説明

組電池

【課題】高い強度の電池保持構造を得ることができる組電池を提供する。
【解決手段】複数の電池セル11からなる第1の電池集合体10と、第1の電池集合体10に隣接して設置され、複数の電池セル21からなる第2の電池集合体20と、第1の電池集合体10の電池セル11の底面を保持する第1の保持部材30と、第2の電池集合体20の電池セル21の底面を保持する第2の保持部材40と、第1の保持部材30と第2の保持部材40を連結する第1の連結部材50と、を備え、第1の保持部材30および第2の保持部材40と、第1の連結部材50とを組み合わせることにより閉断面Q1を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車を含む電気自動車等に搭載される組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等に搭載される二次電池は、例えば、電池セルを水平方向に積層して構成されたバッテリモジュールを、ロワーケース上にボルトを介して固定するとともに、外部荷重と絶縁の目的でバッテリモジュールをカバーで覆う構造が提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−236826号公報(図3,図10)
【特許文献2】特開2003−249202号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリモジュール全体の荷重をロワーケースのみで受けるため、ロワーケースの強度が必要となり、結果的に重量が増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、高い強度の電池保持構造を得ることができる組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の電池セルからなる第1の電池集合体と、前記第1の電池集合体に隣接して設置され、複数の電池セルからなる第2の電池集合体と、前記第1の電池集合体の電池セルの底面を保持する第1の保持部材と、前記第2の電池集合体の電池セルの底面を保持する第2の保持部材と、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材を連結する第1の連結部材と、を備え、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材と、前記第1の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1の保持部材と第2の保持部材と第1の連結部材とで閉断面を形成することにより、各電池セルを高い強度で保持することが可能になる。よって、重量の重い保持部材を用いることなく、板状の部材を組み合わせるだけで強度の高い保持構造を得ることができる。
【0008】
また、前記第1の電池集合体および前記第2の電池集合体において、それぞれの前記電池セルが隙間を設けて配置され、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材には、前記隙間と対応する位置に通風孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、例えば、電池セルからの熱が通風孔を介して排出されるので、電池セル間で空気が淀むことがなくなり、熱がこもるのを防止することが可能になる。
【0010】
また、前記第1の電池集合体の電池セルの上面を保持する第3の保持部材と、前記第2の電池集合体の電池セルの上面を保持する第4の保持部材と、前記第3の保持部材と前記第4の保持部材とを連結する第2の連結部材と、を備え、前記第3の保持部材および前記第4の保持部材と、前記第2の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成したことを特徴とする。
【0011】
これによれば、電池セルの底面と上面の双方に閉断面が形成されることで、各電池セルをさらに高い強度で保持することができるとともに、組電池の高さ方向に対する制約を緩和することが可能になる。つまり、組電池の高さ寸法を長くして(例えば、縦長の組電池を設けて)、組電池の重心が高くなるように設計したとしても、組電池を安定して保持することが可能になる。
【0012】
また、前記第1の電池集合体の電池セルの上面を保持する第3の保持部材と、前記第2の電池集合体の電池セルの上面を保持する第4の保持部材と、前記第3の保持部材と前記第4の保持部材を連結する第2の連結部材と、を備え、前記第3の保持部材および前記第4の保持部材と、前記第2の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成し、前記第1の電池集合体および前記第2の電池集合体において、それぞれの前記電池セルが隙間を設けて配置され、前記第3の保持部材および前記第4の保持部材には、前記隙間と対応する位置に通風孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、電池セルの底面と上面の双方に閉断面が形成されることで、各電池セルをさらに高い強度で保持することができるとともに、組電池の高さ方向に対する制約を緩和することが可能になり、さらに閉断面を冷却風の通路として利用できる。
【0014】
例えば、第3の保持部材と第4の保持部材と第2の連結部材とで形成された閉断面、通風孔、電池セル間の隙間、通風孔、および第1の保持部材と第2の保持部材と第1の連結部材とで形成された閉断面に冷却風を通流させることができる。
【0015】
また、いずれか一方の前記閉断面の下流側に冷却ファンを設けることを特徴とする。
【0016】
これによれば、例えば、第3の保持部材と第4の保持部材と第2の連結部材とで構成された閉断面の下流側に冷却ファンを設けることにより、冷却風の通流を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い強度の電池保持構造を得ることができる組電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の組電池を示す外観斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2の一部拡大断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】本実施形態の組電池の底側の主要部を示す分解斜視図である。
【図6】本実施形態の組電池の上側の主要部を示す分解斜視図である。
【図7】冷却風の流れを示す縦断面図である。
【図8】本実施形態の組電池を車両に搭載したときの一例を示す斜視図である。
【図9】本実施形態の組電池において、冷却風の流れを模式的に示す図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ他の実施形態の組電池を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る組電池1について図1ないし図10を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の組電池1は、第1の電池集合体10(図2参照)、第2の電池集合体20(図2参照)、第1の保持部材30、第2の保持部材40、第1の連結部材50、第3の保持部材60、第4の保持部材70、第2の連結部材80などで構成されている。なお、以下に示す本実施形態の組電池1は、車両V(図8参照)に搭載されるものであり、図1において上下方向が車両Vの上下方向(重力方向、鉛直方向)に相当し、図示左右方向(長手方向)が車両Vの車幅方向に相当し、図示前後方向が車両Vの前後方向に相当するものとして説明する。
【0020】
また、本実施形態の組電池1では、第1の保持部材30と第2の保持部材40と第1の連結部材50とが組み合わされたものが、第1の電池集合体10および第2の電池集合体20の底面側に設けられ、第3の保持部材60と第4の保持部材70と第2の連結部材80とが組み合わされたものが、第1の電池集合体10および第2の電池集合体20の上面側に設けられている。
【0021】
図2に示すように、第1の電池集合体10は、複数の電池セル11(単電池)が車幅方向(図示左右方向)に一列に並んで配置されて構成されている。電池セル11は、角形(角柱形)のものであり、リチウムイオンやニッケル水素などの充電可能な二次電池で構成されている。また、第2の電池集合体20は、電池セル11と同様に構成された複数の電池セル21(単電池)が車幅方向に一列に並び、かつ、第1の電池集合体10の各電池セル11に隣接して配置されている。すなわち、第1の電池集合体10と第2の電池集合体とが同じ高さ位置において、各電池セル21が、各電池セル11に対して前後方向において重なる位置に配置されている。このように、第1の電池集合体10と第2の電池集合体20とが車幅方向に沿って2列になって配置されている。
【0022】
また、電池セル11と電池セル11との間には、セパレータSP1が設けられている。なお、並び方向(車幅方向)の両端部に位置する電池セル11は、後記するエンドプレート18と電池セル11との間にセパレータSP1が設けられている(一方のみ図示)。
【0023】
また、電池セル21と電池セル21との間にも、同様にして、セパレータSP2が設けられている。また、並び方向(車幅方向)の両端部に位置する電池セル21と後記するエンドプレート19との間にもセパレータSP2が設けられている(一方のみ図示)。
【0024】
図3に示すように、セパレータSP1は、ゴムなどの絶縁性を有する材料で形成され、薄板状のシートs1の両面に、図3の紙面に対して直交する方向に貫通する流路(隙間)s2が形成されている。この流路s2は、冷却風が流れて電池セル11を冷却する流路であり、電池セル11の上部から下部に至るまで連通して形成されている(図6参照)。なお、流路s2は、直線状に貫通するものに限定されず、シートs1の両面に千鳥状の突起が形成されて流路が蛇行するように形成されたものでもよく、電池セル11を冷却できる構成であれば、各種の構成を採用することができる。また、セパレータSP2についてもセパレータSP1と同様な流路(隙間)が形成されている。
【0025】
図4に示すように、第1の電池集合体10の電池セル11は、その一側面の上部と下部に端子11a,11bが後方に向けて突出して形成されている。また、第2の電池集合体20の各電池セル21は、前記一側面とは反対側の一側面の上部と下部に端子21a,21bが前方に向けて突出して形成されている。
【0026】
また、第1の電池集合体10および第2の電池集合体20は、前後方向でバスバプレート12とバスバプレート13とで挟持されている。なお、バスバプレート12,13は、例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料によって板状に形成されている。
【0027】
また、バスバプレート12の上部には、開口部12aが形成され、下部には開口部12bが形成され、開口部12a,12b内に電池セル11の端子11a,11bが突出している。なお、バスバプレート13の上部と下部にも同様にして、開口部13a,13bが形成され、この開口部13a,13b内に電池セル21の端子21a,21bが突出している。
【0028】
また、バスバプレート12の外側には、端子11a,11bを含むバスバプレート12の外面を覆うように板状の端子カバー14が設けられている。また、バスバプレート13の外側にも端子21a,21bを含むバスバプレート13の外面を覆うように板状の端子カバー15が設けられている。
【0029】
なお、第1の電池集合体10において、例えば、電池セル11のプラス極が上側の端子11aで、マイナス極が下側の端子11bである場合、隣り合う電池セル11のマイナス極が上側の端子11aになり、プラス極が下側の端子11bになるように、電池セル11のプラス極およびマイナス極が交互に上下反転するようにして配置されている。
【0030】
例えば、図1に示すように、第1の電池集合体10(図2参照)において、電池セル11(図4参照)の下側の端子11bのマイナス極(−)と、隣り合う電池セル11の下側の端子11bのプラス極(+)とがバスバ17A(17)によって互いに接続され、バスバ17A(17)が締結ナットN,Nを介して端子11b,11bに固定されている。また、前記隣り合う電池セル11の上側の端子11aのマイナス極(−)と、さらに隣り合う電池セル11の上側の端子11aのプラス極(+)とがバスバ16A(16)によって互いに接続され、バスバ16A(16)が締結ナットN,Nを介して端子11a,11aに固定されている。このようにして、第1の電池集合体10において、すべての電池セル11が電気的に直列に接続されている。
【0031】
また、第2の電池集合体20についても、前記第1の電池集合体10と同様にして、バスバ16,17(図4参照)によって、すべての電池セル21が電気的に直列に接続されている。また、第1の電池集合体10の一方の端部の電池セル11と第2の電池集合体20の一方の端部の電池セル21は、図示しない接続部材(バスバ)によって電気的に直列に接続されている。また、第1の電池集合体10の他方の端部の電池セル11と第2の電池集合体20の他方の端部の電池セル21は、組電池1の外部に取り出されて、図示しない外部負荷(例えば、走行モータなど)と接続されるように構成されている。
【0032】
また、第1の電池集合体10(図2参照)の並び方向(車幅方向)の端部には、コ字状に折り曲げ形成された金属製のエンドプレート18が、その凹面が外側を向くように配置され、第1の保持部材30とボルトB1およびナットN1を介して連結され、第3の保持部材60とボルトB1およびナット(不図示)を介して連結されている。また、第2の電池集合体20の端部にも、同様な構成のエンドプレート19が、ボルトB1およびナットN1を介して第2の保持部材40と第4の保持部材70に連結されている。
【0033】
図5に示すように、第1の保持部材30は、鉄やアルミなどの金属製の板材(第2の保持部材40、第1の連結部材50、第3の保持部材60、第4の保持部材70、第2の連結部材80も同様)によって左右方向から側面視において略クランク状(階段状)に折り曲げ形成され、第1の電池集合体10(図2参照)の底面に位置する左右方向に細長形状の板部31と、板部31の内縁部に対して鉛直方向(上下方向、重力方向)の上方に延びる板部32と、板部31の外縁部に対して鉛直方向の下方に延びる板部33と、板部33の下縁部に対して直交する外方に延びる板部34とで構成されている。
【0034】
板部31には、長手方向(左右方向)に沿って所定間隔毎に複数のスリット状の通風孔31aが形成されている。この通風孔31aは、板部31の長手方向に直交する方向に細長く形成されている。
【0035】
また、板部31には、電池セル11を第1の保持部材30に保持させるためのボルトB5(図4参照)が挿入されるボルト挿入孔31bが通風孔31aと通風孔31aとの間に形成されている。なお、ボルト挿入孔31bは、通風孔31a,31a間においてひとつ置きごとに形成されている。
【0036】
また、板部31の長手方向の両端部には、エンドプレート18と連結するためのボルトB1(図1参照)が挿通されるボルト挿通孔31c,31cが形成されている。
【0037】
板部32には、長手方向の両端部に、第2の保持部材40と連結するためのボルト挿通孔32a,32aが形成されている。
【0038】
板部33には、バスバプレート12と連結する際のボルトB2(図4参照)が挿通されるボルト挿通孔33aが、長手方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
【0039】
板部34には、第1の連結部材50と連結するためのボルトB3(図4参照)が挿通されるボルト挿通孔34aが、長手方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
【0040】
また、第2の保持部材40は、第1の保持部材30と同じ形状であり、第1の保持部材30に対して面対称に配置されている。この第2の保持部材40は、第2の電池集合体20(図2参照)の底面に位置する板部41と、板部41の内縁部に対して鉛直方向(上下方向、重力方向)の上方に延びる板部42と、板部41の外縁部に対して鉛直方向の下方に延びる板部43と、板部43の下縁部に対して直交する外方に延びる板部44とで構成されている。
【0041】
なお、第1の保持部材30と同様にして、板部41には、通風孔41a、ボルト挿入孔41b、ボルト挿通孔41cが形成され、板部42には、ボルト挿通孔42a,42aが形成され、板部43には、ボルト挿通孔43a(一方のみ図示)が形成され、板部44には、ボルト挿通孔44a(一部のみ図示)が形成されている。
【0042】
第1の連結部材50は、第1の保持部材30及び第2の保持部材40の下側に配置され、前記板部31,41と対向する板部51と、板部51の両端縁部において、鉛直方向の上方(上下方向、重力方向)に延びる板部52,52と、板部52,52の上縁部に対して直交する外方へ延びる板部53,54とで略蓋状(溝状)に構成されている。
【0043】
板部51の外面には、凹状の溝部51aが長手方向(車幅方向)に沿って複数本平行に形成されている。この溝部51aは、強度を高めるものであり、本実施形態のように3本に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、板部51と板部52,52とによって形成される凹面が、左右方向(長手方向)からの側面視において略コ字状(略凹状)に形成され、その凹面が上方を向くように形成されている。
【0044】
板部53には、第1の保持部材30と連結される際に用いられるボルトB3(図4参照)が挿通されるボルト挿通孔53aが長手方向(車幅方向)に沿って所定間隔毎に形成されている。
【0045】
板部54には、第2の保持部材40と連結される際に用いられるボルトB4(図4参照)が挿通されるボルト挿通孔54aが長手方向(車幅方向)に沿って所定間隔毎に形成されている。
【0046】
図6に示すように、第3の保持部材60は、第1の保持部材30に対して面対称に形成され、板部61,62,63,64によって略クランク状(階段状)に形成されている。また、第1の保持部材30と同様にして、板部61には、通風孔61a、ボルト挿入孔61b、ボルト挿通孔61cが形成され、板部62には、ボルト挿通孔62aが形成され、板部63には、ボルト挿通孔63aが形成され、板部64には、ボルト挿通孔64aが形成されている。なお、ボルト挿入孔61bは、電池セル11の上部を固定するボルトB6が挿通されるものである。
【0047】
第4の保持部材70は、第3の保持部材60と同じ形状であり、第2の保持部材40に対して面対称に形成され、板部71,72,73,74によって略クランク状(階段状)に形成されている。また、第2の保持部材40と同様にして、板部71には、通風孔71a、ボルト挿入孔71b、ボルト挿通孔71cが形成され、板部72には、ボルト挿通孔72aが形成され、板部73には、ボルト挿通孔73aが形成され、板部74には、ボルト挿通孔74aが形成されている。
【0048】
第2の連結部材80は、第1の連結部材50に対して面対称に形成され、板部81,82,82,83,84によって左右方向(長手方向)からの側面視において略コ字状(溝状)に形成され、凹面が下方を向くように形成されている。また、第1の連結部材50と同様にして、板部81には、複数の溝部81aが形成され、板部83には、複数のボルト挿通孔83aが所定間隔毎に形成され、板部84には、複数のボルト挿通孔84aが所定間隔毎に形成されている。
【0049】
なお、本実施形態では、ボルト挿入孔61b,71bが、通風孔61a,61a(71a,71a)間にひとつ置き毎に設けられ、かつ、前記ボルト挿入孔31b,41bと対応しない位置に設けられている。また、本実施形態では、ボルト挿入孔31b,41bとボルト挿入孔61b,71bとをひとつ置き毎に形成したが、これに限定されるものではなく、すべての電池セル11,21に対応する位置にボルト挿入孔を形成してもよい。
【0050】
このように構成された第1の保持部材30、第2の保持部材40、第1の連結部材50、第3の保持部材60、第4の保持部材70、第2の連結部材80において、第1の保持部材30の板部32と第2の保持部材40の板部42とが当接した状態において、ボルトB1(図2参照)をボルト挿通孔32a,42aに挿通し、ナットN1(図2参照)に螺合させることで、第1の保持部材30と第2の保持部材40とを連結する。また、第3の保持部材60の板部62と第4の保持部材70の板部72とが当接した状態において、ボルトB1をボルト挿通孔32a、42aに挿通し、ナットN1に螺合させることで、第3の保持部材60と第4の保持部材70とを連結する。
【0051】
また、図4に示すように、第1の保持部材30の上面に図示しない絶縁部材を介して各電池セル11を載置した状態において、ボルトB5をボルト挿入孔31bに挿入して、電池セル11の底面に形成された図示しない螺合部に螺合させることによって、各電池セル11を第1の保持部材30の上面に保持させる。また、第2の保持部材40の上面側についても同様にして、第2の保持部材40の上面に図示しない絶縁部材を介して各電池セル21を載置した状態において、ボルトB5をボルト挿入孔41bに挿入して、各電池セル21を第2の保持部材40の上面に保持させる。このとき、連結された第1の保持部材30の板部32と第2の保持部材40の板部42とがそれぞれ電池セル11と電池セル21との間に挿入された状態となる。
【0052】
また、各電池セル11の上面と各電池セル21の上面に、図示しない絶縁部材を介して、連結された第3の保持部材60および第4の保持部材70を載置して、ボルトB6をボルト挿入孔61b(図6参照)に挿入して、電池セル21の上面に形成された図示しない螺合部に螺合させることによって、各電池セル11を第3の保持部材60の下面に保持させる。また、ボルトB6をボルト挿入孔71b(図6参照)に挿入して、各電池セル21を第4の保持部材70の下面に保持させる。このとき、連結された第3の保持部材60の板部21と第4の保持部材70の板部72とがそれぞれ電池セル11と電池セル21との間に挿入された状態となる。
【0053】
なお、各電池セル11または各電池セル21は、第1の保持部材30および第3の保持部材60の両端部に固定されるエンドプレート18により、また第2の保持部材40および第4の保持部材70の両端部に固定されるエンドプレート19により緊縛することにより、第1の保持部材30、第2の保持部材40、第3の保持部材60および第4の保持部材70に載置された状態で保持されていてもよい。このときは、各電池セル11または各電池セル21を保持するボルトB5,B6、ボルト挿入孔31b,41b,61b,71bおよび電池セル11,21の底面と上面の螺合部(不図示)は不要となる。
【0054】
また、図7に示すように、第1の保持部材30に形成された通風孔31aおよび第2の保持部材40に形成された通風孔41aは、電池セル11,21間に配設されたセパレータSP1,SP2と対応する位置に配置される。同時に、第3の保持部材60に形成された通風孔61aおよび第4の保持部材70に形成された通風孔71aは、電池セル11,21間に配設されたセパレータSP1,SP2と対応する位置に配置される。すなわち、通風孔31a,41aが、セパレータSP1,SP2に形成された流路s2の一端(下端)と連通し、通風孔61a,71aが、セパレータSP1,SP2に形成された流路s2の他端(上端)と連通している。
【0055】
また、エンドプレート18(図1および図2参照)を電池セル11の並び方向(左右方向)の一端側から第1の保持部材30と第3の保持部材60との間において凹面が外側(左側)を向くように挿入して、ボルトB1およびナットN1(図1参照)を介して第1の保持部材30と第3の保持部材60とを連結する。なお、電池セル11の並び方向(左右方向)の他端についても同様にして、エンドプレートを介して第1の保持部材30と第3の保持部材60とを連結する。
【0056】
また、エンドプレート19(図1および図2参照)を電池セル21の並び方向(左右方向)の一端側から第2の保持部材40と第4の保持部材70との間に凹面が外側(左側)を向くように挿入して、ボルトB1およびナットN1(図1参照)を介して第2の保持部材40と第4の保持部材70とを連結する。なお、電池セル21の並び方向(左右方向)の他端についても同様にして、エンドプレートを介して第2の保持部材40と第4の保持部材70とを連結する。
【0057】
また、ボルトB2(図4参照)をバスバプレート12の下部および上部に形成された各ボルト挿入孔(不図示)、第1の保持部材30のボルト挿通孔33aおよび第3の保持部材60のボルト挿通孔63aに挿通して、ナットN2に螺合させることによって、バスバプレート12の下部および上部を第1の保持部材30および第3の保持部材60に固定する。また、ボルトB2(図4参照)をバスバプレート13の下部および上部に形成された各ボルト挿入孔(不図示)に挿通して、ナットN2に螺合させることによって、バスバプレート13の下部および上部を第2の保持部材40および第4の保持部材70に固定する。
【0058】
また、第1の保持部材30の板部34と第1の連結部材50の板部53とを当接させた状態において、各ボルト挿通孔34a,53aにボルトB3を挿通して、ナットN3に螺合させることで、第1の保持部材30と第1の連結部材50の一端側とを連結する。また、第2の保持部材40の板部44と第1の連結部材50の板部54とを当接させた状態において、各ボルト挿通孔44a,54aにボルトB4を挿通して、ナットN4に螺合させることで、第2の保持部材40と第1の連結部材50の他端側とを連結する。
【0059】
また、第3の保持部材60の板部64と第2の連結部材80の板部83とを当接させた状態において、各ボルト挿通孔64a,83aにボルトB3を挿通して、ナットN3に螺合させることで、第3の保持部材60と第2の連結部材80の一端側とを連結する。また、第4の保持部材70の板部74と第2の連結部材80の板部84とを当接させた状態において、各ボルト挿通孔74a,84aにボルトB4を挿通して、ナットN4に螺合させることで、第4の保持部材70と第2の連結部材80の他端側とを連結する。
【0060】
このように、第1の保持部材30と第2の保持部材40と第1の連結部材50とを組み合わせて連結することによって略四角形状の閉断面Q1が形成される(図4参照)。また、第3の保持部材60と第4の保持部材70と第2の連結部材80とを組み合わせて連結することによって略四角形状の閉断面Q2が形成される(図4参照)。
【0061】
また、閉断面Q2によって形成された冷却風の通路の一端(左側)が、カバー部材2によって閉塞される(図1参照)。また、閉断面Q1によって形成された冷却風の通路の他端(右側)が、カバー部材3によって閉塞される(図1参照)。
【0062】
このように構成された組電池1は、図8に示すように、例えば、4ドアセダンのように前席(図示せず)と後席100を備えた車両Vに搭載した場合、後席100の背面に配置される。さらに詳述すると、複数のサブフレーム101を介して、車両Vの車体(リア側のフロアパネル)上に固定される。なお、本実施形態の組電池1は、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車などの車両Vに適用することができる。また、本実施形態の組電池1は、四輪車に限定されるものではなく、二輪車であっておよく、あるいは車両に限定されるものではなく、船舶や航空機などに適用することもできる。
【0063】
また、閉断面Q2によって形成された通路のカバー部材2とは反対側には、組電池1内に冷却風を取り込むための吸気ダクト102が接続されている。吸気ダクト102は、組電池1の上部から下部に向けて下降する流路からなる下降部102aを有し、左右方向での後席100の端部に形成された吸気口(図示せず)と連通するように構成されている。
【0064】
また、閉断面Q1によって形成された通路のカバー部材3とは反対側には、組電池1を通過した冷却風が排出されるための排気ダクト103が接続されている。排気ダクト103は、その下流側の出口近傍に冷却ファン104を備えている。排気ダクト103の冷却ファン104の下流側は、車両Vの外部と連通している。
【0065】
次に、本実施形態の組電池1の冷却動作について説明する。すなわち、組電池1の電池セル11,21が図示しない温度センサの検出値に基づいて過昇温したと、図示しない制御部によって判断されると、制御部は冷却ファン104を駆動する。これにより、図9に示すように、吸気ダクト102の吸気口(図示せず)から車室内の空気が吸引され、吸気ダクト102を介して組電池1の閉断面Q2からなるダクトに供給される。そして、各電池11,21を冷却した空気は、閉断面Q1からなるダクトに排出され、排気ダクト103を介して車外に排出される。
【0066】
なお、組電池1内に取り込まれた冷却風(空気)は、図7に示すように、閉断面Q2からなる流路を通り、第3の保持部材60の各通風孔61aおよび第4の保持部材70の各通風孔71aから吸引される。そして、冷却風は、セパレータSP1,SP2に形成された流路s2を通ることによって、電池セル11,21を放熱させて、電池セル11,21の冷却が行われる。電池セル11,21から熱を奪った冷却風は、第1の保持部材30の通風孔31aおよび第2の保持部材40の通風孔41aを通って、閉断面Q1からなる流路に排気される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の組電池1では、第1の保持部材30と第2の保持部材40と第1の連結部材50とを組み合わせて閉断面Q1を形成することにより、第1の保持部材30、第2の保持部材40および第1の連結部材50によって強度の高い部材が形成され、各電池セル11,21を従来よりも高い強度で保持することが可能になる。これにより、強度を増すために重い部材を用いる必要がなくなり、板状の部材を組み合わせるという簡単な構造で強度の高い電池保持構造を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態の組電池1では、電池セル11,21の底面に閉断面Q1を形成し、上面に閉断面Q2を形成して、電池セル11,21を上下で保持するので、組電池1の高さ寸法をより高くすることができる。つまり、電池セル11,21の高さ寸法を高くして電池セル11,21の重心を高く設計したとしても、電池セル11,21を安定して保持することが可能になる。
【0069】
また、本実施形態の組電池1では、閉断面Q1,Q2を冷却風(空気)の通路として利用できるので、冷却風の通路を別個に設ける必要がなく、部品点数の削減により、組電池1の製造工程の簡略化を図ることが可能になる。
【0070】
また、本実施形態の組電池1では、電池セル11,21間にセパレータSP1,SP2を配置して、電池セル11,21間に隙間(流路s2)を形成したとこにより、電池セル11,11間(電池セル21,21間)で空気が淀むことがなくなり、熱がこもるのを防止できる。
【0071】
また、本実施形態の組電池1では、排気ダクト103に冷却ファン104を設けた、つまり閉断面Q1の下流側に冷却ファン104を設けたので、外気(空気)が電池セル11,11間および電池セル21,21間を介して強制的に導入(導入)されるので、冷却風(空気)の通流を向上できる。
【0072】
なお、本実施形態では、第1の保持部材30、第2の保持部材40、第3の保持部材60、第4の保持部材70の形状を略階段状(略クランク状)とし、第1の連結部材50および第2の連結部材80を略蓋状(溝状)とした場合を例に挙げて説明したが、この形状に限定されるものではなく、閉断面が形成できる形状であれば、本実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、図10(a)に示すように、断面視クランク状の第1の保持部材30A、第2の保持部材40Aとし、断面視凹状の第1の連結部材50Aとして、閉断面Q1を形成してもよい。なお、図10(a)では、電池セル11,21の上側に設けられる閉断面Q2の図示を省略している(図10(b)も同様)。
【0073】
また、図10(b)に示すように、断面視略鉤状の第1の保持部材30B、第2の保持部材40Bとし、断面視略板状の第1の連結部材50Bとして、閉断面Q1を形成してもよい。
【0074】
また、第1の保持部材30、第2の保持部材40、第3の保持部材60、第4の保持部材70において、板部32,42,62,72を設けずに断面L字状に形成したものでもよい。また、図10(a)、(b)に示す第3の保持部材60A,60B、第4の保持部材70A,70Bにおいても同様である。
【0075】
また、本実施形態では、電池セル11,21間にセパレータSP1,SP2を設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、セパレータSP1,SP2を設けずに電池セル11,21間に冷却風の通路としての隙間が形成されるように、電池セル11を第1の保持部材30と第3の保持部材60とに保持させ、電池セル21を第2の保持部材40と第4の保持部材70とに保持させる構成であってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、電池セル11,21の底面側に閉断面Q1を形成し、上面側に閉断面Q2を形成した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、閉断面Q1のみを設ける構成であってもよい。
【0077】
また、本実施形態では、閉断面Q2から閉断面Q1に冷却風が流れる構成を例に挙げて説明したが、逆に閉断面Q2の下流側に冷却ファンを設け、閉断面Q1から閉断面Q2に冷却風が流れるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、各部材を結合する手段としてボルトなどを用いて締結する構成を例に挙げて説明したが、前記結合手段はこれに限定されるものではなく、溶接など他の手段を用いてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 組電池
10 第1の電池集合体
11 電池セル
20 第2の電池集合体
21 電池セル
30 第1の保持部材
31a 通風孔
40 第2の保持部材
41a 通風孔
50 第1の連結部材
60 第3の保持部材
61a 通風孔
70 第4の保持部材
71a 通風孔
80 第2の連結部材
104 冷却ファン
Q1,Q2 閉断面
s2 流路(隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルからなる第1の電池集合体と、
前記第1の電池集合体に隣接して設置され、複数の電池セルからなる第2の電池集合体と、
前記第1の電池集合体の電池セルの底面を保持する第1の保持部材と、
前記第2の電池集合体の電池セルの底面を保持する第2の保持部材と、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材を連結する第1の連結部材と、を備え、
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材と、前記第1の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成したことを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記第1の電池集合体および前記第2の電池集合体において、それぞれの前記電池セルが隙間を設けて配置され、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材には、前記隙間と対応する位置に通風孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記第1の電池集合体の電池セルの上面を保持する第3の保持部材と、
前記第2の電池集合体の電池セルの上面を保持する第4の保持部材と、
前記第3の保持部材と前記第4の保持部材とを連結する第2の連結部材と、を備え、
前記第3の保持部材および前記第4の保持部材と、前記第2の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【請求項4】
前記第1の電池集合体の電池セルの上面を保持する第3の保持部材と、
前記第2の電池集合体の電池セルの上面を保持する第4の保持部材と、
前記第3の保持部材と前記第4の保持部材を連結する第2の連結部材と、を備え、
前記第3の保持部材および前記第4の保持部材と、前記第2の連結部材とを組み合わせることにより閉断面を形成し、
前記第1の電池集合体および前記第2の電池集合体において、それぞれの前記電池セルが隙間を設けて配置され、前記第3の保持部材および前記第4の保持部材には、前記隙間と対応する位置に通風孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の組電池。
【請求項5】
いずれか一方の前記閉断面の下流側に冷却ファンを設けることを特徴とする請求項4に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−287508(P2010−287508A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141581(P2009−141581)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】