説明

結腸直腸癌用のバイオマーカーパネル

バイオマーカーのパネルが、結腸直腸癌の分析のために同定された。当該パネル(マウスの結腸癌モデルを使用して最初に同定された)を使用して、正常ヒト対象のバイオマーカーのパネルに対する外科的及び生検試料由来のヒト組織における変化を評価した。当該パネルは結腸直腸癌のリスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者治療の監視、再発の検出及び治療的介入の発見のための対費用効果が高く、迅速かつ非侵襲性の手順を提供するために使用されるだろう。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願のリファレンス
本出願は、Nancy M. Lee等により2003年7月18日に出願された「結腸直腸癌判定用の分子マーカーパネル」の名称を有する米国仮出願第60/488,660号(代理人整理番号:CPMC-01000US0)及びNancy M. Lee等により2003年10月22日に出願された「結腸直腸癌用のバイオマーカーパネル」の名称を有する米国出願第10/690,880号(代理人整理番号:CPMC-01000US1)の優先権を主張する。何れの出願の内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
本明細書の開示の技術分野は、結腸直腸癌(colorectal cancer)(CRC)用のバイオマーカーに関する。これらのバイオマーカーは、CRCのリスクアセスメント、早期検出、予後の確立、介入の評価、再発並びに治療的介入の発見及びその使用方法に有用である。
【0003】
医学分野では、CRCのリスクアセスメント及び早期検出を提供する臨床手順が長い間求められてきている。現在、CRCは西洋世界における癌関連死の原因の第2位である。数十年にわたるCRC研究により明確に明らかになった一つの事実は、生存率を高めるためには早期検出が重要であるということである。
【0004】
CRCのスクリーニングについて現在認められている方法には、便潜血検査(FOBT)、バリウム注腸と空気との間のX線二重造影(DCBE)、S字結腸鏡検査及び結腸鏡検査である。S字結腸鏡検査は、照明付の可とう性内視鏡を用いて結腸の下部3分の1を視覚的に検査する侵襲性手順である。一方、関連する方法である結腸鏡検査は、結腸全体を検査する手順である。いずれの場合も、手順の間に生検試料を採取することができる。
【0005】
認められているスクリーニング法に関し、CRCのスクリーニング検査において要求されるものを明確に有する方法はない。FOBTは、迅速ではあるけれども、非常に概略的(general)であるので、非常に非特異的なCRCスクリーニング法である。DCBEは、結腸における異常の特異的画像化において有用であることが証明されているけれども、DCBE法は下記の欠点がある。1)検査の準備及び検査の間における患者の不快感が、スクリーニング法としてDCBEを応諾することに対する嫌気を作り出すこと。2)患者をX線照射に曝露することが、スクリーニング法としての頻回使用の点からみてDCBEを制限すること。3)DCBEは大きな腫瘍の検出により効果的であることを示す研究があるが、これは、早期検出のためのDCBEの使用を禁止していること。4)DCBE手順の間に生検試料を採取することができないこと。5)必要な費用を原因として、全ての保険業者がDCBEスクリーニング検査に対する支払いを提供するとは限らないこと。S字結腸鏡検査は多数の医師からの支持を得ているが、下記の欠点がある。1)検査の準備及び検査の間における患者の不快感が、スクリーニング法としてS字結腸鏡検査を応諾することに対する嫌気を作り出すこと。2)必要な費用を原因として、全ての保険業者がS字結腸鏡スクリーニング検査に対する支払いを提供するとは限らないこと。3)結腸の下部3分の1のみを検査するため、多くの有意な病変が結腸の近位端に存在するとする研究による示唆が、S字結腸鏡検査を不適切なものとすること。結腸鏡検査は、結腸の完全な検査という問題を取り扱うけれども、スクリーニング法として下記の欠点がある。1)結腸鏡検査は、S字結腸鏡検査よりも強い患者の不快感を作り出すので、一般的に鎮痛剤を必要とする。これにより、患者の応諾に関する問題が悪化すること。2)必要な費用を原因として、全ての保険業者が結腸鏡スクリーニング検査に対する支払いを提供するとは限らないこと。3)出血及び結腸内層の破裂を含む結腸鏡検査のリスクが存在すること。
【0006】
新興の分光技術、例えば磁気共鳴映像法及びトモグラフィー映像法は、それぞれ、現在認められているスクリーニング方法論の欠点のリストから引き出される欠点を有する。
【0007】
したがって、費用効率が高く、迅速であり、かつ、最小の侵襲性又は非侵襲性である、CRCの早期検出及び治療において価値を有するアプローチに対する必要性が当該技術分野に存在する。更なる有用性は、CRCの予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出並びに治療的介入の発見の基礎としても役立つアプローチから理解されるだろう。
【0008】
詳細な説明
現在認められているCRCスクリーニング法は別として、求められている別のアプローチは、CRCの検出及び治療において価値のあるバイオマーカーの探索であった。40年を超える期間、α−フェトプロテイン(AFP)及び癌胎児性抗原(CEA)の発見以来、癌の検出及び治療用バイオマーカーの探索は全般的に進展状態であった。癌のバイオマーカーは、患者の治療管理において5つの強力な用途を有する。理想としては、バイオマーカーは、リスク管理、早期診断、予後の確立、治療の監視及び再発の検出に使用されるだろう。更に、そのようなバイオマーカーは治療的介入の開発において大切な役割を果たすことができるだろう。
【0009】
バイオマーカー分析に連動して用いられるサンプリング法が最小限の侵襲性又は非侵襲性であることは更に有利である。そのようなサンプリング法の例には、血清、便、スワブ(swab)等が含まれる。非侵襲性又は最小限の侵襲性の方法は、患者の応諾を増加させ、かつ、一般的には費用を低減させる。
【0010】
臨床上、バイオマーカーの有効性を評価するために重要な2つの基準は選択性と感受性である。臨床的に定義されるバイオマーカーの選択性とは、正確に診断される患者の百分率をいう。臨床的状況におけるバイオマーカーの感受性は、疾患が治癒可能な段階で検出される確率(probability)として定義される。理想的には、バイオマーカーは100%の臨床的選択性及び100%の臨床的感受性を有するだろう。今まで、患者の治療管理における広範囲のニーズに対して有効であるために要求される、満足のいく高い選択性及び感受性を有する単一のバイオマーカーは同定されていなかった。しかしながら、臨床的見地から、単一の血清バイオマーカー(例えばAFP及びCEA)は、患者の治療管理の幾つかの側面において価値を提供することが証明されている。
【0011】
例えば、1965年に、CEAの上昇した血清レベルが結腸腺癌患者において最初に発見された。上昇したレベルは、結腸癌以外の種々の良性及び悪性状態において見出すことができる。更に、結腸における初期の限局腫瘍によるCEAの産生は正常範囲である。したがって、CEAは、リスクアセスメント又は早期診断に対して価値があるために要求される感受性及び選択性の双方に欠いている。更に、上昇したCEAレベルは結腸腫瘍の分化及びステージとの相関が不十分であり、このことが結腸癌の予後に対するバイオマーカーとしてのCEAを限られた価値を有するものにしている。CEAが患者の治療管理において臨床的に有益であるとことが証明されている2つの領域は、治療効果の評価と再発の検出である。実例として、結腸癌再発の臨床的検出に先行するCEAの血清レベルの上昇に高い相関関係があることを多数の研究が見出している。このことは、セカンドルック手術を伴うハイリスク患者の治療をCEAレベルの上昇に基づいて管理することにおいて価値があることを証明している。
【0012】
現在、多くの分野(CRC、卵巣、乳房、頭頸部を含む)の腫瘍学研究にわたる研究報告は、マーカーのパネルにおける上昇した感受性及び選択性を見出している。現在では、癌等の病気を引き起こす正常細胞プロセスの変化が起こる前に多数の突然変異が起こらなければならないと一般的に考えられている。それにもかかわらず、生物系の複雑性を鑑みて、CRC対する患者の治療管理において価値を提供するのに役立つパネルの発見は初期の段階にある。
【0013】
今までに、腺腫性結腸ポリープ症(adenomous polyposis coli)(APC)、p53及びKi-ras遺伝子並びに対応のタンパク質並びにそれらの調節に関与する関連経路についての研究を通して、CRCの生物学に対する大きな理解が得られている。しかしながら、特定の遺伝子、その発現、タンパク質産物及び調節についての研究と、CRC患者の治療管理に有用なCRC分析に使用するパネルに含まれることが重要なのはどの遺伝子なのかということについての理解とは明らかに異なる。今までに、CRCに対して提案されてきたパネルは、APC、p53及びKi-ras並びにマイクロサテライトの不安定マーカーである遺伝子であるBAT-26の特定の点変異から成っている。
【0014】
本明細書で開示されるものは、遺伝子の発現レベルが腺腫性ポリープ(adenomous polyp)においてスクリーニングされたマウスの多発性腸腫瘍形成(multiple intestinal neoplasia)(MIN)モデルに対して行われた研究に基づいている。マウスMIN被検体において、化学的に誘導されたAPC遺伝子の変異がもたらされた。正常な対照は、APC遺伝子の異常がなく、それゆえ野生型と命名される同腹仔により定義される。マウスMINモデルに基づく研究より、ヒト被験者を研究するための候補遺伝子が選択された。ヒト被験者の研究より、バイオマーカーのパネルが本明細書において開示される。更に、開示されるものは、前記パネルに基づいて遺伝子及びタンパク質の発現レベルを測定する方法である。更に、開示されるものの別の側面は、前記パネルに基づいて遺伝子及びタンパク質の発現レベルを測定するための試薬及び使用説明書(instruction)を提供するキットである。前記のパネル、方法及びキットは、CRCに対する患者治療の管理において有用である。更に、前記のパネル、方法及びキットは、CRCの治療的介入の発見に対する基礎として有用であると考えられる。
【0015】
図1は、開示されるバイオマーカーに対する配列表の概要を与える表である。開示されるバイオマーカーの組合せは、増強した選択性及び感受性をもってCRCを監視し、それゆえCRCに対する患者治療の増強された管理を提供するための基礎を形成する。配列表に記載されるバイオマーカーの断片(fragment)及び変種(variant)もCRC分析に用いるパネルにおいて有用なバイオマーカーであることは理解されるべきである。断片とは、配列表に記載のポリヌクレオチド又はポリペプチドのあらゆる不完全な部分又は分離された部分をいう。遺伝子変種、特に激しい研究が行われている遺伝子、例えば癌等の疾患関連遺伝子についての新たな発見がほぼ毎日発表されていることが認識される。それゆえ、提供される配列表は、遺伝子について現在報告されているものの例示であり、前記遺伝子の変種及び断片も分析方法論の目的で含まれることが認められる。
【0016】
開示されるものの一つの態様は、CRCに対する患者治療管理に要求される選択性及び感受性を有するバイオマーカーのパネルである。表1において、エントリー1〜22は、バイオマーカーパネルに対するポリヌクレオチドコード配列であり、遺伝子の名称及び略称を含んでいる。表1のエントリー23〜44は、エントリー1〜22のコード配列に対応するタンパク質、ポリペプチド及びアミノ酸配列である。米国立衛生研究所(NIH)により定義されるバイオマーカーは、特定の生物学的特性、生化学的特徴又は病気の進行又は治療効果の測定に用いることが出来る一面(facet)に対する分子標識である。バイオマーカーパネルはバイオマーカーの選択物(selection of biomarkers)である。バイオマーカーは種々のクラスの分子に由来してよい。前述の通り、患者治療管理の全ての側面に対して有効であるために要求される選択性及び感受性を有するCRC用バイオマーカーに対するニーズは未だに存在する。それゆえ、バイオマーカーの有効なセットを選択することは、CRCの有効な判定に対する基礎を提供する点で差別化される。
【0017】
本明細書の開示の別の態様では、配列番号1〜22に示されるバイオマーカーに対するポリヌクレオチドの発現レベルをCRCの判定において使用する。ポリヌクレオチド発現レベルの分析は、当該技術分野においてしばしば遺伝子発現プロファイリング(gene expression profiling)と呼ばれる。遺伝子発現プロファイリングでは、試料中のmRNAレベルを生物学的状態の先行指標(本件ではCRCの指標)として測定する。遺伝子発現プロファイリングの最も一般的な分析方法は、逆転写として知られる工程を使用して生物試料中のmRNAから複数のコピーを作成することである。逆転写工程では、試料由来のmRNAを使用して当該mRNAがもともと転写された対応DNA配列のコピーを作成する。逆転写増幅工程において、DNAのコピーは、イントロンとして知られる遺伝子の調節領域なしに作成される。mRNAから作成されたこれらの複数のコピーは、それゆえコピーDNA(copy DNA)又はcDNAと呼ばれる。エントリー45〜88は、エントリー1〜22に列挙される各遺伝子の逆転写工程において使用するプライマーのセットである。
【0018】
逆転写手順は、試料中のmRNAの元々のレベルに比例してcDNAのコピーを増幅するので、生物試料中に存在する低レベルのmRNAの分析を許容する標準的方法になる。遺伝子が特定の生物状態において上方制御又は下方制御されると、これに従ってmRNAレベルが変化する。
【0019】
本明細書の開示の更に別の態様では、配列番号1〜22に示される遺伝子に対応する配列番号23〜24に列挙されるタンパク質の発現レベルが開示される。用語「ポリペプチド(polypeptide or polypeptides)」は、本明細書のおいて用語「タンパク質(protein or proteins)」と互換的に用いられる。前に検討したように、タンパク質はそのバイオマーカーとしての可能性に関して長期間研究がなされ、限られた成功を得ている。ポリヌクレオチドバイオマーカーと相補的であるので、タンパク質バイオマーカーには価値がある。両タイプのバイオマーカーにより提供される情報を有する理由には、mRNA発現レベルはタンパク質発現レベルの良好な予測判断材料(predictor)ではないという現在の知見、及び、mRNA発現レベルはタンパク質の翻訳後修飾(当該タンパク質の生物活性の鍵となる)について何も語らないという現在の知見が含まれる。それゆえ、タンパク質の発現レベル及び当該タンパク質の完全な構造を理解するためには、タンパク質の直接分析が要求される。
【0020】
図2A〜2Bは、マウスMINモデル及びヒト被験者において遺伝子発現を比較する22個のバイオマーカーのリストに由来するバイオマーカーパネルの例示を示している。パネル用の選択物は、22個のバイオマーカーのリストから選択され、かつ、パネルの有用性を証明するためのデータの容易な視覚的融合(easy visual assimilation of data)のために選択される。典型的には、図2Cに証明されるように、バイオマーカーの22のメンバーパネルにおいて示される複雑なデータセットに対して、多変量解析(MANOVA)が適用される。
【0021】
図2Aにおいて、マウスMIN研究について報告されたデータは、動物被検体数の統計的平均化(statistical averaging)を表しており、標準誤差が報告される。右側のP値は、値が有意に異なるという信頼度(the degree of conficence)を示している。一例として、最初に列挙した遺伝子であるSDF−1はヒトIL−8遺伝子に関連しており、同一のスーパーファミリーに属する。SDF−1についての0.003というp値は、野生型対照の値とMINマウスの腺腫性ポリープの値との差異が偶然のみによって起こる確率がわずか1000分の3であることを示している。被験マウスの腺腫性ポリープにおける発現レベルのスクリーニングを特定の標的とした。なぜなら、腺腫性ポリープはCRCのリスクアセスメントにおいて有用であることが確立されているからである。図2Aで証明されることは、6のパネルが、MINマウスの結果を野生型対照の結果から明確に区別するということである。
【0022】
図2B〜2Cはバイオマーカーパネルについての選択性の問題を扱っている。CRCに対して許容しうるレベルの選択性を有するバイオマーカーに関し、CRCの病歴がある家族における個人に対するCRC罹患率は一般集団の罹患率の3〜4倍である。しかしながら、全米国人の6%がCRCを発症し、かつ、その70〜80%が平均的リスクを有する人に現れていると推定されている。CRCの判定における信頼に対して要求される必須の選択性を有するバイオマーカーに対する明らかなニーズが存在する。
【0023】
図2Bでは、図2AのマウスMINモデルで確立された6つのバイオマーカーからなる同一パネルが、ヒト被験者におけるCRC判定の基礎となる。図2Bでは、CRCを有することが知られている患者から採取されかつ組織学的評価により正常であると判定された生検組織の結果を、正常対照として確証された個体由来の生検試料と比較している。組織学的方法論は癌性結腸病変の同定に対して許容された標準であるあることに注意すべきである。図2Bには、更に検討すべき2つの側面がある。第一に、患者対正常対照(the patient vs. normal control)についての遺伝子発現プロファイリングの値は、IL−8の場合のように上昇するか、又はPPAR−δの場合のように下降するだろう。それはバイオマーカーパネルを使用したときに有意である、患者対正常対照についての集団的シフトの判定である。第二に、患者のデータを見たときに、試料対試料の変動に注目できるが、これは、全ての患者対患者の変数を前提として、予測される。たとえ何らかの特定のバイオマーカーが、それ自体で患者試料を正常対照から区別しないとしても、群としてのパネルの発現レベルは、患者試料全体を正常対照群から区別することは一見して明らかである。例えば、H008と命名した患者は、正常対照とは区別されないPPAR−δ発現レベルを有する。しかしながら、H008に対するパネルの結果は正常対照のセットから区別されることは一見して明らかである。このことは、生物学の複雑性及び可変性を前提として、マーカーの確証されたパネルがなぜ判定の選択性を単一マーカーと対比して増強するかということを原則として証明している。
【0024】
図2Cは患者対正常試料間の判定の選択性増強におけるバイオマーカーパネルの価値を強調するのに更に役立っている。22からなる群より選択された9のバイオマーカーからなるパネルについてのMANOVAの使用を証明する例が、図2Cにおいて証明される。本研究では、12名の正常患者に由来する78のS字結腸−直腸生検と、S字結腸−直腸癌を有する6名の患者の非癌性部分に由来する63のS字結腸−直腸生検とを比較した。ウィルクスのラムダ基準を使用し、列挙した9つのバイオマーカーを用いて、患者試料と正常対照試料との間の差を評価した。1.0に近いラムダ値は、患者試料と正常試料との間に有意差が示されている(その差が偶然のみによって起こる確率が約1000回中9回)ことを表している。
【0025】
図3A〜3C及び図4A〜4Cは、バイオマーカーパネルについての感受性の問題を扱っている。前述したように、CRCの早期の表示によって生存率は非常に増強されるので、CRCのリスクアセスメント及び早期検出のためのバイオマーカーは長い間求められてきた。リスクアセスメントと早期検出との間の差異は、CRC捕捉に関する確実性の程度である。リスクアセスメントに用いられるバイオマーカーは時間間隔の範囲内で100%未満の確実性を与えるが、早期検出に用いられるバイオマーカーは特定の時間間隔の範囲内で疾患発症についてほぼ100%の確実性を与える。リスクファクターを、癌と診断されていない個体に対する代替エンドポイントとして使用してもよい(但し、代替エンドポイントと最終的な結果との間の関連性が確立されることを条件とする)。確立されたCRCの代替エンドポイントの例は、腺腫性ポリープの例である。確立されたのは、個体がCRCを後期に発症することについて腫瘍性ポリープの発生は必要条件であるが十分条件ではないということである。このことは、全ての侵襲前癌病変の90%が腺腫性ポリープ又は前駆体であるが、腺腫性ポリープを有する患者の全てがCRCの後期発症へ進行するわけではないという事実により証明されている。
【0026】
図3A〜3Cは、CRCと診断された典型的な一患者の結腸から採取した複数の生検試料について取得した遺伝子発現レベルのグラフを示している。癌病変、ポリープ及び隣接組織の判定は通常の組織学的方法により行った。3つのバイオマーカーパネルに対する発現レベルが、前記の様式で分類された生検試料について示される。更に、図2A〜2Cの例によって証明したように、マーカー単独(CXCR2)ではこの患者について癌病変と正常対照とを区別していないが、サンプリングされた癌病変に対して一纏めとした(taken together)3つのマーカーは、正常対照とは有意に異なっていることは明らかである。この表示で更に示されることは、ポリープの結果と正常対照の結果との間の差異である。ポリープがCRCの代替エンドポイントとして既に認められていることを鑑みると、最小限に侵襲性の方法、例えばスワブ又は非侵襲性のサンプリング法、例えば便試料を用いる確証された分析方法論によってポリープの存在を判定することも、リスクアセスメントに対する代替エンドポイントとして役立つだろう。
【0027】
図4A〜4Cは、CRC患者の結腸の53cm領域にわたって採取した生検試料における3つのバイオマーカーについての遺伝子発現レベルの結果を示している。不規則な形状の物体は、組織学的方法論により癌病変であると確認された生検試料を表し、卵形の物体は、組織学的方法論により非癌病変であると判定された試料を表している。更に、遺伝子発現プロファイリングを各生検試料について行った。発現プロファイリングの結果(凡例は、患者生検試料における正常対照と比較しての相対レベルを表す)が図4A〜4Cに示される。
【0028】
図4A〜4Cの表示は、バイオマーカーが患者の(生検試料は通常の組織学的分析により正常であると示される)結腸組織における差異を識別することができる距離を示している。これらの結果は、癌病変からは遠いが非正常結腸状態を示すことができる領域から、最小限の非侵襲性の塗布収集法(swabbing collection method)により細胞をサンプリングすることができることを証明している。更に、便試料の収集は、判定を行う脱落細胞(sloughed cells)又は細胞残屑を収集するための既に確証されたサンプリング法である。その点で、最小限の侵襲性で又は非侵襲性のいずれかにより採取した試料は、本明細書に開示されるバイオマーカーパネルを使用して分析することができる試料を与えるだろう。そのような非侵襲性手順はCRC判定の費用を低減するだけでなく、現在の方法論に関連する不快感及び危険性をも低減する。これらの因子は一緒になって定期的検査の魅力を増加させ、故に患者の応諾を増加させる。増加した患者の応諾は、CRCの有効な判定と結びついて早期検出の期待を高め、そして生存率を高める。
【0029】
分子マーカーパネルに対するポリヌクレオチド及びポリペプチドの発現プロファイリングのための方法及びキットも、本明細書の開示の一部として企図される。
【0030】
一つの態様において、遺伝子発現プロファイリング方法は、特許請求されるパネルにおいて選択されたバイオマーカーのcDNAレベルを測定する工程を含む。そのような方法は、プライマー、酵素並びにcDNAを調製、検出及び定量するためのその他の試薬の使用を必要とする。試料中でmRNAからcDNAを作成する方法は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)と呼ばれている。配列番号45〜88に列挙されるプライマーは、特許請求されるパネルに基づくRT−PCRを使用した遺伝子発現プロファイリングにおける使用に特に適している。一連のプライマーは、Primer Express Software(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて設計された。特定の候補を選択し試験をして、唯一のcDNAが増幅されるが、ゲノムDNAは混入しないことを検証した。このようにして、配列番号45〜88に列挙されるプライマーを特異的に設計し、選択し、そして試験した。プライマーに加えて、全4種類のジヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dGTP、dCTP及びdTTP)を有するジヌクレオチド三リン酸混合物を含むもの、逆転写酵素を有するもの、及び、耐熱性DNAポリメラーゼを有するもの等の試薬がRT−PCRに要求される。更に、緩衝液、阻害剤及び活性化剤もRT−PCR工程に要求される。一旦、cDNAが特定のエンドポイントまで十分に増幅されると、cDNA試料を検出及び定量のために準備しなければならない。多数の検出スキームが企図されるけれども、下記にて詳細に検討するように、ポリヌクレオチド検出を企図する一つの方法は蛍光分光法であり、それゆえ、蛍光分光法に適した発色団がポリヌクレオチドの標識のために望ましい。多数の関連発色団が存在しており、当該技術分野で知られているけれども、そのような蛍光標識の一例はSYBR Greenである。
【0031】
別の態様において、タンパク質発現プロファイリング法は、生物試料から標的ポリペプチドのレベルを測定するために特許請求されるバイオマーカーパネルに基づいて抗体を使用する工程を含んでいる。前記方法について企図される一つの態様において、パネル用の抗体は固体担体へと結合される。タンパク質発現プロファイリング法は、結合ポリペプチドのある部分に対して特異性を有する第二の抗体を使用してもよい。そのような第二の抗体は、結合ポリペプチドの検出及びに対して有用であり、それゆえ、ポリペプチドへの結合において当該ポリペプチドを検出及び定量するために標識する分子で標識されていてもよい。更に、検出及び定量のために結合ポリペプチドを標識するためのその他の試薬が企図される。そのような試薬は、結合ポリペプチドを直接標識してもよく、又は、第二抗体に類似する、標識を有する結合ポリペプチドに対して特異性を有する部分であってもよい。前記の部分の例には、小分子(例えば補因子、基質、錯化剤)及び巨大分子(例えばレクチン、ペプチド、オリゴヌクレオチド)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。前記の分子は天然物又は合成物であってよい。
【0032】
開示される方法について企図される検出様式の例には、分光技術(例えば蛍光分光法、UV-Vis分光法)、シンチレーション計数及び質量分析が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの検出様式に対して相補的な、これらの方法で使用する検出及び定量を目的とする標識の例には、発色団標識、シンチレーション標識及び質量標識(mass label)が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの方法を用いて測定されるポリヌクレオチド及びポリペプチドの発現レベルは、標的となる判定を目的として確立された対照に対して正規化(normalize)される。これらの方法は、CRC患者治療の効果的な管理の基礎としての判定を提供するうえで有用であると考えられる。これらの方法は、CRCの治療的介入の発見においても有用であろう。更に、S字結腸鏡検査、結腸鏡検査又は手術に由来する生検試料がこれらの方法によって分析されるだけでなく、非侵襲性又は最小限の侵襲性の採取方法に由来する生検試料もこれらの方法に対して同様に示される。
【0033】
更に、前記方法の実行の準備を促進してこれにより一貫性及び品質管理を提供する試薬並びに手順を有するキットを提供することが、開示されるものにおいて企図される。
【0034】
一つの態様において、遺伝子発現プロファイリング用キットは、特許請求されるパネルの遺伝子発現プロファイリングに必要な試薬及び使用説明書(instruction)を含んでいる。したがって、例えば、前記試薬はプライマー、酵素、並びに、特許請求されるバイオマーカーパネル用cDNAの調製、検出及び定量のためのその他の試薬を含むだろう。前述の通り、試料中でmRNAからcDNAを作成する方法は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)と呼ばれている。配列番号45〜88に列挙したプライマーは、特許請求されるパネルに基づくRT−PCRを用いた遺伝子発現プロファイリングにおける使用に特に適している。したがって、配列番号45〜88に列挙されるプライマーを特異的に設計し、選択し、そして試験した。プライマーに加えて、全4種類のジヌクレオチド三リン酸(例えば、dATP、dGTP、dCTP及びdTTP)を有するジヌクレオチド三リン酸混合物を含むもの、逆転写酵素を有するもの、及び、耐熱性DNAポリメラーゼを有するもの等の試薬がRT−PCRに要求される。更に、RT−PCRに用いられる緩衝液、阻害剤及び活性化剤もキットの態様において含まれる適切な試薬である。一旦、cDNAが特定のエンドポイントまで十分に増幅されると、cDNA試料を検出及び定量のために準備しなければならない。ポリヌクレオチド検出を企図する一つの方法は蛍光分光法であり、それゆえ、蛍光分光法に適した発色団がポリヌクレオチドの標識のために望ましく、キットの態様の試薬において含まれるだろう。遺伝子発現プロファイリング用のキットの態様に含まれる使用説明書は、好ましくは下記の手順を使用者に教示する:生物試料を得る工程、当該試料から細胞RNAを単離する工程、パネルの各バイオマーカーについて当該試料からcDNAのコピーを増幅する工程(当該パネルには試薬が提供される)、及び、試料より増幅したcDNAのレベルを定量する工程。種々の手順により得られる組織試料を使用してよいが、生物試料を得るための使用説明書が好ましくは存在し、これにより使用者は結腸直腸細胞試料を最小限の侵襲性の様式(例えばスワブの使用又は便試料の収集)で得る。好ましくは、使用説明書は、定量されたcDNAレベルを対照に対して比較する工程を含んでいる。
【0035】
別の態様において、タンパク質発現プロファイリング用キットは、特許請求されるパネルのタンパク質発現プロファイリングに必要な試薬及び使用説明書を含んでいる。したがって、本態様において、タンパク質発現プロファイリング用キットは、生物試料から標的ポリペプチドレベルを測定するための特許請求されるバイオマーカーパネルに基づく抗体パネルを供給することを含んでいる。前記のパネルに対して企図される一つの態様には、固体担体へ結合した抗体パネルが含まれる。更に、タンパク質発現プロファイリング用キットに含まれる試薬は、結合ポリペプチドのある部分に対して特異性を有する第二の抗体を使用してもよい。そのような第二の抗体は、結合ポリペプチドの検出及び定量に対して有用であり、それゆえ、ポリペプチドへの結合において当該ポリペプチドを検出及び定量するために標識する分子で標識されていてもよい。更に、検出及び定量のために結合ポリペプチドを標識するためのその他の試薬が企図される。そのような試薬は、結合ポリペプチドを直接標識してもよく、又は、第二抗体に類似する、標識を有する結合ポリペプチドに対して特異性を有する部分であってもよい。前記の部分の例には、小分子(例えば補因子、基質、錯化剤)及び巨大分子(例えばレクチン、ペプチド、オリゴヌクレオチド)等が含まれるが、これらに限定されるものではない。前記の分子は天然物又は合成物であってよい。タンパク質発現プロファイリングキット用の使用説明書は、好ましくは下記の手順を使用者に教示する:生物試料を得る工程、キットにより供給された抗体パネルを、パネル中の各バイオマーカーについて使用して、当該試料からポリペプチドを結合させる工程、及び、当該試料から抗体パネルへと結合したポリペプチドのレベルを定量する工程。好ましくはキットの使用説明書は、ポリペプチドレベルを対照に対して比較する工程を含んでいる。好ましくは、生物試料は、最小限の侵襲性の手順(例えばスワブの使用から便試料経由)により得る。
【0036】
更に、試料の収集、調製及び分析に必要な消耗実験器具をキットとともに提供してもよい。
【0037】
本明細書で開示されるものは、例証及び説明を目的として提供されている。網羅的であること、又は、開示されるものを記載されている詳細な形態へと限定することは意図されない。多くの修飾及び変異が当業者にとって明らかであろう。記載された技術の開示された態様の原理及び実用化を最良に説明し、これによって当業者が企図される特定の使用に適した種々の態様及び種々の修飾を理解することを可能にするために、開示されるものは選択されかつ記載されている。記載されるもののの範囲は、後述の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、配列表の要約である。
【図2A】図2A〜2Cは、腺腫性ポリープと疑わしい組織と正常対照とから採取した試料についてのバイオマーカーパネルを例証するデータである。図2A〜2Bは、配列表に列挙した22のバイオマーカーからなるセットのメンバーの選択物に関してマウスについて行ったモデル研究の結果(2A)と、ヒト被験者に対するバイオマーカーの同等の選択物(2B)とを比較する表である。
【図2B】図2A〜2Bは、配列表に列挙した22のバイオマーカーからなるセットのメンバーの選択物に関してマウスについて行ったモデル研究の結果(2A)と、ヒト被験者に対するバイオマーカーの同等の選択物(2B)とを比較する表である。図2Cは、12の正常患者から採取した78の生検材料及び6のCRC患者から採取した63の生検材料についての9つのマーカーの多変量解析を示している。
【図2C】図2Cは、12の正常患者から採取した78の生検材料及び6のCRC患者から採取した63の生検材料についての9つのマーカーの多変量解析を示している。
【図3A】図3B〜3Cは、ヒト被験者から採取した一連の試料に対する代表的なバイオマーカーであるIL−8(3A)、CXCR−2(3B)及びCOX−2(3C)の発現レベルを、組織学的に同定された癌病変と、ポリープと、隣接非癌組織と、正常対照とで比較して示している。
【図3B】図3B〜3Cは、ヒト被験者から採取した一連の試料に対する代表的なバイオマーカーであるIL−8(3A)、CXCR−2(3B)及びCOX−2(3C)の発現レベルを、組織学的に同定された癌病変と、ポリープと、隣接非癌組織と、正常対照とで比較して示している。
【図3C】図3B〜3Cは、ヒト被験者から採取した一連の試料に対する代表的なバイオマーカーであるIL−8(3A)、CXCR−2(3B)及びCOX−2(3C)の発現レベルを、組織学的に同定された癌病変と、ポリープと、隣接非癌組織と、正常対照とで比較して示している。
【図4A】図4A〜4Cは、CRC患者について結腸の53cmの距離にわたる複合分析の結果を示している。4AはIL−8の発現レベルを示し、4BはCOX−2の発現レベルを示し、4CはCXCR−2の発現レベルを示している。
【図4B】図4A〜4Cは、CRC患者について結腸の53cmの距離にわたる複合分析の結果を示している。4AはIL−8の発現レベルを示し、4BはCOX−2の発現レベルを示し、4CはCXCR−2の発現レベルを示している。
【図4C】図4A〜4Cは、CRC患者について結腸の53cmの距離にわたる複合分析の結果を示している。4AはIL−8の発現レベルを示し、4BはCOX−2の発現レベルを示し、4CはCXCR−2の発現レベルを示している。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜5から選ばれる少なくとも2つのポリヌクレオチドを含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項2】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリヌクレオチド発現レベルの分析のために選択される、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
ポリヌクレオチド発現レベルがmRNAである、請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
ポリヌクレオチド発現レベルがcDNAである、請求項2に記載のパネル。
【請求項5】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが断片である、請求項1に記載のパネル。
【請求項6】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが変種である、請求項1に記載のパネル。
【請求項7】
パネルを結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープにおける患者治療の管理のために使用する、請求項1に記載のパネル。
【請求項8】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項7に記載のパネル。
【請求項9】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項1に記載のパネル。
【請求項10】
配列番号1〜5から選ばれる少なくとも2つのポリヌクレオチド及び
配列番号6〜14から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチド
を含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項11】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリヌクレオチド発現レベルの分析のために選択される、請求項10に記載のパネル。
【請求項12】
ポリヌクレオチド発現レベルがmRNAである、請求項11に記載のパネル。
【請求項13】
ポリヌクレオチド発現レベルがcDNAである、請求項11に記載のパネル。
【請求項14】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが断片である、請求項10に記載のパネル。
【請求項15】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが変種である、請求項10に記載のパネル。
【請求項16】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープに対する患者治療の管理において使用する、請求項10に記載のパネル。
【請求項17】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項16に記載のパネル。
【請求項18】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項10に記載のパネル。
【請求項19】
配列番号1〜5から選ばれる少なくとも2つのポリヌクレオチド、
配列番号6〜14から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチド、及び
配列番号15〜22から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチド、
を含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項20】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリヌクレオチド発現レベルの分析のために選択される、請求項19に記載のパネル。
【請求項21】
ポリヌクレオチド発現レベルがmRNAである、請求項20に記載のパネル。
【請求項22】
ポリヌクレオチド発現レベルがcDNAである、請求項20に記載のパネル。
【請求項23】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが断片である、請求項19に記載のパネル。
【請求項24】
少なくとも1つのポリヌクレオチドが変種である、請求項19に記載のパネル。
【請求項25】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープにおける患者治療の管理の基礎である、請求項25に記載のパネル。
【請求項26】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項19に記載のパネル。
【請求項27】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項25に記載のパネル。
【請求項28】
配列番号23〜27から選ばれる少なくとも2つのポリペプチドを含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項29】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリペプチド発現レベルの分析のために選択される、請求項28に記載のパネル。
【請求項30】
少なくとも1つのポリペプチドが断片である、請求項28に記載のパネル。
【請求項31】
少なくとも1つのポリペプチドが変種である、請求項28に記載のパネル。
【請求項32】
パネルを結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープにおける患者治療の管理において使用する、請求項28に記載のパネル。
【請求項33】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項32に記載のパネル。
【請求項34】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項28に記載のパネル。
【請求項35】
配列番号23〜27から選ばれる少なくとも2つのポリペプチド、及び
配列番号28〜36から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド
を含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項36】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリペプチド発現レベルの分析のために選択される、請求項35に記載のパネル。
【請求項37】
少なくとも1つのポリペプチドが断片である、請求項35に記載のパネル。
【請求項38】
少なくとも1つのポリペプチドが変種である、請求項35に記載のパネル。
【請求項39】
パネルを結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープにおける患者治療の管理において使用する、請求項35に記載のパネル。
【請求項40】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項39に記載のパネル。
【請求項41】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項35に記載のパネル。
【請求項42】
配列番号23〜27から選ばれる少なくとも2つのポリペプチド、
配列番号28〜36から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド、及び
配列番号37〜44から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド
を含む、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネル。
【請求項43】
パネルが結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープについてのポリペプチド発現レベルの分析のために選択される、請求項42に記載のパネル。
【請求項44】
少なくとも1つのポリペプチドが断片である、請求項42に記載のパネル。
【請求項45】
少なくとも1つのポリペプチドが変種である、請求項42に記載のパネル。
【請求項46】
パネルを結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープにおける患者治療の管理において使用する、請求項42に記載のパネル。
【請求項47】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項46に記載のパネル。
【請求項48】
パネルを、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項42に記載のパネル。
【請求項49】
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用バイオマーカーからのポリヌクレオチドの発現レベルを測定する方法であって、
配列番号1〜5からの少なくとも2つのポリヌクレオチドを含むバイオマーカーのパネルを選択する工程、
生物試料を得る工程、
該試料から細胞RNAを単離する工程、
該パネルの各バイオマーカーについて、該試料からのcDNAのコピーを増幅する工程、及び、
該試料から増幅したcDNAのレベルを定量する工程
を含む方法。
【請求項50】
バイオマーカーのパネルを選択する工程が、配列番号6〜14からの少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
バイオマーカーのパネルを選択する工程が、配列番号6〜14からの少なくとも1つのポリヌクレオチド及び配列番号15〜22からの少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
cDNAのコピーを増幅する工程が、配列番号45〜50から選ばれるプライマーの少なくとも2セットを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
cDNAのコピーを増幅する工程が、cDNA調製用の酵素及び試薬を使用する工程を更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
cDNAのレベルを定量する工程が、cDNAを標識する工程を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
cDNAを標識する工程が、少なくとも1つの発色団を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
試料についてのcDNAレベルを対照と比較する、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
比較を、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの患者治療の管理において使用する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
比較を、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
生物試料を得る工程が、結腸直腸細胞試料を得ることによるものである、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
結腸直腸細胞試料を得る工程が最小限に侵襲性である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
最小限に侵襲性の工程がスワブの使用によるものである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
結腸直腸細胞試料を得る工程が非侵襲性である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
非侵襲性の工程が便試料の収集によるものである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用バイオマーカーからのポリペプチドの発現レベルを測定する方法であって、
配列番号23〜27からの少なくとも2つのポリペプチドを含むバイオマーカーのパネルを選択する工程、
生物試料を得る工程、
該パネルの各バイオマーカーについての抗体パネルを作成する工程、
該抗体パネルを使用して該試料からポリペプチドを結合させる工程及び、
該試料から該抗体パネルへ結合したポリペプチドのレベルを定量する工程
を含む方法。
【請求項66】
バイオマーカーのパネルを選択する工程が、配列番号28〜36からの少なくとも1つのポリペプチドを更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
バイオマーカーのパネルを選択する工程が、配列番号28〜36からの少なくとも1つのポリペプチド及び配列番号37〜44からの少なくとも1つのポリペプチドを更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
試料についてのポリペプチドレベルを対照と比較する、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
比較を、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの患者治療の管理において使用する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
患者治療の管理が、リスクアセスメント、早期診断、予後の確立、患者の治療の監視及び再発の検出の1以上を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
比較を、結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの治療的介入の発見において使用する、請求項に記載のパネル。
【請求項72】
生物試料を得る工程が、結腸直腸細胞試料を得ることによるものである、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
結腸直腸細胞試料を得る工程が最小限に侵襲性である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
最小限に侵襲性の工程がスワブの使用によるものである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
結腸直腸細胞試料を得る工程が非侵襲性である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
非侵襲性の工程が便試料の収集によるものである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
結合したポリペプチドを定量する工程が、該ポリペプチドを標識する工程を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項78】
ポリペプチドを標識する工程が、第二抗体を使用する工程を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの判定用のキットであって、
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネルについてポリヌクレオチド発現レベルの分析に使用する少なくとも1つの試薬、及び
該発現レベルの分析のために該キットを使用するための使用説明書
を含み、
該パネルは配列番号1〜5に列挙される少なくとも2つのポリヌクレオチドを含んでいるキット。
【請求項80】
バイオマーカーのパネルが、配列番号6〜14に列挙される少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項79に記載のキット。
【請求項81】
バイオマーカーのパネルが、配列番号6〜14から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチド、及び、配列番号15〜22から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項79に記載のキット。
【請求項82】
ポリヌクレオチド発現レベルがmRNAである、請求項79に記載のキット。
【請求項83】
ポリヌクレオチド発現レベルがcDNAである、請求項79に記載のキット。
【請求項84】
試薬が、配列番号45〜50から選ばれるプライマーの少なくとも2セットを含む、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
cDNA調製用の試薬を更に含む、請求項84に記載のキット。
【請求項86】
ポリヌクレオチドの検出及び定量に使用する試薬を含む、請求項79に記載のキット。
【請求項87】
試薬が、少なくとも1つの発色団を含む、請求項86に記載のキット。
【請求項88】
試料の収集、試料の調製及び試料の分析の少なくとも1つのための消耗実験器具を更に含む、請求項79に記載のキット。
【請求項89】
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープの判定用のキットであって、
結腸直腸癌及び結腸直腸ポリープ用のバイオマーカーのパネルについてポリペプチド発現レベルの分析に使用する少なくとも1つの試薬、及び
該発現レベルの分析のために該キットを使用するための使用説明書
を含み、
該パネルは配列番号23〜27に列挙される少なくとも2つのポリペプチドを含んでいるキット。
【請求項90】
バイオマーカーのパネルが、配列番号28〜36に列挙される少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項89に記載のキット。
【請求項91】
バイオマーカーのパネルが、配列番号28〜36から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチド、及び、配列番号37〜44から選ばれる少なくとも1つのポリヌクレオチドを更に含む、請求項89に記載のキット。
【請求項92】
試薬が、パネルにおいて選択されたポリペプチドに結合する抗体試薬である、請求項89に記載のキット。
【請求項93】
結合したポリペプチドの検出及び定量に使用する試薬を更に含む、請求項89に記載のキット。
【請求項94】
試薬が第二抗体を含む、請求項93に記載のキット。
【請求項95】
試料の収集、試料の調製及び試料の分析の少なくとも1つのための消耗実験器具を更に含む、請求項89に記載のキット。

【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2007−512801(P2007−512801A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521116(P2006−521116)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022594
【国際公開番号】WO2005/010486
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506020159)
【Fターム(参考)】