を処置部位の下方の組織の中へ導入するステップとを含む。充填剤材料が組織充填装置の中へ注入され、他方で処置部位の輪郭が監視される。一旦、処置部位が所望の輪郭を実現したら、充填剤材料の注入が中断される。
【0067】
本発明の他の態様によれば、柔軟組織を増強する方法が提供される。本方法は、患者の処置部位を識別するステップと、この部位の寸法を測定するステップとを含む。この部位の寸法に適切なサイズ及び形状を有する変形可能な組織増崇装置が、複数の組織増崇装置を有するキットから選択される。処置部位における組織の弾性が評価され、処置部位の弾性に適切な粘稠度(consistency)の充填剤が、複数の充填剤を含むキットから選択される。選択された変形可能な組織増崇装置はこの部位の下方に導入され、第1の縮小した容積から、この部位にある間の第2の拡大した容積に変形される。
【0068】
本発明の一態様によれば、移植可能な組織増崇装置を製造する方法が提供される。本方法は、近位端、遠位端、及び中心内腔を有する柔軟な管状本体を設けるステップを含む。閉鎖要素が管状本体の近位端に位置決めされ、管状本体は、中心内腔の内部に閉鎖要素を位置決めするために外転される。
【0069】
閉鎖要素は、1つもしくは複数のエラストマーバンド、縫合糸、クリップ、または他の付勢要素を含んでもよい。
【0070】
本方法は、閉鎖遠位端を形成するために、管状本体の遠位端周りに縫合糸を縛るか、または別の閉鎖要素を位置決めするステップを追加的に含んでもよい。本方法は、ガイドワイヤを遠位端に通して、中心内腔の中へ位置決めするステップを追加的に含んでもよい。
【0071】
本発明の別の態様によれば、移植可能な組織増強装置が提供される。本装置は、近位端、遠位端、及び中心内腔を有する細長い柔軟な管状本体を含む。弁付き開口が近位端に設けられ、かつ遠位端が閉鎖される。
【0072】
本装置は、弁付き開口を通って延びるガイドワイヤを追加的に含んでもよい。この弁は、管状本体の一部を包囲する閉鎖要素を含んでもよい。管状本体は、閉鎖要素を中心内腔の内部に位置決めするために外転されてもよい。閉鎖要素は縫合糸の輪を含んでもよい。別法として、閉鎖要素は、弾性の輪または金属の輪を含んでもよい。本装置は、管状本体の遠位端に付着された遠位縫合糸を追加的に含んでもよい。
【0073】
本発明の一態様によれば、組織充填装置が提供される。本装置は、第1の構成及び第2の構成を有し、第1の構成は、管状進入導管に通して収まるように適合され、第2の構成は、組織に組織増強サイズ及び形状で充填するように適合される。本装置は、本装置を管状導管に通して組織の中へ送達することに続いて、充填剤を本装置の中へ導入することによって第1の構成から第2の構成に変形可能である。
【0074】
本装置は柔軟な重合体管を含んでもよい。充填剤は、形状記憶ワイヤ、複数のコイル、液体、ゲル、または液体の中に懸濁されたビーズを含んでもよい。充填剤は、インサイチューで重合されても、インサイチューで架橋されても、または別様にインサイチューで粘度を変更してもよい。本装置は、中間部分よりも柔軟である近位端及び遠位端を有してもよく、更にバルーンを含んでもよい。本装置は、ePTFEのような重合体によって少なくとも一部が被覆されても、またはePTFEと熱可塑性材料との積層材でもよい。熱可塑性材料はポリエチレンでもよい。
【0075】
本装置は、重合体被覆を有するニチノール枠のような金属枠を含んでもよい。
【0076】
管状導管は、針、カテーテル、カニューレ、または他の進入装置でもよい。
【0077】
組織は、皮膚、胃食道接合部、心筋層、または胃壁でもよい。組織はまた、鼻唇溝の、上または下唇の右側もしくは左側もしくは両側の、頬の、他の顔面皺の、あるいは増強が望まれる身体上の他の部位の近傍でもよい。
【0078】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面及び特許請求の範囲と一緒に考慮されるとき、以下に続く好ましい実施形態の詳細な説明を検討すれば当業者には明白になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
本発明は、一般に生物体、好ましくは人間の組織の容積を増強するシステム及び方法である。本システムは、一般に組織充填装置と、この組織充填装置を組織に送達する方法を含む。組織充填装置は、組織充填剤材料及び封入シースを備える。好ましくは、この封入シースは、充填される容器を形成する。
【0080】
本特許の実施形態で説明される容積増強方法及び装置は、必要に応じて、多様な状況で組織増量のために使用されるべきことが企図されている。例えば、胃腸科では、胃食道接合部における組織の容積の増加を利用して逆流性食道炎病を治療することが可能であり、更に病的肥満を治療するために胃粘膜の厚みを増やして胃の容積を減らすことが可能であり、泌尿器科では、膀胱の首部における尿道の周りに充填剤を半径方向へ配置することによって失禁を改善することが可能であり、更に循環器科では、心不全を治療するために、組織充填剤を心室壁の中に配置して左心室の容積を減らすことが可能であり、または同じく心室の容積を減らし、それによって心不全を治療することを企図して、心臓の外側に圧力を掛けるために心膜空間の中に配置することが可能であり、更に当業者によく知られている他の用途で使用される。これらの臨床上の用途のいずれにおいても、この組織充填装置は、経時的に充填剤自体から放出され得るかまたは同時に注入され得る任意の数の他の生理活性物質と組み合わされてもよい。
【0081】
本発明の1つの好ましい用途は美容形成外科におけるものであり、そこでは、老化、環境暴露、体重減少、妊娠、手術、座瘡及び癌のような病気、もしくはこれらの組合せを含めて、様々な条件によって引き起こされる皮膚輪郭の欠陥を治療するために、または美容上の改善のために、真皮または下部真皮の増強に本システムが使用される。本発明の好ましい実施形態の組織増強方法は、渋面線、心労線、皺、カラスの足跡、顔面創、もしくは操り人形線を治療するために、または唇、頬、顎、鼻、もしくは目の下のような顔の造りを増強するために特に適切である。患者の治療は、単に組織充填装置を使用することのみから成るばかりでなく、この組織充填装置が、顔面または額隆起のような追加的な美容整形の一部として使用されてもよい。第1の構成から第2の構成に変化する特徴は、この組織充填装置を内視鏡手術で使用するのに望ましいものにする。この組織増強装置は、豊胸手術に使用されてもよいし、更に外傷または腫瘍切除後のような再建成形術時に容積拡大を必要とする身体部位に使用されてもよい。
【0082】
スリーブが多様な構造として実施され、かつ多様な材料から形成され得る。本明細書で使用される「スリーブ」という用語は、組織充填装置が内部に移植される組織から、充填剤材料を実質的に分離するように適合された任意の構造を包含しようとするものである。「皮膚」及び「膜」という用語は、相互互換的に使用され、かつスリーブと同じ意味範囲を有する。
【0083】
一実施形態では、スリーブが、充填されるべき組織の中に配置され、更に第2のステップとして、スリーブには、このスリーブが充填されると、治療結果をもたらすために必要なだけ組織輪郭を変更するのに適切な容積を創出するように材料が充填される。充填は、論じられることになるように、スリーブを移植するために使用される装置によって、もしくは別体の装置によって、または両方によって遂行され得る。別法の実施形態では、組織充填装置は、それを組織中に移植する前に、スリーブに組織充填剤を充填することによって構成され、次いで組み立てられた組織充填装置が組織の中に配置される。更に他の別法の実施形態では、組織充填剤は、組織充填剤の1つ(または複数の)成分が、増強されるべき組織の中にスリーブが配置される前に、スリーブ内部の定位置に配置され、次いで第2の1つの成分(または複数の成分)が、組織の中にスリーブが配置された後に、スリーブの内部に配置されるように、すなわち、最終的な充填剤材料を構成する以外の成分の組合せで、2つ以上の成分から成り得る。
【0084】
スリーブは屈従性もしくは非屈従性、または屈従性と非屈従性との組合せであり得る。スリーブは、生体適応性であるが非生分解性である材料から作製されてもよい。適切な材料には、ePTFE、PTFE、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、シリコーン、ポリメタクリル酸メチル、ダクロン(Dacron)、ニチノールのようなニッケルチタン合金、銀、金、プラチナ、またはステンレス鋼の金属管もしくはメッシュが含まれる。スリーブは複数の材料層を含み得る。他の生体適合性材料が、例えば特許文献1に開示されているように、当業ではよく知られている。
【0085】
線維組織内殖が望ましい場合は、スリーブは、約40から約100μの範囲内にある孔径を有するe−PTFEから作製されるか、またはそれによって被覆され得る。充填剤材料が非流動性であるかまたは非流動性になる場合は、充填剤装置の初期移植がスリーブ及び充填剤材料を含むが、時間が経過するとスリーブが再吸収されて、充填剤材料のみが後に残されて組織を増強するように、スリーブは、様々な、ポリ乳酸、ポリグリコライド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリアニド、ポリウレタン、ポリエステルアミド(polyestera-mides)、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキザラート、ポリアルキレンスクシナート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(無水マレイン酸)、キチン、キトサン、及び共重合体、三元重合体、あるいはこれらのより高次の重合体−単量体重合体またはこれらの組合せもしくは混合物のいずれかから選択された生体適合性で生分解性の材料から作製され得る。
【0086】
一実施形態では、スリーブは、線維組織内殖を促すために、約40μから100μの孔径及び約0.001インチから約0.010インチの厚みのePTFEの外層と、柔軟性をスリーブに追加するために、かつより完全に充填剤材料を収容するために、約0.001インチから約0.010インチのポリエチレンまたは同様の材料の内部スリーブとを含む。このような二層構造は、充填剤材料が水であるか、または水成分を含有するときのように、e−PTFEが充填剤材料に対して透水性または半透水性である場合に特に適切である。
【0087】
スリーブは、ニチノールのような合金、ステンレス鋼、金、またはプラチナを含む金属の支材;PLAまたはPLGのような重合体の支材;あるいはスリーブを支持するかまたは三次元形状を与えるために十分な硬度もしくは構造的な完全性のある任意の材料の支材のような、骨組構造を収容するかまたはそれによって収容され得る。支材は、所望の臨床実践に応じて、軸方向、周方向、または両方向へ延びてもよい。更には、支材は、スリーブを貫通して組織内部で組織充填装置を安定させるように適合されたアンカ要素またはフックを有してもよい。
【0088】
一実施形態では、スリーブ自体が高度に柔軟性である。従って、材料は、約0.001インチから約0.010インチの範囲内であるように薄くなければならない。スリーブは、個々の患者の組織の特定部位を充填する必要に応じて、一定の長さ及び形状であるように、複数の長さ及び形状がキットで提供されて製造されてもよいし、またはスリーブは、移植処置の一部として臨床現場でサイズ決めするために切断されてもよい。充填されるべき所与の部位に所与の望ましい輪郭を実現するために、2つ以上の組織充填装置が配置されてもよい。一実施形態では、束を創出するために一体に束ねられる複数のスリーブが提供される。
【0089】
組織充填装置は、一以上のスリーブと一以上の充填剤材料とを含むキットで提供されてもよい。またはスリーブが別個にキットで供給されてもよく、従って別のキットが1つもしくは複数の充填剤材料を含む。またはキットが1つもしくは複数のスリーブのみから成っていてもよく、従って外科医は別の供給源から充填剤材料を供給する。
【0090】
スリーブは、概ね1〜10mmの一定の膨張直径を有してもよいし、またはそれは、増強される組織の所望の輪郭に応じて、その長さに沿って変化する膨張直径を有してもよい。眉間の皺では、膨張直径が、好ましくは0.5から2mmである。唇では、膨張直径が、好ましくは1.5から5mmである。上唇では、膨張直径は、その長さに沿って膨張直径が変化することが好ましく、上唇の「m字」形を形成するようになっている。下唇では、スリーブが近位端及び遠位端で全体的に先細り、中心部分で2から8mmのより大きな直径を有する。更には、下唇では、スリーブの外形が、概ね偏平な「u字」形であり、下唇の外形をなぞるようになっている。鼻唇溝では、膨張直径が、好ましくは2から6mmであり、近位端及び遠位端が先細りしている。一実施形態では、スリーブが一連のセグメントを含み、各セグメントの内径がセグメント間の当該内腔部分の内径よりも大きいようになっている。更には、スリーブは、一連の弁または邪魔板によって実施された内部セグメントを有してもよい。セグメント化されたスリーブの場合では、特定の臨床上の必要性に適合するようにインプラントの軸長に沿って特注された外形を創出するために、各セグメントに異なる量の充填剤材料が充填されてもよい。スリーブは、フィラメントから作製された骨組のような、支持支材を有してもよく、前記フィラメントは構造を設けるように適合された任意の生体適合性材料から構成されてもよい。
【0091】
1つの弁または複数の弁が、周囲組織の中へ充填剤材料が逃げるのを防止するために、スリーブの一端もしくは両端に、またはスリーブの壁の任意の部分に沿って固着され得る。弁に必要とされる完全性は、充填剤材料の種類及び粘度に応じる。例えば、充填剤材料が定位置でゲル化するか、または充填剤が十分なサイズのビーズから構成されていれば、弁はそれほど緊密に閉じる必要がなくてもよい。一実施形態では、弁は、シースの近位端を包囲する一以上の弾性バンドである。別の実施形態では、弁は、組織充填装置の形成時に、シースの近位端から1mmから4mm遠位へ配置された一以上の弾性バンドであり、次いでシースがその形成時に裏返しにされるとき、弁はスリーブの内側部分に配置され、スリーブに充填剤材料が充填されるとき、弁が閉じた状態に留まる能力を高める。別の実施形態では、弁は、シースの近位端にバネ閉じを形成するように適合されたニチノールのバンドである。当業で知られている他の弁には、例えば特許文献2または特許文献3が含まれる。シースの近位端における弁配置に加えて、セグメントを形成するようにシース内部の複数の箇所に弁が配置されてもよく、これによって次に個々のセグメントに異なる量の充填剤材料が充填され得る。
【0092】
充填剤材料は、いくつもの生体適合性物質のいずれかであり得るし、非粘性液体、粘性液体、ゲル、粉体、ビーズ、薄片、連続もしくは不連続繊維、コイル、繊維球、またはこれらの混合物のような様々な物理的状態もしくはこれらの組合せでもよい。充填剤材料は、シースの中へ導入可能にする第1の状態から、一旦シースの内側に導入された第2の状態に変形可能でもよい。液体またはゲルの内部に担持された繊維のような組合せも企図された範囲内に十分に入る。例えば、充填剤は、それ自体が、ニチノール、当業者によく知られている様々な生体適合性重合体、ePTFE、プロレン(Prolene)、または材料が中に注入される組織の輪郭を変更するのに適切な強度を備える任意の生体適合性材料のような多様な材料から作製され得る実質的に直線的なフィラメントを含むことができる。充填剤材料は、イナメドエスセティックス社(Inamed Aesthetics)から入手可能なザイプラスト(Zyplast(商標))、キュー−メドアンドジェンザイムインク社(Q-Med and Genzyme, Inc.)から入手可能なレスティレン(Restylane(商標))、イナメドエスセティックス社(Inamed Aesthetics)から入手可能なハイラフォーム(Hylaform(商標))、アーティスインク社(Artes, Inc.)から入手可能なアーテコル(Artecoll(商標))、バイオフォームインク社(Bioform, Inc.)から入手可能なラディアンス(Radiance(商標))、またはアベンティスインク社(Aventis, Inc.)から入手可能なスカルプツラ(Sculptura(商標))PLA充填剤のような、組織充填剤として入手可能でかつ販売されているいくつもの材料のいずれかを含んでもよい。
【0093】
充填剤材料の他の実施形態には、柔軟な無作為もしくは規則的コイル、編まれた繊維、織布、相互の周りに巻き付けられた一連のフィラメント、圧縮性または非圧縮性スポンジ材料、オープンまたはクローズドセルフォーム、または特定の必要性に応じて、当業者によく知られている任意の他の材料が含まれる。充填剤材料は、外膜もしくは軸フィラメントと連結された1組の物体でもよいし、または一連の個別の物体でもよい。組織充填装置がX線または蛍光撮像によって視認可能であることが望ましい場合には、トリアゾーテ(triazoate)、バリウム塩、またはタンタルのような放射線不透性被覆がフィラメント材料の中に含まれ得る。超音波による視覚化が必要な場合には、小さい閉じ込められたフォームまたは他のエコーコントラスト材料(echocontrast material)が充填剤の中に含まれ得る。充填剤材料は、組織充填装置を組織外部からより見え難くするために着色染料を含有してもよい。
【0094】
充填剤の1つの種類は、固体粒子と担体との混合物を含む。1つの固体粒子がePTFEの微粉化された粒子を含む。本発明に使用するのに適切な他の材料には、限定するものではないが、PDSII(ポリジオキサノン、すなわち、モノフィラメント)、ニューロロン(Nurolon)(長鎖脂肪族重合体ナイロン6またはナイロン6,6)、エチロン(Ethilon)(長鎖脂肪族重合体ナイロン6及びナイロン6,6)、プロレン(Prolene)(ポリプロピレン、ポリプロピレンのアイソタクチック結晶性立体異性体、合成直鎖ポリオレフィン)、ビクリル(Vicryl)(90%グリコリド及び10%L−ラクチドから形成された共重合体)、絹、モナクリル(Monacryl)(ポリ−E−カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリグリコライド、ポリ(乳酸−共重−グリコライド(poly lactide-co-glycolide))、メドポール(Medpor)(生体適合性(微粉化)ポリエチレン)、バイオグラス(BIOGLASS)(生理活性ガラス微粒子)、またはポリヒドロキシバレレートが含まれる。
【0095】
本発明において充填剤として単独でまたは粒子と組み合わせて使用するのに適切であり得る担体には、限定するものではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、シリコーン油、植物油、生理的食塩水、ゼラチン、コラーゲン、自己由来の脂肪、ヒアルロン酸、自己由来の血漿、COまたは他のガス、及び他の生理的担体が含まれる。
【0096】
充填剤の別の種類には、個別の固体粒子を含まない液体、ガス、またはゲルが含まれる。例えば、PVPは単独でまたは他の作用薬と組み合わせて使用してもよい。PVPは、特有な錯化及びコロイド特性を保有し、かつ生理学的に不活性な水溶性ポリアミドである。PVPは、身体中を自由に輸送され、かつ腎臓によって不変化のまま排泄される生体適合性ゲルとして市販されている。このゲルは、Au24k並びにプラスドンC−15(Plasdone C-15)及びプラスドンC−30(Plasdone C-30)のような商標名を有し、プラスドン系列からの高分子を含んで、実験式(CHCH)N(CH)−COを有する。この系列の重合体は、多様な薬剤用の結合剤、増量剤、及び賦形剤として50年近くの間使用されており、十分な耐性があること、及び弁が故障した場合に、スリーブが破裂もしくは漏出した場合に、または移植処置時に材料がスリーブの中ではなく組織の中に誤って注入された場合に、迅速に身体から取り出せることが期待されている。
【0097】
PVPは、数多くの分子量域で市販されており、特定の溶液中で平均的な分子量を有するように重合される。例えば、PVPは、10,000ドルトン、40,000ドルトン、及び360,000ドルトンの平均分子量の溶液で入手可能である。好ましくは、PVPは、より容易な腎排泄を考慮して約60,000ドルトン未満である。PVPは、その粘度測定単位、すなわちK値によっても画定される。K値は約12未満から100までにわたる。本発明に関して望まれ得るPVP組成は、約12から50までのK値の範囲内にある。PVPは、米国ニュージャージー州ウェイン市(Wayne)のインターナショナルスペシャルティプロダクツインク社(International Specialty Products, Inc.)、ジーエーエフケミカルコープ社(GAF Chemical Corp.);及び独国ベーエーエスエフ株式会社(BASF Aktiengesellschaft)から市販されている。使用に際して、ゲル重合体は、所望の粘度を生成するために純水または生理的食塩水によって希釈可能であり、滅菌され、かつ注入用のカートリッジの中に配置される。別法として、無水重合体粒子が、増強されるべき組織の中にそれが配置される前にスリーブの内部に配置されてもよく、スリーブが配置された後で、無菌生理的食塩水が追加されてスリーブ内部にゲル形成をもたらし、次いで組織の拡張をもたらす。別法として、無水重合体粒子が無菌容器の中に供給されて、スリーブを充填する直前に生理的食塩水または水で戻されてもよい。
【0098】
一旦、充填剤材料がスリーブの内部にあると、その材料状態または化学的構造は、触媒の役目をする第2の材料の追加、高温もしくは低温、pHの変化、超音波もしくは光のようないくつかの機序によって変更され得るし、または時間経過に伴い状態変化が自然に発生し得る。材料が時間経過に伴ってその状態を変える場合には、当該時間は、充填剤が変形する前に臨床医が手で触診することによってその形状を所望の構成に成形し、その成形された構成を保持できるように、注入から10から30分の範囲内にあることが理想的である。別法として、状態変化は、患者が自分自身の充填剤構成を整形できるように24から48時間にわたって起きる。一実施形態では、充填剤材料は、スリーブを相対的に流動性のある状態で充填する生体適合性重合体であり、手術者によって皮膚表面から所望の形状に整形され、次いで適切な波長の光(例えば、UV)が、液体を非流動性ゲル(このゲルは所望の柔軟さを保持する)に変換するために皮膚に差し向けられる。一実施形態では、ゲルがPEG及び/またはPVAのバックボーンを含み、スリーブを充填し損なったりまたは漏出したりするいかなるゲルの生分解性も考慮して、PLA及び/またはPLG側基が付着されており、更に約400〜500nmの波長の光と光重合を誘発するためにアクリル酸メチルのサブユニットがバックボーンに付着されている。
【0099】
充填剤材料は、スリーブ中に配置された導管を経由して組織の外側から吸引することによって充填剤材料を後で除去することを考慮して、上で説明の機序のいずれかによって、その状態変化を逆転することが可能であってもよい。一実施形態では、この導管が針であり、この針は、超音波結晶体(ultrasound crystal)を含み、またはそれに囲まれ、針がスリーブの中に挿入され、かつエネルギーがその超音波結晶体に供給されて、それを100khzから1メガヘルツの範囲内で振動させるとき、ゲル化した充填剤材料が、この針を介して吸引可能である流動性材料に分解される。
【0100】
別の実施形態では、充填剤材料が、ゲル−デルテクノロジーズ社(Gel-Del Technologies)から入手可能であり、特許文献4、特許文献5、特許文献6及び特許文献7に説明されたような精製タンパクを含み、それは体温でゲルに変わり、かつ低温を印加することによって流動性のある液体に再び変えられ得る。
【0101】
本発明の別の実施態様では、組織充填装置がシース及び一定容積の内部フォームを含む。この実施形態では、フォーム構造自体がスリーブから充填剤が逃げるのを防止するように作用するので、弁を必要としなくてもよい。このフォームは、オープンまたはクローズドセル構成を有する構造であり得る。一実施形態では、フォームは高度に屈従性のクローズドセルエラストマーであり、シースは上で留意した材料の1つである。フォームは生体適合性のポリウレタンでよい。シースは、フォームの外側に接着されるePTFEでよい。使用に際して、組織充填材料は、直接的にまたは先に説明した引通し縫合(pull through sewing)方法によって組織の中に配置される。組織充填装置には、一旦定位置に置かれると、皮膚の表面からのような、充填されるべき組織の外部の一以上の部位から、水、生理的食塩水、シリコーン、ヒドロゲル、または流体担体内部の固体もしくはゲル粒子もしくはフィラメントの組合せを含めて上で説明された充填剤材料のいずれかのような、流体が注入される。好ましくは、25〜32ゲージのハイポチューブまたは針のような、細い中空構造を使用して充填剤材料を注入する。これは、クローズドセルフォームが、注入領域内に充填剤が充填されるときに組織充填装置の局部的拡大をもたらす。増強部の形状を特注するために、組織充填装置に沿って追加的な部位が注入される。過剰な充填剤が領域内に注入された場合には、充填剤は、縮小される必要がある領域に再進入し、次いで充填剤を抜き取ることによって除去され得る。縮小される必要がある領域内にハイポチューブまたは針を進入させることは、この領域が充填された同じ経路を経由することが可能であるし、あるいは充填軸に対して概ね垂直に皮膚を貫通するような別の通路が取られてもよい。従って、一実施形態では、本明細書に説明される実施形態のいずれかに係る装置は、所望の形状もしくは輪郭を実現するために選択的に膨張させられるか、または収縮させられる。別法として、処置中にまたは望ましい事後の任意の時点で、追加的な充填剤材料が補充され得る。
【0102】
従って、一実施形態では、充填剤材料が、(本明細書で説明される実施形態のいずれかに従って)移植処置中に、また随意選択的には移植に引き続いて、装置の中に少なくとも1回追加される。別の実施形態では、本装置が、組織の中へ挿入された後で、少なくとも一部が2回以上膨張させられるように適合され、それによって長期にわたって調整可能な装置となる。一実施形態では、本装置が、1回の処置でまたは同じ日に移植されかつ膨張させられ(例えば、充填され)、別の日に更に膨張させられる(例えば、充填される)。これらの実施形態は、それらが被移植者に増強部の輪郭及び外見を微調整する余地(ability)を与えるので特に有利である。
【0103】
従ってフォーム本体は、選択された充填剤材料及び充填された組織の所望の感触に応じて、インプラントの内部容積を100から1,000,000に達する隔室に分割する多数のセルを有するセルフォームマトリックス(cellular foam matrix)から形成される。セルフォーム材料は熱硬化性または熱可塑性重合体でもよい。好ましくは、セルフォーム材料はエラストマー的特質を有するが、しかし非エラストマー重合体フォームであってもよい。フォーム本体の形状は、インプラントの基本的な形状範囲に影響を与えるが、多くの皺取り用途では、膨張前形状で、その平均的な膨張前断面積の少なくとも約5倍、しばしば少なくとも約20倍の長さを有する細長い本体である。フォーム本体を形成するために選択される特定の一以上の材料は、少なくとも1つには、模擬されるべき組織の密度または硬さに依存する。
【0104】
いくつかの実施態様では、フォーム本体は「オープンセル」構造を有し得るが、これらのセルは流体充填剤のセル間連通を許容する通路によって互いに相互連結されている。セル20を相互連結する通路は、流体のセル間流動を可能にし、それは外圧によってインプラントが局部的に変形されるときに液圧緩衝作用効果を創出し得る。セル間流体連通によって創出される液圧緩衝作用効果は、インプラントに本物のような形状及び組織同様の整合性を付与する助けとなり得る。体温における充填剤の粘度は、外圧が存在しないときにセル間の過剰な自由流動を阻害するように通路サイズに関連することが好ましい。
【0105】
フォーム本体は全体を通して均一なセル密度を有してもよいし、または1つもしくは複数の領域全体を通して変化するセル密度、すなわち、セル密度傾斜を有していてもよい。セル密度傾斜を有する一以上の領域30、32を含む実施形態の場合には、これらの領域30、32は異なる平均セル密度を有することになる。領域の平均セル密度は、外圧に対するインプラントの応答に影響を与えるために充填剤の粘度と協働するように選択され得る。
【0106】
別の実施形態では、オープンセル構造が、より目の粗いクローズドセル構造の内部に配置されており、このオープンセルフォームは、被充填領域の輪郭を変化させるために、複数の領域に隔室化されて、充填剤が所与の領域内に留まるように、かつ個々の領域が別々に充填され得るようになっている。一実施形態では、本明細書に説明される実施形態のいずれかに係る装置は、被充填領域の輪郭を変化させるために、隔室化されかつ別々に充填されるようになっている。いくつかの実施形態では、特定の形状もしくは輪郭を実現または変更するために、一定の隔室が充填されずにまたは完全に充填されずに残され、後日充填されてもよい。
【0107】
充填されるフォーム用のスリーブの実施形態は、先に識別された材料のいずれかを含むばかりでなく、直鎖脂肪族ポリエーテルウレタン、直鎖脂肪族ポリエステルウレタン、環式脂肪族ポリエーテルウレタン、環式脂肪族ポリエステルウレタン、芳香族ポリエーテルウレタン、芳香族ポリエステルウレタン、ポリブチレン、ポリプロピレン、架橋オレフィン族エラストマー、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、または標準乳房エックス線撮像もしくは他の撮像プロトコル及び強度下で実質的に放射線透過性である他の任意の生体適合性材料を含んでもよい。流体充填剤は、生体適合性のトリグリセリド、血清、生理的食塩水溶液、または標準乳房エックス線撮像プロトコル及び強度下で実質的に放射線透過性である別の生体適合性材料を含んでもよい。
【0108】
フォーム本体も標準乳房エックス線撮像または他の撮像プロトコル及び強度下で実質的に放射線透過性である材料から作製されてもよい。フォーム本体は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、及びポリテトラフルオロエチレン、または標準乳房エックス線撮像もしくは他の撮像プロトコル及び強度下で実質的に放射線透過性である他の任意の生体適合性材料でよい。
【0109】
本明細書に開示されるスリーブのいずれかの全体もしくは一部には、その外側にまたは内側に被覆が施され得る。生体適合性物質に被覆を施す方法が当業ではよく知られている。例えば、特許文献8、特許文献9及び特許文献10を参照されたい。ハイドロゲルの形成及びそれによる被覆が特許文献11に開示されている。シースが組織に対して移動するのを阻害するために、望ましければフィブロネクチンまたはビトロネクチンまたはラミニンのような、シースを粘着性にする被覆が使用され得る。シースがX線または蛍光透視鏡撮像によって視認可能であることが望ましければ、トリアゾーテ、バリウム塩、またはタンタルのような放射線不透過性の被覆がシース表面に使用され得る。
【0110】
臨床用途で必要とされるように、生物活性または治療効果を有する被覆も施され得る。例えば、線維芽細胞成長因子のような成長因子、線維症の量を低減するコルチコステロイドのような抗炎症剤、インプラント表面の感染の危険性を低減する抗生物質、及び痛みを軽減するリドカイン、プロカイン、マルカインのような麻酔薬。線維芽細胞の増殖を調節するために、TNP−470、すなわち、強力な血管新生阻害剤が、被覆または共注入物(co-injectate)としての役目をし得る。別法として、組織に対する組織インプラント装置の動きを抑制するために、エシコン/ジョンソンアンドジョンソンインク社(Ethicon/Johnson and Johnson, Inc.)から入手可能なダーマボンド(Dermabond(商標))、またはフォカルインク社(Focal, Inc.)から入手可能なフォーカルシール(Focalseal(商標))のような組織接着材によってシースが被覆されることが望まれ得る。これは、相対的な動きが適切な治癒及び組織に対する装置の固定を阻害する可能性があり、それは最終的に糜爛をもたらす恐れがあるので重要である。一実施形態では、シースが、線維細胞成長因子1(FGF1:fibroblast growth factor 1)及びヘパリンを含有するフィブリングルーによって被覆された延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene)から形成される。
【0111】
一般に、シースを充填する手段は、充填時にシース内部に配置されるように適合された一以上の実質的に管状の構造によって設けられ、かつシースが所望の容積まで充填された後で除去可能である。一実施形態では、この充填剤管は、その除去後にシース中に戻され得る。充填剤管には、針、屈従性もしくは非屈従性管、ステンレス鋼、ニチノール、またはインプラントの構造及び所望の充填プロトコルの観点で適切な多様な材料のいずれかから成る金属ハイポチューブを含めて、必要に応じて多様な管状構造が含まれ得る。この管は、臨床上の必要性及び充填されるべきスリーブの形状に応じて、円形、楕円形、偏平形を含む多様な断面外形を有してもよい。
【0112】
一実施形態では、組織充填装置は次のように形成されかつ使用される。シースは近位端及び遠位端を有する。近位端及び遠位端を有する案内レールが、その遠位端がシースの遠位端を越えて延び、次いでシースを通りかつその内部に遠位端から近位端にかけて延在し、次いで案内レールの近位端が、シースの近位端に近接するようにシースの近位端から出現するようになっている。案内レールは、小さい直径、好ましくは0.1〜1.0mmであり、吸収性もしくは非吸収性縫合糸のような任意適切な線状材料、ステンレス鋼もしくはニチノールのような金属、または充填剤管が案内レールの上を伝って滑動しかつシースの内部に滑入し得るように適合された任意の材料もしくは材料の組合せを含み得る。案内レールには、その潤滑性を高めるためにハイドロゲル、シリコーン、ePTFE、またはPTFEのような材料によって被覆されてもよい。
【0113】
組織充填装置を移植する縫通し方法は次の通りである。縫合針が、当業でよく知られているいくつかの方法のいずれかを使用して案内レールの遠位端に付着される。この縫合針は直線的でもまたは湾曲していてもよく、小さい直径、好ましくは0.1〜1.0mmであり得る。案内レールがスリーブの遠位端に係合する箇所では、スリーブは、充填剤材料がスリーブの遠位端から逃げることができないように案内レールに実質的に接合される。その場合に、案内レールはスリーブに付着されていない状態に留まる。充填剤管及び付随の注射器は、充填剤管がスリーブの中に配置され、かつスリーブが充填された後にそこから除去されるために、案内レールの上を伝って進むようになっている。
【0114】
使用に際して、外科医は、充填しようとする通路の長さを計測し、スリーブのようなキットから適切な長さのスリーブ組立体を選択する。縫合針は、外科医によって増強しようとする通路に沿って皮膚の中へ配置され、スリーブの遠位端が皮膚から出現する前に止め、スリーブの近位端が組織の内部にあるかに注意する。それが内部になければ、スリーブは、遠位端から最後まで組織を引き通され、従ってそれを完全に組織から取り除くことができる。この場合に、外科医は、異なる長さのスリーブを選択してもよいし、またはスリーブ全体が最終的に組織の内部に位置するように、縫合針を使って組織のより近位の箇所に進入することを選択してもよい。外科医は、針を所望の通路に沿って案内するために、手で組織に牽引力を掛けてもよい。充填剤管は、充填剤管の遠位端が、スリーブの遠位端にまたはその付近に配置されるまで、案内レールに沿ってスリーブの内部の中へ前送りされる。充填剤材料を有する注射器が、案内レール上を伝って滑動され、充填剤管の近位端に付着される。次いで、外科医は充填剤材料を充填剤管の中へ、更にそこからスリーブの中へ射出する。外科医は、適切な組織増強外形が実現されるまで、充填剤管をスリーブの長さに沿って引き抜くことができる。次いで、案内レールに沿ってスリーブから引き抜かれ、スリーブ近位端にある弁の閉鎖を可能にする。更に増強することが望ましければ、充填剤管は再び案内レール上を伝って送られ、弁を通ってスリーブの中へ進入し、そこで充填剤材料が更に堆積され得る。所望量の充填剤材料がスリーブの内部にあるとき、充填剤管は取り除かれ、かつ案内レールはスリーブの近位端及び遠位端で皮膚と面一に切断される。スリーブ内部の案内レールの当該部分は、遠位端及び近位端の切断後、そこに留まる。
【0115】
別法の実施形態では、1本または複数のステー縫合糸(stay sutures)もスリーブの近位端に付着され得る。使用に際して、このステー縫合糸は、スリーブの近位端から延びて組織の外部面の外に達する。次いで、外科医は、充填剤管が前送りされるときに対抗力を与えるために、これらのステー縫合糸を掴むことができる。更には、最適な位置決めを実現するために、組織充填装置を組織の内部で前後に移動させるために、外科医は、ステー縫合糸と、遠位縫合糸、すなわち、遠位ステー縫合糸(そのようなものが設けられている場合には)とを掴むことができる。所望量の充填剤材料がスリーブの内部にあるとき、案内レールは、スリーブの近位端及び遠位端で皮膚と面一に切断され、ステー縫合糸は、同様に近位端で皮膚に近接して切断される。ステー及び案内縫合糸は、理想的には当業でよく知られている生体再吸収性材料である。
【0116】
一実施形態では、組織増強装置を位置決めする把持手段が、上で説明したように、縫合糸を含む。他の種類の把持手段も本発明のいくつかの実施形態に従って使用され得る。別の実施形態では、把持手段が1つもしくは複数のつまみまたは平坦域を含む。一実施形態では、把持するために手術者に非膨張可能域を与えるために、少なくとも1つの膜の一部が平坦化される。このような実施形態の1つの利点は、それが、膨張可能部分との直接接触を最小限にすることによって、増強装置の膨張可能部分に対する損傷(刺し傷のような)の恐れを低減し得ることである。一実施形態では、平坦化された部分またはつまみは、グルーまたは別の接着剤を使用して封止される一以上の層を含む。一実施形態では、平坦化された部分またはつまみは、増強装置の膜の少なくとも1つと同じ材料から作製される。別の実施形態では、平坦化された部分またはつまみは、増強装置の膜とは異なる材料から作製される。平坦化された部分またはつまみは、手術者によって把持するのに適切な任意の形状から作製され得る。いくつかの実施形態では、組織増強装置が単一のつまみを含む。他の実施形態では、組織増強装置が2つのつまみを含む。更に他の実施形態では、3つ以上のつまみが設けられる。つまみは、手術者によって把持しやすい任意の箇所に配置されてもよい。好ましい実施形態では、つまみは増強装置の近位端及び/または遠位端に配置される。
【0117】
別法の実施形態及び使用方法では、組織充填装置が、外部針またはカニューレを使用して、増強されるべき組織の中に移植される。この針は近位端及び遠位端を有し、内腔が一端から他端まで延びる。一実施形態では、この針は14〜20ゲージである。従って、一実施形態では、本明細書に説明される実施形態のいずれかに従って移植されるべき装置(例えば、その第1の形態または非膨張状態にある装置)が、14〜20ゲージ針または他の管状進入導管に通して収まるようにサイズ決めされる。14〜20ゲージ管状進入導管は、約0.083インチの外径及び約0.063インチの内径(14ゲージ)を有する管状進入導管から、約0.0355インチの外径及び約0.024インチの内径(20ゲージ)を有する管状進入導管までということになる。従って、移植されるべき装置は、いくつかの実施形態では、約0.61mm(約0.024インチ)から約1.6mm(約0.063インチ)の範囲内にある移植前直径を有する。一実施形態では、移植前または膨張前の装置が約1.6mm未満の直径を有する。別の実施形態では、移植前または膨張前の装置が約1.6mmよりも大きな直径を有する。これら後者の実施形態は、14〜20ゲージの進入導管に通して送達される必要はない。
【0118】
一実施形態では、スリーブ組立体が、折畳み式スリーブ、弁、及び上で説明した充填剤管を含む。随意選択的には、中心案内レールが与えられてもよい。スリーブ組立体は、このスリーブ組立体の遠位端が針内腔の遠位端に近接して終わるように、針内腔の内部に収容される。充填剤管は、スリーブを貫通して針の近位端に出現し、次いで充填剤材料を収容する注射器に連結される。中心案内レールが設けられている場合には、充填剤管は前記レールの上を伝って進むようになっている。充填剤材料は、先に説明されたそれらのいずれかであり得る。一実施形態では、ステー縫合糸が、スリーブの近位端に付着されて設けられ、針の近位端を通って出現する。使用に際して、外科医は、近位に配置された進入部位から、増強されるべき組織中の通路に沿って針を前送りする。外科医は、針を所望の通路に沿って案内するために、手で組織に牽引力を掛けてもよい。充填剤管は、スリーブ内部で、このように設けられる案内レールに沿って、充填剤管の遠位端がスリーブの遠位端にまたはその付近に配置されるまで前送りされる。針は、組織に通して前送りされ、次いで遠位に配置された出口部位で皮膚から出現してもよいし、または針の前送りが、出口部位を設けずに組織内部で止まってもよい。どちらの場合でも、一旦、針が所望の位置に来ると、折畳み式スリーブを定位置に維持するために、充填剤管に対して前向きの張力が掛けられ、他方では針が組織から近位に後退させられる。次いで、外科医は、充填剤材料を充填剤管の中へ、更にそこからスリーブの中へ射出する。外科医は、適切な組織増強外形が実現されるまでスリーブの長さに沿って充填剤管を引き抜くことが可能であり、更に必要であれば、充填剤管を遠位に再び前送りしてもよい。次いで、充填剤管はスリーブから取り出され、スリーブ近位端にある弁の閉鎖を可能にする。更に増強することが望ましければ、充填剤管が弁を介してスリーブの中へ、案内レールが設けられていればその上を伝って、再び送られてもよく、そこで充填剤材料が更に堆積され得る。所望量の充填剤材料がスリーブの内部にあるとき、充填剤管が取り出され、案内レール及びステー縫合糸がいずれもスリーブの近位端及び遠位端で皮膚と面一に切断される。
【0119】
一実施形態では、スリーブは、上で設けられた弁及び充填剤管組立体によって、「キューピッドの弓」状の上唇の形状を取り得る。このような上唇形状のスリーブはまた、第1の、すなわち、折り畳んだ状態から、膨張した状態に構成可能である。このような上唇形状のスリーブは、縫通し方法(sew-through method)または上で説明した外部針方法を使用して組織内部に配置されてもよい。この実施形態では、スリーブは、長さが概ね3から6cm、幅が1から6mm、更に深さが1から3mmである。上縁は、唇の上赤唇境界に一致するように平らな「M字」構成を有する。スリーブは、2枚の、上で説明された生体適合性材料のいずれか、好ましくはePTFEから形成可能であり、それらの縁部に沿って熱凝固性(thermal cintering)の接着剤などによって相互に付着される。
【0120】
別の実施形態では、スリーブは、頬骨窩を高くするために頬の中に配置されるように適合される。この実施形態では、その形状及び寸法が、イナメド社(Inamed)の一事業部であるマクガーンメディカルコーポレーション社(McGhan Medical Corporation)から入手可能なシリコーンインプラントに関して説明されたように当業ではよく知られている。1つの好ましい実施形態では、スリーブが、その膨張させられた状態にあるとき、長さ4〜6cm、幅3〜4cm、及びスリーブの中心で厚さ0.3〜1.5cmであり、厚さが縁部に向かって先細りするように、スリーブは卵形であり、それらの縁部で一体に凝固された2枚のePTFEから形成される。
【0121】
一実施形態では、本装置は、被充填領域の輪郭を変化させるために、隔室化され、更にこれらの隔室が別々に充填されるようになっている。いくつかの実施形態では、一定の隔室が充填されないかまたは完全に充填されずに残され、特定の輪郭を実現し、またはそれを変更するために後日充填されてもよい。一実施形態では、本装置が2つ以上の隔室(例えば、3、4、5、5〜10、10〜20、または20を超える隔室)を有する。下で更に詳細に説明されるように、これらの隔室は、一以上の内部隔壁によって分割され得る。これらの内部隔壁は、充填剤を注入するために穿通可能であり、充填管が取り出された後で再封止可能である。別法として、各隔室(これらは内部隔壁によって他の隔室から分離されていても、または分離されていなくてもよい)が外部から進入され得る。従って、その外部は、一以上の隔室に充填剤を供給するために穿通され得るが、その場合には充填管が取り出された後で再封止される(外部から介入されても、または介入されなくても)。このような様態で、手術者は異なる隔室の一部または全部を選択的に充填することができる。隔室は任意のサイズまたは形状(例えば、正方形、長方形、円形、卵形、細長い形、三角形、無定形など)であり得る。一実施形態では、隔室が実質的に平坦である。従って、一実施形態では、頬(または他の適切な部位)の中へ移植する本装置は3mm未満の幅を有する。他の実施形態では、厚さが、上で説明されたように、約3〜15mmの範囲内にある。更に他の実施形態では、厚さが15mmよりも大きい。
【0122】
本発明の別の実施形態では、概ねシート状構造を備える組織増強装置が設けられており、この構造は、本装置中に多チャンバを形成するように、内部が一体に接合された対向するシートまたは壁によって形成される。これらのチャンバは、本装置が所望の全体輪郭に形作られることを可能にするように、完全にまたは部分的に、選択的に充填可能である。これらの壁は、充填手段を任意のチャンバから引き抜いたときに、当該チャンバが充填剤をその中に保持するために自己封止されるように、自己封止材料を含む。望ましければ、本装置の輪郭は、一以上のチャンバの充填後にそこから充填剤を抽出することによってさえも変更され得る。
【0123】
好ましくは、この実施形態では、本装置は、このように周囲周りが閉じ合わされた自己封止材料の1対のシートを含む。このような密閉は、熱または化学的接着などによって、任意適切な手段によって実現され得る。更に好ましくは、これらのシートは、多チャンバまたは多隔室を形成するように任意所望のパターンで同様に一体に接着される。
【0124】
好ましい実施形態では、このシート装置の対向する壁のそれぞれまたは両方が、複数の層の積層材から形成されてもよい。
【0125】
例えば針または注射器に対して自己封止式のいくつかの適切な材料が、当業ではよく知られている。この実施形態では、シートまたは自己封止材料は、好ましくはePTFE及び/またはポリウレタンから作製される。
【0126】
関連する実施形態では、内部に複数のチャンバを形成するために内壁を接着することによって一体に接合された、対向する実質的に平面的な壁を含む概ねシート状のまたは実質的に平面的な構造を含む組織増強装置が設けられている。好ましくは、この実施形態が上で説明された特徴を有する。より好ましくは、特定の用途のために外科医によって必要とされるよりも概ね多くの数量にある複数の内部チャンバを含む。この実施形態では、外科医は、特定の用途のためにチャンバの所望の形状及び数を形成するように、チャンバ間を切断することができる。
【0127】
シートまたは平面的なチャンバ化された実施形態は、顔面再建術及び同様の手術に特に適切である。
【0128】
別の実施形態では、頬の中に配置されるように適合されたスリーブが、上で説明された寸法を有するが、追加的に、直径が約0.003インチから約0.030インチの1本のニチノール線またはリボンをその超弾性状態で含み、それは、FEPまたはポリエチレンのような熱可塑性接着剤を使用して、スリーブを形成するePTFEシート間でスリーブの周囲に沿って縁の内部に固着される。このような実施形態では、スリーブは、ニチノールの形状記憶特性によって、その第1の構成からその第2の構成まで膨張し、更に第2の構成でその形状を維持することを補助される。
【0129】
同様の様態で、鼻梁、顎、目の下部域、乳房、または臨床上必要とされる任意の解剖学的部位における組織増強インプラントとして使用されるように適合されたサイズ及び形状にあるスリーブの他の実施形態が、ニチノール枠組構造の支持体がなくてもまたはあっても、上で説明された様態で構成され得る。
【0130】
図1〜12を参照して、本発明のいくつかの特定の実施態様が説明される。図1を参照すると、本発明の一態様に係る組織増強インプラントが模式的に例示されている。このインプラントは、近位端12及び遠位端14を有するスリーブ10を含む。スリーブ10は、単一のもしくは複数の大きな隔室を有する空虚なスリーブでもよいし、または本明細書の他の箇所で開示されたオープンセルもしくはクローズドセルフォームの外表面であってもよい。
【0131】
スリーブ10は、本実施形態では中心空洞18を画定する本体16を含む。本体16には遠位穴20が追加的に設けられ、それは、近位穴22とこれらの間に延びる内腔を介して連通している。例示された実施形態では、遠位穴20は本体16の遠位端にあり、近位穴22は本体16の近位端にある。しかし、どちらの穴も、所望の結果及び他の設計上の配慮に応じて、本体16の長さに沿ってそれぞれの端から離間されて位置決めされてもよい。複数の穴が望ましい場合もある。
【0132】
例示された実施形態では、遠位穴20及び近位穴22は、本体16がガイドワイヤ24に沿って滑動自在に前送りされることを可能にするために、ガイドワイヤ進入口としての役目をする。
【0133】
例示された穴20及び22は、中心空洞18を介して相互に連通している。しかし、ガイドワイヤ内腔を充填剤媒体から隔離することが望ましい場合には、別体の内腔がスリーブ壁を貫通してまたはスリーブの外側に設けられてもよい。
【0134】
本明細書で論じられたように、本体16は、所望の処置部位に位置決めするためのような縮小した断面形状から、所望の美容結果をもたらすための拡大した断面形状へ変形可能である。図2に模式的に例示された一実施形態では、本体16が、中心空洞18に多様な望ましい充填剤材料30のいずれかを充填することによって拡大した断面形状に変形される。充填剤管26が、中心空洞18の所望の部分の内部で充填口28を位置決めするために、ガイドワイヤ24に沿って前送りされる。充填管26の近位端(例示せず)が、充填剤媒体の性質に応じて、皮下針注射器または他の容器のような充填剤媒体源に連結される。適切な充填剤材料が本明細書の他の箇所で開示されており、充填剤管の性質は、本明細書の開示を検討すれば当業者には明白であるように、充填剤の性質を考慮して変更されてもよい。
【0135】
充填剤管26は、スリーブ10の長さ全体にわたって遠位端14の近傍の中へ前送りされ得る。充填剤30は、近位制御装置上の充填制御装置(例示せず)の作動によって充填口28を介して配置され得る。充填剤管26は、充填剤30をスリーブの長さに沿って異なる位置に導入するために、スリーブ10に通して軸方向へ近位に後退させられ得る。所望の結果を実現するために充填剤30の十分な量及び所望の分布がスリーブ10に導入されたら、充填剤管26は、遠位端12から近位へ後退させられて患者から取り出され得る。図3を参照されたい。近位端12には、本明細書で説明されたように、充填剤管26を取り出し、更に充填剤媒体30をスリーブ10の内部に保持することを可能にするために弁32が設けられ得る。ガイドワイヤ24もその後でスリーブ10から近位へ引き抜かれ得るが、それによって充填されたインプラントを所望の処置部位の定位置に残す。
【0136】
いくつかの用途では、スリーブ10が、非均一外形に充填可能であることが好ましい。これは、十分な粘性を有するか、または充填剤がスリーブ10内部の局在化された位置に留まる構造的特徴(例えば、ワイヤコイル)を有する充填剤と一緒に、図1〜3の実施形態を利用して遂行され得る。別法として、図4を参照すると、本発明のセグメント化された実施形態が例示されている。スリーブ10は複数のセグメント34に分割され、それらは複数の首部分36によって分離されている。充填管26の充填剤口28は、各セグメント34が独自の断面寸法に膨張させられることを可能にするために、セグメント34のそれぞれの内部に順次に位置決めされ得る。このような様態で、インプラントの断面寸法が、所望の美容結果を実現するために所望通りにインプラント長さに沿って特注され得る。
【0137】
首部分36は、スリーブ10を熱成形することによって、または首部分36周りにバンドのような多様な構造のいずれかを配置することによってなど、多様な方式のいずれかで形成されてもよい。図5を参照すると、セグメント化されたインプラントが、セグメント34内部の定位置に充填剤管26が配置された状態で例示されている。隣接するセグメント34が、環状弾性バンドまたはガスケットのような狭窄体37によって分離されている。狭窄体37は、充填剤管26の通過を許容するのに十分な弾性を有するが、充填剤管26の取出しに続いて隣接セグメント34間の通路を実質的に閉鎖状態で閉じるように跳ね戻る。従って、狭窄体37は、隣接するセグメント34間の流れを制限かつ制御するか、または隣接するセグメント34間の充填剤30の流れを完全に阻止するように構成され得る。
【0138】
首部分36における狭窄体37の性質は、本明細書の開示を検討すれば当業者によって理解されるように、充填剤30の性質と協働するように構成される。例えば、狭窄体37は、充填剤30が複数のコイル、繊維、または特定の材料を含んでいれば、厳密な封止を設ける必要がない。しかし、生理的食塩水のような、より粘性が小さいかまたはより流動性が大きい充填剤30が利用される場合には、隣接するセグメント34間における充填剤30の流れを防止することが望ましければ、狭窄体37はセグメント34間に封止体を設けるように構成されるべきである。これらのパラメータの最適化は、移植された装置の所望の臨床上の性能を考慮して、当業者によって日頃の経験を通じて実現され得る。
【0139】
図6を参照すると、複数の内部邪魔板40を有するスリーブが開示されている。邪魔板40は、必ずしもインプラントの外部形状に影響を与えることなく、スリーブ10の内部空洞18を複数のチャンバまたは隔室38に分割する働きをする。狭窄体37と同様に、邪魔板40は、前送り及び後退させられるべき充填剤管が各隔室38に達することを可能にし、次いで所望の臨床上の性能に応じて、隣接する隔室間における充填剤30の流動を防止または実質的に防止することを可能にする。他の別法として、邪魔板40または弁が穿通可能な隔壁の形態にあってもよく、それは充填管26の通過は許容するが、それは充填剤管26の取出しに続いて完全にまたは実質的に再封止する。別法として、各チャンバまたは隔室(これらは内部隔壁によって他の隔室から分離されていても、または分離されていなくてもよい)が、外部から進入され得る。従って、内部は、充填剤を隔室の1つに供給するために穿通可能であり、次に充填管が取り出された後で再封止される(外部からの介入がなくてもまたはあっても)。このような様態で、手術者が、所望の外形または輪郭を実現するために異なる隔室の一部または全部を選択的に充填することができる。
【0140】
図7を参照すると、充填剤管26の一実施形態が更に詳細に例示されている。充填剤管26は、近位端50、遠位端52、及びこれらの間に延びる細長い管状本体54を含む。管状本体54は、所望の性能に応じて、柔軟性があってもまたは剛性があってもよい。管状本体54は、金属構成要素(例えば、ステンレス鋼ハイポチューブ)から機械加工することによって、または、とりわけ、PEEK、PEBAX、様々な密度のポリエチレンのような、カテーテル技術分野ではよく知られている多様な重合体材料のいずれかを押出加工することによってなど、多様な方式のいずれかで形成されてもよい。
【0141】
管状本体54は、それに通してガイドワイヤまたは案内レール24を受け入れるための少なくとも1つの中心内腔を含む。ガイドワイヤ内腔は、近位多岐管56のガイドワイヤ進入口58と連通している。近位多岐管56には充填剤口60が更に設けられ、それは、充填剤30の供給源62に着脱自在に連結するためのルアーコネクタまたは他の簡易脱着ハブでよい。1つの簡便な実施形態では、供給源62が手駆動可能な注射器の形態である。
【0142】
管状本体54は、カテーテル技術分野ではよく知られている同心または横並び内腔を有する二重内腔構造として設けられてもよい。別法として、充填剤30の性質に応じて、案内レール24が、本明細書の開示を検討すれば当業者によって十分に理解されるように、同じ内腔を貫通してもよい。
【0143】
充填剤管26は、充填剤30をスリーブ10の中へ導入するための単一の流出口28を有するものとして例示されているけれども、複数の充填剤口28が設けられてもよい。更には、充填剤口28は案内レール24が貫通する遠位開口と同じでもよい。多流出口28を有する実施形態では、複数の口が、管状本体54周りに単一の横断平面内の周方向に配置されてもよいし、または多隔室38を同時に充填することが望ましい処置で使用するためのように、管状本体54の長さに沿って軸方向に離間されてもよい。
【0144】
本発明の他の実施態様が図8に例示されている。模式的に例示されたスリーブ10は近位端12から遠位端14まで延びる。このスリーブは、本明細書の他の箇所で論じられたように、外部繊維スリーブまたはフォームのセグメントの外表面を含み得る柔軟な本体16を含む。例示された実施形態では、本体16は、近位穴22を有する少なくとも1つの中心空洞18を画定する。近位穴22には、充填剤材料30の導入及び充填剤管26の取出しに続いて中心空洞18を封止するために弁32が設けられる。
【0145】
図8に例示されている本発明の実施態様では、スリーブ10の遠位端14には閉鎖端が設けられる。近位端72から遠位端74まで延びる遠位縫合糸70が、スリーブ10の閉鎖端14に付着される。別法の実施形態では、遠位端14には、所望の充填構成に応じて、弁を有してもまたは有していなくても、開放進入口が設けられてもよい。縫合糸70も、所望の性能に応じて、スリーブ10の長さ全体を貫通して、スリーブ10の近位端12から近位へ延びてもよい。
【0146】
例示された実施形態では、遠位縫合糸70が、スリーブ10の遠位端14から、縫合糸70の遠位端74に付着された針76まで延びる。針76は、本明細書の開示を検討すれば当業者には明白であるように、多様な縫合針のいずれかを含み得る。
【0147】
図9は、図8の実施形態の使用を模式的に例示する。針76は、第1の進入点75から皮膚73の中へ導入される。この針は、処置されるべき領域下方へ経皮的に前送りされる。針76は、その後で出口点77で皮膚の表面を抜けて前送りされる。針76及び縫合糸70を更に牽引すると、管状スリーブ10を入口点75に通して、処置されるべき皮膚の領域下方の定位置へ引っ張る。一旦、スリーブ10が所望の位置に来ると、充填剤材料30が供給源から中心空洞18の中へ前送りされる。所望量の充填剤材料30の導入に続いて、充填剤管26がスリーブ10から近位へ引き抜かれ、遠位縫合糸70は皮膚表面でまたはその下方で切断される。
【0148】
図10及び11を参照すると、図8及び9の実施形態と同様の実施形態が例示されており、近位ステー縫合糸78の追加的な特徴を有する。近位ステー縫合糸78は、弁32の近傍でスリーブ10に付着されてもよいし、または遠位縫合糸70と一続きの縫合糸であり、本体16の外側もしくは内側に沿って延びてもよい。
【0149】
使用に際して、近位ステー縫合糸78及び遠位縫合糸70は、充填剤材料30を中心空洞18の中へ導入する前に、その間に、またはそれに続いて、位置決めを最適化するために、スリーブ10をその軸に沿って操作するのに使用され得る。
【0150】
外部導入針の使用の模式図が図12に例示されている。本文脈では、「針」という用語の使用は、インプラントの経皮挿入のために進入路を設けるのに必要である以外に、何ら特定の構造的寸法を暗示しようとするものではない。導入針の実際の寸法は、当業者には明白であるように、インプラント及び充填剤管の構成に合わせて最適化されるか、またはそれによって画定されるものである。
【0151】
配置針82が、近位端84と遠位端86との間に延びる細長い管状本体83を備える。管状本体83は、それを貫通する細長い中心内腔88を含む。管状本体83は、企図される臨床上の用途に応じて、多様な形態のいずれかを含み得る。例えば、管状本体83は、直線的な、湾曲した、または柔軟な構成を含んでもよい。典型的には、遠位端86には、柔軟組織を通って容易に前進するように傾斜したまたは他の先鋭化された先端が設けられる。管状本体83の直径に応じて、管状本体83を所望の処置部位の中に容易に位置決めするために、別体の栓塞子の先端が管状本体83の内部に位置決めされてもよい。この栓塞子はその後で取出し可能であり、スリーブ10は管内部の定位置に前送りされる。
【0152】
図12に模式的に例示された実施形態では、管83は充填剤管26の近位ハブ90を収容するのに十分な内側直径を有する。これは、配置針82が、処置部位での配置に続いて、スリーブ10と充填剤管26との組立体の上を伝って近位へ後退させられることを可能にする。別法として、配置針82は、出口点77から遠位方向へ引き出されるように構成され得る(図9参照)。従って、所望の臨床実践に応じて、配置針82は、近位へ後退させられてもよいし、または遠位へ前送りされてスリーブ10から出されてもよい。別法の構成では、配置針82は、剥離シース(peel-away sheath)の形態であってもよく、それは近位ハブ90を収容するのに十分な内側直径の必要もなく、近位へ取り出され得る。本明細書の開示を検討すれば当業者には明白であるように、配置針82に多様な構成のいずれかを利用してもよい。
【0153】
図13Aから13Dまでを参照すると、本発明に係る組織増強装置のための一連の製造順序が例示されている。13Aは、近位端102と遠位端104との間に延びる管状スリーブ100を例示する。それを貫通して中心内腔106が延びる。管状スリーブ100は、ePTFE及び本明細書の他の箇所で説明された他の材料のような、多様な材料のいずれかを含み得る。一般に、管状スリーブは、所望の処置部位に適応するのに十分な長さ及び直径を有する。顔面中の皺の処置では、一般に、管状スリーブ100は、約1cmから約6cmまでの範囲内の長さと、約1mmから約8mmまでの範囲内の直径とを有する。管状スリーブ100の壁厚もかなり多様であり得るが、しばしば約0.003インチから約0.020インチまでの範囲内である。
【0154】
図13Bを参照すると、近位弁114を形成する際の第1のステップが例示されている。弾性バンド、縫合糸、バネ押し金属クリップ、または他の固締もしくは付勢部材のような付勢要素108が、近位端102から僅かに離間された首部を創出して管100の後端110を残すように、管状スリーブ100の周りに位置決めされる。付勢要素108は、論じられた所望の充填剤材料を考慮して適切な封止体を設けるために、管100の周りに好ましくは十分緊密に位置決めされる。
【0155】
図13Cで分かるように、次いで管状本体100は、後端110が中心内腔106の内部に位置決めされるように裏返しされる(外転される)。付勢要素108も中心内腔106の内部に位置決めされて、管状本体100の近位端102に弁開口114を現出する。弁開口114は、論じられた充填剤管の導入及び取出しを許容する。
【0156】
図13Dを参照すると、遠位閉鎖端120が管100に形成されている。閉鎖端120は、縛って結び目にされ得る縫合糸118の一以上の輪によってのように、多様な方式のいずれかで設けられてもよい。別法として、多様な接着剤、熱溶接、弾性バンド、クリップ、または弁114を形成するために利用された構造のような他の付勢構造のいずれかが使用されてもよい。例示された実施形態では、閉鎖端120は、縫合糸を管100の遠位端104の周りに緊密に縛ることによって設けられる。縫合糸の後端116が、論じられた位置決め時に助けとなるように縫合糸の結び目に付着されたままで残される。従って、遠位縫合糸116には、処置部位の中へ経皮導入するための縫合針(例示せず)が設けられてもよい。
【0157】
図14を参照すると、図13Dにおけるような組織増強装置が例示されており、随意選択的なガイドワイヤ122が備わっている。ガイドワイヤ122は弁114を貫通して、少なくとも遠位閉鎖端120まで達する。ガイドワイヤ122は、所望の臨床実践に応じて、閉鎖遠位端120に恒久的に付着されてもよいし、または近位へ牽引することなどによって取り出されてもよい。一実施形態では、ガイドワイヤ122は縫合糸の結び目108の内部に固定されて、取り出すことが企図されていない。この実施形態では、インプラントの配置及び充填に続いて、ガイドワイヤ122の近位部分が弁114付近で切断される。ガイドワイヤ122は、縫合糸のような多様なフィラメント、またはステンレス鋼もしくはニチノールのような金属線のいずれかを含んでもよい。論じられたように、ガイドワイヤ122は、このガイドワイヤ122の上を伝って管状スリーブ100の中へ前送りされ得る充填剤管の軸方向の位置直し及び位置決めの助けとなり得る。
【0158】
本発明がいくつかの特定の実施形態に関連して説明されてきたけれども、様々な追加的な実施形態及び説明された実施形態に対する変更が、本発明の範囲内で企図されている。従って、本発明の範囲は、以上の説明によって限定されることが意図されておらず、添付の特許請求の完全な範囲を網羅することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の一実施形態に係る空虚なスリーブを通る模式的な側方立面断面図である。
【図2】一部が膨張したスリーブを通る側方立面断面図である。
【図3】均一な外部形状を有する充填されたスリーブを通る側方立面断面図である。
【図4】各セグメント中の特注充填容積を有するセグメント化されたスリーブを通る側方立面断面図である。
【図5】インプラントの遠位端を通る断面図であり、単一のセグメントを充填するために定位置にある充填剤管を例示する。
【図6】複数の内部邪魔板を有するセグメント化されたスリーブを通る側方立面断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る充填剤管を模式的に示す側方立面図である。
【図8】充填剤管に着脱自在に付着されたインプラントを示す側方立面図である。
【図9】皮膚の下方に位置決めされた、図8のインプラントを示す側方立面模式図である。
【図10】充填剤管に着脱自在に付着されたインプラントを示す側方立面図である。
【図11】皮膚の下方に位置決めされた、図10のインプラントを模式的に示す側方立面図である。
【図12】送達カニューレの内部に位置決めされたインプラントと充填剤管との組立体を模式的に示す側方立面図である。
【図13A】本発明の一実施形態に係る柔軟組織増崇装置のための一連の組立順序を例示する図である。
【図13B】本発明の一実施形態に係る柔軟組織増崇装置のための一連の組立順序を例示する図である。
【図13C】本発明の一実施形態に係る柔軟組織増崇装置のための一連の組立順序を例示する図である。
【図13D】本発明の一実施形態に係る柔軟組織増崇装置のための一連の組立順序を例示する図である。
【図14】追加的にガイドワイヤを示す、図13Dにおけるような増崇装置を例示する図である。
【符号の説明】
【0160】
10,100 スリーブ
12,102 スリーブ近位端
14,104 スリーブ遠位端
16 スリーブ本体
18,106 スリーブ中心空洞
20 スリーブ遠位穴
22 スリーブ近位穴
24,122 ガイドワイヤまたは案内レール
26 充填剤管
28 充填口
30 充填剤
32 弁
34 セグメント
36 首部分
37 狭窄体
38 チャンバまたは隔室
40 邪魔板
50 充填剤管近位端
52 充填剤管遠位端
54 充填剤管管状本体
56 近位多岐管
58 ガイドワイヤ進入口
60 充填剤口
62 充填剤供給源
70 遠位縫合糸
72 遠位縫合糸近位端
73 皮膚
74 遠位縫合糸遠位端
75 第1の進入点
76 針
77 出口点
78 近位ステー縫合糸
82 配置針
83 配置針管状本体
84 配置針近位端
86 配置針遠位端
88 配置針中心内腔
90 近位ハブ
108 付勢要素
110 スリーブ後端
114 近位弁(弁開口)
116 縫合糸後端
120 遠位閉鎖端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植可能な組織増強装置であって、
近位端、遠位端、及び空洞を有する細長い柔軟な管状本体と、
前記近位端の弁付き開口と、
閉鎖遠位端と、
第1の構成及び第2の構成とを備え、前記弁付き開口を介して充填剤を前記空洞の中へ導入することによって前記第1の構成から前記第2の構成に変形可能であることを特徴とする組織増強装置。
【請求項2】
第1の構成及び第2の構成を有する組織増強装置であって、前記第1の構成は、管状進入導管に通して収まるように適合され、前記第2の構成は、組織に組織増強サイズ及び形状で充填するように適合され、前記組織増強装置は、前記管状導管に通して前記装置を前記組織の中へ送達することに続いて、充填剤を前記装置の中へ導入することによって前記第1の構成から前記第2の構成に変形可能であることを特徴とする組織増強装置。
【請求項3】
組織を増強するためのキットであって、
移植のための第1の構成から、増強のための第2の構成に変形可能である細長い柔軟な本体を有する少なくとも1つの組織増強装置と、
前記本体の内部への進入を可能にする充填剤管と、
前記本体を前記第1の構成から前記第2の構成に変形する充填剤とを含むことを特徴とするキット。
【請求項4】
柔軟組織を増強する方法であって、
患者の処置部位を識別するステップと、
該処置部位の下方の前記組織の中へ切開器具を導入するステップと、
該切開器具を使用して組織平面を創出するステップと、
変形可能な組織増強装置を前記組織平面の中へ導入するステップと、
第1の容積を有する第1の収縮した構成から、前記部位にある間の第2の容積を有する第2の拡大した構成に前記組織増強装置を変形するステップとを含み、前記第2の構成は、前記第1の構成よりも少なくとも約5倍大きいことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記本体の内部に進入するために、前記近位端に少なくとも1つの穴を更に含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項6】
前記装置は、該装置が前記組織の中へ送達された後で、充填剤を前記穴に通して前記装置の中へ導入すると、前記第1の構成から前記第2の構成に変形可能であることを特徴とする請求項5に記載の組織増強装置。
【請求項7】
前記装置は、線維組織内殖を促進する材料を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項8】
前記装置は、該装置を所望の部位に位置決め可能にする少なくとも1つの把持手段を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項9】
前記把持手段は、一以上のつまみを含むことを特徴とする請求項8に記載の組織増強装置。
【請求項10】
前記装置は内層及び外層を含み、該外層は、線維組織内殖を促進する多孔性材料を含み、前記内層は、前記本体に柔軟性を追加し、更に前記充填剤材料と接触するエラストマー系材料を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項11】
前記外層はePTFEを含み、前記内層はシリコーン、ポリウレタン、または熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項10に記載の組織増強装置。
【請求項12】
前記充填剤は一以上の流体を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項13】
前記一以上の流体は一以上の液体を含むことを特徴とする請求項12に記載の組織増強装置。
【請求項14】
前記一以上の液体は生理的食塩水を含むことを特徴とする請求項13に記載の組織増強装置。
【請求項15】
前記充填剤は、成形された構成を保持するために、前記充填剤が変形する前に、手で所望の構成に形作られ得る材料を含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項16】
前記組織増強装置は、充填管の通過を許容するが、該充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項17】
前記組織増強装置は、充填管の通過を許容するが、該充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止する一以上の穿通可能な隔壁を含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項18】
前記組織増強装置は、該装置の内部空洞を複数のチャンバまたは隔室に分割する複数の内部邪魔板を含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項19】
前記邪魔板は、充填管の通過を許容するが、該充填管の除去に続いて、完全にまたは実質的に再封止する穿通可能な隔壁を含むことを特徴とする請求項17に記載の組織増強装置。
【請求項20】
前記装置は、被充填領域の輪郭を変更するために別々に充填されるように適合される2つ以上の隔室を含むことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項21】
前記装置は、所望の輪郭を実現するために選択的に膨張または収縮されることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項22】
前記第2の構成は、約1mmから約10mmまでの直径を有することを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項23】
前記装置は、約1cmから約6cmまでの範囲内の長さを有することを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項24】
前記装置は、約1mmから約8mmまでの範囲内の直径を有することを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項25】
前記装置は、約0.003インチから約0.020インチまでの範囲内の壁厚を有することを特徴とする請求項1から24のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項26】
前記装置の前記第1の構成は、約14ゲージから約20ゲージまでの範囲内のゲージを有する管状進入導管に通して収まるように寸法決めされることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項27】
前記装置の前記第1の構成は、約1.6mm未満の直径を有することを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項28】
1本または複数の縫合糸を更に含むことを特徴とする請求項1から27のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項29】
前記組織増強装置は、前記組織の中へ挿入される前に、実質的に未膨張であるように適合されることを特徴とする請求項1から28のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項30】
前記組織増強装置は、前記組織の中へ挿入される前に、部分的に膨張させられるように適合されることを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項31】
充填剤は、移植処置中に、かつ少なくとも1回、移植に引き続いて、前記装置の中へ追加され、それによって長期にわたって調整可能な組織増強装置を設けることを特徴とする請求項1から30のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項32】
前記組織増強装置は、特定の外形を創出するためにセグメントに様々な量の充填剤材料が充填されることを可能にするように、内部がセグメント化されることを特徴とする請求項1から31のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項33】
請求項1から3のいずれかに記載の組織増強装置と、処置部位の下方で組織を分離して、組織平面を創出する切開器具とを含むことを特徴とする増強システム。
【請求項34】
請求項1または3のいずれかに記載の組織増強装置と、管状進入導管とを含むことを特徴とする組織増強システム。
【請求項35】
前記管状進入導管は、針、カニューレ、またはカテーテルを含むことを特徴とする請求項2または34に記載の組織増強システム。
【請求項36】
請求項1に記載の組織増強装置と、前記充填剤を供給する充填管とを含むことを特徴とする請求項1に記載の組織増強システム。
【請求項37】
顔面の傷跡、線、または皺の処置で使用することを特徴とする請求項1から36のいずれか一項に記載の組織増強装置の使用。
【請求項38】
前記組織増強装置は、顔面組織を増強するように適合されることを特徴とする請求項1から37のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項39】
前記組織増強装置は、顔面の皺を伸ばすように適合されることを特徴とする請求項1から38のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項40】
前記組織増強装置は、体または顔面上の線、傷跡、または皺を充填するように適合されることを特徴とする請求項1から39のいずれか一項に記載の組織増強装置。
【請求項41】
使用者が所望のサイズを選択することを可能にするように、複数の前記組織増強装置が、複数の様々なサイズで提供されることを特徴とする請求項1から40のいずれか一項に記載の複数の組織増強装置。
【請求項42】
前記組織増強装置の少なくとも1つが、0.5mmから2mm、1.5mmから5mm、2mmから6mm、または2mmから8mmの膨張直径を有することを特徴とする請求項41に記載の複数の組織増強装置。
【請求項43】
移植可能な組織増強装置であって、
複数のチャンバを間に形成するように結合された少なくとも2枚の柔軟シートを含み、前記チャンバは、一以上の前記チャンバを所望の構成に拡大する充填剤を収容するように適合されており、
前記シートは、充填剤を前記チャンバに供給する管によって穿通され、かつこのような管を引き抜くと自己封止することが可能な材料を含むことを特徴とする組織増強装置。
【請求項44】
前記シートは、前記チャンバを形成するために、それらの周囲に隣接しかつそれらの周囲の間で一体に接合されることを特徴とする請求項43に記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項45】
前記シートは、格子状のパターンで前記周囲の間で一体に接合されることを特徴とする請求項44に記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項46】
2枚のシートを含み、各シートが多層から形成されていることを特徴とする請求項43から45のいずれかに記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項47】
前記周囲が人間の頬に概ね相応するように形作られることを特徴とする請求項43から46のいずれかに記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項48】
前記装置は、その充填前状態で、約15mm未満の厚みを有することを特徴とする請求項43から47のいずれかに記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項49】
より大きなシート配置の中に位置決めされ、そこから一以上の前記装置が切り取られ得ることを特徴とする請求項1から48のいずれか一項に記載の移植可能な組織増強装置。
【請求項50】
請求項43から49のいずれかに記載の装置を移植するステップと、前記組織の中に所望の輪郭を実現するために、内部の一以上の前記チャンバを、部分的にまたは完全に、選択的に充填するステップとを含むことを特徴とする組織を増強する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−513132(P2008−513132A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532524(P2007−532524)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/033252
【国際公開番号】WO2006/034077
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507082666)ジュヴァ・メディカル・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】