説明

経皮投与用医薬組成物

本発明は、a)有効成分として、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩;およびb)(1)溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリア、または(2)疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリア;を含有する経皮投与用医薬組成物に関する。本発明は、レフルノミドあるいはその活性代謝体の新規な経皮投与の手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する経皮投与用医薬組成物に関する。詳しくいえば、本発明は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、またはその活性代謝体であるN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドもしくはその薬理学的に許容される塩を、(1)特定の溶解用基剤を含有する経皮投与用キャリア中に溶解状態で含有する、または(2)特定の懸濁用基剤を含有する経皮投与用キャリア中に懸濁状態で含有する炎症部位等を治療するための経皮投与用医薬組成物またはその投与方法に関する。
【背景技術】
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドは、レフルノミドとして知られる、抗炎症作用、鎮痛作用を有する、以下の構造式で表される化合物である。その製造方法等は、特開昭55−83767号公報、米国特許第4,087,535号明細書、米国特許第4,284,786号明細書などに記載されている。

N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドは、抗炎症作用、鎮痛作用を有する、以下の構造式で表される化合物である。それは、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドの活性代謝体として知られており、その詳細は米国特許第4,061,767号明細書に記載されている。

これらの化合物については、これまでも種々の疾患の治療用途やさまざまな剤型が提案されている。
日本特許第3285226号公報には、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、あるいはN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミド(またはその薬理学的に許容される塩を含む)からなる、移植臓器に対する臓器レシピエントの超急性または慢性拒絶反応治療用医薬が記載されている。
また、日本特許第3131693号公報には、5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸アニリド類および2−ヒドロキシエチリデン−シアノ酢酸アニリド類を含有する、ブドウ糖膜眼炎、網膜炎、アレルギー、乾燥症の治療のための眼薬組成物が記載されている。
日本特許第2930281号公報には、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドおよびN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドを含む特定の化合物を活性成分として含有する、乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、薬物性皮膚炎などの皮膚疾患の予防または治療用薬剤が記載されている。
経皮投与では薬物を直接患部に投与できることから、患部での薬物濃度を局所的に高めることができる。経皮剤は、経口剤での肝初回通過効果を回避することができ、副作用の低減が期待できる。また、投与回数の低減や薬効の持続性が付与できるといった利点を有する。さらに、経口投与が困難な患者にとっても、経皮投与であれば、投与が容易であるという大きな利点があることから、各種薬剤について、経皮投与剤の検討がなされている。
しかし、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、あるいはN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミド(またはその薬理学的に許容される塩)においては、慢性関節リウマチや関節炎などのような皮膚疾患以外の治療を主たる目的とした経皮投与剤に関する研究は知られていない。さらに、これら薬物を特定のキャリアを用いて、経皮投与した際の抗リウマチ作用、抗炎症作用についても知られていない。
【発明の開示】
本発明が解決しようとする課題は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、またはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする、優れた治療効果、安定性を有する新規な経皮投与用医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドを有効成分とし、特定の基剤を含有する経皮投与用キャリア中に、該有効成分を含有させた経皮投与用医薬組成物が、
(1)安定性に優れ、
(2)投与部位において薬剤の生体内への取り込みが向上し、
(3)患部における抗リウマチ作用あるいは抗炎症作用が著しく向上することを見出し、さらなる検討を加え、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は:
[1]a)有効成分として、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩;および
b)(1)溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリア、または
(2)疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物。
[2]活性代謝体が、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドである上記[1]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[3]経皮投与用キャリアが、溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、有効成分溶解型である上記[1]または[2]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[4]溶解用基剤が二塩基酸ジアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびマクロゴールから選択される一種またはそれ以上の混合物である上記[3]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[5]経皮投与用キャリア中における炭化水素油の含有量が、40w/w%以下である上記[3]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[6]経皮投与用キャリア中における溶解用基剤の含有量が、50w/w%以上である上記[3]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[7]経皮投与用キャリアが、さらに親油性の非イオン性界面活性剤を含有する上記[3]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[8]二塩基酸ジアルキルエステルが、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルおよびアジピン酸ジイソプロピルから選択される一種またはそれ以上の混合物である上記[4]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[9]ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが30℃で液状を呈するものから選択される一種またはそれ以上の混合物である上記[4]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[10]中鎖脂肪酸トリグリセリドが、炭素数8〜10の脂肪酸で構成されるトリグリセリドの一種またはそれ以上の混合物である上記[4]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[11]親油性の非イオン性界面活性剤が、α−モノアルキルグリセリルエーテルである上記[7]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[12]経皮投与用キャリア中における親油性の非イオン性界面活性剤の含有量が、0.1〜10w/w%である上記[7]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[13]液剤、軟膏剤、ゲル製剤または貼付剤の剤型である上記[3]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[14]液剤、軟膏剤またはゲル製剤の剤型である上記[13]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[15]経皮投与用キャリアが、疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、該キャリア中に有効成分が安定に懸濁している上記[1]または[2]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[16]疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、炭化水素油である上記[15]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[17]疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、ゲル化炭化水素である上記[15]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[18]経皮投与用キャリアが、疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤のみからなる上記[15]〜[17]のいずれかに記載の経皮投与用医薬組成物。
[19]経皮投与用キャリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に100μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が20μm以下である上記[15]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[20]経皮投与用キャリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に20μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が10μm以下である上記[15]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[21]軟膏剤、液剤または貼付剤の剤型である上記[15]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[22]懸濁軟膏剤または懸濁液剤の剤型である上記[21]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[23]有効成分の量が0.1〜10w/w%である上記[1]に記載の経皮投与用医薬組成物。
[24]上記[1]に記載の経皮投与用組成物からなる、経皮投与用の慢性関節リウマチ又は関節炎の治療剤を製造するための、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、またはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩の使用。
[25]a)有効成分として、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩;および
b)(1)溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリア、または
(2)疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物を経皮的に投与する慢性関節リウマチまたは関節炎の治療のための投与方法。
[26]経皮投与用キャリアが、溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、有効成分を経皮投与用キャリア中に溶解させた状態で経皮的に投与する、上記[25]に記載の投与方法:等に関する。
本発明のレフルノミド類を含有する経皮投与用医薬組成物は、外用剤として直接患部近傍の皮膚に投与することで、抗炎症作用、抗リウマチ作用を示す。更に本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物および懸濁型経皮投与用医薬組成物は、レフルノミド類を安定に保持し、製剤安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
図1は、試験例1のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図2は、試験例1のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図3は、試験例2のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図4は、試験例2のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図5は、試験例3のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図6は、試験例3のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図7は、試験例3のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における体重変化に対する効果を示すグラフである。
図8は、試験例4のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における非注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図9は、試験例4のレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎における注射足に対する治療効果を示すグラフである。
図10は、試験例5のレフルノミド外用剤を経皮投与した場合の血清中濃度推移を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の経皮投与用医薬組成物の有効成分は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド(以下、本明細書ではレフルノミドと略することがある。)またはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩である。N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドの活性代謝体とは、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミド(以下、本明細書ではレフルノミド代謝体と略す場合がある。)である。その活性代謝体の薬理学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン等の有機アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の経皮投与用医薬組成物は、有効成分であるレフルノミドまたはレフルノミド代謝体またはその薬理学的に許容される塩(以下、本明細書では両者を含めてレフルノミド類と略すことがある。)を、特定の基剤を含むキャリア中に含有させることにより、有効成分を安定に保持させることができる。そして、その結果、吸収性が高まり、目的とする抗炎症作用あるいは抗リウマチ作用が著しく向上するという特徴を有している。
本発明の経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミド類の量としては、剤の全体量に対して0.01〜10w/w%、好ましくは0.1〜10w/w%の範囲から選択される。より好ましくは0.2〜5w/w%の範囲から選択され、さらに好ましくは1〜5w/w%の範囲から選択される。
本発明の経皮投与用医薬組成物の有効成分であるレフルノミド類は、選択する基剤によって、溶解性、安定性等の物理化学的特性が大きく異なる。選択された基剤成分を含むキャリア中で、有効成分が物理化学的に安定に保持されなければ、製剤安定性だけでなく、有効成分の吸収性や薬効に対しても大きく影響を及ぼす可能性がある。
本発明において「経皮投与用キャリア」とは、本発明の経皮投与用医薬組成物から有効成分のレフルノミド類を除いた成分をいう。
本発明の経皮投与用キャリアは、「溶解用基剤」または「疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」を含有する。
本発明の経皮投与用医薬組成物は、溶解用基剤を用いた場合は有効成分が溶解した状態の「溶解型経皮投与用医薬組成物」となり、疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁型基剤を用いた場合は有効成分が懸濁された状態の「懸濁型経皮投与用医薬組成物」となる。以下、それぞれについて説明する。
1.溶解型経皮投与用医薬組成物
本発明の「溶解型経皮投与用医薬組成物」における経皮投与用キャリアの一成分として使用される「溶解用基剤」とは、有効成分であるレフルノミド類を製剤中で、溶解状態で保持させて、経皮的にレフルノミド類を吸収させるための基剤である。溶解用基剤としては、例えば、二塩基酸ジアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびマクロゴールから選択される一種またはそれ以上の混合物が挙げられる。
「二塩基酸ジアルキルエステル」は、薬理学的に許容されるものの中から選択することができる。具体的には、例えば、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル等が挙げられる。好ましいものとしては、例えば、セバシン酸ジエチルまたはアジピン酸ジイソプロピル等が挙げられる。
また、これらは一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、種々のメーカーから市販されている。
「ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール」は、薬理学的に許容されるものの中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール等が挙げられる。好ましいものとしては、30℃で液状を呈するものが挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、またはポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコールが挙げられる。特に好ましいものとして、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコールが挙げられる。
これらは、一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、種々のメーカーから市販されている。
「中鎖脂肪酸トリグリセリド」は、薬理学的に許容されるものの中から適宜選択することができる。「中鎖脂肪酸トリグリセリド」としては、例えば、炭素数8〜12の脂肪酸で構成されるグリセリンのトリエステル等が挙げられる。具体的には、例えば、トリカプリル酸グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、トリノナン酸グリセリン、トリカプリン酸グリセリン、トリウンデカン酸グリセリン、トリラウリン酸グリセリン等の単一鎖長からなる脂肪酸トリグリセリドの他、混合脂肪酸のエステルである、トリ(カプリル酸、カプリン酸)グリセリンやトリ(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸)グリセリン等が挙げられる。好ましいものとしては、炭素数8〜12の脂肪酸で構成される混合脂肪酸のトリグリセリド等が挙げられる。さらに好ましいものとしては、融点や溶解性の点から、炭素数8〜10の脂肪酸で構成される混合脂肪酸型のトリグリセリド等が挙げられる。
これらは、一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、種々のメーカーから市販されている。
「マクロゴール(ポリエチレングリコール類)」は、薬理学的に許容されるものの中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000等が挙げられる。好ましいものとしては、30℃で液状を示すものが挙げられる。具体的には、例えば、マクロゴール200、300、または400等が挙げられる。
これらは、一般に医薬品製剤の添加剤として使用されており、種々のメーカーから市販されている。
上記の各溶解用基剤は、それぞれ単独でも、あるいは混合物としても使用することができる。複数選択する場合、第一の溶解用基剤として、二塩基酸ジアルキルエステル、またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを選択することが好ましい。更に好ましいものとしては、二塩基酸ジアルキルエステルが挙げられ、特に好ましいものとして、セバシン酸ジエチルまたはアジピン酸ジイソプロピルが挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物における経皮投与用キャリア中の溶解用基剤の含有量は、当該キャリア中において少なくとも40w/w%、好ましくは50w/w%以上、より好ましくは60w/w%以上である。
このとき、溶解用基剤の含有量が40w/w%未満になると、有効成分であるレフルノミド類の経皮投与用キャリアに対する溶解安定性が低下し、その結果、目的とする薬効が得られなくなる恐れがある。
本発明においては、溶解用基剤を少なくとも40w/w%含有するキャリアとすることにより、有効成分の溶解状態が十分に保持され、溶解型経皮投与用医薬組成物としての安定性に優れ、かつ有効成分の経皮吸収性が高まるため、優れた薬効を発現させることができる。
一方、本発明の経皮投与用医薬組成物における有効成分であるレフルノミド類は、炭化水素油にほとんど溶解しない性質を有する。経皮投与用キャリア中に許容される以上に炭化水素油が含まれると、レフルノミド類の溶解性が急激に低下する。その結果、本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物の場合、レフルノミド類が保存中に析出、あるいは結晶成長する場合がある。レフルノミド類の含有量が高い場合には溶解度の問題から、溶解用基剤との間で相分離を起こしてしまう場合がある。そのため経皮投与用キャリア中に当該キャリアの一成分として一定以上の炭化水素油を含有することは、製剤安定性や薬効の面で好ましくない。
具体的には、経皮投与用キャリアに用いる基剤成分の一つとして炭化水素油を用いる場合は、その含有量を40w/w%以下とし、溶解用基剤の含有量を超えないようにすることが望ましい。
炭化水素油としては、炭素原子と水素原子で構成される無極性油が挙げられる。具体的には、例えば、流動パラフィン、n−パラフィン、iso−パラフィン、ゲル化炭化水素、ポリブテン、ワセリン、白色ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系炭化水素の他、スクワランやスクワレン等の動植物系の炭化水素油が挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、経皮投与用キャリアの成分として上記の溶解用基剤成分に加えて、有効成分の溶解状態を損なわない範囲で経皮吸収促進剤を使用することもできる。
経皮吸収促進剤としては、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、親油性の非イオン性界面活性剤、あるいはl−メントール、l−リモネン、d−リモネン、dl−リモネンまたはその他の精油、およびその他公知の吸収促進剤等が挙げられ、目的に応じて使用することができる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、その中でも特に、特定の親油性非イオン性界面活性剤を配合することにより、有効成分であるレフルノミド類の溶解性を損なわず、投与部位における吸収性を向上させ、薬効をさらに高めることができる。
親油性の非イオン性界面活性剤としては、例えば、α−モノアルキルグリセリルエーテル類、グリセリンモノ脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
α−モノアルキルグリセリルエーテルとしては、具体的には、例えば、α−モノラウリルグリセリルエーテル、α−モノトリデシルグリセリルエーテル、α−モノミリスチルグリセリルエーテル、α−モノペンタデシルグリセリルエーテル、α−モノセチルグリセリルエーテル、α−モノステアリルグリセリルエーテル、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル、α−モノオレイルグリセリルエーテル等が挙げられる。好ましいものとしては、融点が比較的低く、皮膚上で液状となるものが挙げられ、具体的には、例えば、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル、α−モノオレイルグリセリルエーテル等が挙げられる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、モノラウリン酸グリセリンエステル、モノトリデカン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノペンタデカン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル、モノイソステアリン酸グリセリンエステル、モノオレイン酸グリセリンエステル等が挙げられる。その中で好ましいものとしては、融点が比較的低く、皮膚上で液状となるものが挙げられ、具体的には、例えば、モノイソステアリン酸グリセリンエステル、モノオレイン酸グリセリンエステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、上記のグリセリン脂肪酸エステル類と同様に、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などとポリグリセリンとのエステルが挙げられる。ポリグリセリンとしては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、モノラウリン酸ソルビタンエステル、ジラウリン酸ソルビタンエステル、モノミリスチン酸ソルビタンエステル、ジミリスチン酸ソルビタンエステル、モノパルミチン酸ソルビタンエステル、ジパルミチン酸ソルビタンエステル、モノステアリン酸ソルビタンエステル、ジステアリン酸ソルビタンエステル、モノイソステアリン酸ソルビタンエステル、ジイソステアリン酸ソルビタンエステル、モノオレイン酸ソルビタンエステル、ジオレイン酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル類やソルビタン脂肪酸エステル類の場合、好ましいものとしては、融点が比較的低く、皮膚上で液状となるものが挙げられ、具体的には、例えば、イソステアリン酸エステル、またはオレイン酸エステルが挙げられる。
親油性の非イオン性界面活性剤として好ましいのとしては、α−モノアルキルグリセリルエーテル類が挙げられ、その中でも更に好ましいものとしては、α−モノイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物において、経皮投与用キャリア中における親油性の非イオン性界面活性剤の含有量は、0.1〜10w/w%の範囲から選択される。好ましくは0.2〜5w/w%の範囲から、さらに好ましくは0.5〜3w/w%の範囲から選択される。
このとき、含有量が0.1w/w%未満では、親油性の非イオン性界面活性剤の効果が十分に得られない可能性があり、逆に10w/w%を超えると、主成分となる基剤によっては、得られる経皮投与用医薬組成物の安定性が低下する恐れがある。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミド類の量としては、剤の全体量に対して0.01〜10w/w%、好ましくは0.1〜10w/w%の範囲から選択される。より好ましくは0.2〜5w/w%の範囲から選択され、さらに好ましくは1〜5w/w%の範囲から選択される。
本発明の、レフルノミド類を有効成分として含有する、溶解型経皮投与用医薬組成物における最終的な製剤形態としては、従来外用剤として慣用されている剤型のうちから、例えば軟膏剤、液剤、ゲル製剤、貼付剤等の剤型が挙げられる。
これらの剤型の外用剤は、通常の基剤や粘稠剤等を用いて、通常の方法で製造することができる。これらは、例えば、「経皮適用製剤開発マニュアル」松本 光男監修(1985)、特許第2651616号公報、WO96/12465号公報、特開平9−278651号公報等の記載に従って、製造することができる。
軟膏剤としては、例えば油脂性軟膏、親水性軟膏等が挙げられる。それぞれの剤に応じて経皮投与用キャリアに用いる成分を選択する。
油脂性軟膏の場合、溶解用基剤は、例えば、二塩基酸ジアルキルエステルや中鎖脂肪酸トリグリセリド等およびそれらの混合物から選択される。
具体的には、例えば、二塩基酸ジアルキルエステルであるセバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルや中鎖脂肪酸トリグリセリドであるトリ(カプリル酸、カプリン酸)グリセリンから選択される。
また、有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、経皮投与用キャリアの成分として、例えば植物油、動物油等の脂肪油、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、ポリアルキレングリコール類の他、炭化水素油等の一般に軟膏用基剤として知られているものを適宜選択して配合することができる。具体的には、例えば、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、トリミリスチン酸グリセリン、ヒマシ油、硬化油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、イソステアリン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、液状ラノリン、ラノリン、精製ラノリン、ミツロウ、サラシミツロウ、流動パラフィン、ゲル化炭化水素、スクワラン、スクワレン、ポリブテン、ワセリン、白色ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、シリコーン油、硬化油等、および目的に応じてこれらの基剤1つまたはそれらの混合物が挙げられる。
油脂性軟膏剤は、溶解用基剤、または必要に応じて溶解用基剤に上記の成分を適宜加えた基剤混合物として、経皮投与用キャリアを増粘化することにより調製すればよい。
水溶性軟膏の場合、溶解用基剤は、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールやマクロゴール(ポリエチレングリコール)類等およびその混合物から選択される。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコールなどの他、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール20000等のマクロゴール類等及びそれらの混合物から選択される。
さらに経皮投与用キャリアに用いる他の成分として、有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、プロピレングリコール等のアルコール類、ポビドン、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子等、セバシン酸ジエチルやアジピン酸ジイソプロピルなどの二塩基酸ジアルキルエステル等や中鎖脂肪酸トリグリセリド等の上記以外の溶解用基剤等またはそれらの混合物を配合することもできる。
液剤としては、油脂性の溶解液剤と親水性の溶解液剤が挙げられる。
油脂性の溶解液剤の場合、溶解用基剤は、例えば、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびそれらの混合物から選択される。
油脂性の溶解液剤に用いられる経皮投与用キャリアとしては、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリドなどと、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類などを組み合わせて使用することにより、これら溶解用基剤のみからなるキャリアを選択して調製することもできる。
さらに経皮投与用キャリアに用いる他の成分として、有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、植物油、動物油等の脂肪油、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の中から、液状のもの及びそれらの混合物を配合することもできる。具体的には、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸、オレイルアルコール、液状ラノリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、ポリブテン、シリコーン油等およびそれらの混合物が挙げられる。
親水性の溶解液剤の場合、溶解用基剤は、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類やマクロゴール類等およびそれらの混合物から選択される。
有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、溶解用基剤の他に、経皮投与用キャリアの成分として、例えば、プロピレングリコール等のアルコール類等およびそれらの混合物を配合することもできる。
さらに、経皮投与用キャリアの均一性を損なわない範囲で、上記以外の溶解用基剤であるセバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリドなどを配合することもできる。
ゲル製剤としては、油性ゲルと水性ゲルが挙げられる。
油性ゲルの場合、溶解用基剤は、例えば、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリド等およびそれらの混合物から選択される。
有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、溶解用基剤以外の経皮投与用キャリアの成分として、例えば、植物油、動物油等の脂肪油、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の中から、液状のものを前述の溶解用基剤と必要に応じて適宜組み合わせて使用することもできる。
油性ゲル製剤は、これらの溶解用基剤あるいは溶解用基剤を含む基剤混合物に対して、他の経皮投与用キャリアの成分として、さらにこれをゲル化もしくは増粘化するための成分を配合することにより調製される。ゲル化もしくは増粘化するための成分として、例えば、高分子化合物やステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸、無機塩類、ヘクトライト類などの精製有機粘土等およびそれらの混合物を使用することができる。
水性ゲルの場合、溶解用基剤は、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類やマクロゴール類等およびそれらの混合物から選択される。
有効成分であるレフルノミド類の溶解性や安定性を妨げない範囲で、溶解用基剤以外の経皮投与用キャリアの成分として、例えば、プロピレングリコール等のアルコール類などを前述の溶解用基剤と必要に応じて適宜組み合わせて使用することもできる。
水性ゲル製剤は、これらの溶解用基剤あるいは溶解用基剤を含む基剤混合物に、経皮投与用キャリアの成分として、さらにこれをゲル化もしくは増粘化するための成分を配合することにより調製される。ゲル化もしくは増粘化するための成分として、例えば、カルボキシメチルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなどの水性高分子を配合することができる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物においては、さらに貼付剤などの剤型を選択することができる。
貼付剤は、支持体上に粘着性の膏体を積層したものである。支持体としては皮膚の伸縮に自在に追随し得る柔軟な素材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のプラスティック製フィルム、不織布、布、紙等の公知のものが挙げられる。
貼付剤を構成する膏体としては、溶解用基剤および粘着剤、あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤を添加したものからなり、皮膚安全性、皮膚への付着性等を考慮して公知のものより適時選択できる。
貼付剤に用いられる溶解用基剤としては、例えば、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸ジアルキルエステル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリド等およびそれらの混合物が選択される。
粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等から選択することができる。
このうち、アクリル系としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とする(共)重合体が挙げられる。この(共)重合体は、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよく、また(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合しうる官能性モノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であってもよい。
ゴム系としては、例えば天然ゴム、ポリイソプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のゴム粘着剤を主成分とするものが挙げられる。
シリコーン系としては、例えばポリジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン等のシリコーンゴムを主成分とするものが挙げられる。
粘着付与剤としては、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂等が挙げられる。
軟化剤は、上記の粘着剤および粘着付与剤を可塑化、軟化させ皮膚への適度な付着性を維持させるものであり、例えば、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油、オレフィン酸、流動パラフィン等を使用することができる。
貼付剤において、支持体に積層する膏体の厚さは、1〜1000μmの範囲が選択され、好ましくは10〜500μmの範囲が選択される。さらに好ましくは20〜200μmの範囲から選択される。
軟膏剤、液剤、ゲル製剤、貼付剤中に有効成分として含有されるレフルノミド類の量としては、剤の全体量に対して0.01〜10w/w%の範囲から選択され、好ましくは0.1〜10w/w%の範囲から選択される。より好ましくは0.2〜5w/w%の範囲から選択され、さらに好ましくは1〜5w/w%の範囲から選択される。
さらに、これらの軟膏剤、液剤、ゲル化剤、貼付剤には、所望に応じ、経皮投与用キャリアの成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、薬理上許容される各種の添加剤、例えば香料、充填剤、湿潤剤、安定化剤、保存剤、あるいは乳化剤などを配合することもできる。
湿潤剤としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、没食子酸プロピル等が挙げられる。
保存剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
乳化剤としては、一般に医薬品に用いられるものの中から適宜選択して用いることができ、具体的には、例えば、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等のポリソルベート類、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ステアリン酸ポリオキシル40、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、有効成分であるレフルノミド類を特定の溶解用基剤に溶解させて調製される。具体的には、例えば、レフルノミド類を溶解用基剤中に添加して十分に溶解させる。選択する剤型に応じて、種々の基剤や添加剤等を加えて、軟膏剤、液剤、ゲル製剤等の剤型とする。温度や攪拌力などの調製条件はそれぞれの剤型に適した条件から選択すればよい。通常は、軟膏剤であれば、室温付近から80℃くらいまでの範囲内で、液剤であれば室温付近から50℃くらいまでの範囲内で、ゲル製剤であれば、室温付近から60℃くらいまでの範囲内で調製される。また、貼付剤の場合であれば、例えば、レフルノミド類を溶解用基剤中に添加して十分に溶解させた後、これを前述のように粘着剤、あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤と混合して調製した膏体をプラスティック製フィルム等の支持体上に積層して調製される。貼付剤の調製法としては、ホットメルト法と溶媒法が挙げられ、目的に応じて適宜選択して調製すればよい。通常は、ホットメルト法であれば、選択するエラストマーの種類により、150℃前後から250℃くらいまでの範囲内で、溶媒法であれば、例えばヘキサンであれば60℃くらいまでの範囲内で調製される。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物の剤型例としては、軟膏剤、液剤、ゲル製剤、貼付剤等が挙げられるが、その中でも好ましいのは、軟膏剤、液剤または貼付剤であり、特に好ましいのは液剤または貼付剤である。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、これらの剤型を選択することにより、有効成分であるレフルノミド類を安定に溶解させることができ、その結果、優れた吸収性と薬効を発現させることができる。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、有効成分の含量均一性が担保されやすく、かつ製造が容易であるという利点がある。
2.懸濁型経皮投与用医薬組成物
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、有効成分であるレフルノミド類を懸濁状態で含有させたものである。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物において、経皮投与用キャリアは、疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤から一つもしくは複数を選択したもの、またはこれらの懸濁用基剤と製剤化に必要な他の成分との混合物からなる。
特にレフルノミド類は、親水性、疎水性を問わず、種々の極性基を有する物質に弱い親和性を有しているため、懸濁させる「経皮投与用キャリア」に許容される以上に極性基を有する物質が含まれると、レフルノミド類の溶解性が向上し、その結果、保存中に結晶成長や相分離等の好ましくない形態変化を起こす。
本明細書でいう「極性基」とは、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基、アミン基、アンモニウム基、ハロゲン基、酸性基(例えば、スルホニル基、リン酸基等)や種々の金属塩を指す。
「経皮投与用キャリア」に用いられる、疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤としては、薬理学的に許容される種々の基剤から選択できるが、レフルノミド類の溶解特性や安定性の面を考慮すると、炭化水素油を選択することが好ましく、更に粘性の高いものがより好ましい。
「炭化水素油」としては、例えば、ワセリン、白色ワセリン、精製ワセリン、n−パラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、スクアラン、スクアレン、ポリブテン、ポリイソプレンなどが挙げられ、好ましいものとしては、ゲル化炭化水素が挙げられる。
「ゲル化炭化水素」は、液状の炭化水素油である重質流動パラフィンをポリエチレンによってゲル化したものであり、プラスティベース(PLASTIBASE、登録商標)として市販されている。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物における「経皮投与用キャリア」に用いられる、「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」の含有量は、当該キャリアに対して70w/w%以上、好ましくは80w/w%以上、より好ましくは90w/w%以上、特に好ましくは95w/w%以上の範囲から選択される。
本発明においては、「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」を主成分とするキャリアを選択することにより、レフルノミド類の安定性に特に優れた懸濁型経皮投与用医薬組成物を調製することができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に用いられる有効成分であるレフルノミド類の形状は特に限定されない。懸濁型製剤を調製する場合においては分散物の一次粒子の破砕を伴わないことから、本発明の経皮投与用キャリア中に懸濁させるレフルノミド類としては、粒子径が100μm以下のものを選択することが好ましい。好ましくは実質的に全ての粒子が100μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が20μm以下のものを選択する。さらに好ましくは、実質的に全ての粒子が20μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が10μm以下のものを選択する。
有効成分の粒子径が100μmを超えると、最終的に得られる医薬組成物の均一性や経皮的な吸収性が損なわれる恐れがある。
実質的に全ての粒子が100μm以下あるいは20μm以下とは、例えば、粒子径を体積換算で測定した際、全粒子の90%以上が100μm以下あるいは20μm以下の粒子径である粒度分布を有することを示す。また、平均粒子径とは、平均体積径を意味する。
また、本明細書において平均粒子径および粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定され、その具体的な測定方法は実施例に記載したとおりである。
所望の粒子径を得るためには、有効成分の原体から、ジェットミル等を用いて粉砕する。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、有効成分として含有されるレフルノミド類が経皮投与用キャリア中に安定に懸濁している。その含有量としては、レフルノミド類の溶解度等を考慮せずに広い範囲から選択することができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に有効成分として含有されるレフルノミド類の量としては、具体的には、組成物の全体量に対して0.01〜20w/w%範囲から選択され、好ましくは0.1〜10w/w%の範囲から選択される。より好ましくは0.5〜10w/w%の範囲から選択され、さらに好ましくは1〜5w/w%の範囲から選択される。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物の剤型としては、従来外用剤として慣用されている剤型のとしては、使用する「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」の粘度によって、例えば軟膏剤、液剤、貼付剤等の剤型が挙げられる。
これらの剤型の外用剤は、通常の基剤や粘稠剤等を用いて、通常の方法で製造することができる。これらは、例えば、「経皮適用製剤開発マニュアル」松本 光男監修(1985)、特許第2651616号公報、WO96/12465号公報、特開平9−278651号公報等の記載に従って、製造することができる。
軟膏剤としては、例えば油脂性の懸濁軟膏が挙げられる。
油脂性の懸濁性軟膏に用いられる「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」としては、例えば、ワセリン、白色ワセリン、精製ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、炭化水素、ゲル化炭化水素、スクアレン、スクアラン、ポリブテン等の極性基を有しない懸濁用基剤が挙げられる。
それ以外の成分として、有効成分であるレフルノミド類の懸濁性や安定性を妨げない範囲で、例えば植物油、動物油等の脂肪油、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の一般に軟膏用基剤として知られているものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物に用いることのできる「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分としては、例えば、ラノリン、液状ラノリン、精製ラノリン、ミツロウ、サラシミツロウ、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルや中鎖脂肪酸トリグリセリドであるトリ(カプリル酸、カプリン酸)グリセリン、ステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、トリミリスチン酸グリセリン、ヒマシ油、硬化油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、イソステアリン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、シリコーン油等が挙げられる。目的に応じてこれらの基剤の1つまたは複数を適宜選択することができる。
上記の「疎水性でかつ極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分の含有量は、キャリアに対して30w/w%を超えないようにするのが望ましい。
懸濁液剤としては、例えば油脂性の懸濁液剤が挙げられ、上記の軟膏と同様に目的に応じてキャリアに用いる基剤を選択する。
油脂性の懸濁液剤に用いられる「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」は、例えば、流動パラフィン、炭化水素、スクアレン、スクアラン、ポリブテン等の極性基を有しない懸濁用基剤のうち、液状であるものから選択する。
さらにそれ以外の成分として、有効成分であるレフルノミド類の懸濁性や安定性を妨げない範囲で、例えば植物油、動物油等の脂肪油、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、ポリアルキレングリコール類等の一般に軟膏用基剤として知られているものの中から液状のものを適宜選択して用いることができる。
油脂性の懸濁液剤に用いることのできる「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分としては、具体的には、例えば、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、トリ(カプリル酸、カプリン酸)グリセリン等の中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、トリミリスチン酸グリセリン、ヒマシ油、イソステアリン酸、オレイルアルコール、シリコーン油等が挙げられる。目的に応じてこれらの基剤の1つまたは複数を適宜選択し混合することができる。
上記の「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分の含有量は、キャリアに対して30w/w%を超えないようにするのが望ましい。
懸濁型貼付剤は、支持体上に「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」を用いた粘着性の膏体を積層したものである。支持体としては皮膚の伸縮に自在に追随し得る柔軟な素材が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のプラスティック製フィルム、不織布、布、紙等の公知のものが挙げられる。
貼付剤を構成する膏体としては、懸濁用基剤および粘着剤、あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤を添加したものからなり、皮膚安全性、皮膚への付着性等を考慮して公知のものより適時選択できる。
貼付剤に用いられる「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」としては、例えば、ワセリン、白色ワセリン、精製ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、炭化水素、ゲル化炭化水素、スクアレン、スクアラン、ポリブテン等が選択される。
粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等から選択することができる。
このうち、アクリル系としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とする(共)重合体が挙げられる。この(共)重合体は、2種類以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよく、また(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合しうる官能性モノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であってもよい。
ゴム系としては、例えば天然ゴム、ポリイソプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のゴム粘着剤を主成分とするものが挙げられる。
シリコーン系としては、例えばポリジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン等のシリコーンゴムを主成分とするものが挙げられる。
粘着付与剤としては、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂等が挙げられる。
懸濁型貼付剤において、支持体に積層する膏体の厚さは、1〜1000μmの範囲が選択され、好ましくは10〜500μmの範囲が選択される。さらに好ましくは20〜200μmの範囲から選択される。
懸濁軟膏、懸濁液剤または懸濁型貼付剤には、有効成分であるレフルノミド類の懸濁性や安定性を妨げない範囲で、「親油性の非イオン界面活性剤」などを添加することもできる。
「親油性の非イオン界面活性剤」としては、具体的には、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、バチルアルコール、セラキルアルコール、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル等のα−モノアルキルグリセリルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等のポリソルベート類、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ステアリン酸ポリオキシル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類などが挙げられる。
上記「親油性の非イオン界面活性剤」の含有量は、上記の「疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤」以外の成分の含有量と合わせて、キャリアに対して30w/w%を超えないようにすることが望ましい。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物においては、これらの親油性非イオン界面活性剤を加えることによって、皮膚への親和性を向上させる効果がある。
懸濁型経皮投与用医薬組成物の剤型の中で、特に好ましいのは軟膏剤である。
本発明のレフルノミド類を含有する懸濁型経皮投与用医薬組成物は、適度な粘稠度を有する軟膏剤とすることにより、有効成分としてキャリア中に懸濁しているレフルノミド類の分散安定性が保持されると共に、投与後も長期にわたって皮膚上に留めることができ、その結果、優れた薬効を発現させることができる。
上記の軟膏剤、液剤または貼付剤中に有効成分として含有されるレフルノミド類の量としては、剤の全体量に対して0.01〜20w/w%の範囲から選択され、好ましくは0.1〜10w/w%の範囲から選択される。より好ましくは0.2〜10w/w%の範囲から選択され、さらに好ましくは1〜5w/w%の範囲から選択される。
本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、有効成分であるレフルノミド類を特定の懸濁用基剤中に懸濁・分散させて調製される。具体的には、例えば、充分に粉砕されたレフルノミド類の原末を懸濁用基剤中に添加して十分に攪拌する。その後、選択する剤型に応じて、種々の基剤や添加剤等を加えることにより、軟膏剤、液剤等の剤型とする。温度や攪拌力などの調製条件はそれぞれの剤型に適した条件から選択すればよい。ただし、過剰な加温は有効成分としてキャリア中に懸濁しているレフルノミド類の結晶状態を変化させてしまう可能性があるため、例えば、室温付近から50℃くらいまでの範囲内で調製するのが望ましい。軟膏剤であれば、例えば自転公転式ミキサー(あわとり練太郎AR−250、(株)シンキー製)を用いることにより、室温付近で調製することができる。また、真空乳化機等を用いて温度を制御しながら十分に攪拌することにより調製することもできる。
また、懸濁貼付剤の場合であれば、例えば、充分に粉砕されたレフルノミド類の原末を懸濁用基剤中に添加して十分に攪拌して、懸濁・分散させた後、これを前述のように粘着剤、あるいは必要に応じてさらに粘着付与剤と軟化剤と混合して調製した膏体をプラスティック製フィルム等の支持体上に積層して調製される。貼付剤の調製法としては、ホットメルト法と溶媒法が挙げられ、目的に応じて適宜選択して調製すればよい。温度などの調製条件はそれぞれの調製法に適した条件から選択すればよい。ただし、過剰な加温は有効成分としてキャリア中に懸濁しているレフルノミド類の結晶状態を変化させてしまう可能性があるため、例えば、溶媒法を用いて室温付近から50℃くらいまでの範囲内で調製するのが望ましい。
本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物および懸濁型経皮投与用医薬組成物は、上記のごとく優れた抗炎症作用を有するため、治療の対象となる疾患は特に限定されないが、特に慢性関節リウマチまたは関節炎の治療用として優れている。
また、その投与部位は、皮膚であればどの部位に塗布してもかまわないが、患部またはその近傍の皮膚に塗布することが好ましい。
用量は患者の年齢、体重、性別、症状、剤型、投与部位により適宜選択される。
通常は成人に対して、レフルノミド類として1mg〜1.0g/日となるように投与する。
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、懸濁型経皮投与用医薬組成物の調製にはジェットミルを用いて粉砕したレフルノミドを使用した。この原末を、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−3000、島津製作所(株)製)で分析したところ、平均粒子径は7μmであり、90%以上の粒子が20μm以下に含まれていた。(測定条件:乾式、屈折率:1.70−0.00i)
[実施例1]
レフルノミド溶解液剤(1)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))99gを約40℃に加温し、攪拌しながらレフルノミド1gを加えた。溶解を確認した後、室温まで冷却し、レフルノミドの1%溶解液剤Aを得た。
[実施例2]
レフルノミド溶解液剤(2)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))95gを約40℃に加温し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認した後、室温まで冷却し、レフルノミドの5%溶解液剤Bを得た。
[実施例3]
レフルノミド溶解液剤(3)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))50gとアジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))45gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Cを得た。
[実施例4]
レフルノミド溶解液剤(4)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)95gを攪拌しながら、室温でレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Dを得た。
[実施例5]
レフルノミド溶解液剤(5)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)90gを攪拌しながら、室温でレフルノミド10gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの10%溶解液剤Eを得た。
[実施例6]
レフルノミド溶解液剤(6)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))55gとポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)40gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Fを得た。
[実施例7]
レフルノミド溶解液剤(7)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))95gとα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、レフルノミド2.5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの2.5%溶解液剤Gを得た。
[実施例8]
レフルノミド溶解液剤(8)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))92.5gとα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Hを得た。
[実施例9]
レフルノミド溶解液剤(9)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)92.5gとα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Iを得た。
[実施例10]
レフルノミド溶解液剤(10)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))52.5gとエタノール42.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Jを得た。
[実施例11]
レフルノミド溶解液剤(11)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))40g、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))12g、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)30g、プロピレングリコール(旭電化工業(株)製)13gおよびα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド2.5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの2.5%溶解液剤Kを得た。
[実施例12]
レフルノミド溶解液剤(12)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))40g、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))12g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:ODO、日清オイリオ(株)製)30g、ミリスチン酸イソプロピル(商品名:NIKKOL IPM−100、日光ケミカルズ(株))13gおよびα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド2.5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの2.5%溶解液剤Lを得た。
[実施例13]
レフルノミド溶解液剤(13)
アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))12g、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)53g、プロピレングリコール(旭電化工業(株)製)30gおよびα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを室温で混合し、攪拌しながらレフルノミド2.5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの2.5%溶解液剤Mを得た。
[実施例14]
レフルノミド溶解液剤(14)
アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))34.5g、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)30g、マクロゴール400(商品名:マクロゴール400、日本油脂(株)製)27.5g、α−モノオレイルグリセリルエーテル(商品名:NIKKOL セラキルアルコール、日光ケミカルズ(株))2.5gを40℃に加温して混合し、攪拌しながらジブチルヒドロキシトルエン(商品名:ヨシノックスBHT、(株)エーピーアイコーポレーション製)0.5gを加え、完全に溶解した後、さらにレフルノミド5gを加えた。溶解を確認し、レフルノミドの5%溶解液剤Nを得た。
[実施例15]
レフルノミド溶解液剤(15)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))65gとレフルノミド5gを室温で混合、攪拌し、レフルノミドを溶解させた。攪拌しながらさらに流動パラフィン(油化産業(株)製)30gを加え、レフルノミドの5%溶解液剤Oを得た。
[実施例16]
レフルノミド溶解液剤(16)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))40gとレフルノミド2.5gを室温で混合、攪拌して、溶解を確認した。さらに攪拌しながら、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))12g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:ODO、日清オイリオ(株)製)30g、流動パラフィン(油化産業(株)製)13gおよびα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを加えて均一に溶解し、レフルノミドの2.5%溶解液剤Pを得た。
[実施例17]
レフルノミド溶解軟膏剤(1)
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:アデカプルロニックL−44、旭電化工業(株)製)50g、マクロゴール400(商品名:マクロゴール400、日本油脂(株)製)10g、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:NIKKOL DID、日光ケミカルズ(株))10gとレフルノミド5gを室温下で混合、溶解し、約60℃に加温した。これを、あらかじめ約70℃に加温、融解したマクロゴール4000(商品名:マクロゴール4000、日本油脂(株)製)14gとステアリルアルコール(商品名:カルコール8688、花王(株)製)11gの混合物中に攪拌しながら徐々に添加した。攪拌しながら、固まるまで徐々に冷却し、レフルノミドの5%溶解軟膏剤Qを得た。
[実施例18]
レフルノミド溶解軟膏剤(2)
マクロゴール400(商品名:マクロゴール400、日本油脂(株)製)45gとレフルノミド5gを室温下で混合、溶解し、約60℃に加温した。これを、あらかじめ約60℃に加温し、融解したマクロゴール4000(商品名:マクロゴール4000、日本油脂(株)製)50g中に攪拌しながら徐々に添加し、溶融確認した。攪拌しながら、固まるまで徐々に冷却し、レフルノミドの5%溶解軟膏剤Rを得た。
[実施例19]
レフルノミド溶解ゲル製剤
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))80gを約40℃に加温し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えて、溶解を確認した。これにジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(商品名:ルーセンタイトSAN、コープケミカル(株)製)15gを加えて、十分に攪拌しながら冷却し、レフルノミドの5%溶解ゲル製剤Sを得た。
[実施例20]
レフルノミド溶解貼付剤(1)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))20gを約40℃に加温し、攪拌しながらレフルノミド2.5gを加えて、溶解を確認した。さらに攪拌しながら、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを加えて均一に溶解し、レフルノミド溶解液を調製した。別に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名:KRATON D−1107CP、クレイトンポリマージャパン(株))40gおよび水添ロジンエステル誘導体(商品名:エステルガムH、荒川化学工業(株))12.5gを加熱して混合し、均一に溶融したことを確認した後、さらにセバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))22.5gを加えて溶解したものに、上記のレフルノミド溶解液を混合し、レフルノミドの2.5%溶解貼付剤T(膏体)を得た。
[実施例21]
レフルノミド溶解貼付剤(2)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))20gを約40℃に加温し、攪拌しながらレフルノミド5gを加えて、溶解を確認した。さらに攪拌しながら、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)2.5gを加えて均一に溶解し、レフルノミド溶解液を調製した。別に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(商品名:KRATON D−1107CP、クレイトンポリマージャパン(株))40gおよび水添ロジンエステル誘導体(商品名:エステルガムH、荒川化学工業(株))12.5gを加熱して混合し、均一に溶融したことを確認した後、さらにセバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))20gを加えて溶解したものに、上記のレフルノミド溶解液を混合し、PETフィルム(片面コロナ放電処理品、藤森工業(株))に塗布した後、約80℃で乾燥することにより、レフルノミドの5%溶解貼付剤Uを得た。
[実施例22]
レフルノミド懸濁軟膏(1)
プラスティベース(商品名:プラスティベース、ブリストル製薬(株)製)95gにレフルノミド5gを加え、室温下で十分に攪拌し、脱泡し、レフルノミド5%懸濁軟膏aを得た。
[実施例23]
レフルノミド懸濁軟膏(2)
プラスティベース(商品名:プラスティベース、ブリストル製薬(株))99gにレフルノミド1gを加え、室温下で十分に攪拌し、脱泡し、レフルノミド1%懸濁軟膏bを得た。
[実施例24]
レフルノミド懸濁軟膏(3)
精製白色ワセリン(商品名:サンホワイトP−200、日興リカ(株)製)85gと流動パラフィン(油化産業(株)製)10gとを混合し、約70℃に加温して溶融させた。攪拌しながら徐々に冷却し、約50℃でレフルノミド5gを加え、10分間攪拌した。攪拌しながら固まるまで徐々に冷却し、レフルノミド5%懸濁軟膏cを得た。
[実施例25]
レフルノミド懸濁軟膏(4)
プラスティベース(商品名:プラスティベース、ブリストル製薬(株))85gとα−モノイソステアリルグリセリルエーテル(商品名:ペネトールGE−IS、花王(株)製)10gおよびレフルノミド5gを加え、室温で十分に攪拌し、脱泡し、レフルノミド5%懸濁軟膏dを得た。
[実施例26]
レフルノミド懸濁軟膏(5)
精製ワセリン(商品名:サンホワイトP−150、日興リカ(株)製)85gとミリスチン酸イソプロピル(商品名:NIKKOL IPM−100、日光ケミカルズ(株))10gおよびレフルノミド5gを加え、室温下で十分に攪拌し、脱泡し、レフルノミド5%懸濁軟膏eを得た。
[実施例27]
レフルノミド懸濁液剤(1)
スクアラン(商品名:スーパースクアラン、(株)スクアテック製)95gにレフルノミド5gを加え、室温で十分に攪拌し、レフルノミド5%懸濁液剤fを得た。
[実施例28]
レフルノミド懸濁液剤(2)
流動パラフィン(油化産業(株)製)95gにレフルノミド5gを加え、室温で十分に攪拌し、レフルノミド5%懸濁液剤gを得た。
比較例1
レフルノミド溶解液剤(17)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))35gとレフルノミド5gを40℃で混合、攪拌した。レフルノミドを完全に溶解させた。攪拌しながらさらに流動パラフィン(油化産業(株)製)60gを加え、レフルノミド5%溶解液剤Vを得た。
比較例2
レフルノミド溶解液剤(18)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))50gとレフルノミド5gを40℃で混合、攪拌し、レフルノミドを溶解させた。攪拌しながらさらに流動パラフィン(油化産業(株)製)45gを加え、レフルノミドの5%溶解液剤Wを得た。
比較例3
レフルノミド溶解液剤(19)
セバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))45gとレフルノミド5gを室温で混合、攪拌し、レフルノミドを溶解させた。攪拌しながらさらにスクアラン50g(商品名:スーパースクアラン、(株)スクアテック製)を加え、レフルノミドの5%溶解液剤Xを得た。
比較例4
レフルノミド懸濁液剤(3)
スクアラン(商品名:スーパースクアラン、(株)スクアテック製)55gにセバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))40gを加えて均一化した後、レフルノミド5gを加えた。室温で十分に攪拌し、レフルノミドの5%懸濁液剤hを得た。
比較例5
レフルノミド懸濁液剤(4)
流動パラフィン(油化産業(株)製)65gにセバシン酸ジエチル(商品名:NIKKOL DES−SP、日光ケミカルズ(株))30gを加えて均一化した後、レフルノミド5gを加えた。室温で十分に攪拌し、レフルノミドの5%懸濁液剤iを得た。
試験例1
レフルノミド外用剤のアジュバント関節炎に対する治療効果(1)
日本チャールスリバー株式会社より購入した6週齢のLewis系雄性ラットを用いて、本実験を行った。
アジュバント関節炎は、Mycobacterium butyricum死菌菌体(Difco)を0.5%の濃度になるよう流動パラフィンで懸濁したものを0.2mlずつエーテル麻酔下でラットの右側後肢足蹠皮下に注入し、作成した。注射後17日目に左側後肢に浮腫を呈する動物を選択し、左側後肢容積と体重を基準にして群分けした。被験物質は群分け当日から1日1回、連続5日間塗布した。また、ラットが肢を舐めるのを防止するため塗布部を、アルミホイルを用いてカバーした。最終塗布の約5時間後に水置換法にて両側後肢容積を測定し、群分け時との差を算出し評価した。
群構成は以下の表1のとおりとした。
なお、レフルノミド外用剤は実施例で調製したものを用い、各試料に対応する製剤ブランクは同組成でレフルノミドを除いて調製したものを使用した。

試験結果を表2および図1、2に示す。

結果に示した通り、レフルノミドの溶解液剤及び懸濁軟膏は1日1回塗布でブランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。
一般に、アジュバント関節炎モデルを用いて抗リウマチ作用を評価する場合は、注射足(浮腫側)だけでなく、むしろ非注射足に対する抑制作用が、より重視される。
表2の結果は、本発明のレフルノミド含有製剤は非注射足側においても高い浮腫抑制作用を示している。
試験例2
レフルノミド外用剤のアジュバント関節炎に対する治療効果(2)
試験例1に従って、種々の組成を有するレフルノミド外用剤のアジュバント関節炎に対する治療効果を評価した。
群構成は以下の表3のとおりとした。結果を表4および図3、4に示す。
なお、各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、同組成でレフルノミドを除いて調製したものを使用した。


結果に示した通り、本発明のレフルノミド含有製剤はいずれの製剤も1日1回塗布で浮腫抑制作用を示した。
さらに、α−モノアルキルグリセリルエーテルを添加した処方では、未添加の処方と比較して、浮腫抑制作用が著しく高まっていることがわかる。
以上の結果より、レフルノミドは、特定の基剤中に含有させて経皮投与することで、優れた薬効を示す。
試験例3
レフルノミド溶解液剤のアジュバント関節炎に対する治療効果(3)
試験例1に従って、種々の組成を有するレフルノミド溶解液剤のアジュバント関節炎に対する治療効果を評価した。
群構成は以下の表5のとおりとした。結果を表6および図5、6に示す。
また、試験前後における体重変化を表7および図7に示す。
なお、各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、同組成でレフルノミドを除いて調製したものを使用した。


結果に示した通り、本発明のレフルノミドの溶解液剤はいずれの製剤も1日1回塗布でブランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。

結果に示した通り、製剤ブランクでは体重の減少が認められたが、レフルノミド溶解液剤ではいずれの製剤も体重増加した。体重減少は、レフルノミドの副作用の一つとして知られている。
以上の結果より、本発明のレフルノミド含有製剤は、特定の基剤中に溶解状態で含有させることにより、優れた薬効を示すことに加え、安全性の面でも優れていることがわかる。
試験例4
レフルノミド溶解液剤のアジュバント関節炎に対する治療効果(4)
試験例1に従って、種々の組成を有するレフルノミド溶解液剤と、レフルノミド溶解貼付剤のアジュバント関節炎に対する治療効果を評価した。ただし、貼付剤Uは後肢全体を包むように貼付し、さらに貼付剤がずれるのを防止するため、包帯で固定した。さらに、貼付剤Tの場合はラット後肢へ完全に密着させることが困難なため、支持体を除いた膏体のみを投与した。
群構成は以下の表8のとおりとした。結果を表9および図8、9に示す。
なお、各試料に対応する記号を付与した製剤ブランクは、同組成でレフルノミドを除いて調製したものを使用した。


結果に示した通り、本発明のレフルノミドの溶解型製剤はいずれの製剤も1日1回の投与でブランクと比較して高い浮腫抑制作用を示した。
また、貼付剤Uも結果として完全に密着させることができなかったにもかかわらず、ブランクと比較して十分な浮腫抑制作用を示した。
試験例5
レフルノミド溶解液剤を経皮投与した場合の血中濃度の測定
試験例1と同様に作成したアジュバント関節炎ラットに実施例で示したレフルノミド外用剤を単回投与したときの、レフルノミドの血清中濃度をLC−MS/MSを用いて測定した。また、同時にレフルノミドを単回経口投与(20mg/kg)した時の血清中濃度を測定し、比較した。
群構成を表10に、結果を表11および図10に示した。


結果に示した通り、レフルノミド溶解液剤は、経口投与と比較してCmaxは1/2以下に低く抑えられているにもかかわらず、tmaxは4倍に、AUC(0−T)は約2倍に向上しているのがわかる。また、レフルノミド懸濁軟膏は、経口投与と比較してAUC(0−T)はほぼ同等であるにもかかわらず、Cmaxは1/5以下に抑えられ、かつtmaxは8倍も改善されていることがわかる。
以上の結果より、本発明の経皮投与用医薬組成物は副作用や持続性の点でも優れた製剤であることがわかる。
試験例6
レフルノミド溶解液剤の安定性評価(1)
実施例2、6、8、12で調製した各製剤について、苛酷条件下で安定性試験を行った。
すなわち、上記の各試料を10mL容ガラス製ねじ口試験管(NR−10、マルエム(株)製)に3mL入れて密栓し、60℃恒温槽に保存した。保存後3週目および6週目にそれぞれ取り出し、液体クロマトグラフィ分析を行った。
安定性は、別途調製したレフルノミド標準溶液を同時に分析し、標準溶液のレフルノミドピーク面積値を100とした場合の各試料の不純物ピーク面積値の合計を類縁物質含量(%)とし、イニシャル値との比較を行うことにより評価した。なお、この類縁物質量には基剤由来ピークも含まれている。
結果を表12に示した。

表12より明らかなように、本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、いずれも高い安定性を示すことがわかる。
試験例7
レフルノミド溶解液剤の安定性評価(2)
実施例1〜16で調製した溶解液剤A〜Pおよび比較例1〜3で調製した溶解液剤V〜Xについて、それぞれガラス製ねじ口試験管(NR−10、マルエム(株)製)に入れて密栓し、5℃の保冷庫に保存したものを、1、3、5、7、14、21、28日後のそれぞれ一定の時間に取り出し、さらに室温に2時間放置した後に結晶析出の有無を肉眼で観察した。その結果、実施例1〜16で調製した溶解液剤A〜Pはいずれも結晶等の固形物の析出が一切認められなかった。
一方、比較例1から3で調製した溶解液剤V、WおよびXについては、同様の試験でいずれも3日以内にレフルノミドの結晶析出や相分離が認められた。
本結果より、本発明の溶解型経皮投与用医薬組成物は、経皮投与用キャリア中に有効成分が安定に溶解していることが確認された。
試験例8
レフルノミド懸濁軟膏の安定性評価(1)
実施例22および23で調製された製剤(5%レフルノミド懸濁軟膏a、1%レフルノミド懸濁軟膏b)について、苛酷安定性試験を行い、有効成分の安定性を評価した。
すなわち、試料を10gアルミチューブ(関西チューブ(株)製)に充填して密栓し、60℃恒温槽に保存した。保存後2週目および4週目にそれぞれ取り出し、液体クロマトグラフィによる分析を行った。安定性は、レフルノミドのピーク面積に対する不純物ピークの割合の合計を類縁物質含量とし、イニシャル値との比較を行うことにより評価した。試験はn=3で実施し、平均値を算出した。
結果を表13に示した。

60℃での苛酷安定性試験の結果、表13より明らかなように、本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は高い安定性を示すことがわかる。
なお、各試料共に、キャリア中に懸濁している結晶の粒子径は、60℃で6週経過しても変化がなかった。
試験例9
レフルノミド懸濁軟膏の安定性評価(2)
実施例22および23で調製された製剤(5%レフルノミド懸濁軟膏a、1%レフルノミド懸濁軟膏b)について、長期保存安定性試験を行い、有効成分の安定性を評価した。
すなわち、試料を10gアルミチューブ(関西チューブ(株)製)に充填して密栓し、5℃保冷庫に保存した。保存後4ヶ月目および6ヶ月目にそれぞれ取り出し、液体クロマトグラフィによる分析を行った。安定性は、レフルノミドのピーク面積に対する不純物ピークの割合の合計を類縁物質含量とし、イニシャル値との比較を行うことにより評価した。試験はn=3で実施し、平均値を算出した。
結果を表14に示した。

5℃での長期安定性試験の結果、表14より明らかなように、本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は高い安定性を示すことがわかる。
なお、各試料共に、懸濁している結晶の粒子径は、5℃で6ヶ月経過後も変化がなかった。
試験例10
レフルノミド懸濁液剤の安定性評価
実施例27および28、比較例4および5で調製した各液剤を用いて、結晶形態の安定性試験を行った。
すなわち、10mL容ガラス製フタ付試験管に充填、密栓した各試料を、振とうしながら40℃水浴中で加温し、6時間後に取り出した後、試験管に沈降したレフルノミド結晶を肉眼観察した。その結果、実施例27および28の試料は比較例4および5の試料と比較して明らかに結晶量の減少が認められた。
次いで、それらの試料を5℃保冷庫中で3日間保存し、取り出したサンプルについて、光学顕微鏡を用いて懸濁結晶の形態観察を行い、別途調製直後より5℃で保管しておいたものと比較した。
その結果、実施例27および28で調製した液剤では結晶の形態変化が見られなかったのに対し、比較例4および5で調製した液剤では100μm以上の結晶が多数観察され、結晶形態が明らかに変化していることが確認された。
以上の結果より、本発明の懸濁型経皮投与用医薬組成物は、安定性に優れた製剤であることがわかる。
試験例11
レフルノミド懸濁軟膏のアジュバント関節炎に対する治療効果
日本チャールスリバー株式会社より購入した6週齢のLewis系雄性ラットを用いて、本実験を行った。
アジュバント関節炎はMycobacterium butyricum死菌菌体(Difco)を0.5%の濃度になるよう流動パラフィンで懸濁したものを0.2mlずつエーテル麻酔下でラットの右側後肢足蹠皮下に注入し作成した。注射後17日目に左側後肢に浮腫を呈する動物を選択し、左側後肢容積と体重を基準にして群分けした。被験物質は群分け当日から1日1回、連続5日間塗布した。また、ラットが肢を舐めるのを防止するため塗布部をアルミホイルを用いて軽くカバーした。最終塗布の約5時間後に水置換法にて両側後肢容積を測定し、群分け時との差を算出し評価した。
群構成は以下の表15のとおりとした。
なお、レフルノミド懸濁軟膏は実施例で調製したものを用い、製剤ブランクは同組成でレフルノミドを除いたものを使用した。

試験結果を表16に示す。

結果に示した通り、本発明のレフルノミド懸濁軟膏は1日1回塗布で明らかに浮腫抑制作用を示した。
【産業上の利用可能性】
本発明のレフルノミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩を含有する経皮投与用医薬組成物は、直接患部およびその近傍の皮膚に投与することで、有効な抗炎症、抗リウマチ効果を示すことができる。
本出願は、日本で出願された特願2003−286418および特願2003−289457を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有効成分として、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩;および
b)(1)溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリア、または
(2)疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物。
【請求項2】
活性代謝体が、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシ−クロトンアミドである請求項1に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項3】
経皮投与用キャリアが、溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、有効成分溶解型である請求項1または2に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項4】
溶解用基剤が二塩基酸ジアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびマクロゴールから選択される一種またはそれ以上の混合物である請求項3に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項5】
経皮投与用キャリア中における炭化水素油の含有量が、40w/w%以下である請求項3に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項6】
経皮投与用キャリア中における溶解用基剤の含有量が、50w/w%以上である請求項3に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項7】
経皮投与用キャリアが、さらに親油性の非イオン性界面活性剤を含有する請求項3に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項8】
二塩基酸ジアルキルエステルが、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルおよびアジピン酸ジイソプロピルから選択される一種またはそれ以上の混合物である請求項4に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項9】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが30℃で液状を呈するものから選択される一種またはそれ以上の混合物である請求項4に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項10】
中鎖脂肪酸トリグリセリドが、炭素数8〜10の脂肪酸で構成されるトリグリセリドの一種またはそれ以上の混合物である請求項4に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項11】
親油性の非イオン性界面活性剤が、α−モノアルキルグリセリルエーテルである請求項7に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項12】
経皮投与用キャリア中における親油性の非イオン性界面活性剤の含有量が、0.1〜10w/w%である請求項7に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項13】
液剤、軟膏剤、ゲル製剤または貼付剤の剤型である請求項3に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項14】
液剤、軟膏剤またはゲル製剤の剤型である請求項13に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項15】
経皮投与用キャリアが、疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、該キャリア中に有効成分が安定に懸濁している請求項1または2に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項16】
疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、炭化水素油である請求項15に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項17】
疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤が、ゲル化炭化水素である請求項15に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項18】
経皮投与用キャリアが、疎水性でかつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤のみからなる請求項15〜17のいずれかに記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項19】
経皮投与用キャリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に100μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が20μm以下である請求項15に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項20】
経皮投与用キャリア中に懸濁する有効成分の全ての粒子が実質的に20μm以下の粒子径で、かつ平均粒子径が10μm以下である請求項15に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項21】
軟膏剤、液剤または貼付剤の剤型である請求項15に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項22】
懸濁軟膏剤または懸濁液剤の剤型である請求項21に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項23】
有効成分の量が0.1〜10w/w%である請求項1に記載の経皮投与用医薬組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の経皮投与用組成物からなる、経皮投与用の慢性関節リウマチ又は関節炎の治療剤を製造するための、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、またはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項25】
a)有効成分として、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミドまたはその活性代謝体もしくはその薬理学的に許容される塩;および
b)(1)溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリア、または
(2)疎水性であって、かつ分子内に極性基を有しない懸濁用基剤を少なくとも70w/w%以上含有する経皮投与用キャリア;
を含有する経皮投与用医薬組成物を経皮的に投与する慢性関節リウマチまたは関節炎の治療のための投与方法。
【請求項26】
経皮投与用キャリアが、溶解用基剤を少なくとも40w/w%以上含有する経皮投与用キャリアであり、有効成分を経皮投与用キャリア中に溶解させた状態で経皮的に投与する、請求項25に記載の投与方法。

【国際公開番号】WO2005/011669
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512605(P2005−512605)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011385
【国際出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】