説明

組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造

【課題】組込式加熱調理器の前面操作部をテープ止めした保護部材によって保護した場合に、施工完了後に簡単に保護部材固定用のテープが剥離できて、保護部材を取り除くために手間を要しない、施工性に優れた組込式加熱調理器の保護部材の取り付け構造を提供する。
【解決手段】保護部材を筐体の前面の所定位置に保持する粘着テープにおける一端側の先端より手前に設けた保持用粘着部を、筐体の前面に連なる一面における保持用貼付部に貼付して、さらに、粘着テープの保持用粘着部よりも先端側に延長粘着部を備え、延長粘着部と前記一面との間にテープ剥がし具を配設し、延長粘着部をテープ剥がし具における延長粘着部貼付部に貼付してテープ剥がし具を前記一面に保持し、テープ剥がし具には、筐体の前面側に延びる操作部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭で使用する組込式加熱調理器の保護部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理器本体をキッチンキャビネットの天板開口部から挿入し、キャビネットの前面開口部に調理器本体の前面に備える操作部をのぞませるように設置した組込式調理器が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
このような設置方法の場合、調理器本体をキッチンキャビネットの天板開口部から挿入し、キャビネットの前面開口部に調理器本体の前面に備える操作部をのぞませるまでの施工の間に、調理器本体の前面に備える操作部がキッチンキャビネットと干渉しないように注意して作業されるものであるが、もし、上記操作部がキッチンキャビネットと干渉した場合には、操作部が損傷するおそれがある。
【0004】
このような場合、調理器本体の前面に備える操作部を保護部材によって保護しておくことにより、上記操作部がキッチンキャビネットと干渉した場合にも上記操作部の損傷が防止できるのであり、上記保護部材を装着するためのコストを抑制するために、上記保護部材を調理器本体にテープ止めする方法を用いることが考えられる。
【0005】
そして、上記保護部材を調理器本体にテープ止めする方法を用いる場合には、調理器本体の前面に保護部材で覆い、この保護部材の前面から保護部材固定用のテープを貼付して、この保護部材固定用のテープの一端を調理器本体の前面近傍の調理器本体の上面に貼付し、保護部材固定用のテープの他端を調理器本体の前面近傍の調理器本体の下面に貼付することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−323223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記施工が完了した後には上記保護部材を取り除くために保護部材固定用のテープを剥がす必要があるが、美観上の理由から、調理器本体の前面近傍の調理器本体の上面および下面とキッチンキャビネットとの隙間は小さくなるように寸法が定められていることが多く、保護部材固定用のテープの一端または保護部材固定用のテープの他端から保護部材固定用のテープを剥がすための、調理器本体の前面近傍の調理器本体の上面または下面とキッチンキャビネットとの隙間に指の挿入が困難である。
【0008】
また、保護部材上に貼付されている保護部材固定用のテープを前方に引っ張っても、保護部材固定用のテープの一端には、調理器本体の前面近傍の調理器本体の上面から上方に剥離させる方向の力が作用せず、また、保護部材固定用のテープの他端には、調理器本体の前面近傍の調理器本体の下面から下方に剥離させる方向の力が作用しにくいものであるから、保護部材固定用のテープを剥がすことが困難なものとなってしまうという課題があり、改善が望まれるものであった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するもので、調理器本体をキッチンキャビネットの天板開口部から挿入し、キャビネットの前面開口部に調理器本体の前面に備える操作部をのぞませるように設置した組込式調理器において、施工中における上記操作部を保護するために、上記操作部をテープ止めした保護部材によって保護した場合にも、施工完了後に簡単に保護部材固定用のテープが剥離できて、保護部材を取り除くために手間を要しない、施工性に優れた組込式加熱調理器の保護部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明の組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造は、第1特徴構成として、前面に前面パネルが配設される筐体を前面に備えた加熱調理器本体を、キッチンキャビネットの上面に形成した上面開口部から挿入し、前記キッチンキャビネットの前面に形成した前面開口部に前記前面パネルを臨ませて設置する設置過程を経て前記キッチンキャビネットに組み込まれ、前記設置過程の終了後において、前記筐体の上面および下面および側面の一部または全部が、前記前面開口部周辺との間に間隙を有して前記前面開口部の奥側に位置する状態となる組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造であって、前記前面パネルを保護する保護部材を、前記前面パネルの前面を覆う所定位置に配設し、前記保護部材を前記所定位置に保持する粘着テープにおける前記保護部材に貼付される部分から延びる一端側の先端より手前に設けた保持用粘着部を前記筐体の上面または下面または側面の内の少なくとも一面における保持用貼付部に貼付して前記保護部材を前記所定位置に保持し、さらに、前記粘着テープの前記保持用粘着部よりも先端側に延長粘着部を備え、前記延長粘着部と前記一面との間にテープ剥がし具を配設し、前記延長粘着部を前記テープ剥がし具における延長粘着部貼付部に貼付して前記テープ剥がし具を前記一面に保持し、前記テープ剥がし具には、前記筐体の前面側に延びる操作部が設けられて構成されるものである。
【0011】
上記構成により、前記設置過程の終了後において、前記筐体の上面および下面および側面の一部または全部が、前記前面開口部周辺との間に間隙を有して前記前面開口部の奥側に位置する状態となった場合で、上記間隙が狭く、指の間隙への挿入が困難で、粘着テープの先端を上記一面から引き剥がすことが困難な場合であっても、上記テープ剥がし具の操作部を指の届く位置まで達するように構成しておくことにより、上記テープ剥がし具の操作部を手前に引くことによって、上記粘着テープの保持用粘着部と延長粘着部との境界を上記一面から引き剥がす力が作用することになるから、上記粘着テープの保持用粘着部と延長粘着部との境界の上記一面からの剥離が始まり、そのまま上記テープ剥がし具の操作部を手前に引くことを継続するだけで、上記粘着テープの保持用粘着部の全てが上記一面から剥離し、上記粘着テープの上記一面からの剥離を容易に完了することができる。
【0012】
つまり、上記テープ剥がし具を用いないで、粘着テープの先端側の全てを上記一面に貼付してある場合には、保護部材上に貼付されている保護部材固定用の粘着テープを前方に引っ張っても、上記一面とキッチンキャビネットの前面開口部の周縁との隙間が小さいことに起因して、保護部材固定用の粘着テープの先端には、上記一面から剥離させる方向の力が作用しないので、保護部材固定用のテープを剥がすことが困難であるが、上記テープ剥がし具を用いた場合には、上記テープ剥がし具の操作部を手前に引くことによって、上記粘着テープの先端側から上記一面からの剥離が始まり、上記テープ剥がし具の操作部を手前に引くことの継続によって、上記粘着テープの上記一面からの剥離を容易に完了させることができる。
【0013】
また、第2特徴構成として、前記テープ剥がし具が、外形が矩形である薄板を前記矩形の一辺を前面側にして前記一面上に配設し、前記一辺から前記一辺と対向する他辺に向けて凹没して前記薄板が欠損する欠損部を設け、前記他辺側に前記薄板が残存する他辺側残存部、および、前記一辺側に前記欠損部以外の前記薄板が残存する一辺側残存部を形成して構成されており、前記一面における前記欠損部に対応する領域を前記保持用貼付部とし、前記他辺側残存部を前記延長粘着部貼付部とし、前記一辺側残存部を前記操作部とすることが好ましい。
【0014】
このように構成した場合、上記効果に加えて、外形が矩形である薄板の一辺を前面側にして前記一面上に配設し、前記一辺から前記一辺と対向する他辺に向けて凹没して前記薄板が欠損する欠損部を設けるだけの簡単な構成で上記テープ剥がし具が構成できるものとなる。
【0015】
つまり、矩形の薄板の一部に欠損部を設けるだけの簡単な構成で上記テープ剥がし具が構成できる。
【0016】
また、第3特徴構成として、前記テープ剥がし具が紙系材料からなり、前記操作部に、前記テープ剥がし具の操作手順が表示されていることが好ましい。
【0017】
このように構成した場合、上記第1特徴構成による効果または上記第2特徴構成による効果のいずれかに加えて、材料が安価で加工が容易な紙系材料を用いて、低コストでテープ剥がし具を構成することができる。
【0018】
しかも、操作部に前記テープ剥がし具の操作手順が表示されているから、より一層簡単で確実に上記粘着テープの上記一面からの剥離を完了させることができるものとなる。因みに、紙系材料を用いることで、印刷等による簡便な方法を用いて、操作部へのテープ剥がし具の操作手順の表示が容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
調理器本体をキッチンキャビネットの天板開口部から挿入し、キャビネットの前面開口部に調理器本体の前面に備える操作部を臨ませるように設置した組込式調理器において、施工中における上記操作部を保護するために、上記操作部をテープ止めした保護部材によって保護した場合にも、施工完了後に簡単に保護部材固定用のテープが剥離できて、保護部材を取り除くために手間を要しない、優れた施工性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態における組込式加熱調理器の保護部材の取り付け前における全体構成図(加熱調理器の天板を省略)
【図2】同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んで、保護部材を取り除いた状態を示す図(加熱調理器の天板を省略)
【図3】同上の組込式加熱調理器への保護部材の取り付けの途中状態を示す図(加熱調理器の天板を省略)
【図4】同上の組込式加熱調理器への保護部材の取り付けの途中状態を示す図(加熱調理器の天板を省略)
【図4a】図4の状態に対応する模式図
【図4b】図4の状態から図5の状態に至る状態を示す模式図
【図5】同上の組込式加熱調理器への保護部材の取り付けの途中状態を示す図(加熱調理器の天板を省略)
【図6】同上の組込式加熱調理器への保護部材の取り付け後の状態を示す図(加熱調理器の天板を省略)
【図7】保護部材の取り付け後における同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ状態を示す模式図
【図8】同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後において保護部材を取り除く工程を示す模式図
【図9】同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後において保護部材を取り除く工程を示す模式図
【図9a】同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後において保護部材を取り除く工程を示す模式図
【図10】同上の組込式加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ後において保護部材を取り除く工程を示す模式図
【図11】同上の組込式加熱調理器に用いられるテープ剥がし具の平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の組込式加熱調理器の第1実施形態としてのドロップインコンロAの保護部材30の取り付け前における全体構成を示すものであり、天板2を取り外した状態を示している。
【0023】
図2に示すように、ドロップインコンロAはキッチンキャビネット23の上面開口部7aから落とし込まれて設置されて、キッチンキャビネット23の上面開口部7a周縁に、ドロップインコンロ本体1の上端周縁に備える鍔部1fを係止させてキッチンキャビネット23の上面開口部7aに吊持される。また、キッチンキャビネット23の上面開口部7aよりも大きい、本体1の上部開口を覆うための天板2(図示せず)と、天板2に設けた開口を貫通して天板2の上方にその炎口部を露出することになる3つのバーナ3を備えている。
また、図2に示すように、キッチンキャビネット23の前面開口部7bには、円筒状の回転操作部80などが配列される前面パネル8を臨ませて設置される。
【0024】
図1に示すように、上記前面パネル8は、ドロップインコンロ本体1の前面に備える筐体20の前面に配設されている。そして、筐体20をキッチンキャビネット23の上面開口部7aから挿入しキッチンキャビネット23の前面開口部7bに前面パネル8を臨ませて設置させる設置過程を経て、ドロップインコンロ本体1をキッチンキャビネット23に組み込んだ後、すなわち、上記設置過程の終了後においては、上記筐体20の上面20a、上記筐体20の下面20b(図示せず)、上記筐体20の側面20cのほとんどが、図2に示すように、上記上面開口部7aの周辺と筐体20との間に形成される上方の間隙17、下方の間隙19、側方の間隙18の奥側にそれぞれ位置することになる。
【0025】
このようにして、前面パネル8とキッチンキャビネット23の前面を略同一面とすることになり、キッチンキャビネット23とドロップインコンロAとの一体感が得られることになるが、上記設置過程において前面パネル8をキッチンキャビネット23と接触させた場合には、前面パネル8を損傷するおそれがあり、前面パネル8の損傷を防止するために以下の対策が講じられている。
【0026】
工場からドロップインコンロAを出荷する前の梱包工程において、保護部材30(図3等参照)が取り付けられており、上記設置過程が終了した時点でこの保護部材30を取り除くようにしてあり、上記設置過程における前面パネル8の損傷が防止されるもので、以下、この保護部材30の取り付け構造について詳述する。
【0027】
図3に示すように、上記前面パネル8を保護する保護部材30は、上記前面パネル8の前面を覆う所定位置である筐体20の前面に配設され、図4に示す状態に至る。図4の状態に対応する模式図(側面図)を図4aに示す。
【0028】
その後、図4b(模式図)に示すように、テープ剥がし具50が、保護部材30の上面31から筐体20の上面20aに亘るように載置され、図5の状態となる。
【0029】
図11に示すように、保護部材30は、紙系材料から成る矩形の薄板(例えば、ボール紙)から成り、ドロップインコンロAの前面側に配設されることになるその一辺56から一辺56と対向する他辺57に向かって凹没する欠損部53を設けたものであり、他辺57の側は上記薄板(例えば、ボール紙)が残存する他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54となっている。また、操作部には後述する操作手順を示す表示55が印刷されている。
【0030】
図5に示すように、テープ剥がし具50が、保護部材30の上面31から筐体20の上面20aに亘るように載置された状態では、保護部材30の上面31の一部と筐体20の上面20aの一部をテープ剥がし具50の欠損部53に臨ませた状態となる。
【0031】
その後、粘着テープ40によって、テープ剥がし具50および保護部材30を固定することになるが、このとき、図6に示すように、保護部材30を前面パネル8の前面を覆う所定位置である筐体20の前面に保持するために、粘着テープ40における保護部材30に貼付される部分43から延びる粘着テープ40の一端側の先端44より手前に設けた保持用粘着部41を筐体20の上面20aにおける保持用貼付部21に貼付して保護部材30を上記記所定位置に保持され、粘着テープ40の保持用粘着部41よりも先端側に存在する延長粘着部42が、テープ剥がし具50の他辺57(図11参照)の側に上記薄板(例えば、ボール紙)が残存する他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54の表面に貼付されて、テープ剥がし具50が、筐体20の上面20aに保持される。
【0032】
なお、図11に示すように、テープ剥がし具50の一辺56の側において凹没している欠損部53以外の一辺56側には上記薄板(例えば、ボール紙)が残存することになるが、この一辺56側において上記薄板(例えば、ボール紙)が残存する部分が操作部52となり、後述するように、上記設置過程の終了後における粘着テープ40の剥離および取り外しによる保護部材30の取り外しを容易にしている。
【0033】
以下、図7〜図10に示す模式図を参照して、粘着テープ40の剥離および取り外しによる、保護部材30の取り外しについて説明する。
【0034】
図7は、保護部材30の取り付け後におけるドロップインコンロAを、上記設置過程を経てキッチンキャビネット23に組み込んだ状態を示す模式図であり、キッチンキャビネット23の前面開口部7bに、その前面に保護部材30を粘着テープ40で保持することで取りつけられた筐体20の前面側を臨ませている。このとき、粘着テープ40の一端側の先端44は前面開口部7bにおける奥に位置して、上記延長粘着部42がテープ剥がし具50の他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54に貼付されている。なお、図7〜図10においては模式的に構造を示すために、粘着テープ40の保持用粘着部41もテープ剥がし具50に貼付されているように作図されているが、実際には図6に示すように保持用粘着部41は、筐体20の上面20aにおける保持用貼付部21に貼付されている。
【0035】
図7において、テープ剥がし具50の操作部52も、キッチンキャビネット23の前面開口部7bに臨ませており、図11に示すような操作部に印刷された操作手順を説明する文章「施工完了後、このシートを(1)→(2)の順に手前に引き、テープをはずして下さい。」および操作順序を示す番号「(1)(2)」を参照しながら、図7の状態からテープ剥がし具50の操作部52を指でつまむことが可能であり、テープ剥がし具50の操作部52を指でつまんで前面方向(図8のF方向)に引っ張ると、テープ剥がし具50の他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54に上記前方向に力が作用し、テープ剥がし具50の他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54が上記前方向に移動しようとする。
【0036】
一方、粘着テープ40の保持用粘着部41は筐体20の上面20aにおける保持用貼付部21に貼付されており、テープ剥がし具50の他辺側残存部(延長粘着部貼付部)54が上記前方向に移動しようとすると、粘着テープ40における保持用粘着部41と延長粘着部42との境界には、筐体20の上面20aから剥離しようとする力が作用し、粘着テープ40における保持用粘着部41と延長粘着部42との境界部分が筐体20の上面20aから剥離する。
【0037】
そして、さらにテープ剥がし具50の操作部52を指でつまんで前面方向(図8のF方向)に引っ張り続けると、粘着テープ40における保持用粘着部41と粘着テープ40において既に剥離した部分との境界には筐体20の上面20aから剥離しようとする力が作用することとなり、粘着テープ40における保持用粘着部41の剥離が進行した図8の状態に至る。
【0038】
その後、さらにテープ剥がし具50の操作部52を指でつまんで前面方向(図8のF方向)に引っ張り続けると、粘着テープ40における保持用粘着部41の全面が筐体20の上面20aから剥離した状態となり、保護部材30を筐体20の前面から取り外せる状態(図9参照)となる。なお、本実施例においては、3本の粘着テープ40によって保護部材30を上記所定位置に保持するものであり、3本ある粘着テープ40の内における全ての粘着テープ40における保持用粘着部41の全面が筐体20の上面20aから剥離した状態では図9に示す保護部材30が筐体20の前面から取り外せる状態となるが、3本ある粘着テープ40の内における1本乃至2本だけの粘着テープ40における保持用粘着部41が筐体20の上面20aから剥離した状態では、図9aに示すように、保護部材30は筐体20の前面に留まり、保持用粘着部41が筐体20の上面20aから剥離した粘着テープ40の保護部材30に貼付される部分43が保護部材30の前面から剥離した状態を経ることになる。
【0039】
そして、3本ある粘着テープ40の内における全ての粘着テープ40における保持用粘着部41が筐体20の上面20aから剥離した状態を経て、図10に示すように保護部材30が筐体20の前面から取り外された状態に至る。なお、筐体20の下面20bには、粘着テープ40と筐体20の下面20bとの間にテープ剥がし具50が配設されていないが、粘着テープ40における保持用粘着部41が筐体20の上面20aから剥離した状態においては、粘着テープ40と筐体20の下面20bとの接合部を中心として保護部材30と共に粘着テープ40を回動させる(図9参照)、または、粘着テープ40と筐体20の下面20bとの接合部を中心として保護部材30から剥離させながら粘着テープ40を回動させる(図9参照)ことによって、粘着テープ40を筐体20の下面20bよりも下方向に引っ張ることが可能となるから、粘着テープ40と筐体20の下面20bとの接合部において、粘着テープ40を筐体20の下面20bから剥離させる方向に粘着テープ40に対して力を作用させることが可能となり、粘着テープ40を筐体20の下面20bから剥離させることができる。
【0040】
〔別実施例〕
(1)上記第1実施例においては、テープ剥がし具50を筐体20の上面20aだけに備える実施例を示したが、筐体20の側面20c、或いは筐体20の下面20bのいずれか1面、又は、筐体20の上面、或いは筐体20の側面20c、或いは筐体20の下面20bの内の複数の面にテープ剥がし具50を備えてもよい。
(2)上記第1実施例においては、テープ剥がし具50を薄板(例えば、ボール紙)の一部を凹没することで構成する実施例を示したが、矩形の延長粘着部貼付部54の左右両端に操作部52を連結して構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかる組込式加熱調理器における保護部材の取り付け構造は、キッチンキャビネットの前面開口部に前面パネルを臨ませて組み込む場合に、美観を良好に保って組み込むことができるとともに組み込み後におけるその取り外しが容易な保護部材の取り付け構造を提供するものであり、一般家庭で使用するキッチンキャビネットの前面開口部に前面パネルを臨ませて配置する組込式加熱調理器等の用途に広く適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 ドロップインコンロ本体
1f 鍔部
2 天板
3 バーナ
7a 上面開口部
7b 前面開口部
8 前面パネル
17 上方の間隙
18 側方の間隙
19 下方の間隙
20 筐体
20a 筐体の上面
20b 筐体の下面
20c 筐体の側面
21 保持用貼付部
23 キッチンキャビネット
30 保護部材
31 保護部材の上面
40 粘着テープ
41 保持用粘着部
42 延長粘着部
43 保護部材に貼付される部分
44 一端側の先端
50 テープ剥がし具
52 操作部
53 欠損部
54 他辺側残存部(延長粘着部貼付部)
55 表示
56 一辺(前面側)
57 他辺
80 円筒状の回転操作部
A ドロップインコンロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に前面パネルが配設される筐体を前面に備えた加熱調理器本体を、キッチンキャビネットの上面に形成した上面開口部から挿入し、前記キッチンキャビネットの前面に形成した前面開口部に前記前面パネルを臨ませて設置する設置過程を経て前記キッチンキャビネットに組み込まれ、
前記設置過程の終了後において、前記筐体の上面および下面および側面の一部または全部が、前記前面開口部周辺との間に間隙を有して前記前面開口部の奥側に位置する状態となる組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造であって、
前記前面パネルを保護する保護部材を、前記前面パネルの前面を覆う所定位置に配設し、前記保護部材を前記所定位置に保持する粘着テープにおける前記保護部材に貼付される部分から延びる一端側の先端より手前に設けた保持用粘着部を前記筐体の上面または下面または側面の内の少なくとも一面における保持用貼付部に貼付して前記保護部材を前記所定位置に保持し、さらに、
前記粘着テープの前記保持用粘着部よりも先端側に延長粘着部を備え、
前記延長粘着部と前記一面との間にテープ剥がし具を配設し、前記延長粘着部を前記テープ剥がし具における延長粘着部貼付部に貼付して前記テープ剥がし具を前記一面に保持し、
前記テープ剥がし具には、前記筐体の前面側に延びる操作部が設けられていることを特徴とする、組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造。
【請求項2】
前記テープ剥がし具が、外形が矩形である薄板を前記矩形の一辺を前面側にして前記一面上に配設し、前記一辺から前記一辺と対向する他辺に向けて凹没して前記薄板が欠損する欠損部を設け、前記他辺側に前記薄板が残存する他辺側残存部、および、前記一辺側に前記欠損部以外の前記薄板が残存する一辺側残存部を形成して構成されており、
前記一面における前記欠損部に対応する領域を前記保持用貼付部とし、前記他辺側残存部を前記延長粘着部貼付部とし、前記一辺側残存部を前記操作部とすることを特徴とする請求項1に記載の組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造。
【請求項3】
前記テープ剥がし具が紙系材料からなり、前記操作部に、前記テープ剥がし具の操作手順が表示されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の組込式加熱調理器に用いられる保護部材の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−43662(P2013−43662A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181149(P2011−181149)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)
【Fターム(参考)】