説明

結球野菜収穫機の結球部刈取装置

【課題】収穫対象の結球野菜の外葉の絡みつきを回避して、茎部の切断と中継コンベヤへの排出をスムーズに処理して作業能率を向上することができる結球野菜収穫機の結球部刈取装置を提供する。
【解決手段】結球野菜収穫機の結球部刈取装置3は、結球野菜の結球部Aを機体の移動過程で一定位置に保持する定置保持手段6と、保持されている結球部Aの直下位置に作用する切断手段7とから構成され、上記定置保持手段6は、無端ベルト21を周回動作可能に支持した2つの無端ベルト機構22を対向してその相互対向部分に結球部Aを導入可能に配置するとともに、導入された結球部Aを保持可能に弾発力を作用するベルト弾接機構27を設け、これら2つの無端ベルト機構22による結球部Aの保持範囲の始端部および後端部を除く範囲内の下方位置に上記切断手段7の切断作用部41,42を配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャベツ等の結球野菜の結球部を走行収穫する結球野菜収穫機の結球部刈取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャベツ、レタス、ハクサイ等の結球野菜の結球部を走行下で収穫する結球野菜収穫機が知られている。例えば、特許文献1に記載のものは、圃場走行可能な走行部の前部に結球部刈取装置を上下動作可能に備え、この結球部刈取装置によって圃場から結球野菜の結球部を刈取り、次いで連係動作する走行部側の中継コンベヤ、排出コンベヤを介して後部連結の集積車に収容するように構成されている。
【0003】
上記結球部刈取装置は、分草杆に続くガイドロッドによって機体の移動過程で結球部を一定位置に保持する定置保持手段と回転カッタによる切断手段とから構成され、結球部を取り巻く大きな外葉を圃場側に残留して結球部を刈取るように分草杆の高さを設定する。刈取りの際は、分草杆が機体の走行により結球部と外葉とを上下に分けるようにして植付け条間を前進すると、続いて前進移動するガイドロッドに沿ってガイドされるように結球部が茎部を圃場に植立したまま定置保持され、次いで回転カッタが結球部の下を通過することによって茎部が切断される。切断後は、結球部が玉突き状態で中継コンベヤに順送りされることにより、圃場から結球部を順次刈取って収穫することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、収穫対象の結球野菜は、植付け位置や生育状態のバラツキがあり、中には倒れたり、品種によっては茎が細くて折れ曲がっているものがあることから、刈取りの際は、結球部を取り巻く大きな外葉の巻き込みが避けられず、ガイドロッドによって結球部を定置保持しても、周囲にまつわりつく外葉によって保持姿勢が一定にならないので、茎部の正確な切断が確保できないことに加え、外葉のカットのための外葉受を回転カッタに設けても絡み付きによって切断障害を起こすことがあり、さらに、茎部切断後の結球部は先行の結球部に追突状態となることから、回転カッタから結球部を案内するようにスライドガイド板を設けても周囲に散乱する大量の外葉片が障害となって結球部の滞留を招くことがあり、このような事態に陥った場合は、障害のもとになる外葉の絡みつきを取り除いてカッタによる切断と中継コンベヤへの排出を回復するために刈取作業の中断を余儀なくされ、作業能率の低下を招くことから、圃場における生育タイミングに合わせた集中収穫計画に狂いを生じ、出荷品質のみならず、作業機器の運用を含む大きな問題となっていた。
【0006】
本発明の目的は、収穫対象の結球野菜が植付け位置や生育状態のバラツキが激しくても、外葉の絡みつきを回避して、茎部の切断と中継コンベヤへの排出をスムーズに処理して作業能率を向上することができる結球野菜収穫機の結球部刈取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、圃場に植生された結球野菜の結球部を機体の移動過程で一定位置に保持する定置保持手段と、この定置保持手段に保持されている結球部の直下位置に臨んで茎部から切り分ける切断手段とからなる結球野菜収穫機の結球部刈取装置において、上記定置保持手段は、無端ベルトを周回動作可能に支持した2つの無端ベルト機構を対向してその相互対向部分に結球部を導入可能に配置するとともに、導入された結球部を保持可能に弾発力を作用するベルト弾接機構を設け、これら2つの無端ベルト機構による結球部の保持範囲の始端部および後端部を除く範囲内の下方位置に上記切断手段の切断作用部を配置してなることを特徴とする。
【0008】
上記結球部刈取装置は、ベルト弾接機構によって両無端ベルトの対向部分について弾発力が作用することから、対向配置の2つの無端ベルト機構の間に結球部が導入されると、結球部は、付帯導入された外葉とともに周回動作可能な対向部によって定置保持され、その間の切断手段の通過によって結球部が茎部側から切り分けられ、その切断作用部の通過の後も保持範囲の終端に至るまで継続して保持される。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を周回方向に延びる弾性条材による横長突条を並列状に備えたことを特徴とする。
並列配置の横長突条により、結球部の縦ズレを抑える圧接保持部が形成される。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を横断方向に延びる弾性条材による縦長突条を並列状に備えたことを特徴とする。
並列配置の縦長突条によって結球部の横ズレを抑える圧接移送部が形成される。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1の構成において、前記ベルト弾接機構は、無端ベルト機構のそれぞれの無端ベルトの内周面側から相対する方向に弾発力を作用する弾接ローラによって構成したことを特徴とする。
対向配置のそれぞれの無端ベルト機構は、弾接ローラによる弾接機構を備えた一体のユニットとしての取扱いができる。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1の構成において、前記切断手段は、回転駆動力を受ける主回転刃と、その片面に接して従動回転可能な副回転刃とからなることを特徴とする。
従動回転動作する副回転刃によって対向回転型カッタを構成することができる。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1の構成において、前記無端ベルト機構は、機体幅方向に位置調節可能に支持したことを特徴とする。
無端ベルト機構を機体幅方向に位置調節することにより、結球部の案内幅を変更することができる。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1の構成において、前記切断手段は、切断作用部をカッター伝動機構によって懸架支持するとともに、同切断作用部を上下移動可能にカッター伝動機構を軸支したことを特徴とする。
軸支したカッター伝動機構の回動により、切断作用部が上下に位置変更可能に懸架支持される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の結球部刈取装置は、弾接機構付きの無端ベルト機構により、導入された結球部を外葉とともに所定の保持範囲について安定姿勢で定置保持することができることから、外葉の散開が抑えられて切断手段が確実に機能して茎部を圃場に植立したまま切断でき、また、切断後においては、結球部が外葉とともに切断作用部を越える範囲について継続して保持されることから、その下方に中継コンベヤを配置することにより、滞留を招くことなく外葉とともに結球部を確実に中継コンベヤに渡すことができ、円滑な排出による能率の良い収穫走行が可能となる。
【0016】
請求項2の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、並列配置の横長突条により、結球部の縦ズレを抑える圧接保持部が形成されるので、外葉の散開を抑えつつ、対向面における結球部の縦ズレが抑えられて保持高さを確保できる。
【0017】
請求項3の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、並列配置の縦長突条によって結球部の横ズレを抑える圧接移送部が形成されることから、前方からの確実な取り込みと後方への確実な送り出しが可能となる。
【0018】
請求項4の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、無端ベルト機構に弾接ローラを一体に備えたユニットとして個々に構成することができるので、対向配置の無端ベルト機構の対向距離設定の簡易な操作により、幅広い種別の結球野菜について適用することができる。
【0019】
請求項5の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、簡易な副回転刃による対向回転型カッタにより、簡易な構成で安定切断が可能となる。
【0020】
請求項6の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、無端ベルト機構を機体幅方向に位置調節することにより、結球部の案内幅を変更することができるので、幅広いサイズの結球部について対応することができる。
【0021】
請求項7の結球部刈取装置は、請求項1の効果に加え、軸支したカッター伝動機構の回動により、切断作用部が上下に位置変更可能に懸架支持されることから、結球部を案内保持する定置保持手段の高さ位置によることなく、圃場や結球野菜の状況に対応して茎部の切断位置を変更して走行収穫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の結球部刈取装置を装荷した結球野菜収穫機の側面図
【図2】結球部刈取装置の要部の平面図
【図3】結球部刈取装置の要部の部分破断による側面図
【図4】無端ベルトの部分拡大側面図(a)とその横断面図(b)
【図5】カッターの切断作用部の斜視図
【図6】切断手段の伝動機構の要部拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の結球部刈取装置を適用した結球野菜収穫機の側面図である。
結球野菜収穫機1は、クローラ等によって圃場走行動作Fが可能な走行部2の前部に2条刈の結球部刈取装置3を上下動作可能に備え、この結球部刈取装置3により2条分の結球野菜の結球部Aを圃場から刈取り、次いで吊りリンク4a等によって走行部フレームに支持した中継コンベヤ4、排出コンベヤ5の連係動作により、後部連結の集積車(不図示)に収容するように構成される。
【0024】
結球部刈取装置3は、結球部Aを走行部2の走行過程で圃場の植生位置で僅かに引き上げつつ保持する定置保持手段6と、この定置保持手段6によって保持されている結球部Aの直下位置に臨んで茎部Bの位置で切り分ける切断作用部を有する切断手段7とを1条セットとし、その2条分を平行配置して吊枠8によって上下動作可能に構成するとともに、前端部の畝間位置に分草ロッド付き支持輪9…を設けて所定の地上高で刈取り可能に構成する。
【0025】
吊枠8は吊り高さ設定を変更するための調節部8a,8bを備え、その後部は、走行部2の前部に設けた車幅方向軸線を有する伝動支軸10に軸支して後方延出部8cに油圧シリンダ11を連結することにより、移動走行に必要な高さまで結球部刈取装置3を吊り上げ可能に構成する。
【0026】
結球部刈取装置3には油圧モータ13を設けて定置保持手段6の動力を供給する。また、切断手段7に動力を供給するために、走行部2側の伝動支軸10にエンジン動力を受ける伝動軸(不図示)を同心に設け、その回転動力を受けるカッター伝動軸12と車幅方向軸線について揺動可能な伝動ケース12aとからなるカッター伝動機構を中継コンベヤ4の外側部から定置保持手段6の下方に延出して各切断手段7の切断作用部を駆動するとともに高さ変更可能に懸架支持し、懸架高さ調節のために支持輪15とハンドル16a付きの高さ調節機構16を付設する。
【0027】
結球部刈取装置3について詳細に説明すると、その要部平面図および部分破断による側面図をそれぞれ図2、図3に示すように、定置保持手段6は、無端ベルト21を周回動作可能に構成した2つの無端ベルト機構22,22を対向配置して結球部Aを対向部に保持可能に構成する。
【0028】
対向配置のそれぞれの無端ベルト機構22は、フレーム23の両端に取付けた駆動ローラ24と従動ローラ25とによって無端ベルト21を周回動作可能に張設し、この無端ベルト21の内周面側から外方に弾発力を作用して結球部Aを弾性保持するためのベルト弾接機構として張り側の周回方向の2箇所に弾接ローラ27,27をを設け、これら弾接ローラ27,27はそれぞれ支持アーム27a,27aを介してフレーム23に軸支するとともに、同無端ベルト21の弛み側に作用するテンションローラ28を同様に支持アーム28aを介してフレーム23に軸支して一体のユニットとして構成する。弾接ローラ27、テンションローラ28は、それぞれ、支持アーム27a,28aに作用するスプリング27b,28bによる弾発力を調節可能に構成する。
【0029】
無端ベルト21は、外周面の部分拡大図(a)および、その断面図(b)を図4に示すように、外周面21aを周回方向に延びるスポンジ等の軟質弾性条材31,31による横長突条を並列配置して結球部の圧接保持部を形成する。この圧接保持部を結球部Aの最大径の高さ位置に合わせることにより、結球野菜を圃場から引き抜くことなく、保持した結球部Aの縦ズレを抑えた僅かな引き上げにより、保持高さを確保しつつ姿勢を正立化することができる。
【0030】
また、無端ベルト21の外周面21aを横断方向に延びる軟質弾性条材31,31による縦長突条(不図示)を並列配置して結球部の圧接移送部を形成する。この圧接移送部により、保持した結球部Aの横ズレが抑えられて後方への送り出しを確保できる。なお、無端ベルト21の内周面21bには、駆動ローラ24の回転力を伝達するラック条32,32を形成する。
【0031】
各無端ベルト機構22,22は、それぞれの張り側を互いに対向し、刈取導入側に従動ローラ25を配置し、この従動ローラ25側を吊枠8に対して機体幅方向に位置調節可能にボルト固定し、また、刈取排出側に駆動ローラ24を配置し、この駆動ローラ24を吊枠8に支持したギヤボックス26を介して油圧モータ13と連結するスプライン軸による横断伝動軸26aと連結する。両従動ローラ25,25の間隔Cは両駆動ローラ24,24の間隔Dより広く設定して結球部Aの導入幅に余裕をもたせるとともに、排出側の保持範囲を確保する。また、ギヤボックス26を機体幅方向に位置変更して両無端ベルト機構22,22間の距離を調節することにより、結球部Aのサイズに幅広く適合することができる。
【0032】
切断作用部は、その斜視図を図5に示すように、大径の主回転刃41と、この主回転刃41に一部を接して従動回転する副回転刃42とにより対向回転型の切断作用部を構成し、対向配置の2つの無端ベルト機構22,22の下方位置に個別に軸支し、その軸支位置は、結球部Aの保持範囲の始端部と後端部を除く範囲内に切断作用部の前端縁から後端縁までが収まるように配置し、主回転刃41にカッター伝動軸12から動力を受けることにより、安定した定位置切断を可能とする対向回転刃による切断作用部を定置保持手段6の保持範囲内に構成する。
【0033】
切断手段7の伝動機構は、図6の要部拡大平面図に示すように、切断作用部である主回転刃41をカッター伝動軸12と連結して駆動するとともに、同主回転刃41を伝動ケース12aによって懸架支持し、この伝動ケース12aの側方の支持輪15は屈曲フレーム51を介して一体に配置する。
【0034】
高さ調節機構16は、支持輪15の後部に上下動作可能に案内筒を設け、操縦席に延びるハンドル16aの回動操作によって屈曲フレーム51の対地高さを随時調節可能なスクリュー式スライド機構によって構成するとともに、屈曲フレーム51との接続部にピン固定式のスライド調節部51aを設けることにより、切断作用部の設定高さを変更可能に構成する。
【0035】
上記切断手段7を定置保持手段6の下方に備えることによって1条分の刈取り機能を有するユニットが構成され、他の1条分のユニットを畝間距離を離して左右対称に配置することにより、2条刈り用の結球部刈取装置3を構成する。また、定置保持手段6は、刈取りの際に前下がりに僅かに傾斜した姿勢に設定する。
【0036】
上述の構成による結球部刈取装置は、中継コンベヤ、排出コンベヤ等を備えて圃場走行可能な走行部の前方に上下動作可能に装荷することにより、収穫対象の結球野菜の植付け位置や生育状態のバラツキが激しい場合でも、以下に述べるように、外葉の絡みつきを回避して、茎部の切断と中継コンベヤへの排出をスムーズに処理して刈取作業能率を向上することができる。
【0037】
すなわち、結球部刈取装置は、無端ベルトを周回動作可能に支持した無端ベルト機構を2つ対向してその相互対向部分に結球部を導入可能に配置するとともに、導入された結球部を保持可能に弾発力を作用するベルト弾接機構を設けて定置保持手段を構成したことから、ベルト弾接機構によって両無端ベルトの対向部分について弾発力が作用し、2つの無端ベルト機構の間に結球部が導入されると、結球部は、付帯的に導入される外葉とともに周回動作可能な対向部によって一体に定置保持される。
【0038】
また、2つの無端ベルト機構からなる定置保持手段による結球部の保持範囲の始端部および後端部を除く範囲内の下方位置に切断手段の切断作用部を配置したことから、定置保持手段によって結球部が保持されている過程において切断手段が通過することにより結球部が茎部側から切り分けられ、その切断作用部の通過の後も保持範囲の終端に至るまで結球部が継続して保持される。
【0039】
このように、ベルト弾接機構付きの無端ベルト機構は、導入された結球部を外葉とともに所定の保持範囲について安定姿勢で定置保持することができることから、外葉の散開が抑えられて切断手段が確実に機能し、また、切断後においては、結球部が外葉とともに切断作用部を越える範囲について継続して保持されることから、その下方に中継コンベヤを配置することにより、滞留を招くことなく外葉とともに結球部を確実に中継コンベヤに渡すことができ、円滑な排出による能率の良い走行収穫が可能となる。
【0040】
このようにして外葉付きで能率良く収穫された結球部は、分草ロッドによる引起こしから定置保持手段、中継コンベヤ、排出コンベヤ、集積車に至る行程、および、集積車による回送、その後の外葉切除機への排出の各行程において、周囲にまとった外葉がクッションとなって結球部が保護されることから、結球部の製品品質を確保しつつ、各行程の高速処理化を図ることができるので、所望の出荷タイミングに合わせた計画通りの集中収穫により、出荷品質および作業機器の計画運用を確保することができる。
【0041】
その他の技術的な特長点をまとめると、以下のとおりである。
第1に、無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を周回方向に延びる弾性条材による横長突条を並列状に備えることにより、結球部の縦ズレを抑える圧接保持部が形成されるので、外葉の散開を抑えつつ、対向面における結球部の縦ズレが抑えられて保持高さを確保できる。
【0042】
第2に、無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を横断方向に延びる弾性条材による縦長突条を並列状に備えることにより、並列配置の縦長突条によって結球部の横ズレを抑える圧接移送部が形成されることから、前方からの確実な取り込みと後方への確実な送り出しが可能となる。
【0043】
第3に、ベルト弾接機構は、無端ベルト機構のそれぞれの無端ベルトの内周面側から相対する方向に弾発力を作用する弾接ローラによって構成したことにより、ベルト弾接機構を一体に備えたユニットとしてそれぞれの無端ベルト機構を個々に構成することができるので、対向距離の設定操作が簡易化され、幅広い種別の結球野菜について適用することができる上に、散開した外葉を排除するためのメンテナンスが容易となる。
【0044】
第4に、切断手段は、回転駆動力を受ける主回転刃と、その片面に接して従動回転可能な副回転刃とから構成したことから、簡易な連れ回りの構成の対向回転刃により、両刃先の交叉位置において、茎部を散開状外葉とともに安定して切断することができる。
【0045】
第5に、無端ベルト機構は、機体幅方向に位置調節可能に支持することにより、無端ベルト機構を機体幅方向に位置調節して結球部の案内幅を変更することができるので、幅広いサイズの結球部について対応することができる。
【0046】
第6に、切断手段は、切断作用部をカッター伝動機構によって懸架支持するとともに、同切断作用部を上下移動可能にカッター伝動機構を軸支したことから、切断作用部が上下に位置変更可能に懸架支持されるので、結球部を案内保持する定置保持手段の高さ位置によることなく、圃場や結球野菜の状況に対応して茎部の切断位置を変更して走行収穫することができる。
【0047】
なお、上記実施形態の結球部刈取装置は、定置保持手段に切断手段を備えた単一のユニットのみで構成することにより1条刈とし、または、複数のユニットを畝間距離をとって平行配置することにより必要な刈取条数の複数条刈として構成できることが明らかであり、また、乗用型、歩行型の機体構成を問わず、適用できることが明らかなことから、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0048】
2 走行部
3 結球部刈取装置
6 定置保持手段
7 切断手段
8 吊枠
10 伝動支軸
12 カッター伝動軸(カッター伝動機構)
12a カッター伝動ケース(カッター伝動機構)
21 無端ベルト
21a 外周面
22 無端ベルト機構
23 フレーム
24 駆動ローラ
25 従動ローラ
27 弾接ローラ(ベルト弾接機構)
31 弾性条材(横長突条、縦長突条)
41 主回転刃(切断作用部)
42 副回転刃(切断作用部)
A 結球部
B 茎部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に植生された結球野菜の結球部を機体の移動過程で一定位置に保持する定置保持手段と、この定置保持手段に保持されている結球部の直下位置に臨んで茎部から切り分ける切断手段とからなる結球野菜収穫機の結球部刈取装置において、
上記定置保持手段は、無端ベルトを周回動作可能に支持した2つの無端ベルト機構を対向してその相互対向部分に結球部を導入可能に配置するとともに、導入された結球部を保持可能に弾発力を作用するベルト弾接機構を設け、これら2つの無端ベルト機構による結球部の保持範囲の始端部および後端部を除く範囲内の下方位置に上記切断手段の切断作用部を配置してなることを特徴とする結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
【請求項2】
前記無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を周回方向に延びる弾性条材による横長突条を並列状に備えたことを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
並列配置の横長突条により、結球部の圧接保持部を形成した
【請求項3】
前記無端ベルト機構は、無端ベルトの外周面を横断方向に延びる弾性条材による縦長突条を並列状に備えたことを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
並列配置の縦長突条により、結球部の圧接移送部を形成した
【請求項4】
前記ベルト弾接機構は、無端ベルト機構のそれぞれの無端ベルトの内周面側から相対する方向に弾発力を作用する弾接ローラによって構成したことを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
【請求項5】
前記切断手段は、回転駆動力を受ける主回転刃と、その片面に接して従動回転可能な副回転刃とからなることを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
【請求項6】
前記無端ベルト機構は、機体幅方向に位置調節可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。
【請求項7】
前記切断手段は、切断作用部をカッター伝動機構によって懸架支持するとともに、同切断作用部を上下移動可能にカッター伝動機構を軸支したことを特徴とする請求項1記載の結球野菜収穫機の結球部刈取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−268763(P2010−268763A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125239(P2009−125239)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(000113816)マメトラ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】