説明

結んだ縫合糸のエンドエフェクタ

【課題】結び目によるエンドエフェクタおよび結び目によるエンドエフェクタを作製する方法を提供すること。
【解決手段】長手方向軸を規定する本体部分;ならびに該本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該長手方向軸から逆方向に外向きに延びる第一の延長部および第二の延長部を備え、該第一の延長部および該第二の延長部の各々は、少なくとも1つの巻きを備える、エンドエフェクタ、を備える、縫合糸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2008年10月9日に出願された米国仮出願番号61/104,085の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、医療手順において使用するための縫合糸に関する。より特定すると、本開示は、縫合糸のための結んだエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0003】
医療法縫合糸は、種々の材料から形成され得、そして無限の用途において使用するために構成され得る。この縫合糸の近位端は、形作られた先端を有し得るか、または組織に貫入するための針を備え得る。この縫合糸の遠位端は、この縫合糸が組織に通して引かれる際にこの組織とこの縫合糸との係合を維持するための、アンカーまたはエンドエフェクタを備え得る。エンドエフェクタは、多くのサイズおよび構成で利用可能である。代表的に、エンドエフェクタは、この縫合糸とは独立して形成され、そして後に、この縫合糸の遠位端に取り付けられる。
【0004】
多くの例において、臨床医は、縫合糸を組織内に繋留するために、この縫合糸に結び目を作製することを好み得る。臨床医は、この実施が好都合であることを見出し得るが、組織の端部で形成される結び目は、この縫合糸がこの組織から引き抜かれることを防止するために常に適切であるというわけではない(例えば、結び目が滑る場合、または組織と係合するためには小さすぎる場合)。さらに、多くの手順において使用するために必要とされる細い縫合糸材料を用いる場合は特に、結び目を作製することは、退屈であり、時間を浪費する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、結び目によるエンドエフェクタおよび結び目によるエンドエフェクタを作製する方法に対する必要性が、存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
長手方向軸を規定する本体部分;ならびに
該本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該長手方向軸から逆方向に外向きに延びる第一の延長部および第二の延長部を備え、該第一の延長部および該第二の延長部の各々は、少なくとも1つの巻きを備える、エンドエフェクタ、
を備える、縫合糸。
【0007】
(項目2)
上記エンドエフェクタが上記長手方向軸に対して実質的に垂直である、上記項目に記載の縫合糸。
【0008】
(項目3)
上記第一の延長部および上記第二の延長部が複数の巻きを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0009】
(項目4)
上記第一の延長部が3つの巻きを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0010】
(項目5)
上記第二の延長部が3つの巻きを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0011】
(項目6)
上記エンドエフェクタが実質的にT字型を規定する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0012】
(項目7)
上記エンドエフェクタが上記本体部分の遠位端に形成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0013】
(項目8)
1本の縫合糸を提供する工程;
該縫合糸の第一の端部を該縫合糸の第二の端部の上に重ねて交差させ、第一のループを形成する工程;
該縫合糸の該第一の端部を、該縫合糸の周りで該第一のループ内で「n」回巻き付ける工程;
該縫合糸の該第一のループと該第一の端部との間を道具の周りに配置する工程;
該縫合糸の該第一の端部を該道具の周りに巻き付けて、第二のループを形成する工程;
該縫合糸の該第一の端部を該縫合糸の周りに該第一のループ内で「m」回巻き付ける工程;
該第一の端部および該第二の端部を逆方向に引いて、該第一のループおよび該第二のループを該道具の周りに締め付ける工程;
該縫合糸の該第一の端部を該第二のループに通して第三のループを形成する工程;
該縫合糸の該第二の端部を該第二のループに通して第四のループを形成する工程;
該縫合糸を該道具から取り外す工程;
該第三のループおよび該第四のループを逆方向に引いて、該第一のループおよび該第二のループを締め付ける工程;ならびに
該縫合糸の該第一の端部および該第二の端部を逆方向に引いて、該第三のループおよび該第四のループを締め付ける工程、
を包含する、エンドエフェクタを形成する方法。
【0014】
(項目9)
上記縫合糸の上記第一の端部を切り取る工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
【0015】
(項目10)
上記道具が、上記縫合糸の上記第一の端部および上記第二の端部を受容するためのチャネルを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0016】
(項目11)
上記縫合糸の上記第一の端部を上記第二のループに通す工程が、上から下へと実施される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0017】
(項目12)
上記縫合糸の上記第一の端部を上記第二のループに通す工程が、下から上へと実施される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0018】
(項目13)
上記縫合糸の上記第二の端部を上記第二のループに通す工程が、上から下へと実施される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0019】
(項目14)
上記縫合糸の上記第二の端部を上記第二のループに通す工程が、下から上へと実施される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0020】
(項目15)
「n」と「m」とが等しい、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0021】
(項目16)
「n」と「m」とが等しくない、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0022】
(項目17)
「n」が3に等しい、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0023】
(項目18)
「m」が3に等しい、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0024】
(項目19)
長手方向軸を規定する本体部分;ならびに
該本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該長手方向軸に対して垂直に逆方向に延びる第一の延長部および第二の延長部を備え、該第一の延長部および該第二の延長部の各々が起伏を有する、エンドエフェクタ、
を備える、縫合糸。
【0025】
(項目20)
上記第一の延長部および上記第二の延長部の各々が複数の巻きを備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0026】
結び目によるエンドエフェクタを備える縫合糸が提供される。この縫合糸は、長手方向軸を規定する本体部分、およびこの本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、この長手方向軸から逆方向に外向きに延びる、第一の延長部および第二の延長部を備える。この第一の延長部およびこの第二の延長部の各々が、少なくとも1つの巻きを備える。
【0027】
(要旨)
従って、結び目によるエンドエフェクタを備える縫合糸が提供される。この縫合糸は、長手方向軸を規定する本体部分、およびこの本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタを備える。このエンドエフェクタは、この長手方向軸から逆方向に外向きに延びる第一の延長部および第二の延長部を備える。第一の延長部および第二の延長部の各々は、少なくとも1つの巻きを備える。このエンドエフェクタは、この長手方向軸に対して実質的に垂直であり得る。第一の延長部および第二の延長部は、複数の巻きを備え得る。第一および/または第二の延長部は、3つの巻きを備え得る。このエンドエフェクタは、実質的にT字型を備え得、そして本体部分の遠位端に形成され得る。
【0028】
エンドエフェクタを形成する方法もまた提供される。この方法は、1本の縫合糸を提供する工程、この縫合糸の第一の端部をこの縫合糸の第二の端部の上に重ねて交差させて第一のループを形成する工程、この縫合糸の第一の端部をこの縫合糸の周りに、第一のループ内で「n」回巻き付ける工程、この縫合糸の、第一のループと第一の端部との間を、道具の周りに配置する工程、この縫合糸の第一の端部をこの道具の周りに巻き付けて、第二のループを形成する工程、この縫合糸の第一の端部をこの縫合糸の周りに、第一のループ内で「m」回巻き付ける工程、第一の端部と第二の端部とを逆方向に引いて、この道具の周りで第一のループおよび第二のループを締め付ける工程、この縫合糸の第一の端部を第二のループに通して第三のループを形成する工程、この縫合糸の第二の端部を第二のループに通して第三のループを形成する工程、この縫合糸をこの道具から取り外す工程、第三のループおよび第四のループを逆方向に引いて、第一のループおよび第二のループを締め付ける工程、ならびにこの縫合糸の第一の端部および第二の端部を逆方向に引いて第三のループおよび第四のループを締め付ける工程を包含する。
【0029】
この方法は、この縫合糸の第一の端部を切り取る工程をさらに包含し得る。この道具は、この縫合糸の第一の端部および第二の端部を受容するためのチャネルを備え得る。この縫合糸の第一の端部を第二のループに通す工程は、上から下に行われても、下から上に行われてもよい。この縫合糸の第二の端部を第二のループに通す工程は、上から下に行われても、下から上に行われてもよい。変数「n」および「m」は、等しくても異なっていてもよい。1つの実施形態において、変数「n」および「m」は、3に等しくあり得る。
【0030】
長手方向軸を規定する本体部分、およびこの本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタを備える、縫合糸がさらに提供される。このエンドエフェクタは、この長手方向軸に対して垂直に逆方向に延びる、第一の延長部および第二の延長部を備える。第一の延長部および第二の延長部の各々は、起伏を有し得る。第一の延長部および第二の延長部は、各々が複数の巻きを備え得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、結び目によるエンドエフェクタおよび結び目によるエンドエフェクタを作製する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本開示の1つの実施形態によるエンドエフェクタの背面図である。
【図2】図2は、図1のエンドエフェクタの正面図である。
【図3】図3は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図4】図4は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図5】図5は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図6】図6は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図7】図7は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図8】図8は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図9】図9は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図10】図10は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図11】図11は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図12】図12は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図13】図13は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図14】図14は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【図15】図15は、図1および図2のエンドエフェクタを形成する方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態の詳細な説明といっしょに、本開示の原理を説明する役に立つ。
【0034】
(詳細な説明)
最初に図1および図2を参照すると、本開示によるエンドエフェクタの実施形態が、一般にエンドエフェクタ10として示されている。示されるように、エンドエフェクタ10は、縫合糸12の遠位端12bに形成されるが、エンドエフェクタ10は、縫合糸12の長さに沿った任意の位置に形成され得る。
【0035】
縫合糸12は、分解性材料、非分解性材料、およびこれらの組み合わせから形成され得る。より具体的には、縫合糸12は、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリマー薬物、ポリヒドロキシブチレート、ラクトン、タンパク質、ガット、コラーゲン、カーボネート、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、分解性材料から形成され得る。他の実施形態において、縫合糸12を形成するために利用され得る適切な分解性材料としては、天然コラーゲン材料または合成樹脂(アルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)から誘導されるものが挙げられる);カプロラクトン;ジオキサノン;グリコール酸;乳酸;これらのホモポリマー;これらのコポリマー;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、グリコリドベースのポリエステルおよびラクチドベースのポリエステル、特に、グリコリドとラクチドとのコポリマーが、縫合糸12を形成するために利用され得る。
【0036】
縫合糸12を形成するために利用され得る適切な非分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリアミン;ポリイミン;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン;ポリブチルエステルなどのポリエーテル−エステル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。他の適切な非分解性材料としては、絹、綿、麻、炭素繊維などが挙げられる。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレンであっても、アイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンまたはアタクチックポリプロピレンとの混合物であってもよい。
【0037】
縫合糸12は、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押出し、成型および/またはゲル紡糸)を使用して形成され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸12は、1つより多くのフィラメントから作製される糸を含み得、この糸は、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。縫合糸12が複数のフィラメントから作製される場合、縫合糸12は、任意の公知の技術(例えば、編組、織ることまたは編むこと)を使用して作製され得る。縫合糸12はまた、組み合わせられて不織縫合糸を製造し得る。縫合糸12は、糸を形成するために、縫合糸形成プロセスの一部として、延伸され得るか、配向され得るか、撚られ得るか、捻られ得るか、混繊され得るか、または絡ませられ得る。1つの実施形態において、マルチフィラメント縫合糸は、編組により製造され得る。編組は、当業者の知識の範囲内である任意の方法によってなされ得る。
【0038】
図1および図2をなお参照すると、エンドエフェクタ10は、組織または他の材料を通して縫合糸12が完全に受け入れられることを防止するように構成される。エンドエフェクタ10は、縫合糸12の遠位端12bに形成された、実質的にT字型の結び目を形成する。エンドエフェクタ10は、縫合糸12の長手方向軸「X」に対して垂直に延びる軸「Y」を規定する。エンドエフェクタ10は、第一の延長部20および第二の延長部30を備え、これらの延長部は、縫合糸12から、軸「Y」に沿って逆方向に垂直に延びて、T字型を形成する。第一の延長部20および第二の延長部30の各々は、それぞれ、複数の巻き22a〜cおよび32a〜cから形成され、これによって、起伏を有する部材を形成する。本明細書中で使用される場合、巻きとは、2本の細長いものを少なくとも360°巻き付けるかまたは編むことと定義され、そして起伏を有するとは、波様の形状または波形の形状有することと定義される。示されるように、第一の延長部20および第二の延長部30は、各々が、それぞれ3つの巻き22a〜c、および32a〜cを備える。しかし、第一の延長部20および第二の延長部30は、それぞれ任意の数の巻き22および32を備え得ることが予測される。第一の延長部20の巻きの数が第二の延長部30の巻きの数と必ずしも等しいとは限らないことが、さらに予測される。縫合糸12の近位端12aは、1つ以上の針(図示せず)を備え得、そして/または1つ以上の棘を備え得る。
【0039】
エンドエフェクタ10を形成する方法が、ここで図3〜図15を参照しながら記載される。最初に図3を参照すると、縫合糸112が所望の長さに切断される。この縫合糸の長さは、縫合糸112が使用される用途に依存して変動し得る。エンドエフェクタ110のサイズもまた、縫合糸112の長さに影響を与え得る。より多くの巻き122、132(図15)がエンドエフェクタ110のそれぞれの延長部120、130に形成されるほど、縫合糸112の必要とされる長さまたはサイズは大きくなる。縫合糸112の太さもまた、縫合糸112の長さに影響を与える。あるいは、縫合糸112は、1巻きの糸(図示せず)の自由端に形成され得、そしてエンドエフェクタ110の形成後に所定の長さに切断され得る。縫合糸112の第一の短い方の端部114aが、縫合糸112の第二の長い方の端部114bの上に重ねて交差されて、第一のループ113を形成する。第一のループ113は、第一のループ113を通して第一の端部114aを複数回巻き付けることを可能にするために充分なサイズであるべきである。「短い」および「長い」は、それぞれ第一の端部114aおよび第二の端部114bをいうために使用されるが、いくつかの実施形態において、短い端部114aは、実際に、長い端部114bと等しくても、より長くてもよい。
【0040】
図4を参照すると、次いで、縫合糸112の第一の端部114aは、ループ113内で「n」回、縫合糸112の周りに巻き付けられて、「n」個の巻き122を形成する。示されるように、第一の端部114aは、縫合糸112の周りに3回巻き付けられて、3つの巻き122a〜cを形成する。上で議論されたように、縫合糸112の第一の端部114aは、3回より多くまたは少なく、ループ113内で縫合糸112の周りに巻き付けられ得る。
【0041】
ここで図5を参照すると、第一のループ113は、次に、道具50に隣接して配置され、道具50は、第一のループ113と第一の端部114aとの間のV字型の切り欠きに受容される。以下でより詳細に議論されるように、道具50は、その長さに沿って延びるチャネル52を備える。
【0042】
図6を参照すると、縫合糸112の第一の端部114aは、次に、道具50の周りに巻き付けられて、第二のループ115を形成する。次いで、第一の端部114aは、ループ113内で「m」回、縫合糸112の周りに巻き付けられて、「m」個の巻き132を形成する。示されるように、第一の端部114aは、縫合糸112の周りに3回巻き付けられて、3つの巻き132a〜cを形成する。上で議論されたように、第一の端部114aは、3回より多くまたは少なく縫合糸112の周りに巻き付けられ得、そして第一のループ113の反対側に形成された巻き122の数「n」と必ずしも等しい必要はない。
【0043】
ここで図7および図8を参照すると、縫合糸112の第一の端部114aおよび第二の端部114bは、次に、矢印「A」および「B」(図7)により示されるように逆方向に引かれ、これによって、第一のループ113および第二のループ115を、道具50の周りに締め付ける(図8)。
【0044】
上記のように、道具50は、その長さに沿って形成されたチャネル52を備え、第二のループ115を通る縫合糸の端部114a、114bの通過を可能にする。ここで図9を参照すると、縫合糸112の第一の端部114aは、第一の端部114aを道具50のチャネル52に通過させることによって、第二のループ115に通される。しかし、第一の端部114aを第二のループ115に通すことは、チャネル52の使用および/または存在なしで達成され得ることが予測される。第一の端部114aは、示されるように、第二のループ115に上から通されて、第三のループ117を形成する。代替の実施形態において、縫合糸112の第一の端部114aは、第二のループ115に下から通され得る。
【0045】
ここで図10を参照すると、縫合糸112の第二の端部114bは、チャネル52(存在する場合)を通して、第一の端部114aが通された方向とは逆方向に、第二のループ115に通される。示されるように、縫合糸112の第二の端部114bは、第二のループ115に下から上へと通されて、第四のループ119を形成する。別の実施形態において、第二の端部114bは、第一の端部114aが第二のループ115に通された方向と同じ方向で、第二のループ115に供給され得る。この様式で、第二の端部114bは、第二のループ115に、上から下へと通される。短い端部114aおよび長い端部114bが第二のループ115に通される方向は、エンドエフェクタ110の最終的な構成を決定する。なお別の実施形態において、第二の端部114bは、第二のループ115に上から下へ、または下から上へと通され得、そして短い方の端部114bは、短い端部112を第二のループ115に通すことなく、外側の巻き132cの近隣で切断され得る。
【0046】
図11および図12を参照すると、縫合糸112は、次に、道具50から取り外され(図10)、次いで、第三のループ117および第四のループ119が、縫合糸112の長手方向軸に対して垂直な軸に沿って、矢印「C」および「D」により示されるように逆方向(図11)に引かれ、第一のループ113および第二のループ115を短い端部114aおよび長い端部114bの周りに締め付ける。
【0047】
ここで図13を参照すると、次に、短い端部114aおよび長い端部114bは、矢印「E」および「F」により示されるように逆方向に引かれて、第三のループ117および第四のループ119をそれぞれの巻き122a〜c、132a〜cの周りに締め付ける。
【0048】
ここで図14および図15を参照すると、次いで、第一の端部114aは、所望であれば、エンドエフェクタ110の近くまたは遠くで切断され得る。代替の実施形態において、第一の端部114aは切断されずに残され得、これによって、臨床医に、縫合糸112を引き込むための手段を提供する。
【0049】
本開示の例示的な実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中に記載されたが、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく当業者によりなされ得ることが、理解されるべきである。例えば、縫合糸12は、エンドエフェクタ10の遠位に形成されたループを備えて、組織内からの縫合糸12の引き抜きを可能にし得る。
【符号の説明】
【0050】
10 エンドエフェクタ
12 縫合糸
12b 遠位端
20 第一の延長部
22a〜c、32a〜c 巻き
30 第二の延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を規定する本体部分;ならびに
該本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該長手方向軸から逆方向に外向きに延びる第一の延長部および第二の延長部を備え、該第一の延長部および該第二の延長部の各々は、少なくとも1つの巻きを備える、エンドエフェクタ、
を備える、縫合糸。
【請求項2】
前記エンドエフェクタが前記長手方向軸に対して実質的に垂直である、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項3】
前記第一の延長部および前記第二の延長部が複数の巻きを備える、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項4】
前記第一の延長部が3つの巻きを備える、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項5】
前記第二の延長部が3つの巻きを備える、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項6】
前記エンドエフェクタが実質的にT字型を規定する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項7】
前記エンドエフェクタが前記本体部分の遠位端に形成されている、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項8】
1本の縫合糸を提供する工程;
該縫合糸の第一の端部を該縫合糸の第二の端部の上に重ねて交差させ、第一のループを形成する工程;
該縫合糸の該第一の端部を、該縫合糸の周りで該第一のループ内で「n」回巻き付ける工程;
該縫合糸の該第一のループと該第一の端部との間を道具の周りに配置する工程;
該縫合糸の該第一の端部を該道具の周りに巻き付けて、第二のループを形成する工程;
該縫合糸の該第一の端部を該縫合糸の周りに該第一のループ内で「m」回巻き付ける工程;
該第一の端部および該第二の端部を逆方向に引いて、該第一のループおよび該第二のループを該道具の周りに締め付ける工程;
該縫合糸の該第一の端部を該第二のループに通して第三のループを形成する工程;
該縫合糸の該第二の端部を該第二のループに通して第四のループを形成する工程;
該縫合糸を該道具から取り外す工程;
該第三のループおよび該第四のループを逆方向に引いて、該第一のループおよび該第二のループを締め付ける工程;ならびに
該縫合糸の該第一の端部および該第二の端部を逆方向に引いて、該第三のループおよび該第四のループを締め付ける工程、
を包含する、エンドエフェクタを形成する方法。
【請求項9】
前記縫合糸の前記第一の端部を切り取る工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記道具が、前記縫合糸の前記第一の端部および前記第二の端部を受容するためのチャネルを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記縫合糸の前記第一の端部を前記第二のループに通す工程が、上から下へと実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記縫合糸の前記第一の端部を前記第二のループに通す工程が、下から上へと実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記縫合糸の前記第二の端部を前記第二のループに通す工程が、上から下へと実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記縫合糸の前記第二の端部を前記第二のループに通す工程が、下から上へと実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
「n」と「m」とが等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
「n」と「m」とが等しくない、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
「n」が3に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
「m」が3に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
長手方向軸を規定する本体部分;ならびに
該本体部分から一体的に形成されたエンドエフェクタであって、該エンドエフェクタは、該長手方向軸に対して垂直に逆方向に延びる第一の延長部および第二の延長部を備え、該第一の延長部および該第二の延長部の各々が起伏を有する、エンドエフェクタ、
を備える、縫合糸。
【請求項20】
前記第一の延長部および前記第二の延長部の各々が複数の巻きを備える、請求項19に記載の縫合糸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−88895(P2010−88895A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234653(P2009−234653)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】