説明

給湯システム

【課題】 ヒートポンプ式の給湯システムに必要な給湯能力を高いエネルギー効率を維持して確保可能な給湯システムを提供する
【解決手段】 給水される水はヒートポンプ給湯手段4に供給され、加熱後の温水が上部領域より貯湯タンク3に流入する。また、給水される水は貯湯タンク3の下部領域に流入するとともに、下部領域に貯水された水がガス焚温水機7で加熱され、加熱後の温水が上部領域より貯湯タンク3に流入する。貯湯タンク3内には貯湯タンク3内の上部領域の温水の温度を測定する温度検出器9、および検出器9より下方領域に貯湯された温水の温度を温度検出器43を備え、ガス焚温水機7が温度検出器9の温度情報に基づいて発停制御され、ヒートポンプ給湯手段4が温度検出器43の温度情報に基づいて発停制御される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水が貯湯される貯湯タンクから給湯負荷に対して給湯可能に構成された給湯システムであって、温水供給のための加熱手段として、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換して水を加熱するヒートポンプ給湯手段と、ガス焚または油焚き等によって水を加熱する補助給湯手段とを備える給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式の給湯システムは、夜間の安価な電力を使用して、夜間の給湯使用量の少ない低給湯負荷状態となる時間帯に貯湯タンクに温水を貯めて、翌日の昼間の給湯負荷、例えば風呂やシャワー等の給湯に対して使用するシステムが一般的である。
【0003】
図9に従来構成のヒートポンプ式給湯システムの概略を示す。図9に示すように、従来構成のヒートポンプ式給湯システム1hは、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換して水を加熱して給湯するヒートポンプ給湯手段4と、加熱された温水を貯湯する貯湯タンク3を備える。
【0004】
この貯湯タンク3は、上水道(不図示)から供給される上水が蓄えられる給水タンク2より低温水が給水されると、当該低温水をヒートポンプ給湯手段4に与え、ヒートポンプ給湯手段4によって加熱された温水が再び供給されて蓄えられる。このようにして貯湯タンク3内に蓄えられた温水は、給湯負荷4を構成するシャワーやカランが開けられることで、給水タンク2からの水圧により流れ出し、当該負荷において給湯として利用される。また、当該給湯負荷5で利用されなかった温水は再び貯湯タンク3に与えられ、当該タンク内で貯湯される。
【0005】
また、貯湯タンク3から温水を供給する配管には循環ポンプ6が設けられており、給湯負荷5が循環負荷である場合には当該ポンプ6によって貯湯タンク3から送出された温水が給湯負荷5を介して再び貯湯タンク3に入力される構成である。また、給湯負荷5と貯湯タンク3の間(戻り配管)に循環ポンプ6を設ける場合もある。
【0006】
ところで、ヒートポンプ式の給湯システムは、上述したように夜間の安価な電力を使用して夜間の給湯使用量の少ない低給湯負荷状態となる時間帯に貯湯タンクに温水を貯めて、翌日の昼間の給湯負荷、例えば風呂やシャワー等の給湯に対して使用するシステムである。すなわち、ヒートポンプ給湯手段2の加熱能力は、夜間の低給湯負荷状態を想定して決定されているため、専ら貯湯目的に所定の温度に加熱するだけでよく、短時間での加熱能力は非常に低くなっており、高給湯負荷時に貯湯タンクの温水を消費した場合に温水の給湯能力が不足する場合が生じる。また、夜間に蓄熱し、温水を利用するのは翌日の昼間や夕方となり、使用時間が大幅にずれるため、貯湯タンクからの放熱が多くなり、せっかく高効率で蓄熱した熱を放熱させてしまうという問題が生じる。
【0007】
さらに、ヒートポンプ給湯手段3の加熱能力は、外気温度や水温の影響を受けるため、給湯システムとしては安全率を高く設定しておく必要があり、能力的に過剰なシステムとなることもある。
【0008】
このようなヒートポンプ給湯手段の加熱能力不足を補い、またヒートポンプ式の給湯システムに必要な給湯能力を確保するために、貯湯タンクと給湯負荷の間に、貯湯タンクを備える電気温水機を設けた給湯システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2003−106652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば、特許文献1に開示されているように、ヒートポンプ式の給湯システムに必要な給湯能力を確保するために電気温水機を追加した場合、昼間の高給湯負荷時に電気温水機を作動させる必要があり、昼間の高い電気料金による運転コストの上昇を招く。また、電気温水機は1次エネルギーの観点から見るとエネルギー効率が悪いため、システム全体としての総合的なエネルギー効率が低下するという問題がある。
【0011】
また、従来の燃料燃焼型の温水機(例えばガス焚温水機)によって給湯負荷に対して給湯する給湯システム(図10参照)は、ヒートポンプ給湯手段と比較すると出湯能力は向上するものの、熱効率の点からはヒートポンプ給湯手段と比較して低下するという問題がある。図10に示す給湯システム1iは、ガス焚温水機7を備え、給水タンクから供給される低温水が貯湯タンク3に蓄えられるとともに、当該貯湯タンク3より供給される水をガス焚温水機7によって加熱した後、貯湯タンク3に対して温水を供給する構成である。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ヒートポンプ式の給湯システムに必要な給湯能力を高いエネルギー効率を維持して確保可能な給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る給湯システムは、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換して水を加熱して給湯するヒートポンプ給湯手段と、温水を貯湯し、貯湯された温水を給湯負荷に対して供給する貯湯タンクと、前記貯湯タンクより供給される温水を加熱した後、再び前記貯湯タンクに供給する補助給湯手段と、を備え、前記補助給湯手段に前記ヒートポンプ給湯手段によって加熱された温水が直接供給されるか、あるいは前記ヒートポンプ給湯手段によって加熱された温水が前記貯湯タンクに貯湯された後、前記補助給湯手段に前記貯湯タンクから温水が供給される構成であることを第1の特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第1の特徴に加えて、給水源から供給される低温水を、前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給可能な構成であり、前記ヒートポンプ給湯手段が、供給される前記低温水を加熱した後、前記貯湯タンクに温水を供給することを第2の特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第1または第2の特徴に加えて、給水源から供給される低温水を、前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給可能な構成であり、前記ヒートポンプ給湯手段が、供給される前記低温水を加熱した後、前記補助給湯手段に温水を供給することを第3の特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第2の特徴に加えて、前記補助給湯手段および前記ヒートポンプ給湯手段が、それぞれ前記貯湯タンクに貯湯された温水の温度に応じて発停制御が行われる構成であり、前記補助給湯手段よりも前記ヒートポンプ給湯手段が優先的に稼動される制御が行われることを第4の特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第4の特徴に加えて、前記補助給湯手段が、前記貯湯タンクに貯湯された温水の温度に応じて燃焼出力を複数段制御されることを第5の特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第4または第5の特徴に加えて、前記貯湯タンクが、前記低温水が入水する入水口および前記補助給湯手段に対して出水する出水口を下部領域に有するとともに、前記補助給湯手段から供給される温水が入水する入水口、前記ヒートポンプ給湯手段から供給される温水が入水する入水口、および前記給湯負荷に対して温水を出水する出水口を上部領域に有する構成であり、前記補助給湯手段が、前記貯湯タンク内の第1の検温位置の温水の温度に応じて発停制御され、前記ヒートポンプ給湯手段が、前記貯湯タンク内の前記第1の検温位置より下方の第2の検温位置の温水の温度に応じて発停制御される構成であることを第6の特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第6のいずれか一つの特徴に加えて、前記給水源から供給される前記低温水を貯水するバッファタンクを前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクの前段に有し、当該バッファタンクから出力される前記低温水が前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給される構成であることを第7の特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第7のいずれか一つの特徴に加えて、前記ヒートポンプ給湯手段が、外気の熱エネルギーを吸収して水の加熱に利用する構成であり、前記補助給湯手段と近接設置されることで、当該補助給湯手段からの放熱を吸収可能に構成されることを第8の特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第8のいずれか一つの特徴に加えて、前記ヒートポンプ給湯手段と前記補助給湯手段とが同一筐体内に設置されることを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の特徴の給湯システムによれば、貯湯タンクには補助給湯手段によって加熱された温水が供給される構成であるとともに、その前段で補助給湯手段に供給される水が予めヒートポンプ給湯手段によって加熱される構成であるため、補助給湯手段に供給される加熱前の水は前もって一定の加熱が施されており、これによってシステム全体の効率が向上する。
【0023】
また、ヒートポンプ給湯手段単独で構成される給湯システムの場合、ヒートポンプ給湯手段によって加熱可能な水量が限られているため、給湯負荷が高負荷状態になったときには貯湯タンク内に温水が不足する、あるいは低温の温水しか供給できないという問題があるが、本発明システムによれば、ヒートポンプ給湯手段の加熱能力を補助給湯手段によって補うことができるため、高負荷にも対応することが可能となる。
【0024】
一方で、燃料燃焼型の温水機のみで構成されるシステムと比較すると、高効率のヒートポンプ給湯手段を併用しているため、システム全体としての効率は向上する。特に、ヒートポンプ給湯手段で加熱後、補助給湯手段で加熱を行う構成であるため、ヒートポンプ給湯手段によって高温の温水を生成する必要がなく、一方補助給湯手段は、加熱後の温水が供給されるため多くの熱交換を行う必要がないため、単純に両給湯手段を組み合わせた場合と比較しても効率はさらに向上する。
【0025】
また、従来から利用されている燃焼型の温水機を補助給湯手段として利用することができるため、汎用性の高いシステムが実現できる。
【0026】
上記第2の特徴の給湯システムによれば、上記第1の特徴にかかる効果に加えて、給水源からの低温水がヒートポンプ給湯手段に供給される構成であるため、ヒートポンプ給湯手段の運転効率が向上し、これによってシステム全体の効率がさらに向上する。
【0027】
上記第3の特徴の給湯システムによれば、上記第1の特徴にかかる効果に加えて、給水源からの低温水がヒートポンプ給湯手段に供給される構成であるため、ヒートポンプ給湯手段の運転効率が向上し、これによってシステム全体の効率がさらに向上する。また、ヒートポンプ給湯手段と貯湯タンクとの間で温水の循環が可能となるため、無負荷時においてもヒートポンプ給湯手段を運転させることができ、これによってヒートポンプ給湯手段の稼働率を向上させることができる。
【0028】
一般的に、ヒートポンプ給湯手段は、ガス焚温水機などの燃焼型温水機と比較して原理上高い効率を示す給湯手段であるため、ヒートポンプ給湯手段を高い稼働率で運転させることで高効率の給湯システムが実現できる。
【0029】
また、上記第4の特徴の給湯システムによれば、ガス焚温水機などの燃焼型温水機と比較して原理上高い効率を示すヒートポンプ給湯手段を高い稼働率で運転させることができるため、高効率の給湯システムが実現できる。さらに、貯湯タンク内に貯湯された湯温の情報に基づいてヒートポンプ給湯手段あるいは補助給湯手段の発停制御を行う構成であるため、その制御内容は単純であり、複雑な制御回路を別途設ける必要がない。
【0030】
また、上記第5の特徴の給湯システムによれば、補助給湯手段の運転中に、当該補助給湯手段の燃焼状態を低下させることができるため、稼働率を低下させることができ、システム全体としての効率をさらに向上させることができる。
【0031】
また、上記第6の特徴の給湯システムによれば、貯湯タンク内に貯湯された湯温の情報に基づいてヒートポンプ給湯手段あるいは補助給湯手段の制御が行われるため、その制御内容は単純であり、複雑な制御回路を別途設ける必要がない。
【0032】
また、上記第7の特徴の給湯システムによれば、給湯負荷が少ない時、ヒートポンプ給湯手段に流入される水の水温を確実に給水源から供給される水の水温に近づけることができるため、流入水温を低下させることができる。これによってヒートポンプ給湯手段の効率が向上するため、システム全体の効率がさらに向上する。
【0033】
また、上記第8の特徴の給湯システムによれば、ヒートポンプ給湯手段の外気温度が補助給湯手段の放熱によって上昇し、これによってヒートポンプ給湯手段の効率が向上するため、システム全体の効率がさらに向上する。
【0034】
また、上記第9の特徴の給湯システムによれば、ヒートポンプ給湯手段が補助給湯手段の放熱を効率的に吸収することが可能となり、ヒートポンプ給湯手段の効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る給湯システム(以下、適宜「本発明システム」と略称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
<第1の実施形態>
図1は、本発明システムの第1の実施形態(以下、適宜「本実施形態」と略称する)の構成を示す概略構成図である。なお、図中の二重線は水路の配管を示しており、破線は制御用の信号線を示している。
【0037】
また、以下の各実施形態において、水がタンク等に流入する箇所を入水口、タンク等より流出する箇所を出水口と記載しているが、実施形態においては、同一の入水口から水が流出する場合や、出水口から水が流入する場合がある。このため、同一の符号を付された入水口あるいは出水口から流入と流出が行われる可能性がある場合には、適宜入出水口と記載するものとする。
【0038】
図1に示される本発明システム1aは、給水タンク2、貯湯タンク3、ヒートポンプ給湯手段4、給湯負荷5、および補助給湯手段であるガス焚温水機7を備えて構成される。なお、以下では補助給湯手段として燃料がガスであるガス焚温水機として説明を行うが、石油を燃料とした油焚温水機であっても構わないし、他の燃料やエネルギーを利用するものであってもよい。
【0039】
また、貯湯タンク3には、貯湯される温水の温度を検出する温度検出器9が備えられ、当該検出器9によって検出された温度情報はガス焚温水機7、およびガス焚温水機7から貯湯タンク3に温水を導くために配管に介装されている循環ポンプ11に与えられる。さらに、温水を給湯負荷5と貯湯タンク3との間で循環させるための循環ポンプ6が備えられている。
【0040】
以下において具体的な管路構成について説明を行う。
【0041】
上水道(不図示)から給水される上水が給水タンク2によって蓄えられており、この蓄えられた水は管路21および管路22を介してヒートポンプ給湯手段4の入水口31に供給されるとともに、管路21および管路24を介して貯湯タンク3の入水口33に供給される。なお、管路21に供給される給水源はタンク形態に限られず、低温の水が供給される形態であればいかなる形態でも構わない。
【0042】
ヒートポンプ給湯手段4は、ヒートポンプ回路の冷媒として例えばCOを採用したCOヒートポンプで構成され、入水口31から給水された水をヒートポンプ回路の凝縮器からの放熱と熱交換して加熱して、出水口32から配管41を介してガス焚温水機7の入水口35に供給する。例えば、ヒートポンプ回路の圧縮機は3相誘導電動機で構成され、商用電力(3相200V)を電源として作動するものとする。また、配管41には循環ポンプ42が介装されている。
【0043】
また、貯湯タンク3の出水口34から出力される温水は、管路25を介してガス焚温水機7の入水口35に供給される。入水口35から供給された温水は、ガス焚温水機7によって加熱され、出水口36より温水が出力される。当該温水は、管路26を介して貯湯タンク3の入水口37に供給される。なお、管路25には逆止弁12が介装されており、管路41を介してヒートポンプ給湯手段4から出湯した温水が貯湯タンク3の出水口34へ逆流入しないように構成される。
【0044】
ガス焚温水機7は、例えばガス焚真空式温水機で構成される。ガス焚真空式温水機は、缶体内の下部にガスバーナの火炎で熱媒水を加熱する火炉を設けるとともに、缶体内の上部の減圧空気中にU字状の伝熱管を設けてなり、缶体内の下部に封入された熱媒水をガスバーナの火炎で加熱し、また、その上部の減圧空気中の伝熱管を加熱することによって、伝熱管中を流れる水を加熱する構成とすることができる。
【0045】
なお、入水口33と入水口37とは、貯湯タンク3内において離れた位置に存在しており、入水口33が貯湯タンク3の下部領域に設置され、入水口37が貯湯タンク3の上部領域に設置される。
【0046】
水は、温度が高くなるにつれ上方に移動する性質、いわゆる対流性を有する。貯湯タンク33は、下方領域に設置される入水口33から低温の水が供給され、上方領域に設置される入水口37からは高温(少なくとも入水口33から供給される水よりは高温)の温水が供給されるため、当該タンク33に貯湯される温水は、上部領域に行くほど高温になるような温度分布を示すこととなる。
【0047】
また、管路26には循環ポンプ11が設置されており、当該ポンプ11は後述する温度検出器9の温度情報に基づいて発停制御される。
【0048】
また、貯湯タンク3は、当該タンクに貯湯した温水を上部領域に設置された出水口38より配管27を介して給湯負荷5に供給する。上述のように、貯湯タンク3の上部領域には温度の高い温水が貯湯されているため、給湯負荷5には高温の温水を供給することが可能となる。給湯負荷5は、例えばカランやシャワー、浴槽などで構成される。
【0049】
また、給湯負荷5が循環負荷の場合に管路27および管路28を介して温水を循環させるべく、循環ポンプ6を作動させる。循環負荷は、管路27での放熱による温水温度の低下を防止する目的で温水を循環させるためのものである。このように循環された温水は、管路28より貯湯タンク3の入水口39より入湯される。この入水口39は、入水口33より上方に設置される。
【0050】
カランやシャワーが開栓されると、給水タンク2からの水圧により、給水タンク2からの水が管路24を介して貯湯タンク3に流入するとともに、管路22を介してヒートポンプ給湯手段4に流入する。ヒートポンプ給湯手段4に流入された水は、当該ヒートポンプ給湯手段4で加熱された後、加熱後の温水が管路41、管路25を介してガス焚温水機7に供給され、さらに配管26を介して当該温水が貯湯タンク3に流入する。これによって貯湯タンク3内に貯湯された温水が出水口38から押し出され、管路27を介してカランやシャワーの出力に供給される。一方で、給湯負荷非使用時においても、循環ポンプ6動作時には、温水が管路27、管路28を介して貯湯タンク3に再入力される。
【0051】
また、貯湯タンク3の上部領域には温度検出器9が設置されており、当該領域に貯湯された温水の温度を測定する。温度検出器9によって測定された温水の温度情報は、循環ポンプ11およびガス焚温水機7に送られる。
【0052】
循環ポンプ11およびガス焚温水機7は、温度検出器9から与えられる温度の情報に基づいて発停制御される構成である。例えば、温度検出器9から与えられる温度情報が60℃を上回っていればガス焚温水機7の燃焼を停止させるとともに循環ポンプ11の運転を停止させる。一方、温度検出器9から与えられる温度情報が50℃を下回っていればガス焚温水機7の燃焼および循環ポンプ11の運転を開始する。なお、この設定温度値はあくまで一例であり、設定値はこの値に限られるものではない。
【0053】
このように構成されるとき、ヒートポンプ給湯手段4によって加熱された温水が、ガス焚温水機7に供給されるとともに、当該ガス焚温水機7が稼動状態であれば、当該ガス焚温水機7によってさらに加熱されて貯湯タンク3の上部領域に供給されることで貯湯タンク3内に温水が貯湯される。そして、貯湯タンク3の上部領域に設置された出水口38より給湯負荷5に供給される。
【0054】
すなわち、本発明システム1aは、水がヒートポンプ給湯手段4で加熱された後、さらにガス焚温水機7によって加熱される構成であって、この加熱後の温水が蓄えられる貯湯タンク3から給湯負荷5に供給される構成であるため、ヒートポンプ給湯手段4としてはそれほど高温まで加熱する必要がなく、例えば42℃程度まで加熱する設定として構わない。このため、ヒートポンプ給湯手段4は、出湯温度をそれほど高温にする必要がなく、高効率運転を行うことができる。
【0055】
また、ガス焚温水機7には、ヒートポンプ給湯手段4で加熱された温水が直接入力される構成であるため、貯湯タンク3からの温水のみがガス焚温水機7に供給される構成と比較して入湯される温水の温度が上昇する。これによってガス焚温水機7の熱交換量を減らすことができ、システムの効率が向上する。
【0056】
なお、上述では、ガス焚温水機7および循環ポンプ11が温度検出器9の温度情報に基づいて発停制御される構成としたが、ヒートポンプ給湯手段4および循環ポンプ42についても、温度検出器9の温度情報に基づいて発停制御される構成としても構わない(図2参照)。このとき、ヒートポンプ給湯手段4および循環ポンプ42が、ガス焚温水機7および循環ポンプ11よりも優先的に稼動するように発停制御される構成としてもよい。すなわち、上述の例のように、ガス焚温水機7および循環ポンプ11が温度検出器9から与えられる温度情報が62℃を上回っていればガス焚温水機7の燃焼を停止させるとともに循環ポンプ11の運転を停止させる一方、温度検出器9から与えられる温度情報が55℃を下回っていればガス焚温水機7の燃焼および循環ポンプ11の運転を開始する設定としてもよい。このように設定することで、高効率なヒートポンプ給湯手段4をガス焚温水機7と比較して優先的に稼動させることができ、システム全体の効率を向上させることができる。
【0057】
なお、このとき、ヒートポンプ給湯手段4のみが稼動して、ガス焚温水機7が非稼動状態であっても、循環ポンプ42が稼動しているため、ヒートポンプ給湯手段4から出湯した温水は、循環ポンプ42のポンプ圧によって配管41、配管45、配管26を介して入水口37から貯湯タンク3に温水が供給される構成である。
【0058】
また、逆止弁12の他、各管路21〜28には、それぞれ開閉弁(2方弁)、逆止弁、減圧弁、定流量弁、安全弁、自動空気抜き弁等のうち、適宜必要なものが介装されるものとして構わない。また、ヒートポンプ給湯手段4の入水口31の内側にも、開閉弁や循環ポンプが設けられるものとして構わない。
【0059】
また、上記ヒートポンプ給湯手段4がガス焚温水機7と近接して設置される構成としてもよい。例えばCOヒートポンプ給湯手段は、外気の熱エネルギーを吸収して水の加熱に利用する構成であるため、当該給湯手段の周囲の外気温が高温であるほど、高効率が実現できる。この場合、ヒートポンプ給湯手段4をガス焚温水機7に近接して設置することで、当該ガス焚温水機7からの放熱によってヒートポンプ給湯手段4の周囲温度が上昇し、これによってヒートポンプ給湯手段4の熱効率が上昇するため、このように配置されることでシステム全体としての効率が更に向上する。特に、冬季などの外気温度が低下する時季においても、ヒートポンプ給湯手段4の効率の低下を抑制することができる。
【0060】
なお、このとき、ヒートポンプ給湯手段4をガス焚温水機7と同一の筐体内に設置する構成とすることでガス焚温水機7からの放熱の回収効率がさらに向上する。
【0061】
<第2の実施形態>
以下に本発明システムの第2の実施形態(以下、適宜「本実施形態」と呼称する)について図面を参照して説明を行う。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図3は、本実施形態における本発明システム1bの構成を示す概略構成図である。本実施形態は、第1の実施形態と比較して、ヒートポンプ給湯手段4から出湯された温水が貯湯タンク3の上部領域に供給される点が異なる。すなわち、ヒートポンプ給湯手段4の出水口32に接続される配管41が、ガス焚温水機7の出水口36と貯湯タンクの入水口37とを接続する配管26に接続される構成である。なお、ヒートポンプ給湯手段4の出湯温度は、第1の実施形態の設定温度よりも高温(例えば60℃)に設定されるものとする。
【0063】
また、ヒートポンプ給湯手段4から出湯する温水が通過する配管41が、貯湯タンク3とガス焚温水機7とを接続する配管25と接続されない構成であるため、第1の実施形態の構成のようにヒートポンプ給湯手段4から出湯した温水が配管25に流入することがなく、このため図1に示されるように配管25に介装されていた逆止弁12は必ずしも必要ではない。
【0064】
また、貯湯タンク3は、温度検出器9の下方領域に湯温を測定するための別の温度検出器43を有し、当該温度検出器43の情報に基づいてヒートポンプ給湯手段4および循環ポンプ42の発停制御が行われる。図3では、混同を避ける目的で、温度検出器9からの温度情報の流れを示す破線と、温度検出器43からの温度情報の流れを示す破線の種類を異なる種類のものとしている。以下の図面においても、混同を生じない範囲内において当該図示方法によるものとする。
【0065】
本実施形態のシステム1bは、温度検出器9の温度情報に基づいてガス焚温水機7および循環ポンプ11が制御されるとともに、温度検出器43の温度情報に基づいてヒートポンプ給湯手段4および循環ポンプ42が制御される。すなわち、第1の実施形態と同様に、温度検出器9から与えられる温度情報が60℃を上回っていればガス焚温水機7の燃焼を停止させるとともに循環ポンプ11の運転を停止させる一方、50℃を下回っていればガス焚温水機7の燃焼および循環ポンプ11の運転を開始する。さらに、例えば温度検出器43から与えられる温度情報が60℃を上回っていればヒートポンプ給湯手段4の燃焼を停止させるとともに循環ポンプ42の運転を停止させる一方、50℃を下回っていればヒートポンプ給湯手段4の燃焼および循環ポンプ42の運転を開始するものとする。
【0066】
なお、循環ポンプ11はガス焚温水機7とともに制御が行われ、循環ポンプ42はヒートポンプ給湯手段4とともに制御が行われる構成であるため、以下において、制御内容の説明を行う際には、ガス焚温水機7およびヒートポンプ給湯手段4に対する制御についてのみ説明を行い、循環ポンプ11および循環ポンプ42についての言及を省略する。
【0067】
このように構成されるとき、貯湯タンク3の下方領域には低温水が入水口33より供給される一方、上方領域には高温水が入水口37より供給されるため、貯湯タンク3に貯湯される温水の湯温は、上方に行くほど高温となる。すなわち、上方に位置する温度検出器9によって検出される湯温は、下方に位置する温度検出器43によって検出される湯温よりも高温である。
【0068】
例えば、ある時点において、給湯負荷が無負荷時で、貯湯タンク3内に貯湯される温水の温度がタンク全体に渡って60℃以上であったとする。この場合、ガス焚温水機7およびヒートポンプ給湯手段4は停止状態に制御されている。このような状況下において、給湯負荷5が負荷状態となり、貯湯タンク38から温水が給湯負荷5に対して供給された場合を想定する。
【0069】
貯湯タンク3から温水が管路27を介して給湯負荷5に供給されると、給水タンク2からの水圧により管路21、管路24を介して、貯湯タンク3の下方領域に設置された入水口33より低温水が貯湯タンク3に流入する。これによって貯湯タンク3内の下方領域の湯温は低下を開始する。
【0070】
上述したように、一般的に水は対流性を有するため、入水口33より流入される低温水は貯湯タンク3の下方領域内に留まり、これによって貯湯タンク3内の湯温は下方領域から低下を始める。
【0071】
このため、温度検出器43は、当該温度検出器43より上方に位置する温度検出器9よりも先に運転開始指示を行う下限温度である50℃を示す。温度検出器43が示す温度情報が50℃を下回ったことを確認すると、ヒートポンプ給湯手段4は運転を開始する。このとき、循環ポンプ42も同時に運転が開始されるため、給水タンク2から供給される低温水が配管22を介してヒートポンプ給湯手段4の入水口31に送られる。ヒートポンプ給湯手段4は、供給される低温水を加熱した後、出水口32より温水を配管41を介して貯湯タンク3の入水口37へと導く。
【0072】
さらに給湯負荷5によってヒートポンプ給湯手段4の出湯能力よりも多くの温水が利用され続けると、貯湯タンク33の入水口(入出水口)33から低温水が供給され続けるため、貯湯タンク3内の湯温はさらに低下し、温度検出器9が示す温度も次第に低下する。そして、温度検出器9が示す湯温が50℃を下回ると、ガス焚温水機7は運転を開始する。このとき、循環ポンプ11も同時に運転が開始されるため、貯湯タンク3の下方領域に位置する出水口34から供給される低温水がガス焚温水機7の入水口35に送られる。ガス焚温水機7は、供給される低温水を加熱した後、出水口36より温水を配管26を介して貯湯タンク3の入水口37へと導く。
【0073】
これによって、貯湯タンク3の上方領域に位置する温水の温度は上昇速度を速める。このような状況の下で、給湯負荷5が低負荷状態に移行すると、貯湯タンク3内の上方領域に位置する温水の温度はさらに上昇する。そして温度検出器9によって60℃を上回る温度が検知されると、ガス焚温水機7は運転を停止する。一方で、ヒートポンプ給湯手段4は運転を継続する。
【0074】
その後、無負荷状態に移行すると、ヒートポンプ給湯手段4から供給される高温の温水が貯湯タンク3の上方に位置する入水口37より供給されるとともに、出水口(入出水口)33より貯湯タンク3内の温水が配管24、配管22を介してヒートポンプ給湯手段4の入水口31に供給される。すなわち、ヒートポンプ給湯手段4と貯湯タンク3との間で温水の循環が行われる。これによって徐々に下方領域の温水の温度も上昇し、温度検出器43によって60℃を超えたことが検知されると、ヒートポンプ給湯手段4は運転を停止する。
【0075】
すなわち、このように構成されることで、ガス焚温水機7よりもヒートポンプ給湯手段4を優先的に稼動させる制御が行われることとなる。上述のように、ヒートポンプ給湯手段4は、ガス焚温水機7よりも単体で高効率を実現する構成であるため、当該高効率給湯手段の稼働率を向上させることで、システム全体としての高い効率が実現できる。
【0076】
さらに上記の説明において、例えばガス焚温水機7およびヒートポンプ給湯手段4の両給湯手段が停止された状態から、まずヒートポンプ給湯手段4が運転を開始した場合、当該ヒートポンプ給湯手段4から出湯される温水は貯湯タンク3の上方領域に流入するため、給湯負荷5が低負荷である場合などにおいては、温度検出器43が示す温水の温度が60℃を上回るまでの間、温度検出器9が示す温水の温度が一度も50℃を下回ることがないことも予想される。すなわち、このような場合には、低効率のガス焚温水機7を運転させることなく、高効率のヒートポンプ給湯手段4のみの運転で給湯負荷5に対応できることとなる。
【0077】
なお、本実施形態は、貯湯タンク3内に貯湯された温水の温度に基づき、ヒートポンプ給湯手段4が、ガス焚温水機7よりも優先的に運転される制御が行われる構成である。上記の例のように、ガス焚温水機7に運転開始指示を与える閾値となる下限温度と、ヒートポンプ給湯手段4の運転開始指示を与える閾値となる下限温度とが同一の値であっても、ガス焚温水機7の制御を行うための判断基準となる湯温の測定場所は、ヒートポンプ給湯手段4の制御を行うための判断基準となる湯温の測定場所よりも高温領域であるため、ヒートポンプ給湯手段4が先に運転を開始することとなる。
【0078】
従って、例えば温度検出器9が示す温度が45℃を下回った時点でガス焚温水機7が運転を開始するとともに、58℃を上回った時点で運転を停止する一方、温度検出器43が示す温度が53℃を下回った時点でヒートポンプ給湯手段4が運転を開始するとともに、60℃を上回るまで運転を持続させるような制御を行うものとして構わない。すなわち、発停制御を与える閾値となる温度の値は上記の値に限られるものではない。
【0079】
また、上述では、ヒートポンプ給湯手段4およびガス焚温水機7それぞれの制御のために個別の温度検出器を備える構成としたが、動作開始指示を与える下限温度および動作停止を与える上限温度をそれぞれ異なる値に設定することによって、単独の温度検出器を備える構成でも実現可能である。このとき、当該温度検出器によって検出された温度情報は、ガス焚温水機7、循環ポンプ11、ヒートポンプ給湯手段4、および循環ポンプ42のそれぞれに与えられる構成である。
【0080】
このとき、例えば、当該温度検出器が示す温度が45℃を下回った時点でガス焚温水機が運転を開始するとともに、58℃を上回った時点で運転を停止する一方、53℃を下回った時点でヒートポンプ給湯手段4が運転を開始するとともに、60℃を上回るまで運転を持続させるような制御を行う設定とすることができる。
【0081】
なお、本実施形態において、貯湯タンク3が温度検出器9のさらに上方の位置に他の温度検出器44を備えるとともに、ガス焚温水機7が当該温度検出器44の示す湯温の情報に基づいて出力調整を行なう構成としてもよい。
【0082】
図4は、本発明システムにかかる本実施形態の別の構成例を示す概略構成図である。図4に示す本発明システム1cは、図3に図示された本発明システム1bと比較して、さらに貯湯タンク3に温度検出器44を備え、当該温度検出器44の示す温度情報がガス焚温水機7に与えられる構成である。
【0083】
ガス焚温水機7は、温度検出器9が示す温度情報に基づいて、発停制御が行われるとともに、さらに温度検出器44が示す温度情報に基づいて燃焼出力の制御が行われる構成である。例えば、温度検出器9が60℃以下を示すとともに、温度検出器44が示す温度が55℃以下であればガス焚温水機7は高燃焼状態で運転され、55℃以上であれば低燃焼状態で運転される制御が行われるものとする。
【0084】
このように構成されることで、ガス焚温水機7に運転指示が与えられる条件下であっても、貯湯タンク3に貯湯される温水の湯温に応じて、当該温水機7の燃焼状態を低く設定でき、ガス焚温水機7の稼働率を低下させることができる。
【0085】
さらに、給水タンク2から供給される低温水をヒートポンプ給湯手段4の前段で蓄えるバッファタンクを備える構成としてもよい。
【0086】
図5は、本発明システムにかかる本実施形態の別の構成例を示す概略構成図である。図5に示す本発明システム1dは、図3に図示された本発明システム1bと比較して、ヒートポンプ給湯手段31と給水タンク2との間に貯水用のバッファタンク51を備え、当該バッファタンク51に蓄えられた水がヒートポンプ給湯手段4および貯湯タンク3に供給される構成である。
【0087】
バッファタンク51は、入水口54、出水口55、および出水口56を備える。入水口54は配管21と接続されており、給水タンク2からの低温水が当該入水口に流入する。出水口55は、ヒートポンプ給湯手段4の入水口31と配管52で接続されており、当該出水口55から出水した水が入水口31よりヒートポンプ給湯手段4に供給される。また、出水口56は貯湯タンク3の入水口33と配管53で接続されており、当該出水口56から出水した水が入水口33より貯湯タンク3に供給される。なお、入水口54および出水口55はバッファタンク51の下部領域に設置され、出水口56はバッファタンク51の上部領域に設置されるものとする。
【0088】
このように構成されるとき、給水タンク2から供給される低温水は、配管21を介して入水口54よりバッファタンク51に供給され、当該タンク内に貯水される。この貯水された低温水は、出水口55より配管52を介してヒートポンプ給湯手段4の入水口31に供給されるとともに、入水口56より配管53を介して貯湯タンク3の入水口33の供給される。すなわち、バッファタンク51を設置することによって、特に給湯負荷が少ない場合にはヒートポンプ給湯手段4の入水口31に流入する水の水温を、給水タンク2に貯水された水の水温に確実に等しい低温状態にすることができる。上述したように、ヒートポンプ給湯手段4は、入力される水の温度が低いほど効率が向上するため、図5に示される本発明システム1dの構成とすることで、さらに高効率なシステムを実現することができる。
【0089】
また、本システム1dの構成において、無負荷時には循環ポンプ42を稼動させることで、貯湯タンク3の下部領域に蓄えられた水を出水口(入出水口)33より配管53を介してバッファタンク51の入水口(入出水口)56に供給する。一方、バッファタンク51の下部領域に貯水された水は出水口55より配管52を介してヒートポンプ給湯手段4に与えられ、加熱後の温水が配管41を介して貯湯タンク3の上部領域に設置された入水口37より供給される。このようにして無負荷時においても水(温水)が循環してヒートポンプ給湯手段が運転を維持し、貯湯タンク3内に貯湯される温水を一定温度以上に維持する。
【0090】
貯湯タンク3の下部領域は低温水で構成されており、またバッファタンク51に流入する入水口56はバッファタンク51の上部領域に設置されている一方、ヒートポンプ給湯手段4には、バッファタンク51の下部領域に設置された入水口55より水が供給される構成であるため、ヒートポンプ給湯手段4に供給される水の水温はほぼ給水タンク2に貯水された水の水温を維持することができる。
【0091】
なお、バッファタンクを複数段有することで、ヒートポンプ給湯手段4の入水口31に供給される水の水温をさらに給水タンク2に貯水された水の水温に近づけることができる。
【0092】
図6に示すシステム1eは、バッファタンクを複数段備える構成である。システム1eは、図5に示されるシステム1dに備えられるバッファタンク51に加えて、さらにバッファタンク61、62を備えており、これらがシリアルに接続される。
【0093】
すなわち、バッファタンク51の出水口66とバッファタンク61の入水口68とが配管63で接続され、バッファタンク61の出水口67とバッファタンク62の入水口69とが配管64で接続され、バッファタンク62の出水口70と貯湯タンク3の入水口33とが配管65で接続される。
【0094】
給水タンク2から供給される低温水はバッファタンク51に貯水され、当該貯水された低温水が当該バッファタンク51よりヒートポンプ給湯手段4に供給される。また、給水タンク2から供給される水の水量がバッファタンク51の貯水量を上回ると、順次、バッファタンク61、62にも貯水され、バッファタンク62の出水口70より貯湯タンク3に当該貯水された水が供給される。
【0095】
一方、無負荷時の循環状態においては、貯湯タンク3内に貯湯された温水が配管65を介してバッファタンク62に流入し、バッファタンク62の出水口(入出水口)69より押し出された水が配管64を介してバッファタンク61に流入し、バッファタンク61の出水口(入出水口)68より押し出された水が配管63を介してバッファタンク51に流入し、バッファタンク51の出水口(入出水口)55より押し出された水が配管52を介してヒートポンプ給湯手段4に供給される。
【0096】
このように構成されることで、貯湯タンク3から供給される温水と給水タンク2から供給される低温水が直接混合されることがないため、バッファタンク51に蓄えられる水の低温状態をさらに維持することができ、これによってヒートポンプ給湯手段4の効率をさらに向上させることができる。また、バッファタンクを複数段備えることで、実質的に貯湯タンク3の容量を増加させることができるという効果もある。この場合、バッファタンク61および62は、見方を変えれば貯湯タンクと捉えることができ、すなわち貯湯タンクを複数段シリアルに接続するとともに、最も低温水が貯水される貯湯タンクに接続されるタンクをバッファタンクとして構成されるシステムとしても構わない。
【0097】
また、上述では、ガス焚温水機7、循環ポンプ11、ヒートポンプ給湯手段4、および循環ポンプ42は、温度検出器からの温度情報に基づいて個々において発停制御が行われる構成としたが、温度検出器からの温度情報を受け取る制御手段を外部に有するとともに、当該制御手段によって、ガス焚温水機7、循環ポンプ11、ヒートポンプ給湯手段4、および循環ポンプ42の発停制御を行うものとしても構わない。
【0098】
図7は、本発明システムの第2の実施形態にかかる別の概略構成図である。図7に示されるシステム1fは、制御手段8を有し、当該制御手段8によってガス焚温水機7、循環ポンプ11、ヒートポンプ給湯手段4、および循環ポンプ42が発停制御される構成である。
【0099】
制御手段8は、温度検出器9からの温度情報に基づいてガス焚温水機7および循環ポンプ11の発停制御を行う一方、温度検出器43からの温度情報に基づいてヒートポンプ給湯手段4および循環ポンプ42の発停制御を行う構成である。なお、図3に示されるシステム1bとの相違点は制御手段8を外部に有する点のみであり、その制御内容は同一であるため説明を省略する。
【0100】
また、このように制御手段8を外部に備えることで、ガス焚温水機8に対して運転/停止の2値制御を指示するのみならず、出力の調整指示といった複雑な制御を行うことも可能である。例えば、制御手段8が温度検出器9の温度情報に基づいてガス焚温水機7に対して複数段制御を行う構成としてもよい。このように構成されることで、上述したシステム1c(図4参照)と同様の効果を得ることができる。
【0101】
<第3の実施形態>
以下に本発明の第3の実施形態(以下、適宜「本実施形態」と呼称する)について図面を参照して説明を行う。なお、本実施形態において、第1及び第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
図8は、本実施形態における本発明システム1gの構成を示す概略図である。本実施形態は、第1の実施形態の配管構成と同一の構成の下で、第2の実施形態と同様、ヒートポンプ給湯手段4及び循環ポンプ42が温度検出器43の温度情報に基づいて発停制御される構成である。
【0103】
すなわち、図8に示される本発明システム1gは、図1に示される本発明システム1aに温度検出器43を加えた構成である。
【0104】
このように構成される場合、第1の実施形態と同様、ガス焚温水機7には予めヒートポンプ給湯手段4によって加熱された温水が供給されるため、ガス焚温水機7の入水口35に供給される温水の温度は第2の実施形態と比較して上昇し、これによってガス焚温水機7の熱交換量を減らすことができるため、システム全体の効率が向上する。
【0105】
一方で、第2の実施形態と同様、ガス焚温水機7とヒートポンプ給湯手段4とをいずれも貯湯タンク3に貯湯された温水の湯温によって発停制御がされる構成とし、且つ、ガス焚温水機7と比較してヒートポンプ給湯手段4が優先的に稼動されるように制御を行うことで、第1の実施形態と比較して、高効率なヒートポンプ給湯手段4を優先的に稼動させることができるため、システム全体の効率が向上する。
【0106】
なお、本実施形態の構成では、ヒートポンプ給湯手段4の出湯温度を第1の実施形態の設定温度よりも高温(例えば60℃)に設定されるものとして構わない。このようにすることで、ガス焚温水機7が非稼動状態で、ヒートポンプ給湯手段4のみが稼動している場合にも、貯湯タンク3の入水口37には高温の温水が供給される。
【0107】
なお、本実施形態においても、第2の実施形態で上述したシステム1c〜1fに相当する実施例と同様の構成とすることができる。
【0108】
また、上述の各実施形態において、給湯負荷5が循環負荷であった場合に、再度貯湯タンクに流入する際の入水口39は、加熱後の温水が流入する入水口37より下方位置に設置するものとして構わない。貯湯タンク3から出力される温水は高温であるが、配管27および配管28を通過することで温度が低下するため、入水口37より流入する温水と比較して低温である。このように構成されることで貯湯タンク3の出水口38から出水する温水の温度を高温に維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係る給湯システムは、ヒートポンプ式の給湯システムに利用でき、ヒートポンプ式の給湯システムの高いエネルギー効率を維持して、瞬間的な高給湯負荷への給湯に自動的に対応可能で、システム内の給湯圧力を高めることのできる給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係る給湯システムの第1の実施形態における概略構成図
【図2】本発明に係る給湯システムの第1の実施形態における別の概略構成図
【図3】本発明に係る給湯システムの第2の実施形態における概略構成図
【図4】本発明に係る給湯システムの第2の実施形態における別の概略構成図
【図5】本発明に係る給湯システムの第2の実施形態におけるさらに別の概略構成図
【図6】本発明に係る給湯システムの第2の実施形態におけるさらに別の概略構成図
【図7】本発明に係る給湯システムの第2の実施形態におけるさらに別の概略構成図
【図8】本発明に係る給湯システムの第3の実施形態における概略構成図
【図9】従来構成の給湯システムの概略構成図
【図10】従来構成の給湯システムの別の概略構成図
【符号の説明】
【0111】
1a、1a’、1b、1c、1d、1e、1f、1g: 本発明の給湯システム
1h、1i: 従来の給湯システム
2: 給水タンク
3: 貯湯タンク
4: ヒートポンプ給湯手段
5: 給湯負荷
6: 循環ポンプ
7: ガス焚温水機
8: 制御手段
9: 温度検出器
11: 循環ポンプ
12: 逆止弁
21、22、23、24、25、26、27、28: 配管
31、32、33、34、35、36、37、38、39: 入出水口
41: 配管
42: 循環ポンプ
43、44: 温度検出器
51: バッファタンク
52、53: 配管
54、55、56: 入出水口
61、62: バッファタンク
63、64、65: 配管
66、67、68、69 入出水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換して水を加熱して給湯するヒートポンプ給湯手段と、
温水を貯湯し、貯湯された温水を給湯負荷に対して供給する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクより供給される温水を加熱した後、再び前記貯湯タンクに供給する補助給湯手段と、を備え、
前記補助給湯手段に前記ヒートポンプ給湯手段によって加熱された温水が直接供給されるか、あるいは前記ヒートポンプ給湯手段によって加熱された温水が前記貯湯タンクに貯湯された後、前記補助給湯手段に前記貯湯タンクから温水が供給される構成であることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
給水源から供給される低温水を、前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給可能な構成であり、
前記ヒートポンプ給湯手段が、供給される前記低温水を加熱した後、前記貯湯タンクに温水を供給することを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
給水源から供給される低温水を、前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給可能な構成であり、
前記ヒートポンプ給湯手段が、供給される前記低温水を加熱した後、前記補助給湯手段に温水を供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記補助給湯手段および前記ヒートポンプ給湯手段が、それぞれ前記貯湯タンクに貯湯された温水の温度に応じて発停制御が行われる構成であり、
前記補助給湯手段よりも前記ヒートポンプ給湯手段が優先的に稼動される制御が行われることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記補助給湯手段が、前記貯湯タンクに貯湯された温水の温度に応じて燃焼出力を複数段制御されることを特徴とする請求項4に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記貯湯タンクが、前記低温水が入水する入水口および前記補助給湯手段に対して出水する出水口を下部領域に有するとともに、前記補助給湯手段から供給される温水が入水する入水口、前記ヒートポンプ給湯手段から供給される温水が入水する入水口、および前記給湯負荷に対して温水を出水する出水口を上部領域に有する構成であり、
前記補助給湯手段が、前記貯湯タンク内の第1の検温位置の温水の温度に応じて発停制御され、前記ヒートポンプ給湯手段が、前記貯湯タンク内の前記第1の検温位置より下方の第2の検温位置の温水の温度に応じて発停制御される構成であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記給水源から供給される前記低温水を貯水するバッファタンクを前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクの前段に有し、当該バッファタンクから出水される前記低温水が前記ヒートポンプ給湯手段および前記貯湯タンクに供給される構成であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記ヒートポンプ給湯手段が、外気の熱エネルギーを吸収して水の加熱に利用する構成であり、前記補助給湯手段と近接設置されることで、当該補助給湯手段からの放熱を吸収可能に構成されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記ヒートポンプ給湯手段と前記補助給湯手段とが同一筐体内に設置されることを特徴とする請求項8に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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