説明

結束機の結束機構

【課題】プリーツ状に絞り込まれた袋口が巻き付け歯車と押え部材の間に噛み込んで、結束機が停止するおそれがある。
【解決手段】包装袋4の袋口4Aを結束する接着テープ6が装備され、絞り込まれた袋口4Aが通過する袋口通過用通路26が形成され、接着テープ6を袋口4Aに結束するための機構を備えた結束機に装備される結束機構であって、袋口通過用通路26を通過する絞り込まれた袋口4Aに接着テープ6を二つ折れに絡み付ける巻き付け歯車10と、巻き付け歯車の歯10Aと係合するノッチ34Aが形成された押え部材32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置により、包装袋に被包装物を充填して開口部を熱シールした後、包装袋の上部をプリーツ状に絞り込んで、接着テープで結束する結束機の結束機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の結束機は、軸支された主軸を中心に回動する一方の爪と、ピンを中心に回動する他方の従動爪とがリンクを介して連結され、この蟹鋏状の袋保持用爪の先端対向部に形成された窪み部により包装袋の袋口を集結点で細く絞り込み、前記袋保持用爪が袋口を挟んで結束機本体の袋口通過用通路側に移動する。
【0003】
前記結束機本体の袋口通過用通路を塞ぐように、巻き付け歯車と、この巻き付け歯車に、バネによって当接する押え部材が袋口通過用通路を境に配置されている。巻き付け歯車と押え部材の間には、感圧性接着テープが挿通され、この感圧性接着テープが接する巻き付け歯車に向けて前記細く絞り込んだ袋口を移動させると、前記袋口が巻き付け歯車を回転させながら、押え部材の付勢力に抗して袋口通過用通路を移動すると、袋口にテープが二つ折になって絡み付く。
【0004】
さらに、感圧性テープが絡み付いた袋口が袋口通過用通路を移動すると、揺動切断部の突部に突き当たるので、この揺動切断部の刃物が袋口通過用通路側に回転して前記袋口に二つ折に絡み付いた感圧性接着テープの後端を刃物で切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−72714号公報
【特許文献2】特開2003−335307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の結束機の結束機構は、蟹鋏状の袋保持用爪により、細く絞り込まれた包装袋の袋口が巻き付け歯車と押え部材の間を通過することで、テープ結束が行われている。通常は、前記のような袋口が通過することにより、遊転した巻き付け歯車の停止位置が図6(A)に示すように、歯10Aと歯10Aの間のV字形の凹部に、後続の絞り込まれた袋口4Aが受け入れられて、巻き付け歯車10がスムースに回転する。
【0007】
ただし、図6(A)に示すように、特許文献1の従来の結束機構では、歯10Aと歯10Aの間の凹部に次の袋口4Aが入り込めるような位置に巻き付け歯車10が停止するとは限らない。即ち、図6(B)に示すように、袋口4Aが歯10Aと歯10Aの凹部に入り込み難い位置に停止し、最悪の場合、袋口4Aが巻き付け歯車10と押え部材32の間に噛み込んで、結束機が停止するおそれがある。そのため、特許文献1の従来の結束機構では、結束の仕上がりが均一になり難いという問題点があった。
【0008】
特許文献2では、結束機構に巻き付け歯車の回転を間欠的に一時停止させる間欠係止部を設けている。この特許文献2の間欠係止部は、支軸で回動可能に軸支されたコの字形の揺動アームの基端部を引っ張りバネを介して基板に固定し、先端側に係止ローラを装着し、この係止ローラが巻き付け歯車側に付勢されて、係止ローラが巻き付け歯車の外周に転動しながら間欠的に回転するように構成されている。
【0009】
しかし、この特許文献2の結束機構は、押え部材以外に、コの字形の揺動アーム、引っ張りバネ、係止ローラ等からなる間欠係止部が必要となって部品点数も多くなり、これを設置するためのスペースも必要となる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、極めて簡単な構成で、それ用の設置スペースも要しない結束機の結束機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、包装袋の袋口を結束する接着テープが装備されると共に、絞り込まれた袋口が通過する袋口通過用通路が形成され、前記接着テープを袋口に結束するための機構を備えた結束機に装備される結束機構であって、前記袋口通過用通路を通過する絞り込まれた袋口に前記接着テープを二つ折れに絡み付ける巻き付け歯車と、前記巻き付け歯車の歯と係合するノッチが形成された押え部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は前記構成により、構造が極めて簡単で、しかも製造が容易で、特別にそのための設置スペースを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の結束機とロータリー型包装装置の配置関係を示す概略平面図
【図2】本発明の結束機の一部を破断した平面図
【図3】本発明の結束機構の作動を説明する説明図
【図4】本発明の押え部材の平面図
【図5】本発明の押え部材の他の実施例の平面図
【図6】従来の結束機構の作動を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図1の本発明の結束機とロータリー型包装装置の配置関係を示す概略平面図、図2の本発明の結束機の一部を破断した平面図を用いて、まず結束機の概要を説明する。
【0014】
図1において、ロータリー型包装装置2に隣接して結束機3が配置されている。前記ロータリー型包装装置2は、45度毎に何らかの包装作業を行うことができ、図1では、包装袋4の袋口4Aがシーラ5によりシールされた後、図示しない受け渡し装置により、ロータリー型包装装置2から結束機3に包装袋4が受け渡される状態を示し、その後、包装袋4の袋口4Aをプリーツ状に絞り込んで、接着テープで結束する。
【0015】
結束機3は、袋口を細く絞り込む一対の爪16,19からなる蟹鋏状の袋保持用爪7と、略台形状のフレーム8に、感圧性接着テープ用リール9や巻き付け歯車10、前記感圧性接着テープ6を切断する揺動切断部11等を装備する結束機本体12とからなる。図1の結束機本体12の下部には搬出コンベア13が配置され、結束された包装袋4がこの搬出コンベア13により搬出される。
【0016】
次に、図1及び図2を用いて袋保持用爪7について説明するが、この袋保持用爪7は従来の袋保持用爪7と基本的には変わりはない。
【0017】
この袋保持用爪7は、略「く」の字形の基板14に軸支された、主軸15を中心に回動する一方の爪16と、副軸17を中心に回動する他方の従動爪19とを備えている。一方の爪16の主軸15と他方の従動爪19の副軸17は、所定の間隔を開けて前記基板14に軸支され、それぞれの爪16,19の後端部側に設けられた扇形歯車20が歯合し、一方の爪16の後端と前記基板14の突起部21との間にエアシリンダ22が連結され、このエアシリンダ22の伸縮により、一方の爪16が主軸15を中心に回動すると、扇形歯車20を介して他方の従動爪19が回動し、両爪16,19により包装袋4の袋口4Aを絞り込んだり、結束した包装袋4を離したりすることができる。
【0018】
この蟹鋏状の袋保持用爪7の先端対向部に形成された窪み部23で包装袋の袋口4Aを集結点24で細く絞り込み、この袋保持用爪7が袋口4Aを挟持して結束機本体12の袋口通過用通路26側に移動する。袋保持用爪7はロッドレスタイプのエアシリンダ27により直線状に移動するが、前記基板14は前記エアシリンダ27のスライドするブロック28に固定され、エアシリンダ27と平行に配置されたガイドロッド29に支持されている。
【0019】
なお、図1では、袋保持用爪7が開いてロータリー型包装装置2から受け渡された包装袋4を絞り込む前の状態と、集結点24で絞り込んだ状態12と、結束機本体で結束して搬出コンベア13に包装袋4を落とす直前の状態の3態様の袋保持用爪7を示し、図2では袋保持用爪7が開いてロータリー型包装装置2から受け渡された包装袋4を絞り込む前の状態と、結束機本体12で結束して搬出コンベア13に包装袋4を落とす直前の状態の2態様の袋保持用爪を示している。
【0020】
結束機本体12は、略台形状のフレーム8の一側縁に沿って袋口通過用通路26が形成されている。この、袋口通過用通路26は外側に開口したスリット30と、このスリット30に連なる略楕円形状の切欠き部31とからなり、この袋口通過用通路26のスリット30の移動行跡と前記袋保持用爪7が袋口4Aを挟持して移動する際の袋口4Aの移動行跡は、同一線上に位置している。
【0021】
前記フレーム8の袋口通過用通路26の入口部に、巻き付け歯車10が遊転可能に軸支されている。この巻き付け歯車10は、袋口通過用通路26にその歯10Aが位置し、絞り込まれた袋口4Aが前記スリット30を通過する際には、前記歯10Aは回転して袋口4Aが前記袋口通過用通路26を通過するのを妨げない。
【0022】
袋口通過用通路26のスリット30をはさんで、前記巻き付け歯車10に対して、押え部材32がバネ33によって付勢されて当接している。図4に示すように、この押え部材32は、前記巻き付け歯車10に面する側の擦動面に、巻き付け歯車10の外周縁と同じ曲率半径の円弧状部34を備え、さらに、その先端内周部に歯10Aの先端形状に添うような切り欠き(ノッチ)34Aが形成され、押え部材32と巻き付け歯車10の歯10Aとが係合する。
【0023】
押え部材32の後端部には軸孔32Aが形成され、フレーム8に設けたピン18に前記軸孔32Aが嵌まり込んで、押え部材32が回動可能に軸支されている。押え部材32の後端部の外周部には台形状の突部32Bが形成され、バネ33の一端を引っ掛けるためのピン33Cが取り付けられている。
【0024】
上記構成の巻き付け歯車10と、押え部材32からなる結束機構の作動について、図3を用いて説明する。図3(A)は袋保持用爪7により絞り込まれた袋口4Aが袋口通過用通路26を通過するために、巻き付け歯車10の直前に来た状態を示している。押え部材32のノッチ34Aとバネ33の作用により、巻き付け歯車10が位置決めされ、歯10Aと歯10Aの間のV字形の凹部が袋口通過用通路26側に開口する位置に停止し、袋口4Aが凹部に受け入れられる状態が示されている。
【0025】
図3(B)は、巻き付け歯車10が袋口4Aにより回転して袋口4Aの通過を許容し、バネ33の付勢力に抗して押え部材32を時計方向に回転している状態を示している。図3(B)では図示していないが、感圧性接着テープ6が巻き付け歯車10の左上方から、巻き付け歯車10と前記円弧状部34に間に導かれ、バネ33によって押さえ付けられている。このため、前記袋口通過用通路26を通過する絞り込まれた袋口4Aに感圧性接着テープ9が二つ折れに絡み付く。後述するように、この感圧性接着テープ9は揺動切断部11で切断される。
【0026】
図3(C)で示すように、先の袋口4Aが通過すると、押え部材32はバネ33により反時計方向に回転して、円弧状部34が歯10Aの先端に当接する。図3(C)のような状態のままであると、袋口通過用通路26側に歯10Aが突き出て、前記従来の結束機構と同様な不都合が生じるが〔(図5(B)〕、本発明ではバネ33による押え部材32の反時計方向への付勢力により、巻き付け歯車10Aを反時計方向に逆回転させるか、巻き付け歯車10Aを時計方向に回転させ、図3(D)に示すように、次の袋口4Aが歯10Aと歯10Aの間の凹部に受け入れやすいように、巻き付け歯車10を位置決めする。
【0027】
袋口通過用通路26の中間の位置に、感圧接着テープ6を切断するための揺動切断部11が設けられている。この揺動切断部11はピン35を中心にして揺動し、常時はバネ36により付勢されて突部39が袋口通過用通路26を塞いでいるが、細く絞り込まれた袋口4Aが袋口通過用通路26を通過する時に、前記突部39に突き当たって揺動切断部11の刃物37を袋口通過用通路26側に回転して袋口に巻き付いた感圧性接着テープ6の後端部を切断する。
【0028】
巻き付け歯車10が設けられたフレーム8のコーナ部と対称のコーナ部に、感圧性接着テープ用のリール9が取り付けられるよう構成されている。このリール9から引き出された感圧性接着テープ6はローラ40で案内されながら途中に設けられたヒータ38に接触して熱せられた後、前記のように巻き付け歯車10と押え部材32とで挟み込まれている。
【0029】
前記実施例では、押え部材32をコイル状の引っ張りバネ33によって付勢しているが、引っ張りバネ33に代わって、図5に示すような、ねじりコイルバネ41を用いてもよい。このような、ねじりコイルバネ41を用いれば、さらに、設置スペースを小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、袋口をシールした包装袋の上部をプリーツ状に絞り込んで、接着テープで結束する結束機の結束機構に有用である。
【符号の説明】
【0031】
2 ロータリー型包装装置
3 結束機
4 包装袋
4A 袋口
6 感圧性接着テープ
7 袋保持用爪
8 フレーム
10 巻き付け歯車
10A 歯車
11 揺動切断部
12 結束機本体
14 基板
16 一方の爪
18 ピン
19 他方の従動爪
20 扇形歯車
22 エアシリンダ
23 窪み部
24 集結点
26 袋口通過用通路
27 エアシリンダ
30 スリット
31 切り欠き部
32 押え部材
32A 軸孔
33 バネ
34 円弧状部
34A ノッチ
38 ヒータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の袋口を結束する接着テープが装備されると共に、絞り込まれた袋口が通過する袋口通過用通路が形成され、前記接着テープを袋口に結束するための機構を備えた結束機に装備される結束機構であって、
前記袋口通過用通路を通過する絞り込まれた袋口に前記接着テープを二つ折れに絡み付ける、巻き付け歯車と、前記巻き付け歯車の歯と係合するノッチが形成された押え部材と、を備えたことを特徴とする結束機の結束機構。
【請求項2】
押え部材のノッチは、押え部材の先端内周部に、巻き付け歯車の歯の先端形状に添うように形成されたことを特徴とする請求講1に記載の結束機の結束機構。
【請求項3】
前記巻き付け歯車に面する側の擦動面に円弧状部が形成され、ノッチは円弧状部に引き続いて、押え部材の先端内周部に形成されたことを特徴とする請求講2に記載の結束機の結束機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225231(P2011−225231A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94925(P2010−94925)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 〔博覧会名〕 2009日本国際包装機会展(ジャパンパック2009) 〔主催者名〕 社団法人 日本包装機械工業会 〔開催日〕 平成21年10月20日(火)〜23日(金) 4日間
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】