給水湯管の屈曲配管部保護カバー、及び屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造
【課題】
管の途中を屈曲させて1本の管の長さを長くし、しかも当該管の屈曲部において保護カバーが外れないようにすることである。
【解決手段】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管Pの途中を略90°に屈曲させた屈曲部P1 を収容保護するための給水湯管Pの屈曲配管部保護カバーK1 であって、前記保護カバーK1 を構成する基台V1 における2つの接続口17の近辺であって、屈曲配管経路A1 の外側には、給水湯管Pの熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管Pの2つの直線部P2 で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁W2 が形成され、前記保護カバーK1 内における屈曲配管経路A1 の外側には、熱膨張により伸長した給水湯管Pの屈曲部P1 の進入を許容する進入許容空間D2 が形成された構成とする。
管の途中を屈曲させて1本の管の長さを長くし、しかも当該管の屈曲部において保護カバーが外れないようにすることである。
【解決手段】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管Pの途中を略90°に屈曲させた屈曲部P1 を収容保護するための給水湯管Pの屈曲配管部保護カバーK1 であって、前記保護カバーK1 を構成する基台V1 における2つの接続口17の近辺であって、屈曲配管経路A1 の外側には、給水湯管Pの熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管Pの2つの直線部P2 で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁W2 が形成され、前記保護カバーK1 内における屈曲配管経路A1 の外側には、熱膨張により伸長した給水湯管Pの屈曲部P1 の進入を許容する進入許容空間D2 が形成された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲部を有する1本の給水湯管の当該屈曲部を収容配管するための屈曲配管部保護カバー、及び屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水湯管として、可撓性と適度な剛性を有していて、手で折曲げ可能な合成樹脂管(架橋ポリエチレン管や架橋ポリブデン管)が使用されている。リフォーム等で給水湯管(以下、単に「管」と略す場合もある)を壁に対して露出状態で配管する際には、管は保護カバー内に収容保護されることにより、配管経路が定められる。配管経路が壁面内、或いは壁面に対して垂直な面内で曲がっている場合には、可撓性を利用して管を屈曲させている(殆どの屈曲角度は、略90°である)。
【0003】
しかし、管の熱膨張(線膨張)により、当該管が伸長して保護カバーに当接して大きな力を作用させることにより、保護カバーを構成する基台に対して蓋体が外れてしまう。配管の途中に屈曲部を有していて、その一端部が給湯元となる蛇口71、湯沸し器等の蛇口類に接続されていると共に、その他端部が給湯先となる給湯器72、或いはその分岐管に接続されている場合〔蛇口71及び給湯器72に関してのみ図10(ロ)参照〕には、配管を構成する管の両端部はしっかりと固定されているため、熱膨張による伸長は前記屈曲部に集約され易いので、屈曲部の保護カバーの蓋体が特に外れ易い。なお、管の直線部を保護する保護カバーにおいても、管の直線部が熱膨張による伸長により蛇行して、蓋体が外れることもある。
【0004】
このため、特許文献1及び図10(ロ)に示されるように、屈曲部にはエルボ継手61を使用して直管状の管P0 どうしを接続していた。また、直線配管部においても、管の全長が長い場合には熱膨張により管が蛇行して、保護カバーの蓋体が外れることがあるため、1本の直管の長さを短くして、複数本の直管P0 を直線継手62を用いて接続して全体を1本の直管となるように施工していた〔図10(ハ)〕。このように、1本の管の長さを短くして多数の継手を使用すると、管と継手との接続箇所が増え、これに対応して漏水の危険が高まると共に、接続作業や接続確認のために手間がかかり、更に総部品点数が増大して部品、及び管理の各費用が嵩むという問題があった。一方、管の全長が長いと継手の数は減るが、熱膨張による負荷が特定の継手や管の屈曲部に集中して作用するため、負荷に対する負担が大きくなって、継手の部分においては、接続不良となって漏水が発生すると共に、屈曲部においては、上記したように保護カバーの蓋体が外れてしまう問題があった。
【0005】
従来の管の曲り部の配管に関しては、エルボ継手を使用している場合が大部分であるので、熱膨張による伸長の全てを管の直線部で吸収する配管となる。その結果、管の熱膨張により直線部の管の保護カバーの蓋体が外れるのを防止するには、直線部の管の長さを短くして、各直管を直線継手で接続する配管構造を採用せざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−101389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の配管構造の有する上記問題点に鑑み、管の途中を屈曲させた1本の長い管による配管を可能にし、しかも当該管の屈曲部において保護カバーの蓋体が外れないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管の熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成され、前記屈曲配管部保護カバー内には、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴としている。
【0009】
給水湯管の一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器、又は当該給湯器に接続された分岐管(以下、「給湯器類」という)に接続される。このように配管される給水湯管が壁面に平行又は垂直な平面内において略90°に屈曲されている場合において、当該給水湯管が給湯により加熱されて膨張した場合には、当該給水湯管の両端部は、蛇口類、或いは給湯器類にそれぞれしっかりと固定されているため、給水湯管が膨張して伸長された部分は、2つの直線部で蛇行するか、或いは屈曲部に集約される。
【0010】
請求項1の発明では、屈曲配管部保護カバーを構成する基台の2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、熱膨張による伸長、或いは屈曲された給水湯管の復元力により当接して、当該復元力により屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成されているため、給湯熱により給水湯管が膨張されても、各規制壁から給水湯管の両端に至る2つの直線部が直線配管経路から外側に移動することはなく、しかも屈曲部の部分は他の部材に対して固定されていない。この結果、加熱による給水湯管の伸長の大部分は屈曲部に集約されて吸収され、当該屈曲部が保護カバー内の屈曲配管経路から外側に移動する。請求項1の発明では、給水湯管が加熱されていない非膨張時に屈曲部を収容するために保護カバー内に形成された収容空間の外側には、当該収容空間に接続して進入許容空間が設けられていて、給水湯管の熱膨張による伸長部は、保護カバー内の収容空間に収容されている屈曲部に集約・吸収されるため、当該屈曲部は、給水湯管の膨張によって収容空間の外側の進入許容空間の側に移動して当該進入許容空間に収容される。この結果、加熱膨張により外側に移動する屈曲部が屈曲配管部保護カバーに対して力を及ぼさないので、基台に対して蓋体が外れなくなる。また、保護カバーの2つの接続口の近辺であって、屈曲配管経路の外側に形成された2つの規制壁の上記作用、及び保護カバー内に形成された進入許容空間の上記作用によって、加熱膨張による給水湯管の2つの直線部の蛇行量が少なくなるため、屈曲された給水湯管の直線配管経路に配設された直線配管部保護カバーの蓋体が基台から外れるのを防止することもできる。
【0011】
また、給水湯管の屈曲部は、元の形状に戻ろうとする復元力によって、保護カバーの基台の2つの接続口の近辺に設けられた各規制壁に当接した状態で、屈曲配管経路に沿って配管されるため、保護カバー内において位置ずれすることなくしっかりと配管できる。更に、途中に屈曲部が形成されている給水湯管の使用が可能になるために、1本の給水湯管の長さが長くなって、給水湯管どうしを接続するための継手の数が大幅に減少する。この結果、継手の部分における漏水等の発生が激減すると共に、配管作業の手間も少なくなって、配管を能率的に行える。また、継手の数が減少することにより部品コスト、管理コスト等も低下する。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基台における屈曲配管経路の内側には、給水湯管が乗り越えれない高さを有して、給水湯管の屈曲部を前記屈曲配管経路に沿わせて配管可能にするための案内壁が形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、保護カバーを構成する基台の屈曲配管経路の内側に、給水湯管が乗り越えられない高さを有して形成された案内壁に沿わせて給水湯管の屈曲部を配管すると、当該屈曲部は基台の屈曲配管経路に沿って配置される。このように、基台に形成された案内壁が給水湯管の屈曲部の初期配管の基準となるため、弾性復元力により2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように変形するために、取り扱いにくくて、配管時において屈曲部の配管が特に難しい屈曲部を有する給水湯管の配管を容易に行える。また、案内壁は給水湯管が乗り越えられない高さを有しているため、配管時に屈曲配管部保護カバー内において給水湯管の屈曲部が当該保護カバーの基台から外れるのを防止して、スムーズに配管できる。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管を当接させることにより、当該給水湯管の直線部及び屈曲部を直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導くべく、直線配管部保護カバーに形成された管保持部の管軸位置とほぼ一致する軸合せ部が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に発明によれば、屈曲された給水湯管の配管時において、屈曲配管部保護カバーの基台における2つの接続口の近辺であって、しかも屈曲配管経路の外側に形成された軸合せ部に給水湯管を当接させると、当該軸合せ部の管軸位置と直線配管部保護カバーの管保持部の管軸位置とはほぼ一致しているため、給水湯管における直線配管部保護カバーから屈曲配管部保護カバーにかけて配管される部分は、管軸位置が変化することなく、直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導かれて配管される。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記基台における進入許容空間内に形成されたビス固定部上を伸長した給水湯管の屈曲部が移動する際に、前記ビス固定部に挿通されたビスの頭部と前記屈曲部との摺接を回避すべく、前記屈曲部がビス頭部に当接することなく、当該ビスの頭部上を通過させるガイド部が前記基台の上面に形成されていることを特徴としている。
【0017】
給水湯管は、高温の湯の存否によって膨張と収縮を繰り返す。そして、給水湯管の屈曲部には、膨張時における給水湯管の伸長が集約されるため、保護カバー内の屈曲配管経路とその外側の部分において当該屈曲部は逆方向の移動を繰り返すが、基台におけるビス固定部の近傍に設けられたガイド部の存在によって、給水湯管は基台上面よりも前記ガイド部の高さだけ高い部分において逆方向の移動を繰り返す。よって、ビス固定部に挿通されたビスの頭部との当接が避けられて、極端な場合にはビスの頭部との当接の繰り返しにより給水湯管の部分破損が生じて、漏水等の恐れがあるが、請求項4の発明により当該漏水等を防止できる。
【0018】
また、請求項5の発明は、1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における屈曲配管経路の内側には、初期配管の基準となる案内壁が形成され、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記案内壁に沿って給水湯管の一部を当接させることにより、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を初期配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、1本の給水湯管の一部を、保護カバーを構成する基台に設けられた案内壁に当接させた状態で、当該給水湯管の屈曲部を屈曲配管経路に沿わせて収容空間に初期配管した後に、当該1本の給水湯管の複数の直線部を、直線配管部保護カバー内において、外周面を圧接する保持部により保持されることにより直線配管する。そして、屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長すると、1本の給水湯管の両端部は移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていると共に、給水湯管の各直線部は直線配管部保護カバー内において保持部に外周面が圧接された状態でしっかりと保持されているため、1本の給水湯管の伸長は屈曲部に集約される。
【0020】
また、請求項6の発明は、直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には、同一平面内で屈曲された屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成され、前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、前記案内壁に沿った状態で当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5の発明を「配管構造」の面から把握して表現したものであって、その配管途中、及び配管後の各状態は、請求項5の発明と実質的に同一である。
【0022】
また、請求項7の発明は、直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明によれば、1本の給水湯管の複数の直線部は、直線配管部保護カバー内において、外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、その屈曲部は、屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されて、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管される構造であるため、屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長すると、1本の給水湯管の両端部は移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていると共に、給水湯管の各直線部は直線配管部保護カバー内において保持部に外周面が圧接された状態でしっかりと保持されているため、1本の給水湯管の伸長は屈曲部に集約される。
【0024】
そして、伸長が集約された屈曲部は、当該伸長により屈曲配管部保護カバー内の屈曲配管経路の外側の進入許容空間内に移動すると共に、温度の低下により熱膨張された給水湯管が収縮すると、当該屈曲部は、熱膨張時と逆方向に移動して元の屈曲配管経路に戻る。このように、両端部が移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていて、途中に屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長した場合には、当該伸長は屈曲配管部保護カバー内に屈曲配管された屈曲部に集約されて、当該屈曲部は、屈曲配管経路の外側の進入許容空間内に進入するため、屈曲配管部保護カバーに当接して力を及ぼすことはない。よって、1本の給水湯管が熱膨張しても、屈曲配管部保護カバーの基台に対して蓋体が外れることはない。
【0025】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、前記直線配管部保護カバーの保持部により保持された給水湯管の管軸と略同一位置に給水湯管を配置可能とする軸合せ部が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項3の発明と同様である。
【0026】
また、請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、熱膨張による給水湯管の屈曲部の伸長を前記進入許容空間の側に導くために、前記屈曲配管経路の外側に配置されて給水湯管の外側面を当接させるための規制壁が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項1の発明の規制壁の作用効果と同様である。
【0027】
また、請求項10の発明は、請求項7ないし9のいずれかの発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項2の発明と同様である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、加熱による給水湯管の伸長の大部分は屈曲部に集約されて吸収され、当該屈曲部が保護カバー内の屈曲配管経路から外側に移動して進入許容空間に進入するため、加熱膨張により外側に移動する屈曲部が屈曲配管部保護カバーに対して力を及ぼさないので、保護カバーの基台に対して蓋体が外れなくなると共に、給水湯管の直線部の伸長が少なくなるために、直線部の保護カバーの蓋体も外れにくくなる。また、給水湯管の途中に屈曲部が形成されていて、1本の給水湯管の長さが長くなるので、給水湯管どうしを接続する継手の数が減少するため、配管作業の能率も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK1,K2,K3 を使用して管Pを壁面50に配管した状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の屈曲配管部保護カバーK1 を構成する基台V1 と蓋体L1 と屈曲された管Pの斜視図である。
【図3】屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の拡大斜視図である。
【図4】屈曲配管部保護カバーK1 内に管Pの屈曲部P1 を収容して配管した状態の平面図である。
【図5】(イ),(ロ)は、それぞれ図4のX1 −X1 線及びX2 −X2 線断面図である。
【図6】図4のX3 −X3 線矢視図である。
【図7】案内壁W1 を主体に示す屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の斜視図である。
【図8】基台V1 の案内壁W1 の部分の拡大平面断面図である。
【図9】屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の底面図である。
【図10】(イ)は、本発明に係る配管例の模式図であり、(ロ)及び(ハ)は、従来の配管例の模式図である。
【図11】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK2 を使用して、建物壁の入隅部N1 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図である。
【図12】同じく配管方向に沿った断面図(縦断面図)である。
【図13】図12のY−Y線矢視図である。
【図14】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK3 を使用して、建物壁の出隅部N2 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図である。
【図15】同じく配管方向に沿った断面図(縦断面図)である。
【図16】図15のZ−Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、最良の実施形態を複数挙げて本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
最初に、壁面50と平行な平面内において管Pを屈曲させて配管するのに使用される屈曲配管部保護カバーK1 について説明する。図1は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK1,K2,K3 を使用して管Pを壁面50に配管した状態の斜視図であり、図2は、本発明の実施例1の屈曲配管部保護カバーK1 を構成する基台V1 と蓋体L1 と屈曲された管Pの斜視図であり、図3は、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の拡大斜視図であり、図4は、屈曲配管部保護カバーK1 内に管Pの屈曲部P1 を収容して配管した状態の平面図であり、図5(イ),(ロ)は、それぞれ図4のX1 −X1 線及びX2 −X2 線断面図であり、図6は、図4のX3 −X3 線矢視図であり、図7は、案内壁W1 を主体に示す屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の斜視図であり、図8は、基台V1 の案内壁W1 の部分の拡大平面断面図であり、図9は、屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の底面図である。
【0032】
屈曲配管部保護カバーK1 は、図2ないし図6に示されるように、壁面50と平行な平面内において管Pを屈曲させて配管する場合に、当該屈曲部P1 を収容保護するためのカバーであって、複数本のビスBを介して壁面50に固定される基台V1 と、当該基台V1 とで管Pの収容空間D1 を形成して当該管Pを収容保護するための蓋体L1 とで構成される。基台V1 は、平面視において全体形状は変則L字状をなしていて、基台V1 の内側の外形線(後述する内係合壁部4の平面形状)は、中心角90°でかつ半径R1 の円弧部(わん曲部)1の両端に直線部が連続した形状であり、基台V1 の外側の外形線(後述する外係合壁部5の平面形状)は、中心角90°でかつ前記半径R1 の円弧部の中心C1 と異なる中心C2 を有して前記半径R1 よりも遥かに小さな半径R2 の円弧部(わん曲部)2の両端に直線部が連続した形状である。このため、基台V1 には、後述する直線配管部保護カバーK11によって定められる直線配管経路A2 と接続する円弧状の屈曲配管経路A1 が連続して形成されて、基台V1 の屈曲配管経路A1 の部分における配管方向に沿った幅は、両端から前記各中心C1 ,C2 を結ぶ位置までは徐々に広くなっていて、前記各中心C1 ,C2 を結ぶ位置において最大幅となっている。この結果、基台V1 に蓋体L1 を覆蓋することにより、屈曲配管経路A1 に沿った部分が管Pの収容空間D1 となり、屈曲配管経路A1 の配管方向に沿った中央部よりも外側の部分には、管Pの熱膨張により管Pの屈曲部P1 に伸長が集約された場合において当該屈曲部P1 が外側に移動して進入するのを許容する進入許容空間D2 (図2ないし図4参照)となっている。図4及び図5(ロ)に示されるように、収容空間D1 と進入許容空間D2 とを合成した空間には、対応する管Pが同時に3本程度収容できる大きさを有している。なお、屈曲配管部保護カバーK1 には、厳密には、円弧状の屈曲配管経路の両端に短い直線状の直線配管経路が接続された合成配管経路が形成されているが、本明細書における「屈曲配管経路」とは、屈曲配管部保護カバーK1 の内部に形成される配管経路の全て(円弧状の屈曲配管経路の両端に短い直線状の直線配管経路が接続された全配管経路)を意味する。
【0033】
屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の底板部3の幅方向の両端部には、内側及び外側の各外形線に沿って内外の各係合壁部4,5が全長に亘ってそれぞれ形成されている。各係合壁部4,5は、図5に示されるように、内外の各係合壁部4,5の上端が収容空間D1 に収容配管された管Pの管軸C3 よりも低い位置となるような高さを有する低い壁部である。内外の各係合壁部4,5の外側面には、被係合部4a,5aが外側に突出した形態で全長に亘ってそれぞれ形成されている。底板部3における配管方向に沿った中央部であって、内係合壁部4の内側面に近接した部分には、配管時において管Pの屈曲部P1 を沿わせる配管基準とする案内壁W1 が配管方向に沿うようにわん曲して形成されている。案内壁W1 は、図4、図7及び図8に示されるように、配管方向に沿って所定間隔をおいて、管Pを当接可能なように当該管Pの大きさに対応した断面円弧状の当接面6aが内側に形成された厚壁状の一対の管当接壁部6と、管Pの屈曲部P1 が各管当接壁部6から乗り越えるのを防止するために、当該一対の管当接壁部6の間に形成された薄壁状の乗越防止壁部7とで構成される。乗越防止壁部7の上端部は、基台V1 の内方に向けてわん曲されて、基台V1 の屈曲配管経路A1 に配管された管Pの屈曲部P1 の側面から斜上端に至る部分が当接して当該屈曲部P1 が一対の管当接壁部6から乗り越えるのを防止する高さを有する乗越防止板部7aとなっている。また、案内壁W1 を構成する一対の管当接壁部6は厚壁状であるのに対して、一対の管当接壁部6の間に配置される乗越防止壁部7は薄壁状であるため、両壁部6,7の接続部には、管当接壁部6のエッジ部6bが露出していて、当該エッジ部6bにより管Pの屈曲部P1 が損傷されるのを防止するために、一対の管当接壁部6の当接面6aにおける配管方向に沿って内端となる部分には、小突条8が高さ方向に沿って当接面6aに対応してわん曲して設けられている。なお、図7及び図8において、10は、底板部3における左右一対の管当接壁部6の間に形成された孔部を示す。
【0034】
また、図3、図4及び図6に示されるように、基台V1 の外係合壁部5の配管方向に沿った両端部であって、当該外係合壁部5に近接した部分(屈曲配管経路A1 の外側の部分)には、屈曲された管Pを当接保持させて当該管Pが外側に移動するのを防止すると同時に、直線配管部保護カバーK11の基台V11に形成された左右一対の管保持部43で保持された管Pの管軸C3 の位置と一致させて保持するための軸合せ部を兼用した規制壁W2 が形成されている。規制壁W2 の内側面は、前記管当接壁部6の内側面の当接面6aの上端部をそのまま上方に延長させた形状の当接面16となっている〔図5(イ)及び図6参照〕。従って、当接面16は、直線配管部保護カバーK11の基台V11の各管保持部43で保持された管Pの管軸C3 と一致させるべく、基台V11の各管保持部43との関係において高さ方向に沿った特定位置に、管Pの外径に対応する円弧面部16aと、当該円弧面部16aの上端に接続する垂直平面部16bとで構成される。
【0035】
また、基台V1 の底板部3の上面には、屈曲配管経路A1 に沿って配管される管Pの屈曲部P1 の管軸C3 の位置に対応する凹条9が形成され、底板部3における凹条9の両端部、及び外係合壁部5の円弧部(わん曲部)2の内側の計3箇所には、ビス下孔11a,11bがそれぞれ形成されている。ビス下孔11bは、屈曲配管経路A1 の外側の進入許容空間D2 に形成されていて、熱膨張により管Pの屈曲部P1 が進入許容空間D2 に進入したり、熱収縮により管Pが元の屈曲配管経路A1 に戻ることを繰り返すと、ビス下孔11bに挿通したビスBの頭部Baが管Pに摺接することが繰り返されて当該管Pの特定部が破損して漏水等する危険があり、この危険を回避するためにビス下孔11bの両側には、円弧部1の中心C1 と円弧部2の中心C2 とを結ぶ線分と平行となって所定高さH〔図5(ロ)参照〕を有する一対のガイド部12が形成されている。このため、進入許容空間D2 に進入する管Pの屈曲部P1 は、一対のガイド部12の上面に沿って移動するため、管Pの屈曲部P1 とビスBの頭部Baとの摺接を回避できる。また、基台V1 の底板部3の配管方向に沿った両端部には、同じく配管方向に沿って位置決め突片13が突出して形成されている。当該位置決め突片13は、図4及び図6に示されるように、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 と直線配管部保護カバーK11の基台V11とを接続する際に、当該基台V11の底板部41の裏面に形成された凹溝42に嵌合させて、幅方向(配管方向と直交する方向)の位置決めを行う部分である。
【0036】
また、図2、図5、図6及び図9に示されるように、蓋体L1 は、基台V1 に対応した平面形状と略U字状の横断面形状とを有していて、対向する一対の内外の各側板部31,32が天板部33で連結されて下面が開口しており、配管方向に沿った高さは同一であるが、その幅は、基台V1 の配管方向の幅の変化に対応して変化している。一対の内外の各側板部31,32の内側面であって、しかも開口に近い部分には、基台V1 の内外の各係合壁部4,5の外側に形成された各被係合部4a,5aと係合可能な複数の係合部31a,32aがそれぞれ形成されている。即ち、蓋体L1 の配管方向に沿った両端部における一対の内外の各側板部31,32の内側面にそれぞれ係合部31a,32aが対向して形成されていると共に、外側板部32における基台V1 の外係合壁部5の円弧部(わん曲部)2に対応する部分に係合部32aが形成され、計5個の係合部31a,32aが形成されている。基台V1 に対して蓋体L1 が覆蓋された状態において、保護カバーK1 の配管方向に沿った両端部は、互いに直交して配管される2本の直線配管部保護カバーK11をそれぞれ接続させる接続口17となっている。
【0037】
また、直線配管部保護カバーK11は、図2及び図6(図6では、直線配管部保護カバーK11は2点鎖線で示されている)に示されるように、基台V11と当該基台V11に覆蓋される蓋体L11とから成り、管Pは基台V11に形成された一対の管保持部43によって保持される。直線配管部と屈曲配管部の各保護カバーK11,K1 は、直線配管部保護カバーK11の基台V11に蓋体L11を覆蓋した状態において、当該蓋体L11が屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の配管方向に沿った端部で覆われるようにして互いに接続される。なお、図6において44は、左右一対の管保持部43の内側に配置されて、管Pの外周を覆う断熱材を示す。
【0038】
次に、リフォームによって建物の壁面50に沿って屈曲部P1 を有する管Pを屈曲配管部、及び直線配管部の各保護カバーK1 ,K11を使用して配管することにより、蛇口71を取付ける場合について説明する。まず、図2に示されるように、壁面50に罫書かれた配管の罫書き線を基準にして、各保護カバーK1 ,K11の基台V1 ,V11を壁面に固定する。まず、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の裏面に貼り付けられている両面テープT(図5及び図6参照)によって、当該基台V1 を壁面50に仮固定した後に、基台V1 の底板部3に形成された計3個の各ビス下孔11a,11bに挿通したビスBを介して基台V1 を壁面50に本固定する。次に、直線配管部保護カバーK11の基台V11の底板部41の凹溝42内に、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の位置決め突片13を嵌合させることにより、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 に対する直線配管部保護カバーK11の基台V11の幅方向の位置決めを行って、ビス(図示せず)を介して当該基台V11を壁面50に固定する。
【0039】
その後に、管Pを屈曲させた屈曲部P1 を、壁面50に固定された保護カバーK1 の基台V1 の屈曲配管経路A1 に沿って配管すると共に、管Pの直線部P2 を、壁面50に固定された保護カバーK11の基台V11の直線配管経路A2 に沿って配管する。管Pの屈曲部P1 を基台V1 の屈曲配管経路A1 に沿って配管する際には、管Pの屈曲部P1 の内側を案内壁W1 を構成する各管当接壁部6に沿わせるか、或いは当接させるかして、当該案内壁W1 を屈曲配管の基準として配管すると、管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との各接続部分は、屈曲された管Pの有する復元力により、基台V1 の配管方向に沿った両端部の規制壁W2 の当接面16に当接すると共に、案内壁W1 を構成する乗越防止壁部7の上端の乗越防止板部7aにより管Pの斜上側方の外周面が覆われて、管Pは、案内壁W1 から乗り越えるのを防止された形態で屈曲配管経路A1 に配管される。このように、管Pの屈曲部P1 は、元の形状に戻ろうとする復元力によって、保護カバーK1 の基台V1 の2つの接続口17の近辺に設けられた各規制壁W2 に当接した状態で、屈曲配管経路A1 に沿って配管されるため、保護カバーK1 内において位置ずれすることなくしっかりと配管できる。
【0040】
これにより、屈曲された管Pの各直線部P2 で形成される屈曲角度が大きくなるように変形して、当該管Pは、外側に移動するのが防止されて、その屈曲部P1 は、基台V1 に形成された屈曲配管経路A1 に沿って配管される。また、規制壁W2 の内面に形成された当接面16の円弧面部16aは、当該円弧面部16aに当接して保持される管Pの屈曲部P1 の管軸C3 を、直線配管部保護カバーK11の基台V11により保持される管Pの直線部P2 の管軸C3 に一致させる軸合せ部としての機能を併有しているため、管Pを上記のようにして基台V1 に配管すると、その屈曲部P1 は基台V1 の屈曲配管経路A1 に配管されると同時に、屈曲部P1 の両端部の軸合せも行われて、管Pの直線部P2 及び屈曲部P1 を直線配管経路A2 から屈曲配管経路A1 にスムーズに導くことができる。この結果、屈曲部P1 を有する管Pの屈曲配管をスムーズに行える。なお、管Pの両端部は、蛇口71に接続された継手、及び水平配管された他の2本の直管と接続する三方継手(いずれも図示せず)に接続される(図1参照)。
【0041】
次に、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 に対して蓋体L1 を押し込むと、当該蓋体L1 の内外の各側板部31,32の係合部31a,32aが基台V1 の被係合部4a,5aを通過する直前において外方に最大に弾性変形され、通過後において、各側板部31,32が原形状に復元して、基台V1 の被係合部4a,5aと蓋体L1 の係合部31a,32aとが係合されることにより、基台V1 と蓋体L1 とが一体化される(図5参照)。これにより、図4及び図5に示されるように、一体化された基台V1 と蓋体L1 とにより、基台V1 の内係合壁部4に沿って管Pの屈曲部P1 を収容する収容空間D1 が形成される。当該収容空間D1 は、管Pの屈曲部P1 を配管する屈曲配管経路A1 となり、屈曲配管経路A1 の配管方向に沿った中央部であって、当該屈曲配管経路A1 の外側には、熱膨張による管Pの伸長が屈曲部P1 に集約して、当該屈曲部P1 が外側に移動して進入するのを許容する進入許容空間D2 が形成される。
【0042】
上記のようにして配管された屈曲部P1 を有する管Pは、その両端部がそれぞれ蛇口71に接続された継手、及び水平配管された他の2本の直管と接続する三方継手(いずれも図示せず)にしっかりと接続されているため、管Pに湯が長時間に亘って供給された場合には、熱膨張による管Pの伸長は、当該管Pの直線部P2 の蛇行及び屈曲部P1 の移動の少なくとも一方により吸収される。本発明においては、管Pの屈曲部P1 は、その屈曲配管経路A1 の外側に大きな進入許容空間D2 が形成された屈曲配管部保護カバーK1 内に収容され、しかも管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との接続部は、いずれも規制壁W2 により外側への自由移動が規制されている。即ち、管Pの屈曲部P1 は、その外側の進入許容空間D2 に移動し易い構造で配管されているため、管Pの直線部P2 の蛇行変形はないか、或いは従来のエルボ継手を使用した配管構造に比較して少なくなるため、管Pの全体としての伸長の大部分は、屈曲部P1 に集約される。このため、管Pが熱膨張すると、その伸長が集約された屈曲部P1 は、図4及び図5(ロ)で2点鎖線で示されるように、本来の屈曲配管経路A1 の外側の進入許容空間D2 に進入するように移動して収容される。管Pの屈曲部P1 が進入許容空間D2 に進入した場合でも、当該屈曲部P1 は、保護カバーK1 の蓋体L1 に当接することはないので、基台V1 に対して蓋体L1 が外れる恐れはない。
【0043】
また、管Pは高温の湯の存否、及び当該存否時間の長短によって伸縮を繰り返し、管Pに水が供給される等して温度が低下した場合には、熱膨張時を基準にすると、管Pは収縮するが、その収縮の大部分も上記理由により屈曲部P1 に集約されるため、熱収縮により当該屈曲部P1 は、元の屈曲配管経路A1 に戻る。このように、管Pに供給される湯水の温度、及びその存在時間の長短によって、当該管Pが熱膨張と熱収縮を繰り返すことにより、管Pの屈曲部P1 は、保護カバーK1 の蓋体L1 に当接することなく、保護カバーK1 の収容空間D1 とその外側の進入許容空間D2 との間の逆方向の移動を繰り返すため、保護カバーK1 の蓋体L1 は外れない。一方、直線配管部保護カバーK11に関しては、管Pの熱膨張による伸長が屈曲部P1 に集約されて、管Pの直線部P2 の蛇行による伸長は小さくなるため、管Pの直線部P2 の蛇行量も少なくなる。よって、直線配管部保護カバーK11に関しても、収容保護している管Pの直線部P2 の蛇行量は少なくなるため、基台V11に対して蓋体L11が外れることは殆どなくなる。結果として、屈曲配管部、及び直線配管部のいずれの保護カバーK1 ,K11の蓋体L1 ,L11も外れなくなる。
【0044】
図10(イ)は、本発明に係る屈曲部P1 を有する1本の管Pによる配管構造を、従来の配管構造との比較で示した模式図である。なお、図10は、本発明と従来の各配管構造を模式的に図示するものであるので、図10(イ)は、図1の配管構造と近似しているが完全には整合していない。図10の模式図から明白なように、本発明の配管構造によれば、管Pの屈曲部P1 を保護するカバーK1 の蓋体L1 及び直線部P2 を保護するカバーK11の蓋体L11の双方が外れないという利点のみならず、従来の配管の屈曲部で使用していたエルボ継手の数が半減するため、配管経路に使用する継手の総数が半減する利点も有する。使用継手の総数の半減により、継手の部分における漏水等の発生が激減すると共に、配管作業の手間も少なくなって、配管を能率的に行える。なお、請求項6及び7の各発明において、少なくとも1箇所に屈曲部を有する1本の給水湯管の両端部が接続される「蛇口類」及び「給湯器類」とは、「蛇口」及び「給湯器」そのものである場合は勿論のこと、他の配管材と接続するのに使用される「接続具〔図10(イ)のエルボ継手61等」も含まれる。
【0045】
なお、上記実施例1において、案内壁W1 は、屈曲配管経路A1 に沿った中央部のみに部分的に形成されているため、管Pを過剰屈曲させた後に開放させると、復元力により屈曲部P1 の両端部を各規制壁W2 に自然に当接させられるので、屈曲配管が容易となる利点があるが、屈曲配管経路A1 の両端部を除くほぼ全長に亘って形成することも可能である。
【実施例2】
【0046】
引き続いて、図11ないし図13を参照して、管Pの屈曲部P1 が建物壁の入隅部N1 に配置される場合に使用される本発明の実施例2の屈曲配管部保護カバーK2 について説明する。図11は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK2 を使用して、建物壁の入隅部N1 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図であり、図12は、同じく配管方向に沿った断面図であり、図13は、図12のY−Y線矢視図である。屈曲配管部保護カバーK2 は、L字形の側面形状を有する基台V2 と、当該基台V2 の内側の面を覆うように覆蓋される蓋体L2 とから成る。基台V2 は、配管方向の中央部で直交する底板部81の幅方向の両端部にそれぞれ係合壁部82が形成され、底板部81の配管方向の両端部に管規制部83がそれぞれ形成され、両端の各管規制部83の間に、管Pの屈曲部P1 の配管を案内する案内壁W3 が配管方向に沿ってわん曲し、しかも底板部81と対向する側が開口した形態で、横断面視において一端部が一方の係合壁部82に対して一体に形成されている。このため、案内壁W3 の開口84と、直交した底板部81との間に、管Pの熱膨張によって伸長した屈曲部P1 の進入を許容する進入許容空間D2'が形成される。
【0047】
建物壁の入隅部N1 に屈曲配管部保護カバーK2 の基台V2 を複数本のビスBを介して固定しておいて、管Pの屈曲部P1 を案内壁W3 の開口84の側から当該案内壁W3 内に挿入して開放すると、当該屈曲部P1 の配管方向の両端部は、復元力によって各管規制部83の上面の円弧状の規制面83aに当接して、管Pが外側に移動するのが防止されて、管Pの屈曲部P1 の屈曲状態が定められる。この状態で、基台V2 に対して蓋体L2 を覆蓋すると、建物壁の入隅部N1 に配置された管Pの屈曲部P1 は、当該屈曲部P1 の屈曲状態を保持して屈曲配管部保護カバーK2 内に収容される。なお、屈曲配管部保護カバーK2 の基台V2 と直線配管部保護カバーK11の基台V11との接続は、実施例1と同様である。
【0048】
そして、管Pが熱膨張により伸長すると、その屈曲部P1 に伸長が集約されて、屈曲部P1 は開口84から抜け出て、当該開口84の外側の進入許容空間D2'に進入すると共に、管Pが熱収縮により収縮すると、進入許容空間D2'に進入していた屈曲部P1 は開口84から元の収容空間D1'に戻って収容される。よって、屈曲配管部保護カバーK2 を使用すれば、入隅部N1 に配置される管Pの屈曲部P1 の伸長を進入許容空間D2'内において吸収できるため、屈曲配管部保護カバーK2 の蓋体L2 及び直線配管部保護カバーK11の蓋体L11が外れるのを防止できる。
【実施例3】
【0049】
次に、図14ないし図16を参照して、管Pの屈曲部P1 が建物壁の出隅部N2 に配置される場合に使用される本発明の実施例3の屈曲配管部保護カバーK3 について説明する。図14は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK3 を使用して、建物壁の出隅部N2 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図であり、図15は、同じく配管方向に沿った断面図であり、図16は、図15のZ−Z線断面図である。屈曲配管部保護カバーK3 は、L字形の側面形状を有する基台V3 と、当該基台V3 の外側の面を覆うようにして覆蓋される蓋体L3 とから成る。基台V3 は、配管方向の中央部で直交する底板部91の幅方向の両端部であって、しかも配管方向に沿った両端部に係合壁部92がそれぞれ形成され、底板部91の配管方向の両端部に断面円弧状をした管規制部93がそれぞれ形成され、底板部91の配管方向に沿った中央部には、管Pの屈曲部P1 の曲率半径を大きくするための膨出部94が形成された構成である。一方、基台V3 に係合により覆蓋される蓋体L3 は、配管方向に沿った中央部が外方に大きく膨出した膨出部95が形成されて、当該膨出部95の内部が進入許容空間D2'' となった構成である。
【0050】
このため、建物壁の出隅部N2 に複数本のビスBを介して基台V3 を固定した後に、管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との各接続部を基台V3 の管規制部93にそれぞれ嵌め込むと、屈曲された管Pの復元力により管Pの前記各接続部は、各管規制部93の内周面に当接して、屈曲部P1 の屈曲状態が保持される。その後に、基台V3 に対して蓋体L3 を覆蓋すると、管Pの屈曲部P1 は、屈曲配管経路の外側に進入許容空間D2'' が形成された形態で保護カバーK3 内に収容保護される。このため、建物壁の出隅部N2 に配管された管Pが熱膨張しても、屈曲部P1 は外側の進入許容空間D2'' に進入するため、管Pの熱膨張によって保護カバーK3 の蓋体L3 及び直線配管部保護カバーK11の蓋体L11が外れるのを防止できる。なお、図15において、D1'' は、保護カバーK3 の屈曲配管経路に形成された管Pの屈曲部P1 の収容空間を示す。
【符号の説明】
【0051】
A1 :屈曲配管経路
A2 :直線配管経路
B:ビス
Ba:ビスの頭部
C3 :管軸
D1 :収容空間
D2,D2', D2'' :進入許容空間
K1 〜K3 :屈曲配管部保護カバー
K11:直線配管部保護カバー
L1 〜L3 :蓋体
P:屈曲部を有する給水湯管
P0 :直管状の給水湯管
P1 :給水湯管の屈曲部
P2 :給水湯管の直線部
V1 〜V3 :基台
W1,W3 :案内壁
W2 :規制壁(軸合せ部)
7:乗越防止壁部
12:ガイド部
17:接続口
50:壁面
83,93:管規制部(規制壁部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲部を有する1本の給水湯管の当該屈曲部を収容配管するための屈曲配管部保護カバー、及び屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水湯管として、可撓性と適度な剛性を有していて、手で折曲げ可能な合成樹脂管(架橋ポリエチレン管や架橋ポリブデン管)が使用されている。リフォーム等で給水湯管(以下、単に「管」と略す場合もある)を壁に対して露出状態で配管する際には、管は保護カバー内に収容保護されることにより、配管経路が定められる。配管経路が壁面内、或いは壁面に対して垂直な面内で曲がっている場合には、可撓性を利用して管を屈曲させている(殆どの屈曲角度は、略90°である)。
【0003】
しかし、管の熱膨張(線膨張)により、当該管が伸長して保護カバーに当接して大きな力を作用させることにより、保護カバーを構成する基台に対して蓋体が外れてしまう。配管の途中に屈曲部を有していて、その一端部が給湯元となる蛇口71、湯沸し器等の蛇口類に接続されていると共に、その他端部が給湯先となる給湯器72、或いはその分岐管に接続されている場合〔蛇口71及び給湯器72に関してのみ図10(ロ)参照〕には、配管を構成する管の両端部はしっかりと固定されているため、熱膨張による伸長は前記屈曲部に集約され易いので、屈曲部の保護カバーの蓋体が特に外れ易い。なお、管の直線部を保護する保護カバーにおいても、管の直線部が熱膨張による伸長により蛇行して、蓋体が外れることもある。
【0004】
このため、特許文献1及び図10(ロ)に示されるように、屈曲部にはエルボ継手61を使用して直管状の管P0 どうしを接続していた。また、直線配管部においても、管の全長が長い場合には熱膨張により管が蛇行して、保護カバーの蓋体が外れることがあるため、1本の直管の長さを短くして、複数本の直管P0 を直線継手62を用いて接続して全体を1本の直管となるように施工していた〔図10(ハ)〕。このように、1本の管の長さを短くして多数の継手を使用すると、管と継手との接続箇所が増え、これに対応して漏水の危険が高まると共に、接続作業や接続確認のために手間がかかり、更に総部品点数が増大して部品、及び管理の各費用が嵩むという問題があった。一方、管の全長が長いと継手の数は減るが、熱膨張による負荷が特定の継手や管の屈曲部に集中して作用するため、負荷に対する負担が大きくなって、継手の部分においては、接続不良となって漏水が発生すると共に、屈曲部においては、上記したように保護カバーの蓋体が外れてしまう問題があった。
【0005】
従来の管の曲り部の配管に関しては、エルボ継手を使用している場合が大部分であるので、熱膨張による伸長の全てを管の直線部で吸収する配管となる。その結果、管の熱膨張により直線部の管の保護カバーの蓋体が外れるのを防止するには、直線部の管の長さを短くして、各直管を直線継手で接続する配管構造を採用せざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−101389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の配管構造の有する上記問題点に鑑み、管の途中を屈曲させた1本の長い管による配管を可能にし、しかも当該管の屈曲部において保護カバーの蓋体が外れないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管の熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成され、前記屈曲配管部保護カバー内には、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴としている。
【0009】
給水湯管の一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器、又は当該給湯器に接続された分岐管(以下、「給湯器類」という)に接続される。このように配管される給水湯管が壁面に平行又は垂直な平面内において略90°に屈曲されている場合において、当該給水湯管が給湯により加熱されて膨張した場合には、当該給水湯管の両端部は、蛇口類、或いは給湯器類にそれぞれしっかりと固定されているため、給水湯管が膨張して伸長された部分は、2つの直線部で蛇行するか、或いは屈曲部に集約される。
【0010】
請求項1の発明では、屈曲配管部保護カバーを構成する基台の2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、熱膨張による伸長、或いは屈曲された給水湯管の復元力により当接して、当該復元力により屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成されているため、給湯熱により給水湯管が膨張されても、各規制壁から給水湯管の両端に至る2つの直線部が直線配管経路から外側に移動することはなく、しかも屈曲部の部分は他の部材に対して固定されていない。この結果、加熱による給水湯管の伸長の大部分は屈曲部に集約されて吸収され、当該屈曲部が保護カバー内の屈曲配管経路から外側に移動する。請求項1の発明では、給水湯管が加熱されていない非膨張時に屈曲部を収容するために保護カバー内に形成された収容空間の外側には、当該収容空間に接続して進入許容空間が設けられていて、給水湯管の熱膨張による伸長部は、保護カバー内の収容空間に収容されている屈曲部に集約・吸収されるため、当該屈曲部は、給水湯管の膨張によって収容空間の外側の進入許容空間の側に移動して当該進入許容空間に収容される。この結果、加熱膨張により外側に移動する屈曲部が屈曲配管部保護カバーに対して力を及ぼさないので、基台に対して蓋体が外れなくなる。また、保護カバーの2つの接続口の近辺であって、屈曲配管経路の外側に形成された2つの規制壁の上記作用、及び保護カバー内に形成された進入許容空間の上記作用によって、加熱膨張による給水湯管の2つの直線部の蛇行量が少なくなるため、屈曲された給水湯管の直線配管経路に配設された直線配管部保護カバーの蓋体が基台から外れるのを防止することもできる。
【0011】
また、給水湯管の屈曲部は、元の形状に戻ろうとする復元力によって、保護カバーの基台の2つの接続口の近辺に設けられた各規制壁に当接した状態で、屈曲配管経路に沿って配管されるため、保護カバー内において位置ずれすることなくしっかりと配管できる。更に、途中に屈曲部が形成されている給水湯管の使用が可能になるために、1本の給水湯管の長さが長くなって、給水湯管どうしを接続するための継手の数が大幅に減少する。この結果、継手の部分における漏水等の発生が激減すると共に、配管作業の手間も少なくなって、配管を能率的に行える。また、継手の数が減少することにより部品コスト、管理コスト等も低下する。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基台における屈曲配管経路の内側には、給水湯管が乗り越えれない高さを有して、給水湯管の屈曲部を前記屈曲配管経路に沿わせて配管可能にするための案内壁が形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、保護カバーを構成する基台の屈曲配管経路の内側に、給水湯管が乗り越えられない高さを有して形成された案内壁に沿わせて給水湯管の屈曲部を配管すると、当該屈曲部は基台の屈曲配管経路に沿って配置される。このように、基台に形成された案内壁が給水湯管の屈曲部の初期配管の基準となるため、弾性復元力により2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように変形するために、取り扱いにくくて、配管時において屈曲部の配管が特に難しい屈曲部を有する給水湯管の配管を容易に行える。また、案内壁は給水湯管が乗り越えられない高さを有しているため、配管時に屈曲配管部保護カバー内において給水湯管の屈曲部が当該保護カバーの基台から外れるのを防止して、スムーズに配管できる。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管を当接させることにより、当該給水湯管の直線部及び屈曲部を直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導くべく、直線配管部保護カバーに形成された管保持部の管軸位置とほぼ一致する軸合せ部が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に発明によれば、屈曲された給水湯管の配管時において、屈曲配管部保護カバーの基台における2つの接続口の近辺であって、しかも屈曲配管経路の外側に形成された軸合せ部に給水湯管を当接させると、当該軸合せ部の管軸位置と直線配管部保護カバーの管保持部の管軸位置とはほぼ一致しているため、給水湯管における直線配管部保護カバーから屈曲配管部保護カバーにかけて配管される部分は、管軸位置が変化することなく、直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導かれて配管される。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記基台における進入許容空間内に形成されたビス固定部上を伸長した給水湯管の屈曲部が移動する際に、前記ビス固定部に挿通されたビスの頭部と前記屈曲部との摺接を回避すべく、前記屈曲部がビス頭部に当接することなく、当該ビスの頭部上を通過させるガイド部が前記基台の上面に形成されていることを特徴としている。
【0017】
給水湯管は、高温の湯の存否によって膨張と収縮を繰り返す。そして、給水湯管の屈曲部には、膨張時における給水湯管の伸長が集約されるため、保護カバー内の屈曲配管経路とその外側の部分において当該屈曲部は逆方向の移動を繰り返すが、基台におけるビス固定部の近傍に設けられたガイド部の存在によって、給水湯管は基台上面よりも前記ガイド部の高さだけ高い部分において逆方向の移動を繰り返す。よって、ビス固定部に挿通されたビスの頭部との当接が避けられて、極端な場合にはビスの頭部との当接の繰り返しにより給水湯管の部分破損が生じて、漏水等の恐れがあるが、請求項4の発明により当該漏水等を防止できる。
【0018】
また、請求項5の発明は、1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における屈曲配管経路の内側には、初期配管の基準となる案内壁が形成され、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記案内壁に沿って給水湯管の一部を当接させることにより、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を初期配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、1本の給水湯管の一部を、保護カバーを構成する基台に設けられた案内壁に当接させた状態で、当該給水湯管の屈曲部を屈曲配管経路に沿わせて収容空間に初期配管した後に、当該1本の給水湯管の複数の直線部を、直線配管部保護カバー内において、外周面を圧接する保持部により保持されることにより直線配管する。そして、屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長すると、1本の給水湯管の両端部は移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていると共に、給水湯管の各直線部は直線配管部保護カバー内において保持部に外周面が圧接された状態でしっかりと保持されているため、1本の給水湯管の伸長は屈曲部に集約される。
【0020】
また、請求項6の発明は、直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には、同一平面内で屈曲された屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成され、前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、前記案内壁に沿った状態で当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5の発明を「配管構造」の面から把握して表現したものであって、その配管途中、及び配管後の各状態は、請求項5の発明と実質的に同一である。
【0022】
また、請求項7の発明は、直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明によれば、1本の給水湯管の複数の直線部は、直線配管部保護カバー内において、外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、その屈曲部は、屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されて、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管される構造であるため、屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長すると、1本の給水湯管の両端部は移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていると共に、給水湯管の各直線部は直線配管部保護カバー内において保持部に外周面が圧接された状態でしっかりと保持されているため、1本の給水湯管の伸長は屈曲部に集約される。
【0024】
そして、伸長が集約された屈曲部は、当該伸長により屈曲配管部保護カバー内の屈曲配管経路の外側の進入許容空間内に移動すると共に、温度の低下により熱膨張された給水湯管が収縮すると、当該屈曲部は、熱膨張時と逆方向に移動して元の屈曲配管経路に戻る。このように、両端部が移動できないように蛇口類、及び給湯器類に接続されていて、途中に屈曲部を有する1本の給水湯管が熱膨張により伸長した場合には、当該伸長は屈曲配管部保護カバー内に屈曲配管された屈曲部に集約されて、当該屈曲部は、屈曲配管経路の外側の進入許容空間内に進入するため、屈曲配管部保護カバーに当接して力を及ぼすことはない。よって、1本の給水湯管が熱膨張しても、屈曲配管部保護カバーの基台に対して蓋体が外れることはない。
【0025】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、前記直線配管部保護カバーの保持部により保持された給水湯管の管軸と略同一位置に給水湯管を配置可能とする軸合せ部が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項3の発明と同様である。
【0026】
また、請求項9の発明は、請求項7又は8の発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、熱膨張による給水湯管の屈曲部の伸長を前記進入許容空間の側に導くために、前記屈曲配管経路の外側に配置されて給水湯管の外側面を当接させるための規制壁が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項1の発明の規制壁の作用効果と同様である。
【0027】
また、請求項10の発明は、請求項7ないし9のいずれかの発明において、前記屈曲配管部保護カバー内には、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成されていることを特徴としており、その作用効果は、請求項2の発明と同様である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、加熱による給水湯管の伸長の大部分は屈曲部に集約されて吸収され、当該屈曲部が保護カバー内の屈曲配管経路から外側に移動して進入許容空間に進入するため、加熱膨張により外側に移動する屈曲部が屈曲配管部保護カバーに対して力を及ぼさないので、保護カバーの基台に対して蓋体が外れなくなると共に、給水湯管の直線部の伸長が少なくなるために、直線部の保護カバーの蓋体も外れにくくなる。また、給水湯管の途中に屈曲部が形成されていて、1本の給水湯管の長さが長くなるので、給水湯管どうしを接続する継手の数が減少するため、配管作業の能率も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK1,K2,K3 を使用して管Pを壁面50に配管した状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の屈曲配管部保護カバーK1 を構成する基台V1 と蓋体L1 と屈曲された管Pの斜視図である。
【図3】屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の拡大斜視図である。
【図4】屈曲配管部保護カバーK1 内に管Pの屈曲部P1 を収容して配管した状態の平面図である。
【図5】(イ),(ロ)は、それぞれ図4のX1 −X1 線及びX2 −X2 線断面図である。
【図6】図4のX3 −X3 線矢視図である。
【図7】案内壁W1 を主体に示す屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の斜視図である。
【図8】基台V1 の案内壁W1 の部分の拡大平面断面図である。
【図9】屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の底面図である。
【図10】(イ)は、本発明に係る配管例の模式図であり、(ロ)及び(ハ)は、従来の配管例の模式図である。
【図11】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK2 を使用して、建物壁の入隅部N1 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図である。
【図12】同じく配管方向に沿った断面図(縦断面図)である。
【図13】図12のY−Y線矢視図である。
【図14】本発明に係る屈曲配管部保護カバーK3 を使用して、建物壁の出隅部N2 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図である。
【図15】同じく配管方向に沿った断面図(縦断面図)である。
【図16】図15のZ−Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、最良の実施形態を複数挙げて本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
最初に、壁面50と平行な平面内において管Pを屈曲させて配管するのに使用される屈曲配管部保護カバーK1 について説明する。図1は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK1,K2,K3 を使用して管Pを壁面50に配管した状態の斜視図であり、図2は、本発明の実施例1の屈曲配管部保護カバーK1 を構成する基台V1 と蓋体L1 と屈曲された管Pの斜視図であり、図3は、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の拡大斜視図であり、図4は、屈曲配管部保護カバーK1 内に管Pの屈曲部P1 を収容して配管した状態の平面図であり、図5(イ),(ロ)は、それぞれ図4のX1 −X1 線及びX2 −X2 線断面図であり、図6は、図4のX3 −X3 線矢視図であり、図7は、案内壁W1 を主体に示す屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の斜視図であり、図8は、基台V1 の案内壁W1 の部分の拡大平面断面図であり、図9は、屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の底面図である。
【0032】
屈曲配管部保護カバーK1 は、図2ないし図6に示されるように、壁面50と平行な平面内において管Pを屈曲させて配管する場合に、当該屈曲部P1 を収容保護するためのカバーであって、複数本のビスBを介して壁面50に固定される基台V1 と、当該基台V1 とで管Pの収容空間D1 を形成して当該管Pを収容保護するための蓋体L1 とで構成される。基台V1 は、平面視において全体形状は変則L字状をなしていて、基台V1 の内側の外形線(後述する内係合壁部4の平面形状)は、中心角90°でかつ半径R1 の円弧部(わん曲部)1の両端に直線部が連続した形状であり、基台V1 の外側の外形線(後述する外係合壁部5の平面形状)は、中心角90°でかつ前記半径R1 の円弧部の中心C1 と異なる中心C2 を有して前記半径R1 よりも遥かに小さな半径R2 の円弧部(わん曲部)2の両端に直線部が連続した形状である。このため、基台V1 には、後述する直線配管部保護カバーK11によって定められる直線配管経路A2 と接続する円弧状の屈曲配管経路A1 が連続して形成されて、基台V1 の屈曲配管経路A1 の部分における配管方向に沿った幅は、両端から前記各中心C1 ,C2 を結ぶ位置までは徐々に広くなっていて、前記各中心C1 ,C2 を結ぶ位置において最大幅となっている。この結果、基台V1 に蓋体L1 を覆蓋することにより、屈曲配管経路A1 に沿った部分が管Pの収容空間D1 となり、屈曲配管経路A1 の配管方向に沿った中央部よりも外側の部分には、管Pの熱膨張により管Pの屈曲部P1 に伸長が集約された場合において当該屈曲部P1 が外側に移動して進入するのを許容する進入許容空間D2 (図2ないし図4参照)となっている。図4及び図5(ロ)に示されるように、収容空間D1 と進入許容空間D2 とを合成した空間には、対応する管Pが同時に3本程度収容できる大きさを有している。なお、屈曲配管部保護カバーK1 には、厳密には、円弧状の屈曲配管経路の両端に短い直線状の直線配管経路が接続された合成配管経路が形成されているが、本明細書における「屈曲配管経路」とは、屈曲配管部保護カバーK1 の内部に形成される配管経路の全て(円弧状の屈曲配管経路の両端に短い直線状の直線配管経路が接続された全配管経路)を意味する。
【0033】
屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の底板部3の幅方向の両端部には、内側及び外側の各外形線に沿って内外の各係合壁部4,5が全長に亘ってそれぞれ形成されている。各係合壁部4,5は、図5に示されるように、内外の各係合壁部4,5の上端が収容空間D1 に収容配管された管Pの管軸C3 よりも低い位置となるような高さを有する低い壁部である。内外の各係合壁部4,5の外側面には、被係合部4a,5aが外側に突出した形態で全長に亘ってそれぞれ形成されている。底板部3における配管方向に沿った中央部であって、内係合壁部4の内側面に近接した部分には、配管時において管Pの屈曲部P1 を沿わせる配管基準とする案内壁W1 が配管方向に沿うようにわん曲して形成されている。案内壁W1 は、図4、図7及び図8に示されるように、配管方向に沿って所定間隔をおいて、管Pを当接可能なように当該管Pの大きさに対応した断面円弧状の当接面6aが内側に形成された厚壁状の一対の管当接壁部6と、管Pの屈曲部P1 が各管当接壁部6から乗り越えるのを防止するために、当該一対の管当接壁部6の間に形成された薄壁状の乗越防止壁部7とで構成される。乗越防止壁部7の上端部は、基台V1 の内方に向けてわん曲されて、基台V1 の屈曲配管経路A1 に配管された管Pの屈曲部P1 の側面から斜上端に至る部分が当接して当該屈曲部P1 が一対の管当接壁部6から乗り越えるのを防止する高さを有する乗越防止板部7aとなっている。また、案内壁W1 を構成する一対の管当接壁部6は厚壁状であるのに対して、一対の管当接壁部6の間に配置される乗越防止壁部7は薄壁状であるため、両壁部6,7の接続部には、管当接壁部6のエッジ部6bが露出していて、当該エッジ部6bにより管Pの屈曲部P1 が損傷されるのを防止するために、一対の管当接壁部6の当接面6aにおける配管方向に沿って内端となる部分には、小突条8が高さ方向に沿って当接面6aに対応してわん曲して設けられている。なお、図7及び図8において、10は、底板部3における左右一対の管当接壁部6の間に形成された孔部を示す。
【0034】
また、図3、図4及び図6に示されるように、基台V1 の外係合壁部5の配管方向に沿った両端部であって、当該外係合壁部5に近接した部分(屈曲配管経路A1 の外側の部分)には、屈曲された管Pを当接保持させて当該管Pが外側に移動するのを防止すると同時に、直線配管部保護カバーK11の基台V11に形成された左右一対の管保持部43で保持された管Pの管軸C3 の位置と一致させて保持するための軸合せ部を兼用した規制壁W2 が形成されている。規制壁W2 の内側面は、前記管当接壁部6の内側面の当接面6aの上端部をそのまま上方に延長させた形状の当接面16となっている〔図5(イ)及び図6参照〕。従って、当接面16は、直線配管部保護カバーK11の基台V11の各管保持部43で保持された管Pの管軸C3 と一致させるべく、基台V11の各管保持部43との関係において高さ方向に沿った特定位置に、管Pの外径に対応する円弧面部16aと、当該円弧面部16aの上端に接続する垂直平面部16bとで構成される。
【0035】
また、基台V1 の底板部3の上面には、屈曲配管経路A1 に沿って配管される管Pの屈曲部P1 の管軸C3 の位置に対応する凹条9が形成され、底板部3における凹条9の両端部、及び外係合壁部5の円弧部(わん曲部)2の内側の計3箇所には、ビス下孔11a,11bがそれぞれ形成されている。ビス下孔11bは、屈曲配管経路A1 の外側の進入許容空間D2 に形成されていて、熱膨張により管Pの屈曲部P1 が進入許容空間D2 に進入したり、熱収縮により管Pが元の屈曲配管経路A1 に戻ることを繰り返すと、ビス下孔11bに挿通したビスBの頭部Baが管Pに摺接することが繰り返されて当該管Pの特定部が破損して漏水等する危険があり、この危険を回避するためにビス下孔11bの両側には、円弧部1の中心C1 と円弧部2の中心C2 とを結ぶ線分と平行となって所定高さH〔図5(ロ)参照〕を有する一対のガイド部12が形成されている。このため、進入許容空間D2 に進入する管Pの屈曲部P1 は、一対のガイド部12の上面に沿って移動するため、管Pの屈曲部P1 とビスBの頭部Baとの摺接を回避できる。また、基台V1 の底板部3の配管方向に沿った両端部には、同じく配管方向に沿って位置決め突片13が突出して形成されている。当該位置決め突片13は、図4及び図6に示されるように、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 と直線配管部保護カバーK11の基台V11とを接続する際に、当該基台V11の底板部41の裏面に形成された凹溝42に嵌合させて、幅方向(配管方向と直交する方向)の位置決めを行う部分である。
【0036】
また、図2、図5、図6及び図9に示されるように、蓋体L1 は、基台V1 に対応した平面形状と略U字状の横断面形状とを有していて、対向する一対の内外の各側板部31,32が天板部33で連結されて下面が開口しており、配管方向に沿った高さは同一であるが、その幅は、基台V1 の配管方向の幅の変化に対応して変化している。一対の内外の各側板部31,32の内側面であって、しかも開口に近い部分には、基台V1 の内外の各係合壁部4,5の外側に形成された各被係合部4a,5aと係合可能な複数の係合部31a,32aがそれぞれ形成されている。即ち、蓋体L1 の配管方向に沿った両端部における一対の内外の各側板部31,32の内側面にそれぞれ係合部31a,32aが対向して形成されていると共に、外側板部32における基台V1 の外係合壁部5の円弧部(わん曲部)2に対応する部分に係合部32aが形成され、計5個の係合部31a,32aが形成されている。基台V1 に対して蓋体L1 が覆蓋された状態において、保護カバーK1 の配管方向に沿った両端部は、互いに直交して配管される2本の直線配管部保護カバーK11をそれぞれ接続させる接続口17となっている。
【0037】
また、直線配管部保護カバーK11は、図2及び図6(図6では、直線配管部保護カバーK11は2点鎖線で示されている)に示されるように、基台V11と当該基台V11に覆蓋される蓋体L11とから成り、管Pは基台V11に形成された一対の管保持部43によって保持される。直線配管部と屈曲配管部の各保護カバーK11,K1 は、直線配管部保護カバーK11の基台V11に蓋体L11を覆蓋した状態において、当該蓋体L11が屈曲配管部保護カバーK1 の蓋体L1 の配管方向に沿った端部で覆われるようにして互いに接続される。なお、図6において44は、左右一対の管保持部43の内側に配置されて、管Pの外周を覆う断熱材を示す。
【0038】
次に、リフォームによって建物の壁面50に沿って屈曲部P1 を有する管Pを屈曲配管部、及び直線配管部の各保護カバーK1 ,K11を使用して配管することにより、蛇口71を取付ける場合について説明する。まず、図2に示されるように、壁面50に罫書かれた配管の罫書き線を基準にして、各保護カバーK1 ,K11の基台V1 ,V11を壁面に固定する。まず、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の裏面に貼り付けられている両面テープT(図5及び図6参照)によって、当該基台V1 を壁面50に仮固定した後に、基台V1 の底板部3に形成された計3個の各ビス下孔11a,11bに挿通したビスBを介して基台V1 を壁面50に本固定する。次に、直線配管部保護カバーK11の基台V11の底板部41の凹溝42内に、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 の位置決め突片13を嵌合させることにより、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 に対する直線配管部保護カバーK11の基台V11の幅方向の位置決めを行って、ビス(図示せず)を介して当該基台V11を壁面50に固定する。
【0039】
その後に、管Pを屈曲させた屈曲部P1 を、壁面50に固定された保護カバーK1 の基台V1 の屈曲配管経路A1 に沿って配管すると共に、管Pの直線部P2 を、壁面50に固定された保護カバーK11の基台V11の直線配管経路A2 に沿って配管する。管Pの屈曲部P1 を基台V1 の屈曲配管経路A1 に沿って配管する際には、管Pの屈曲部P1 の内側を案内壁W1 を構成する各管当接壁部6に沿わせるか、或いは当接させるかして、当該案内壁W1 を屈曲配管の基準として配管すると、管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との各接続部分は、屈曲された管Pの有する復元力により、基台V1 の配管方向に沿った両端部の規制壁W2 の当接面16に当接すると共に、案内壁W1 を構成する乗越防止壁部7の上端の乗越防止板部7aにより管Pの斜上側方の外周面が覆われて、管Pは、案内壁W1 から乗り越えるのを防止された形態で屈曲配管経路A1 に配管される。このように、管Pの屈曲部P1 は、元の形状に戻ろうとする復元力によって、保護カバーK1 の基台V1 の2つの接続口17の近辺に設けられた各規制壁W2 に当接した状態で、屈曲配管経路A1 に沿って配管されるため、保護カバーK1 内において位置ずれすることなくしっかりと配管できる。
【0040】
これにより、屈曲された管Pの各直線部P2 で形成される屈曲角度が大きくなるように変形して、当該管Pは、外側に移動するのが防止されて、その屈曲部P1 は、基台V1 に形成された屈曲配管経路A1 に沿って配管される。また、規制壁W2 の内面に形成された当接面16の円弧面部16aは、当該円弧面部16aに当接して保持される管Pの屈曲部P1 の管軸C3 を、直線配管部保護カバーK11の基台V11により保持される管Pの直線部P2 の管軸C3 に一致させる軸合せ部としての機能を併有しているため、管Pを上記のようにして基台V1 に配管すると、その屈曲部P1 は基台V1 の屈曲配管経路A1 に配管されると同時に、屈曲部P1 の両端部の軸合せも行われて、管Pの直線部P2 及び屈曲部P1 を直線配管経路A2 から屈曲配管経路A1 にスムーズに導くことができる。この結果、屈曲部P1 を有する管Pの屈曲配管をスムーズに行える。なお、管Pの両端部は、蛇口71に接続された継手、及び水平配管された他の2本の直管と接続する三方継手(いずれも図示せず)に接続される(図1参照)。
【0041】
次に、屈曲配管部保護カバーK1 の基台V1 に対して蓋体L1 を押し込むと、当該蓋体L1 の内外の各側板部31,32の係合部31a,32aが基台V1 の被係合部4a,5aを通過する直前において外方に最大に弾性変形され、通過後において、各側板部31,32が原形状に復元して、基台V1 の被係合部4a,5aと蓋体L1 の係合部31a,32aとが係合されることにより、基台V1 と蓋体L1 とが一体化される(図5参照)。これにより、図4及び図5に示されるように、一体化された基台V1 と蓋体L1 とにより、基台V1 の内係合壁部4に沿って管Pの屈曲部P1 を収容する収容空間D1 が形成される。当該収容空間D1 は、管Pの屈曲部P1 を配管する屈曲配管経路A1 となり、屈曲配管経路A1 の配管方向に沿った中央部であって、当該屈曲配管経路A1 の外側には、熱膨張による管Pの伸長が屈曲部P1 に集約して、当該屈曲部P1 が外側に移動して進入するのを許容する進入許容空間D2 が形成される。
【0042】
上記のようにして配管された屈曲部P1 を有する管Pは、その両端部がそれぞれ蛇口71に接続された継手、及び水平配管された他の2本の直管と接続する三方継手(いずれも図示せず)にしっかりと接続されているため、管Pに湯が長時間に亘って供給された場合には、熱膨張による管Pの伸長は、当該管Pの直線部P2 の蛇行及び屈曲部P1 の移動の少なくとも一方により吸収される。本発明においては、管Pの屈曲部P1 は、その屈曲配管経路A1 の外側に大きな進入許容空間D2 が形成された屈曲配管部保護カバーK1 内に収容され、しかも管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との接続部は、いずれも規制壁W2 により外側への自由移動が規制されている。即ち、管Pの屈曲部P1 は、その外側の進入許容空間D2 に移動し易い構造で配管されているため、管Pの直線部P2 の蛇行変形はないか、或いは従来のエルボ継手を使用した配管構造に比較して少なくなるため、管Pの全体としての伸長の大部分は、屈曲部P1 に集約される。このため、管Pが熱膨張すると、その伸長が集約された屈曲部P1 は、図4及び図5(ロ)で2点鎖線で示されるように、本来の屈曲配管経路A1 の外側の進入許容空間D2 に進入するように移動して収容される。管Pの屈曲部P1 が進入許容空間D2 に進入した場合でも、当該屈曲部P1 は、保護カバーK1 の蓋体L1 に当接することはないので、基台V1 に対して蓋体L1 が外れる恐れはない。
【0043】
また、管Pは高温の湯の存否、及び当該存否時間の長短によって伸縮を繰り返し、管Pに水が供給される等して温度が低下した場合には、熱膨張時を基準にすると、管Pは収縮するが、その収縮の大部分も上記理由により屈曲部P1 に集約されるため、熱収縮により当該屈曲部P1 は、元の屈曲配管経路A1 に戻る。このように、管Pに供給される湯水の温度、及びその存在時間の長短によって、当該管Pが熱膨張と熱収縮を繰り返すことにより、管Pの屈曲部P1 は、保護カバーK1 の蓋体L1 に当接することなく、保護カバーK1 の収容空間D1 とその外側の進入許容空間D2 との間の逆方向の移動を繰り返すため、保護カバーK1 の蓋体L1 は外れない。一方、直線配管部保護カバーK11に関しては、管Pの熱膨張による伸長が屈曲部P1 に集約されて、管Pの直線部P2 の蛇行による伸長は小さくなるため、管Pの直線部P2 の蛇行量も少なくなる。よって、直線配管部保護カバーK11に関しても、収容保護している管Pの直線部P2 の蛇行量は少なくなるため、基台V11に対して蓋体L11が外れることは殆どなくなる。結果として、屈曲配管部、及び直線配管部のいずれの保護カバーK1 ,K11の蓋体L1 ,L11も外れなくなる。
【0044】
図10(イ)は、本発明に係る屈曲部P1 を有する1本の管Pによる配管構造を、従来の配管構造との比較で示した模式図である。なお、図10は、本発明と従来の各配管構造を模式的に図示するものであるので、図10(イ)は、図1の配管構造と近似しているが完全には整合していない。図10の模式図から明白なように、本発明の配管構造によれば、管Pの屈曲部P1 を保護するカバーK1 の蓋体L1 及び直線部P2 を保護するカバーK11の蓋体L11の双方が外れないという利点のみならず、従来の配管の屈曲部で使用していたエルボ継手の数が半減するため、配管経路に使用する継手の総数が半減する利点も有する。使用継手の総数の半減により、継手の部分における漏水等の発生が激減すると共に、配管作業の手間も少なくなって、配管を能率的に行える。なお、請求項6及び7の各発明において、少なくとも1箇所に屈曲部を有する1本の給水湯管の両端部が接続される「蛇口類」及び「給湯器類」とは、「蛇口」及び「給湯器」そのものである場合は勿論のこと、他の配管材と接続するのに使用される「接続具〔図10(イ)のエルボ継手61等」も含まれる。
【0045】
なお、上記実施例1において、案内壁W1 は、屈曲配管経路A1 に沿った中央部のみに部分的に形成されているため、管Pを過剰屈曲させた後に開放させると、復元力により屈曲部P1 の両端部を各規制壁W2 に自然に当接させられるので、屈曲配管が容易となる利点があるが、屈曲配管経路A1 の両端部を除くほぼ全長に亘って形成することも可能である。
【実施例2】
【0046】
引き続いて、図11ないし図13を参照して、管Pの屈曲部P1 が建物壁の入隅部N1 に配置される場合に使用される本発明の実施例2の屈曲配管部保護カバーK2 について説明する。図11は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK2 を使用して、建物壁の入隅部N1 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図であり、図12は、同じく配管方向に沿った断面図であり、図13は、図12のY−Y線矢視図である。屈曲配管部保護カバーK2 は、L字形の側面形状を有する基台V2 と、当該基台V2 の内側の面を覆うように覆蓋される蓋体L2 とから成る。基台V2 は、配管方向の中央部で直交する底板部81の幅方向の両端部にそれぞれ係合壁部82が形成され、底板部81の配管方向の両端部に管規制部83がそれぞれ形成され、両端の各管規制部83の間に、管Pの屈曲部P1 の配管を案内する案内壁W3 が配管方向に沿ってわん曲し、しかも底板部81と対向する側が開口した形態で、横断面視において一端部が一方の係合壁部82に対して一体に形成されている。このため、案内壁W3 の開口84と、直交した底板部81との間に、管Pの熱膨張によって伸長した屈曲部P1 の進入を許容する進入許容空間D2'が形成される。
【0047】
建物壁の入隅部N1 に屈曲配管部保護カバーK2 の基台V2 を複数本のビスBを介して固定しておいて、管Pの屈曲部P1 を案内壁W3 の開口84の側から当該案内壁W3 内に挿入して開放すると、当該屈曲部P1 の配管方向の両端部は、復元力によって各管規制部83の上面の円弧状の規制面83aに当接して、管Pが外側に移動するのが防止されて、管Pの屈曲部P1 の屈曲状態が定められる。この状態で、基台V2 に対して蓋体L2 を覆蓋すると、建物壁の入隅部N1 に配置された管Pの屈曲部P1 は、当該屈曲部P1 の屈曲状態を保持して屈曲配管部保護カバーK2 内に収容される。なお、屈曲配管部保護カバーK2 の基台V2 と直線配管部保護カバーK11の基台V11との接続は、実施例1と同様である。
【0048】
そして、管Pが熱膨張により伸長すると、その屈曲部P1 に伸長が集約されて、屈曲部P1 は開口84から抜け出て、当該開口84の外側の進入許容空間D2'に進入すると共に、管Pが熱収縮により収縮すると、進入許容空間D2'に進入していた屈曲部P1 は開口84から元の収容空間D1'に戻って収容される。よって、屈曲配管部保護カバーK2 を使用すれば、入隅部N1 に配置される管Pの屈曲部P1 の伸長を進入許容空間D2'内において吸収できるため、屈曲配管部保護カバーK2 の蓋体L2 及び直線配管部保護カバーK11の蓋体L11が外れるのを防止できる。
【実施例3】
【0049】
次に、図14ないし図16を参照して、管Pの屈曲部P1 が建物壁の出隅部N2 に配置される場合に使用される本発明の実施例3の屈曲配管部保護カバーK3 について説明する。図14は、本発明に係る屈曲配管部保護カバーK3 を使用して、建物壁の出隅部N2 に屈曲部P1 を配置して管Pが配管された状態を示す斜視図であり、図15は、同じく配管方向に沿った断面図であり、図16は、図15のZ−Z線断面図である。屈曲配管部保護カバーK3 は、L字形の側面形状を有する基台V3 と、当該基台V3 の外側の面を覆うようにして覆蓋される蓋体L3 とから成る。基台V3 は、配管方向の中央部で直交する底板部91の幅方向の両端部であって、しかも配管方向に沿った両端部に係合壁部92がそれぞれ形成され、底板部91の配管方向の両端部に断面円弧状をした管規制部93がそれぞれ形成され、底板部91の配管方向に沿った中央部には、管Pの屈曲部P1 の曲率半径を大きくするための膨出部94が形成された構成である。一方、基台V3 に係合により覆蓋される蓋体L3 は、配管方向に沿った中央部が外方に大きく膨出した膨出部95が形成されて、当該膨出部95の内部が進入許容空間D2'' となった構成である。
【0050】
このため、建物壁の出隅部N2 に複数本のビスBを介して基台V3 を固定した後に、管Pの屈曲部P1 と直線部P2 との各接続部を基台V3 の管規制部93にそれぞれ嵌め込むと、屈曲された管Pの復元力により管Pの前記各接続部は、各管規制部93の内周面に当接して、屈曲部P1 の屈曲状態が保持される。その後に、基台V3 に対して蓋体L3 を覆蓋すると、管Pの屈曲部P1 は、屈曲配管経路の外側に進入許容空間D2'' が形成された形態で保護カバーK3 内に収容保護される。このため、建物壁の出隅部N2 に配管された管Pが熱膨張しても、屈曲部P1 は外側の進入許容空間D2'' に進入するため、管Pの熱膨張によって保護カバーK3 の蓋体L3 及び直線配管部保護カバーK11の蓋体L11が外れるのを防止できる。なお、図15において、D1'' は、保護カバーK3 の屈曲配管経路に形成された管Pの屈曲部P1 の収容空間を示す。
【符号の説明】
【0051】
A1 :屈曲配管経路
A2 :直線配管経路
B:ビス
Ba:ビスの頭部
C3 :管軸
D1 :収容空間
D2,D2', D2'' :進入許容空間
K1 〜K3 :屈曲配管部保護カバー
K11:直線配管部保護カバー
L1 〜L3 :蓋体
P:屈曲部を有する給水湯管
P0 :直管状の給水湯管
P1 :給水湯管の屈曲部
P2 :給水湯管の直線部
V1 〜V3 :基台
W1,W3 :案内壁
W2 :規制壁(軸合せ部)
7:乗越防止壁部
12:ガイド部
17:接続口
50:壁面
83,93:管規制部(規制壁部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、
前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、
前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管の熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成され、
前記屈曲配管部保護カバー内には、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴とする給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項2】
前記基台における屈曲配管経路の内側には、給水湯管が乗り越えれない高さを有して、給水湯管の屈曲部を前記屈曲配管経路に沿わせて配管可能にするための案内壁が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項3】
前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管を当接させることにより、当該給水湯管の直線部及び屈曲部を直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導くべく、直線配管部保護カバーに形成された管保持部の管軸位置とほぼ一致する軸合せ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項4】
前記基台における進入許容空間内に形成されたビス固定部上を伸長した給水湯管の屈曲部が移動する際に、前記ビス固定部に挿通されたビスの頭部と前記屈曲部との摺接を回避すべく、前記屈曲部が前記ビスの頭部に当接することなく、前記ビスの頭部上を通過させるガイド部が前記基台の上面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項5】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、
前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における屈曲配管経路の内側には、初期配管の基準となる案内壁が形成され、
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記案内壁に沿って給水湯管の一部を当接させることにより、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を初期配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴とする給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項6】
直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には、同一平面内で屈曲された屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、
前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成され、
前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、前記案内壁に沿った状態で当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴とする屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項7】
直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、
前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、
前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴とする屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項8】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、前記直線配管部保護カバーの保持部により保持された給水湯管の管軸と略同一位置に給水湯管を配置可能とする軸合せ部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項9】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、熱膨張による給水湯管の屈曲部の伸長を前記進入許容空間の側に導くために、前記屈曲配管経路の外側に配置されて給水湯管の外側面を当接させるための規制壁が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項10】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項1】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、
前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、
前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管の熱膨張による伸長、又は屈曲による復元力により当接して、屈曲された給水湯管の2つの直線部で形成される屈曲部形成角度が大きくなるように外側に移動するのを規制する規制壁が形成され、
前記屈曲配管部保護カバー内には、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴とする給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項2】
前記基台における屈曲配管経路の内側には、給水湯管が乗り越えれない高さを有して、給水湯管の屈曲部を前記屈曲配管経路に沿わせて配管可能にするための案内壁が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項3】
前記基台における2つの接続口の近辺であって、前記屈曲配管経路の外側には、給水湯管を当接させることにより、当該給水湯管の直線部及び屈曲部を直線配管経路から屈曲配管経路にスムーズに導くべく、直線配管部保護カバーに形成された管保持部の管軸位置とほぼ一致する軸合せ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項4】
前記基台における進入許容空間内に形成されたビス固定部上を伸長した給水湯管の屈曲部が移動する際に、前記ビス固定部に挿通されたビスの頭部と前記屈曲部との摺接を回避すべく、前記屈曲部が前記ビスの頭部に当接することなく、前記ビスの頭部上を通過させるガイド部が前記基台の上面に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項5】
1本の可撓性を有する合成樹脂製の給水湯管の途中を略90°に屈曲させた屈曲部を収容保護するために、直線配管経路を構成していて、前記給水湯管の2つの直線部を収容保護するための2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続するために両端部に形成された2つの接続口と、前記給水湯管の屈曲部を収容保護するために内部に形成された収容空間とを備えた給水湯管の屈曲配管部保護カバーであって、
前記屈曲配管部保護カバーは、基台と蓋体とが互いに組み付けられて前記屈曲部を配管する屈曲配管経路が内部に形成され、前記基台における屈曲配管経路の内側には、初期配管の基準となる案内壁が形成され、
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記案内壁に沿って給水湯管の一部を当接させることにより、屈曲配管経路に沿わせて前記収容空間に給水湯管の屈曲部を初期配管した状態において、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が前記屈曲配管経路の外側に前記収容空間に接続して形成されていることを特徴とする給水湯管の屈曲配管部保護カバー。
【請求項6】
直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には、同一平面内で屈曲された屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、
前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成され、
前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、前記案内壁に沿った状態で当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴とする屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項7】
直線配管経路を構成する直線配管部保護カバーと、2本の直線配管部保護カバーの接続部に配設されて屈曲配管経路を構成する屈曲配管部保護カバーとによって、可撓性を有する合成樹脂管で形成されて、一端部は給湯先となる蛇口類に接続され、その他端部は給湯元となる給湯器類に接続されて、少なくとも1箇所には屈曲部を有する1本の給水湯管を配管する構造であって、
前記屈曲配管部保護カバーは、直線配管部保護カバーと接続される2つの接続口を備えて、内部の屈曲配管経路の外側に、熱膨張により伸長した給水湯管の屈曲部の進入を許容する進入許容空間が形成され、
前記1本の給水湯管の複数の直線部は、前記直線配管部保護カバー内において、給水湯管の外周面を圧接する保持部により保持されて直線配管されると共に、前記給水湯管の屈曲部は、前記屈曲配管部保護カバー内において、熱膨張による給水湯管の伸長が当該屈曲部に集約されることにより、屈曲配管経路の外側の進入許容空間に進入可能なように、当該屈曲配管経路に屈曲配管されることを特徴とする屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項8】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、前記直線配管部保護カバーの保持部により保持された給水湯管の管軸と略同一位置に給水湯管を配置可能とする軸合せ部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項9】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記各接続口の近辺において、熱膨張による給水湯管の屈曲部の伸長を前記進入許容空間の側に導くために、前記屈曲配管経路の外側に配置されて給水湯管の外側面を当接させるための規制壁が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【請求項10】
前記屈曲配管部保護カバー内には、前記屈曲配管経路の内側において、初期配管の基準となる案内壁が形成されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の屈曲部を有する1本の給水湯管の配管構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−37054(P2012−37054A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216509(P2011−216509)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【分割の表示】特願2007−4409(P2007−4409)の分割
【原出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【分割の表示】特願2007−4409(P2007−4409)の分割
【原出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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