説明

給油取扱所土壌中の物質採取装置

【課題】 従来、給油取扱所の火気使用禁止区域内で土壌中の気体等の採取・調査のため物質採取装置は電気設備を使用するため、装置の四方を仮設防火塀又は、簡易的に防炎シートで囲み火気使用禁止区域から隔離する必要があったが、仮設防火塀又は、簡易的な防炎シートの敷設は手間や時間がかかるという欠点があった。
【解決手段】 本発明給油取扱所土壌中の物質採取装置は、給油取扱所土壌中の物質採取用の採取孔にその先端を挿入した採取管と、この採取管の基部に気密に接続した可撓性捕集バッグと、この捕集バッグを挿入した減圧ボックスと、この減圧ボックスに連通した非電動式の減圧ポンプとよりなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給油取扱所土壌中の物質採取装置、特に給油取扱所等の火気使用禁止区域で使用する給油取扱所土壌中の土壌ガスや地下水等の物質を採取する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌中に穿孔し密閉されたガス捕集空間中の土壌ガスを自然拡散により捕集し、導管を通じて着脱可能に接続した注射筒型吸引器具によりサンプリングする装置は例えば特許文献1に記載のように既知である。
【特許文献1】特開2001−221724号(図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、上記従来のサンプリング装置では手間や時間がかかるのみならず完全に行うことは困難で、安全性に問題があった。
【0004】
また、従来の物質採取装置のうち電気設備を使用するものでは、給油取扱所の火気使用禁止区域内の土壌中の気体等の採取・調査では装置の四方を仮設防火塀又は、簡易的に防炎シートで囲み火気使用禁止区域から隔離する必要があったが、仮設防火塀又は、簡易的に防炎シートの敷設は手間や時間がかかるという欠点があった。
【0005】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置は、給油取扱所土壌中の物質採取用の採取孔にその先端を挿入した採取管と、この採取管の基部に気密に接続した可撓性捕集バッグと、この捕集バッグを挿入した減圧ボックスと、この減圧ボックスに連通した非電動式の減圧ポンプとよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置においては、極めて安全且つ容易にガスを捕集でき、また、電気設備を使用しないので火災を生ずる恐れがないという大きな利益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の土壌中の土壌ガスや地下水等の物質を採取する装置を示し、1は深さ0.8〜1mの採取孔、2は上記採取孔1に挿入した採取孔崩れ防止用の保護管、3は上記保護管2の管頭を密栓したゴム栓、4はその先端を上記ゴム栓3を貫通して、上記保護管2内に挿入した採取管、5は上記採取管4の基部に気密に接続せしめた可撓性合成樹脂フィルム製の土壌ガス等の捕集バッグ、6は上記捕集バッグ5を挿入した減圧ボックス、7は上記減圧ボックスに連結した非電動式手動減圧ポンプである。
【0010】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置における非電動式手動減圧ポンプ7は例えば図2に示すように、上下両端開口を蓋8a,8bによって塞いだ筒状のピストンシリンダ9と、このピストンシリンダ9内に上下動自在に設けたピストン10と、上記蓋8aを通して上記ピストン10に連結しこれを上下動せしめるピストンロッド11と、上記ピストンロッド11に設けたハンドル部12と、上記ピストン10によって区画された上記ピストンシリンダ9の上室13と下室14と、上記上室13の上部に設けた、上記上室13内の空気を室外にのみ排出可能な逆止弁15及び上記上室13外の空気を室内にのみ吸引可能な逆止弁16と、上記下室14の下部に設けた、上記下室14内の空気を室外にのみ排出可能な逆止弁17及び上記下室14外の空気を室内にのみ吸引可能な逆止弁18と、上記逆止弁16及び18にその一端を気密に接続せしめ、他端を上記減圧ボックス6に気密に接続せしめた導管19とよりなる。
【0011】
本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置は上記のような構成であるから、上記手動減圧ポンプ7のハンドル部12を手で下方に押し下げて上記ピストン10を下方に移動せしめれば、上記上室13の上記逆止弁15は閉じ、上記逆止弁16は開き、上記逆止弁16を介して上記減圧ボックス6の空気が上記上室13内に吸引されるようになる。また、上記下室14の上記逆止弁17が開き、上記逆止弁18が閉じ、上記逆止弁17を介して上記下室14内の空気が外部に排出される。この結果、上記減圧ボックス6内が減圧される。
【0012】
また、上記手動減圧ポンプ7のハンドル部12を手で上方に押し上げて上記ピストン10を上方に移動せしめれば、上記上室13の上記逆止弁15は開き、上記逆止弁16が閉じ、上記逆止弁15を介して上記上室13の空気を外部に排出することができ、また、このとき上記下室14の上記逆止弁17が閉じ、上記逆止弁18が開き、上記逆止弁18を介して上記減圧ボックス6の空気を上記下室14に吸引することができ、同じく上記減圧ボックス6内を減圧することができる。
【0013】
上記減圧ボックス6が減圧されると上記減圧ボックス6に挿入した可撓性捕集バッグ5が膨脹してその内部が負圧となり、上記捕集バッグ5に接続した上記採取管4の先端から上記採取孔1内の土壌ガス等が吸引され、上記捕集バッグ5内に土壌ガス等が捕集されるようになる。
【0014】
土壌ガス等を捕集した捕集バッグ5は減圧ボックス6の蓋を開いて取り出す。
【0015】
上記のように本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置よれば可撓性捕集バッグの膨脹、収縮を利用してガスを吸入するので極めて簡単且つ安全であり、また電気設備を使用せず、上記手動減圧ポンプ7のハンドル部12を手で上下に移動せしめることによって上記捕集バッグ5に土壌ガスを捕集することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置の説明図である。
【図2】本発明の給油取扱所土壌中の物質採取装置の手動減圧ポンプの縦断側面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 採取孔
2 保護管
3 ゴム栓
4 採取管
5 捕集バッグ
6 減圧ボックス
7 手動減圧ポンプ
8a 蓋
8b 蓋
9 ピストンシリンダ
10 ピストン
11 ピストンロッド
12 ハンドル部
13 上室
14 下室
15 逆止弁
16 逆止弁
17 逆止弁
18 逆止弁
19 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油取扱所土壌中の物質採取用の採取孔にその先端を挿入した採取管と、この採取管の基部に気密に接続した可撓性捕集バッグと、この捕集バッグを挿入した減圧ボックスと、この減圧ボックスに連通した非電動式の減圧ポンプとよりなることを特徴とする給油取扱所土壌中の物質採取装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−30113(P2006−30113A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212601(P2004−212601)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(390019220)日本エンヂニヤー・サービス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】