説明

経路解析装置

【課題】 特定の経路変動のみを解析することができる経路解析装置を提供する。また、広範囲における経路障害の発生箇所を特定することができる経路解析装置を提供する。
【解決手段】 経路障害箇所解析部23のStep1処理部23aは、経路情報収集部20によって受信されたUPDATEをグループ化する。Step2処理部23bは、Step1処理部23aによって生成されたグループのうち、解析対象のグループおよびこれよりも時間的に1つ前のグループに含まれる複数のUPDATEによって示されるASパスの共通部分の有無に応じて、ネットワーク上の経路障害または経路復旧の有無を判定する。Step3処理部23cは、Step2処理部23bによって経路障害あるいは経路復旧が発生したと判定された場合に、経路障害あるいは経路復旧が発生した箇所の候補から、実際に経路障害あるいは経路復旧が発生した箇所を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の経路についての経路情報を解析する経路解析装置に関し、特に、経路変動の解析手法の改善を図った経路解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BGP(Border Gateway Protocol)通信機能を持つルータは、RIB(Routing Infomation Base)と呼ばれるBGP経路表(以下経路表と称する)を内部で管理しており、現在の経路表を確認するための監視用機能を具備している。経路表はBGP経路(以下、経路と称する)のリストによって構成される。経路には、宛先アドレスの集合を示すプレフィクス(IPアドレスとサブネットマスクのビット数との組)と、そのプレフィクスに到達するための隣接ルータのアドレスや優先順位等を示すパラメータとが含まれる。ある宛先アドレスが経路表に含まれている場合、その経路表によって、該当ルータからその宛先アドレスへの経路が存在し、パケットが到達可能であることが示される。
【0003】
ネットワークは、一般的に、共通のポリシーや同じ管理下で運用されているルータ等の集合であるAS(Autonomous System)によって構成されている。各ASは内部で経路表を管理し、BGP通信を用いて他のASとBGP経路更新メッセージ(UPDATEメッセージ、以下UPDATEと称する)を定期的に交換し、経路表を更新している。
【0004】
従来、ネットワーク上に経路障害が発生した場合には、以下のようにしてその発生箇所の解析が行われていた。すなわち、複数のAS上にプローブ装置を設置し、その装置によって経路情報を観測し、各プローブ装置が得た経路情報の差分を取ることにより、経路障害の発生箇所の解析が行われていた(例えば非特許文献1参照)。また、同一プレフィクスに対する連続的なUPDATEを、時間差の閾値を用いてグループ化し、経路障害の発生箇所を解析する手法もある(例えば非特許文献2参照)。
【非特許文献1】明石修、他4名,「マルチエージェントを用いた自律組織間診断システム:ENCORE」,情報処理学会論文誌,社団法人情報処理学会,June1999,Vol.40,p.2659−2668
【非特許文献2】D.Chang,R.Govindan,J.Heidemann,「The Temporal and Topological Characteristics of BGP Path Changes」,Proc.ICNP'03,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載された障害箇所の解析手法においては、複数地点にプローブ装置を設置していた。他のISP(Internet Service Provider)が管理するAS上にプローブ装置を導入するには、そのISPの協力が必要となる。また、ネットワーク上の全てのAS(約17,000存在)上にプローブ装置を設置するのは困難であり、経路障害の解析範囲が数箇所のISP内およびISP間に限られる。
【0006】
また、非特許文献2に記載された障害箇所の解析手法においては、同一プレフィクスに対してのグループ化は行われているものの、異なるプレフィクス間での関連付けは行われていない。一般的に、ある箇所で経路障害が発生すると、多数のプレフィクスに対して同時に経路変動が発生する。また、外部のASで発生した経路変動を自ASで観測する場合には、1つのプレフィクスについて見ると、複数の経路情報の変化が異なる経路を通って伝わってくるため、連鎖的な経路情報の変化が観測される。したがって、このような連鎖的な変化が、多数のプレフィクスに対して発生することになる。
【0007】
非特許文献2に記載された手法によれば、1つのプレフィクスについての連鎖的な経路情報の変化を解析することはできるが、異なるプレフィクス間での関連付けがなされていないことから、どのプレフィクスの経路変動が同一障害に関連しているのかが判断できないという問題がある。このため、複数の経路変動の中から、運用者が注目する経路変動のみを抽出して解析することができない。また、非特許文献2に記載された手法においても、非特許文献1に記載された手法と同様に、複数の観測点で経路情報を観測することができることを前提としているため、非特許文献1に記載された手法と同様の問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、特定の経路変動のみを解析することができる経路解析装置を提供することを第1の目的とする。また、広範囲における経路障害の発生箇所を特定することができる経路解析装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、宛先の情報および該宛先に到達するまでの経路の変化の情報を示す経路情報に基づいて、ネットワーク上の経路状態を解析する経路解析装置において、同一宛先に対する前記経路情報を、該経路情報に関連付けられている時刻に基づいてグループ化することにより、第1のグループを生成すると共に、全宛先についての前記第1のグループを、該第1のグループに関連付けられている時刻に基づいてグループ化することにより、第2のグループを生成する第1の解析手段と、前記第1の解析手段によって生成された前記第2のグループごとに、該第2のグループに含まれる前記経路情報を用いて前記ネットワーク上の経路変動を解析する第2の解析手段とを具備することを特徴とする経路解析装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の経路解析装置において、前前記第2の解析手段は、前記第2のグループのうち、解析対象のグループ中の各前記第1のグループに含まれる時間的に最初の前記経路情報によって示される経路の第1の共通部分を抽出すると共に、前記解析対象のグループよりも時間的に1つ前の前記第2グループ中の各前記第1グループに含まれる時間的に最後の前記経路情報によって示される経路の第2の共通部分を抽出し、前記第1の共通部分が存在せず、かつ前記第2の共通部分が存在した場合に、前記第2の共通部分において経路障害が発生したと判定することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の経路解析装置において、前記第2の解析手段は、前記第2のグループのうち、解析対象のグループ中の各前記第1のグループに含まれる時間的に最初の前記経路情報によって示される経路の第1の共通部分を抽出すると共に、前記解析対象のグループよりも時間的に1つ前の前記第2グループ中の各前記第1グループに含まれる時間的に最後の前記経路情報によって示される経路の第2の共通部分を抽出し、前記第1の共通部分が存在し、かつ前記第2の共通部分が存在しない場合に、前記第2の共通部分において経路障害からの復旧が発生したと判定することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の経路解析装置において、前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報を含み、前記第2の共通部分は、複数のASの接続関係を示しており、前記第2の解析手段はさらに、前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS間の接続、および前記第2の共通部分に含まれる各ASを障害箇所の候補として特定することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の経路解析装置において、前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報と、該接続関係に関連付けられた宛先の情報とを含んでおり、ネットワーク上の宛先と、該宛先までの経路上のASどうしの接続関係とが関連付けられた経路表を予め記憶する記憶手段と、前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS(AおよびAk+1)間の接続A−Ak+1(kは1以上であって、k+1の最大値は前記第2の共通部分に含まれるASの数である)と同一の接続についての前記経路表に含まれる宛先の数N(P)と、前記第2の共通部分の算出に用いられたグループの前記経路情報に含まれる宛先の数N(M)とを各kについて比較し、N(P)=N(M)となるkが1つだけ存在する場合に、前記2つのAS間の接続を経路障害箇所として特定する第3の解析手段とをさらに具備することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の経路解析装置において、前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報と、該接続関係に関連付けられた宛先の情報とを含んでおり、ネットワーク上の宛先と、該宛先までの経路上のASどうしの接続関係とが関連付けられた経路表を予め記憶する記憶手段と、前記第2の解析手段は、前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS(AおよびAk+1)間の接続A−Ak+1(kは1以上であって、k+1の最大値は前記第2の共通部分に含まれるASの数である)と同一の接続についての前記経路表に含まれる宛先の数N(P)と、前記第2の共通部分の算出に用いられたグループの前記経路情報に含まれる宛先の数N(M)とを各kについて比較し、N(P)>N(M)>N(Pk+1)である場合に、前記Aを経路障害箇所として特定する第3の解析手段とをさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定の経路変動のみを解析することができるという効果が得られる。また、広範囲における経路障害の発生箇所を特定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による経路障害箇所特定装置(経路解析装置)の構成を示すブロック図である。この経路障害箇所特定装置は、管理対象のAS内に設置され、ネットワーク上の経路状態、特に、経路変動の一種である経路障害の発生および経路障害からの復旧(経路復旧)に係る経路状態を解析する。以下、図中の各構成について説明する。経路情報収集部20は、ネットワークを介して図示せぬルータからUPDATEを受信する。また、経路情報収集部20は、記憶部25に格納されている経路表を、入力部22を介して取得し、受信したUPDATEに基づいてその経路表を更新する。経路情報収集部20は、受信したUPDATE、および更新した経路表を蓄積部21へ出力する。経路表の更新は、UPDATEが受信されるごとに行われる。また、経路情報収集部20は経路障害箇所の特定時にUPDATEファイル100等の情報を経路障害箇所解析部21へ出力する。蓄積部21は、UPDATEおよび経路表をそれぞれUPDATEファイル100および経路表101として記憶部25に格納する。
【0017】
UPDATEファイル100は、経路情報収集部20がUPDATEを受信した時刻を示す受信時刻、IPアドレスとサブネットマスクとの組で構成されるプレフィクス(A.B.C.D/Xの形式)、メッセージの種別(後述する経路更新を示すannounce、または経路取り消しを示すwithdraw)、およびそのプレフィクスへの到達経路を表すAS番号の列であるASパス(メッセージ種別がwithdrawの場合は存在しない)のリストによって構成される。経路情報収集部20によって受信されたUPDATEには、上記の受信時刻、プレフィクス、およびASパスが含まれている。したがって、UPDATEファイル100は、経路情報収集部20によって受信されたUPDATEが受信時刻の順に並べられたUPDATEの一覧を表す。経路表101は、プレフィクス、そのプレフィクスへの到達経路を表すASパス、およびその経路が使用可能になった時刻を表す経路更新時刻のリストによって構成される。すなわち、経路表101は、その生成時刻における全プレフィクスへの到達経路を表す。
【0018】
入力部22は、記憶部25から必要なUPDATEファイル100および経路表101を読み出して経路情報収集部20へ出力する。経路障害箇所解析部23は、UPDATEファイル100に記録されたUPDATEを解析し、経路障害または経路復旧が発生した箇所を特定する。この経路障害箇所解析部23は、後述するStep1〜Step3の各処理に対応したStep1処理部23a、Step2処理部23b、およびStep3処理部23cを備えている。
【0019】
詳細は後述するが、Step1処理部23aは、UPDATEファイル100に含まれるUPDATEのうち、同一のプレフィクスに関連付けられた各UPDATEを、時間に関する第1の閾値を用いてグループ化し、このグループ化を各プレフィクスについて行う。また、Step1処理部23aは、全グループを、時間に関する第2の閾値を用いて再びグループ化する。
【0020】
Step2処理部23bは、Step1処理部23aによって生成されたグループに含まれる情報に基づいて、経路障害の発生の有無または経路復旧の発生の有無を判定すると共に、経路障害または経路復旧が発生したと判定した場合に、経路障害または経路復旧が発生した箇所の候補を特定する。詳細は後述するが、Step2処理部23bは、Step1処理部23aによって生成されたグループのうち、解析対象のグループに含まれる複数のUPDATEによって示されるASパスの共通部分の有無を判定し、共通部分が存在した場合には、その共通部分を抽出する。また、Step2処理部23bは、解析対象のグループに関連付けられた時刻の順に全グループを並べた場合に、解析対象のグループよりも1つ前のグループに含まれるUPDATEによって示されるASパスの共通部分の有無を判定し、共通部分が存在した場合には、その共通部分を抽出する。Step2処理部23bは、2つの共通部分の存在の有無に応じて、ネットワーク上に経路障害が発生したのか、経路障害から復旧したのか、あるいはそれ以外なのかを判定すると共に、経路障害あるいは経路復旧が発生した箇所の候補を示す情報を生成する。
【0021】
Step3処理部23cは、Step2処理部23bによって経路障害あるいは経路復旧が発生したと判定された場合に、経路障害あるいは経路復旧が発生した箇所の候補の中から、実際に経路障害あるいは経路復旧が発生した箇所を特定する。上記の各処理部は、経路障害箇所解析部23が内部に備えるRAM等のメモリを作業領域として各処理を行う。各処理が終了した場合、経路障害箇所解析部23は、解析結果を示す情報を経路障害解析結果出力部24へ出力する。経路障害解析結果出力部24は解析結果を経路障害解析結果ファイル102として記憶部25に格納する。記憶部25は、UPDATEファイル100、経路表101および経路障害解析結果ファイル102の他、各種の情報を記憶する。
【0022】
本実施形態による経路障害箇所特定装置は、例えば汎用的なパーソナルコンピュータ等によって実現可能である。この経路障害箇所特定装置は、図1に図示した構成以外にも、CPU(中央処理装置)およびチップセット等からなる制御部や、マウスおよびキーボード等からなる操作部、情報を表示するディスプレイ等からなる表示部、TCP/IP通信に対応したインターフェース部等の各構成を備えているものとする。
【0023】
次に、本実施形態におけるネットワークの構成と、経路障害時における情報の伝搬について説明する。図2は、本実施形態におけるネットワークの概略構成を示している。図においては、AS1〜AS13が図示されている。AS1は注目対象のASであり、自ASとする。AS1は上記の経路障害箇所特定装置およびルータを内部に備えているものとする。AS1〜AS13は、それぞれのISPによって管理されている。本実施形態の例においては、AS3とAS4との間で、接続リンクの切断が原因である経路障害が発生したものとする。
【0024】
経路変更あるいは経路取り消しは、UPDATEの送受信に基づいて行われる。経路変更を他のASに広報するためのUPDATE(以下、announceメッセージと称する)には、種別(announce)を示す情報と、変更後のプレフィクスおよびそのプレフィクスに到達するためのASパスの情報とが格納されている。また、経路取り消しをASに通知するためのUPDATE(以下、withdrawメッセージと称する)には、種別(withdraw)を示す情報と、取り消されたプレフィクスの情報とが格納されている。
【0025】
経路障害の発生時には、AS4がAS3に広報した経路(宛先アドレスの集合を示すプレフィクスと、そのプレフィクスに到達するためのASパス)が削除される。経路障害を検出したAS3は、経路取り消しを示すwithdrawメッセージ(プレフィクスp4〜p6の取り消しを示す)を送出し、そのメッセージを受信したAS2は、各プレフィクスの代替経路(ASパスが異なる経路)を示すannounceメッセージをAS1へ送出する。本代替経路の決定は、プレフィクス単位で行われ、そのプレフィクスの代替経路が存在しない場合には、announceメッセージの代わりにwithdrawメッセージが送出される。
【0026】
したがって、AS1は、AS3−AS4間の1回の経路障害において、複数のプレフィクスにおける経路変更(announce)あるいは経路取り消し(withdraw)を受信する。本経路障害では、AS4がAS3に広報したプレフィクスにのみ障害が発生するため、これらのプレフィクスにおける経路障害発生前のASパスは、AS3−AS4を共通部分として含むと考えられる。一方、経路障害発生後のASパスは、必ずしも共通部分を含むとは限らない。例えば、AS4およびAS5が生成したプレフィクスについては、AS9およびAS8を経由する経路が代替経路となり得るし、AS6が生成したプレフィクスについては、AS13、AS12、AS11、およびAS10を経由する経路が代替経路となり得る。
【0027】
図3は、図2と同一のネットワークにおいて、接続リンクの切断による経路障害から復旧した場合の例を示している。経路障害からの復旧後、AS3はAS2へannounceメッセージを送出し、経路変更を広報する。このメッセージを受信したAS2はAS1へannounceメッセージを送出し、経路変更を広報する。
【0028】
AS1に設置された経路障害箇所特定装置は、AS1内の経路情報を中継するルータから、経路情報の変化を示す情報(BGP経路更新メッセージ、すなわちannounceメッセージおよびwithdrawメッセージ)を受信する。しかし、AS1においては、経路情報の表面的な変化からは経路障害および経路復旧のいずれかが発生したのか判断することができない。そこで、複数のプレフィクスに対して短時間で発生した経路情報の変化を検出し、その変化の発生前後におけるASパスの共通部分を見つけることにより、経路障害・復旧のどちらが発生したのかを判断し、障害箇所の特定を行う。
【0029】
しかし、経路障害は、AS間の接続リンクの切断だけではなく、AS内の接続リンクの切断や、ルータの機器故障、経路制御情報の設定誤り等、AS内での障害によっても発生し得る。さらに、上述したASパスの共通部分が必ずしも2つのASとは限らず、3つ以上のASが共通部分となる可能性もある。一方、AS間で広報されるプレフィクス数は、一般に、自ASからの距離が近いほど大きいという特徴を有する。そこで、共通部分を経路障害箇所の候補とし、2つのAS間の接続(以下、ASリンクと称する)ごとに、経路障害により変動したプレフィクス数と、AS間で広報され、自ASにおいてベストパスとして選択されたプレフィクス数とを比較することにより、経路障害箇所の候補の中から、経路障害箇所を絞り込む。
【0030】
1回の経路障害に関して、同一プレフィクスにおいて、複数の経路情報の変化が観測され得る。例えば、図4に示されるように、自ASであるAS1からプレフィクスPに到達する経路が3種類(経路A〜経路C)存在する場合を想定し、AS2にとって、それらの優先順位が経路A>経路B>経路Cであるものとする。経路障害の発生前は、経路Aが選択されている。経路障害時に、経路Aの取り消しを示すメッセージが最初にAS2に到達した場合、AS2は経路Bと経路Cのうち、優先順位が高い経路BをAS1に広報する。
【0031】
このように、自ASと経路障害箇所との間のネットワーク構成に応じて、1つの経路障害により、自ASにおいて複数の経路情報の変化が観測され得る。経路情報の広報を行うBGPプロトコル手順では、同一プレフィクスに対する経路情報の変化の通知を一定時間(例えば30秒)空けることが望まれるという規定が存在するため、AS2は経路BをAS1に広報してから経路Cを広報するまで一定時間待機する。この手順により、1つの経路障害に関する情報の伝搬が終了するまでに数分かかる場合もある。
【0032】
次に、経路障害箇所を特定する具体的手法について説明する。手順はStep1〜Step3の3段階で順番に行われる。経路障害の特定時には、例えば運用者によって操作部を介して解析の開始指示が入力され、操作部は、運用者による指示を示す信号を制御部へ出力する。制御部は、この信号に基づいて、経路障害箇所特定装置の各部を制御する。入力部22は、記憶部25からUPDATEファイル100を読み出して経路情報収集部20へ出力する。経路情報収集部20はUPDATEファイル100を経路障害箇所解析部23へ出力する。経路障害箇所解析部23のStep1処理部23aは、以下のStep1の処理を行う。
【0033】
(Step1)BGP経路更新メッセージ(UPDATE)のグループ化
Step1は、同一プレフィクスのUPDATEをグループ化するStep1aと、異なるプレフィクス間のUPDATEを関連付けてグループ化するStep1bとに分かれ、Step1a、Step1bの順序で行われる。以下、図5を用いてStep1におけるStep1処理部23aの動作について説明する。
【0034】
Step1aにおいてStep1処理部23aは、UPDATEファイル100に含まれるUPDATEのプレフィクスおよび受信時刻を参照し、同一プレフィクスについての時間的に連続した2つのUPDATEの受信時刻の差と所定のUPDATE間閾値とを比較する。受信時刻の差がUPDATE間閾値よりも小さい場合には、Step1処理部23aはこれらのUPDATEを同一グループに属するものとみなし、受信時刻の差がUPDATE間閾値よりも大きい場合には別グループに属するものとみなす。Step1処理部23aは、同一グループに属するとみなした複数のUPDATEに対して、グループを示す識別情報を付与し、メモリに保持する。UPDATE間閾値は可変であるが、2分とするのが効果的である。
【0035】
図5(a)は、上記の処理によるグループ化の様子を示している。プレフィクスpおよびp’の各プレフィクスについて、連続するUPDATEの受信時刻の差がUPDATE間閾値よりも小さいUPDATEが同一のグループとなっている。Step1aにおいてグループ化されたUPDATEを単一プレフィクスUPDATE列(SPUB:Single-Prefix Update Burst)と呼ぶ。
【0036】
続いて、Step1処理部23aは1つのSPUBごとに発生時刻、初期ASパス、および新ASパスを収集し、それらの情報とプレフィクスを識別する情報とを関連付けた情報を生成する。発生時刻は、SPUBの時間的に最初のUPDATEの受信時刻である。初期ASパスは、時間的に1つ前のSPUBの最後のUPDATEに含まれるASパスである。新ASパスは、SPUBの最初のUPDATEに含まれるASパスである。このとき、同一ASの連続したプリペンドや、64500以上の数値を持つプライベートASはASパスから取り除く。例えば、UPDATE上のASパス10 20 20 20 30 65000は、10 20 30として扱われる。Step1処理部23aは、生成した情報を内部のメモリに保持する。Step1aにおけるグループ化によって、プレフィクスごとに、同一の経路変動の要因によって発生したUPDATEが同一のグループとなる。
【0037】
Step1bにおいてStep1処理部23aは、発生時刻が時間的に連続した2つのSPUBどうしの発生時刻の差と所定のイベント間閾値とを比較する。発生時刻の差がイベント間閾値よりも小さい場合には、Step1処理部23aはこれらのSPUBを同一グループに属するものとみなし、発生時刻の差がイベント間閾値よりも大きい場合には別グループに属するものとみなす。Step1処理部23aは、同一グループに属するとみなした複数のSPUBに対して、グループを示す識別情報を付与し、メモリに保持する。イベント間閾値は可変であるが、1秒とするのが効果的である。
【0038】
図5(b)は、上記の処理によるグループ化の様子を示している。プレフィクスp〜pのそれぞれについてのSPUBが同一のグループとなり、プレフィクスp、p、およびpのぞれぞれについてのSPUBが同一のグループとなっている。Step1bにおいてグループ化されたSPUBを複数プレフィクスUPDATE列(MPUB:Multi-Prefix Update Burst)と呼ぶ。MPUBには、複数のプレフィクスと、プレフィクスごとのASパスとが含まれている。
【0039】
続いて、Step1処理部23aは1つのMPUBごとに、発生時刻、初期ASパスとプレフィクス数のペアのリスト、および新ASパスとプレフィクス数のペアのリストを収集し、それらの情報とMPUBを識別する情報とを関連付けた情報を生成する。発生時刻は、MPUBを構成する各SPUBの発生時刻のうち最も古いものである。初期ASパスとプレフィクス数のペアは、MPUBを構成する各SPUBの初期ASパスを参照し、異なる初期ASパスごとに、そのASパスに関連付けられたプレフィクス数を算出し、そのプレフィクス数とASパスとを関連付けたものである。
【0040】
新ASパスとプレフィクス数のペアは、MPUBを構成する各SPUBの新ASパスを参照し、異なる新ASパスごとに、そのASパスに関連付けられたプレフィクス数を算出し、そのプレフィクス数とASパスとを関連付けたものである。Step1処理部23aは、上述した処理によって生成した情報を内部のメモリに保持する。Step1bにおけるグループ化によって、同一の経路変動の要因によって発生したプレフィクスの変動が、異なるプレフィクス間で関連付けられ、同一の変動要因に基づくSPUBが同一のグループとなる。なお、上記のグループ化の対象としてはannounceメッセージおよびwithdrawメッセージの両方が対象となり得るが、withdrawメッセージにはASパスの情報がないので、ASパスに関しては空の情報であるとして取り扱う。
【0041】
(Step2)経路障害箇所の候補の導出
Step2においてStep2処理部23bは、Step1処理部23aによって処理された結果に基づいて、MPUBごとに経路障害または経路復旧の有無の判定ならびに経路障害箇所または経路復旧箇所の候補の導出を行う。1つのMPUBの初期ASパスがa(m)(ただし、1≦m≦n)、新ASパスがa(l)(ただし、1≦l≦n)、初期ASパスおよび新ASパスの共通部分がそれぞれC{a(m)}およびC{a(l)}で与えられる場合、経路障害ありと判定される条件は(1)式で与えられる。また、経路復旧と判定される条件は(2)式で与えられる。
=C{a(m)} and C{a(l)}=φ ・・・(1)
=C{a(l)} and C{a(m)}=φ ・・・(2)
【0042】
ただし、aは経路障害候補となるASパスの共通部分を表す。(1)式は、初期ASパスが共通部分aを持ち、かつ新ASパスが共通部分を持たないことを表している。初期ASパスにおいて存在していた共通部分が、新ASパスにおいて存在しなくなったことから、この共通部分を経路障害候補とすることができる。(1)式を満たした場合、Step2処理部23bは、共通部分aにおいて経路障害が発生したと判定する。また、(2)式は、新ASパスが共通部分aを持ち、かつ初期ASパスが共通部分を持たないことを表している。(2)式を満たした場合、Step2処理部23bは、共通部分aにおいて経路復旧が発生した判定する。これらの共通部分は(3)式に従う。
=A−Ai+1−・・・−Ai+k−・・・−A ・・・(3)
ただし、Aは共通部分の先頭のASを表し、Aは共通部分の最後のASを表し、Ai+kは共通部分の先頭からk+1番目のASを表している。(3)式において各ASに付与されている番号は、本説明のために便宜的に付与されたものである。この番号が連続する2つのAS、すなわちAi+kとAi+k+1は、隣接するASを表している。したがって、(3)式は、共通部分を構成するASの接続関係を示している。
【0043】
この共通部分から経路障害箇所の候補は、
{A,A−Ai+1,Ai+1,・・・,A−Aj−1,A} ・・・(4)
という集合で表される。ただし、A−Ai+1はASリンク、AはAS内の候補である。なお、共通部分の最初のASであるAが自ASの隣接ASである場合には、aの頭に、自ASを表すASを追加する。つまり、この場合には、自ASならびに自ASとAとの間の接続が候補として追加されたことになる。これにより、自ASとAとの間のASリンクに障害が発生した場合でも、障害箇所の特定が可能となる。
【0044】
以下の場合は、障害箇所の特定に失敗する。
・n=n=1の場合
・C{a(l)}≠φ and C{a(m)}≠φの場合
・C{a(l)}=C{a(m)}=φの場合
【0045】
(Step3)プレフィクス数の比較による経路障害箇所の特定
Step3処理部23cは、Step1処理部23bによって導出された経路障害箇所の候補の中から、以下の手法によって、経路障害箇所を特定する。経路障害箇所の候補が1つのASである場合、つまり経路障害箇所の候補の集合が、ある数iに対して{A}である場合、経路障害箇所はA内であると特定される。また、経路障害箇所の候補が2AS以上である場合、その候補を含むMPUBに関連付けられているプレフィクスの数N(M)と、(4)式で示される候補に含まれるASリンクA−Ak+1をASパスに含む経路表上のプレフィクスPの総数N(P)とを全てのk(kは1以上であって、k+1の最大値は共通部分に含まれるASの数である)、すなわち全てのASリンクについて比較する。この場合の経路表とは、記憶部25に格納されたUPDATEファイル100および最新の経路表101に基づいて得られる、解析対象のMPUBの発生時刻における経路表である。
【0046】
以下の(5)式が満たされるとき、Step3処理部23cはASリンクA−Ak+1を障害箇所として特定する。また、(6)式が満たされるとき、ASAを障害箇所として特定する。
∃k,N(P)=N(M) and ∀h(h≠k),N(P)≠N(M) ・・・(5)
∃k,N(P)>N(M)>N(Pk+1) ・・・(6)
(5)式および(6)式において、∃kは、条件を満たすkが存在することを表す。なお、(5)式は、N(P)=N(M)となるkが1つだけ存在することを示す。
【0047】
なお、共通部分の端のASであるAおよびAについてはそれぞれ以下の式がみたされるときに、Step3処理部23cは各ASを障害箇所として特定する。すなわち、Aについては以下の(7)式、Aについては以下の(8)式が満たされるときに、障害箇所として特定する。
N(M)>N(P) ・・・(7)
N(M)<N(P) ・・・(8)
【0048】
ただし、以下の(9)式が満たされるとき、障害箇所の特定に失敗する。
∃h,k(h≠k),P=P=N(M) ・・・(9)
経路障害箇所解析部23は、上述したStep1からStep3までの手順により、経路障害の発生時刻(解析対象のMPUBの発生時刻とする)、および特定された障害箇所(ASリンク、AS、あるいは特定失敗)を示す情報を生成し、経路障害解析結果出力部24へ出力する。経路障害解析結果出力部24はこの情報を経路障害解析結果情報102として記憶部25に格納する。なお、上記の方法と同様の方法により、経路障害から復旧した箇所を特定することもできる。
【0049】
なお、Step3において必要となる経路表の作成は以下のようにして行われる。経路障害箇所解析部23は、解析対象のMPUBの発生時刻を経路情報収集部20に通知する。通知を受けた経路情報収集部20は、入力部22を介して最新の経路表101を取得すると共に、UPDATEファイル100に記録されたUPDATEの中から、解析対象のMPUBの発生時刻から現在までに受信されたUPDATEの情報を取得する。経路情報収集部20は、取得したUPDATEの情報に基づいて、現在の経路表101から、所望の時刻における経路表を生成する。
【0050】
すなわち、経路情報収集部20は、最新の受信時刻のUPDATEから受信時刻の古い方へ向かってUPDATEを1つずつ参照していき、その内容に基づいて(例えば、UPDATEがwithdrawメッセージであれば、逆に、ASパスを経路表に追加し、announceメッセージであれば、ASパスを経路表から削除する等によって)経路表を生成する。経路情報収集部20は、生成した経路表を経路障害箇所解析部23へ出力する。
【0051】
なお、上記においては、UPDATEファイル100を用いて経路障害の解析を行うようにしているが、ルータから受信したUPDATEをメモリ上に格納し、UPDATEファイル100を作成せずに、メモリ上のUPDATEを用いて経路障害の解析を行ってもよい。
【0052】
次に、本実施形態による障害箇所の特定手法を実データへ適用した例について説明する。図6は、UPDATEの内容例を示している。なお、図示の関係上、受信時刻0:01:00(0時1分0秒)以前に受信されたUPDATE、および受信時刻0:11:56以前に受信されたUPDATEは省略されている。ここで、UPDATE間閾値は2分であるとし、イベント間閾値は1秒であるとする。まず、Step1aにおけるグループ化が行われる。例えば、0:05:00に受信された、プレフィクス11.0.2.0/8に対するUPDATEの受信時刻と、その1つ前に受信された同じプレフィクスについてのUPDATEの受信時刻(受信時刻0:01:02)との差は2分を超えているため、これらのUPDATEは異なるSPUBとなる。各プレフィクスについてUPDATEがグループ化され、同一グループ内のUPDATEは同一のSPUBとなる。
【0053】
続いて、Step1bにおけるグループ化が行われる。Step1aにおいてグループ化されたSPUBのうち、発生時刻(前述したように、SPUBに含まれるUPDATEのうち最初のUPDATEの受信時刻である)の差がイベント間閾値以下となるSPUBは同一のMPUBとなる。図6においては、MPUB201および202がMPUBとして示されている。ここで、解析対象のMPUBがMPUB201であるとする。このMPUB201の発生時刻は0:05:00である。また、図示せぬUPDATEに基づいて得られる初期ASパスは図7(a)の通りであるとする。新ASパスは図7(b)の通りである。図においては、ASパスに対応したプレフィクスも示されている。これらより、MPUB201に関連付けられている初期ASパスとプレフィクス数のペアのリスト、および新ASパスとプレイフィクス数のペアのリストは図7(c)のようになる。
【0054】
続いて、Step2において、経路障害箇所の候補が導出される。図7(c)における初期ASパスには、符号301として示される共通部分が存在するが、新ASパスには共通部分が存在しないため、共通部分301が、経路障害箇所の候補を示す共通部分である。自ASをAS「1」とすると、AS「2」は自ASに隣接しているため、共通部分にAS「1」が加えられて、共通部分は「1 2 3 4」となる。この共通部分から、経路障害箇所の候補は{1,1−2,2,2−3,3,3−4,4}となる。
【0055】
続いて、Step3において、経路障害箇所が特定される。図8は、MPUB201の発生時刻における経路表の内容を示している。MPUB201のプレフィクス数は6であり、また、図8に示される経理表より、ASリンク「2−3」のプレフィクス数は8、ASリンク「3−4」のプレフィクス数は6である。ASリンク「3−4」のプレフィクス数がMPUB201のプレフィクス数に一致しているため、ASリンク「3−4」が経路障害箇所として特定される。
【0056】
上述した手法は、ネットワーク上を流れる経路情報をリアルタイムに解析すること、ならびに経路情報を一旦ファイルに蓄積し、オフラインで解析することの双方に適用可能である。
【0057】
なお、上述した経路障害の特定に関する他の機能を経路障害箇所特定装置に設けてもよい。例えば、経路障害解析の結果を、メール等により、定期的に運用者に通知する機能を設けてもよい。また、各ASに付与されたAS番号やプレフィクス数等を条件として、指定条件に合致する経路障害を検出した場合にのみ、障害情報として運用者に通知する機能を設けてもよい。さらに、一定時間(例えば1日や1ヶ月)ごとに、AS単位で経路障害の発生頻度を集計する機能を設けてもよい。
【0058】
上述した本実施形態によれば、同一プレフィクスに関して、同一の経路変動要因によって発生したUPDATEをグループ化することによりSPUBを生成し、さらに、異なるプレフィクス間に関しても、同一の経路変動要因によって発生したSPUBをグループ化することによりMPUBを生成するようにしたので、特定のMPUBを用いて特定の経路変動のみを解析することができる。すなわち、運用者が注目する経路変動と、その経路変動とは異なる原因で発生した経路変動とを分けて解析することができる。
【0059】
また、上述したStep1〜Step2の処理により、広範なネットワーク上のASリンクおよびASの中から、経路障害箇所の候補となる部分を抽出することができる。さらに、Step3の処理により、ネットワーク上の広範囲における経路障害箇所を、1対のAS間あるいは1つのAS内という範囲で特定することができる。このように、ネットワーク上の複数の地点にプローブ装置を設置することなく、AS自身が管理する自AS内にのみ本実施形態の経路障害箇所特定装置を設置するだけで、経路変動を解析することができるので、コストおよび手間を削減することができる。
【0060】
また、特定した障害発生時刻および障害発生箇所を履歴として記録すれば、顧客からその申告があった際に、履歴と申告との対応付けが可能となり、顧客やプロバイダに対して障害内容の付加情報を提供することができる。さらに、障害内容を明確化すれば、プロバイダが迅速に障害から復旧することが可能となり、障害からの復旧を迅速化し、高度なネットワーク技術を使用すれば、顧客からの高い信頼を得ることができる。
【0061】
また、障害発生箇所の統計情報を収集すれば、障害が頻発するASを特定することができる。この情報から、障害が頻発するASを回避するような経路制御を行うことができるようになり、外部AS・サーバへの接続性を向上させることができる。
【0062】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態による経路解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】経路障害とその伝播を示す参考図である。
【図3】経路障害からの復旧とその伝播を示す参考図である。
【図4】同一プレフィクスに対する経路情報の変化を説明するための参考図である。
【図5】UPDATEのグループ化を説明するための参考図である。
【図6】UPDATEの内容例を示す参考図である。
【図7】経路障害箇所の候補の導出手法を説明するための参考図である。
【図8】経路表の内容を示す参考図である。
【符号の説明】
【0064】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13・・・AS、20・・・経路情報収集部、21・・・蓄積部、22・・・入力部、23・・・経路障害箇所解析部、23a・・・Step1処理部、23b・・・Step2処理部、23c・・・Step3処理部、24・・・経路障害解析結果出力部、25・・・記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宛先の情報および該宛先に到達するまでの経路の変化の情報を示す経路情報に基づいて、ネットワーク上の経路状態を解析する経路解析装置において、
同一宛先に対する前記経路情報を、該経路情報に関連付けられている時刻に基づいてグループ化することにより、第1のグループを生成すると共に、全宛先についての前記第1のグループを、該第1のグループに関連付けられている時刻に基づいてグループ化することにより、第2のグループを生成する第1の解析手段と、
前記第1の解析手段によって生成された前記第2のグループごとに、該第2のグループに含まれる前記経路情報を用いて前記ネットワーク上の経路変動を解析する第2の解析手段と、
を具備することを特徴とする経路解析装置。
【請求項2】
前記第2の解析手段は、前記第2のグループのうち、解析対象のグループ中の各前記第1のグループに含まれる時間的に最初の前記経路情報によって示される経路の第1の共通部分を抽出すると共に、前記解析対象のグループよりも時間的に1つ前の前記第2グループ中の各前記第1グループに含まれる時間的に最後の前記経路情報によって示される経路の第2の共通部分を抽出し、前記第1の共通部分が存在せず、かつ前記第2の共通部分が存在した場合に、前記第2の共通部分において経路障害が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の経路解析装置。
【請求項3】
前記第2の解析手段は、前記第2のグループのうち、解析対象のグループ中の各前記第1のグループに含まれる時間的に最初の前記経路情報によって示される経路の第1の共通部分を抽出すると共に、前記解析対象のグループよりも時間的に1つ前の前記第2グループ中の各前記第1グループに含まれる時間的に最後の前記経路情報によって示される経路の第2の共通部分を抽出し、前記第1の共通部分が存在し、かつ前記第2の共通部分が存在しない場合に、前記第2の共通部分において経路障害からの復旧が発生したと判定することを特徴とする請求項1に記載の経路解析装置。
【請求項4】
前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報を含み、
前記第2の共通部分は、複数のASの接続関係を示しており、
前記第2の解析手段はさらに、前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS間の接続、および前記第2の共通部分に含まれる各ASを障害箇所の候補として特定する
ことを特徴とする請求項2に記載の経路解析装置。
【請求項5】
前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報と、該接続関係に関連付けられた宛先の情報とを含んでおり、
ネットワーク上の宛先と、該宛先までの経路上のASどうしの接続関係とが関連付けられた経路表を予め記憶する記憶手段と、
前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS(AおよびAk+1)間の接続A−Ak+1(kは1以上であって、k+1の最大値は前記第2の共通部分に含まれるASの数である)と同一の接続についての前記経路表に含まれる宛先の数N(P)と、前記第2の共通部分の算出に用いられたグループの前記経路情報に含まれる宛先の数N(M)とを各kについて比較し、N(P)=N(M)となるkが1つだけ存在する場合に、前記2つのAS間の接続を経路障害箇所として特定する第3の解析手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の経路解析装置。
【請求項6】
前記経路情報は、ネットワーク上の複数のASどうしの接続関係を示す情報と、該接続関係に関連付けられた宛先の情報とを含んでおり、
ネットワーク上の宛先と、該宛先までの経路上のASどうしの接続関係とが関連付けられた経路表を予め記憶する記憶手段と、
前記第2の解析手段は、前記第2の共通部分に含まれる隣り合う2つのAS(AおよびAk+1)間の接続A−Ak+1(kは1以上であって、k+1の最大値は前記第2の共通部分に含まれるASの数である)と同一の接続についての前記経路表に含まれる宛先の数N(P)と、前記第2の共通部分の算出に用いられたグループの前記経路情報に含まれる宛先の数N(M)とを各kについて比較し、N(P)>N(M)>N(Pk+1)である場合に、前記Aを経路障害箇所として特定する第3の解析手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の経路解析装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate