説明

結束クリップ並びに包装袋とタグの結束方法

【課題】販売促進のためのタグを包装袋の口部分へ簡単に装着できる手段を提供する。
【解決手段】一対の脚部4間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップ1の後部にプレート部3を設け、プレート部にΩ形などのタブ部6を形成する。商品名や商品情報などを印刷したタグ11の一端にスリット12を形成し、スリットを結束クリップのタブ部へ係合させることにより、タグを結束クリップに連結する。商品を包装した袋の口部分にタグが位置するので、いかなる陳列状態でも注目効果が発揮される。結束クリップとタグが別体であるので、タグの作成が簡単であり、タグを一体化した従来の結束クリップよりもコストが低下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品等を小分け包装するための結束クリップ並びに包装袋とタグの結束方法に関するものであり、特に、商品情報やキャッチコピーなどを表示したタグを簡単に添付できるようにした結束クリップ並びに包装袋とタグの結束方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パンや菓子、果物や缶詰などの食品やその他の雑貨類などは、或る程度の量をビニール袋やネット状の袋で包装して小分け販売される場合が少なくない。包装された商品の情報や宣伝のためのキャッチコピーなどを表面に表示する手段としては、袋自体に印刷する方法やシールを袋に貼り付ける方法が一般的であるが、包装された商品を並べて陳列した場合に、袋の表面のメッセージが隠れてしまって店頭での表示効果が減殺されてしまうという欠点がある。
【0003】
このような欠点を解消するものとしては、袋の口部分を結束した結束クリップの先端部分に、商品情報などを印刷したタグを係止する方法(特許文献1)や、結束クリップの後端部に予めタグを接着したもので袋の口部分を結束する方法が知られている。
【0004】
これらの方法によれば、包装された商品を並べて陳列したときに、タグが上部に露出するので、袋本体に表示を施したものに比べて店頭での注目効果及び販促効果も良好である。
【特許文献1】特許第3468285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の結束クリップの先端部分にタグを係止する方法は、一対の脚部を有する結束クリップを用い、一対の脚部を交差させてかしめることにより脚部を圧着して袋を結束した後に、タグに形成したスリットへ交差した一対の脚部の先端部をこじ入れて係止するもので、タグの装着に手間がかかる。
【0006】
また、タグを一体化した結束クリップで結束する方法は、印刷ロットの関係でタグ付結束クリップの注文単位が大きいため、コストがかかって多品種少量販売には適していない。
【0007】
そこで、総体的に低コストで手軽に袋の口部分へ販売促進のためのタグを装着できる手段を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、主として合成樹脂製の包装袋を結束するための結束クリップであって、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにおいて、結束クリップの後部に連なるプレート部を設け、打抜き加工などの手段によって前記プレート部にΩ形或いはT形などのタブ部を形成するとともに、商品名や商品情報などを印刷したタグの一端にスリットを形成し、前記スリットを結束クリップのタブ部へ係合させることにより、タグを保持できるように形成したことを特徴とする結束クリップを提供するものである。
【0009】
また、主として合成樹脂製の包装袋を結束するための結束クリップであって、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにおいて、結束クリップの後部に連なるプレート部を設け、前記プレート部に商品名や商品情報などを印刷して表示するか、或いは商品名や商品情報などを印刷したシールまたはタグを貼付できるように形成したことを特徴とする結束クリップを提供するものである。
【0010】
また、商品名や商品情報などを印刷したタグの端部を合成樹脂製などの包装袋の開口縁部に接着または溶着し、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにて前記包装袋とタグとを結束して、包装袋の口部分にタグを固定することを特徴とする包装袋とタグの結束方法を提供するものである。
【0011】
また、商品名や商品情報などを印刷したタグの端部を合成樹脂製などの包装袋の開口縁部に重ねて持ち、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにて前記包装袋とタグとを結束して、包装袋の口部分にタグを固定することを特徴とする包装袋とタグの結束方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の結束クリップは、商品名や商品情報などを印刷したタグを係止或いは接着して固定できるので、商品を包装した袋の口部分にタグが位置して消費者の注意を引くことができる。また、結束クリップとタグを予め一体化しておく必要がなく、テーププリンタなどで作成したタグを使用できるので、少量生産にも対応でき、タグを一体化した従来の結束クリップよりもコストが低下する。
【0013】
また、本発明の包装袋とタグの結束方法によれば、従来一般的に使用されている結束クリップを使用して、商品を包装した袋の口部分にタグを結束できるので、前述した結束クリップと同様に、タグを一体化した従来の結束クリップよりも低コストで注目効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明は、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにおいて、結束クリップの後部に連なるプレート部を設け、打抜き加工などの手段によってプレート部にT形或いはL形などのタブ部を形成するとともに、商品名や商品情報などを印刷したタグの一端にスリットを形成し、スリットを結束クリップのタブ部へ係合させることによってタグを保持できるように形成することにより、低コストで手軽に袋の口部分へ販売促進のためのタグを装着できるようにするという目的を達成した。
【実施例1】
【0015】
図1は結束クリップ1を示し、特開2001-31029号公報などに詳述されていて既に広く使用されている結束クリップと同一構成のクリップ部2の後端にクリップ部2と同一幅のプレート部3を連結した形状となっていて、クリップ部2に形成されている一対の脚部4間に袋の口部分を収束させて挿入し、結束機が一対の脚部4を交差させてかしめることにより袋を結束するものである。
【0016】
クリップ部2とプレート部3は、左右両端近傍(図において上下両端近傍)を細いブリッジ5にて連結されており、クリップ部2の脚部4を交差させる際に、クリップ部2が漏斗状に撓むのを阻害しないようにしている。プレート部3の中央にはΩ形状のスリットが加工されていて、スリットで囲まれたΩ形タブ部6に後述するタグを係止するように形成されている。
【0017】
結束機に関しては、周知のものであるのでここでは説明を省略するが、一例としては特開H11-278449号公報などに詳述されていて、一対の開閉アームの先端に設けたピンを、結束クリップ1の一対の脚部4のピン穴7へ係合させて結束クリップ1を前方へ送り、袋の口部分を脚部4間の奥へ挿入し、開閉アームを閉じることにより結束クリップ1の一対の脚部4を交差させ、交差部分の中央を上下からかしめ機構で挟んで圧着する。図2に結束状態の結束クリップ1を示す。
【0018】
結束機を用いて結束クリップ1で袋を結束した後に、図3に示すように結束クリップ1のプレート部3のΩ形タブ部6を引き上げて、ここにタグ11を係止する。タグ11の一端部にはΩ形タブ部6の最大幅とほぼ等しい幅のスリット12を形成しておき、このスリット12にΩ形タブ部6をこじ入れれば、タグ11は容易に脱落することがない状態に保持される。
【0019】
袋の口部分にタグ11を取付けることにより、結束した袋を陳列したときに袋の上部にタグ11が位置するので、タグ11の片面或いは両面に商品に関する情報などを印刷しておけば、タグを装着しない商品よりも注目効果が大きく、販売促進に効果的である。図4に包装袋21とタグ11を結束クリップ1で結束した状態を示す。
【0020】
図5は、タグ11の表示の一例を示し、(a)に示すように一面に商品名a及び産地bなどを表示し、他の面には(b)に示すように生産者名c、インターネットアドレスd、電話連絡先e、QRコード(登録商標)fなどの二次元コード或いはバーコードなど種々の情報を記載したり、その他に画像やキャッチコピー、キャンペーン情報など任意の内容を表示したりしてもよいことは言うまでもない。
【実施例2】
【0021】
図6に示す結束クリップ31は、図1の結束クリップ1と同様に結束部分であるクリップ部32の後部にプレート部33が連結された形状となっているが、プレート部33にタグ取付け用のタブ部を設けることに代えて、プレート部33自体を表示領域としたものである。プレート部33には、図6のようにプリンタで予め情報を印刷してもよく、その他の手段としては印刷したシールを貼付してもよい。また、シールよりも長いタグの一端を貼り付けてもよい。
【実施例3】
【0022】
実施例1及び2は、専用の結束クリップにタグを取付けたり、印刷したりするものであるが、ここでは、図7に示す従来型の結束クリップ41(図1の結束クリップの前半部のみのもの)を用いて、袋とタグを結束する方法を説明する。図8は包装用の袋21とタグ51を示し、袋21の上端部にタグ51の一端を貼り付ける。図示のようにタグ51の一端部に接着剤層52を設けておいて接着してもよく、接着剤層などを設けず溶着してもよい。
【0023】
このようにタグ51を貼付けた袋21に商品を投入し、図7の結束クリップ41をセットした結束機によって袋21を結束すれば、図9に示すように、袋21の口部分とともにタグ51が結束クリップ41によって結束され、実施例1とほぼ同様の包装形態となる。
【実施例4】
【0024】
実施例3よりもさらに簡便な方法としては、接着や溶着などの手段を用いないで袋とタグを結束する方法がある。この場合は、商品を投入した袋21の口部分にタグ51を重ねて持ち、その状態で図7の結束クリップ41をセットした結束機によって袋21とタグ51を結束すれば、図9と同様に袋21の口部分にタグ51が固定される。袋21から結束クリップ41を取外して開封するときにタグ51は脱落してしまうが、店頭での宣伝効果のみでよしとするならば、この方法が最も簡単である。
【0025】
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態を示し、結束クリップの平面図。
【図2】図1の結束クリップの結束状態を示す平面図。
【図3】図1の結束クリップにタグを係止した状態の平面図。
【図4】図1の結束クリップで袋とタグを結束した状態の正面図。
【図5】タグの表示例を示し、(a)は正面図、(b)は裏面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、結束クリップの平面図。
【図7】従来の結束クリップを示し、(a)は平面図、(b)は結束状態の平面図である。
【図8】袋へタグを接着する工程の解説図。
【図9】図8の袋とタグを結束した状態の正面図。
【符号の説明】
【0027】
1 結束クリップ
2 クリップ部
3 プレート部
4 脚部
5 ブリッジ
6 Ω形タブ部
7 ピン穴
11 タグ
12 スリット
21 包装袋
31 結束クリップ
32 クリップ部
33 プレート部
41 結束クリップ
51 タグ
52 接着剤層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として合成樹脂製の包装袋を結束するための結束クリップであって、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにおいて、
結束クリップの後部に連なるプレート部を設け、打抜き加工などの手段によって前記プレート部にΩ形或いはT形などのタブ部を形成するとともに、商品名や商品情報などを印刷したタグの一端にスリットを形成し、前記スリットを結束クリップのタブ部へ係合させることにより、タグを保持できるように形成したことを特徴とする結束クリップ。
【請求項2】
主として合成樹脂製の包装袋を結束するための結束クリップであって、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにおいて、
結束クリップの後部に連なるプレート部を設け、前記プレート部に商品名や商品情報などを印刷して表示するか、或いは商品名や商品情報などを印刷したシールまたはタグを貼付できるように形成したことを特徴とする結束クリップ。
【請求項3】
商品名や商品情報などを印刷したタグの端部を合成樹脂製などの包装袋の開口縁部に接着または溶着し、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにて前記包装袋とタグとを結束して、包装袋の口部分にタグを固定することを特徴とする包装袋とタグの結束方法。
【請求項4】
商品名や商品情報などを印刷したタグの端部を合成樹脂製などの包装袋の開口縁部に重ねて持ち、一対の脚部間に袋の口部分を挿入して結束する合成樹脂板製の結束クリップにて前記包装袋とタグとを結束して、包装袋の口部分にタグを固定することを特徴とする包装袋とタグの結束方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−30885(P2007−30885A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212429(P2005−212429)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】