説明

給湯システム、分電盤

【課題】給湯システムの一部を構成する分電盤が即湯ユニットを負荷とする場合にインバータの大容量化を抑える。
【解決手段】即湯ユニット20は、直流電力によって駆動され給湯される温水を加熱する直流ヒータ22を有し、分電盤40は、商用電力を直流電力に変換する整流器41と、整流器41により変換された直流電力によって充電され、その充電された直流電力を放電して直流ヒータ22を駆動させる蓄電池42と、蓄電池42に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータ43と、商用電源60から供給される商用電力の電力量を検出する電流センサ44と、電流センサ44によって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるか否かの判別結果に基づいて、複数の負荷の一部に分配供給される商用電力をインバータ43からの交流電力に切り替える制御を行うとともに、蓄電池42の充放電を制御する制御回路45と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システム、分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従前より電力で駆動されていた冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ等といった家電製品向けのエネルギーの他に、浴室や洗面台等での給湯、キッチンでの調理、リビングでの冷暖房等といった日頃の生活環境で必要なエネルギーを全て電力で賄うオール電化住宅が普及している。そして、これに伴って、住宅内に分散配置された各家電製品に向けて満遍なく電力を分配するとともに、各家電製品の安全使用のために漏電遮断器や配線用遮断器等が一体的に配設された分電盤に対し、オール電化に向けて取り扱うべき負荷の数や用途が増大するために、更なる高機能化が求められている。
【0003】
例えば、以下に示す特許文献1に開示される分電盤は、商用電源からの商用電力を直流電力に変換する整流器と、整流器からの直流電力を蓄電する蓄電池と、交流電力(商用電力)が必要な家電製品等の分電盤負荷のために蓄電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータと、を有した無停電電源装置を設置しており、停電時や過負荷時において蓄電池に蓄電しておいた直流電力をインバータを介して利用することによって、分電盤の負荷の安定駆動を実現する、という効果を謳っている。
【0004】
ところで、浴室、洗面台、キッチン等で行われる給湯の場面では、給湯ユニットからの配管を介した給湯を停止すると当該配管内に留まっている温水の温度が徐々に低下するので、給湯を始めてから暫くの間当該配管内に留まって温度が低下した温水が出水することがある。例えば、冬季では、混合栓の蛇口をひねっても、暫くの間は冷水しか出てこないという現象が現実的に起っている。そこで、以下に示す特許文献2のように、給湯ユニットから混合栓までの配管の間であって且つ混合栓の周辺に即湯器を取り付け、給湯時には当該即湯器により直接的且つ瞬間的に湯を沸かす、という対策が考えられる。
【0005】
更に、この場合、オール電化住宅の実現を考慮に入れて、上記即湯器として、一般的に普及している都市ガスのエネルギーにより瞬間的に湯を沸かすガス瞬間湯沸器ではなく、ヒータを用いて冷水を加熱する電気ヒータ式即湯器を採用する必要がある。即ち、上記即湯器を、商用電源からの商用電力(交流電力)を分配供給する分電盤の負荷の一つとして取り扱うことになる。
【特許文献1】特開2006−271097号公報
【特許文献2】特開平5−44993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電気ヒータ式即湯器(特にヒータ)は、一般的な家電製品よりも非常に大きな電力を消費する。このため、分電盤に過負荷対策機能を備えた場合であっても、電気ヒータ式即湯器を他の交流負荷と同様に取り扱う場合、インバータを大容量化(例えば、4〜20kVA)する必要がある。すると、給湯システムの導入コスト又は再構築コストが増大化し、一般家庭に普及しない虞がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、給湯システムの一部を構成する過負荷対策機能向けの蓄電池及びインバータを具備する分電盤が、即湯ユニットを負荷とする場合に、即湯ユニットが備える直流ヒータを蓄電池から直接駆動させることで、インバータの大容量化を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、混合栓に向けて温水を給湯する給湯ユニットと、当該給湯ユニットから当該混合栓に向けて給湯される温水を加熱する即湯ユニットと、当該給湯ユニット及び当該即湯ユニットを含めた複数の負荷に対し商用電源から供給される商用電力を分配供給する分電盤と、を有した給湯システムであって、前記即湯ユニットは、直流電力によって駆動され給湯される温水を加熱する直流ヒータを有し、前記分電盤は、前記商用電力を直流電力に変換する整流器と、前記整流器により変換された直流電力によって充電され、その充電された直流電力を放電して前記直流ヒータを駆動させる蓄電池と、前記蓄電池に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記商用電源から供給される電流量を検出する電流センサと、前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷の一部に分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うとともに、前記蓄電池の充放電を制御する制御回路と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記システムであって、前記商用電源から供給される電圧を検出する電圧センサを備え、前記制御回路は、前記電圧センサによって検出された電圧が停電を示すか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷全てに分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うこと、が好ましい。
【0010】
また、上記システムであって、前記給湯ユニットは、前記分電盤の前記複数の負荷の一部であって、前記分電盤からの供給される電力に基づいて駆動される加熱器と、前記加熱器の駆動により生成された温水を貯蔵する貯湯槽と、を有することが好ましい。
【0011】
また、上記システムであって、前記制御回路は、前記蓄電池を放電させる放電モード、前記蓄電池を充電させる充電モード、前記放電モードから前記充電モードへの移行を待機するモードであって、前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量未満となり且つ所定の待機時間が経過する場合に前記充電モードに移行させる充電待機モード、のうちいずれか一つのモードを選択して前記蓄電池の充放電を制御すること、が好ましい。
【0012】
また、上記システムであって、前記蓄電池は、リチウムイオン蓄電池であること、が好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、混合栓に向けて温水を給湯する給湯ユニットと、当該給湯ユニットから当該混合栓に向けて給湯される温水を直流ヒータによって加熱する即湯ユニットと、を含めた複数の負荷に対し、商用電源から供給される商用電力を分配供給する分電盤であって、前記商用電力を直流電力に変換する整流器と、前記整流器により変換された直流電力によって充電され、充電された直流電力を放電して前記即湯ユニットの前記直流ヒータを駆動させる蓄電池と、前記蓄電池に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記商用電源から供給される前記商用電力の電流量を検出する電流センサと、前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷の一部に分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うとともに、前記蓄電池の充放電を制御する制御回路と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、給湯システムの一部を構成する分電盤が、即湯ユニットの直流ヒータを蓄電池から直接駆動させることで、インバータの大容量化を抑え、給湯システムを低コストで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
===即湯ユニットを用いた給湯システムの全体構成===
図1は、本実施形態に係る即湯ユニットを用いた給湯システムの全体構成を示した図である。
【0016】
図1に示す給湯システム100は、所定の給水源から給湯ユニット10に向けて冷水を給水するための給水管1と、給湯ユニット10と、即湯ユニット20と、給湯ユニット10から即湯ユニット20に向けて給湯ユニット10により加熱された温水を給湯するための給湯管2と、混合栓32に向けて所定の給水源からの冷水を給水するための給水管3と、即湯ユニット20から混合栓32に向けて即湯ユニット20により再加熱された温水を給湯するための給湯管4と、給水管3から給水された冷水と給湯管4から給湯された温水とを混合させる混合栓32と、給湯対象30と、分電盤40と、により主に構成される。
【0017】
給湯ユニット10は、給水管1により給水された冷水を貯蔵する貯湯槽12と、分電盤40の複数の負荷の一部であって、分電盤40から供給される交流電力(AC)に基づいて駆動され貯湯槽12に貯蔵された水を加熱する加熱器14と、を備えている。尚、給湯ユニット10は、深夜時間帯における安価な夜間電力を利用して動作する夜間電力温水器であることが好ましい。また、給湯ユニット10は、ヒータにより加熱エネルギーを得るヒータ式であっても、熱交換により加熱エネルギーを得るヒートポンプ式であってもよい。
【0018】
即湯ユニット20は、直流ヒータ22を備え、給湯ユニット10から混合栓32に向けて給湯管2を介して給湯される温水を直流ヒータ22によって加熱するユニットである。
【0019】
図2は、即湯ユニット20の一構成例を示した図である。同図では、プラス電極221aとマイナス電極221bの間に接続されるコイル状の電気抵抗体222(例えば、ニクロム線)によって直流ヒータ22を実現している。尚、電気抵抗体222はハウジング23内の中央経路211に設けられ、給湯管2からの温水が入水路210から中央経路211を通過することで電気抵抗体222により加熱され、出水路212から給湯管4へと供給される。電気抵抗体22の発熱は、温度センサ24によって検出された検出温度に基づいてコントローラ26によって制御される。例えば、コントローラ26は、検出温度が所定の温度範囲内に収束させる温度制御等を行う。その他では、プラス電極221a、マイナス電極221bに印加される直流電力、コントローラ26を駆動させる交流電力、コントローラ26への制御信号やコントローラ26からのステータス信号の外部インタフェースとなる端子台27が設けられる。
【0020】
給湯対象30は、オール電化住宅の実現に向けて、浴室の浴槽、洗面台、システムキッチン等の給湯が行われる生活環境全てを対象としており、給水管3から給水される冷水と給湯管4から給湯される高温温水を混合し、適切な温度の温水の吐水や止水を行う混合栓32等が設けられる。
【0021】
分電盤40は、過負荷対策機能並びに停電対策機能を備えており、給湯ユニット10並びに即湯ユニット20を含めた複数の負荷(50、14、20)に対し交流電力を安定的に供給するものである。更に、分電盤40は、即湯ユニット20の直流ヒータ22に直接的に直流電力を供給するものである。尚、図1では(後述の図6乃至図9も同様)、分電盤40の負荷として、説明の便宜上、3パターンの負荷(50、14、20)のみを示しているが、更に負荷の数が多くてもよい。また、負荷50は、分電盤40の一般的な負荷である家電製品を表現しており、例えば、リビングに配置される冷暖房機器、テレビ受信機等、キッチン周辺に配置される電子レンジ等である。
【0022】
分電盤40は、商用電源60からの商用電力を受電するAC電源ライン401上に配設され漏電時と過電流時の遮断機能を併せ持った漏電遮断器ELBと、商用電力を直流電力に変換する整流器41と、整流器41により変換された直流電力によって充電され、充電された直流電力を放電して即湯ユニット20の直流ヒータ22を駆動させる蓄電池42と、蓄電池42に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータ43と、漏電遮断器ELBの出力側のAC電源ライン401上に配設され商用電源から供給される電流量(つまり、複数の負荷によって消費される電流量)を検出する電流センサ44と、電流センサ44によって検出された電流量に基づいて後述のスイッチSW1〜SW5の切り替えを制御するコントローラ45と、を有する。
【0023】
尚、蓄電池42には、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の種々の二次電池を採用することができる。但し、蓄電池42の負荷の一部として消費電力の大きい直流ヒータ22を採用しており、即湯ユニット20の利用形態を鑑みた場合に大電流で高頻度の充放電が予想される為、その他の二次電池と対比して、メモリ効果現象(浅い深度の放電を受けた経歴を記憶する現象)が殆ど無く、継ぎ足し充電や非満充電保管に適するリチウムイオン蓄電池の採用が好ましい。
【0024】
また、一般的な例としてインバータ43の出力回路が100Vの場合を示しているが、家庭用電源として単相100Vと単相200Vが存在するため、100V及び200Vのいずれも出力することも可能である。なお、単相200V回路は、接地回路を共有する逆相の100V回路を用いて200Vとしているため、ここでは同一の回路内に100Vと200Vを記載している。
更に、センサ44には、例えば、電源ライン401に流れる電流量を検出する変流器を採用することができる。
【0025】
分電盤40は、更に、漏電遮断器ELBの出力側のAC電源ライン401上に配設され漏電遮断器ELBを経由した商用電力の供給を遮断するか否かを切り替えるスイッチSW1と、AC電源ライン401より分岐された一の分岐ライン402a上に配設され負荷50への電力供給を過電流時に遮断する配線用遮断器NFB1と、AC電源ライン401より分岐された一の分岐ライン402b上に配設され電気温水器14への電力供給を過電流時に遮断する配線用遮断器NFB2と、AC電源ライン401より分岐された一の分岐ライン402c上に配設され即湯ユニット20への電力供給を過電流時に遮断する配線用遮断器NFB3と、AC電源ライン401から分岐ライン402cに向かう商用電力の分配供給を遮断するか否かを切り替えるスイッチSW2と、分岐ライン402cとインバータ43との間に設けられインバータ43から分岐ライン402cに向かう交流電力の供給を遮断するか否かを切り替えるスイッチSW3と、漏電遮断器ELBとスイッチSW1との間のAC電源ライン401と整流器41との間に配設されAC電源ライン401から整流器41への商用電力の供給を遮断するか否かを切り替えるスイッチSW4と、蓄電池42と直流ヒータ22との間の直流電源ライン403上に配設され蓄電池42から直流ヒータ22への直流電力の供給を過電流時に遮断する配線用遮断器FBと、蓄電池42と配線用遮断器FBの間の直流電源ライン403上に配設され蓄電池42から直流ヒータ22への直流電力の供給を遮断するか否かを切り替えるスイッチSW5と、を有する。尚、スイッチSW1〜SW4は交流開閉器であり、スイッチSW5は直流開閉器である。
【0026】
上記の構成により、コントローラ45は、センサ44によって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるような過負荷の発生を検出した場合にスイッチSW1〜SW5の開閉を制御して、複数の負荷(50、14、20)の一部に分配供給される商用電源60からの商用電力をインバータ43からの交流電力に切り替える過負荷対策機能(例えば、特許文献1の技術を参照)を備える。
【0027】
また、コントローラ45は、センサ44´によって検出された電圧に基づいて停電の有無を検出し、停電の発生を検出した場合にはスイッチSW1〜SW5の開閉を制御して、複数の100V負荷(50、20)全てもしくは一部に分配供給される商用電源60からの商用電力をインバータ43からの交流電力に切り替える停電対策機能を備える。なお、インバータ43から供給する負荷は、停電前にセンサ44で検出された電流量をもとに供給可能な範囲で選択するものとする。
【0028】
更に、コントローラ45は、センサ44によって検出された電流量に基づいて、スイッチSW1〜SW5の開閉を制御して、給湯向けの蓄電池42の充放電の制御を行う充放電制御機能を備えている。尚、充放電制御機能では、給湯開始と同時に蓄電池42を瞬時に放電させる放電モード、蓄電池42を充電させる充電モード、放電モードから充電モードへの移行を待機するモードであって、所定の待機時間の経過後であって且つセンサ44によって検出された電流量が所定の基準電流量未満となる場合(過負荷とならない場合)に充電モードに移行する充電待機モード、のうちいずれか一つのモードを選択して蓄電池42の充放電制御を行う。
【0029】
尚、放電モードは、原則として昼の時間帯で、蓄電池42の残存容量が一定値以上(放電深度が一定値未満)となる場合に移行する。また、充電モードは、充電待機モードから切り替わった直後に充電を開始する。また、充電待機モードは、放電モードから充電モードに切り替える場合に、充電可否の判定を行い、充電可能と判定されれば充電モードに移行させる。
【0030】
以下では、放電モード、充電待機モード、充電モードの順に、各モード時における他モードへの切替条件の詳細な内容を説明する。
【0031】
===放電モードから充電待機モードに切り替わる条件===
放電モード時では、放電開始要求によって瞬時に放電を開始させる設定とする。また、どのモードであっても、放電を開始した時点で放電モードに切り替わる設定とする。
更に、コントローラ45は、図3のフローチャートに示される条件に従って、放電モードを充電待機モードに切り替える制御を行う。
【0032】
先ず、コントローラ45は、蓄電池42の充電時間帯(例えば、深夜時間帯)であるか否かを、コントローラ45の内蔵タイマ(不図示)によって判別する(S301)。
充電時間帯である旨を判別した場合(S301:YES)、コントローラ45は、蓄電池42の放電深度(蓄電池容量に対する放電電気量の比率)が第1の基準深度(例えば、10%)以上であるか否かを判別する(S302)。
【0033】
蓄電池42の状態が第1の基準深度未満であれば(S302:NO)、たとえ蓄電池42の充電時間帯であっても充電の必要がないため、コントローラ45は、S301へと戻る。一方、蓄電池42の状態が第1の基準深度以上となる場合であって(S302:YES)、蓄電池42が放電中でなければ(S303:NO)、コントローラ45は、放電モードを充電待機モードに切り替える(S304)。
【0034】
蓄電池42の状態が第1の基準深度以上であり(S302:YES)、蓄電池42が放電中であれば(S303:YES)、コントローラ45は、蓄電池42の状態が第1の基準深度よりも比率の高い第2の基準深度(例えば、75%)以上であるか否かを判別する(S305)。蓄電池42の放電深度が第2の基準深度未満であれば(S305:NO)、蓄電池42を充電させる必要がないためS303に戻る。一方、蓄電池42の状態が第2の基準深度以上となる場合(S305:YES)、蓄電池42の充電が必要となるため、コントローラ45は、スイッチSW5を開く等して蓄電池42の放電を中止した上で(S306)、放電モードを充電待機モードに切り替える(S304)。
【0035】
一方、充電時間帯でない場合(S301:NO)、蓄電池42の放電が積極的に行われる時間帯となっており、コントローラ45は、蓄電池42の状態が第2の基準深度以上となるか否かを判別する(S307)。蓄電池42の状態が第2の基準深度未満であれば(S307:NO)、蓄電池42を充電させる必要がないため、コントローラ45はS301へと戻る。一方、蓄電池42の状態が第2の基準深度以上となる場合(S307:YES)、蓄電池42が放電中でなければ(S308:NO)、コントローラ45は、速やかに放電モードを充電待機モードに切り替える(S304)。蓄電池42の状態が第2の基準深度以上であり(S307:YES)、蓄電池42が放電中であれば(S308:YES)、コントローラ45は、スイッチSW5を開く等して蓄電池42の放電を中止した上で(S306)、放電モードを充電待機モードに切り替える(S304)。
【0036】
===充電待機モードから他モードに切り替わる条件===
充電待機モード時において、即湯ユニット20から給湯開始により放電を開始する場合、ユーザの利便性を考慮して、コントローラ45は、充電待機モードから放電モードに直ぐに移行させる。但し、蓄電池42の放電深度が大きい場合には放電を行わないように(放電モードに移行しないように)制限を課している。
【0037】
また、コントローラ45は、図4のフローチャートに示される条件に従って、充電待機モードを充電モードに切り替える制御を行う。
【0038】
まず、コントローラ45は、充電待機モード開始(T=0)から経過した時間Tを単位時間Δtに基づいて計数しつつ(S400、S401)、電流センサ44により検出された電流量に基づいて蓄電池42への充電を開始することで過負荷(検出電流量>所定の基準電流量)とならないか否かを判別する(S402)。過負荷となるようであれば(S402:NO)、コントローラ45は、S401へと戻り、時間Tの計数を引き続き行う。過負荷とならないようであれば(S402:YES)、コントローラ45は、充電待機モード時であって充電を開始しても過負荷とならない状態になって(S402:YES)から待機時間T1を経過していないか否かを判別する(S403)。待機時間T1を経過していなければ(S403:YES)、コントローラ45は、S401へと戻り、時間の計数を引き続き行う。待機時間T1を経過していれば(S403:NO)、コントローラ45は、充電待機モードを充電モードに切り替える(S404)。
【0039】
以上のフローによって、蓄電池42の充電電流が大きい上に、例えば深夜時間帯に消費電力の大きい電気温水器14が動作したとしても、充電待機モード時であって充電開始により過負荷となるようであれば(S402:NO)、充電待機モードから充電モードに切り替えを行わない。即ち、充電開始のための条件として充電後にも過負荷とならない設定としている。この結果、充電開始による過負荷の発生を事前に防止できる。
【0040】
===充電モードから他モードに切り替わる条件===
充電モード時は、充電のみを行い放電を行わない設定とする。また、充電開始に先行して充電モードに移行させる設定により、充放電が同時に開始されることを抑止できる。
また、コントローラ45は、図5のフローチャートに示される条件に従って、充電モードを放電モード又は充電待機モードに切り替える制御を行う。
【0041】
まず、コントローラ45は、充電モード時にあって、蓄電池42が満充電によって充電完了するか否かを判別する(S501)。充電完了している場合(S501:YES)、スイッチSW4を開く等により蓄電池42の充電を終了して(S508)、充電モードから放電モードに移行させる(S509)。
【0042】
充電完了していない場合であって(S501:NO)、給湯開始による即湯ユニット20からの放電開始要求を受信していない場合には(S502:NO)、充電時間帯(例えば深夜時間帯等)であるか否かをコントローラ45の内蔵タイマ(不図示)によって判別する(S503)。そして、充電時間帯であって(S503:YES)、蓄電池42の充電中に、電流センサ44によって検出された電流量が基準電流量を超える過負荷とはならない(S504:YES)限り、S501へと戻り、充電を継続させる。一方、過負荷とるようであれば(S503:YES、S504:YES)、スイッチSW4を開く等により蓄電池42の充電を終了して(S505)、充電モードから充電待機モードに移行させる(S506)。
【0043】
尚、充電時間帯でない場合(S503:NO)、蓄電池42の状態が第2の放電深度(例えば、75%)以上となっていれば(S507:YES)、S501(NO)、S502(NO)、S503(NO)、S507(YES)のループを繰り返し、充電を継続させる。蓄電池42の状態が第2の放電深度未満となっていれば(S507:NO)、蓄電池42の充電を終了して(S508)、充電モードを放電モードに移行させる(S509)。
【0044】
また、充電が完了しておらず(S501:NO)、給湯開始による即湯ユニット20からの放電開始要求を受信した場合(S502:YES)、直ぐに放電モードに移行させずに、蓄電池42の状態が第2の基準深度未満となるまで(S507:NO)、S501(NO)、S502(YES)、S507(NO)のループを繰り返して、充電を継続させる。そして、蓄電池42の状態が第2の基準深度未満となれば(S507:NO)、蓄電池42の充電を終了して(S508)、充電モードを放電モードに移行させる(S509)。
【0045】
上記のフローにより、充電モード時では、充電中に放電開始要求が発生した場合(S502:YES)であっても、蓄電池42の状態が第2の基準深度以上であれば(S507:YES)放電モードには移行せず、蓄電池42の状態が第2の基準深度未満となるまで(S507:NO)充電を継続させてから放電モードに移行させる(S509)。更に充電モードから放電モードに移行する場合は、充電を確実に終えて(S501:YES)充電回路を切り離してから(S508)放電モードに移行させる(S509)。これらの条件設定により、蓄電池42の充電と放電が同時に発生することを確実に防止することができる。
【0046】
また、蓄電池42の充電電流によって家庭内全体の負荷容量が過負荷状態となる虞があるが、漏電遮断器ELBは過負荷の状態が所定時間継続した場合に商用電力の供給を遮断する特性である。このため、過負荷となれば(S504:YES)当該所定時間の間に充電を停止する(S505)ことで、停電を事前に防ぐことができる。
【0047】
以上、上記の給湯システム100において、過負荷対策機能を具備する分電盤40が、即湯ユニット20を新たな負荷とする場合に、即湯ユニット20が備える直流ヒータ22を蓄電池42によって直接的に駆動させる。即ち、即湯ユニット20の消費電力において直流ヒータ22の消費電力が占める割合が非常に大きいため、複数の負荷(50、14)の電力供給元(商用電源60)とは独立した形で、直流ヒータ22の電力供給元を蓄電池42とした。この結果、即湯ユニット20を分電盤40の交流負荷として取り扱わなくて済むとともにインバータ43を大容量化する必要がなくなるので、給湯システム100を低コストで実現できる。
【0048】
また、直流ヒータ22の消費電力が大きいために蓄電池42の充放電電流が大電流化するが、電流センサ44の検出結果に基づいて蓄電池42の充放電中の過負荷に対する保護が適切に行われる。具体的には、充電中に過負荷となるようであれば充電を中止し、放電中に過負荷となるようであれば通常の過負荷対策を行う。この結果、分電盤40の内部回路を適切に保護することができる。
【0049】
また、上記の給湯システム100において、コントローラ45によって、電圧センサ44’の検出電圧により停電の発生を検出した場合に、分電盤40の複数の負荷(50、14)全て又は一部の電力供給元をインバータ43からの交流電力に切り替えることで、充放電の際の停電対策を適切に行うことができる。
【0050】
また、上記の給湯システム100において、給湯ユニット10を深夜時間帯の安価な電力の使える電気温水器14により構成したことで、給湯に必要な電力料金を抑えることができる。また、電気温水器14の利用により深夜時間帯の契約をすることになるため、蓄電池42の充放電の際に深夜時間帯の安価な電力を使うことができる。
【0051】
また、上記の給湯システム100において、充電待機モードの際に、充電モードに移行する条件(充電開始条件)として充電開始により過負荷とならないことを判別するようにしたため、充電中の過負荷の発生を事前に予防することができる。特に、電気温水器14が動作する深夜時間帯において蓄電池42の充電を行うと過負荷の発生が誘発する虞もあるため、上記の充電待機モードの設定は有意義となる。尚、上記の給湯システム100において、蓄電池42の充電中に電気温水器14が動作すること等により過負荷が発生した場合、蓄電池42の充電を中止して充電待機モードに移行することにより、分電盤40による適切な保護が可能となる。
【0052】
また、上記の給湯システム100において、蓄電池42をリチウムイオン蓄電池としたことにより、大電流で高頻度な充放電に十分に対応することが可能となる。
【0053】
以上、本実施形態について説明したが、前述した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態の即湯ユニットを用いた給湯システムの全体構成の一例を示した図である。
【図2】本実施形態の即湯ユニットの一構成例を示した図である。
【図3】本実施形態のコントローラによる放電モード時の制御フローを示した図である。
【図4】本実施形態のコントローラによる充電待機モード時の制御フローを示した図である。
【図5】本実施形態のコントローラによる充電モード時の制御フローを示した図である。
【符号の説明】
【0055】
10 給湯ユニット
12 貯湯槽
14 電気温水器
20 即湯ユニット
22 直流ヒータ
32 混合栓
40 分電盤
41 整流器
42 蓄電池
43 インバータ
44 電流センサ
44´電圧センサ
45 コントローラ
50 負荷
60 商用電源
SW1〜SW5 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合栓に向けて温水を給湯する給湯ユニットと、当該給湯ユニットから当該混合栓に向けて給湯される温水を加熱する即湯ユニットと、当該給湯ユニット及び当該即湯ユニットを含めた複数の負荷に対し商用電源から供給される商用電力を分配供給する分電盤と、を有した給湯システムであって、
前記即湯ユニットは、
直流電力によって駆動され給湯される温水を加熱する直流ヒータを有し、
前記分電盤は、
前記商用電力を直流電力に変換する整流器と、
前記整流器により変換された直流電力によって充電され、その充電された直流電力を放電して前記直流ヒータを駆動させる蓄電池と、
前記蓄電池に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記商用電源から供給される電流量を検出する電流センサと、
前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷の一部に分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うとともに、前記蓄電池の充放電を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムであって、
前記商用電源から供給される電圧を検出する電圧センサを備え、
前記制御回路は、前記電圧センサによって検出された電圧が停電を示すか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷全てに分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うこと、を特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給湯システムであって、
前記給湯ユニットは、
前記分電盤の前記複数の負荷の一部であって、前記分電盤からの供給される電力に基づいて駆動される加熱器と、
前記加熱器の駆動により生成された温水を貯蔵する貯湯槽と、
を有することを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給湯システムであって、
前記制御回路は、
前記蓄電池を放電させる放電モード、
前記蓄電池を充電させる充電モード、
前記放電モードから前記充電モードへの移行を待機するモードであって、前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量未満となり且つ所定の待機時間が経過する場合に前記充電モードに移行させる充電待機モード、
のうちいずれか一つのモードを選択して前記蓄電池の充放電を制御することを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給湯システムであって、
前記蓄電池は、リチウムイオン蓄電池であること、を特徴とする給湯システム。
【請求項6】
混合栓に向けて温水を給湯する給湯ユニットと、当該給湯ユニットから当該混合栓に向けて給湯される温水を直流ヒータによって加熱する即湯ユニットと、を含めた複数の負荷に対し、商用電源から供給される商用電力を分配供給する分電盤であって、
前記商用電力を直流電力に変換する整流器と、
前記整流器により変換された直流電力によって充電され、充電された直流電力を放電して前記即湯ユニットの前記直流ヒータを駆動させる蓄電池と、
前記蓄電池に充電された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記商用電源から供給される前記商用電力の電流量を検出する電流センサと、
前記電流センサによって検出された電流量が所定の基準電流量を超えるか否かの判別結果に基づいて、前記複数の負荷の一部に分配供給される前記商用電力を前記インバータからの前記交流電力に切り替える制御を行うとともに、前記蓄電池の充放電を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする分電盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−7951(P2010−7951A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167737(P2008−167737)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】