説明

給湯システム

【課題】出湯停止時において混合弁の開度が保持される保持時間を短縮する。
【解決手段】給湯システムでは、貯湯タンクから供給された湯と給水源から供給された水とが混合弁によって混合されて給湯端末に供給される。また、給湯端末から出湯される湯の給湯設定温度は、コントローラの操作部が操作されることによって決定される。給湯設定温度が第1切換温度以上である場合は、混合弁の保持時間が第1保持時間に設定され、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合は、混合弁の保持時間が第1保持時間より長い第2保持時間に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱された湯と水とを混合して給湯端末に供給する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯システムは、加熱された温水を貯留する貯湯タンクを備え、貯湯タンクから供給された湯と給水源から供給された水とを混合弁によって混合して給湯端末に供給するものが一般的である。そして、給湯システムでは、出湯開始時において高温の湯が出湯されるのを防止するため、出湯が停止されると、混合弁の開度が水の混合比率が大きくなるように変更される。また、出湯停止後において、すぐに再出湯した場合に、出湯停止時と同じ温度で出湯できるように、混合弁の開度が出湯停止時から所定の保持時間だけ保持されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−349219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出湯停止時に混合弁の開度が保持された状態で停電があった場合、混合弁の開度が制御できないことから、出湯される湯の温度を変更できない。したがって、混合弁の開度が高温の湯に対応した開度で保持されている場合、低温の湯を出湯できないという問題がある。よって、出湯が停止されたときに、混合弁の開度が水の混合比率が大きくなるように制御される場合において、混合弁の開度が給湯停止時に保持される場合でも、その保持時間は出来るだけ短い方がよい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、出湯停止時において混合弁の開度が保持される保持時間を短縮できる給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明にかかる給湯システムは、貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続された給湯端末とを備えた給湯システムであって、前記給湯端末から出湯される湯の給湯設定温度を決定する温度決定手段と、前記貯湯タンクから供給された湯と給水源から供給された水とを混合して前記給湯端末に供給する混合弁とを有しており、前記混合弁が、前記給湯端末からの出湯が停止された後で保持時間が経過するまでは出湯停止時の開度を保持すると共に、前記保持時間が経過すると前記給水源からの水の混合比率が増加するように開度が制御されるものであって、前記給湯設定温度が所定切換温度以上である場合の前記保持時間が、前記給湯設定温度が前記所定切換温度未満である場合の前記保持時間より短いことを特徴としている。
【0007】
この給湯システムでは、給湯設定温度が所定切換温度以上か否かに基づいて保持時間の長さを変更することによって、出湯停止時において混合弁の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。すなわち、給湯設定温度が低いときは、混合弁と給湯端末との間の配管内の温水の温度低下が小さいので、保持時間を長くしても、再出湯時、前回と同じ温度で出湯することができるのに対し、給湯設定温度が高いときは、上記の配管内の温水の温度低下が大きいので、保持時間を長くしても、再出湯時、前回と同じ温度で出湯することができない。したがって、給湯設定温度が高いときに、保持時間を必要以上に長くしないことによって、混合弁の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。
【0008】
第2の発明にかかる給湯システムは、第1の発明にかかる給湯システムにおいて、前記給湯設定温度を表示する表示手段を有しており、前記表示手段が、出湯が停止された後において待機時間が経過しても出湯が開始されない場合に、前記給湯設定温度の表示を消去するように制御されるものであって、前記給湯設定温度が前記所定切換温度以上である場合の前記保持時間が前記待機時間以下であることを特徴としている。
【0009】
この給湯システムでは、給湯設定温度が所定切換温度以上である場合に、出湯停止時において混合弁の開度が保持される間は、給湯設定温度が表示されるので、ユーザが、所定切換温度以上の給湯設定温度を確認しない状態で、出湯が開始されるのを防止できる。
【0010】
第3の発明にかかる給湯システムは、第2の発明に係る給湯システムにおいて、前記待機時間が、前記給湯設定温度にかかわらず一定であることを特徴としている。
【0011】
この温水供給システムでは、給湯設定温度の表示が消去されるまでの待機時間が一定であることから、上記の待機時間が変化することによって、ユーザが戸惑うのを防止できる。
【0012】
第4の発明にかかる給湯システムは、第2の発明に係る給湯システムにおいて、前記待機時間が、前記給湯設定温度に基づいて変更されることを特徴としている。
【0013】
この給湯システムでは、給湯設定温度が低いときの待機時間を短くすることによって省エネを図ることができる。すなわち、給湯設定温度が低い場合は、混合弁の保持時間内において給湯設定温度が表示されなくなって、ユーザが、給湯設定温度を確認しないで出湯が開始されたとしても、低温の湯が出湯される。したがって、混合弁の開度が保持される間に、給湯設定温度の表示が消去されても問題ない。
【0014】
第5の発明にかかる給湯システムは、第1から第4の発明に係る給湯システムにおいて、前記所定切換温度を変更する変更手段を備えていることを特徴としている。
【0015】
この給湯システムでは、ユーザが設定することが考えられる給湯設定温度の範囲に基づいて所定切換温度を変更することによって、混合弁の保持時間をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の発明では、給湯設定温度が所定切換温度以上か否かに基づいて保持時間の長さを変更することによって、出湯停止時において混合弁の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。
【0018】
第2の発明では、給湯設定温度が所定切換温度以上である場合に、出湯停止時において混合弁の開度が保持される間は、給湯設定温度が表示されるので、ユーザが、所定切換温度以上の給湯設定温度を確認しない状態で、出湯が開始されるのを防止できる。
【0019】
第3の発明では、給湯設定温度の表示が消去されるまでの待機時間が一定であることから、上記の待機時間が変化することによって、ユーザが戸惑うのを防止できる。
【0020】
第4の発明では、給湯設定温度が低いときの待機時間を短くすることによって省エネを図ることができる。
【0021】
第5の発明では、ユーザが設定することが考えられる給湯設定温度の範囲に基づいて所定切換温度を変更することによって、混合弁の保持時間をさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯システムの配管系統図である。
【図2】コントローラの正面図である。
【図3】図1の給湯システムの制御部の構成を示したブロック図である。
【図4】図1の給湯システムの混合弁及び表示部の制御を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る給湯システムの制御部の構成を示したブロック図である。
【図6】図5の給湯システムの混合弁及び表示部の制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る給湯システムについて説明する。
【0024】
[給湯機の構成]
給湯システム1は、図1に示すように、カランA、シャワーB及び風呂C(以下、カランA、シャワーB及び風呂Cを総称して適宜「給湯端末」とする)に湯を供給するシステムであって、ヒートポンプユニット2と、貯湯ユニット3と、コントローラ4とを備えている。
【0025】
[ヒートポンプユニット]
ヒートポンプユニット2は、貯湯タンク20の下部から供給される水を加熱し、その加熱した湯を貯湯タンク20に供給する。このヒートポンプユニット2は、圧縮機10と、水熱交換器11と、電動膨張弁12と、空気熱交換機13と、ファン14とを有している。そして、この圧縮機10、水熱交換器11、電動膨張弁12、空気熱交換機13及び弁類等が冷媒配管15によって環状に接続されることにより冷媒回路16を構成している。この冷媒回路16上には、水熱交換器11から出る高温高圧の冷媒と空気熱交換機13から出る冷温低圧の冷媒との間で熱交換を行うためのガス熱交換器17が配置されている。
【0026】
[貯湯ユニット]
貯湯ユニット3は、貯湯タンク20と、沸き上げ循環回路30と、追焚循環回路40と、風呂循環回路50と、給湯回路60及び70と、給水回路80とを有している。
【0027】
貯湯タンク20は、ヒートポンプユニット2により沸き上げられた湯を貯湯している。この貯湯タンク20には、沸き上げ循環回路30、追焚循環回路40、風呂給湯回路60、カラン・シャワー給湯回路70及び給水回路80が接続されており、ヒートポンプユニット2により沸き上げられた湯は、沸き上げ循環回路30、追焚循環回路40、風呂給湯回路60及びカラン・シャワー給湯回路70に供給されるように構成されている。この貯湯タンク20の下部には、給水源Sから供給される水が給水回路80を介して供給される。この貯湯タンク20には、貯湯タンク20の残湯量を検知する複数の残湯量サーミスタ21が設けられている。これらの複数の残湯量サーミスタ21は、貯湯タンク20の異なる高さ位置にそれぞれ設けられている。
【0028】
沸き上げ循環回路30は、貯湯タンク20とヒートポンプユニット2との間で湯を循環させるために設けられる回路であって、その回路上には、沸き上げポンプ31と、水熱交換器11と、沸き上げ三方弁32とが配置されている。この沸き上げ循環回路30の一方端は、貯湯タンク20の底部に接続されており、貯湯タンク20の下部の低温の水が出水可能となっている。また、沸き上げ循環回路30の他方端は、三方弁32から分岐しており、その一方は貯湯タンク20の頂部に接続されると共に、他方は貯湯タンク20の底部に接続されている。
【0029】
したがって、ヒートポンプユニット2により加熱された湯が低温の場合には、その低温の水を貯湯タンク20の下部に戻すことが可能となると共に、ヒートポンプユニット2により加熱された湯が高温の場合には、その高温の湯を貯湯タンク20の上部に戻すことが可能となる。また、沸き上げ循環回路30には、ヒートポンプユニット2に供給される水の温度(以下、入水温度とする)を検知する入水サーミスタ18、及び、ヒートポンプユニット1aにより加熱された水の温度(以下、出湯温度とする)を検知する出湯サーミスタ19が設けられている。
【0030】
追焚循環回路40は、後述する風呂循環回路50を循環する風呂Cの水を加熱するために設けられる循環回路である。この回路上には、追焚熱交換器41と、熱交循環ポンプ42とが配置されている。この追焚循環回路40の一方端は、貯湯タンク20の頂部に接続されており、貯湯タンク20の上部の高温の湯が出湯可能となっている。また、追焚循環回路40の他方端は、貯湯タンク20の底部に接続されており、追焚熱交換器41で熱交換された低温の水を貯湯タンク20の下部に戻すことが可能となっている。
【0031】
風呂循環回路50は、風呂Cの湯を循環させる循環回路であって、上記した追焚循環回路40を循環する湯と熱交換することにより風呂Cの水が加熱される。この回路上には、風呂循環ポンプ51と、上記した追焚熱交換器41とが配置されている。また、風呂循環回路50には、風呂Cの湯の温度(風呂温度)を検知する風呂サーミスタ52、及び、風呂Cの水位(以下、風呂水位とする)を検知する水位センサ53が設けられている。
【0032】
風呂給湯回路60は、貯湯タンク20に貯湯される湯を風呂Cに供給するための回路であって、その回路上には、湯はり混合弁61と、湯はり電磁弁62と、逆止弁63と、湯はり水量センサ64と、逆止弁65と、湯はりサーミスタ66とが配置されている。この風呂給湯回路60の一方端は、貯湯タンク20の頂部に接続されており、貯湯タンク20の上部の高温の湯が出湯可能となっている。また、風呂給湯回路60の他方端は、風呂Cに接続されている。
【0033】
湯はり混合弁61は、貯湯タンク20から供給される湯と給水源Sから供給される水とを混合することによって、風呂Cに供給される湯の温度を調整する。また、湯はり水量センサ64は、風呂Cに供給される湯の流量を検知するために設けられると共に、湯はりサーミスタ66は、風呂Cに供給される湯の温度を検知するために設けられている。
【0034】
湯はり混合弁61は、風呂Cに出湯される湯の温度に応じて、その開度が調整される。この混合弁61は、湯の出湯を停止してから所定の保持時間が経過するまでは、その開度を出湯停止時の開度に保持されるように制御される。そして、混合弁61は、保持時間が経過した後で、その開度が水の混合比率が大きくなるように変更される。本実施形態では、混合弁61の開度は、保持時間が経過すると、水の混合比率が100%となるように変更される。
【0035】
本実施形態では、混合弁61の保持時間が給湯設定温度に基づいて変更され、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合は、保持時間が第1保持時間(例えば30分)に設定され、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合は、第1保持時間より長い第2保持時間(例えば60分)に設定される。したがって、給湯設定温度が第1切換温度以上の場合、湯の出湯が停止された後において第1保持時間が経過するまでに再出湯されたときは、直前の出湯停止時とほぼ同一温度の湯を出湯することができる。また、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合、湯の出湯が停止された後において第2保持時間が経過するまでに再出湯されたときは、直前の出湯停止時とほぼ同一温度の湯を出湯することができる。
【0036】
カラン・シャワー給湯回路70は、貯湯タンク20に貯湯される湯をカランA及びシャワーBに供給するための回路であって、その回路上には、給湯混合弁71と、給湯水量センサ72と、給湯サーミスタ73とが配置されている。このカラン・シャワー給湯回路70の一方端は、貯湯タンク20の頂部に接続されており、貯湯タンク20の上部の高温の湯が出湯可能となっている。また、カラン・シャワー給湯回路70の他方端は、カランA及びシャワーBに接続されている。
【0037】
給湯混合弁71は、貯湯タンク20から供給される湯と給水源Sから供給される水とを混合することによって、カランA及びシャワーBに供給される湯の温度を調整する。また、給湯水量センサ72は、カランA及びシャワーBに供給される湯の流量を検知するために設けられると共に、給湯サーミスタ73は、カランA及びシャワーBに供給される湯の温度を検知するために設けられている。
【0038】
給湯混合弁71は、上記した湯はり混合弁61と同様に、カランA及びシャワーBに供給される湯の温度に応じて、その開度が調整される。本実施形態では、この混合弁71の開度が出湯停止時の開度に保持される保持時間は、給湯温度によって変更される。なお、給湯混合弁71の保持時間は、給湯設定温度に基づいて、上記した湯はり混合弁61と同様に設定される。
【0039】
給水回路80は、給水源Sから供給される水道水を貯湯タンク20、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71に供給する回路である。この給水回路80の給水源Sから貯湯タンク20までの回路上には、ストレーナ81と、逆止弁82と、水温サーミスタ83と、逆止弁84とが配置されている。水温サーミスタ83は、給水源Sから貯湯タンク20に供給される水道水の温度を検知するために設けられている。
【0040】
[コントローラ]
コントローラ4は、カランAやシャワーBから出湯される湯の給湯設定温度を変更するものと、風呂Cに供給される湯の給湯設定温度を変更するものを含んでいる。コントローラ4は、図2に示すように、表示部90と、各種ボタンが設けられる操作部91とを有している。表示部90は、液晶モニタであって、カランA及びシャワーBの給湯設定温度や、風呂Cの給湯設定温度や、貯湯タンク20の残湯量などを表示する。また、操作部91には、カランA及びシャワーBの給湯設定温度や風呂Cの給湯設定温度を決定するための温度変更ボタン92等が設けられている。
【0041】
[制御部]
給湯システム1は、マイコンやメモリ等により構成される第1制御部100と、コントローラ4に設けられた第2制御部105とを有している。この第1制御部100は、ヒートポンプユニット2及び貯湯ユニット3を制御するものであって、第2制御部105との間でデータの通信が可能に構成されている。
【0042】
第1制御部100は、図3に示すように、第1切換温度記憶部101と、保持時間変更部102と、タイマー103と、混合弁制御部104とを有している。また、第1制御部100には、図3に示すように、湯はり混合弁61や給湯混合弁71が接続されていると共に、図3に図示しないが、入水サーミスタ18、出湯サーミスタ19、複数の残湯量サーミスタ21、給湯水量センサ72、給湯サーミスタ73、熱交循環ポンプ42、風呂サーミスタ52、風呂循環ポンプ51、水位センサ53、湯はり水量センサ64、湯はりサーミスタ66等が接続されている。
【0043】
第1切換温度記憶部101は、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71において、出湯停止時に開度が保持される保持時間を切り換えるための第1切換温度(例えば50℃)を記憶する。本実施形態において、第1切換温度が、本発明の所定切換温度に対応する。また、本実施形態では、第1切換温度は、詳細な説明は省略するが、コントローラ4の表示部90の表示を、第1切換温度を変更するための画面に切り換えて操作部91を操作することによって変更できる。
【0044】
保持時間変更部102は、混合弁61、71の保持時間を給湯設定温度に基づいて変更する。本実施形態では、混合弁61、71のいずれについても、保持時間変更部102は、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合は、保持時間を第1保持時間(例えば30分)に設定し、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合は、保持時間を第1保持時間より長い第2保持時間(例えば60分)に設定する。なお、保持時間変更部102は、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合、後述する待機時間記憶部106に記憶された待機時間を超えない範囲で、保持時間を変更する。
【0045】
タイマー103は、給湯端末からの出湯が停止すると、計測を開始し、出湯停止時から時間を計測する。
【0046】
混合弁制御部104は、タイマー103で計測される時間が、保持時間変更部102で設定された保持時間に到達すると、混合弁61、71の開度保持を終了し、開度を水の混合比率が大きくなるように変更する。本実施形態では、混合弁制御部104は、保持時間が経過すると、開度を水の混合比率が100%となるように変更する。
【0047】
一方、第2制御部105は、待機時間記憶部106と、表示制御部107とを有している。また、第2制御部105には、コントローラ4の表示部90や操作部91が接続されている。
【0048】
待機時間記憶部106は、給湯端末からの出湯が停止された後で、出湯されない状態が継続された場合に、コントローラ4の表示部90の表示を消去するまでの待機時間(例えば30分)を記憶する。本実施形態では、待機時間記憶部106に記憶された待機時間は、あらかじめ設定された待機時間で一定であって変更できない。
【0049】
表示制御部107は、コントローラ4の表示部90を制御する。本実施形態では、表示制御部107は、ユーザの操作によって給湯設定温度が変更される場合は、その操作にしたがって表示部90に表示される給湯設定温度を変更する。また、表示制御部107は、給湯端末から出湯される間に給湯設定温度を表示すると共に、給湯端末における出湯が停止された後で、待機時間記憶部106に記憶された待機時間が経過するまでは、給湯設定温度を表示する。そして、表示制御部107は、給湯端末における出湯が停止された後で、待機時間記憶部106に記憶された待機時間が経過すると、表示部90の表示を消去する。なお、本実施形態では、表示制御部107が、待機時間が経過すると、表示部90における全ての表示を消去することによって給湯設定温度を消去するが、これに限定されず、給湯設定温度が表示されない状態に変更されるものであればよい。
【0050】
次に、給湯システム1における混合弁及び表示部の制御について、図4に基づいて説明する。ここでは、カランAまたはシャワーBから出湯される場合の給湯混合弁71の動作について説明するが、風呂Cに出湯される場合の湯はり混合弁61の動作についても同様である。
【0051】
まず、第1切換温度記憶部101に記憶された第1切換温度がユーザによって設定される(ステップS1)。ユーザによって第1切換温度が変更される場合は、ユーザの操作部91への操作にしたがって変更される。また、ユーザによって第1切換温度が変更されない場合は、前回設定された第1切換温度が維持される。
【0052】
その後、給湯設定温度が決定された上で、給湯端末における出湯が開始されたか否かが繰り返し判断される(ステップS2)。ここで、ユーザによって給湯設定温度が変更される場合や、給湯端末から出湯されている場合、コントローラ4の表示部90には、給湯設定温度が表示される。そして、給湯端末における出湯が開始されると、上記で決定された給湯設定温度に基づいて、混合弁71の保持時間が変更される(ステップS3)。
【0053】
そして、給湯端末における出湯が停止されたか否かが繰り返し判断される(ステップS4)。ここで、給湯端末における出湯が停止されると、タイマー103での計測が開始される(ステップS5)。
【0054】
上記のように、給湯端末における出湯が停止された後、混合弁71の保持時間が経過したか否かが繰り返し判断される(ステップS6)。ここで、保持時間が経過すると、出湯が停止された給湯端末に湯を供給する混合弁71において、その開度保持状態が終了し、水の混合比率が大きくなるように変更される(ステップS7)。
【0055】
その後、同様に、給湯端末における出湯が停止された後、表示部90の待機時間が経過したか否かが繰り返し判断される(ステップS8)。ここで、待機時間が経過すると、コントローラ4の表示部90の表示が消去される(ステップS9)。
【0056】
[本実施形態の給湯システムの特徴]
本実施形態の給湯システム1には、以下のような特徴がある。
【0057】
本実施形態の給湯システム1では、混合弁61、71のいずれについても、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合は、保持時間が第1保持時間に設定され、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合は、保持時間が第1保持時間より長い第2保持時間に設定される。したがって、混合弁61、71の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。
【0058】
また、本実施形態の給湯システム1では、給湯設定温度が第1切換温度以上の場合、混合弁61、71の保持時間が、表示部90の待機時間(待機時間記憶部106に記憶された待機時間)を超えない範囲で変更される。したがって、出湯停止時において混合弁の開度が保持される間は、給湯設定温度が表示されるので、ユーザが、第1切換温度以上の給湯設定温度を確認しない状態で、出湯が開始されるのを防止できる。
【0059】
また、本実施形態の給湯システム1では、表示部90の表示が消去されるまでの待機時間が一定であることから、上記の待機時間が変化することによって、ユーザが戸惑うのを防止できる。
【0060】
また、本実施形態の給湯システム1では、ユーザは、コントローラ4によって、第1切換温度を変更できる。したがって、ユーザが設定することが考えられる給湯設定温度の範囲に基づいて第1切換温度を変更することによって、混合弁61、71の保持時間をさらに短縮することができる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態の給湯システムが、第1実施形態の給湯システムと大きく異なる点は、第1実施形態では、コントローラの表示部の表示が消去されるまでの待機時間が一定であるのに対し、第2実施形態では、この待機時間が給湯設定温度に基づいて変更される点である。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
【0062】
本実施形態の給湯システムは、第1実施形態と同様に、第1制御部100と、コントローラ4に設けられた第2制御部205とを有している。この第1制御部100は、第2制御部205との間でデータの通信が可能に構成されている。なお、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1切換温度が、本発明の所定切換温度に対応する。
【0063】
第2制御部205は、図5に示すように、第2切換温度記憶部206と、給湯設定温度記憶部207と、待機時間変更部208と、表示制御部209とを有している。また、第2制御部205には、コントローラ4の表示部90や操作部91が接続されている。
【0064】
第2切換温度記憶部206は、コントローラ4の表示部90の表示を消去するまでの待機時間を切り換えるための第2切換温度(例えば50℃)を記憶する。本実施形態では、第2切換温度記憶部206は、第2切換温度として、第1切換温度記憶部101に記憶された第1切換温度と同一温度を記憶する。また、第2切換温度は、詳細な説明は省略するが、コントローラ4の表示部90の表示を、第2切換温度を変更するための画面に切り換えて操作部91を操作することによって変更できる。
【0065】
給湯設定温度記憶部207は、ユーザがコントローラ4の操作部91を操作することによって決定した給湯設定温度を記憶する。
【0066】
待機時間変更部208は、給湯端末からの出湯が停止された後で、出湯されない状態が継続された場合に、コントローラ4の表示部90の表示を消去するまでの待機時間を、給湯設定温度に基づいて変更する。本実施形態では、待機時間変更部208は、給湯設定温度が第2切換温度以上である場合は、待機時間を第1待機時間(例えば30分)に設定し、給湯設定温度が第1切換温度未満の場合は、待機時間を第1待機時間より短い第2待機時間(例えば10分)に設定する。なお、給湯設定温度が第2切換温度以上である場合、待機時間変更部208は、表示部90の待機時間が、混合弁61、71の保持時間と同一か又は保持時間より長くなるように変更する。
【0067】
表示制御部209は、コントローラ4の表示部90を制御する。本実施形態では、表示制御部209は、ユーザの操作によって給湯設定温度が変更される場合は、その操作にしたがって表示部90に表示される給湯設定温度を変更する。また、表示制御部209は、給湯端末から出湯される間に給湯設定温度を表示すると共に、給湯端末における出湯が停止された後で、待機時間変更部208で設定された待機時間が経過するまでは、給湯設定温度を表示する。そして、表示制御部209は、給湯端末における出湯が停止された後で、待機時間変更部208で設定された待機時間が経過すると、表示部90の表示を消去する。
【0068】
次に、給湯システムにおける混合弁及び表示部の制御について、図6に基づいて説明する。ここでは、カランAまたはシャワーBから出湯される場合の給湯混合弁71の動作について説明するが、風呂Cに出湯される場合の湯はり混合弁61の動作についても同様である。
【0069】
まず、第1切換温度記憶部101に記憶された第1切換温度がユーザによって設定される(ステップS101)。ユーザによって第1切換温度が変更される場合は、ユーザの操作部91への操作にしたがって変更される。また、ユーザによって第1切換温度が変更されない場合は、前回設定された第1切換温度が維持される。
【0070】
その後、給湯設定温度が決定された上で、給湯端末における出湯が開始されたか否かが繰り返し判断される(ステップS102)。ここで、ユーザによって給湯設定温度が変更される場合や、給湯端末から出湯されている場合、コントローラ4の表示部90には、給湯設定温度が表示される。そして、給湯端末における出湯が開始されると、上記で決定された給湯設定温度に基づいて、混合弁71の保持時間が変更されると共に(ステップS103)、表示部90の待機時間が変更される(ステップS104)。
【0071】
そして、給湯端末における出湯が停止されたか否かが繰り返し判断される(ステップS105)。ここで、給湯端末における出湯が停止されると、タイマー103での計測が開始される(ステップS106)。
【0072】
上記のように、給湯端末における出湯が停止された後、混合弁71の保持時間が経過したか否かが繰り返し判断される(ステップS107)。ここで、保持時間が経過すると、出湯が停止された給湯端末に湯を供給する混合弁71において、その開度保持状態が終了し、水の混合比率が大きくなるように変更される(ステップS108)。
【0073】
その後、同様に、給湯端末における出湯が停止された後、表示部90の待機時間が経過したか否かが繰り返し判断される(ステップS109)。ここで、待機時間が経過すると、コントローラ4の表示部90の表示が消去される(ステップS110)。
【0074】
[本実施形態の給湯システムの特徴]
本実施形態の給湯システムには、以下のような特徴がある。
【0075】
本実施形態の給湯システムでは、第1実施形態と同様に、混合弁61、71の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。
【0076】
また、本実施形態の給湯システムでは、給湯設定温度が第2切換温度以上である場合、表示部90の待機時間が、混合弁61、71の保持時間と同一か又は保持時間より長くなるように変更される。したがって、給湯停止時において混合弁の開度が保持される間は、給湯設定温度が表示されるので、ユーザが、第2切換温度以上の給湯設定温度を確認しない状態で、出湯が開始されるのを防止できる。
【0077】
また、本実施形態の給湯システムでは、ユーザは、コントローラ90によって、第1切換温度を変更できる。したがって、ユーザが設定することが考えられる給湯設定温度の範囲に基づいて第1切換温度を変更することによって、混合弁61、71の保持時間をさらに短縮することができる。
【0078】
また、本実施形態の給湯システムでは、給湯設定温度が第2切換温度以上である場合は、表示部90の待機時間が第1待機時間に設定され、給湯設定温度が第2切換温度未満の場合は、待機時間が第1待機時間より短い第2待機時間に設定される。したがって、給湯設定温度が低いときの待機時間を短くすることによって省エネを図ることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0080】
例えば、上記実施形態では、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合に、混合弁の保持時間が表示部の待機時間以下である場合について説明したが、給湯設定温度が第1切換温度以上である場合において、混合弁の保持時間が表示部の待機時間より長くてもよい。
【0081】
上記実施形態では、第1切換温度がコントローラによって変更できる場合について説明したが、第1切換温度があらかじめ設定された温度で一定であって変更できないように構成されてもよい。
【0082】
上記実施形態では、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71についての第1切換温度、第1保持時間、第2保持時間がそれぞれ同一である場合について説明したが、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71についての第1切換温度、第1保持時間、第2保持時間がそれぞれ異なってもよい。また、上記第2実施形態では、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71についての第1切換温度及び第2切換温度が同一である場合について説明したが、湯はり混合弁61及び給湯混合弁71についての第1切換温度及び第2切換温度が異なってもよい。
【0083】
上記実施形態では、混合弁の保持時間が1つの第1切換温度に基づいて変更される場合(混合弁の保持時間が、給湯設定温度が所定温度以上の場合に短く変更され、給湯設定温度が所定温度未満の場合に長く変更される)について説明したが、混合弁の保持時間が複数の第1切換温度に基づいて変更されてもよい。したがって、例えば、混合弁の保持時間が2つの第1切換温度に基づいて変更される場合は、混合弁の保持時間が、給湯設定温度が第1所定温度以上の場合に最も短く変更され、給湯設定温度が第1所定温度未満であり且つ第2所定温度以上の場合に、第1所定温度以上の場合より長く(且つ第2所定温度未満の場合より短く)変更され、給湯設定温度が第2所定温度未満の場合に最も長く変更されてもよい。
【0084】
上記実施形態では、給湯設定温度が第1切換温度未満である場合に、混合弁の保持時間が表示部の待機時間より長い場合について説明したが、給湯設定温度が第1切換温度未満である場合に、混合弁の保持時間が表示部の待機時間以下であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、給湯端末が、カランA、シャワーB及び風呂Cである場合を説明したが、給湯端末は、上記に限定されず、例えば温水の循環回路を備えた床暖房パネルなどであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明を利用すれば、出湯停止時において混合弁の開度が保持される保持時間を出来るだけ短くできる。
【符号の説明】
【0087】
1 給湯システム
2 ヒートポンプユニット
3 貯湯ユニット
4 コントローラ
20 貯湯タンク
61 湯はり混合弁(混合弁)
71 給湯混合弁(混合弁)
90 表示部(表示手段)
91 操作部(温度決定手段、変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、前記貯湯タンクに接続された給湯端末とを備えた給湯システムであって、
前記給湯端末から出湯される湯の給湯設定温度を決定する温度決定手段と、
前記貯湯タンクから供給された湯と給水源から供給された水とを混合して前記給湯端末に供給する混合弁とを有しており、
前記混合弁が、前記給湯端末からの出湯が停止された後で保持時間が経過するまでは出湯停止時の開度を保持すると共に、前記保持時間が経過すると前記給水源からの水の混合比率が増加するように開度が制御されるものであって、
前記給湯設定温度が所定切換温度以上である場合の前記保持時間が、前記給湯設定温度が前記所定切換温度未満である場合の前記保持時間より短いことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記給湯設定温度を表示する表示手段を有しており、
前記表示手段が、出湯が停止された後において待機時間が経過しても出湯が開始されない場合に、前記給湯設定温度の表示を消去するように制御されるものであって、
前記給湯設定温度が前記所定切換温度以上である場合の前記保持時間が前記待機時間以下であることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記待機時間が、前記給湯設定温度にかかわらず一定であることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記待機時間が、前記給湯設定温度に基づいて変更されることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記所定切換温度を変更する変更手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の給湯システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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