説明

組電池

【課題】組電池における単電池の放熱性能を低下を防止するとともに接続体の温度上昇を防止して、組電池のサイクル寿命性能を向上させる。
【解決手段】概略直方体形状をなす複数の単電池2を起立した状態で所定方向に密接配置し、それら単電池2の端子23A、23B間を接続体4によって接続して構成される組電池100であって、隣接する単電池2の電槽21の少なくとも一方の外側面に起立方向に沿って延びる突出部211が形成されており、接続体4が、突出部211により隣接する単電池2の間に形成される放熱空間Sの上部に位置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉛蓄電池を複数個用いて構成される組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば鉛蓄電池を充放電する場合、充放電時の発熱による鉛蓄電池の温度上昇が問題となっている。鉛蓄電池の放電時には、鉛蓄電池の内部抵抗及び分極に起因するジュール熱による発熱などが考えられる。一方、鉛蓄電池の充電時には、鉛蓄電池の内部抵抗及び分極に起因するジュール熱及び水の電気分解による発熱などが考えられる。
【0003】
このような特質を有する鉛蓄電池を単電池として組電池を構成する場合、組電池の設置スペースをコンパクトにする等の観点から各鉛蓄電池は隙間なく配置され、各鉛蓄電池(特に電槽)が空気に接触しにくくなるため、各鉛蓄電池の放熱性能が低下してしまう。そうすると、各鉛蓄電池の温度が徐々に上昇して、正極板の劣化(正極格子腐食や正極活物質の軟化)が生じてしまい、また負極板の劣化(負極活物質中の有機エキスパンダーの消失や負極活物質の膨張)が生じてしまい、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能が低下するという問題がある。
【0004】
ここで特許文献1に示すように、単電池の電槽の外側に凸部を設けて、隣接する単電池の凸部同士を接触させることによって凹部の空間を空気が通過するように構成し、組電池の放熱を行うものが考えられている。
【0005】
しかしながら、単電池の電槽の間に空間を構成するだけでは、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能の低下を防止するのに十分ではない。つまり、隣接する鉛蓄電池の端子間を接続する接続体が、鉛蓄電池の温度影響及び接続体の内部抵抗による発熱によって温度上昇してしまい、この接続体の温度上昇によっても、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能の低下という問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−85847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、組電池における単電池の放熱性能を低下を防止するとともに接続体の温度上昇を防止して、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る組電池は、概略直方体形状をなす複数の単電池を起立した状態で所定方向に密接配置し、それら単電池の端子間を接続体によって接続して構成される組電池であって、隣接する単電池の少なくとも一方の外側面に起立方向に沿って延びる突出部が形成されており、前記接続体が、前記突出部により前記隣接する単電池間に形成される放熱空間の上部に位置することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、隣接する単電池の間に放熱空間が形成されるので各単電池の放熱性能の低下を防止することができ、放熱空間の上部に接続体が位置しているので接続体の温度上昇を防止することができる。これにより、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることができる。
【0010】
特に放熱空間の上部に接続体が位置していることにより組電池の温度上昇が抑制される。組電池の温度上昇が抑制される効果は、接続体の表面から下方向に放射される熱のうち電槽に吸収されるものの割合が減ること、及び、放電空間の内部に生じる上方向の空気の流れによって接続体から空気への熱の移動が促進されることに基づくものである。
【0011】
また、組電池の温度上昇が抑制される効果がさらに優れたものとなることから、突出部又は突出部を含む電槽全体は、高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料で構成することが好ましい。なぜなら、突出部の熱伝導度が高くなって、放熱性能が向上するからである。放熱性能が向上すると、上方向への空気の流れの量が増え、その結果、接続体が冷却される作用が促進される。この作用が得られる目安は熱伝導度を0.2W/m・K以上とすることである。
【0012】
また、組電池の温度上昇が抑制される効果がさらに優れたものとなることから、放熱空間の上部開口の縦方向寸法は、接続体の幅寸法(接続体カバーを備える場合は接続体カバーの幅寸法)よりも大きくすることが好ましい。なぜなら、放電空間の内部に生じる上方向の空気の流れが接続体の底面によって阻害されるということが軽減されるからである。この構成とすることによって、上方向の空気の流れは、接続体の幅方向の一方側と他方側とに分かれて流れることができ、その結果、接続体の全表面で空気による冷却作用が得られる。
【0013】
複数の単電池を収容する組電池ケースを有するものである場合には、前記組電池ケースの側壁又は当該組電池ケースの側壁に接触する単電池の少なくとも一方に、鉛直方向に沿って延びる突出部が形成されていることが望ましい。これならば、隣接する単電池間だけでなく、組電池ケース及び単電池の間にも放熱空間を形成することができ、組電池ケース内に収容される単電池を位置に関係なく好適に冷却させることができるので、より一層組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることができる。
【0014】
前記接続体を覆う接続体カバーを有し、前記接続体カバーが、絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料からなり、前記放熱空間の上部に位置することが望ましい。これならば、接続体カバーを介して接続体を効率よく放熱させることができるとともに、当該接続体カバーが放熱空間の上部に位置することから、放熱空間から出る空気を接続体カバーにダイレクトに当てることができ接続体カバーの放熱性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、組電池における単電池の放熱性能を低下を防止するとともに接続体の温度上昇を防止して、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の組電池を模式的に示す斜視図。
【図2】同実施形態の組電池を模式的に示す平面図。
【図3】同実施形態の鉛蓄電池(単電池)を模式的に示す斜視図。
【図4】同実施形態の鉛蓄電池(単電池)を模式的に示す側面図及び平面図。
【図5】同実施形態の隣接する鉛蓄電池を示す部分拡大図。
【図6】窒化ホウ素を含むPP樹脂の熱伝導率等を評価した結果を示す図。
【図7】各組電池における高率放電サイクル寿命試験中のサイクル数及び組電池温度の推移のグラフを示す図。
【図8】各組電池における高率放電サイクル寿命試験で寿命に達するまでのサイクル数を示す図。
【図9】各凹幅合計における突出部の高さ寸法及び高率放電サイクル寿命試験中の組電池温度のグラフを示す図。
【図10】変形実施形態の鉛蓄電池を模式的に示す平面図。
【図11】変形実施形態の隣接する鉛蓄電池を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る組電池の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る組電池100は、例えば電気自動車、フォークリフト車等の運搬車、無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicles)等に搭載されて使用されるものであり、図1及び図2に示すように、概略直方体形状をなす複数の鉛蓄電池2を起立した状態で所定方向に密接配置して組電池ケース3内に収容し、それら鉛蓄電池2の端子間を接続体4によって接続して構成されている。
【0019】
具体的にこのものは、特に図2に示すように、概略直方体形状をなす複数の鉛蓄電池2と、当該複数の鉛蓄電池2を縦方向(短手方向、図2ではY方向)及び横方向(長手方向、図2ではX方向)に密接配置して収容する組電池ケース3と、複数の鉛蓄電池の端子を直列に接続する接続体4(図1等では不図示)と、当該接続体4を覆う接続体カバー5とを有する。なお、符号6は、電気ケーブルであり、符号7はプラグ端子である。
【0020】
各鉛蓄電池2はモノブロック型のものであり、図3に示すように、極板群が収容された概略直方体形状をなす電槽21と、当該電槽21の上部開口を閉塞する蓋体22とを有する。この蓋体22の長手方向両端には正極端子23A及び負極端子23Bが設けられており、中央部には電槽21内に電解液を注液するための注液口(不図示)が設けられており、本実施形態ではこの注液口に、液面確認用のフロートを有するフロート液口栓24が設けられている。なお、本実施形態の鉛蓄電池2は、電池の耐久性を向上させるとともに長寿命化が可能な液式のクラッド式鉛蓄電池(2V−165Ah/5hR)を用いている。
【0021】
本実施形態の電槽21及び蓋体22は、絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料からなる樹脂成型体である。絶縁性及び高熱伝導性フィラーは、例えば窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素、マグネシア等であり、これらのフィラーを高分子材料であるポリプロピレン(PP)樹脂に添加して、電槽21及び蓋体22を成型している。フィラーの添加量としては、電槽21及び蓋体22の成型性を考慮して1〜30体積%としている。PP樹脂の熱伝導度は0.14(W/m・K)であり、PP樹脂に窒化ホウ素を30体積%添加した場合にはその熱伝導度は0.5(W/m・K)となる。このように電槽21及び蓋体22を絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料から形成することによって電槽21及び蓋体22自体の放熱性を向上させることができる。
【0022】
これらの鉛蓄電池2は、上面が開口した有底の方形箱形状をなす鉄等の金属製の組電池ケース3内に起立した状態で、縦方向及び横方向にマトリックス状に密接した状態で配置される。図1及び図2では、鉛蓄電池2を縦方向に4列及び横方向に6列で密接配置した場合を示しており、本実施形態の組電池100は、鉛蓄電池24個を直列接続したものであり、電池電圧を48V(鉛蓄電池は2V電池)としている。
【0023】
そして、各鉛蓄電池2の電槽21は互いに同一形状をなし、図3及び図4に示すように、各鉛蓄電池2の電槽21の4つの外側面21a〜21dには、起立方向(鉛直方向)に沿って延びる突出した複数の突出部211が形成されている。具体的には4つの外側面21a〜21dのうち、短側面21a、21bにはその両端部に起立方向に沿って上端から下端に亘って2つの突出部211が互いに平行に形成されている。この2つの突出部211により短側面21a、21bには1つの凹部が形成される。一方で4つの外側面21a〜21dのうち、長側面21c、21dには起立方向に沿って上端から下端に亘って6つの突出部211が互いに平行に形成されている。これら6つの突出部211により長側面21c、21dには5つの凹部が形成される。これらの突出部211は放熱フィン部として機能し、電池内部での発熱を効率的に外部に発散させることができる。
【0024】
また、電槽21に形成される突出部211は、起立方向に直交する断面が概略矩形状をなすように構成されている。そして、突出部211の突出寸法(高さ寸法)は例えば5mmであり、突出部211の幅寸法は、突出部211により形成される凹部の幅寸法の合計が電槽21の外側面21a〜21dの幅寸法の合計に対して1/2以上となるように設定している。
【0025】
そして、図5に示すように、複数の鉛蓄電池2を組電池ケース3に収容した状態で、横方向に隣接する鉛蓄電池2の短側面21a、21bそれぞれに形成された突出部211の先端面同士が接触するとともに、縦方向に隣接する鉛畜電池2の長側面21c、21dに形成された突出部211の先端面同士が接触する。これにより、横方向及び縦方向に隣接する鉛蓄電池2の電槽21間に鉛直方向に沿って延び上方に開口する放熱空間Sが形成される。
【0026】
また組電池ケース100の側壁に接触する鉛蓄電池2においては、この鉛蓄電池2の電槽21に形成された突出部211が組電池ケース3の側壁に接触することにより、鉛蓄電池2及び組電池ケース3との間に鉛直方向に沿って延び上方に開口する放熱空間Sが形成される。このように横方向及び縦方向に隣接する鉛蓄電池2の電槽21間に放熱空間Sが形成されるとともに、組電池ケース3及び鉛蓄電池2の間に放熱空間Sが形成されるので、組電池ケース3における収容位置に関わらず、各電池2の放熱性能が低下することを防止できる。
【0027】
接続体4は、図5に示すように、横方向に隣接する鉛蓄電池2において、一方の鉛蓄電池2の正極端子23Aと、他方の鉛蓄電池2の負極端子23Bとを電気的に接続するものである。本実施形態の接続体4は、例えば鉛又は鉛合金等の金属からなり、一方の正極端子23Aが嵌る貫通孔と他方の負極端子23Bが嵌る貫通孔とを有しており、それら貫通孔に各端子23A、23Bが嵌った状態で溶接により接合される。なお、接続体4が接続されない端子には電気ケーブル6が接続されている。
【0028】
接続体カバー5は、絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料からなるものであり、正極端子23A及び負極端子23Bに接合された接続体4の上面及び側面を覆うものである。また接続体カバー5は、接続体の長さに合わせて長さ調節が可能なものであり、接続体4の貫通孔が設けられた端部を覆う部分がそれぞれ中央部に対してスライド可能に構成されている。なお、絶縁性及び高熱伝導性フィラーは例えば窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素またはマグネシア等であり、これらのフィラーを高分子材料であるポリプロピレン(PP)樹脂に添加して、接続体カバー5を成型している。フィラーの添加量としては、接続体カバー5の成型性を考慮して1〜30体積%としている。ここで窒化ホウ素を含むPP樹脂の熱伝導率、体積固有抵抗及び成形性を評価した結果を図6に示す。PP樹脂の熱伝導度は0.14(W/m・K)であり、PP樹脂に窒化ホウ素を30体積%添加した場合にその熱伝導度は0.5(W/m・K)となる。本実施形態では、成型性が良好であり、熱伝導率が最も高い組成D(窒化ホウ素を30体積%添加したもの)を用いている。このように接続体カバー5を絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料から形成することによって接続体カバー5自体の放熱性を向上させることができる。
【0029】
そして、本実施形態では、横方向に隣接する鉛蓄電池2を接続する接続体4及び接続体カバー5が、当該横方向に隣接する鉛蓄電池2の間に形成された1つの放熱空間Sの上部に位置する(図5参照)。具体的には横方向に隣接する鉛蓄電池2の間に形成された放熱空間Sの上部開口の縦方向寸法が、接続体カバー5の幅寸法よりも大きく設定されており、接続体4及び接続体カバー5が放熱空間Sの上部開口の縦方向中央部を塞ぐように設けられている。なお、横方向に隣接する鉛蓄電池2の間に形成された放熱空間Sの上部開口の横方向寸法は、10mmである。
【0030】
次に、(1)電槽に突出部を設けず、絶縁性及び高熱伝導性フィラーを添加しない従来の組電池A、(2)電槽21、蓋体22及び接続体カバー5に窒化ホウ素を添加した高分子材料を用い、電槽21に突出部を設けなかった組電池B、(3)電槽21、蓋体22及び接続体カバー5に窒化ホウ素を添加した高分子材料を用い、電槽21に突出部211を設けた組電池C(本実施形態の組電池)、(4)電槽21、蓋体22及び接続体カバー5に窒化ホウ素を添加した高分子材料を用い、電槽21に突出部を設けるとともに、突出部が接続体4の真下に位置する(接続体4が放熱空間Sの真上にない)組電池Dの比較を示す。
【0031】
組電池A〜Dの高率放電サイクル寿命性能を確認するため、組電池A〜Dを165Aの電流で18分間の放電を行った後、33Aの電流で1.8時間の充電を行うパターンを1サイクルとする試験を行った。また、組電池A〜Dのサイクル寿命試験中の容量を確認するため、上記パターンの100サイクル毎に組電池A〜Dを33Aの電流で端子電圧が40.8Vとなるまで放電する判定放電を行い、組電池のA〜Dの容量が初期値(高率放電サイクル寿命試験開始時の組電池の容量)の80%未満となった時点を組電池の寿命と判定した。
【0032】
図7は、組電池A〜Dの高率放電サイクル寿命試験中における組電池温度の推移を示すグラフである。なお、組電池温度は、組電池中央部の縦横に隣接する4つの電池の角の隙間に熱電対を挿入して測定した。この図7から分かるように、組電池Aに比べて、組電池Bの方が組電池温度が抑えられており、これよりも組電池Dの方が組電池温度が抑えられており、さらに組電池Cの方が組電池温度が抑えられていることが分かる。また、組電池A〜Dが高率放電サイクル寿命試験で寿命に達するまでのサイクル数を図8に示す。この図8から分かるように、組電池Aのサイクル寿命(2200サイクル)に比べて、組電池Bのサイクル寿命が延びており(3300サイクル)、これよりも組電池Dのサイクル寿命が延びており(3400サイクル)、さらに組電池Cのサイクル寿命が延びていることが分かる(3500サイクル)。
【0033】
また、電槽21に形成される凹部の各幅寸法に対する突出部211の高さ寸法が異なる鉛蓄電池(単電池)を24個直列に接続した組電池100を用いて、上記と同様のパターンで高率放電サイクル寿命試験を行った。その際、電槽21に形成される凹部の各幅寸法における、突出部211の高さ寸法及び高率放電サイクル寿命試験中における組電池温度との関係を図9に示す。凹幅合計=1/3は、凹部の幅寸法の合計が電槽21の外側面21a〜21dの幅寸法の合計に対して3分の1である場合、凹幅合計=1/2は、凹部の幅寸法の合計が電槽21の外側面21a〜21dの幅寸法の合計に対して2分の1である場合、凹幅合計=2/3は、凹部の幅寸法の合計が電槽21の外側面21a〜21dの幅寸法の合計に対して3分の2である場合を示している。この図9から分かるように、突出部211の高さ寸法が大きいほど、組電池温度が低下することが分かり、凹幅合計が1/3に比べて、凹幅合計が1/2以上の場合が格段に組電池温度が低下していることが分かる。
【0034】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態によれば、隣接する鉛畜電池2の間に放熱空間Sが形成されるので各鉛畜電池2の放熱性能の低下を防止することができ、放熱空間Sの上部に接続体4及び接続体カバー5が位置しているので接続体4の温度上昇を防止することができる。これにより、組電池100の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることができる。
【0035】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0036】
例えば、前記実施形態では複数の鉛蓄電池を縦方向及び横方向に密接配置するものであったが、縦方向又は横方向の一方に密接配置するものであっても良い。
【0037】
また、前記実施形態では電槽の4つの外側面に突出部211を設けるものであったが、図10に示すように電槽の底面に突出部211を形成しても良い。この場合、底面に設ける突出部211の構成としては、長側面に形成した突出部211に連続するように、縦方向に沿って形成しても良いし、短側面に形成した突出部211に連続するように横方向に沿って形成しても良い。なお、図10は後者について図示している。これならば、鉛蓄電池2の底面と及び組電池ケース3の底面との間に放熱空間を形成することができ組電池100の放熱性能を向上させることができる。特に、底面の突出部211を短側面に形成した突出部211に連続するように形成することによって、接続体カバーの下に形成された放熱空間に空気が通りやすくなり、接続体カバー5及び接続体4の温度上昇を一層効果的に防止することができる。
【0038】
さらに、前記実施形態では、鉛蓄電池の4つの外側面全部に放熱フィン部を形成したものであったが、図11に示すように、隣接する鉛畜電池の少なくとも一方の外側面に放熱フィン部を形成したものであっても良い。
【0039】
その上、組電池ケースの側壁又は当該組電池ケースの側壁に接触する鉛畜電池の少なくとも一方に放熱フィン部を形成したものであっても良い。
【0040】
さらに加えて、前記実施形態では横方向に隣接する鉛蓄電池の端子間を接続する接続体及び接続体カバーのみが放熱空間の上部に位置するように構成されているが、全ての接続体及び接続体カバーを放熱空間の上部に位置するように構成しても良い。これにより全ての接続体及び接続体カバーの温度上昇を効果的に防止することができる。
【0041】
また、前記実施形態では電槽に突出部を形成しているが、蓋体にも電槽と平面視同一形状の突出部を設けても良い。これにより、各鉛蓄電池の放熱性能の低下を防止して、組電池の高率放電特性及びサイクル寿命性能を向上させることができる。
【0042】
前記実施形態では、高分子材料としてPP(ポリプロピレン)樹脂を用いたが、PE(ポリエチレン)樹脂、AS(アクリロニトリルスチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂を用いても良い。
【0043】
前記実施形態では、2Vの鉛蓄電池を24個直列接続した組電池であったが、2Vの鉛蓄電池を12個直列接続した組電池(24V)であっても良いし、2Vの鉛蓄電池を48個直列接続した組電池(96V)であっても良い。
【0044】
また、前記実施形態では、液式のクラッド式鉛蓄電池を用いたが、ゲル式又は顆粒シリカ式のクラッド式鉛蓄電池、ペースト式の液式又は制御弁式鉛蓄電池にも適用が可能である。
【0045】
また、前記実施形態では複数個の鉛蓄電池を用いた組電池について説明したが、その他、アルカリ蓄電池等の種々の電池を用いた組電池に適用可能である。
【0046】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
100 ・・・組電池
2 ・・・鉛蓄電池(単電池)
3 ・・・組電池ケース
21 ・・・電槽
21a〜21d・・・外側面
211 ・・・突出部
S ・・・放熱空間
23A、23B・・・端子
4 ・・・接続体
5 ・・・接続体カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略直方体形状をなす複数の単電池を起立した状態で所定方向に密接配置し、それら単電池の端子間を接続体によって接続して構成される組電池であって、
隣接する単電池の少なくとも一方の外側面に起立方向に沿って延びる突出部が形成されており、
前記接続体が、前記突出部により前記隣接する単電池の間に形成される放熱空間の上部に位置することを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記複数の単電池を収容する組電池ケースを有しており、
前記組電池ケースの側壁又は当該組電池ケースの側壁に接触する単電池の少なくとも一方に、鉛直方向に沿って延びる突出部が形成されている請求項1記載の組電池。
【請求項3】
前記単電池の電槽及び当該電槽を閉塞する蓋が、絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料からなる請求項1又は2記載の組電池。
【請求項4】
前記接続体を覆う接続体カバーを有し、当該接続体カバーが、絶縁性及び高熱伝導性フィラーが添加された高分子材料からなり、前記放熱空間の上部に位置する請求項1乃至3のいずれかに記載の組電池。
【請求項5】
前記単電池が鉛蓄電池である請求項1乃至4のいずれかに記載の組電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−238522(P2012−238522A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107881(P2011−107881)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】