説明

給湯器

【課題】 凝縮水がドレン流路に残留するのを防止することができる給湯器を提供する。
【解決手段】 熱交換器16の副熱交換器部26にて生じた凝縮水を捕集するためのドレンパン18と、ドレンパン18により捕集された凝縮水を中和するための中和器62と、中和器62にて中和された凝縮水を貯めるためのドレンタンク64と、ドレンタンク64に貯まった凝縮水を排出するためのドレン流路60と、ドレン流路60に配設された排水ポンプ66と、を備える。排水ポンプ66により、ドレンタンク64に貯まった凝縮水を排出する排水運転と、ドレン流路60に残留する凝縮水を排出するパージ運転とが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排気ガスとの熱交換により温水を得るための給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃焼排気ガスとの熱交換により温水を得るための給湯器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この給湯器は、燃焼室に配設された燃焼バーナと、燃焼バーナの上方に配設された熱交換器及びドレンパンと、熱交換器の流入側に接続された給水流路と、熱交換器の流出側に接続された出湯流路と、を備えている。熱交換器は、ドレンパンの下側に配設された主熱交換器部と、ドレンパンの上側に配設された副熱交換器部と、を有している。また、ドレンパンにはドレン流路が設けられ、このドレン流路には、中和器、ドレンタンク及び排水ポンプが配設されている。中和器内には、炭酸カルシウムなどの中和剤が収容されている。ドレンタンクには、ドレンタンク内の凝縮水の上限水位を検知するための上限水位検知センサと、ドレンタンク内の凝縮水の下限水位を検知するための下限水位検知センサとが設けられている。
【0003】
この給湯器による給湯運転は、次のようにして行われる。加熱すべき水は給水流路を通して熱交換器の副熱交換器部に供給され、副熱交換器部及び主熱交換器部を通して流れる。また、燃焼バーナからの燃焼排気ガスは、燃焼室内を上方に流れて外部に排出される。副熱交換器部及び主熱交換器部を通して流れる水と燃焼排気ガスとの熱交換によって温水が生成され、生成された温水は主熱交換器部から出湯流路を通して出湯される。このように熱交換が行われると、副熱交換器部において燃焼排気ガスが過冷却されて燃焼排気ガス中の水蒸気が凝縮され、副熱交換器部の表面に凝縮水が付着する。この凝縮水はドレンパンに滴下することにより捕集され、捕集された凝縮水はドレン流路を通して中和器に送給され、中和器内の中和剤によって中和された後にドレンタンクに貯められる。
【0004】
ドレンタンクに貯まった凝縮水は、次のようにして排出される。ドレンタンク内の凝縮水の水位が上限水位よりも上昇すると、上限水位検知センサからの検知信号に基づいて排水ポンプが作動され、排水運転が行われる。この排水運転においては、排水ポンプの作用によって、ドレンタンク内の凝縮水がドレン流路を通して外部に排出される。その後、ドレンタンク内の凝縮水の水位が下限水位よりも低下すると、下限検知センサからの検知信号に基づいて排出ポンプの作動が停止され、排水運転が終了される。
【0005】
【特許文献1】特開2002−130830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の給湯器では、排水運転終了後に凝縮水がドレン流路に残留する場合がある。中和器にて中和された凝縮水にはカルシウム成分が含まれており、それ故に、凝縮水がドレン流路に残留すると、凝縮水中のカルシウム成分がドレン流路に析出される。このようにカルシウム成分の析出が長期間繰り返されると、析出したカルシウム成分によってドレン流路が閉塞されるおそれがあるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、凝縮水がドレン流路に残留するのを防止することができる給湯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の給湯器では、燃焼バーナと、前記燃焼バーナからの燃焼排気ガスの熱を利用して水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器に加熱すべき水を供給するための給水流路と、前記熱交換器にて加熱された水を出湯するための出湯流路と、を備え、
前記熱交換器は、燃焼排気ガスの流れ方向上流側に配設された主熱交換器部と、燃焼排気ガスの流れ方向下流側に配設された副熱交換器部と、を有し、前記副熱交換器部に関連して、前記副熱交換器部にて生じた凝縮水を捕集するためのドレンパンと、前記ドレンパンにより捕集された凝縮水を中和するための中和器と、前記中和器にて中和された凝縮水を貯めるためのドレンタンクと、前記ドレンタンクに貯まった凝縮水を排出するためのドレン流路と、前記ドレン流路に配設された排水ポンプとが設けられ、前記排水ポンプにより、前記ドレンタンクに貯まった凝縮水を排出する排水運転と、前記ドレン流路に残留する凝縮水を排出するパージ運転とが行われることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の給湯器では、前記ドレンタンクには、前記ドレンタンクに貯められた凝縮水の水位を検知するための水位検知手段が設けられ、
前記水位検知手段により凝縮水の上限水位が検知されると、前記排水ポンプが作動されて前記排水運転が行われ、その後に前記水位検知手段により凝縮水の下限水位が検知されると、前記排水運転が終了して前記パージ運転が行われ、前記水位検知手段により凝縮水の下限水位が検知されてから所定時間が経過すると、前記パージ運転が終了することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に記載の給湯器では、前記排水ポンプに関連して、前記パージ運転における前記排水ポンプの作動時間を設定するための作動時間設定手段が更に設けられ、前記作動時間設定手段は、前記排水ポンプの前記排水運転の運転時間に基づいて、前記排水ポンプの作動時間を設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の給湯器では、前記排水運転においては、前記排水ポンプは第1所定回転数で作動され、前記パージ運転においては、前記排水ポンプは前記第1所定回転数よりも大きい第2所定回転数で作動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の給湯器によれば、ドレン流路に残留する凝縮水を排出するパージ運転が行われるので、ドレン流路に中和後の凝縮水が残留するのを防止することができる。これにより、中和後の凝縮水に含まれるカルシウム成分がドレン流路に析出されるのが抑制され、析出したカルシウム成分によってドレン流路が閉塞されるのを防止することができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の給湯器によれば、排水運転の終了後にパージ運転が行われるので、排水運転が行われた際にドレン流路内に残留した凝縮水を外部に排出することができ、ドレン流路に中和後の凝縮水が残留するのを確実に防止することができる。
【0014】
さらに、本発明の請求項3に記載の給湯器によれば、ドレン流路に残留する凝縮水の量は排水運転の運転時間に比例する傾向にあり、それ故に、排水運転の運転時間に基づいてパージ運転における排水ポンプの作動時間を設定することによって、ドレン流路に残留する凝縮水を排出するために要する時間に応じた排水ポンプの作動時間の設定を行うことができ、ドレン流路に残留する凝縮水を確実に排出することができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の給湯器によれば、パージ運転における排水ポンプの回転数を排水運転における排水ポンプの回転数よりも大きくすることによって、排水ポンプによってドレン流路に送り込む空気の圧力を高めることができ、これによってドレン流路に残留する凝縮水をより確実に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う給湯器の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による給湯器を示す概略図であり、図2は、図1の給湯器の制御系を示すブロック図であり、図3は、図1の給湯器によるパージ運転の流れを示すフローチャートである。
【0017】
図1を参照して、図示の給湯器2は給湯ハウジング4を備え、この給湯ハウジング4の内部には燃焼室6が形成されており、燃焼室6の上端部には排気流路8が形成されている。また、この給湯ハウジング4の内部には、例えば浴室のカランや浴槽などの温水機器(図示せず)に温水を供給するための第1給湯手段10と、例えば床暖房装置などの温水暖房機器(図示せず)に温水を供給するための第2給湯手段12とが設けられている。
【0018】
第1給湯手段10は、燃焼室6に配設された第1燃焼バーナ14と、第1燃焼バーナ14の上方に設けられた第1熱交換器16及び第1ドレンパン18と、第1熱交換器16の流入側に接続された給水流路20と、第1熱交換器16の流出側に接続された出湯流路22と、を備えている。第1燃焼バーナ14にはガス供給源(図示せず)からの燃料用ガスが供給され、第1燃焼バーナ14にて燃料用ガスが燃焼されることにより燃焼排気ガスが発生される。
【0019】
第1熱交換器16は、第1ドレンパン18の下側に配設された第1主熱交換器部24と、第1ドレンパン18の上側に配設された第1副熱交換器部26と、を有している。第1副熱交換器部26には給水流路20が接続され、第1主熱交換器部24には出湯流路22が接続されている。給水流路20と出湯流路22との間にはバイパス流路28が接続され、出湯流路22とバイパス流路28との接続部には混合弁29が配設されている。また、出湯流路22より給湯流路30が分岐して延びており、この給湯流路30には開閉弁32が配設されている。給水流路20の上流側端部は給水源(図示せず)に接続され、出湯流路22の下流側端部は浴室のカラン(図示せず)に接続されている。
【0020】
更に、給湯流路30には追焚き往き流路34及び追焚き戻り流路36が接続され、追焚き往き流路34には追焚き用熱交換器38が配設され、また追焚き戻り流路36には循環ポンプ40が配設されている。追焚き往き流路34の下流側端部及び追焚き戻り流路36の上流側端部はそれぞれ、浴室の浴槽に設けられた給湯口(図示せず)に接続されている。
【0021】
第2給湯手段12は、燃焼室6に配設された第2燃焼バーナ42と、第2燃焼バーナ42の上方に設けられた第2熱交換器44及び第2ドレンパン46と、第2熱交換器44の流入側に接続された温水戻り流路48と、第2熱交換器44の流出側に接続された温水往き流路50と、を備えている。第2燃焼バーナ42にはガス供給源(図示せず)からの燃料用ガスが供給され、第2燃焼バーナ42にて燃料用ガスが燃焼されることにより燃焼排気ガスが発生される。第2熱交換器44は、第2ドレンパン46の下側に配設された第2主熱交換器部52と、第2ドレンパン46の上側に配設された第2副熱交換器部54と、を有している。第2副熱交換器部54には温水戻り流路48が接続され、第2主熱交換器部52には温水往き流路50が接続されており、温水往き流路50の下流側端部及び温水戻り流路48の上流側端部はそれぞれ床暖房装置(図示せず)に接続されている。第2副熱交換器部54と第2主熱交換器部52との間には循環ポンプ56が配設されている。また、温水往き流路50には、温水往き流路50をバイパスするバイパス流路58が接続され、このバイパス流路58は追焚き用熱交換器38の内部に配設されている。
【0022】
第1及び第2ドレンパン18,46はそれぞれ、それらの一端部に向けて下方に傾斜しており、第1及び第2ドレンパン18,46の各一端部にはドレン流路60の上流側端部が接続されている。ドレン流路60の上流側には中和器62が配設され、その下流側にはドレンタンク64及び排水ポンプ66が配設されている。中和器62は本体ハウジング68を備え、本体ハウジング68内には炭酸カルシウムなどの中和剤(図示せず)が収容されている。ドレンタンク64内の上端部には、ドレンタンク64内の凝縮水の上限水位を検知するための上限水位検知センサ70(水位検知手段を構成する)が設けられ、またドレンタンク64内の下端部には、ドレンタンク64内の凝縮水の下限水位を検知するための下限水位検知センサ72(水位検知手段を構成する)が設けられている。ドレン流路60の下流側は、ドレンタンク64から延びて例えば浴室の床下空間などに所要の通りに配設され、その下流側端部は、浴室の浴槽に設けられた排水口(図示せず)に接続されている。
【0023】
本実施形態の給湯器2では、排水ポンプ66を作動制御するための制御手段74が設けられている(図2参照)。この制御手段74は、カウント手段76、タイマ手段78、メモリ80、作動時間設定手段82及び作動制御手段84を含んでいる。カウント手段76は、後述する排水運転が行われた回数をカウントする。タイマ手段78は、排水ポンプ66による排水運転の運転時間、具体的には、上限水位検知センサ70により凝縮水の上限水位が検知されてから下限水位検知センサ72により凝縮水の下限水位が検知されるまでの時間を計測する。メモリ80には、カウント手段76のカウント値に関するカウント値データ(例えば10回)と、排水運転における排水ポンプ66の回転数に関する第1所定回転数データ(例えば3000rpm)と、パージ運転における排水ポンプ66の回転数に関する第2所定回転数データ(例えば3500rpm)とが記憶されている。作動時間設定手段82は、タイマ手段78の計測時間(即ち、直前の排水運転の運転時間)に基づいて、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間を設定し、本実施形態では、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間を排水運転の運転時間と同じ時間に設定する。作動制御手段84は、カウント手段76のカウント値並びに上限水位検知センサ70及び下限水位検知センサ72からの検知信号に基づいて、排水ポンプ66を後述するようにして作動制御する。
【0024】
上述した給湯器2による給湯運転について説明すると、次の通りである。温水機器に温水を供給する際には第1給湯手段10が稼動され、第1燃焼バーナ14が作動されるとともに、開閉弁32が閉状態に保持される。給水源からの加熱すべき水は、給水流路20を通して第1熱交換器16の第1副熱交換器部26に供給され、第1副熱交換器部26及び第1主熱交換器部24を通して流れる。また、第1燃焼バーナ14からの燃焼排気ガスは燃焼室6内を上方に向かって流れ、排気流路8を通して外部に排出される。第1副熱交換器部26及び第1主熱交換器部24を通して流れる水と燃焼排気ガスとの熱交換によって温水が生成され、生成された温水は出湯流路22を通して流れる。混合弁29によって、出湯流路22を通して流れる温水と給水流路20よりバイパス流路28を通して出湯流路22に流れ込む水とが適宜混合されて温度調節され、このように温度調節された温水が出湯流路22を通して浴室のカランに供給される。
【0025】
また、浴室の浴槽に温水を貯める際には第1給湯手段10が稼動され、第1燃焼バーナ14が作動されるとともに、開閉弁32が開状態に保持される。上述と同様に第1熱交換器16によって温水が生成され、出湯流路22を流れる温水の一部が温度調節された後に給湯流路30に流れ、給湯流路30及び追焚き往き流路34を通して浴槽の給湯口に供給される。
【0026】
また、床暖房装置に温水を供給する際には第2給湯手段12が稼動され、第2燃焼バーナ42及び循環ポンプ56がそれぞれ作動される。循環ポンプ56の作用によって、床暖房装置からの加熱すべき水は、温水戻り流路48を通して第2熱交換器44の第2副熱交換器部54に供給され、第2副熱交換器部54及び第2主熱交換器部52を通して流れる。また、第2燃焼バーナ42からの燃焼排気ガスは燃焼室6内を上方に向かって流れ、排気流路8を通して外部に排出される。第2副熱交換器部54及び第2主熱交換器部52を通して流れる水と燃焼排気ガスとの熱交換によって温水が生成され、生成された温水は、温水往き流路50を通して床暖房装置に供給される。
【0027】
また、浴槽内の温水を追い焚きする際には第2給湯手段12が稼動され、第2燃焼バーナ42及び循環ポンプ40,56がそれぞれ作動されるとともに、開閉弁32が閉状態に保持される。循環ポンプ40の作用によって、浴槽内の加熱すべき温水は、追焚き戻り流路36、追焚き用熱交換器38及び追焚き往き流路34を通して循環される。上述と同様に第2熱交換器44によって温水が生成され、温水往き流路50を通して流れる温水の一部はバイパス流路58を流れ、追焚き用熱交換器38においてバイパス流路58を通して流れる温水と追焚き往き流路34を通して流れる温水との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、追焚き往き流路34を通して流れる温水が加熱され、加熱された温水が浴槽の給湯口に供給される。
【0028】
次に、上述した給湯器2によるパージ運転について説明する。給湯器2の給湯運転が開始されると、第1及び/又は第2副熱交換器部26,54を通して流れる水は燃焼排気ガスの潜熱を吸収し、また第1及び/又は第2主熱交換器部24,52を通して流れる水は燃焼排気ガスの顕熱を吸収する。これにより、第1及び/又は第2主熱交換器部24,52にて熱交換された燃焼排気ガスの温度は例えば200℃程度、第1及び/又は第2副熱交換器部26,54にて熱交換された燃焼排気ガスの温度は例えば70℃程度となり、これにより第1及び/又は第2副熱交換器部26,54が配置された燃焼室6の上部にて燃焼排気ガス中の水蒸気が凝縮され、第1及び/又は第2副熱交換器部26,54の表面に凝縮水が付着する。この凝縮水は、第1及び/又は第2ドレンパン18,46に滴下されることにより捕集され、捕集された凝縮水は、ドレン流路60を通して中和器62の本体ハウジング68内に流入され、中和剤によって中和された後にドレンタンク64に貯められる。
【0029】
このように凝縮水がドレンタンク64に貯められると、ドレンタンク64内の凝縮水の水位が検知される検知状態となる(ステップS1)。ドレンタンク64内の凝縮水の水位が上限水位よりも上昇されると排水運転が開始され(ステップS2,S3)、上限水位検知センサ70からの検知信号に基づいて、タイマ手段78の計測が開始され(ステップS4)、作動制御手段84は排水ポンプ66を第1所定回転数(例えば3000rpm)でもって作動させる(ステップS5)。また、カウント手段76は排水運転の回数をカウントアップする(ステップS6)。この排水運転においては、排水ポンプ66の作用によって、ドレンタンク64内の凝縮水がドレン流路60を通して排出され、排出された凝縮水はドレン流路60を通して浴槽の排水口に送給される。
【0030】
このように排水運転が行われることによって、ドレンタンク64内の凝縮水の水位が下限水位よりも低下されると(ステップS7)、下限水位検知センサ72からの検知信号に基づいて、タイマ手段78の計測が終了される(ステップS8)。この時、カウント手段76のカウント値がメモリに記憶されたカウント値、本実施形態では10回に到達していないときには、ステップS9からステップS10に進み、作動制御手段84は排水ポンプ66の作動を停止し、排水運転が終了される(ステップS11)。排水運転が終了されると、ステップS11からステップS2に進む。
【0031】
ステップS9において、カウント手段76のカウント値が10回に到達したときには、ステップS9からステップS12に進み、作動制御手段84は排水ポンプ66の作動を継続させ、排水運転が終了されるとともにパージ運転が開始される(ステップS13)。パージ運転が開始されると、作動時間設定手段82は、直前の排水運転におけるタイマ手段78の計測時間に基づいて、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間を設定する(ステップS14)。本実施形態では、タイマ手段78の計測時間が例えば2分であるときには、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間を2分に設定する。このパージ運転においては、作動制御手段84は排水ポンプ66の回転数を増大させ、排水ポンプ66を第1所定回転数よりも大きい第2所定回転数(例えば3500rpm)でもって2分間作動させる。これにより排水ポンプ66からの圧縮空気がドレン流路60に送り込まれ、この圧縮空気の作用によって、ドレン流路60に残留する凝縮水がドレン流路60を通して浴槽の排水口に送給される。
【0032】
排水ポンプの作動時間が2分を経過すると(ステップS15)、作動制御手段84は排水ポンプ66の作動を停止し(ステップS16)、パージ運転が終了される(ステップS17)。パージ運転が終了されると、カウント手段76のカウント値がリセットされる(ステップS18)。
【0033】
従って、本実施形態の給湯器2では、排水運転の終了後にパージ運転が行われるので、ドレン流路60に中和後の凝縮水が残留するのを防止することができる。これにより、中和後の凝縮水に含まれるカルシウム成分がドレン流路60に析出されるのが抑制され、析出したカルシウム成分によってドレン流路60が閉塞されるのを防止することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、作動時間設定手段82は、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間を直前の排水運転の運転時間と同じ時間に設定したが、直前の排水運転の運転時間よりも所定時間(例えば5分)だけ長い(又は短い)時間に設定してもよい。
【0035】
次に、図4及び図5を参照して、本発明に従う給湯器の他の実施形態について説明する。図4は、本発明の他の実施形態による給湯器の制御系を示すブロック図であり、図5は、図4の給湯器によるパージ運転の流れを示すフローチャートである。なお、この他の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
図4を参照して、この他の実施形態の給湯器2Aでは、制御手段74Aは、タイマ手段86、メモリ80A及び作動制御手段84Aを含んでいる。タイマ手段86は、排水運転が行われた後に再び排水運転が行われるまでの運転間隔時間を計測する。メモリ80Aには、第1及び第2所定回転数データに加えて、パージ運転における排水ポンプ66の作動時間に関する作動時間データ(例えば1分)と、排水運転が行われた後に再び排水運転が行われるまでの運転間隔時間に関する運転間隔時間データ(例えば72時間)が記憶されている。作動制御手段84Aは、タイマ手段86の計測時間並びに上限水位検知センサ70及び下限水位検知センサ72からの検知信号に基づいて、排水ポンプ66を後述するようにして作動制御する。
【0037】
次に、図5をも参照して、上述した給湯器2Aによる排水運転及びパージ運転について説明する。上述したのと同様に、凝縮水がドレンタンク(図示せず)に貯められると、ドレンタンク内の凝縮水の水位が検知される検知状態となる(ステップS31)。ドレンタンク内の凝縮水の水位が上限水位よりも上昇されると排水運転が開始され(ステップS32,S33)、上限水位検知センサ70からの検知信号に基づいて、作動制御手段84Aは排水ポンプ66を作動させる(ステップS34)。その後、ドレンタンク内の凝縮水の水位が下限水位よりも低下されると(ステップS35)、下限水位検知センサ72からの検知信号に基づいて、作動制御手段84Aは排水ポンプ66の作動を停止し(ステップS36)、排水運転が終了される(ステップS37)。排水運転が終了されると、タイマ手段86の計測が開始され(ステップS38)、更にその後、ステップS39〜ステップS41が上述したステップS32〜ステップS34と同様に行われ、排水運転が再び行われる。
【0038】
このように排水運転が再び行われると、タイマ手段86の計測が終了され(ステップS42)、その後、ドレンタンク内の凝縮水の水位が下限水位よりも低下されると、ステップS43からステップS44に進む。タイマ手段86の計測時間がメモリ80Aに記憶された運転間隔時間以下、本実施形態では72時間以下であるときには、ステップS44からステップS45に進み、作動制御手段84Aは排水ポンプ66の作動を停止させ、排水運転が終了される(ステップS46)。排水運転が終了されると、ステップS46からステップS38に進む。
【0039】
ステップS44において、タイマ手段86の計測時間が72時間以上であるときには、ステップS44からステップS47に進み、排水運転が終了されるとともにパージ運転が開始される(ステップS48)。パージ運転が開始されると、作動制御手段84Aは排水ポンプ66をメモリ80Aに記憶された作動時間、本実施形態では1分間作動させる。排水ポンプ66の作動時間が1分を経過すると(ステップS49)、作動制御手段84Aは排水ポンプ66の作動を停止し(ステップS50)、パージ運転が終了される(ステップS51)。
【0040】
なお、本実施形態では、メモリ80Aに記憶された作動時間データを1分に設定したが、この作動時間データは、ドレンタンクから浴槽の排出口(図示せず)までのドレン流路(図示せず)の長さや配設状態などに応じて適宜設定することができる。例えば、ドレン流路の長さが約25mのときには作動時間データを1分に設定し、ドレン流路の長さが約10mのときには作動時間データを30秒に設定する。このように設定することにより、ドレン流路に残留する凝縮水をより効果的に排出することができる。
【0041】
また、本実施形態では、タイマ手段86の計測時間が72時間以上であるときにパージ運転が行われるように構成したが、制御手段74Aに上記実施形態のカウント手段76を更に設け、タイマ手段86の計測時間が72時間以上であるとき又はカウント手段76のカウント値が10回に到達したときにパージ運転が行われるように構成してもよい。
【0042】
以上、本発明に従う種々の給湯器の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態による給湯器を示す概略図である。
【図2】図1の給湯器の制御系を示すブロック図である。
【図3】図1の給湯器によるパージ運転の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態による給湯器の制御系を示すブロック図である。
【図5】図4の給湯器によるパージ運転の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2,2A 給湯器
14 第1燃焼バーナ
16 第1熱交換器
18 第1ドレンパン
20 給水流路
22 出湯流路
24 第1主熱交換器部
26 第1副熱交換器部
42 第2燃焼バーナ
44 第2熱交換器
46 第2ドレンパン
52 第2主熱交換器部
54 第2副熱交換器部
62 中和器
64 ドレンタンク
66 排水ポンプ
70 上限水位検知センサ
72 下限水位検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼バーナと、前記燃焼バーナからの燃焼排気ガスの熱を利用して水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器に加熱すべき水を供給するための給水流路と、前記熱交換器にて加熱された水を出湯するための出湯流路と、を備え、
前記熱交換器は、燃焼排気ガスの流れ方向上流側に配設された主熱交換器部と、燃焼排気ガスの流れ方向下流側に配設された副熱交換器部と、を有し、前記副熱交換器部に関連して、前記副熱交換器部にて生じた凝縮水を捕集するためのドレンパンと、前記ドレンパンにより捕集された凝縮水を中和するための中和器と、前記中和器にて中和された凝縮水を貯めるためのドレンタンクと、前記ドレンタンクに貯まった凝縮水を排出するためのドレン流路と、前記ドレン流路に配設された排水ポンプとが設けられ、前記排水ポンプにより、前記ドレンタンクに貯まった凝縮水を排出する排水運転と、前記ドレン流路に残留する凝縮水を排出するパージ運転とが行われることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記ドレンタンクには、前記ドレンタンクに貯められた凝縮水の水位を検知するための水位検知手段が設けられ、
前記水位検知手段により凝縮水の上限水位が検知されると、前記排水ポンプが作動されて前記排水運転が行われ、その後に前記水位検知手段により凝縮水の下限水位が検知されると、前記排水運転が終了して前記パージ運転が行われ、前記水位検知手段により凝縮水の下限水位が検知されてから所定時間が経過すると、前記パージ運転が終了することを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記排水ポンプに関連して、前記パージ運転における前記排水ポンプの作動時間を設定するための作動時間設定手段が更に設けられ、前記作動時間設定手段は、前記排水ポンプの前記排水運転の運転時間に基づいて、前記排水ポンプの作動時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記排水運転においては、前記排水ポンプは第1所定回転数で作動され、前記パージ運転においては、前記排水ポンプは前記第1所定回転数よりも大きい第2所定回転数で作動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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