説明

組織検査及び画像処理のための蛍光フィルタ

【課題】組織検査システムが様々な実施例として開示されている。
【解決手段】組織検査システムはハンドル、光源要素(例えば、LED)、フィルタ、及びいくつかの実施例においてはミラーを含んでいる。好ましい実施例において、光源要素及びフィルタはハンドルの端部に装着されており、これによって身体組織に起因する蛍光を様々な形態において直接的に観察することが可能になる。他では、ミラーがフィルタ及び光源アセンブリと一体化されており、観察者に対して蛍光を反射し、フィルタリングする。一方、他では、シールドは周囲の光が余分な光として視野に入って組織検査に干渉することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本出願は、2002年7月31日に出願された米国特許出願第10/209,574号(検査出願)に関連する主題を含んでおり、これは引用により本明細書に全体として一体化される。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、一般に、身体(特に歯及び皮膚)組織を検査するための装置及び方法に係り、特に異常及び健康な組織からの異なる蛍光発光の検出を含む装置及び方法に関する。
【背景】
【0003】
例えば、虫歯、歯苔(プラーク)、歯石及び癌のような身体組織の他の異常状態を検出するために蛍光発光を用いる装置及び方法が提案されている。このような装置において、組織を照射する所定の波長領域の光の量は制御される必要があり、これによって誘発される蛍光の量は組織特性に制御的に依存する。更に、照射された光と発射される蛍光の最適な対照を行うため、照射波長領域における光の量は検出器及び/又は観察者に到達しないように遮断される必要がある。それにも関わらず、ほとんどの提案されている及び既存の装置はわずかな部分しかこれらの観点を考慮していない。
【0004】
例えば、米国特許第3,711,700号は歯の表面を検査するための露出光に関する。露出光はフルオレセインナトリウムのような蛍光染料とともに用いられるように設計されている。露出光は光源と、この光源の背面に設けられ、青色光を前方に反射し、残りの光を後方に反射するダイクロイックリフレクタを含む。第2ダイクロイックフィルタは光源の正面に位置しており、青色光を通過させ、赤外光を後方に反射する。ミラーは黄色光を観察者に反射し、他の波長を通過させる。この装置は口腔内に入射する周りの光の量をコントロールする手段を設けておらず、それゆえ蛍光との相互干渉が生じる。
【0005】
米国特許第4,266,535号は、歯の表面を検査するため蛍光染料とともに用いられる診断用ランプを開示する。このランプはレンズとともに用いられる白熱球光源を含み、光の発散ビームを供給する。青色フィルタは使用されるダイクロイックフィルタと共にこの光線をフィルタリングするために用いられ、この光線は蛍光染料に当たる。これによって生じた蛍光は、折り曲げられて調節されたミラーで観察される。この装置もまた口腔内に入射される周りの光の量を制御しておらず、誘発された蛍光が単独で観察されることはなく、誘発された蛍光は反射された励起光とともに全体として観察される。
【0006】
米国特許第5,957,687号は、ハウジング内に収容されたフィルタリングされた光源とミラーを含む他の診断用ユニットを開示する。フィルタリングされた光は青色周波数領域に集中され、蛍光染料に蛍光を生じさせる。これはミラーで観察することができる。
【0007】
米国特許第4,290,433号は、発光を用いてヒトの歯の虫歯を検出するための方法及び装置を開示する。この歯からの発光は2つの所定の波長で測定され、このうち1つは虫歯を含む表面及び虫歯を含まない表面でほとんど同じ発光が生じ、他では虫歯を含む表面ではより高い発光が生じる。この測定された2つの波長における強度の違いに応じて信号が発生される。基本測定は悪化していない領域で行われ、その後プローブは他の領域を対象とし、虫歯の存在又は不存在を評価する。
【0008】
米国特許第4,515,746号は、歯の表面の発光容量の不一致を目視で観察するための装置を記載する。開示されている装置は所定の波長領域において可視光を発生するためのアルゴンレーザを含み、これが歯の表面から発光を生じさせる。吸収フィルタはレーザ光の所定の波長領域内での反射及び発光を減少させるために用いられる。この形態では、虫歯のような反応しない歯の表面は暗い領域として観察されることができる。
【0009】
米国特許第5.894.620号は、歯苔の位置を決定する手段を備えた電気歯ブラシを開示する。この電気歯ブラシは歯の表面に励起放射を搬送するための光ファイバと、反射された発光又は蛍光シグナルを受領するための光ファイバを含む。反射された信号は、プラークの存在を示す光又は可聴信号を起動するために処理される。
【0010】
シールドは照射装置と組み合わされて使用されており、知られている最も一般的なシールドは検出器(例えば、写真用カメラ)又は人の目が強い日光に晒されることを防ぐためのサンシェード及びサングラスである。歯科領域において、シールドは米国特許第5,288,231号、第6,155,823号及び第4,615,679号に開示されているシールドのような治療光システムで一般的に用いられている。これらの特許は、各々、治療光システムで用いられている光シールドを記述しており、ここでシールドは実質的に光(青色領域)を減衰させ、これによって操作者を治療光からの有害且つ邪魔な直接及び非直接的な光の放射から保護する。形状の違いは別として、治療光シールドは全て治療光ガンにより発生される有害な光の放射からユーザの目を保護するという点で共通している。これらのシールドは歯組織の回復する物質に到達する周りの光又は治療光の量を制御せず、観察目的のための歯組織において誘発された蛍光を実質的に通過させることを意図していない。
【0011】
このような背景に鑑み、様々な検出技術と組み合わせることができ、検査される組織を照射するための特定の波長領域の励起光の量のみを制御することができ、検査されている組織から送られる蛍光を実質的に観察者又は照射装置に一体化された検出装置に送りつつ、このような組織が周囲の光に露光されることを減少することができるシールドの需要が存在する。本発明はこのような需要を対象としたものである。
【概要】
【0012】
従って、一実施例において、本発明は異常組織状態を検出するために用いられる手で保持される器具で用いられるシールドを提供する。器具は、正常及び異常な身体組織から視覚で検出可能な異なる蛍光発光を生じさせる所定波長領域の光を発生する光源を含む。シールドは検査される組織を光源からの光で露出し、周りの光を減衰する。組織から出射された蛍光はシールド壁を介して搬送され、励起波長の光は遮断され、これによって正常及び異常な身体組織の異なる蛍光の直接的な視覚化を向上する。
【0013】
他の実施例において、本発明は一体化された照射装置を備えた口腔内蛍光カメラと共に用いられるシールドを提供する。この実施例において、シールドは周囲の光を遮断し、照射装置からの光は検査される組織に向かって導かれる。組織から出射された蛍光はカメラセンサに向かって導かれる。定量化のため、本実施例におけるシールドは、一方では光源と組織の間の固定化された距離を確保し、他方では組織とカメラの間の固定化された距離を確保するための距離保持具として作用し、これによって組織を照射する放射パワーの量と組織の特性に応じて出射される蛍光の対応する量を制御することが可能になる。
【0014】
本実施例のいくつかの形態において、シールドは変形可能な材料で形成される。他において、筒型、錐型又は部分的な球形を採用している。いくつかの実施例において、ミラーは1又はそれ以上の内側表面上又はその内部に配置され、これによって他の視角を提供する。他の実施例において、シールドの少なくとも一部は拡大特性を有し、これによって観察者は観察されている口腔構造を拡大して見ることができ、他の実施例において、ミラーが拡大特性を有している。
【0015】
本発明は、虫歯又はプラークの存在を潜在的に示す細菌代謝物のため歯の表面を検査するような組織の異常を検査するための改良された選択可能な器具、装置及び方法を提供する。追加的な実施例は、本発明の構成及び効果と同様、本明細書の記載から当業者にとって明らかである。
【詳細な説明】
【0016】
本発明の原理の理解を促進するため、図面に示された実施例について説明され、これを説明するため特定の文言が用いられる。しかしながら、本発明の範囲を限定することは意図されておらず、説明されている実施例の変更及び更なる改造、及び、ここに記載されている発明の原理の他への応用は、本発明が関連する技術の分野における当業者にとって一般的に生じるものと理解されなければならない。
【0017】
本発明は、一般に、身体組織の検査器具に係り、特に、LEDから出射された光が直接的に視覚されることを効率的にシールドし、組織のより明瞭な画像を提供することができるフィルタ構造を用いた組織検査のための器具及び方法に関する。本発明の構成要件のいくつかは上述した検査出願に記載されているものと同様であるので、一定の共通する要素の詳細な説明は本発明では省略され、これらは引用により本明細書に一体化される。
【0018】
本明細書において、「フィルタ」は光の選択された波長のみを物体または層を介して通過させることができることを意味する。
図1及び図2は本発明の第1実施例に係る歯科用器具を示す。図1において、歯科用器具10はハンドル部11と、ハンドル部11に所定の角度で連結された先端部12を含んでいる。発光ダイオード(LED)13が先端部12に取り付けられており、フィルタ構造14がLED13の近傍でLED13を包囲するように先端部12に取り付けられている。LED13は、好ましくは約380から500nmの間、より好ましくは390から450nmの間にピーク強度を有する光を出射する。
【0019】
この器具が用いられる場合、図2に示されるように、少なくとも先端部12の一部が、そのフィルタ構造14の開放端部が歯表面と直接的に接触するように口内に挿入される。器具10はLED13からの光を歯の表面に出射し、歯の表面で発生される自動蛍光はフィルタ構造14を介して観察される。フィルタ構造14の開放端部は直接的に歯の表面に接触しており、LED13からの光はフィルタ構造14の外部に漏れることがないので、LED13からの光の直接的な視覚化が効率的に防止される。
【0020】
第2実施例が図3及び図4に示されている。歯科用器具20は、円錐形状を有し、LED13の近傍で先端部12に連結されるフィルタ構造22を含んでいる。フィルタ構造22は先端部12に固定される狭い開口端部と、歯の表面に向けられる広い開口端部を有している。歯科用器具20は歯科用器具10(図1参照)と同一方法で用いることができ、第1実施例で覆われる歯と比べると(図2参照)、より広い歯表面がフィルタにより覆われることができるという利点を有する(図4参照)。
【0021】
図5及び図6は第3実施例を示す。図5において、歯科用器具30は一般的に部分的な球形状を有するフィルタ構造32を含んでいる。フィルタ構造32は第2実施例と同様な方法で設けられており、第2実施例と同様に歯を覆うことができる。更に、フィルタ構造32は拡大作用を有しており、フィルタリング作用に加えて歯表面の拡大図を提供することができる。
【0022】
図7は第4実施例を示し、歯科用器具40は部分的に円錐形で、部分的に半球形状のフィルタ構造42を有している。フィルタ構造42の内面には、フィルタ構造42の内面を部分的にカバーするミラー43が設けられている。第4実施例のいくつかの形態において、ミラー43を有していないフィルタ構造42の一部分は拡大特性を有している、他の形態において、ミラー43は曇り止め処置(本技術分野における当業者に公知なもの)によりコーティングされており、ミラー表面上の液体の凝縮及び蓄積を減少することができる。第4実施例によれば、歯科用器具40はLED13からの光を歯表面に照射し、蛍光はミラー43で反射され、フィルタ構造42を介して観察される。
【0023】
図8及び図9は第5実施例を示す。図8に示されるように、歯科用器具50はハンドル部11と、ハンドル部11の端部に所定の角度で設けられているLED/フィルタ構造アセンブリ52を含んでいる。LED/フィルタ構造アセンブリ53はリング53、1又はそれ以上のLED13、及びフィルタ55を含んでいる。LED13は歯表面を照射するようにリング53の一方の側部に設けられており、フィルタはリング53の内側に設けられている。歯科用器具50の使用に際し、リング53は開いた口の近傍で保持され、又は口内に挿入され、図9に示されるように歯表面の近傍に位置し、これによってLED13が歯表面に対向する。LED13により出射された光は歯に当たり、歯により発生される蛍光はフィルタ55を介して観察される。歯科用器具50において、フィルタ55は器具の使用の際、歯の拡大図を提供できるように拡大特性を有するように形成されていてもよい。
【0024】
本発明の第6実施例が図10に示されており、その変形例が図11及び図12に示されている。図10において、光源要素13は支持構造51(硬いワイヤーのようなもの)及び光学要素52と共にハンドル11の端部に装着されている。光学要素52は層53−56を備えており、層53、55は非反射層であり、層54は光学フィルタであり、層56はミラーコーティング層である。要素52に入射される光の典型的な光線が図10に示されており、Iで示されている。本実施例における入射光Iの少なくともいくつかは、要素13から出射された光の身体組織の蛍光応答である。入射光Iはフィルタ54を通過してフィルタリングされ、これによって好ましい波長は通過し、他は吸収される。入射光線Iがミラーコーティング56に到達すると、光線はそこで反射され、反射光Rになる。反射光線Rは再びフィルタ層54を通過し、更に不要な波長は減衰され、光学要素52の外部に出射し、好ましくは観察者の目に入る。非反射層53、55は、光学要素52内における内部反射に起因する観察光Rの減衰を低下させる。
【0025】
図11は他の光学要素52′を示し、この要素は図1に示される層と類似した層53-56を含んでいる。しかしながら、光学要素52′においては、光源要素13は反射層56の背後に位置し、孔部57(層53-56を貫通している)により、光源13は光学要素52′の他の部分を介して、検査の対象となる組織に到達することができる。組織蛍光(本技術分野においては知られており、且つ上述されている)は、図10に示されているように、入射光Iとして光学要素52′に当たり、反射光Rとして反射される。孔部57は円柱状の孔であり、面の中心において光学要素52′の全ての層を通じて、層53の表面に垂直である。他の実施例において、当業者が思いつくように、孔部57は他の形状を有しており、光学要素52において他の位置及び他の角度に配置されている。光源要素13にエネルギーを供給する電線は光学要素52′の背面に位置しているコンジット58内を通っている。
【0026】
更に、他の実施例は図12に示されるような光学要素52′′を含んでいる。この実施例において、層53−56(図10との関連で説明されている)に加え、ワイヤー59が光学要素52′′の周辺部の周りに延びており、これによって支持部材51を介して光源要素13を電源と連結している。
【0027】
図11及び図12において、光源要素13を励起するためのエネルギーは支持部材51を通っており、光源要素13をハンドル部11内におけるバッテリーコンパートメントのような電源に接続している。他の実施例において、これら他の器具に必要又は好ましい場合、電源はトランス又は整流器を介して又は介すことなく、交流電源から供給される。
【0028】
これらのミラー/フィルタの組み合わせは、ゴールドミラー及び分離したフィルタに対し実質的な利点を有していることは、本技術分野における当業者であれば理解できるであろう。前者に関し、ゴールドミラーにおける反射では赤色要素が増加する一方、緑色要素の観察を援助しないので、診断がより難しくなる。更に図10から図12のミラー/フィルタの組み合わせは、一般的なミラー及び分離したフィルタよりもユーザにとって取り扱いが容易である。
【0029】
図13は本発明の皮膚科への応用を示す。第9実施例において、スタンド60はルーペ62を支持しており、このルーペは被験者64の皮膚を照射するため一方の側面にLEDのリングを含んでいる。フィルタ/拡大器66は外側リング62内に位置し、これによって医師又は技術者がLEDからの入射光に対する皮膚病巣の応答を観察するための窓を形成する。支持アーム68は支持部材60に対して移動可能であり、これによって観察者が病巣の検査のためにルーペを必要又は好ましい場所に移動することが可能になる。
【0030】
本実施例の変形例において、支持部60は検査テーブル、壁面又は光源構造に固定的に又は可動的に連結されている。本発明の様々な形態において、支持アーム68は伸びることができる。本発明はヒト被験者の検査の観点から説明されており、本発明はこの目的で用いられた場合に特に有効であるが、本発明は関連分野における当業者が思いつくように、他の動物又は植物組織にも応用可能である。
【0031】
特に、本発明のいくつかの応用は皮膚科領域である。例えば、癌検査(口腔内癌及び皮膚癌の両方)及びにきびの治療に本明細書で説明され、権利請求されている発明を用いることができる。
【0032】
本明細書におけるシールドの幾何学的説明はシールドの内側表面に適用されるものであるが、外側表面の輪郭及び形状は美的観点及び拡大に関する本発明の開示の適用に有用である。更に、本明細書において、「筒状」は伝統的な数学的な定義を意味し、「a.固定された直線に平行に動く直線の軌跡により形成される表面であって、固定された平坦な閉鎖カーブを横切るもの、又はb.筒により形成される空間及び全ての要素を横切る平行面」であることを意味する。
【0033】
上述した構成は互いに及び/又は検査出願に開示されている構成と組み合わせることができるということは、本技術分野における当業者にとって理解される。本技術分野における当業者であれば、本発明の他の実施例においてLED以外で光源要素を構成することも可能であろう。
【0034】
図14において、本発明の第10実施例が示されている。本実施例は歯科構造及び制御されたセッティングにおける画像の捕獲の検査に適したシールド、ミラー及びフィルタ配置に関する。本実施例において、ハンドル部61は一般に円筒形であり、その端部はより細い端部63として形成されている。端部63の末端部には光源65及びカメラ用孔部67が形成されている。前者は光源65を介して1又はそれ以上の波長の光を出射し、後者(孔部67)は画像として捕獲される光を受領する。孔部67はレンズ、1又はそれ以上のCCD及び本技術分野における当業者が思いつくような画像捕獲のための他の要素を含んでいてもよい。同様に光源65は本技術分野における当業者が思いつくであろうような1又はそれ以上の発光ダイオードのようなものを含んでいてもよい。
【0035】
光源65により出射された光は、フード69を介して伝達され、このフードは一般的に円筒形状を有しており、好ましい実施例においては狭い末端部を形成するように先細り形状となっている。光源65から出射された光は平坦なミラー71で反射され、観察点73に到達する。この光は歯科組織で自動蛍光を誘発し、観察点73を介して戻り、ミラー71で反射され、孔部67を通過する前にフィルタ75を介して伝達され、画像として捕獲される。
【0036】
この好ましい実施例において、フード69の長さ、ミラー71の構造、観察点73及びフィルタ75により、歯科専門家が所定時間継続して計測し、位置決めした画像を得るため、装置を継続的に位置決めすることができることが判る。例えば、専門家は観察点73を直接的に歯表面に配置することができ、これによって画像捕獲プロセスの間、特定距離(観察点73の底表面からミラー71、孔部67までの固定された距離)を維持する。米国特許6,597,934号に記載されている装置及び技術を用いることにより、より正確な位置決めを行うことが可能になる。これらの例の構造において、フードの本体はプラスチックのような不透明な物質で形成されており、実質的に全ての周りの光が内部に入り、孔部67における画像捕獲に干渉することを防止する。ある画像捕獲のシナリオにおいて、患者はフードの周りで自分の口唇を閉じ、いかなる場合にも実質的に全ての光が画像捕獲に影響することを遮断することができる。
【0037】
他の実施例において、フード69は使い捨てであり、患者毎に使用後に廃棄される。他の実施例において、透明プラスチックカバーがより恒久的なフード69上に配置され、使用後に廃棄される。更に他の実施例において、フード69はバンドピース61により恒久的に固定され、他の実施例において、フード69は機械の分野における当業者により知られている1又はそれ以上の装着機構を用いてハンドピース61の端部にスナップ式に装着される。
【0038】
他の実施例において、光学フィルタ75が省略され、孔部67を介して捕獲された画像はデジタル的に分析され、一定の閾値(例えば、520nm又は580nm)以下の周波数部分は除去される。画像の分析は上述のように行われる。
【0039】
図15は手で保持される光源及びカメラ装置の末端部を示し、この装置は首部81、白色LED83、青色LED85、カメラ孔87及び不透明距離保持シールド89を含む。首部81の三極スイッチ91は、(1)全てのLEDがオフの状態、(2)青色LEDがオンで、黄色フィルタが孔部87の内部をカバーしている状態、及び(3)白色LEDがオンで、灰色フィルタが孔部87の内部をカバーしている状態という3つの位置を有している。従って、専門家は白色光源及びカメラを用いて患者を検査し、その後、患者の口から器具を移動させることなく、患者の口腔構造の蛍光画像を得て、歯又は他の口腔組織の状態を診断することができる。
【0040】
本発明は図面及び上述した説明において詳細に記載されているが、これはその性質上、例示的であり、限定的なものではないと理解されるべきであり、好ましい実施例のみが示され、説明されており、関連分野における当業者であれば思い付くような変更及び改造は保護されていると理解されるべきである。更に、ここで引用されている全ての特許、刊行物、従前及び同時の出願及び他の文書は、各々が引用により一体化され、完全に引用されているかのように参照により一体化される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施例に係る器具の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る歯を検査するために用いられる器具の側面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る器具の斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る歯を検査するために用いられる器具の側面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る器具の斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例に係る歯を検査するために用いられる器具の側面図である。
【図7】本発明の第4実施例に係る歯を検査するために用いられる器具の側面図である。
【図8】本発明の第5実施例に係る歯を検査するために用いられる器具の斜視図である。
【図9】本発明の第5実施例の側面図である。
【図10】本発明の第6実施例に係る器具の側面図であって、本発明の第6実施例に係る積層された光学要素の拡大図を含む図である。
【図11】本発明の第7実施例に係る積層された光学要素の側面図である。
【図12】本発明の第8実施例に係る積層された光学要素の側面図である。
【図13】本発明の第9実施例に係る皮膚科領域における応用の側面図である。
【図14】本発明の第10実施例に係るフード/フィルタの一部切り欠き側面図である。
【図15】本発明の第11実施例に係るフード/フィルタの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又はそれ以上の異常組織状態を検出するために用いられる器具であって、
組織に自動蛍光誘発光を出射する1又はそれ以上の光源と、
1又はそれ以上の光源の近傍に位置し、組織の自動蛍光によって発せられる光を光学的にフィルタリングするシールドを備えた器具。
【請求項2】
シールドは筒形状を有する請求項1記載の器具。
【請求項3】
シールドは正筒形状を有する請求項2記載の器具。
【請求項4】
シールドは正円筒形状を有する請求項3記載の器具。
【請求項5】
シールドは円筒形状を有する請求項2記載の器具。
【請求項6】
シールドは錐体形状を有する請求項1記載の器具。
【請求項7】
シールドは球形状を有する請求項1記載の器具。
【請求項8】
シールドの少なくとも一部はシールド内の空間の領域をシールド外部から観察できるように拡大する請求項1記載の器具。
【請求項9】
ミラーがシールド内にあり、口腔組織の自動蛍光により出射される光の少なくとも一部を反射するように位置する請求項1記載の器具。
【請求項10】
シールドは所定周波数の可視光をフィルタリングし、可視光は口腔組織の自動蛍光により発せられる請求項1記載の器具。
【請求項11】
1又はそれ以上の光源は少なくとも4個であり、リング構造内に位置する請求項1記載の器具。
【請求項12】
1又はそれ以上の光源は少なくとも6個である請求項11記載の器具。
【請求項13】
シールドはリングにより形成される平面である請求項11記載の器具。
【請求項14】
シールドはリングにより形成される平面内に実質的に挿入されている請求項13記載の器具。
【請求項15】
シールドは拡大レンズを備えている請求項13記載の器具。
【請求項16】
1又はそれ以上の光源は発光ダイオードである請求項1記載の器具。
【請求項17】
シールドは曇りを減少するように処理されている請求項1記載の器具。
【請求項18】
シールドを通過する光はヒトにより直接的に観察される請求項1記載の器具。
【請求項19】
シールドを通過する光は画像捕獲要素により捕獲される請求項1記載の器具。
【請求項20】
シールドは画像捕獲要素が対象物から所定の距離にあるように保持する請求項19記載の器具。
【請求項21】
組織は歯組織である請求項1記載の器具。
【請求項22】
組織は皮膚組織である請求項1記載の器具。
【請求項23】
1又はそれ以上の光源とシールドは手で保持されるケースに固定されている請求項1記載の器具。
【請求項24】
1又はそれ以上の光源とシールドは使用者が選択可能な位置に機械的に支持されている請求項1記載の器具。
【請求項25】
組織はヒト組織である請求項1記載の器具。
【請求項26】
組織はイヌ組織である請求項1記載の器具。
【請求項27】
組織はネコ組織である請求項1記載の器具。
【請求項28】
組織に白色光を照射するために用いられる1又はそれ以上の追加的な光源と、
自動蛍光誘発光を出射するために用いられる1又はそれ以上の光源と、白色光を出射するために用いられる1又はそれ以上の追加的な光源とを選択的に使用可能とするスイッチとを備えた請求項1記載の器具。
【請求項29】
1又はそれ以上の異常組織状態を検出するために用いられる器具であって、
組織に自動蛍光誘発光を出射する1又はそれ以上の光源と、
1又はそれ以上の光源の近傍に位置し、組織の自動蛍光によって発せられる光を光学的にフィルタリングするシールドを備えた器具。
【請求項30】
光源要素の発光は約380nmから約500nmの間の波長にピーク強度を有する請求項29記載の器具。
【請求項31】
光源要素の発光は約390nmから約450nmの間の波長にピーク強度を有する請求項29記載の器具。
【請求項32】
1又はそれ以上の光源は手で保持されるユニットに一体化され、シールドは手で保持されるユニットに移動可能に取付けられている請求項29記載の器具。
【請求項33】
シールドを通過する光はヒトにより直接的に観察される請求項29記載の器具。
【請求項34】
シールドを通過する光は画像捕獲要素により捕獲される請求項29記載の器具。
【請求項35】
シールドは画像捕獲要素が対象物から所定の距離にあるように保持する請求項34記載の器具。
【請求項36】
シールドは、対象となる少なくとも1又はそれ以上の波長において組織の自動蛍光発光を誘発しない周りの光の波長を実質的に減衰しない請求項29記載の器具。
【請求項37】
組織は歯組織である請求項29記載の器具。
【請求項38】
組織は口腔内の歯組織であり、1又はそれ以上の光学要素が口腔を照射している間、シールドは十分な光を口腔に通し、これによって口腔の視覚による観察を可能にする請求項29記載の器具。
【請求項39】
組織は皮膚組織である請求項29記載の器具。
【請求項40】
1又はそれ以上の光源要素とシールドは手で保持されるケースに装着されている請求項29記載の器具。
【請求項41】
1又はそれ以上の光源とシールドは使用者が選択可能な位置に機械的に支持されている請求項29記載の器具。
【請求項42】
組織はヒト組織である請求項29記載の器具。
【請求項43】
組織はイヌ組織である請求項29記載の器具。
【請求項44】
組織はネコ組織である請求項29記載の器具。
【請求項45】
組織に白色光を照射するために用いられる1又はそれ以上の追加的な光源と、
自動蛍光誘発光を出射するために用いられる1又はそれ以上の光源と、白色光を出射するために用いられる1又はそれ以上の追加的な光源とを選択的に使用可能とするスイッチとを備えた請求項29記載の器具。
【請求項46】
組織の異常の存在又は不存在のため身体組織を検査に用いられる照射装置と、
光フィルタ層を有するミラーとを備え、
ミラーは組織から検出部に向けて出射される蛍光を実質的に反射し、
光フィルタ層は組織蛍光を誘発する波長の光を実施的に減衰するシステム。
【請求項47】
ミラーは組織から出射される蛍光を拡大する請求項46記載のシステム。
【請求項48】
ミラーは無反射コーティングを有する請求項46記載のシステム。
【請求項49】
ミラーは第1無反射コーティング層と、
第2無反射コーティング層と、
第1無反射コーティング層と第2無反射コーティング層の間の光学フィルタ層と、
ミラーコーティング層とを備え、第2無反射コーティング層は光学フィルタ層とミラーコーティング層の間にある請求項48記載のシステム。
【請求項50】
検出部はヒトの目である請求項46記載のシステム。
【請求項51】
検出部はカメラである請求項46記載のシステム。
【請求項52】
組織は歯組織である請求項46記載の器具。
【請求項53】
組織は皮膚組織である請求項46記載の器具。
【請求項54】
シールドは曇りを減少する処理が施されている請求項46記載の器具。
【請求項55】
照射装置はリングとして配列された複数の光要素を備え、
ミラーはリング内に配置されている請求項46記載の器具。
【請求項56】
照射装置は、約380nmと約500nmの間にピーク強度を有する光を出射する少なくとも1つの光要素を備えている請求項46記載の器具。
【請求項57】
少なくとも1つの光要素は約390nmと約450nmの間にピーク強度を有する光を出射する請求項56記載の器具。
【請求項58】
光フィルタ層は約520nm以下の波長を有する光を実質的に減衰する請求項46記載の器具。
【請求項59】
光フィルタ層は約580nm以下の波長を有する光を実質的に減衰する請求項58記載の器具。
【請求項60】
ミラーは照射装置と共に単一のハウジング内に一体化されている請求項46記載の器具。
【請求項61】
ミラーは照射装置から取り外し可能な請求項46記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−528045(P2006−528045A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530673(P2006−530673)
【出願日】平成16年5月22日(2004.5.22)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001655
【国際公開番号】WO2004/103171
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(503423720)インスペクター リサーチ システムズ ベーフェー (3)
【Fターム(参考)】