説明

結合の普遍的な検出

本発明は、リガンド結合のための普遍的検出システム、及びその使用方法に関する。普遍的検出システムは、物理的に変更可能な結合試薬を含み、そして、いくつかの態様において普遍的検出試薬を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明は、リガンド結合についての普遍的検出システム、及びその使用方法に関する。普遍的検出システムは、物理的に変更可能な結合試薬(Physically Alterable Binding Reagent)、及びいくつかの態様では普遍的検出試薬(Universal Detection Reagent)を含む。物理的に変更可能な結合試薬は、リガンド結合部位を有するタンパク質類、リガンドのリガンド結合部位への結合に応じて物理的に変更されるようになるドメイン、及び、場合によっては、結合試薬の固体支持体へのカップリングに有用な配列を含む。普遍的検出試薬の物理的に変更可能な結合試薬に対する結合親和性は、リガンド結合に応じて変更される。又は、リガンド結合に応じて物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化は、限定されないが、コンホメーション変化に起因するスペクトル特性、エンタルピー、見かけの分子量、表面積、及び密度における変化の測定を含む物理的な方法によって検出することができる。この方法は、リガンド結合の検出が、診断、探索使用及び工業利用のような期待されるいずれかの応用に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[0002]抗体は、抗原を検出し、そのレベルを定量するために頻繁に使用される。これらのアッセイにおける抗体試薬の結合特性は、典型的には、特異性及び感受性の高い程度を分け与える。これらのアッセイの挑戦は、結合イベントを検出することである。共通の実施におけるいくつかの解決法がある。最も共通な方法は、「サンドイッチ」アッセイの使用である。この形態において、捕捉抗体は、表面に固相化され、興味ある抗原を含有する未知試料と反応する。未結合の抗原を除去する適切な洗浄工程に続き、結合成分は二次的な抗特異的抗体を用いて検出される。結合した二次抗体を視覚化する戦略は、検出試薬に化学的にカップルした二次抗体を用いること、又は「サンドイッチ」の二次抗体(例えば、マウス捕捉抗体、ウサギ二次抗体、及びヤギ抗ウサギIgアルカリホスファターゼ結合検出抗体を用いて)に特異的に認識し結合する三次検出抗体(同様に、検出試薬に化学的にカップルした)を用いることを含む。この基本アッセイの多様な相互作用において、結合した抗体の視覚化についての検出試薬は、例えば、基質と反応し、異なる(例えば、着色した)産物、蛍光染色、又は金粒子を与える酵素を含む。この検出または、結合した二次抗体の増加量が入射反射光と反応する方法で変化による表面上に直接視覚化される表面プラズモン共鳴によってもよい。
【0003】
[0003]いずれかの粒子抗原の検出について、この基本の「サンドイッチ」アッセイは、1)非干渉方法で1つの抗原分子に結合する2つの抗原特異的抗体(又はリガンドに対して高い特異的結合を結合を示すタンパク質)、及び2)結合した二次抗体/結合タンパク質を検出する手段を要求する。1つの抗原分子に同時に結合するであろう2つの抗体の要求性は、ある種の環境においてこのアッセイフォーマットの使用を制限し、又は複雑にする。それは、抗原の検出についてのこのフォーマットの使用を制限し、小さい一価のハプテン及び小さいペプチド(例えば、小さいペプチドホルモン)を含む。それはまた、大多数の抗原の存在を同時に検出する抗体アレイプロテオミクスチップにおける使用についてのこの一般的なフォーマットの使用を複雑にする。この場合において、抗原−特異的二次抗体の必要が開発しなければならない抗体試薬の数を2倍にする。
【0004】
[0004]現在、抗原:抗体の複合体の同定は、多くの異なる形体を採用している。非制限的な例として、1)抗体を固相化し、試料と反応させる。次いで、結合した抗体は、二次的な標識した分子、例えば、抗原についてのリガンド又は抗原の別のエピトープに指向される別の抗体の結合によって検出される;2)抗体を固相化し、次いで、試料と反応させる。試料由来の抗原による抗原結合部位の占有は、標識した抗原とのその後又は同時の反応によって決定される;3)抗体は、スライドのような基質に固相化し、次いで、試料と反応させる。抗原:抗体の複合体は、例えば、表面プラズモン共鳴のような方法によって検出される;4)溶液中の抗体は、試料及び標識したリガンドと反応する。抗原量は、標識した抗原を表示し、及び、試料中の抗原量は、分極化の減少に反映される;そして、5)試料の全ての成分は、化学的に標識され(例えば、Cy3及びCy5のような蛍光色素を用いて)、及び、次いで、固相化した抗体で反応させる。特異的抗体スポットに結合する抗体は、蛍光によって評価される。これらの技術はすべて、抗原特異的試薬及び/又は抗原又は抗体単独に対する抗原:抗体の複合体の分子量のいずれかを利用する。
【0005】
[0005]特にこれらの応用について、及び、固相免疫アッセイを用いた一般的な使用について、抗原−抗体結合を検出し、関連する特定の抗原に特異的なでない方法で抗原−抗体結合を検出する1つの「普遍的な」試薬又は物理方法を利用することは有利な利益となろう。
【0006】
[0006]大部分の脊椎動物は、免疫グロブリンの重鎖の定常領域によって区別され、特定化された生物学的特性を有する免疫グロブリンのいくつかのアイソタイプ(例えば、IgM、IgG、IgA、IgD、IgE)を生産する。基本的な免疫グロブリンの構造ユニットは、4つのペプチド鎖、2つの独立した重鎖及び2つの独立した軽鎖からなり、Y型の分子を形成する。各ユニットは、2つの抗原結合部位(「Y」の各先端のもの)を含有する。「Y」の幹の追加ドメインは、様々なエフェクター機能、例えば、Fc受容体結合及び古典的経路を介した補体活性化に導く補体成分C1q結合を様々なエフェクター機能を仲介する。
【0007】
[0007]IgMは、典型的には、上述したような5つのIgG様サブユニットから成る5量体の分子、プラス追加の1ペプチド、J鎖として見出される。5つのサブユニット及びJ鎖は、内部鎖のジスルフィド結合によって5量体に互いに維持される。一量体、及び6量体を含むより高い多量体の形体が観察されている。J鎖を伴う及び伴わない多量体が観察されている。5量体は、結合抗原の不存在で溶液中で平らな平面分子を形成する。特異的抗原の結合に応じて、分子中の十分に証明された劇的なコンホメーション変化があり、現在、「主要な」形態を仮定し、一量体のサブユニットのFabとFcとの間に殆ど90度で形成する。このコンホメーション変化は、本発明において活用される重要な生物学的結果を有する。特に、IgMへのC1q結合の親和性は、抗原結合に対する応答において変化する。コンホメーション変化は、抗J鎖特異的抗体との相互作用に対するIgMのJ鎖の接近性を変更する。本発明は、コンホメーションに依存的であるが、しかし、特異的な抗原に依存しない検出試薬(例えば、C1q又はC1q結合部位又は抗J鎖特異的抗体)によって示されるように、その特異的抗原に結合したIgMを検出するために、このIgMコンホメーション変化を用いる利点を示す。さらに、抗原結合によって誘導されたIgMにおける劇的なコンホメーション変化は、物理的方法によって検出することもできる。これらは、物理的な方法によって検出することができ、限定されないが、コンホメーション変化に起因するスペクトル特性、エンタルピー、見かけの分子量、表面積、及び密度の変化の測定を含む。
【0008】
[0008]多くの文献は、IgMとその特異的抗原との相互作用について記載し、結果のコンホメーション変化は多量体の抗原(調査では、特異的IgMと反応する多くの抗原性部位を含有する1つの分子又は粒子)を使用している。一量体の抗原又はハプテンとの相互作用について利用可能な制限されたデータが存在する。それにもかかわらず、1)多量体のIgMとハプテン又は一量体の抗原との相互作用(例えば、大部分のプロテオミクス応用のための関連する形態)は、例えば、C1qの抗J鎖特異的抗体との結合又は反応によって示されるように、IgMのコンホメーション変化を誘導するのに十分であり、2)「一量体(モノマー)」IgM(上述したような1つのIgG様のサブユニットを構築するIgMは、2つの別々のIgミュー重鎖及び2つの別々のIg軽鎖から構成され、しかし、J鎖を欠如し、多量体に集合しない)はまた、抗原依存の方法でC1qに結合し、そのため、多分、多量体のそれに類似するコンホメーション変化を被り、3)抗J鎖特異的抗体に結合又は反応を殆どしないか又は全くしないC1qが、抗原の不存在下でIgM又はIgM(複数)を用いて検出される(凝集しないIgGとは対照的である)、という説得力のある意見を支持するデータが存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
[0009]本発明は、一般的な、普遍的結合検出システム、及びその使用の方法に関する。発明の一態様は、少なくとも2つの試薬:1)物理的に変更可能な結合試薬、及び2)普遍的検出試薬を要求する。物理的に変更可能な結合試薬は、リガンド結合部位を有するタンパク質類、リガンドのリガンド結合部位への結合に応じて物理的に変更されるようになるドメイン、及び、場合によっては、結合試薬の固体支持体へのカップリングに有用な配列を含む。普遍的検出試薬の物理的に変更可能な結合試薬への結合親和性は、物理的に変更可能な結合試薬−リガンド結合に応じて変更される。普遍的検出試薬は物理的に変更可能な結合試薬に結合する。普遍的検出試薬は、物理的に変更可能な結合試薬によるリガンドの結合後、物理的に変更可能な結合試薬に対して変更した親和性を提示する。場合によっては、普遍的検出試薬はレポーター部分を有する。さらに、このシステムは、一般的に、結合に応じてコンホメーション変化があるいずれかの結合タンパク質へのリガンドの結合に利用可能であり、試薬はその変化に特異的である。
【0010】
[0010]第二の態様において、物理的に変更可能な結合試薬は、第二の検出試薬を使用せずに、物理的な手段によって直接検出することができるコンホメーション変化を被る。この態様は、リガンドが小さく、サンドイッチ型のアッセイに利用できない場合に有用である。
【0011】
[0011]一態様において、本発明が抗原−抗体結合イベントを検出するための一般的システムである場合には、物理的に変更可能な結合試薬は、抗体融合であり、そして、リガンドはその同種の抗原である。そのシステムは、ある種の抗体分子がそれらの同種の特異的な抗原に結合する場合に正常に起こるコンホメーション変化の検出に基づく。この応答はIgMについて特に劇的であるが、他のアイソタイプを有する優位な範囲に起こってもよい。抗原結合に応じた抗体のコンホメーション変化は、様々な物理的手法によって、又は、補体成分のC1qの複合体への変化した親和性によって、又は、抗体との相互作用がコンホメーションに依存する他のタンパク質、例えば、コンホメーション特異的抗体試薬及び(天然に発生するか又は操作された)抗体結合タンパク質、例えば、Fc受容体及び関連する分子によって検出される。
【0012】
[0012]本発明は、リガンド結合の検出が期待されるいずれかの応用、例えば、診断、探索使用及び産業上の応用において有用である。この方法は、タンパク質又は抗体のマイクロアレイのいずれかにおける抗原−抗体複合体を検出するのに特に十分に適しており、ただし、可溶性の成分を使用する液相の応用もまた想像される。
【0013】
[0013]本発明の新規な側面は、コンホメーション変化が物理的手段によって直接的に測定することができ、又は、個々の抗原特異性に無関係な多くの(全部でないにしても)抗体種(少なくともIgMアイソタイプの抗体について)に対して抗原−抗体結合を検出するであろう1つの試薬を開発することができる。
【0014】
[0014]本発明はまた、上述したシステムの使用の方法を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の詳細な説明
[0017]本発明は、リガンド結合、具体的には、抗原:抗体複合体を検出するための一般的な方法を提供する。本発明のシステムは、物理的手段又は普遍的検出試薬によって物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化の直接的な測定に関係する。本発明の一態様において、システムは2つの試薬:1)物理的に変更可能な結合試薬、及び2)普遍的検出試薬を含む。
【0016】
[0018]次の用語は、本明細書において使用されるような下記の一般的な意味を有することが意図される。
A.定義
[0019]「物理的に変更可能な結合試薬」又は「結合試薬」は、リガンド結合部位を有するタンパク質類、リガンドのリガンド結合部位への結合に応じて物理的に変更されるようになる部分、及び、場合によっては、タグとしても知られる、結合試薬の固体支持体へのカップリングに有用な配列を含む。物理的に変更可能な結合試薬は、リガンドを特異的に結合し、そのような結合の結果として物理的に変更されるようになるいずれかの分子であり得て、限定されないが、抗体又は受容体結合ドメインを含む。物理的に変更可能な結合試薬は、典型的には、モジュラー分子であり、限定されないが、融合(「キメラ」)分子を含み、結合部位、及び、リガンドのリガンド結合部位への結合に応じて物理的に変更されるようになる部分を有する。一般的に、この分子は、天然に発生してもよく、又は遺伝子工学を通じて作製されてもよいが、同じ目的を達成する他の方法が企図される。リガンド結合部位は、免疫グロブリン分子の特異性の幅を含む。リガンド部位の一態様は、免疫グロブリン分子の可変領域又は免疫グロブリン分子のFab配列で含有した抗原連結部位である。リガンド結合に応じて物理的変化を被る部分は、当該技術分野において現在知られている幅広い部分を含むことができ、限定されないが、膜貫通リガンド特異的受容体の部分及び免疫グロブリンM(IgM)を含む。リガンド結合に応じて物理的変化を被る部分の一態様は、IgM分子の定常領域である。リガンド結合に応じて、IgM分子は、補体因子C1qに対する結合部位を晒す物理的変化を被る。本発明の目的について、IgMは、単量体又は多量体であり得て、関連するJ鎖を伴う又は伴わない5量体及び6量体を含む。さらに、IgMは、天然であり、修飾されており、又は操作されてあってもよい。
【0017】
[0020]「普遍的検出試薬」又は「検出試薬」は、リガンドの結合後に物理的に変更可能な結合試薬に結合し、そして、場合によっては、レポーター部分を有する。非制限的な例として、リガンドのIgMへの結合はC1q結合親和性を変化し、及び、この場合、C1qは普遍的結合試薬の実質的な部分であろう。C1qは、いずれかの数のレポーター部分にカップルすることができ、限定されないが、蛍光レポーター分子、酵素、及びナノビーズを含む。普遍的検出試薬の他の非制限的な例は、リガンドの様々な受容体への結合が結合のための又は酵素反応のための物理的に区別される部位、例えば、キナーゼ活性の活性化又は不活性化に帰着するものを含み;普遍的検出試薬は、この物理的に区別される部位で物理的に変更可能な結合試薬のための基質又はリガンドである。又は、普遍的検出試薬は、物理的に変更可能な結合試薬のためのコンホメーション依存のエピトープに特異的な抗体となり得る。
【0018】
[0021]「物理的手段又は方法による測定」は、リガンドの結合に応じて物理的に変更可能な結合試薬における変化を検出することができるいずれかの物理的測定である。物理的手段は、限定されないが、吸光度又は発光スペクトルにおけるシフト又は光散乱及び伝達行為又はその他の方法を含み、結合したリガンドを有する試薬と結合したリガンドを有しない試薬との間のコンホメーション変化は、電磁放射で変更した相互作用の手段によって検出することができる。物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化を検出することができる現在使用されるそのような物理的方法は、限定されないが、第二の誘導的測定及びWood異常を含む蛍光発光スペクトル、ラマンシフト分光、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、蛍光クエンチング、及び表面プラズモン共鳴を含む。密度、見かけの分子量、限定されないが、原子間力顕微鏡を含む表面積における変化を測定する他の方法は、物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化を検出するために使用することができる。
【0019】
[0022]「リガンド」は、結合部位において捕捉され得るいずれかの分子である。抗原は、抗体に対するリガンドである。リガンドは、典型的には、様々な応用において測定することが期待される分子であり、タンパク質、ペプチド、小分子、糖質、薬物等を含むことができる。
【0020】
[0023]「抗体」又は「Ab」又は「免疫グロブリン」は、特定の抗原に特異的に結合するタンパク質であり、及び抗体を得るために使用されるタンパク質のエピトープ若しくは他の抗原性基質の少なくとも1つに選択に結合することができるタンパク質、又は対応する動物の領域をコードする免疫グロブリンから全体若しくは部分的に誘導するタンパク質である。抗体分子は、それらの「可変領域ドメイン」のアミノ酸配列に可変性に基づくその特異性において異なる。本発明に使用される抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体のいずれかであり得る。本発明の抗体は、抗体断片及び遺伝子工学的に操作した抗体のような機能的な均等物を含み、一本鎖抗体を含む。本発明の抗体はまた、1つ以上のエピトープに結合することができるキメラ抗体を含む。
【0021】
[0024]「タグ」は、1つの分子におけるいずれかのドメインを意味し、その分子は別の分子でその関係を促進する。一態様において、タグは、物理的に変更可能な結合試薬の部分として発現することができるペプチド配列であり、物理的に変更可能な結合試薬を固体支持体に固定化するのに役立てることができる抗体を含む。加えて、タグは、化学的固定化に使用することができる化学基であり得る。一態様において、ペプチド配列は、ビオチン又は糖質のような非タンパク性分子又はタンパク質のいずれか他の翻訳後修飾を関連付ける酵素についての認識配列のためのペプチドタグをコードすることができる。関連付けは、共有的又は非共有的のいずれかであり得る。タグは、これらの特性を有するいずれかのペプチド配列であり得る。タグの特性を有する多くのペプチド配列は知られ、そして、本発明に使用することができる。非制限的な例として、下記のペプチド配列は、本発明のタグとなり得る:ビオチン受諾ペプチド配列、ヘキサ−Hisペプチド、Strep−タグ、Strep−タグII、FLAG、c−myc、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、キチン結合タンパク質、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、セルロース結合ドメイン、S−タグ、FIAsH、RsaA、及び、別の分子との関連を促進する能力を有する他の類似型のペプチドである。本発明の一態様において、抗体は、それらのコード配列の部分として、タグの中のリジン残基にビオチンの酵素的結合を可能にする、Schatzによって発見された短いアミノ酸配列であるビオチン受諾ペプチド配列を含む。Schatzによるビオチン受諾ペプチド配列は、1998年3月3日に発行された米国特許第5,723,584号、1999年2月23日に発行された米国特許第5,874,239号、1999年8月3日に発行された米国特許第5,932,433号、及び2001年7月に発行された米国特許第6,265,552号に記載されている。一般に、ビオチン受諾ペプチド配列は、下記の配列:LeuXaaXaaIleXaaXaaXaaXaaLysXaaXaaXaaXaa10(配列番号:1)を有し、ここで、Xaaは、いずれかのアミノ酸であり;Xaaは、Leu、Val、Ile、Trp、Phe、又はTry以外のいずれかのアミノ酸であり;Xaaは、Phe又はLeuであり;Xaaは、Glu又はAspであり;Xaaは、Ala、Gly、Ser、又はThrであり;Xaaは、Gln又はMetであり;Xaaは、Ile、Met、又はValであり;Xaaは、Glu、Leu、Val、Tyr、又はIleであり;Xaaは、Trp、Tyr、Val、Phe、Leu、又はIleであり;及び、Xaa10は、Asp又はGlu以外のいずれかのアミノ酸であり、ここで、前記ビオチン化−ペプチドは、Xaaに隣接しているリジン残基でビオチンリガーゼによってビオチン化され得る。
【0022】
[0025]ビオチン受諾ペプチド配列の一態様は、Gly Leu Asn Asp Ile Phe Glu Ala Gln Lys Ile Glu Trp His Glu(配列番号:2)であり、及び、この配列は、AviTag(商標)と称する。ペプチドタグは、場合によっては、物理的に変更可能な結合試薬のいずれかの部分に連結していてもよい。一態様において、ペプチドタグは、物理的に変更可能な結合試薬の部分である免疫グロブリンの遺伝子座の定常領域に導入される。又は、物理的に変更可能な結合試薬は、タグ内のいずれかの固体支持体に共有結合することができる。
【0023】
[0026]「固体支持体」は、結合反応についてのいずれかの適切な支持体、及び/又は、分子が、共有又は非共有結合のいずれかを通して付着していてもよいいずれかの表面を含む。これは、限定されないが、膜、プラスチック、常磁性ビーズ、荷電した紙、ナイロン、Lungmuir−Blodgettフィルム、官能化したガラス、ゲルマニウム、シリコン、PTFE、ポリスチレン、ガリウム・アルセニド、金及びシルバーを含む。表面に導入した官能基、例えば、アミノ、カルボキシル、チオール又はヒドロキシを有することができる、当該技術分野において既知のいずれかの他の材料もまた企図される。これは、いずれかのトポロジーを有する表面を含み、限定されないが、平面、球面、溝面、及びシリンダー表面、例えば、カラムを含む。多数の物理的に変更可能な結合試薬、異なるリガンドにそれぞれ特異的であり、アレイを形成するアドレス可能なフォーマットにおける固体支持体の表面上の特異的な表面に接触してもよく、「マイクロアレイ」又は「バイオチップ」として称されもする。
【0024】
B.一般的な方法
[0027]本発明の一態様は、2つの化合物試薬:IgM又はIgM様の物理的に変更可能な結合試薬、及び物理的に変更可能な結合試薬のコンホメーション変化を検出する普遍的検出試薬(C1qのような)から構成される。物理的に変更可能な結合試薬は下記のように作製される。物理的に変更可能な結合試薬が、抗体、抗体断片、又は抗体様分子である場合、それは、当該技術分野において既知のいずれかの方法、例えば、ハイブリドーマ方法を介したモノクロ−ナル抗体の調製、抗体ファージディスプレイライブラリーの使用等によって調製することができる。抗体がハイブリドーマ又はB細胞によって発現したIgMである場合、抗体は、この供給源から直接精製することができる。次いで、抗体がハイブリドーマ又はB細胞によって発現した非IgMである場合、抗体の可変領域をコードするcDNAのセグメントは、可変領域が、コンホメーション変化を被ることができる物理的に変更可能な結合試薬の部分、例えばIgMの定常領域についてのコード配列に操作的に連結しているような発現ベクターにクローニングされる。発現ベクターは、細胞株に導入され、そして、キメラIgMのような物理的に変更可能な結合試薬が精製される。精製したキメラIgMは、組換えIgMが期待される抗原特異性及び親和性を保持することを確かめるために試験される。「特異性」によって、IgMは特定のタンパク質又は他の抗原を選択的に結合することが意味される。免疫ブロットアッセイ、免疫沈降アッセイ、放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫蛍光抗体アッセイ、及び免疫電子マイクロアッセイを含む当業者に既知の様々な方法を用いて結合を測定することができる。検出に適したレベルで特異的結合を提示する抗体は、物理的に変更可能な結合試薬として使用することができる。
【0025】
[0028]この態様において、物理的に変更可能な結合試薬は、固体支持体に固定化され、関連する抗原を含有するものと疑われる試験流体を加える。関連する抗原が物理的に変更可能な結合試薬に結合すれば、その分子のIgM部分がコンホメーションを変化し、物理的な手段、C1qを結合する能力、又はコンホメーション変化を認識する別の分子を結合する能力のいずれかによって検出可能である。この場合、普遍的検出試薬は、結合したレポーター分子を有するC1qである。普遍的検出試薬を加え、そして、結合したレポーター分子の量を測定する。
【0026】
[0029]本明細書に記載した方法は、リガンドの結合によって誘導された受容体分子における物理的な変化の測定を含む。そのような変化は、リガンドの性質に独立であり、つまり、異なる受容体:リガンド(抗原:抗体)複合体の刺激性測定に適している。例えば、多くの異なる抗体がスライドに固定化され、試料と反応するようにした場合、この試料中の抗原は、スライドの異なる領域に固定化されたそれらの同種の受容体/抗体に結合する。次いで、結合した抗原を有するこれらの抗体は、結合したリガンド/抗原を有する受容体/抗体に特異的に結合する第2の試薬と反応させるようにすることによって検出することができる。
【0027】
[0030]本発明のこの態様は、抗原−IgM抗体結合イベントを検出する一般的な方法を提供する。方法は、使用される特異的抗原と独立し、そして、代わって、特異的抗原の結合がIgM分子におけるコンホメーション変化に帰着するIgMの一般的な特徴に基づき、この変化が補体成分、C1q;抗J鎖特異的抗体;又はコンホメーション変化を認識する抗体のような試薬を用いて検出することができる。
【0028】
[0031]本発明の基本形体は、抗体がガラススライドのような表面上に輸送した領域として固定化された場合、その同種のIgM抗体に結合している特異的抗原の検出である。IgMは、既存の又は採用した技術を用いてスライド上に固定化される。方法の一態様は、抗体を一定の配向で繋ぎとめるようにし、そして、抗体が検出試薬に結合している抗原に応じてそのコンホメーション変化を被り、又は抗体についての十分な柔軟性が検出試薬の結合を妨げるようにする遺伝子工学的に操作した接続リンカー又はタグを使用するであろう。例えば、AviTagを含有するように遺伝子工学的に操作したIgM、及びIg重鎖のC末端への伸長した柔軟なリンカーは、ストレプトアビジンを被服した表面に丈夫であるが、しかし柔軟にIgMを繋ぎとめるであろう。
【0029】
[0032]固定化したIgM抗体を含有するスライドは、次いで、抗原を含有する試験材料と反応させ、適切な洗浄によって未結合の材料を除去する。特定の抗原に結合した固定化した抗体の分子は、抗原結合と関連した特徴的なコンホメーション変化を被るであろう。
【0030】
[0033]この方法において、抗原の固定化したIgMへの結合は、抗体構造におけるコンホメーション変化によって間接的に検出される。方法のこの反復において、抗体のコンホメーションは、抗原を結合したIgMののコンホメーションへのC1q(又はC1q誘導分子)の異なる結合によって検出される。
【0031】
[0034]試験材料中に同種の抗原が存在する固定化した抗体は、同種の抗原を結合するであろうし、そして、抗体は、コンホメーション的に変化するようになるであろう。試験材料中に同種の抗原が存在しない抗体スポットは、抗原を結合しないし、コンホメーション的に変更されない。特異なC1q結合は、被らない抗体とコンホメーション変化を被る抗体とを区別するために使用することができる。
【0032】
[0035]抗原−抗体複合体に結合したC1qの検出は、いくつかの可能な方法の1つによって達成することができる。例えば、C1q検出試薬は、蛍光シグナルを発生するであろうC1q蛍光コンジュゲート(例えば、蛍光、Cy3、Cy5など)であり、又は固定化した抗体と関連した変更した屈折指標は、SPRによって直接検出することができる。又は、抗原−抗体複合体に結合したC1qは、FRET技術によって検出してもよい。C1q結合は、ポリクローナルC1q抗体の添加によって(例えば、蛍光をコンジュゲートしたC1q抗体を用いた蛍光によって、又はSPR検出での非コンジュゲートな抗C1q抗体によって)類似的に視覚化することができる。後者の方法は、ポリクローナル抗C1q抗体がC1q分子上の異なるエピトープを認識し、同時に結合するいくつかの抗体種を含有するため、増殖したシグナルを発生する。
【0033】
C.物理的に変更可能な結合試薬の調製
[0036]本発明の方法は、同種リガンドへの結合に応じて、結合試薬におけるコンホメーション変化、具体的には、同種抗原への結合に応じて、抗体におけるコンホメーション変化に基づく。一態様において、物理的に変更可能な結合試薬は、IgM又はIgM様分子である。適切なIgMは、いくつかの供給源のいずれか1つから得ることができる。免疫した動物からのポリクローナルIgMは、血清又は分泌物から得ることができ、ミュー鎖及び/又は抗原特異性に基づくアフィニティー精製によって精製することができる。これらの天然に発生するIgM分子は、C1qの異なる結合によって容易に検出される適切なコンホメーション変化を被る。
【0034】
[0037]過免疫血清由来又はモノクローナル抗体産生ハイブリドーマによる有力なIgタイプは、IgGである。これらの供給源からの適切なIgMの物理的に変更可能な結合試薬を調製する一般的な方法は、本明細書に記載される。IgM産生細胞株をデノボ(de novo)で、例えば、標準的な細胞融合手法又はIgM産生B細胞をエプステイン−バールウイルスで免疫することによって免疫動物から生産することができ、そして、得られた細胞株は、所望の抗原特異性でIgMを産生する細胞をスクリーニングする。一態様において、関心のある抗原特異性を有するが、しかしIgM以外のアイソタイプのIgを産生する既存のハイブリドーマを使用して、原型のIg分子由来のIg重鎖及びIg軽鎖可変領域(及び、したがって抗原結合親和性及び特異性)、及びIgM誘導のミュー重鎖定常領域を有するキメラIgMを産生する細胞株を作成することができる。例えば、一態様において、IgG産生ハイブリドーマ由来のmRNAは、RT−PCRに使用され、発現したIg軽鎖及び重鎖の重鎖及び軽鎖可変領域を増幅し、それぞれ軽鎖及びミュー重鎖発現ベクターにクローニングされる。ベクターは、カッパ(又はラムダ)軽鎖、又はミュー重鎖定常領域のそのままのcDNAを含有し、例えば、各鎖のそれぞれの可変領域は、他の各定常領域に加えることができるようなものである。得られた構築物は、発現用の適切な細胞株(例えば、非Ig産生ミエローマ)において同時発現(J鎖の発現を伴う又は伴わない)される。又は、IgG(又は他のもの)産生ハイブリドーマは、同じ可変領域をもち、同じ抗原特異性及び親和性を有するIgMを産生するように遺伝子工学的に操作することができる。これは、ミュー重鎖の定常領域がそれぞれ再配列し発現した重鎖可変領域の遺伝子に並べられた染色体内に挿入される標的とされた遺伝子置換によって達成することができる。得られる構築物は、(a)原型の可変領域、及び(b)導入したミュー定常領域由来の重鎖を有するキメラIgMを発現する。この方法の実施例は、実施例6に記載される。この例示において、マウスIgG産生ハイブリドーマ由来のB型肝炎ウイルス表面抗原(HBV−sAg)結合領域が使用される。この方法はまた、抗体のいずれかのクラス(例えば、IgY、IgG、IgM、IgA、IgE)由来の可変領域又はリガンド結合ドメイン、又は免疫グロブリン様細胞表面受容体分子(例えば、T細胞受容体及び他の細胞表面受容体分子)、又は哺乳動物種(限定されないが、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、ウマ、ラマ)の幅広いアレイ由来、若しくはニワトリのような鳥種由来、若しくは魚種(限定されないが、サメ及びゼブラフィッシュを含む)由来の他のリガンド結合タンパク質を利用することもできる。
【0035】
[0038]抗体様分子、例えば、ファージディスプレイ由来の1本鎖可変領域断片(scFv)抗体はまた、本発明によって使用に適した真性のIgMに「変換」してもよく、原型の抗体様分子の抗原特異性を有する。例えば、関心のある1本鎖抗体遺伝子の各可変領域は、クローニングされ、実施例7に記載されるように、適した軽鎖及びミュー重鎖の発現ベクターに挿入されてもよい。
【0036】
[0039]実施例6は、InvitrogenのFlp−In(商標)ベクターの使用を記載するが、この方法は、発現ベクターのDNAを細胞に導入する当該技術分野において既知のいずれかの手法(例えば、ウイルスベクターを用いたトランスフェクション又は感染)を使用してもよい。「細胞」は、真核細胞、原核細胞、及び古細菌(archae)を含む。又は、細胞内の細胞質における複製及び安定な維持を可能とし、染色体への統合を要求しない発現ベクターは、IgM普遍的検出試薬を発現するために使用することができた。この種のベクターの例は、限定されないが、ウシパピローマウイルス発現又はE型肝炎レプリコンを用いるベクターを含む。
【0037】
[0040]親のベクターは、IgM重鎖定常領域を含み、限定されないが、サメ及び他の魚、ウマ、ロバ、ラマ、ヤギ、ブタ、げっ歯動物及びウサギを含む哺乳動物、ニワトリのような鳥種を含む様々な種の免疫グロブリン分子由来の多様な結合ドメインは受容体分子、特にT細胞受容体のような免疫グロブリン様受容体用である。
【0038】
[0041]IgMは、様々な形態で発現してもよい(例えば、多様なオリゴマー形体、単量体、5量体、6量体、及び、関連するJ鎖を伴う又は伴わない形体、そして、重合した免疫グロブリン受容体由来の関連する「分泌成分」を伴う又は伴わない形体、そして、IgM、sIgM、又はIgMの可溶形体を含む)。ある種の応用において、これらの形体の1つまたは別のものは、最も利用可能であるかもしれない。多くの場合、抗体分子の定常領域は、抗原結合に応じて物理的な変化(アロステック又はコンホメーション)を被るようにはみえず、IgMは、例外であり;IgMは、1つの重鎖及び1つの軽鎖の部位を含む抗体と各々2量体の5量体(又はある場合では4量体若しくは6量体)であり、すべて「J鎖」に結合している。つまり、これらの分子は、抗原結合部位について12量体である。最良の証拠は、この分子上の2以上の抗原結合部位の占有が補体成分C1(又はサブ因子C1q)についての結合部位を晒すような変化を誘導することを示唆する。抗原に対してのIgMの親和性は一般的に低いので、2つ以上の抗原結合部位の占有は、抗原が多量体である場合にだけ発生する。しかしながら、高親和性のIgMについて選択すること、又は免疫グロブリンの他のクラス由来の高親和性の抗原結合部位(可変領域)を組換えDNA技術の手段によってIgMに誘導することは可能である。IgMの物理的に変更可能な結合試薬を産生するように操作された、突然変異したハイブリドーマ細胞株を含む細胞株は、J鎖を伴って又は伴わずに調製することができる。J鎖は、J鎖を産生するベクターとIgM発現の同時トランスフェクションによって産生することができ、IgMを産生する発現ベクター上の異なるプロモーターを同時発現することができ、染色体に統合され、細胞質の発現複製の組合せによって、又は複数の又は複数サブユニットのタンパク質を発現するために現在使用されているいずれかの方法によって産生することができる。加えて、
D.コンホメーション変化を検出する直接的な物理的手法
[0042]リガンドの結合に応じた物理的に変更可能な結合試薬のコンホメーション変化を伴って変化するいずれかの物理的パラメーターは、リガンドの測定として使用してもよい。物理的パラメーターは、限定されないが、吸収又は発光スペクトル又は光散乱及びトランスミッション行動、又は、結合したリガンドを伴う試薬と伴わない試薬との間のコンホメーション変化が電磁的放射との変更した相互作用の手法によって検出できる場合の他の方法を含む。物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化を検出することができる、現在使用中の物理的方法は、限定されないが、第二の輸送測定及びウッドアノマリーを含む蛍光発光スペクトル、ラマンシフト分光計、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、蛍光クエンチング、及び表面プラズモン共鳴を含む。密度、見かけの分子量、又は、限定されないが、原子間力顕微鏡を含む表面積における変化を測定する他の方法は、物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化を検出するために使用することができる。
【0039】
E.普遍的検出試薬
[0043]本発明において、リガンド結合は、物理的に変更可能な結合試薬の構造におけるコンホメーション変化によって直接的に検出される。物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化は、直接的な物理的変化(セクションD、上述)によって、又は「普遍的検出試薬」の使用によって検出してもよい。一態様において、リガンド結合は、IgM分子の構造におけるコンホメーション変化によって間接的に検出される。上述したように、補体成分C1qは、IgMの抗原結合及び非結合形体について異なる結合親和性を提示する。したがって、C1q、C1qのIg結合ドメイン、又は類似の結合特性及び特異性を有するいずれかの他の分子は、この方法において普遍的検出試薬として使用することができる試薬である。C1qは、脊椎動物の血清から精製してもよく、又は組換え遺伝子工学的方法によって発現させてもよい;C1q Ig結合ドメインは、タンパク質の加水分解によって、又は単離したドメインとして組換え遺伝子工学的方法を発現させ、又は担体タンパク質に融合させることによって誘導してもよい。検出試薬として使用してもよい他の種の分子は、例えば、ペプチド核酸及び抗体(ファージディスプレイ方法由来のscFvを含む天然又は組換え抗体様分子)を含み、IgMの抗原結合及び非結合形体の異なる結合親和性を提示するものである。
【0040】
[0044]代わりの普遍的検出試薬は、抗J鎖抗体である。IgMのいくつかの形体は、追加のペプチド、J鎖を含有する。J鎖は、IgMの抗原結合及び非結合形体における抗J鎖抗体に異なる接近性を提示する。
【0041】
[0045]代わりの検出は、蛍光共鳴エネルギー転移による。方法の本発明において、IgMは、抗原結合に応じてIgMにおいて現われるカーブの反対側に適切な蛍光色素を含有するように操作されている。色素(例えば、GFP、関連する蛍光タンパク質及びそれらのスペクトル変異体)の選択は、第一色素が独特の励起波長を有し、その発光スペクトルが第二色素の励起波長と適合するようなものである。この現象は、2つの色素が互いに接近している並べられた場合にだけ測定可能な範囲で起こり、即ち、この場合において、IgMは、特徴的なコンホメーション変化を被り、それにより、2つの色素を極めて近接に近づける。読み出しは、第二色素の発光波長特性での光検出による。
【0042】
[0046]C1qは、IgM誘導の物理的に変更可能な結合試薬分子に対して、普遍的検出試薬として使用してもよい。IgM分子は、C1q結合部位のアミノ酸配列が変更されるように操作してもよい。このIgMにおいて、抗原結合によって引き起こされるコンホメーション変化は、変更された部位を晒す。この新らたな部位は、別の受容体分子の結合部位であるように操作してもよく、C1qとは区別され、しかし、普遍的検出試薬としてその使用に関連して機能的に類似している。又は、変更された部位は、触媒活性を有し、酵素基質として使用してもよく、これらの活性は、物理的に変更可能な結合試薬のコンホメーション状態(即ち、リガンド結合又は非結合状態)に依存している。
【0043】
F.検出
[0047]いずれか適した検出システムは、本発明における普遍的検出試薬結合の定量について想起され、限定されないが、蛍光、酵素カップリング、放射活性、表面プラズモン共鳴、化学発光等を含む。IgM−抗原複合体に対するC1q検出試薬の結合(又はいずれか他のコンホメーション依存性分子の結合)を検出されるようにするであろういくつかの方法が想起される。これらは、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼ)又は蛍光色素に対する検出試薬をカップリングすることを含む。視覚化は、それぞれ、適切な着色した又は蛍光性の基質で反応すること、又は蛍光の直接的な視覚化による。シグナルは、検出試薬(例えば、C1q)との反応、続く蛍光又は酵素を結合したポリクローナル抗C1qとの反応によって増幅してもよい。ポリクローナル抗体によって認識され得る1つのC1qにおける多くのエピトープが存在するので、得られるシグナルは、C1qそれ自身を標識することによって達成され得るものよりも数倍増幅されるであろう。
【0044】
[0048]又は、検出試薬(例えば、C1q)の結合は、表面プラズモン共鳴における変化によって視覚化してもよい。分子層は、一連の抗原、C1qの結合(さらにシグナルを増幅するためのポリクローナル抗C1qをともなって又は伴わずに)で厚くなるので、層の光反射特性が変化し、適切なやり方で測定され得る。
【0045】
G.発明の使用
[0049]発明は、リガンド結合を検出するための一般的な方法である。結合反応、例えば、抗原への抗体認識は、タンパク質及び他の分子の定量に幅広く使用されるため、そのような複合体の検出は、(限定されないが)体内の組織及び流体におけるタンパク質及び他の分子のプロテオミクス及び診断測定を含む多くの応用にとって重要である。
【0046】
[0050]技術は、抗体の結合における抗原又はハプテンとして行動することができるいずれかの分子を検出するために使用することができる。これは、疾患の診断又は生物体の生物学的状態を評価する動物又はヒトの血清若しくは組織試料における環境試験のための水若しくは空気中の農薬、病原、及び他の汚染物質の検出のための応用、生物学的マーカーが新規薬物における可能な副作用を評価するために利用可能である治療薬の評価のための応用、治療応用のための化合物をハイスループットするための応用、及び分子の異種群における分子の検出又は定量が期待される他の応用を含む。
【0047】
[0051]本明細書に言及されるすべての特許及び刊行物は、参照により完全に明確に引用される。下記の実施例は、本発明のある種の態様及側面を例証するために使用され、発明の範囲を限定するために構成されていない。
【実施例】
【0048】
実施例
実施例1
[0052]特異的抗原に対する高親和性抗体を産生するハイブリドーマは、標準的な手法によって選択される。このハイブリドーマによって発現されるIg重鎖及び軽鎖の可変領域は、標準的な手法によってクローニングされ、IgM発現ベクターに導入される。このベクターは、これらの可変領域の適した軽鎖遺伝子(カッパ又はラムダ)及びIgM重鎖遺伝子への融合を可能にする。これらのDNA構築物は、次いで、発現及び分泌に適した細胞、例えば、ミエローマ細胞株に導入される。これらの細胞によって産生される融合IgM分子は、標準的な手法によって精製され、標準的な手法によって再びスライド上に固定化される。
【0049】
[0053]次いで、試料(組織又は体液)は、スライド表面で反応することができ、試料中の抗原は抗体に結合する。抗体:抗原複合体は、次いで、カップルしたC1qを伴う試薬で検出される。これは、蛍光化合物であってもよく、又は屈折率若しくは光散乱のような光学特性における変化を与えるのに十分な巨大分子の大きさであってもよい。
【0050】
実施例2
[0054]この実施例は、実施例1に記載されるのと同じプロトコールを使用し、しかしながら、IgM発現ベクターにおけるC1q結合部位は変化している。次いで、抗体は、この新規なIgM部位で発生し、抗原が突然変異したIgMに結合する場合にのみ接近することができる。これらの抗体は、次いで、蛍光化合物、又は屈折率若しくは光散乱のような光学特性において変化を与えるのに十分な大きさの巨大分子のようなC1qと同じ方法でカップルすることができる。
【0051】
実施例3
[0055]可溶性細菌受容体のクラスは、細菌の2成分シグナル伝達システム(TCSTS)のセンサー成分によって例証される。ある種のTCSTSのセンサー成分(例えば、大腸菌NtrB)は、2つのドメイン:リガンド結合ドメイン及びエフェクター(又は「トランスミッター」)ドメインから構成される可溶性細胞質タンパク質である。リガンド結合ドメインの配列は、このクラスのタンパク質のメンバーのうちでは全く異なり、1つの特異的リガンドを結合するための各タンパク質の特異性を反映している。しかしながら、エフェクタードメインの配列は、非常に保存されており、リガンド結合ドメインへのリガンドの結合に応じて活性化されるタンパク質キナーゼ活性を有する。つまり、エフェクタードメインの活性化は、リガンド結合によって達成され得る。
【0052】
実施例4
[0056]この実施例は、実施例1において作成した融合IgM分子を使用する。IgM分子は、IgMについてのリガンドを含有する試料と反応させることができえる。IgM分子がそれらの同種のリガンドを結合する場合、コンホメーション変化を被る。コンホメーション変化は、SPRのような物理的手段によって検出される。
【0053】
実施例5
[0057]普遍的検出を可能とする高親和性IgM AviTagged抗体は、B型肝炎表面抗原(HBsAg)を認識する抗体を産生する既存のハイブリドーマ細胞株から構築した。異なるクラス(例えば、IgG、IgA、IgE、IgD、IgY)由来又はラマ若しくは鳥のような異なる種由来、又はIg様分子(例えば、限定されないが、T細胞受容体)の結合領域由来のIgM分子を構築するために、多種の可変ドメインを付加することができるIgM定常領域を含有するベクターを構築することがまず必要である。この親のベクターは、InvitrogenのFLP−IN(商標)ベクターにおいて構築し、マウス脾臓cDNAライブラリー由来のDNAのPCR、及び製品プロトコールを用いて、Invitrogen(Cat:45−0030)の−TOPO(登録商標)のようなシークエンシングベクターに平滑末端のクローニングによる。
【0054】
[0058]IgM定常領域をクローニングするためのPCRプライマーは、InvitrogenのFlp−In(商標)にサブクローニングできるように定常重鎖の配列周辺で設計した。それらは、AviTagが3’末端に添加できるようにSTOPコドンを伴って又は伴わすに設計された。IgM定常領域が正しくクローニングされたことを確かめて、AviTagビオチン受諾ペプチドをコードするDNA配列を、当業者に親しい手法を用いて、フレームに合わせてクローニングした。
【0055】
[0059]HBsAgのIgG可変領域をIgM骨格に付加するために、IgG HBsAg抗体を産生するハイブリドーマからIgG可変領域(重鎖及び軽鎖)を含有するcDNAを作成することが必要である。HbSAgハイブリドーマのmRNAを下記のプロトコールを通して、抽出しペレットとした:
[0060]A.抗HBsAgハイブリドーマのRNA抽出。1,500万個のハイブリドーマ細胞をペレットとし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。
【0056】
[0061]1mlのSTAT60(商標)RNA抽出試薬(BioGenesis Cat:CS−110)で再懸濁させ、室温で5分間インキュベートし、20μlのクロロホルムを添加した。懸濁駅を15秒間激しく振とうし、3分間室温でインキュベートした後、5分間4℃で12000rpmで遠心した。
【0057】
[0062]これは2層形成した:下部、赤いフェノールクロロホルム層;そして、上部、RNAを含有する無色層。中間は、DNA及びタンパク質を含有する。
[0063]上部の水層に0.5mlのイソプロパノールを混合し、室温で10分間インキュベートし、10分間4℃で12000rpmで遠心した。
【0058】
[0064]RNAペレットは、75%エタノールで洗浄し、5分間4℃で7500rpmで遠心した。ペレットを乾燥させ、80μlのRNアーゼ無しの水に溶解した。
[0065]B.Ig特異的DNAのクローニング。製品取扱説明書に従って、PromegaのImProm−II(商標)逆転写キット(Cat:A3800)を用いて、RT−PCRによって精製したRNAからcDNAを合成した。製品のプロコールに従って、Amersham PharmaciaのIg特異的可変重鎖及び可変軽鎖プライマー(重プライマーCat:27−1586−01;軽プライマーCat:27−1583−01)を用いてcDNAのPCRによって、IgG重鎖のIg可変領域、そして定常領域及び重領域の両方を含む完全なIgGカッパ軽鎖をクローニングした。PCR生産物は、製品のプロトコールを用いてInvitrogenのpCR4−TOPOベクター(Cat:45−0030)にクローニングし、配列決定をした。IgポジティブDNA配列は、Flp−In(商標)ベクターにサブクローニングするための制限部位を含む特異的プライマーを用いてTOPOベクターからPCRによって増幅した。VH配列は、Nhe1制限エンドヌクレアーゼで重鎖可変領域PCR産物の切断によってクローニングし、そして、軽鎖PCR産物は、標準的なプロトコールに従って、Cla1制限エンドヌクレアーゼを用いてクローニングした。最終の発現ベクターは、図1に図示的に示される。抗HBsAG発現ベクターは、安定な哺乳動物のタンパク質発現細胞株の発生のためにFlp−In(商標)CHO細胞にトランスフェクトした。HbSAgについては、可変軽鎖は、ClaI制限エンドヌクレアーゼ部位を用いてベクターにクローニングし、可変軽鎖は、NheI部位を用いて発現ベクターにクローニングした。
【0059】
[0066]C.安定なFlp−In(商標)細胞株の発生。Flp−In(商標)細胞は、Zeocin(商標)培地で通常に増殖させ、Zecocin(商標)成長培地10ml中に1.5×10細胞/mlの密度で、P90組織培養プレートに播種した。細胞は、24時間インキュベート後、FuGENE(商標)6を用いてトランスフェクトした。
【0060】
[0067]D.トランスフェクション。87.5μlの無血清ハムF12栄養混合培地及び7.5μlのFuGENE(商標)を4本の滅菌エッペンドルフ・マイクロチューブに連続的に分配した。各トランスフェクションについては、pcDNA 5/FRT中のAvitagged抗HepB IgG及びIgMについてコードするベクターDNA、空のベクター対照又は無血清培地対照をFuGENE(商標)無血清培地混合物に添加した。全てのトランスフェクション混合物に、4.5μlのpOG44:pcDNA5/FRTプラスミドDNAを添加し、トランスフェクション混合物は緩やかに叩き、30分間室温でインキュベートした。
【0061】
[0068]5mlの培地をFlp−In(商標)CHO細胞から吸引し、そして、適切なトランスフェクション混合物を培養液に注意深く添加した。トランスフェクトした細胞を一晩インキュベートした。トランスフェクションの24時間後、培地を細胞から除去し、10mlのZeocin成長培地で置換した。
【0062】
[0069]トランスフェクションの48時間後、25%未満のコンフルエントで成長培地を含有するハイグロマイシン培地に細胞を播種した。さらに、フォーカス(foci)が同定できるまで、2−3日ごとにハイグロマイシン培地を再添加して細胞を培養した。20個のハイグロマイシン・フォーカスを同定し、細胞を成長させる。次いで、細胞をZeocin感受性について試験することによって、pcDNA/5FRT構築物の蓄積をチェックした。次いで、Avitagged抗体の発現について、クローンをさらに培養する。
【0063】
[0070]E.細胞培養/培地。Flp−In(商標)チャイニーズ・ハムスター・オバリー(CHO)及びmCAT CHO細胞を、10%のウシ胎児血清、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(1.0IU ml−1)及びストレプトマイシン(1.0mg ml−1)を添加したハムF12栄養培地に維持した。加えて、Flp−In(商標)CHO細胞についての培地を100μg/mlのZeocinを含有し、mCAT CHO細胞培地は300μg/mlハイグロマイシンBを含有した。
【0064】
[0071]Plat.−E細胞を10%の胎児ウシ血清、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(1.0IU ml−1)及びストレプトマイシン(1.0mg ml−1)で添加したダルベッコ修飾培地に維持した。
【0065】
[0072]記述がない限り、37℃、6%COで細胞をインキュベートし、全ての細胞培養の調製方法を無菌の状況下で、層流生物学的安全キャビネットで実行した。
実施例7
[0073]実施例6に記載されるような既存のハイブリドーマを用いる代わりに、物理的に変更可能な結合試薬についてのIgM抗体を利用可能な抗体DNA配列から構築することができた。HBsAg抗体DNA配列は、NCBIデータベースに掲載される。配列は、NCBIデータベース(Accession No.:AF236816)で寄託したscFv(一本鎖Fv抗体)配列を記載する。
【0066】
[0074]可変重鎖ドメイン:
【0067】
【化1】

【0068】
(配列番号:3;翻訳されたタンパク質配列、配列番号:5)。
[0075]可変軽鎖ドメイン:
【0069】
【化2】

【0070】
(配列番号:6;翻訳したタンパク質配列、配列番号:8)。
[0076]IgMクラス抗体ではなく、一本鎖抗体は物理的に変更可能な結合試薬としての使用に適切ではない。これは、リガンド結合に応じてコンホメーション変化(IgMに類似する)を被ると知られていないからである;しかしながら、物理的に変更可能な結合試薬としてのAviTagged IgM抗体の適した使用は、可変重鎖ドメイン配列及び軽鎖ドメイン配列(可変及び定常領域)を用いて構築することができ、伴にHBsAg抗体結合ドメインを含有する。実施例6に記載されるように、免疫グロブリンの重鎖可変領域、又は他のタンパク質結合ドメインをコードするDNAは、IgM定常領域を含有するベクターにフレームを合わせてクローニングし、当業者に既知の方法を用いてクローニングした免疫グロブリン軽鎖と同時発現させる。AviTagビオチン受諾ペプチドをコードするDNAは、ビオチン/ストレプトアビジン相互作用を用いて表面又は分子上に物理的に変更可能な結合試薬を固定化できるようにIgM重鎖のC末端にクローニングするであろう。
【0071】
[0077]これらの可変重鎖及び軽鎖DNA配列のオリゴヌクレオチドは、安定な導入及びタンパク質の発現のために設計した発現ベクターに連結に適した末端で合成できた。DNA配列の長さのため、複数の相補オリゴは配列において重なるように合成され、アニリーングされ、耐熱性ポリメラーゼを用いて伸長し、「ジャンプPCR」手法を用いる。
【0072】
実施例8
[0078]物理的に変更可能な結合試薬としてのIgM様分子の使用の拡張として、ある種の動物(例えば、ラマ及びサメ)が免疫グロブリンのクラス又はIg様分子を産生し、軽鎖を欠如していることが知られ、抗原複合部位は、重鎖だけから誘導される。IgM様キメラ物理的に変更可能な結合試薬分子は、本出願の他の部分に記載されるIgMミュー鎖定常領域骨格を用いて組換えDNA技術によって構築することができ、これらの1本鎖抗体の重鎖に含有した完全な可変領域抗原複合部位に連結される。同様に、scFv(例えば、ファージディスプレイ技術)は、免疫グロブリン誘導分子であり、軽鎖及び重鎖誘導可変領域は、一本のポリペプチド鎖に隣接する。併せて、これらの2つの隣接する可変領域は、機能的抗原複合部位を構築する。IgM様キメラの物理的に変更可能な結合試薬分子は、本出願の他の部分に記載されたIgMミュー鎖定常領域骨格を用いて組換えDNA技術によって構築することができ、scFvに含有した、完全であり、隣接した可変領域抗原複合部位に連結される。
【0073】
実施例9
[0079]複数の物理的に変更可能な結合試薬は、各々独特の抗原特異性を有し、アドレス可能なアレイフォーマットにおける固体支持体に固相化され得る。これは、1回のテストで各抗原の刺激性検出を可能にする。アレイは、同時及び別々に、ヒト及び動物の血清中の複数のウイルス性病原体の存在を検出するために構築することができる。図2に言及されるように、HIV(カラムA)、HBV(カラムB)、HCV(カラムC)及びSARS(カラムD)のそれぞれに特異的な4つのAviTagged IgMの物理的に変更可能な結合試薬は、二重にアレイを行った(行1及び2)。非免疫の正常なヒト血液から単離した総IgMは、各カラム(行3)について対照スポットとして役立つ。これらの12スポットの各グループは、複数の患者の血清の刺激性テストを可能にするために、スライド(本実施例では4つ)上に複数回繰り返す。スライド(ロウ1−3)上の各アレイのグループは、患者試料を物理的に分割するために、漏れ止めのプラスチック分割器によって分離する。試験の血清及び正常な血清を載せ、患者血清において存在するかもしれない各ウイルスは、特異的なIgMの物理的に変更可能な結合試薬によって捕捉されるであろう。物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化は、ウイルス粒子の結合に応じて発生し、普遍的検出試薬を用いて検出される。
【0074】
実施例10
[0080]大腸菌ベータガラクトシダーゼ又は哺乳動物のc−erbB3のいずれかに対する商業的に利用可能なIgM抗体は、Pierceマレイミドカップリングを通して96ウェルのマイクロタイタートレイのウェルにカップルした。次いで、プレート上の非特異的な部位は、塩溶液中の血清アルブミンによる処理によって遮断した。商業的に利用可能なベータ ガラクトシダーゼの3つの異なる希釈液は、抗ベータ ガラクトシダーゼ抗体及び抗c−erbB3抗体と一緒にウェルに添加した。非結合のベータ ガラクトシダーゼは、次いで、ウェルから洗浄され、そして、蛍光的に標識されたC1qを添加した。プレートから非結合のC1qを洗浄後、結合したC1qの量を蛍光標識を測定することによって決定した。2つの顕著な結果が存在した:第一に、低イオン強度結合緩衝液では、c−erbB3抗体(非特異的)を含有するウェルはバックグランドに対してシグナルを示さなかった。抗ベータ ガラクトシダーゼ抗体を含有するウェルは、C1q濃度で変化した抗原(即ち、ベータ−ガラクトシダーゼ)に依存してバックグランドより有意なシグナルを与えた。これらの結果は、C1q結合は、結合した抗原量、そして、即ち、試料中の抗原濃度を検出するために抗体のある種の連結している配列を用いて使用することができることを示す。
【0075】
実施例11
[0081]特異的な物理的に変更可能な結合試薬及び抗原複合体はまた、溶液で形成してもよい。本実施例では、IgMの物理的に変更可能な結合試薬は、試験試料に添加し、特異的な抗原は物理的に変更可能な結合試薬に結合する。C1qは、物理的に変更可能な結合試薬−抗原−C1qの4つの複合体を形成するために混合物に添加される。この複合体は、固体支持体に固相化したIgM特異的試薬[例えば、抗IgM F(ab)]によって捕捉される。非結合のC1q及び他の成分は、洗浄によって除去され、そして、複合体のC1q成分は、Cy5標識した抗C1q抗体を用いて検出される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】[0015]図1は、抗HBsAg pcDNAベクターを示す。抗HBsAg IgM重鎖:898−2724塩基対。抗HBsAg IgK軽鎖:3411−4163塩基対。
【図2】[0016]図2は、ウイルスチップ(Viral Chip)を用いた普遍的検出システムの図解的な解説を示す。HIV(カラムA)、HBV(カラムB)、HCV(カラムC)及びSARS(カラムC)に対するAviTagged IgMは、二重に(行1及び2)アレイを実行し、又は、全IgMは、各カラムについて対照のスポットとして使われるであろう正常のヒト血液(行3)から単離した。スライド上のアレイの各グループ(行1−3)は、ELISAプレートに類似したウェルを創作するであろう漏れ止めのプラスチック分割器で積層するであろう。試験及び正常の血清を載せ、そして、ウイルスは特異的抗体によって捕捉されるであろう。IgMにおけるコンメーション変化は、ウイルス粒子の結合により生じる。この変化は、普遍的検出試薬で検出されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合検出方法であって、下記:
a)物理的に変更可能な結合試薬(Physically Alterable Binding Reagent)を与えること、
b)物理的に変更可能な結合試薬が特異的に結合するリガンドを与えること;
c)物理的に変更可能な結合試薬におけるコンホメーション変化を検出することにより、物理的に変更可能な結合試薬のリガンドへの結合が検出されること
を含む、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を含む結合検出方法であって、前記物理的に変更可能な結合試薬のコンホメーション変化を検出することが、下記:
a)普遍的検出試薬(Universal Detection Reagent)を与えること;そして
b)普遍的検出試薬の物理的に変更可能な結合試薬への結合を検出することにより、物理的に変更可能な結合試薬のリガンドへの結合が検出されること
を含む、前記方法。
【請求項3】
検出が定量的である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
物理的に変更可能な結合試薬が
a)リガンド結合部位;
b)リガンドのリガンド結合部位への結合に応じて物理的に変更されるようになるドメイン;そして
c)場合によっては、結合試薬の固体支持体へのカップリングに有用な部位
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
物理的に変更可能な結合試薬が抗体又は受容体結合ドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、モノマーIgM、オリゴマーIgM、Fab断片、F(ab)断片、遺伝子工学的に操作した抗体及びキメラ抗体から成る群から選択される抗体を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
物理的に変更可能な結合試薬は、物理的に変更可能な結合試薬の固体支持体へのカップリングのためのタグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
タグが、ビオチン受諾ペプチド配列、ヘキサ−Hisペプチド、Strep−Tag、Strep−TagII、FLAG、エピトープタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、キチン結合タンパク質、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、セルロース結合ドメイン、S−タグ、FIAsH、RsaA、及びソルターゼ認識配列から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ビオチン受諾ペプチド配列は、LeuXaaXaaIleXaaXaaXaaXaaLysXaaXaaXaaXaa10であり、ここで、Xaaは、いずれかのアミノ酸であり;Xaaは、Leu、Val、Ile、Trp、Phe、又はTyr以外のいずれかのアミノ酸であり;Xaaは、Phe又はLeuであり;Xaaは、Glu又はAspであり;Xaaは、Ala、Gly、Ser、又はThrであり;Xaaは、Gln又はMetであり;Xaaは、Ile、Met、又はValであり、Xaaは、Glu、Leu、Val、Thr、又はIleであり;Xaaは、Trp、Tyr、Val、Phe、Leu、又はIleであり;そして、Xaa10は、Asp又はGlu以外のいずれかのアミノ酸であり、前記ビオチニル化ペプチドが、Xaaに隣接したリジン残基でビオチンリガーゼによってビオチン化することができる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ビオチン受諾ペプチド配列が、配列番号:2である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビオチン化配列が、ビオチンリガーゼによってビオチン化されている、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
普遍的検出試薬が、C1q、C1q結合部位特異的抗体、及び抗J鎖特異的抗体から成る群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
普遍的検出試薬が、レポーター分子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
レポーター分子が、基質と反応して異なる産物を与える酵素、蛍光色素、及び金粒子から成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
物理的に変更可能な結合試薬におけるリガンドに対するコンホメーション変化を検出することが、蛍光発光、ラマンシフト分光、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、表面プラズモン共鳴、及び原子間力顕微鏡から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
下記:
a)抗体を与えること;
b)抗体が特異的に結合するリガンドを与えること;
c)普遍的検出試薬を与えること;そして
d)普遍的検出試薬の物理的に変更可能な結合試薬への結合を検出することによって、物理的に変更可能な結合試薬のリガンドへの結合が検出されること
を含む、結合検出方法。
【請求項17】
抗体がIgMタンパク質を含み、そして、普遍的検出試薬がレポーター分子を含むC1qを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
抗体がIgMタンパク質を含み、そして、普遍的検出試薬がC1q、C1q結合部位特異的抗体、及び抗J鎖特異的抗体から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アドレス可能なフォーマットにおける固体支持体の表面上で特異的な局所での複数の物理的に変更可能な結合試薬を含むマイクロアレイ。
【請求項20】
結合検出方法であって、下記:
a)請求項19に記載のマイクロアレイを調製すること;
b)物理的に変更可能な結合試薬が特異的に結合するリガンドを含有するリガンドであると疑わしい試料を与えること;
c)普遍的検出試薬を与えること;そして
d)普遍的検出試薬の物理的に変更可能な結合試薬への結合を検出することによって、物理的に変更可能な結合試薬のリガンドへの結合が検出されること
を含む、前記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−530913(P2007−530913A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518876(P2006−518876)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021765
【国際公開番号】WO2005/007893
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506009888)ブラインド・ピッグ・プロテオミクス・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】