説明

結晶質メタロシリケートの製造方法

【課題】Si/金属比が高い結晶質メタロシリケートの製造方法。
【解決手段】(a)OH-アニオンと金属源とを含む水溶性媒体を用意し、(b)無機の水不溶性珪素を含む水溶媒質を用意し、(c)任意成分の有機珪素源を含む任意成分の非水溶性媒体を用意し、(d)所望の結晶質メタロシリケートを結晶させるのに有効な条件下で上記水溶性媒体(a)と(b)と任意成分の(c)とを混合し、(e)所望のメタロシリケートを回収する、の段階を有し、結晶化前の上記混合物(a)+(b)+(c)中のSi有機/Si無機の比が<0.3で、OH-/SiO2のモル比が少なくとも0.3で、基本的にテンプレート剤を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレート剤(templating agent、ひな型剤)または種(シード)ゼオライトを使用しないで結晶質メタロシリケートを製造する方法に関するものである。
【0002】
ゼオライトは各種タイプの炭化水素変換(conversion)に対して触媒特性を有することが示されている。さらに、ゼオライトは吸着剤および各種タイプの炭化水素転換プロセスの触媒担体としても使用されている。
【0003】
本発明方法で作られた結晶質メタロシリケートは有機構造試剤なしで作ったアルミニウム濃度の低い溶液から製造したMFI構造を有するクリスタライトから成る。
【背景技術】
【0004】
結晶質(crystalline)メタロシリケートは気孔を介して互いに接続した多数の小さな空洞を有する、X線回折で規定される所定結晶構造を有する多孔性結晶材料である。気孔またはチャネルの寸法は例えば所定寸法の分子は吸着し、それより大きな寸法の分子は拒絶するようになっている。ゼオライトはこの結晶質の網目から成る間隙またはチャネルによって分離方法でモレキュラーシーブとして使用でき、各種の炭化水素転換プロセスの触媒および担体として使用できる。
【0005】
ゼオライトまたはメタロシリケートは酸化珪素の格子を有し、さらに金属酸化物の格子を有し、必要に応じて交換可能なカチオン、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンと組み合わされている。
【0006】
「ゼオライト」という用語はシリカを含み、任意成分としてのアルミナを含む材料を意味する。シリカの部分およびアルミナの部分の全部または一部が他の参加物で置換されたものと認識することもできる。例えば、シリカ部分を酸化ゲルマニウムで置換することができる。メタロシリケートのオキサイド骨格の中の珪素以外の金属カチオンは鉄、アルミニウム、チタン、ガリウムおよび硼素にすることができる。
【0007】
従って、本明細書で「ゼオライト」という用語は微細な気孔を有する(microporous)結晶質メタロシリケート材料を意味する。メタロシリケートの触媒特性はゼオライト骨格中の珪素よりも各種元素の存在によるものである。酸化物骨格中の珪素を金属カチオンで置換することが触媒活性サイトを作ることになる。
【0008】
最も良く知られたメタロシリケートは結晶の気孔中に酸基を示すアルミノ珪酸塩である。珪素をそれより少ない価電子状態を有するアルミナのような元素で置換すると正電荷欠陥ができ、それをヒドロニウムイオンのようなカチオンが補償する。このゼオライトの酸性度はゼオライト表面上およびゼオライトチャネル内にある。
【0009】
特許文献1(米国特許第US4257885号明細書)には酸化物のモル比で表して0.8〜3.0M2O:Al23:10〜100SiO2:0〜40H2Oの化学組成を有する合成の結晶質ゼオライトモレキュラーシーブが記載されている(Mが金属カチオンを表し、nはMの価数を表す)。このゼオライトモレキュラーシーブを空気中で600℃の温度でか焼した後の赤外スペクトルは3600〜3100 cm-1の範囲内に全く吸収を示さない。この組成物を製造する方法では、酸化物のモル比で表して下記組成:
SiO2/Al2 10〜100
Na20/SiO2 0.2〜0.3(OH−/SiO2 0.1〜0.15に相当)
H2O/(Na2/nO+M2O) 20〜600
(Na2O+M2/nO)/SiO2 0.02〜0.5
(ここで、Mは元素周期律表のI族およびII族から選ばれる金属カチオンを表し、nはMの価数を表す)
を有する基本的に無機試薬から成る水溶液を形成し、反応混合物を自己発生圧力下で80〜210℃の温度で6〜200時間維持する。
【0010】
特許文献2(米国特許第US5385714号明細書)(=EP 406474)にはSiO2およびAl23またはこれらの水和誘導体またはアルカリシリケートおよびアルミン酸塩と、ミネラライザー(mineralizers)と、任意成分の種(シード)結晶とを含む反応混合物を水溶性アルカリ媒質中で無機プロセスによって製造する合成結晶質アルミノ珪酸塩が記載されている。SiO2/A123のモル比は15〜40、OH-1/SiO2のモル比は0.1〜0.2、H2O/SiO2のモル比は20〜60である。この方法で生じるアルミノ珪酸塩はモル比で下記の化学組成を有する:0〜3 M2O:A123:15〜40SiO2:0〜40H2O(ここで、Mはアルカリ・カチオンを表す)。このアルミノ珪酸塩は触媒および吸着剤の製造で有用である。
【0011】
特許文献3(米国特許第US5696043号明細書)には二酸化珪素および酸化アルミニウムを含む無機の水溶性アルカリ反応混合物またはその水和誘導体またはアルカリシリケートおよびアルミン酸塩および鉱酸から熱水結晶化によって製造した合成の結晶質アルミノ珪酸塩が記載されている。比較的安い出発原料のナトリウム水ガラス(珪酸ナトリウム)を使用し、鉱酸として硫酸を使用するのが好ましい。反応混合物のSiO2/A123のモル比は約15〜約40の間、好ましくは約20〜約30であり、OH-/SiO2のモル比は約0.1〜約0.2、好ましくは約0.13〜約0.16であり、H2O/SiO2のモル比は約20〜約60、好ましくは約30〜約40である。この反応混合物を攪拌オートクレーブ中で熱水結晶化条件下に置く。一般に、反応は約100〜325℃、好ましくは約180〜約250℃の温度で約1時間〜約100時間、好ましくは約24時間行う。この間に結晶質生成物が沈澱する。
【0012】
特許文献4(米国特許第US5407654号明細書)には二酸化珪素および酸化アルミニウムを含む無機水溶性アルカリ反応混合物またはその水和誘導体またはアルカリ・シリケートおよびアルミン酸塩と鉱酸から熱水結晶化によってペンタシル形の結晶質アルミノ珪酸塩を製造する方法ガキされている。比較的安い出発原料のナトリウム水ガラス(珪酸ナトリウム)を使用し、鉱酸としての硫酸を使用する。反応混合物のSiO2/A123のモル比は約15〜約40の間、好ましくは約20〜約30であり、OH-/SiO2のモル比は約0.1〜約0.2、好ましくは約0.13〜約0.16であり、H2O/SiO2のモル比は約20〜約60、好ましくは約30〜約40である。
【0013】
特許文献5(欧州特許第EP1478596号公報)には、(i) シリカ源およびアルミナ源と(ii)非晶形アルミノ珪酸塩の核剤ゲルとをSiO2/Al23モル比が10からの20にして含み、有機のひな型を含まないアルカリ性の水溶性反応混合物からゼオライトを結晶させる、MFI構造を有する結晶アルミノ珪酸塩ゼオライトの合成方法が記載されている。
【0014】
特許文献6(米国特許第US5240892号明細書)には有機試剤を含まない、少なくとも約3重量%のメシチレン収着能を有するZSM−5構造を有する多孔性結晶質シリケートの製造方法が記載されている。この方法は下記の工程を有する:
(a) 珪素を含む結晶シリケート骨格元素の少なくとも一つの成分源を含む結晶化反応混合物(結晶化反応混合物中の上記成分源の固体含有量は少なくとも35重量%以下)を用意し、
(b) 約250℃以下の結晶化温度を維持し、
(c) 上記結晶寸法になるのに十分な結晶化条件下で攪拌を維持し、
(d) 反応混合物のOH-/SiO2のモル比を少なくとも約0.11に維持し、
(e) 多孔性の結晶シリケート結晶を回収する。
例において、OH7 SiO2のより高い値は、0.164である。
【0015】
特許文献7(米国特許第US5254327号明細書)には、有機のひな型剤またはシード添加なしに熱水反応で製造されるアルミナに対するシリカの割合が26以下であるMFI基型の結晶構造を有するゼオライト原料が記載されている。この結晶構造は下記モル比:
SiO2/Al23 14〜22
OH-/SiO2 0.05〜0.08
2O/SiO2 0.08〜0.11
2O/SiO2 14〜22
(ここで、Mはアルカリ金属)
の二酸化珪素源、アルカリ金属水酸化物、アルミニウム源および水との混合物を形成し、混合物を160〜180℃の温度で40〜80時間反応させて得られる。この原料はX線回折によって特徴付けられ、良好なクラッキング活性を有し、ガソリンオクタン誘導体の優れた選択性を示す。
【0016】
特許文献8(米国特許第US4,562,055号明細書)にはZSM−5に近いゼオライトの製造方法が開示されている。この方法では高純度を有し、アルミナに対するシリカの比が高いZSM−5に近いゼオライトが得られる。しかし、このゼオライトの製造方法では、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ金属シリケートの水溶液中に、顆粒状非晶質アルミノ珪酸塩の均一相化合物を用意する必要がある。
【0017】
特許文献9(欧州特許第 EP 94693号公報)は通常のゼオライト合成で使用するシリカ源、アルミナ資源、アルカリ金属水酸化物の水溶液、ゼオライトZSM−5から選択される出発ゼオライトおよび出発原料としてこの方法で得られたゼオライトのみを使用するゼオライトの製造方法が記載されている。出発ゼオライトはこの方法で得られたゼオライトにすることができ、公知の方法で得ることができる。すなわち、アルカリ金属陽イオンと所定有機カチオンとをシリカ源およびアルミナ資源と一緒にアルカリ性水溶液中で水熱合成条件にする。
【0018】
特許文献10(米国特許第3,702,886号明細書)では有機カチオンの源としてテトラ-n−プロピル水酸化アンモニウムを使用する方法を開示している。
特許文献11(イギリス特許No.2,018,232号公報)ではn-ブチルアルコールとアムモニアを使用する。
特許文献12(イギリス特許No.2,058,033号公報)ではトリ-nプロピルアミンとn-プロピル・ハロゲン化物を使用する。
特許文献13(日本特許公開No.17920/1981号公報)ではアルコールアミンを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第US4257885号明細書
【特許文献2】米国特許第US5385714号明細書(=EP406474)
【特許文献3】米国特許第US5696043号明細書
【特許文献4】米国特許第US5407654号明細書
【特許文献5】欧州特許第 1478596号公報
【特許文献6】米国特許第US5240892号明細書
【特許文献7】米国特許第US5254327号明細書
【特許文献8】米国特許第US4,562,055号明細書
【特許文献9】欧州特許第 EP 94693号公報
【特許文献10】米国特許第3,702,886号明細書
【特許文献11】イギリス特許No.2,018,232号公報
【特許文献12】イギリス特許No.2,058,033号公報
【特許文献13】日本特許公開No.17920/1981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、水に可溶な低級脂肪族アルコールを用いた有機ひな型、種付け(シード)技術すなわち均質出発溶液を使用する必要のない、MFIタイプのメタロシリケートの製造方法を提供することにある。
本発明で、有機ひな型とは窒素またはリンを含む有機成分を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、下記(a)〜(e):
(a)OH-アニオンと金属源とを含む水溶性媒体を用意し、
(b)無機の水不溶性珪素を含む水溶媒質を用意し、
(c)任意成分の有機珪素源を含む任意成分の非水溶性媒体を用意し、
(d)所望の結晶質メタロシリケートを結晶させるのに有効な条件下で上記水溶性媒体(a)と(b)と任意成分の(c)とを混合し、
(e)所望のメタロシリケートを回収する、
の段階を有し、結晶化前の上記混合物(a)+(b)+(c)中のSi有機/Si無機の比が<0.3、好ましくは<0.2、さらに好ましくは0で、OH-/SiO2のモル比が少なくとも0.3、好ましくは0.3〜0.62、さらに好ましくは0.31〜0.61で、より好ましくは0.32〜0.6、特に0.33〜0.61で、基本的にテンプレート剤を含まない、Si/金属比が高い結晶質メタロシリケートの製造方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】2相媒体中で合成したサンプルのXDRパターン(実施例1〜5)
【図2】単相媒体中で合成したサンプルのXDRパターン(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【0023】
他の実施例で、本発明は下記(a)〜(h)の段階:
(a) OH-アニオンと金属源とを含む水溶性媒体を用意し、
(b) 無機の水不溶性珪素を含む水溶媒質を用意し、
(c) 任意成分の有機珪素源を含む任意成分の非水溶性媒体を用意し、
(d) 所望の結晶質メタロシリケートを部分的に結晶化させるのに有効な条件下で上記水溶性媒体(a)と(b)と任意成分の(c)とを混合し、
(e) 反応混合物(a)+(b)+(c)を室温まで冷却し、
(f) 反応混合物のpHを少なくとも0.1だけ、好ましくは0.3〜4、より好ましくは0.5〜3だけ下げ、
(g) 段階(f)で得られた混合物をメタロシリケートの所望結晶化を続けるのに有利な条件とし、
(h) 所望のメタロシリケートを回収する、
から成り、結晶化前の段階(d)で上記混合物(a)+(b)+(c)中のSi有機/Si無機の比が<0.3で、好ましくは<0.2、さらに好ましくは0で、OH-/SiO2のモル比が少なくとも0.3、好ましくは0.3〜0.62、さらに好ましくは0.31〜0.61で、より好ましくは0.32〜0.6、特に0.33〜0.61で、基本的にテンプレート剤を含まない、Si/金属比が高い結晶質メタロシリケートの製造方法に関するものである。
【0024】
段階(g)の結晶化の運転パラメータは段階(d)の結晶化の運転パラメータと同じでも、異なっていてもよい。
【0025】
「基本的にテンプレート剤を含まない」とはきわめて少量の不純物は存在できるが、その量は合成に影響するのに十分な量ではないという、ことを意味する。
【0026】
結晶化前の混合物(a)+(b)+(c)のpHは13以上、好ましくは13.1以上、好ましくは13.2以上、より好ましくは13.3以上、
さらに好ましくは13.4以上であるのが好ましい。
【0027】
合成時のSi/金属比は高く、少なくとも12、好ましくは少なくとも24、より好ましくは40以上、さらに好ましくは40〜100である。
【0028】
上記の非水液体媒体は水に実質的に不溶または水不溶性の有機溶剤から成るのが有利である。この有機溶剤は少なくとも5つの炭素原子を有するアルコールまたは少なくとも5つの炭素原子を有するメルカプタンの中の少なくとも一つから成るのが好ましい。アルコールは18個以下の炭素原子を有し、メルカプタンは18個以下の炭素原子を有するのが好ましい。
【0029】
ひな型はリサイクルできないので、有機ひな型(テンプレート)は非水液体媒体/溶剤とは相違する。このひな型は窒素またはリンを含む有機化合物で、合成時に不可逆的に消費され、燃焼によってゼオライト気孔から除去しなければならない。これに対して、上記の非水液体媒体/溶剤は回収でき、次に合成で使用できる。
【0030】
従って、本発明は、酸度を下げてゼオライトを経済的に合成するための環境にやさしい(フレンドリーな)解決策を提供する。
【0031】
この処方では水および/または水酸化アンモニウムに可溶な脂肪族アルコール、シード添加を使用する必要がない。
【0032】
無機珪素源は沈殿シリカ、パイロージェンシリカ(フュームドシリカ)およびシリカのコロイド状水溶液の中から選択する少なくとも一つにすることができる。アルカリ媒体添加前の無機珪素源の水に対すな溶解度は制限するのが好ましい。
【0033】
段階(f)でのpHの低下は任意の手段で実施でき、好ましくはpH低下剤を加えて行う。このpH低下剤は任意の水可溶性化合物または化合物の混合物は、最初の結晶化段階後の反応混合物のpH値より0.1だけ下のpHにするのに充分な濃度で使用する。pHは少なくとも0.1だけ、好ましくは0.3〜4だけ、さらに好ましくは0.5〜3だけ下げるのが好ましい。pH低下剤は有機または無機の酸または酸性pHを得た得る塩にするのが好ましい。有機酸はクエン酸、蟻酸、蓚酸、酒石酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、マイレン酸、フタル酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸またはこれら酸の塩(例えばナトリウム塩)またはこれら酸または塩の少なくとも2つの混合物から成る有機酸にすることができる。無機酸は硝酸、塩化水素酸、メタンスルホン酸、硫酸、燐酸、炭酸またはこれらの酸の塩(例えばナトリウム塩またはアンモニウム塩)またはこれらの酸または塩の少なくとも2つの混合物から選択できる。
【0034】
有機珪素源はテトラアルキルオルトシリケートにするのが好ましい。
【0035】
金属源は金属酸化物、金属塩および金属アルコキシドの少なくとも一つから選択するのが好ましい。
【0036】
メタロシリケートはアルミノ珪酸塩(金属がAl)であるのが好ましく、アルミニウム源はアルカリ性溶液中に溶解した水和アルミナ、アルミニウム金属、水溶性アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムおよびアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシドの少なくとも一つの中から選択するのが好ましい。
【0037】
メタロシリケートは硼珪酸塩で、硼素源はアルカリ性溶液中に溶解した少なくとも一種の水和酸化硼素、水溶性硼素塩、例えば塩化硼素およびアルコキシド中から選択するのが好ましい。
【0038】
メタロシリケートはフェロシリケート(ferrosilicate)で、鉄源は水溶解性鉄塩であるのが好ましい。
メタロシリケートはガロシリケート(gallosilicate)で、ガリウム源は水溶性ガリウム塩であるのが好ましい。
【0039】
メタロシリケートはチタノシリケート(titanosilicate)で、チタン源は水溶性ハロゲン化チタン、チタンオキシハイドレート、硫酸チタンおよびチタンアルコキシドの少なくとも一つの中から選択するのが好ましい。
【0040】
OH-アニオン源は水酸化ナトリウムにするのが好ましい。
【0041】
本発明はさらに、本発明方法で得られる結晶メタロシリケート組成物の、炭化水素転換プロセスの触媒成分としての使用にある。
【0042】
好ましくは先ず最初に(b)と(c)の水溶性媒体を混合し、その後に(b)+(c)の混合物中にヒドロゲルが得られるまで(a)の水溶性媒体をゆっくり加える。次に、攪拌条件下で加熱して結晶化を行う。結晶化後に任意のゼオライト合成と同様に冷却、濾過、洗浄、乾燥およびか焼段階行う。
【0043】
本発明方法ではMFIタイプ(ZSM−5、シリカライト、TS−1)から選ばれるメタロシリケートが製造できる。
これらのゼオライトとそのアイソタイプは非特許文献1に記載されている。その内容は本願明細書に引用したものとする。
【非特許文献1】"Atlas of Zeolite Structure Types", eds. W. H. Meier, D. H. Olson and Ch. Baerlocher, Elsevier, Fourth Edition, 1996
【0044】
構造タイプは「IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature」によって与えられる。ゼオライトの合成方法は非特許文献2に記載されている。
【非特許文献2】"Verified synthesis of zeolytic materials, eds H. Robson, Elsevier 2001
【0045】
本発明方法で得られるメタロシリケートは水素、アンモニウム、一価、二価および三価のカチオンおよびこれらの混合物から成る群の中から選択される電荷バランスカチオンMを有することができる。
【0046】
メタロシリケートの各種元素源は商業的に入手でき、また、必要に応じて調製できる。例えば、珪素源はシリケート、例えばテトラアルキルオルトシリケート、沈澱シリカまたは火成(ヒュームド)シリカにすることができる。無機珪素源はアルカリ媒体添加前の溶解が一定のものであるのが好ましい。
【0047】
メタロシリケートがアルミノ珪酸塩のゼオライトの場合、アルミニウム源はアルカリ性溶液に溶かした水和アルミナまたはアルミニウム金属、水可溶性アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムまたは塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムまたはアルコキシド、例えばアルミニウム・イソプロポキシドにすることができる。メタロシリケートが硼珪酸塩ゼオライトの場合、硼素源はアルカリ性溶液に溶かした水和酸化硼素または水溶性の硼素塩、例えば塩化硼素またはアルコキシドにすることができる。メタロシリケートがフェロシリケートまたはガロシリケートの場合、鉄源またはガリウム源は水に容易に可溶な任意の鉄源またはガリウム源にすることができる。
【0048】
メタロシリケートがチタノシリケートの場合、チタン源はハロゲン化チタン、チタンオキシハイドレート、硫酸チタンまたはチタンアルコキシドにすることができる。
【0049】
金属に対する珪素の原子比は使用する金属とメタロシリケートとに依存し、少なくとも2/1から約10000/1である、好ましくは5/1から約5000/1であり、より好ましくは10/1から1000/1である。
【0050】
Mカチオン源はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または塩にすることができる。また、Mは水酸化アンモニウムまたは塩にすることができる。Mカチオンおよび誘導剤は結晶化媒体のpHに影響を与える。水溶媒体(a)中のOH-1源の比率はテンプレート剤とMカチオンとに応じて決定し、混合物(a)+(b)+(c)中のOH-/SiO2のモル比が段階(d)で少なくとも0.3、好ましくは0.3〜0.6となるようにしなければならない。
【0051】
有機溶剤媒体は基本的に水不溶性または水非相溶性であるのが好ましい。有機溶剤媒体は少なくとも一種のアルコールまたはメルカプタンを含み、基本的に水不溶性であるのが好ましい。基本的に水不溶性なアルコールまたはメルカプタンの例は少なくとも5から約18個の炭素原子を有するアルコールまたはメルカプタンである。有機溶剤媒体はさらに、アルコール基またはメルカプタン基を有していない他の水不溶性有機化合物を含むことができる。各メタロシリケート合成手の必要に応じて有機媒体の疎水性を変更する方法は当業者に公知である。所定量の水不溶性アルコールまたはメルカプタンと一緒に使用可能な有機化合物はハロー炭化水と、パラフィン、シクロパラフィン、芳香族炭化水素またはこれらの混合物である。
【0052】
(a)、(b)および(c)の混合の順番は重要でなく、製造するゼオライトに依存する。結晶媒体(a)+(b)+(c)はこの結晶化が起きない温度でエージングすることができ、必要に応じて核形成(nucleation)を開始させることができる。本発明のゼオライト結晶を製造する装置は当業者に公知である。一般に、メタロシリケートはオートクレーブを使用して製造でき、加熱中に混合物が有効に核形成し、結晶化する温度まで結晶混合物を充分に攪拌して十分に均質化する。結晶化容器は結晶化条件に耐えられる金属または金属合金から作ることができ、必要に応じてテフロン(登録商標)のようなフルオロカーボンで被覆することもできる。また、合成混合物をオートクレーブの一つの部分から他の部分へポンプ輸送する等の当業者に公知の他の攪拌手段を使用することもできる。
【0053】
本発明の好ましい実施例では(a)、(b)および(c)を混合して得られる結晶化媒体を室温で10分〜2時間、攪拌条件下に維持する。その後、結晶化媒体は自発的圧力下かつ高温度下に置かれる。反応混合物は約12O℃〜25O℃、好ましくは130℃〜23O℃、さらに好ましくは160℃〜220℃の結晶化温度に加熱される。結晶化温度までの加熱は一般に約0.5〜約30時間、好ましくは約1〜12時間、さらに好ましくは約2〜9時間である。結晶化媒体は自己発生圧力および高温度になる。反応混合物を約120〜250℃、好ましくは130〜250℃、より好ましくは160〜250℃の結晶化温度まで加熱する。結晶化温度までの加熱は約0,5から約30時間、好ましくは約1時間〜12時間、よりも好ましくは約2〜9時間にする。温度は段階的または連続的に上昇できるが、連続的に上昇させるのが好ましい。結晶化媒体は静止させておくか、熱水処理中に反応容器を攪拌するか揺動させて攪拌することもできる。反応混合物は揺動または攪拌し、好ましくは攪拌する。それから温度を2〜200時間、結晶化温度に維持する。加熱および攪拌は結晶質生成物が形成されるのに有効な時間の間続ける。本発明の特定実施例では反応混合物を16〜96時間、結晶化温度維持する。通常のオーブンや電子レンジを使用できる。
【0054】
段階(g)の結晶化の操作パラメターは段階(d)の結晶化の操作パラメターと同じでも、異なっていてもよい。
【0055】
一般に、結晶質メタロシリケートはスラリーの形で得られ、それから標準的な手段、例えば沈降、遠心分離または濾過によって回収できる。分離した結晶質メタロシリケートを蒸留水で洗浄し、沈降、遠心分離または濾過して回収し、一般に約25〜約250℃、好ましくは約80℃〜約120℃の温度で乾燥する。メタロシリケートのか焼方法も基本的に公知である。賦活プロセスは一般に酸素含有ガスの存在下で200〜800℃の温度でメタロシリケートをか焼、加熱して行う。場合によっては、低酸素濃度の環境下でメタロシリケートを加熱するのが望ましい。
【0056】
得られた結晶質メタロシリケートはそのまま触媒として使用できる。本発明の他の実施例では最終触媒生成物に追加の強度または触媒活性を与える他の原料を結晶質メタロシリケートと組み合わせて触媒にすることができる。
【0057】
本発明で調製された結晶は種々の形に形成できる。本発明で作ったメタロシリケートから触媒を作る場合、触媒は工業的反応装置で使用できるような形にする必要がある。結晶は乾燥前または部分的に乾燥してから成形でき、また、結晶は有機テンプレートを除去するためにか焼し、その後に成形することができる。
【0058】
多くの触媒の場合、本発明方法で製造した結晶質ゼオライトと有機変換プロセスでの温度、その他の条件に耐えることができるバインダ材料とを組合わせるのが望ましい。このバインダ材料は、構成元素の空間分布と表面での珪素濃度が高いという特徴を有する上記メタロシリケートの骨格に組み込まれる金属元素を含まないということは当業者は容易に理解できよう。さらに、バインダ材料はメタロシリケートの構成元素の空間分布とメタロシリケート表面での高い珪素濃度とを破壊する元素は含まない。
【0059】
バインダ材料は例えばシリカ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリアおよびシリカ−チタニア等の多孔性マトリックス物質や、シリカ−マグネシア−ジルコニアのような三元組成物で構成できる。メタロシリケート成分とバインダ材料の相対割合は広範囲に変えることができ、メタロシリケートの含有量は約1〜約99重量パーセントであり、より好ましくはメタロシリケート成分が約10〜約85の重量パーセント、より好ましくは約20〜約80パーセントである。
【0060】
本発明方法で製造したメタロシリケートは、有機テンプレートを除去するためにか焼した後に周知の方法でイオン交換して、メタロシリケート中に存在する元の電荷バランス用カチオンの少なくとも一部を別のカチオン、例えば周期律表のIB〜VIII族金属、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、白金、カルシウムまたは希土類金属で置換することができ、あるいは、元の電荷バランスカチオンをアンモニウムカチオンと交換し、得られたアンモニウム型をか焼して酸性水素形して、ゼオライトをより酸性の形にすることができる。酸性の形は適当な試薬、例えば硝安、炭酸アンモニウムまたはプロトン酸、例えばHCI、HNO3およびH3PO4を用いたイオン交換によって容易に調製できる。それからメタロシリケートを400〜550℃の温度でか焼してアンモニアを外し、水素形にする。特に好ましいカチオンは使用するメタロシリケートに依存し、水素、希土類金属、周期律表のIIA、IIIA、IVA、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVIII族金属が含まれる。本発明方法で製造したメタロシリケートはさらに、公知の前処理後に触媒活性を有する金属の少なくとも一つの別の先駆体、例えば周期律表のIIA、IIIA〜VIIIA、IB、IIB、IIIB〜VIBの金属、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、白金、ガリウム、錫および/またはテルリウムの金属先駆体によって支持されていてもよい。
【0061】
本発明のメタロシリケートはそれ自体でまたは触媒活性物質と一緒になって炭化水素変換プロセスで触媒として使用した時に高い活性、高い選択性、高い安定性またはこれらを合わせた特性を示す。そうしたプロセスの例としては下記が挙げられるが、これらに限定ささるものではない。
【0062】
1.軽質オレフィンで芳香族炭化水素をアルキル化して短鎖のアルキル芳香族化合物にする、例えばベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンにしたり、ベンゼンをエチレンでアルキル化してエチルベンゼンにする方法。代表的な反応条件は約100℃〜約450℃の温度、約5〜約80バールの圧力、約1hr-1〜約100hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度である。
【0063】
2.軽オレフィンで多環式芳香族炭化水素をアルキル化して短鎖のアルキル多核芳香族化合物、例えばプロピレンでナフタリンをアルキル化してモノまたはジイソプロピルナフタレンにする方法。代表的な反応条件は約100℃〜約400℃の温度、約2〜約80バールの圧力、約1hr-1〜約100hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度である。
【0064】
3.アルキル化剤、例えば約1〜20の炭素原子を有するハロゲン化アルキルおよびアルコールの存在下での芳香族炭化水素、例えばベンゼンおよびアルキルベンゼンのアルキル化。代表的な反応条件は約100℃〜約550℃の温度、大気圧から約50バールの圧力、約1hr-1〜約1000hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度、約1/1から約20/1の芳香族炭化水素/アルキル化剤モル比である。例としてはトルエンをメタノールでアルキル化してキシレンにする方法がある。これはトルエンのメチル化として知られている。
【0065】
4.芳香族炭化水素、例えばベンゼンの長鎖オレフィン、例えばC14オレフィンによるアルキル化。代表的な反応条件は約50℃〜約300℃の温度、大気圧から約200バールの圧力、約2hr-1〜約1000hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度、約1/1から約20/1の芳香族炭化水素/オレフィンモル比。
【0066】
5.オレフィンまたは対応アルコールでフェノール類をアルキル化して長鎖アルキルフェノール類にする方法。代表的な反応条件は約100℃〜約250℃の温度、約1〜50バールの圧力、約2hr-1〜約10hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度である。
【0067】
6.ポリアルキル芳香族炭化水素の存在下での芳香族炭化水素のトランスアルキル化。代表的な反応条件は約150℃〜約550℃の温度、大気圧から約100バールの圧力、約1hr-1〜約500hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度、約1/1から約20/1の芳香族炭化水素/ポリアルキル芳香族炭化水素モル比である。
【0068】
7. 芳香族供給原料成分、例えばキシレンの異性化。代表的な反応条件は約200℃〜約550℃の温度、約1〜約50バールの圧力、約0.1hr-1〜約200hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度、約0〜約100の水素/炭化水素モル比である。
【0069】
8. トルエンのジスプロポーショネーションによるベンゼンおよびパラキシレンの製造。代表的な反応条件は約200℃〜約600℃の温度、大気圧から約60バールの圧力、約0.1hr-1〜約30hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度である。
【0070】
9. ナフサ・フィードの接触分解による軽質オレフィンの生産。代表的な反応条件は約450℃〜約650℃の温度、大気圧から約8バールの圧力、約5hr-1〜約50hr-1の芳香族炭化水素重量空間速度である。
【0071】
10. ブテンフィードの接触分解による軽質オレフィン、例えばプロピレンの生産。
代表的な反応条件は約450℃〜約650℃の温度と、大気圧から約8バールの圧力と、約5hr-1〜約50hr-1の重量空間速度である。
【0072】
11. 高分子量炭化水素の低質量炭化水素への接触分解。本発明のメタロシリケートは従来の触媒と一緒に流動接触分解装置で使用できる。この接触分解の代表的な反応条件は約450℃〜約650℃の温度と、約0.1〜約10バールの圧力と、約1hr-1〜約300hr-1の重量空間速度である。
【0073】
12. 直鎖パラフィン系炭水素の選択的除去による炭化水素の脱蝋。代表的な反応条件は約200℃〜450℃の温度と、10〜100バールの圧力と、約0.1〜約10バールの圧力と、約1hr-1〜約20hr-1の重量空間速度である。
【0074】
13. 重質石油供給原料の水素化分解。メタロシリケート触媒は水素化分解触媒で使用するタイプの少なくとも一種の水素化成分の有効量を含む。
【0075】
14. 水素化分解/脱蝋プロセスの組合せ。一種または複数のメタロシリケートを用いるか、メタロシリケートと他のゼオライトまたはモレキュラーシーブとを組み合わせる。
【0076】
15. オレフィンおよび/または芳香族化合物の軽質パラフィン系炭水素への変換。代表的な反応条件は約425℃〜約750℃の温度と、約1〜約60バールの圧力である。
【0077】
16. 軽質オレフィンのガソリン、留出分およびラブレンジ炭化水素への変換。代表的な反応条件は約175℃〜約450の温度は、約3〜約100バールの圧力。
【0078】
17. ナフサ(例えばC6-C10)の高オクタン化芳香族含有量の多い生成物への変換。炭化水素フィードを触媒と接触させる。温度範囲は約400℃〜600℃、好ましくは480℃〜550℃で、圧力範囲は大気圧から40のバールで、重量空間速度は約0.1hr-1〜約35hr-1である。
【0079】
18. オレフィンをアルコールと反応させて混合エーテルにする。例えば、メタノールまたはエタノールをイソブテンおよび/またはイソペンテンと反応させて、メチル-t- ブチルエーテル(MTBE)またはエチル-t-ブチルエーテル(ETBE)および/またはt-アミルメチルエーテル(TAME)またはt-アミル−エチル−エーテル(TAEE)にする。代表的な変換条件は約20℃〜約250℃の温度と、約2〜約100バールの圧力と、約0.1hr-1〜約200hr-1で約0.1の液体空間速度と、約0.2/1〜約3/1のアルコール対オレフィンモル・フィード比である。
【0080】
19. エーテル、例えばMTB、ETBE、TAMEまたはTAEEのイソブテンおよびイソペンテンおよび対応アルコールへの分解。代表的な変換条件は約20℃〜約300℃の温度と、約0.5〜約10バールの圧力と、約0.1hr-1〜約200hr-1の液体空間速度である。
【0081】
20. 酸素化物、例えばアルコール(例えばメタノール)またはエーテル(例えばジメチルエーテル)またはその混合物のオレフィンおよび芳香族を含む炭化水素への変換。反応条件は約275℃〜約600℃の温度と、約0.5〜約60バールの圧力と、約0.1hr-1〜約100hr-1での液体空間速度である。
【0082】
21. 約2〜約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐オレフィンのオリゴマー化。このプロセスの生成物は約6〜50の炭素原子を有するオリゴマーで、溶剤、潤滑油、アルキル化剤として燃料混合供給原料および各種酸素含有化学品の製造反応物として有用である。このオリゴマー化法は一般に約150℃〜約350℃の範囲の温度と、約5〜約100バールの圧力と、約0.2hr-1〜約70hr-1の液体空間速度で実行される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0083】
以下の実施例で得られる材料の製造方法および特徴付け装置は以下の通り:
X−線回折で回折パターンを得て、所望の結晶構造を確認し、また、未知の結晶相の存在を検出し、基準ゼオライトと比較して結晶化度を決定した。回折計はフィリップスPW1830(Co Ka)である。
【0084】
溶液(a)、(b)および(c)を混合してMFIアルミノ珪酸塩を調製した。
溶液(a)
xxx mlの蒸留水中にxxx gの水酸化ナトリウムと、xxx gのAl(NO33.9H2Oを混合し、15分間均質化した([表2])。
溶液(b)
xxx mlの蒸留水中に40重量%のSiO2(Ludox AS−40)を含んだxxx mlのコロイドシリカ溶液([表2])。
溶液(c)
xxx mlのヘキサノール−1。15分間均質化した([表2])。
【0085】
溶液(b)と(c)をオートクレーブ中で15分間混合し、溶液(a)をゆっくり加えてヒドロゲルを得た。室温で30分間撹拌した後、結晶化反応を行った。合成は自己発生圧力下で通常の加熱処理を170℃で24時間行う(テフロン(登録商標)製ボールを入れた揺動オートクレーブ、50t/分)。最初の合成後、サンプルを反応媒体から直接に回収した。
【0086】
反応媒体は冷却し、0.75リットルの蒸留水で洗い、110℃で16時間乾燥し、それから600℃で5時間か焼した。各化合物の量は[表2]に記載してある。合成条件および試薬のモル比は[表1]に記載してある。
2相媒体中で合成したサンプルのXDRパターンを[図1](実施例1〜5)に示す。
単相媒体中で合成したサンプルのXDRパターンを[図2](実施例8)に示す。
【0087】
各XDRパターンはサンプルの結晶性および相組成を示している。
各XDRパターンはSi/Alモル比が25〜100にある溶液から結晶させたか焼後のMFIゼオライト中に不純物が存在しないことを示している。
【0088】
Si/Alモル比が40で10回合成を繰り返して再現性良く、純粋なZSM−5が得られた。
【0089】
Si/Alモル比が80の場合には再現性実験で不純物が少量現れたが、合成時間を72時間に延ばし、か焼を600℃で5時間行うことで除去できた。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(e):
(a)OH-アニオンと金属源とを含む水溶性媒体を用意し、
(b)無機の水不溶性珪素を含む水溶媒質を用意し、
(c)任意成分の有機珪素源を含む任意成分の非水溶性媒体を用意し、
(d)所望の結晶質メタロシリケートを結晶させるのに有効な条件下で上記水溶性媒体(a)と(b)と任意成分の(c)とを混合し、
(e)所望のメタロシリケートを回収する、
の段階を有し、結晶化前の上記混合物(a)+(b)+(c)中のSi有機/Si無機の比が<0.3で、OH-/SiO2のモル比が少なくとも0.3で、基本的にテンプレート剤を含まない、Si/金属比が高い結晶質メタロシリケートの製造方法。
【請求項2】
下記(a)〜(h)の段階:
(a) OH-アニオンと金属源とを含む水溶性媒体を用意し、
(b) 無機の水不溶性珪素を含む水溶媒質を用意し、
(c) 任意成分の有機珪素源を含む任意成分の非水溶性媒体を用意し、
(d) 所望の結晶質メタロシリケートを部分的に結晶化させるのに有効な条件下で上記水溶性媒体(a)と(b)と任意成分の(c)とを混合し、
(e) 反応混合物(a)+(b)+(c)を室温まで冷却し、
(f) 反応混合物のpHを少なくとも0.1だけ下げ、
(g) 段階(f)で得られた混合物をメタロシリケートの所望結晶化を続けるのに有利な条件とし、
(h) 所望のメタロシリケートを回収する、
から成り、結晶化前の段階(d)で上記混合物(a)+(b)+(c)中のSi有機/Si無機の比が<0.3で、OH-/SiO2のモル比が少なくとも0.3で、基本的にテンプレート剤を含まない、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
段階(f)でpHを少なくとも0.3〜4だけ下げる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階(f)でpHを少なくとも0.5〜3だけ下げる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
段階(d)でのSi有機/Si無機の比が<0.2である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
段階(d)でのSi有機/Si無機の比が0である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階(d)で上記混合物(a)+(b)+(c)中のOH-/SiO2のモル比が0.31〜0.61である製造1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
メタロシリケートがアルミノ珪酸塩である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
メタロシリケートがMFIである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
無機珪素源を沈殿シリカ、火成シリカ(またはヒュームドシリカ)およびシリカの水溶性コロイド懸濁液の少なくとも一つの中から選択する請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
先ず最初に(b)と(c)の水溶性媒体を混合し、その後に(b)+(c)の混合物中にヒドロゲルが得られるまで(a)の水溶性媒体をゆっくり加える請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
結晶化前の混合物(a)+(b)+(c)のpHを13以上にする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
pHを13.1以上にする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
pHが13.2以上にする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法で得られた結晶質メタロシリケート組成物の、炭化水素転換プロセスでの触媒成分としての使用。
【請求項16】
炭化水素転換プロセスがトルエンをメタノールでアルキル化してキシレンを作る方法である請求項15に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−523932(P2011−523932A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512041(P2011−512041)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052170
【国際公開番号】WO2009/146955
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】