説明

経口投与用製剤

【課題】ポリエチレングリコール、ノスカピンもしくはその塩または抗ヒスタミン薬が製剤中に存在しても、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソールまたは塩化リゾチームを経時的に安定に含有する製剤(感冒薬)を提供する。
【解決手段】(a)イブプロフェン、(b)抗ヒスタミン薬、(c)塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール及び塩化リゾチームからなる群より選ばれる1種または2種以上の薬物並びに(d)アセトアミノフェンを配合した経口投与用製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソールまたは塩化リゾチームを配合した安定な経口投与用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
総合感冒薬には、去痰薬として塩酸ブロムヘキシンあるいは塩酸アンブロキソール、消炎酵素薬として塩化リゾチームなどが配合されるが、これらのうちには、ある種の化合物[(a)ポリエチレングリコール、(b)イブプロフェン及び、ノスカピン又はその塩の混合物、(c)イブプロフェン及び抗ヒスタミン薬の混合物など]と共存(接触)させると、保存中に分解するものがあり、効力の低下あるいは商品価値の低下などにつながっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記したような化合物または混合物が製剤中に存在しても、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソールまたは塩化リゾチームを経時的に安定に含有する製剤(感冒薬)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、驚くべきことに、解熱鎮痛薬として汎用されているアセトアミノフェンを製剤中に配合することにより、前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(a)ポリエチレングリコール、(b)塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール及び塩化リゾチームからなる群より選ばれる1種または2種の薬物並びに(c)アセトアミノフェンを配合した経口投与用製剤であり、また他の本発明は、(a)イブプロフェン、(b)ノスカピン又はその塩、(c)塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール及び塩化リゾチームからなる群より選ばれる1種または2種以上の薬物並びに(d)アセトアミノフェンを配合した経口投与用製剤であり、さらに他の本発明は、(a)イブプロフェン、(b)抗ヒスタミン薬、(c)塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール及び塩化リゾチームからなる群より選ばれる1種または2種以上の薬物並びに(d)アセトアミノフェンを配合した経口投与用製剤である。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、塩化リゾチームを含有する経口投与用製剤中の前記各成分の安定化が可能になった。従って、効果の高い総合感冒薬を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、ノスカピンの塩としては、塩酸ノスカピンなどを挙げることができる。抗ヒスタミン薬としては、マレイン酸カルビノキサミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、メキタジンなどを挙げることができる。
【0007】
1回投与量の製剤(感冒薬)に配合できるアセトアミノフェンの量は、本発明の効果を奏するには50mg程度で十分であるが、解熱鎮痛薬としての効果を加味すると50〜300mg、好ましくは150〜300mgである。また、ポリエチレングリコールは2〜140mg、好ましくは5〜100mgを配合する。塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、塩化リゾチーム、イブプロフェン、ノスカピン又はその塩、抗ヒスタミン薬は、それぞれ各成分の常用量を配合する。
【0008】
経口投与用製剤の剤形としては、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤などである。それぞれ常用の手段により製剤化される。
【実施例】
【0009】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
比較例1
成分 配合量(g)
塩酸ブロムヘキシン 12
ポリエチレングリコール6000 20
マンニトール 200
HPC−L 15
セイセイスイ 適量
上記処方に基づき、撹拌造粒法で散剤を製した。
【0010】
実施例1
比較例1の処方にアセトアミノフェン900gを追加し、撹拌造粒法で散剤を製した。
【0011】
比較例2
成分 配合量(g)
イブプロフェン 300
塩酸ブロムヘキシン 12
塩化リゾチーム 60
ノスカピン 48
マンニトール 500
アビセルPH−101 400
HPC−L 50
セイセイスイ 適量
上記処方に基づき、撹拌造粒法により散剤を製した。
【0012】
実施例2
比較例2の処方にアセトアミノフェン300gを追加し、撹拌造粒法で散剤を製した。
【0013】
比較例3
成分 配合量(g)
イブプロフェン 150
塩酸ブロムヘキシン 12
塩化リゾチーム 60
d−マレイン酸クロルフェニラミン 3.5
マンニトール 500
アビセルPH−101 400
HPC−L 50
セイセイスイ 適量
上記処方に基づき、撹拌造粒法により散剤を製した。
【0014】
実施例3
比較例3の処方にアセトアミノフェン600gを追加し、撹拌造粒法で散剤を製した。
【0015】
比較例4
成分 配合量(g)
イブプロフェン 300
塩酸ブロムヘキシン 12
塩化リゾチーム 60
d−マレイン酸クロルフェニラミン 3.5
ノスカピン 48
ポリエチレングリコール6000 50
マンニトール 500
アビセルPH−101 400
HPC−L 50
セイセイスイ 適量
上記処方に基づき、撹拌造粒法により散剤を製した。
【0016】
実施例4
比較例4の処方にアセトアミノフェン300gを追加し、撹拌造粒法で散剤を製した。
【0017】
試験例[安定性試験]
比較例1〜4及び実施例1〜4で製造した製剤をそれぞれ1gを全てビンに充填、密栓し,50℃−1週間,40℃−3週間での塩酸ブロムヘキシン,塩化リゾチームの安定性を評価した(表1〜4)。なお、塩酸ブロムヘキシンはHPLC法により、塩化リゾチームは濁度法によりそれぞれ定量した。数値は全て対直後%である。
【0018】
【表1】


【0019】
【表2】


【0020】
【表3】


【0021】
【表4】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イブプロフェン、(b)抗ヒスタミン薬、(c)塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール及び塩化リゾチームからなる群より選ばれる1種または2種以上の薬物並びに(d)アセトアミノフェンを配合した経口投与用製剤。



【公開番号】特開2009−19052(P2009−19052A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223685(P2008−223685)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【分割の表示】特願平10−1979の分割
【原出願日】平成10年1月8日(1998.1.8)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】