説明

結晶性L−アスパラギン酸カルシウムの製造方法

【課題】本発明の課題は、医薬として使用しうる程度に高い純度で一定の品質を確保したL−アスパラギン酸カルシウムを工業的に製造する方法を提供することである。
【解決手段】L−アスパラギン酸カルシウム水溶液に親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒を滴下することによる結晶性L−アスパラギン酸カルシウムの製造方法。
【効果】本発明により、医薬として使用しうる程度に高い純度で一定の品質を確保し、日本薬局方外医薬品規格に合致したL−アスパラギン酸カルシウムを工業的に安定して製造する方法を提供することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウム剤等の医薬として有用なL−アスパラギン酸カルシウムの工業的製造方法に関し、特に、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L−アスパラギン酸カルシウムは、低カルシウム血症に起因するテタニーおよびテタニー関連症状の改善、骨粗鬆症および骨軟化症等の代謝性骨疾患におけるカルシウム補給、発育期におけるカルシウム補給、妊娠・授乳時におけるカルシウム補給等に有効な医薬の有効成分であり、現在、日本で販売されている。日本薬局方外医薬品規格によれば、L−アスパラギン酸カルシウム(カルシウム L−アスパルテートとも称される)は、式:

で表され、換算した脱水物に対し、L−アスパラギン酸84.8〜90.2%及びカルシウム12.5〜13.4%を含み、水分は12.0〜16.0%であるとされている。さらに、同書には、L−アスパラギン酸カルシウムについての性状、確認試験、旋光度、pH、純度試験、定量法、貯法の種々の規格等が記載されている。
L−アスパラギン酸カルシウム無水物に関しては、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液を調製した後、噴霧乾燥することで製造する方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法では、医薬として使用しうる程度に高い純度で一定の品質のL−アスパラギン酸カルシウムを安定して製造することはできない。
また、L−アスパラギン酸カルシウムに関しては、その水溶液から3水和物として再結晶されること、およびその3水和物の理化学的性質が非特許文献1に記載されている。しかし、この方法では、結晶回収率が高くなく、また結晶同士が付着して固化するために一定の純度の乾燥品を得ることが困難であり、作業時間・作業効率の面で問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−79226
【非特許文献1】薬学研究 Vol. 36 (No. 8), p. 243-253 (1965)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、医薬として使用しうる程度に高い純度で一定の品質を確保したL−アスパラギン酸カルシウムを工業的に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明者等は鋭意研究の結果、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液に親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒を滴下することにより、残留有機溶媒が検出されず、一定の品質を有する結晶性L−アスパラギン酸カルシウムが安定して製造されることを見出して本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1] L−アスパラギン酸カルシウム水溶液に親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒を滴下することによる結晶性L−アスパラギン酸カルシウムの製造方法。
[2] 親水性有機溶媒がアルコール系有機溶媒である[1]記載の製造方法。
[3] 親水性有機溶媒がメタノールである[1]記載の製造方法。
[4] メタノール又は約40%〜約99%(v/v)メタノール水溶液を滴下することによる[1]記載の製造方法。
[5] 結晶性L−アスパラギン酸カルシウムが下記式で表されるL−アスパラギン酸カルシウム3水和物である[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法。

[6] L−アスパラギン酸カルシウム水溶液のpHが約6〜約8である[1]〜[5]のいずれか記載の製造方法。
[7] L−アスパラギン酸カルシウム水溶液のpHが約7.0〜約7.3である[1]〜[5]のいずれか記載の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか記載の製造方法において、親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒を滴下して結晶を析出させ、得られた結晶を濾取後、その結晶を親水性有機溶媒で洗浄することによる結晶性L−アスパラギン酸カルシウムの製造方法。
[9] かさ密度が約0.2〜約0.5 g/mLの範囲にある[1]〜[8]のいずれか記載の製造方法で製造された結晶性L−アスパラギン酸カルシウム。
[10] [1]〜[8]のいずれか記載の製造方法によって、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液から結晶性L−アスパラギン酸カルシウムを製造し、必要に応じて粉砕し、薬学上許容される担体と混合し、製剤化することによる経口用L−アスパラギン酸カルシウム製剤の製造方法。
[11] [10]記載の方法で製造された経口用L−アスパラギン酸カルシウム製剤。
【0007】
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液は通常の方法で調製することができる。例えば、L−アスパラギン酸と消石灰(水酸化カルシウム)又は生石灰(酸化カルシウム)とを水中で反応させることで得ることができる(特開昭54-79226、特開昭62-116693等)。L−アスパラギン酸カルシウム水溶液の濃度(w/w)としては、特に限定はないが、結晶性L−アスパラギン酸カルシウムの収量、工業上の操作性、費用等から、例えば、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物量として約15%〜約40%の範囲の濃度が挙げられ、好ましくは約20%〜約35%の濃度が挙げられる。調製されたL−アスパラギン酸カルシウム水溶液は、脱色、不純物等の除去等のため、活性炭処理を行うこともできる。L−アスパラギン酸カルシウム水溶液の好ましいpHとしては、例えば約6〜約8が挙げられ、さらに好ましくは約6.5〜約7.6が挙げられ、特に好ましくは約7.0〜約7.3が挙げられる。このpHの調節においては、酸性化するにはL−アスパラギン酸を添加することで、塩基性化するには消石灰、生石灰等を添加することで実施することができる。
【0008】
親水性有機溶媒としては、例えばケトン系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ニトリル系有機溶媒、エーテル系有機溶媒等またはこれらの混合溶媒が挙げられる。ケトン系有機溶媒としては、例えば直鎖又は分枝鎖のC〜Cケトン系有機溶媒が挙げられ、具体的にはアセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン等が挙げられ、好ましくはアセトンが挙げられる。アルコール系有機溶媒としては、例えば直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルコール系有機溶媒が挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノールが挙げられる。ニトリル系有機溶媒としては、例えば直鎖又は分枝鎖のC〜Cニトリル系有機溶媒が挙げられ、具体的にはアセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、好ましくはアセトニトリルが挙げられる。エーテル系有機溶媒としては、直鎖又は分枝鎖のC〜Cエーテル系有機溶媒、5又は6員の環状エーテル系有機溶媒等が挙げられ、具体的にはジエチルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。親水性有機溶媒の好ましい例としては、アルコール系有機溶媒が挙げられ、さらに好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノールが挙げられ、特に好ましい例として、メタノールが挙げられる。
親水性有機溶媒と水の混合溶媒としては、例えば、上記親水性有機溶媒と水の混合溶媒が挙げられる。該混合溶媒中の親水性有機溶媒の含有率(v/v)としては、親水性有機溶媒の種類によって変化するが、例えば約40%〜約99%が挙げられる。親水性有機溶媒と水の混合溶媒を滴下した場合、一般に餅状結晶の生成を抑え、乾燥時の残留有機溶媒を無くし易くなるので好ましい。
【0009】
親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒の滴下量としては、親水性有機溶媒の種類により異なるが、滴下終了時の結晶懸濁液において、その溶媒中の親水性有機溶媒の含有率(v/v)が、例えば約3%〜約50%となる範囲になるように調整される量が挙げられる。例えば、アルコール系有機溶媒の場合は、この親水性有機溶媒の含有率の好ましい範囲は、約5%〜約40%が挙げられ、さらに好ましくは約10%〜約30%が挙げられる。親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒は、連続して1回に滴下してもよいが、結晶を熟成しながら2回以上に分けて滴下することも好ましい。
親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒の滴下時の温度としては、結晶化に支障が無い限り、いかなる温度でもよいが、例えば約10℃〜約70℃の範囲が挙げられ、好ましくは約20℃〜約60℃の範囲が挙げられ、さらに好ましくは約30℃〜約50℃の範囲が挙げられる。滴下時間としては、特に制限はないが、例えば約10分間〜約2時間が挙げられる。
親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒の滴下後、L−アスパラギン酸カルシウムの種晶を加えるのが好ましい。種晶の量としては、いかなる量でも良いが、例えば、結晶化するL−アスパラギン酸カルシウムの量の0.01%〜5%の量、好ましくは0.5%〜2%の量が挙げられる。結晶熟成温度としては、親水性有機溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒の滴下時の温度と同じでよいが、変えることもできる。結晶が生成した後、加温することも好ましく、それによって、結晶を成長させることができ、あるいは壁面に付着した結晶がある場合はその結晶を脱離させることができる。結晶熟成時間としては、無くてもよいが、例えば約1時間〜約5時間を挙げることができる。
【0010】
得られた結晶は、常法に従って、例えば、吸引濾過、遠心濾過等により濾取することができる。濾取された結晶は、常法に従い、洗浄することができる。洗浄溶媒としては、親水性溶媒又は親水性有機溶媒と水の混合溶媒が挙げられる。結晶のかさ密度を低下させるために、親水性有機溶媒で洗浄することも好ましい。濾取された結晶を乾燥することで本発明の結晶性L−アスパラギン酸カルシウムを得ることができる。乾燥方法としては、常法に従って実施することができるが、例えば、付着水の量を確認しながら、減圧下、加温して実施することができる。また、製剤化に際して、必要に応じて粉砕することもできる。
良好な溶出特性を有し、良好な打錠性を有する経口製剤を製造するには、結晶性L−アスパラギン酸カルシウムのかさ密度が、約0.2〜約0.5の範囲、より好ましくは約0.25〜約0.4の範囲に入るものが望ましい。本発明の製造方法によれば、通常、この範囲に入る結晶性L−アスパラギン酸カルシウムを製造することができる。
【0011】
本発明方法で得られる結晶性L−アスパラギン酸カルシウムに薬学上許容される担体を添加し、通常の製剤化方法(「日本薬局方・製剤総則」記載の方法)等に従って、錠剤、散剤、顆粒剤等の経口製剤を製造することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。賦形剤としては、デンプン類、結晶セルロース、炭酸カルシウム、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、シクロデキストリン、乳糖、ブドウ糖、マンニトール、白糖等が挙げられる。崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分α化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスリンクカルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。結合剤としては、デキストリン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、マクロゴール、含水二酸化ケイ素、合成ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。その他、安定化剤や着色剤等として、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、香料、第二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、リボフラビン、カラメル、アスパルテーム、サッカリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を添加することもできる。
【実施例】
【0012】
以下に、実施例、比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸37.5 g、酸化カルシウム8.25 gおよび水330 gから調製)に、40℃でエタノール130 mLを滴下し、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の種晶を添加し、18℃まで徐冷しながら3時間攪拌した。生成した結晶を遠心分離機で濾取することで、L−アスパラギン酸カルシウムを得た(収率83%)。
得られたL−アスパラギン酸カルシウムは、試験の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)84.4%、カルシウム(脱水物換算)13.1%、水分14.7%、残留エタノールは0.1%であった。
【0013】
実施例2
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸37.5 g、酸化カルシウム8.25 gおよび水470 gから調製)に、35℃で2−プロパノール200 mLを滴下し、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の種晶を添加し、18℃まで徐冷しながら4時間攪拌した。生成した結晶を遠心分離機で濾取することで、L−アスパラギン酸カルシウムを得た(収率81%)。
得られたL−アスパラギン酸カルシウムは、試験の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)85.9%、カルシウム(脱水物換算)13.3%、水分14.8%であり、残留2−プロパノールは検出されなかった。
【0014】
実施例3
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸410 kg、酸化カルシウム85 kgおよび水1320 kgから調製:pH 7.0〜7.3)1815 kgに46℃〜50℃で50%(v/v)メタノール水溶液1294 kgをゆっくりと滴下した。32℃に冷却し、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の種晶約5 kgを添加して攪拌し、結晶がある程度生成した後、40℃〜50℃に昇温し、約1時間攪拌した。約20℃まで冷却し、メタノール168 kgを添加してさらに約30分間攪拌した。生成した結晶を遠心分離機で濾取し、メタノール約68 kgで洗浄し、減圧下、乾燥することで、L−アスパラギン酸カルシウム488.3 kgを得た。
得られたL−アスパラギン酸カルシウムは、日本薬局方外医薬品規格の試験の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)87.0%、カルシウム(脱水物換算)13.0%、水分15.1%、旋光度+22.2°、pH値 6.5であり、またその他のいずれの規格にも適合していた。さらに、残留溶媒は検出されなかった。
【0015】
比較例1
99%(v/v)メタノール200 mLに30%(w/w)L−アスパラギン酸カルシウム水溶液20 mLを40℃で滴下し、攪拌した。攪拌中に、餅状の固体が生成し、その後ザラザラした結晶へと変化した。結晶を濾取し、55℃で3日間、減圧下、乾燥したが、結晶中にメタノールが4%程度残存した。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明により、医薬として使用しうる程度に高い純度で一定の品質を確保し、日本薬局方外医薬品規格に合致したL−アスパラギン酸カルシウムを工業的に安定して製造する方法を提供することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されたいずれかの発明。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アスパラギン酸カルシウムと含水アルコール(含水アルコール中のアルコール含量は5%〜40%(v/v)である)の混合物から結晶化させることを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の製造方法。
【請求項2】
L−アスパラギン酸カルシウムと含水アルコール(含水アルコール中のアルコール含量は5%〜40%(v/v)である)の混合物に、種晶を加えて10℃〜70℃で結晶化させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
含水アルコールのアルコール含量が10%〜30%(v/v)である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
結晶化温度が20℃〜60℃である請求項2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
結晶化温度が30℃〜50℃である請求項2又は3記載の製造方法。
【請求項6】
親水性有機溶媒がメタノールである請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶が生成した後、結晶化温度の範囲で加温して結晶を成長させる請求項2〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】
L−アスパラギン酸カルシウムと含水メタノール(含水メタノール中のメタノール含量は10%〜30%(v/v)である)の46℃〜50℃の混合物を、冷却し、種晶を添加して結晶が生成した後、40℃〜50℃に昇温させて結晶を成長させることを特徴とする請求項2記載のL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の製造方法。
【請求項9】
L−アスパラギン酸カルシウムと含水アルコール(含水アルコール中のアルコール含量は5%〜40%(v/v)である)の混合物が、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液にアルコール又は含水アルコールを滴下することによって調整され得る混合物である請求項1〜8のいずれか記載の製造方法。
【請求項10】
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液にアルコール又は含水アルコールを滴下することによって、L−アスパラギン酸カルシウムと含水アルコール(含水アルコール中のアルコール含量は5%〜40%(v/v)である)の混合物を調整し、結晶化させることを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の製造方法。
【請求項11】
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液にアルコール又は含水アルコールを滴下することによって、L−アスパラギン酸カルシウムと含水アルコール(含水アルコール中のアルコール含量は5%〜40%(v/v)である)の混合物を調整し、種晶を加えて10℃〜70℃で結晶化させることを特徴とする請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
含水アルコールのアルコール含量が10%〜30%(v/v)である請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
結晶化温度が20℃〜60℃である請求項11又は12記載の製造方法。
【請求項14】
結晶化温度が30℃〜50℃である請求項11又は12記載の製造方法。
【請求項15】
親水性有機溶媒がメタノールである請求項10〜14のいずれか記載の製造方法。
【請求項16】
L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶が生成した後、結晶化温度の範囲で加温して結晶を成長させる請求項11〜15のいずれか記載の製造方法。
【請求項17】
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液に含水メタノールを滴下することによって、L−アスパラギン酸カルシウムと含水メタノール(含水メタノール中のメタノール含量は10%〜30%(v/v)である)の46℃〜50℃の混合物を調整し、冷却し、種晶を添加して結晶が生成した後、40℃〜50℃に昇温させて結晶を成長させることを特徴とする請求項11記載のL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか記載の製造方法において、得られた結晶を濾取後、その結晶をメタノールで洗浄することによるL−アスパラギン酸カルシウム3水和物結晶の製造方法。

【公開番号】特開2006−298943(P2006−298943A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216482(P2006−216482)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願2004−23363(P2004−23363)の分割
【原出願日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】