説明

組織細胞標本作製用生物試料切出し板及び組織細胞標本の作製方法

【課題】電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本を作製するため人や動物の臓器などの生物試料を必要な大きさに切り出し固定液で固定する際に、試料の種類別に仕切り、かつ固定液に触れさせながら試料の乾燥や劣化、変質を防ぎ、効率よく複数の試料を迅速かつ容易に細切り処理できる生物試料切出し板を提供する。
【解決手段】電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本を作製するため生物試料をプレート上(2)に載せて切断する生物試料切出し板(1)であって、プレート(2)の試料載置面の全面または少なくとも一部に傾斜面(2a)が形成され、かつ該プレートの外周部に液漏出止めの側壁(3)が形成されている生物試料切出し板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物試料切出し板に関し、より詳しくは、電子顕微鏡や光学顕微鏡用の組織や細胞の標本(組織細胞標本)を作製するために、動物や人の臓器などの生体組織(生物試料)を細かく切断(細切)するのに用いられる生物試料切出し板、及びその切出し板を用いた組織細胞標本の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子顕微鏡で観察する生体標本は、通常、一辺が1〜2mm程度の長さの切片に細切して作製し、光学顕微鏡用の標本は厚みが約5mmで4cm2 程度の面積をもつ細片とする必要がある。また、培養組織では、試料をある程度の大きさに細切りした後、酵素処理して細胞間の結合組織を溶かすことによって細胞が数個(3〜7個程度)結合した生体に近い状態の電子顕微鏡用の標本を作製する。
【0003】
病理学及び組織細胞学に必要な人体、あるいは動物の臓器などの生物材料の組織や細胞の電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡観察用の標本作成は、可能な限り生きている状態に近い標本とするために、ナイフ、メス、カミソリなどの細切り刃具を用いて迅速にある程度の大きさまで生物試料を切り出し、この生物試料をホルマリンやグルタールアルデヒド混合液などの変性を止める薬剤(通常固定液あるいは固定剤と称している。)に浸漬して浸透させる。
【0004】
固定液で固定された試料は保存用の標本としたり、顕微鏡による観察用の標本となる。顕微鏡用の標本は包埋、薄切りの処理を経て染色されてから観察される。
このような標本を作成するために従来は、塩化ビニールあるいはアクリル製、コルク製などのプレートで形成した矩形状ないし円形状の平板を用いている。この平板上に、生物試料(臓器など)の乾燥と変性を防止するため固定液を滴下して、固定液を試料に浸透させながら細切り作業を行っている。光学顕微鏡用の場合は、通常厚さ10mm以下、縦巾30mm、横巾20mm程度の大きさに切出し作業を行う。
電子顕微鏡観察の場合は、さらに、迅速に固定液を浸透させるために、液中で1mm平方前後の大きさに整形し、プレート上の液中に浮遊している生物試料を鋭利なカミソリ、メスなどを用いて切り出す。
【0005】
なお、病理学検査用組織の塊を薄片に切断する方法及び装置については、例えば特許文献1に開示されている。手動、自動いずれの場合も、切断しようとする生物材料組織をプレート状の平板上に載置して切断する必要があるが、このような平板上に物体を載せて切断するという形態は、病理学などの医学生理学の分野以外にも、例えば野菜や食肉などの食物を包丁で切断する調理の分野においても、いわゆるまな板の上に調理物を載せて所望の大きさに切断することが行われている。調理分野のまな板については、例えば特許文献2〜6に記載するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−533670号公報
【特許文献2】特開平9−122022号公報
【特許文献3】特開2005−342523号公報
【特許文献4】特開2006−231023号公報
【特許文献5】特開2006−340814号公報
【特許文献6】実開平7−44289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、病理学及び組織細胞学における光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で観察する細胞組織標本の作製に際しては、生物試料をプレート状の切出し板上で細切りする必要があるが、その際、試料表面を乾燥させないよう絶えず固定液で濡らしながら迅速に切出し作業をすることが重要であり、乾かせないように切出し作業をするには、かなりの熟練を要する。
【0008】
また、電子顕微鏡観察用の標本では、迅速に固定剤を浸透させるために1mm平方前後の大きさに整形するが、平板上の液中に浮遊している状態の生物試料を、鋭利なカミソリやメスで切り出すには高度の技術が必要となる。特に、固定液などの液中に浸された生物試料、特に臓器試料は不安定で動きやすく、迅速に細切りするには、同様に経験と熟練が要求される。
【0009】
また、培養組織細胞の場合も、固定液と同様に、試料を培養液に浸しながら細切りするため、液中の試料が不安定で動きやすく、迅速に細切りするにはある程度の経験と熟練が必要となる。このような要求に対処し得るプレート状平板、すなわち切出し板については従来ほとんど工夫がなされておらず、通常のまな板状の合成樹脂製平板を用いて行っているのが実情である。
【0010】
従って、本発明の課題は、薄切り用のプレート状平板に固定液と臓器などの生物試料を載せて作業する場合に、液が外部にこぼれることがなく、また固定液の表面張力を利用して臓器試料などを固定液に触れさせつつプレート上の試料を迅速かつ簡便に細切りすることのできる生物試料切出し板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この様な状況に鑑みて鋭意検討の結果、本発明者は、切り出し面を傾斜面とすると共に、外周部に固定液漏出止めの側壁を形成することにより生ずる傾斜面上の固定液の界面部分を利用すれば、生物試料を乾燥させることなく、迅速かつ簡便に細切りして所望の標本が作製できることを確認して本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の生物試料切出し板及び組織細胞標本の作製方法を提供する。
【0012】
1.電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本を作製するため生物試料をプレート上に載せて切断する生物試料切出し板であって、前記プレートの試料載置面の全面または少なくとも一部に傾斜面が形成され、かつ該プレートの外周部に液漏出止めの側壁が形成されていることを特徴とする生物試料切出し板。
2.前記プレート上の試料載置面に仕切りが設けられ、これによって前記試料載置面が複数の区画に分けられている前項1に記載の生物試料切出し板。
3.前記プレートに定温維持機能を付与した前項1または2に記載の生物試料切出し板。
4.前記プレートの試料載置面に生物試料を一時保持する窪み部を形成した前項1〜3のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
5.前記プレートの表面に親水性をもたらす処理を施した前項1〜4のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
6.前記プレート色付け処理を施した前項1〜5のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
7.前項1〜6のいずれか1項に記載の生物試料切出し板を用い、傾斜面上の固定液の界面部分で生物試料を細切することを特徴とする電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本の作製方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人や動物の臓器などの生体組織(生物試料)を必要な大きさに切り出し固定液で固定する際に、前記固定液に触れさせながら前記試料の乾燥や劣化、変質を防ぎ、効率よく生物試料を迅速かつ容易に細切り処理するのことが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、種類の異なる複数の生物試料、同一生物試料の異なる部分は混合させることなく、種類別に区分けしつつ、複数の試料をほぼ同時に効率よく細切り処理することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1:
図1は本発明の実施形態1に係る生物試料切出し板(1)の平面図(A)及び側部断面図(B)である。なお、図1(B)は、図(A)のA−A線に沿った断面を示している。この実施形態1は平面視で矩形状のプレート(2)で形成され、厚みが片側の方が薄くなっており、これによってプレート上面(2a)は生物試料切出し板(1)の載置台(図示せず)に対して片側へ傾斜、すなわち水平面に対して片側へ傾斜している。また、プレート(2)の側部にはプレート上の処理液(固定液、固定剤)がこぼれないように側壁(3)が形成されている。なお、切出し板(1)の製作は、プレート(2)の傾斜面(2a)をもつ底部(2b)及び側壁(3)を一体成形して製作するか、あるいは後述する実施形態のように側壁(3)をもつプレート(2)を形成した後で、底部の傾斜面(2a)を注入樹脂の硬化により傾斜状態に形成してもよい。この場合、側壁をもつ平坦なプレート(2)を傾斜した基台(図示せず)の上面に載置し、この状態で前記プレート上に硬化性樹脂を注入し硬化することにより前記傾斜面を容易に形成することができる。また、実施形態1では矩形状のプレート(2)で構成しているが、本発明は必ずしも矩形状のものに限定されず、後述する実施形態のように他の平面形状、例えば円形状のプレートであってもよい。
【0016】
切出し板(1)を構成するプレート(2)の材質としては、例えば塩化ビニール板、アクリル板、パラフィンワックス板、エポキシ樹脂板などが採用可能である。また、底部傾斜面の傾斜角度は、5〜30°とするのが好ましい。切出し板の上面には固定液と共に標本対象となる人あるいは動物の臓器などの生物試料の小片を載せて所定の厚み、大きさに切り出す。このように切出し板の上面を傾斜面にすることにより、切出し板上で液深の浅い部位を確保でき、試料(臓器)の大きさや種類に応じて試料(臓器)を固定液に必要深さまで浸しながら組織を容易に細切りすることができる。特に、切出し板上の固定液の界面部分に試料を載置すると、固定液の表面張力により試料が切出し板の面に密着するため細切り作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0017】
ここで、固定液による固定とは、組織学において生物体の一部または全体に加工を施し、標本やプレパラートとして必要な情報の劣化を最小限に食い止めることを指している。固定された試料は標本として保存されるか、あるいは顕微鏡用のものは包埋、薄切り処理を経て染色され、観察される。固定には温度変化(加熱、凍結)や加圧などの物理的処理と、薬品による化学的な処理があり、化学的処理の場合、用いられる薬品を固定剤という。固定により、生体に含まれるタンパク質の変性が生じて酵素の活性が失われると共に、ゲルやゾルの状態であった原形質が完全な固体となり、安定化する。固定剤の種類によっては、生体分子間を架橋したり、分子自体を酸化することで、さらなる組織の安定化が促される。
【0018】
実施形態2:
図2は、本発明の実施形態2に係る生物試料切出し板(1)の斜視図である。この例では、平面視円形状のプレート(4)で構成され、その外周部にプレート(4)上の固定液がこぼれないようにプレート全周を囲む側壁(5)が設けられている。プレート(4)の上面は片側から他方へ向けて傾斜面(4a)に形成されている。傾斜面(4a)の形成方法としては、例えば円形平板の周囲に側壁を形成してシャーレの形態にし、これを所定の角度に傾けながらシャーレ内に切出し板の材料(エポキシ樹脂など)を流し込んで硬化させることにより上面に傾斜面(4a)をもつ側壁付き生物試料切出し板(1)を容易に製作できる。
【0019】
この実施形態2においても、固定液を生物試料切出し板(1)に注入し、固定液の界面部分で表面張力を利用して試料(臓器)を固定液に触れさせながら、プレート上面に密着させて細切りを行う。
【0020】
実施形態3:
図3〜図5は本発明の実施形態3に係る生物試料切出し板を示したものであり、図3(A)は図2と類似した斜視図、図3(B)は平面図である。図4、図5は他の変形例に係る生物試料切出し板を示した図である。図3の場合は、実施形態2と同様に円形のプレート4で外周に側壁5を有し、プレート(4)の上面は一方向に傾いた傾斜面(4a)となっている。この傾斜面(4a)を2分割するように仕切り板(6)によって仕切られている。この仕切り板(6)も側壁(5)と同じ材質のもので形成することが好ましい。
【0021】
図4の場合は矩形状のプレート(2)の四辺に液漏出防止用の側壁(3)が形成され、かつプレート(2)の底面が2つの仕切り板(7,8)によって3つの区画a,b,cに分けられている。図4(B)は図4(A)のB−B線に沿った断面図であり、図4(C)は図4(A)のC−C線に沿った断面図である。3つの区画とも底面が一方向に傾斜した傾斜面となっており、プレート2の一端側で底が深く、他端へ向けて底が浅くなるようになっている。異なる種類の試料をそれぞれの区画で切断処理することにより、細切りした試料が混合することがなく、作業の信頼性を確保できる。
【0022】
さらに図5の例は、円形のプレート(4)の外周部に図3と同様の液漏出防止用の側壁(5)が形成され、かつプレート底部の上面は中心を通って半径方向に延びる4つの仕切り板(9〜12)によって4区画に仕切られている。また、プレート底面は全体が片側へ傾斜してもよいが、前述した図4(B)に示すように4つの区画ともプレート中心部Sで高く、周縁へ向うにしたがって高さが低くなるように傾斜させた構成とすることができる。なお、生物試料切出し板(1)の仕切り板(9〜12)による区画数は任意であり、図示の形態のものに限定されない。また、プレート上面の傾斜面の形態も図3〜図5の形態のものに限定されない。
【0023】
実施形態4:
図6(A)は本発明の実施形態4に係る切出し板の平面図であり、図6(B)は図6(A)のD−D線断面図である。この実施形態4では、側壁をもつ矩形状のプレート(2)の上面が仕切り板(13,14)によって3つの広い面積の区画a,b,cと、面積は小さいが底の深い3つの区画d,e,fとに仕切られている。面積の広い3つの区画a〜cの底部の傾斜面(2a)はそれぞれ異なる角度で、かつ異なる方向に傾斜されるか、あるいは前記3つの区画a〜cとも同じ傾斜角で同方向に傾斜した形態にすることもできる。
【0024】
複数個に区分けされた区画の少なくとも1つの区画、具体的には面積の小さい区画d〜fのうちの1つ(d)は、図6(B)に示すように、他の区画よりも底の深い窪み部(15)となっている。なお、この窪み部(15)の底面は傾斜面する必要はない。実施形態3と同様に複数の生物試料を同時に細切り処理する場合に、細切りした各々の試料を別々の区画に収容して異なる試料どうしが混合するのを防ぐことができるが、実施形態4ではさらに、嵩の大きな試料(16)をこの窪み部(15)の区画に収容して一時的に保存しておくことができる。窪み部(15)には固定液あるいは培養液(18)が満たされており、窪み部(15)に収容した大きな生物試料を乾燥させずに保存することができる。図6の場合は3つの底の深い区画部分d〜fが試料保存区画となり、他の面積の広い方の区画部分a〜cは細切り用の区画となっている。
【0025】
実施形態5:
図7は本発明の実施形態5に係る生物試料切出し板(1)の側部断面図である。この例では、傾斜面(2a)を有する底部の下部に保温効果のある材料(17)が一体に形成されており、これによってプレート表面の温度が一定時間保持され、細切り処理中の温度変化による生物試料の劣化、変質等を防止することができる。保温効果の材料としては、例えば熱電導性の良い金属であるアルミニウム、銅、ステンレススチール等が挙げられる。図7では、プレート(2)の底部にのみ保温材を設けた例を示したが、場合によっては底部だけでなく、プレート(2)の側壁(3)にも保温材を設けてもよい。
【0026】
実施形態6:
実施形態6は、プレートの傾斜した底部表面に親水性をもたらす材料を設けるか、あるいは親水性を発揮する表面処理をプレート底部に施した切出し板である。これによって、細切りした生物試料の乾燥を防止することができる。親水性をもたらす材料としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂が挙げられ、親水性をもたらす表面処理としては、アルカリ処理、酸化チタンコート等が挙げられる。
【0027】
実施形態7:
図8及び図9は、それぞれ本発明の実施形態7に係る生物試料切出し板の平面図である。図8の例はプレートの傾斜面(2a)に1色による着色処理を施した場合である。着色の色としては、白、黒、青系、赤系、灰色系等が採用されるが、この着色は適用する生物試料の種類に応じて適切な色の着色が施される。このような着色によって、細切り作業中に試料が鮮明に観察できるようになり、細切り作業が確実かつ迅速、容易にできるようになる。
【0028】
図9の例では、プレート2が仕切り板(7,8)によって複数の区画に仕切られ、各々の区画a〜cの底面に異なる色の着色が施されている。試料によって適応する色が異なり、したがって、細切り作業に際して対象とする生物試料に適合した色の区画を選び、その区画で細切り作業を行うことにより、1枚の切出し板で種々の色適合性をもつ生物試料の細切り処理が可能となる。一例を挙げると、臓器のうち肝臓試料では赤系が適し、膵臓の場合は白色あるいは灰色系が適している。
【0029】
以上説明したように本発明によれば、プレートの側部に側壁を形成して固定液、固定剤などの処理液がこぼれないようにするとともに、生物試料を載置するプレートの底面を傾斜面とすることにより、固定液の界面での表面張力を利用して生物試料を液に触れさせながら傾斜面に密着させて細切り処理するのがきわめて容易となる。特に、人あるいは動物の生物試を必要な大きさに切り出し固定液で固定する際に、試料の種類別に仕切り、かつ、固定液に触れさせながら試料の乾燥や劣化、変質を防ぎ、効率よく複数の試料を迅速かつ容易に細切り処理するのが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1に係る生物試料切出し板の平面図(A)及び側部断面図(B)である。
【図2】本発明の実施形態2に係る生物試料切出し板の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態3に係る生物試料切出し板の斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図4】本発明の実施形態3の変形例に係る生物試料切出し板の平面図(A)、(A)図のB−B線に沿った断面図(B)、及び(A)図のC−C線に沿った断面図(C)である。
【図5】本発明の実施形態3の他の変形例に係る生物試料切出し板の平面図である。
【図6】本発明の実施形態4に係る切出しの平面図(A)及び(A)図のD−D線に沿った側面断面図(B)である。
【図7】本発明の実施形態5に係る生物試料切出し板の側部断面図である。
【図8】本発明の実施形態7に係る生物試料切出し板の平面図である。
【図9】本発明の実施形態7の他の例に係る生物試料切出し板の平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 生物試料切出し板
2 矩形状のプレート
2a 傾斜面
2b 底部
3,5 側壁
4 円形状のプレート
4a 傾斜面
6〜14 仕切り板
15 窪み部
16 試料
17 保温効果のある材料
18 固定液(培養液)
S プレート中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本を作製するため生物試料をプレート上に載せて切断する生物試料切出し板であって、前記プレートの試料載置面の全面または少なくとも一部に傾斜面が形成され、かつ該プレートの外周部に液漏出止めの側壁が形成されていることを特徴とする生物試料切出し板。
【請求項2】
前記プレート上の試料載置面に仕切りが設けられ、これによって前記試料載置面が複数の区画に分けられている請求項1に記載の生物試料切出し板。
【請求項3】
前記プレートに定温維持機能を付与した請求項1または2に記載の生物試料切出し板。
【請求項4】
前記プレートの試料載置面に生物試料を一時保持する窪み部を形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
【請求項5】
前記プレートの表面に親水性をもたらす処理を施した請求項1〜4のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
【請求項6】
前記プレート色付け処理を施した請求項1〜5のいずれか1項に記載の生物試料切出し板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の生物試料切出し板を用い、傾斜面上の固定液の界面部分で生物試料を細切することを特徴とする電子顕微鏡または光学顕微鏡用の組織細胞標本の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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