説明

結球野菜収穫機

【課題】結球野菜収穫機1において、走行機体2が低速で走行する際に、駆動カッター61が低速回転して結球野菜Aの切断面が乱れる不具合をなくせるようにする。
【解決手段】本願発明の結球野菜収穫機1は、走行機体2の前方で結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13と、前記収穫作業部13にて搬送している結球野菜Aの根茎部A2を切断する駆動カッター61と、前記駆動カッター61を前記走行機体2の車速に同調させずに独立して回転駆動させる回転アクチュエータ64と、を備える。この場合、前記走行機体2の車速の速い遅いに拘らず、前記駆動カッター61は前記回転アクチュエータ64にて高速回転でき、前記結球野菜Aの切断面が乱れる切断不良をなくせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばキャベツ、レタス及びハクサイ等の結球野菜を収穫する結球野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、結球野菜収穫機において、結球野菜を引き抜いてから根茎部を回転カッターにて切断して結球部を後方に搬送し、調製後にコンテナに収容する技術は公知となっている(例えば特許文献1及び2等参照)。この種の結球野菜収穫機では、引き抜いた結球野菜の根茎部を切断する際に、回転カッターの回転速度を走行機体の車速に同調させて、結球野菜の搬送及び根茎部の切断をスムーズに実行し、搬送途中での詰り防止や収穫作業の高速化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−352816号公報
【特許文献2】特開2002−65026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の構成では、回転カッターの回転速度を走行機体の車速に同調させるため、走行機体が低速で走行する際は、回転カッターが低速回転して結球野菜の切断面が乱れ、切断不良を引き起こすというおそれを孕んでいた。
【0005】
そこで、本願発明は、上記の問題を解消した結球野菜収穫機を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る結球野菜収穫機は、走行機体の前方で結球野菜を引き抜いて後方に搬送する収穫作業部と、前記収穫作業部にて搬送している結球野菜の根茎部を切断する駆動カッターと、前記駆動カッターを前記走行機体の車速に同調させずに独立して回転駆動させる回転アクチュエータと、を備えているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した結球野菜収穫機において、前記収穫作業部による結球野菜の搬送方向に対して直交する方向に、前記駆動カッターを前記回転アクチュエータと共に昇降動させる昇降アクチュエータと、前記昇降アクチュエータによる前記駆動カッターの昇降量を調節操作する昇降操作具と、を更に備えているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した結球野菜収穫機において、前記昇降操作具は、前記走行機体に搭載された操縦部の後部側に配置されているというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載した結球野菜収穫機において、前記駆動カッターに一部を重ねた横並びの状態で配置され、前記駆動カッターと一体的に昇降動する従動カッター、を更に備えているというものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のうちいずれかに記載した結球野菜収穫機において、前記収穫作業部は、結球野菜を引き抜きその結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置と、根茎部切断後の前記結球部を前記引抜き搬送装置から受け継いで後ろ斜め上方に搬送する持上げ装置とに分離構成されており、前記持上げ装置は前記走行機体上に位置固定的に設けられ、前記引抜き搬送装置は前記走行機体の前部に昇降動可能に装着されているというものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した結球野菜収穫機において、前記引抜き搬送装置と前記持上げ装置とのなす夾角を鈍角に設定しているというものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、走行機体の前方で結球野菜を引き抜いて後方に搬送する収穫作業部と、前記収穫作業部にて搬送している結球野菜の根茎部を切断する駆動カッターと、前記駆動カッターを前記走行機体の車速に同調させずに独立して回転駆動させる回転アクチュエータと、を備えているから、例えば前記走行機体の車速の速い遅いに拘らず、前記駆動カッターは前記回転アクチュエータにて高速回転できる。このため、搬送途中での詰り防止や収穫作業の高速化を図りつつ、前記結球野菜の切断面が乱れる切断不良をもなくせるという効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によると、前記収穫作業部による結球野菜の搬送方向に対して直交する方向に、前記駆動カッターを前記回転アクチュエータと共に昇降動させる昇降アクチュエータと、前記昇降アクチュエータによる前記駆動カッターの昇降量を調節操作する昇降操作具と、を更に備えているから、前記結球野菜の大きさ、形状及び栽培状況等に合わせて、前記結球野菜に対する前記駆動カッターの切断高さ位置を手軽に変更でき、仕上がりを作業者の好みや取引業者の要望に沿うものにして、前記結球野菜の商品価値を高い状態に維持できるという効果を奏する。
【0014】
しかも、請求項3の発明によると、前記昇降操作具は、前記走行機体に搭載された操縦部の後部側に配置されているから、前記操縦部にいる作業者からも、前記走行機体上にいる作業者からも、前記昇降操作具を手軽に操作できる。特に前記走行機体上の作業者は、前記結球野菜の切断面を観察しながら、前記駆動カッターの切断高さ位置を容易に調節できるのである。
【0015】
請求項4の発明によると、前記駆動カッターに一部を重ねた横並びの状態で配置され、前記駆動カッターと一体的に昇降動する従動カッター、を更に備えているから、前記従動カッターにて前記駆動カッターの外周側(刃先側)を受けることが可能であり、前記駆動カッターの外周側(刃先側)の振れ止めにできる。従って、前記駆動カッターの切断高さ位置を一定にして切断面を均一にできる。
【0016】
請求項5の発明によると、前記収穫作業部は、結球野菜を引き抜きその結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置と、根茎部切断後の前記結球部を前記引抜き搬送装置から受け継いで後ろ斜め上方に搬送する持上げ装置とに分離構成されており、前記持上げ装置は前記走行機体上に位置固定的に設けられ、前記引抜き搬送装置は前記走行機体の前部に昇降動可能に装着されているから、前記引抜き搬送装置を昇降動させる機構の小型化が可能になり、部品コストの低減を図れる。
【0017】
その上、請求項6の発明によると、前記引抜き搬送装置と前記持上げ装置とのなす夾角を鈍角に設定しているから、前記引抜き搬送装置をできるだけ圃場近くに寝かせることになり、圃場の結球野菜を丁寧に引き抜きし易くなる。このため、結球野菜に傷を付けるおそれを少なくでき、商品価値向上に寄与できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】結球野菜収穫機の全体側面図である。
【図2】結球野菜収穫機の全体平面図である。
【図3】補助作業台を折り畳んだ状態での結球野菜収穫機の全体平面図である。
【図4】動力伝達系統のスケルトン図である。
【図5】駆動カッター及び従動カッターの拡大正面図である。
【図6】結球野菜収穫機の油圧回路図である。
【図7】コントローラの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体2の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0020】
まず、図1−図3を参照しながら、結球野菜収穫機1の概略構造について説明する。実施形態の結球野菜収穫機1は、走行部としての左右一対の走行クローラ3にて支持された走行機体2を備えている。走行機体2の前部右側に操縦部4が設けられている。操縦部4は、操縦コラム4a、サイドコラム4b及び操縦座席4cを有している。操縦コラム4aには、走行機体2の旋回方向及び旋回速度を変更操作する操向ハンドル5が設けられている。サイドコラム4bには、走行機体2の変速操作を行う主変速レバー6、副変速レバー7、後述する引抜き搬送装置14を昇降操作する引抜き昇降レバー(図示省略)、作業クラッチレバー8、後述する駆動カッター61の回転速度を調節操作する速度調節レバー9、同じく駆動カッター61の昇降量を調節操作する昇降操作具としてのカッター昇降レバー10等が設けられている。実施形態のカッター昇降レバー10は、操縦部4の後部側、具体的にはサイドコラム4bの後部側に配置されている。操縦座席4cの下方には動力源としてのエンジン11が搭載されている。エンジン11の前方で且つ左右走行クローラ3の間には、エンジン11からの動力を適宜変速して左右両走行クローラ3に伝達するためのミッションケース12が配置されている。
【0021】
操縦部4の左側には、キャベツ等の結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13が配置されている。実施形態の収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜きその結球部A1を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置14と、根茎部A2切断後の結球部A1を引抜き搬送装置14から受け継いで後ろ斜め上方に搬送する持上げ装置15とに分離構成されている。引抜き搬送装置14は、前端側に位置する左右一対の掻込みホイール16L,16Rと、左右一対の根茎搬送体17L,17Rと、根茎搬送体17L,17Rの上方に前低後高に傾斜して設けられた左右一対の縦搬送ベルト18L,18Rとを有している。側面視で縦搬送ベルト18L,18Rと根茎搬送体17L,17Rの間に、搬送中の結球野菜Aの根茎部A2を切断する切断装置19が配置されている。
【0022】
掻込みホイール16L,16Rは、外周を平面視で凹凸波形の花弁状にした円盤型に形成され、且つ、側面視で半径中心側が外周側より高くなるように形成されている。掻込みホイール16L,16Rは前低後高に傾斜して設けられている。互いに対向する掻込みホイール16L,16Rを内向きに回転させることによって、圃場における結球野菜Aの根茎部A2は中央側に掻き込まれ(引き込まれ)、根茎搬送体17L,17Rの始端側に誘導される。
【0023】
根茎搬送体17L,17Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの根茎部A2を左右から挟持して当該根茎部A2を切断装置19に向けて案内するものである。根茎搬送体17L,17Rも前低後高に傾斜して設けられている。縦搬送ベルト18L,18Rは、互いに内向きに周回駆動することによって、結球野菜Aの結球部A1を左右から挟持して状態で後ろ斜め上方に搬送するものであり、側面視で根茎搬送体17L,17Rと平行状に配置されている。従って、縦搬送ベルト18L,18Rも、根茎搬送体17L,17Rと同様に、前低後高に傾斜して設けられている。
【0024】
引抜き搬送装置14及び切断装置19等を支持する左右一対の前部フレーム20L,20Rは、後端側を回動支点にして、走行機体2の前部左側に固着された支持台21に昇降回動可能に軸支されている。そして、走行機体2と前部フレーム20L,20Rとの間には単動式の油圧シリンダ22が介装されている。油圧シリンダ22の伸縮動によって、引抜き搬送装置14の傾斜角度を変更したり引抜き搬送装置14を持ち上げたりできる。なお、前部フレーム20L,20Rの前部下面側には、圃場における結球野菜Aの根茎部A2に掻込みホイール16L,16Rを位置合わせするための左右一対の橇体23が設けられている。
【0025】
引抜き搬送装置14の後端側に配置された持上げ装置15はベルトコンベヤ式のものであり、引抜き搬送装置14よりも後ろ斜め上方に立ち上がりぎみに傾斜した状態で走行機体2上に位置固定的に設けられている。すなわち、水平に対する持上げ装置15の傾斜角度は、水平に対する引抜き搬送装置14の傾斜角度よりも大きくなっている。そして、引抜き搬送装置14と持上げ装置15とのなす夾角θは鈍角に設定されている。持上げ装置15におけるコンベヤベルト24の外周面側には、結球野菜Aの結球部A1を支持して持ち上げる複数の持上げ片25が突設されている。
【0026】
持上げ装置15における後端部の下方には、進行方向前後に延びる整理水平コンベヤ27が配置されている。実施形態では、引抜き搬送装置14、持上げ装置15及び整理水平コンベヤ27が進行方向前後に直線的に並べられている。持上げ装置15の後端部に取り付けられた後ろ下がり傾斜状の受継ぎシュート26の下方に、整理水平コンベヤ27が水平状に位置している。持上げ装置15にて後ろ斜め上方に搬送された結球野菜Aの結球部A1は、自重にて受継ぎシュート26を滑り落ちて整理水平コンベヤ27上に転落して載ることになる。整理水平コンベヤ27の中途部には、整理水平コンベヤ27上に送り込まれた結球野菜Aの結球部A1を一時的に貯留するためのローラコンベヤ28が配置されている。整理水平コンベヤ27の後端部には、収穫作業部13の切断装置19にて適切に切断されなかった茎根部A2や外葉A3等を取り除くための調製機29が配置されている。
【0027】
走行機体2のうち操縦部4の後方(整理水平コンベヤ27の右側)は、作業スペース兼コンテナ載置スペースになっている。当該スペース側にローラコンベヤ28が延出している。走行機体2の左右両側及び後部側には、上向き回動して折り畳み収納可能な補助作業台30−32が設けられている(図2及び図3参照)。展開された補助作業台30−32に作業者が搭乗した状態で走行機体2を走行させながら、圃場の結球野菜Aを連続的に収穫する。実施形態では、走行機体2と右補助作業台31等とに跨ってコンテナ34が載置される。走行機体2や左補助作業台30等に作業者が搭乗する。右補助作業台31と後補助作業台32との間の後右隅部を構成する連結フラップ台33を収納する際は、後補助作業台32の表面側に折り畳んでから、後補助作業台32と共に上向き回動させる。
【0028】
結球野菜収穫機1にて結球野菜Aを収穫する際は、圃場における結球野菜Aを掻込みホイール16L,16Rによって引き抜き、根茎搬送体17L,17R及び縦搬送ベルト18L,18Rによって左右から挟持して後方に搬送しながら、切断装置19によって結球野菜Aの根茎部A2を切断する。そして、根茎部A2切断後の結球野菜Aの結球部A1を持上げ装置15に受け継ぎ搬送し、持上げ装置15の受継ぎシュート26を介して整理水平コンベヤ27上に転落させる。次いで、例えば左補助作業台30上の作業者が余分な外葉A3除去といった整理作業(調製作業)を行ってから、ローラコンベヤ28に整理作業済(調整済)の結球部A1を載せる。その後、走行機体2上の作業者がローラコンベヤ28上の結球部A1をコンテナ34に収容するのである。なお、整理作業で発生した茎根部A2や外葉A3等は、整理水平コンベヤ27の後端から走行機体2後方の圃場に排出される。
【0029】
次に、図4を参照しながら、結球野菜収穫機1の動力伝達系統について説明する。エンジン11の出力軸から、ベルト伝動によってミッションケース12のHST式変速装置40に動力伝達され、該HST式変速装置40によって主変速が行われる。ミッションケース12の変速出力は、左右走行クローラ3とミッション出力軸41とに伝達される。ミッション出力軸41から、一方向クラッチ42、伝動ベルト43及びテンションクラッチ44を介して、入力分配軸45に動力伝達される。
【0030】
入力分配軸45からベベルギヤを介して前部入力軸46に動力が伝達され、該前部入力軸46からベベルギヤを介して左右のギヤケース47L,47Rに挿通された中間軸48に動力伝達される。中間軸48に伝達された動力の一部は、左ギヤケース47Lから左伝動軸48Lを介して左ベベルギヤボックス49Lに伝達され、ここから根茎搬送体17Lと掻込みホイール16Lとに動力分配される。なお、掻込みホイール16Lには、自在継手及び伸縮継手付きの伝動軸50L,51Lを介して動力伝達される。また、中間軸48に伝達された残りの動力は、右ギヤケース47Rから右伝動軸48Rを介して右ベベルギヤボックス49Rに伝達され、ここから根茎搬送体17Rと掻込みホイール16Rとに動力分配される。なお、掻込みホイール16Rには、自在継手及び伸縮継手付きの伝動軸50R,51Rを介して動力伝達される。
【0031】
また、入力分配軸45からは、チェーン伝動ケース52を介して縦搬送ベルト18L,18Rに動力伝達されると共に、伝達ベルト53を介して整理搬送コンベヤ27にも動力伝達される。
【0032】
次に、図5−図7を参照しながら、切断装置19の詳細構造について説明する。切断装置19は、ディスク状に形成された大径の駆動カッター61とそれより小径のスクレーパ状の従動カッター62とを有している。駆動カッター61の外周の一部は、左右の根茎搬送体17L,17Rの間(結球野菜Aにおける根茎部A2の通り道)に被さっている。駆動カッター61の駆動軸63は左側の根茎搬送体17Lの内周側に位置していて、駆動カッター61と根茎搬送体17L,17Rとは、平面視で重なっている。
【0033】
駆動カッター61の駆動軸63は、回転アクチュエータとしての油圧モータ64に軸支されている。油圧モータ64は、エンジン11の動力にて駆動するチャージポンプ65から作動油を供給されることによって、駆動軸63ひいては駆動カッター61を走行機体2の車速に同調させずに独立して回転駆動させるように構成されている。チャージポンプ65と油圧モータ64とをつなぐ油圧回路66中には、油圧モータ64の作動速度を変更する絞り弁型の速度調節バルブ67が設けられている。操縦部4に設けられた速度調節レバー9の調節操作によって速度調節バルブ67が作動して、油圧モータ64の作動速度ひいては駆動カッター61の回転速度が変更される。なお、実施形態では、根茎搬送体17L,17R及び縦搬送ベルト18L,18Rの最高搬送速度よりも駆動カッター61の最低回転速度の方が速くなるように設定されている。
【0034】
駆動カッター61は、側面視で結球野菜Aの搬送方向(根茎搬送体17L,17Rや縦搬送ベルト18L,18Rの延びる方向)に対して平行状に配置されている。そして、駆動カッター61は、結球野菜Aの搬送方向に平行な姿勢のままで前記搬送方向に直交する方向に昇降調節可能に構成されている。
【0035】
実施形態では、左側の前部フレーム20Lの内側に、昇降アクチュエータとしての電動シリンダ68が固定されている。電動シリンダ68におけるピストンロッド69の先端側に、支持ベース70を介して駆動カッター61が油圧モータ64と共に取り付けられている。電動シリンダ68の伸縮動によって、駆動カッター61の結球野菜Aに対する切断高さ位置が昇降調節される。電動シリンダ68は、リレーユニット等の駆動回路73を介して、制御手段としてのコントローラ71に電気的に接続されている。詳細は図示しないが、コントローラ71は、各種演算処理を実行するCPUのほか、制御プログラムを記憶させたROM、各種プログラムやデータ等を一次的に記憶させるRAM、及びインターフェイス等を有している。コントローラ71には、操縦部4に設けられた昇降操作具としてのカッター昇降レバー10も電気的に接続されている。従って、カッター昇降レバー10の調節操作によって電動シリンダ68が伸縮動して、駆動カッター61の結球野菜Aに対する切断高さ位置が昇降調節される。
【0036】
図5に示すように、従動カッター62は、駆動カッター61に一部を重ねた横並びの状態で配置されている。実施形態では、油圧モータ64又は支持ベース70に略L字状の吊下げアーム72の下端側が固定されている。吊下げアーム72の上端側に従動カッター62が自由回転可能に軸支されている。このため、電動シリンダ68の伸縮動による駆動カッター61の昇降動に連動して、従動カッター62も昇降動する。
【0037】
以上の説明から明らかなように、実施形態の結球野菜収穫機1によると、走行機体2の前方で結球野菜Aを引き抜いて後方に搬送する収穫作業部13と、前記収穫作業部13にて搬送している結球野菜Aの根茎部A2を切断する駆動カッター61と、前記駆動カッター61を前記走行機体2の車速に同調させずに独立して回転駆動させる回転アクチュエータ64と、を備えているから、例えば前記走行機体2の車速の速い遅いに拘らず、前記駆動カッター61は前記回転アクチュエータ64にて高速回転できる。このため、搬送途中での詰り防止や収穫作業の高速化を図りつつ、前記結球野菜Aの切断面が乱れる切断不良をもなくせるという効果を奏する。
【0038】
また、前記収穫作業部13による結球野菜Aの搬送方向に対して直交する方向に、前記駆動カッター61を前記回転アクチュエータ64と共に昇降動させる昇降アクチュエータ68と、前記昇降アクチュエータ68による前記駆動カッター61の昇降量を調節操作する昇降操作具10と、を更に備えているから、前記結球野菜Aの大きさ、形状及び栽培状況等に合わせて、前記結球野菜Aに対する前記駆動カッター61の切断高さ位置を手軽に変更でき、仕上がりを作業者の好みや取引業者の要望に沿うものにして、前記結球野菜Aの商品価値を高い状態に維持できるという効果を奏する。
【0039】
しかも、前記昇降操作具10は、前記走行機体2に搭載された操縦部4の後部側に配置されているから、前記操縦部4にいる作業者からも、前記走行機体2上にいる作業者からも、前記昇降操作具10を手軽に操作できる。特に前記走行機体2上の作業者は、前記結球野菜Aの切断面を観察しながら、前記駆動カッター61の切断高さ位置を容易に調節できるのである。
【0040】
また、前記駆動カッター61に一部を重ねた横並びの状態で配置され、前記駆動カッター61と一体的に昇降動する従動カッター62、を更に備えているから、前記従動カッター62にて前記駆動カッター61の外周側(刃先側)を受けることが可能であり、前記駆動カッター61の外周側(刃先側)の振れ止めにできる。従って、前記駆動カッター61の切断高さ位置を一定にして切断面を均一にできる。
【0041】
実施形態では、前記収穫作業部13は、結球野菜Aを引き抜きその結球部A1を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置14と、根茎部A2切断後の前記結球部A1を前記引抜き搬送装置14から受け継いで後ろ斜め上方に搬送する持上げ装置15とに分離構成されており、前記持上げ装置15は前記走行機体2上に位置固定的に設けられ、前記引抜き搬送装置14は前記走行機体2の前部に昇降動可能に装着されているから、前記引抜き搬送装置14を昇降動させる機構(この場合は油圧シリンダ22)の小型化が可能になり、部品コストの低減を図れる。
【0042】
その上、前記引抜き搬送装置14と前記持上げ装置15とのなす夾角θを鈍角に設定しているから、前記引抜き搬送装置14をできるだけ圃場近くに寝かせることになり、圃場の結球野菜Aを丁寧に引き抜きし易くなる。このため、結球野菜Aに傷を付けるおそれを少なくでき、商品価値向上に寄与できるのである。
【0043】
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば回転アクチュエータ64及び昇降アクチュエータ68は油圧によるものでも電動のものでもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 結球野菜収穫機
2 走行機体
3 走行クローラ
4 操縦部
10 カッター昇降レバー(昇降操作具)
11 エンジン
13 収穫作業部
14 引抜き搬送装置
15 持上げ装置
19 切断装置
20L,20R 前部フレーム
27 整理水平コンベヤ
61 駆動カッター
62 従動カッター
63 駆動軸
64 油圧モータ
65 チャージポンプ
66 油圧回路
67 速度調節バルブ
68 電動シリンダ
69 ピストンロッド
70 支持ベース
71 コントローラ
72 吊下げアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前方で結球野菜を引き抜いて後方に搬送する収穫作業部と、
前記収穫作業部にて搬送している結球野菜の根茎部を切断する駆動カッターと、
前記駆動カッターを前記走行機体の車速に同調させずに独立して回転駆動させる回転アクチュエータと、
を備えている、
結球野菜収穫機。
【請求項2】
前記収穫作業部による結球野菜の搬送方向に対して直交する方向に、前記駆動カッターを前記回転アクチュエータと共に昇降動させる昇降アクチュエータと、
前記昇降アクチュエータによる前記駆動カッターの昇降量を調節操作する昇降操作具と、
を更に備えている、
請求項1に記載した結球野菜収穫機。
【請求項3】
前記昇降操作具は、前記走行機体に搭載された操縦部の後部側に配置されている、
請求項2に記載した結球野菜収穫機。
【請求項4】
前記駆動カッターに一部を重ねた横並びの状態で配置され、前記駆動カッターと一体的に昇降動する従動カッター、
を更に備えている、
請求項2又は3に記載した結球野菜収穫機。
【請求項5】
前記収穫作業部は、結球野菜を引き抜きその結球部を挟持して後方に搬送する引抜き搬送装置と、根茎部切断後の前記結球部を前記引抜き搬送装置から受け継いで後ろ斜め上方に搬送する持上げ装置とに分離構成されており、
前記持上げ装置は前記走行機体上に位置固定的に設けられ、前記引抜き搬送装置は前記走行機体の前部に昇降動可能に装着されている、
請求項1から4のうちいずれかに記載した結球野菜収穫機。
【請求項6】
前記引抜き搬送装置と前記持上げ装置とのなす夾角を鈍角に設定している、
請求項5に記載した結球野菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244969(P2012−244969A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121309(P2011−121309)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(504352788)オサダ農機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】