説明

給湯暖房装置

【課題】太陽熱集熱器で集熱した熱量が暖房器からの放熱に必要な熱量に対して不足する場合であっても、太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を暖房器に循環して、太陽熱集熱器で集熱した熱量を暖房に有効利用することが可能な給湯暖房装置を提供すること。
【解決手段】太陽熱集熱器11、床暖房器51、および貯湯水と熱交換する外部熱交換器41を熱媒体循環回路60で環状に接続し、流路切替バルブ46と循環ポンプ47の作動制御により、外部熱交換器41における熱交換状態を、貯湯タンク21内の上部から導出した高温水から吸熱する熱媒体吸熱状態と、熱媒体から蓄熱タンク21の下部から導出した低温水へ放熱する熱媒体放熱状態と、熱媒体と貯湯水との熱交換を禁止する熱交換禁止状態とで、切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱を集熱して得られる熱量を利用して給湯および暖房を行う給湯暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽熱の集熱により得られる熱量を利用する給湯暖房装置として、例えば下記特許文献1に開示された装置がある。特許文献1に開示された装置は、太陽熱を集熱して熱媒体に与える太陽熱集熱器と、熱媒体からの放熱により暖房する床暖房パネルと、内部に給湯用の熱量を貯える貯湯槽と、熱媒体と貯湯槽内の給湯用水との間で熱交換を行う熱交換器である貯湯槽内に配設された採熱器および放熱器と、を備えている。
【0003】
そして、太陽熱集熱器と放熱器との間に熱媒体を循環させて貯湯槽内の給湯用水を加熱する太陽熱利用貯湯運転(太陽熱利用蓄熱運転)、採熱器と床暖房パネルとの間に熱媒体を循環させて貯湯槽内の蓄熱を利用して暖房を行う暖房運転、および、太陽熱集熱器と床暖房パネルと放熱器とに熱媒体を循環させて暖房および貯湯槽内の給湯用水の加熱を行う太陽熱利用暖房貯湯運転(太陽熱利用暖房・蓄熱運転)を行うことができるようになっている。また、太陽熱集熱器で得られる熱媒体の温度が貯湯槽内の水の温度よりも十分高くない場合には、放熱器をパスして太陽熱集熱器と床暖房パネルとの間だけで熱媒体を循環して、太陽熱利用暖房貯湯運転から太陽熱を利用した暖房運転に切り替えるようになっている。さらに、太陽熱集熱器で得られる熱媒体の温度が床暖房パネルで必要な温度よりも十分高くない場合には、太陽熱を利用した暖房運転を中止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−257364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術の給湯暖房装置では、太陽熱集熱器で集熱した熱量を蓄熱タンクである貯湯槽内の給湯用水に蓄熱する太陽熱利用蓄熱運転、貯湯槽内の上部の給湯用水の熱量を暖房器である床暖房パネルから放熱する蓄熱利用暖房運転、太陽熱集熱器で集熱した熱量を床暖房パネルから放熱する太陽熱利用暖房運転を行うことが可能である。
【0006】
そして、太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を熱交換手段等を介さずに直接暖房器である床暖房パネルに循環して暖房を行いつつ、蓄熱タンクである貯湯槽内の給湯用水も熱交換手段を介して加熱する、太陽熱利用暖房・蓄熱運転も行うことができる。すなわち、暖房器での暖房で余剰となった熱量は蓄熱タンク内の流体に蓄熱して有効利用している。
【0007】
しかしながら、太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を暖房器に循環しても所望の暖房が行えない場合、すなわち、太陽熱集熱器で集熱した熱量が暖房器からの放熱に必要な熱量に対して不足する場合には、太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を暖房器に循環することを中止しており、太陽熱集熱器で集熱できる熱量があったとしても暖房に直接利用することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、太陽熱集熱器で集熱した熱量が暖房器からの放熱に必要な熱量に対して不足する場合であっても、太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を暖房器に循環して、太陽熱集熱器で集熱した熱量を暖房に有効利用することが可能な給湯暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
太陽熱を集熱し熱媒体を加熱する太陽熱集熱器(11)と、
熱媒体からの放熱により暖房する暖房器(51)と、
内部の流体の熱量が給湯に利用される蓄熱タンク(21)と、
内部に形成された熱媒体通路(43)を通過する熱媒体と、蓄熱タンク(21)内の流体との間で熱交換を行う熱交換器(41)と、
太陽熱集熱器(11)、暖房器(51)、および熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を環状に接続し、熱媒体が循環する熱媒体循環回路(60)と、
熱媒体循環回路(60)の太陽熱集熱器(11)の上流と下流とを繋ぎ、太陽熱集熱器(11)をバイパスして熱媒体を流通する集熱器バイパス流路(61)と、
熱媒体循環回路(60)の暖房器(51)の上流と下流とを繋ぎ、暖房器(51)をバイパスして熱媒体を流通する暖房器バイパス流路(63)と、
太陽熱集熱器(11)を通過する流路と集熱器バイパス流路(61)とで、熱媒体の流路を切り替える第1流路切替手段(62)と、
暖房器(51)を通過する流路と暖房器バイパス流路(63)とで、熱媒体の流路を切り替える第2流路切替手段(64)と、
熱交換器(41)における熱交換状態を、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体が蓄熱タンク(21)内の上部の流体から吸熱する熱媒体吸熱状態と、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体から蓄熱タンク(21)内の上部よりも下方の下部の流体へ放熱する熱媒体放熱状態と、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体と蓄熱タンク(21)内の流体との熱交換を禁止する熱交換禁止状態とで、切り替える熱交換状態切替手段(46、47)と、
を備えることを特徴としている。
【0010】
これによると、第1流路切替手段(62)により熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路とし、第2流路切替手段(64)により熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)とするとともに、熱交換状態切替手段(46、47)により熱交換器(41)を熱媒体放熱状態として、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を蓄熱タンク(21)内の流体に蓄熱する太陽熱利用蓄熱運転モードを設定することができる。
【0011】
また、第1流路切替手段(62)により熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)とし、第2流路切替手段(64)により熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路とするとともに、熱交換状態切替手段(46、47)により熱交換器(41)を熱媒体吸熱状態として、蓄熱タンク(21)内の上部の流体の熱量を暖房器(51)から放熱する蓄熱利用暖房運転モードを設定することができる。
【0012】
また、第1流路切替手段(62)により熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路とし、第2流路切替手段(64)により熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路として、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転モードを設定することができる。
【0013】
そして、太陽熱利用暖房運転モードが設定されているときに、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量が暖房器(51)からの放熱に必要な熱量に対して余剰である場合には、熱交換状態切替手段(46、47)により熱交換器(41)を熱媒体放熱状態として、余剰熱量を蓄熱タンク(21)内の下部の流体に蓄熱し、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量が暖房器(51)からの放熱に必要な熱量に対して不足である場合には、熱交換状態切替手段(46、47)により熱交換器(41)を熱媒体吸熱状態として、不足熱量を蓄熱タンク(21)内の下部の流体から補うことができる。
【0014】
すなわち、本請求項に記載の給湯暖房装置は、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を蓄熱タンク(21)内の流体に蓄熱する太陽熱利用蓄熱運転、蓄熱タンク(21)内の流体の熱量を暖房器(51)から放熱する蓄熱利用暖房運転、および、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転を行うことが可能である。さらに、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転を行っているときに、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量が暖房器(51)からの放熱に必要な熱量に対して余剰である場合には、余剰熱量を蓄熱タンク(21)内の下部の流体に蓄熱する、太陽熱利用暖房・蓄熱運転を行うことができる。これに加えて、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転を行っているときに、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量が暖房器(51)からの放熱に必要な熱量に対して不足である場合には、不足熱量を蓄熱タンク(21)内の下部の流体から補う、太陽熱・蓄熱利用暖房運転を行なうことができる。
【0015】
したがって、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量が暖房器(51)からの放熱に必要な熱量に対して不足する場合であっても、太陽熱集熱器(11)で加熱された熱媒体を暖房器(51)に循環して、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房に有効利用することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明では、
蓄熱タンク(21)の外部に設けられ、蓄熱タンク(21)内から導出した流体を循環して蓄熱タンク(21)内の上部と下部との間の中間部へ戻す流体循環回路(40)を備え、
熱交換器(41)は、蓄熱タンク(21)の外部に配設され、内部に形成された流体通路(42)が流体循環回路(40)の一部をなして、流体通路(42)を通過する蓄熱タンク(21)内から導出された流体と熱媒体通路(43)を通過する熱媒体との熱交換を行うものであり、
流体循環回路(40)は、
蓄熱タンク(21)内の上部から導出した流体を熱交換器(41)の流体通路(42)へ導く上部導出流路(44)と、
蓄熱タンク(21)内の下部から導出した流体を熱交換器(41)の流体通路(42)へ導く下部導出流路(45)と、を有し、
熱交換状態切替手段(46、47)は、
流体循環回路(40)に流体を循環する流体循環手段(47)と、
蓄熱タンク(21)内から流体通路(42)への流体の流路を、上部導出流路(44)と下部導出流路(45)とで切り替える導出流路切替手段(46)と、を有し、
熱交換器(41)における熱交換状態を熱媒体吸熱状態とするときには、流体循環手段(47)を作動させるとともに、導出流路切替手段(46)により蓄熱タンク(21)内から熱交換器(41)の流体通路(42)への流体の流路を上部導出流路(44)とし、
熱交換器(41)における熱交換状態を熱媒体放熱状態とするときには、流体循環手段(47)を作動させるとともに、導出流路切替手段(46)により蓄熱タンク(21)内から熱交換器(41)の流体通路(42)への流体の流路を下部導出流路(45)とし、
熱交換器(41)における熱交換状態を熱交換禁止状態とするときには、流体循環手段(47)を停止することを特徴としている。
【0017】
これによると、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体が蓄熱タンク(21)内の上部の流体から吸熱する熱媒体吸熱状態と、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体から蓄熱タンク(21)内の上部よりも下方の下部の流体へ放熱する熱媒体放熱状態と、熱交換器(41)の熱媒体通路(43)を通過する熱媒体と蓄熱タンク(21)内の流体との熱交換を禁止する熱交換禁止状態との切り替えを、導出流路切替手段(46)の流路切替と流体循環手段(47)の作動および停止という簡単な構成および動作により容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明では、
第1流路切替手段(62)は、
熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス流路(61)に流通させ、
熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の一部を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させるとともに、熱媒体の残部を集熱器バイパス流路(61)に迂回させ、
第2流路切替手段(64)は、
熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器(51)を通過する流路に流通させ、
熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス流路(63)に流通させることを特徴としている。
【0019】
これによると、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する運転モードを設定したときに、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が大きい場合には、この差分流量の熱媒体を集熱器バイパス流路(61)に迂回させることができる。したがって、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が大きい場合であっても、太陽熱集熱器(11)および暖房器(51)のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明では、第1流路切替手段(62)は、太陽熱集熱器(11)を通過する流路を流れる熱媒体と集熱器バイパス流路(61)を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(62)であることを特徴としている。
【0021】
これによると、第1流路切替手段(62)を流量比調整弁装置とすることで、熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際に、熱媒体の全量を集熱器バイパス流路(61)に流通させ、熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際に、熱媒体の一部を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させるとともに、熱媒体の残部を集熱器バイパス流路(61)に迂回させることを容易に行うことができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明では、
第1流路切替手段(62)は、
熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の全量を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、
熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス流路(61)に流通させ、
第2流路切替手段(64)は、
熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス流路(63)に流通させ、
熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の一部を暖房器(51)を通過する流路に流通させるとともに、熱媒体の残部を暖房器バイパス流路(63)に迂回させることを特徴としている。
【0023】
これによると、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する運転モードを設定したときに、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が小さい場合には、この差分流量の熱媒体を暖房器バイパス流路(63)に迂回させることができる。したがって、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が小さい場合であっても、太陽熱集熱器(11)および暖房器(51)のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明では、第2流路切替手段(64)は、暖房器(51)を通過する流路を流れる熱媒体と暖房器バイパス流路(63)を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(64)であることを特徴としている。
【0025】
これによると、第2流路切替手段(64)を流量比調整弁装置とすることで、熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際に、熱媒体の全量を暖房器バイパス流路(63)に流通させ、熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際に、熱媒体の一部を暖房器(51)を通過する流路に流通させるとともに、熱媒体の残部を暖房器バイパス流路(63)に迂回させることを容易に行うことができる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明では、
第1流路切替手段(62)は、太陽熱集熱器(11)を通過する流路を流れる熱媒体と集熱器バイパス流路(61)を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(62)からなるとともに、第2流路切替手段(64)は、暖房器(51)を通過する流路を流れる熱媒体と暖房器バイパス流路(63)を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(64)からなり、
第1流路切替手段(62)が、熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス流路(61)に流通させ、熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の一部を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、熱媒体の残部を前記集熱器バイパス流路(61)に迂回させるとともに、第2流路切替手段(64)が、熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器(51)を通過する流路に流通させ、熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス流路(63)に流通させる、第1の熱媒体流通状態と、
第1流路切替手段(62)が、熱媒体の流路を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の全量を太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、熱媒体の流路を集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス流路(61)に流通させるとともに、第2流路切替手段(64)が、熱媒体の流路を暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス流路(63)に流通させ、熱媒体の流路を暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の一部を暖房器(51)を通過する流路に流通させ、熱媒体の残部を暖房器バイパス流路(63)に迂回させる、第2の熱媒体流通状態と、
を設定可能であることを特徴としている。
【0027】
これによると、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転モードを設定したときに太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が大きくなる場合には、流量比調整弁装置からなる第1流路切替手段(62)の流量比の調整により第1の熱媒体流通状態を設定して、差分流量の熱媒体を集熱器バイパス流路(61)に迂回させることができる。
【0028】
また、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する太陽熱利用暖房運転モードを設定したときに太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が小さくなる場合には、流量比調整弁装置からなる第2流路切替手段(64)の流量比の調整により第2の熱媒体流通状態を設定して、差分流量の熱媒体を暖房器バイパス流路(63)に迂回させることができる。
【0029】
このように、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が大きい場合、および、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量に対して暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量が小さい場合のいずれであっても、流量比調整弁装置からなる第1流路切替手段(62)および第2流路切替手段(64)の流量比の調整によって第1の熱媒体流通状態および第2の熱媒体流通状態のいずれかを選択して設定することができる。これによって、太陽熱集熱器(11)で集熱した熱量を暖房器(51)から放熱する運転を行う際に、太陽熱集熱器(11)に必要な熱媒体の循環流量と暖房器(51)に必要な熱媒体の循環流量とに差があっても、太陽熱集熱器(11)および暖房器(51)のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。
【0030】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における給湯暖房装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】給湯暖房装置の制御手段である制御装置100の概略制御動作を示すフローチャートである。
【図3】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図4】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図5】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図6】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図7】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図8】給湯暖房装置の作動例を説明するための模式図である。
【図9】他の実施形態における給湯暖房装置の概略構成を示す模式図である。
【図10】他の実施形態における給湯暖房装置の概略構成を示す模式図である。
【図11】他の実施形態における給湯暖房装置の概略構成の一部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における給湯暖房装置の概略構成を示す模式図であり、図2は、給湯暖房装置の制御手段である制御装置100の概略制御動作を示すフローチャートである。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の給湯暖房装置は、太陽熱集熱器11、ヒートポンプ給湯装置(ヒートポンプ式給湯装置)20、貯湯水循環回路40、床暖房器51、熱媒体循環回路60、制御装置100等を備えている。
【0035】
太陽熱集熱器11は、例えば建物の屋根に設置される所謂ソーラーパネルと呼ばれる集熱器であって、太陽熱を集熱して内部を通過する熱媒体(例えば、不凍液)を加熱するようになっている。太陽熱集熱器11は、内部に日射により熱せられる熱媒体の流通回路が形成されており、吸入口から吸い込んだ熱媒体を流通回路に流通させることで熱媒体が加熱されるようになっている。
【0036】
太陽熱集熱器11には、流通回路の熱媒体温度を検出する集熱サーミスタ12が設けられており、太陽熱集熱器11の熱媒体の温度情報を制御装置100に出力するようになっている。具体的には、集熱サーミスタ12は、太陽熱集熱器11の熱媒体出口に設けられて、太陽熱集熱器11での加熱が終了した熱媒体の温度を検出するようになっている。
【0037】
ヒートポンプ給湯装置20は、内部に給湯用水を蓄える貯湯タンク21(蓄熱タンクに相当)、ヒートポンプサイクルからなり貯湯タンク21内の給湯用水を循環させて沸き上げ運転するヒートポンプユニット22、および貯湯タンク21の下部から吸い込んだ湯水をヒートポンプユニット22に循環させて貯湯タンク21の上部に戻す水回路を形成する循環水回路23を備えている。
【0038】
貯湯タンク21は、耐食性に優れた金属製(例えば、ステンレス製)のタンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯水を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯タンク21は縦長形状であり、その底面には導入口21aが設けられ、この導入口21aには貯湯タンク21内に水道水(市水)を導入する給水配管33が接続されている。
【0039】
給水配管33には、導入される水道水の水圧が所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する図示しない減圧逆止弁が設けられている。また、給水配管33には温度検出手段である給水サーミスタ33aが設けられており、給水配管33内の温度情報を制御装置100に出力するようになっている。
【0040】
一方、貯湯タンク21の最上部には導出口21bが設けられ、この導出口21bには、貯湯タンク21内に蓄えられた給湯用水のうち上部に貯留された高温の給湯用水を導出するための高温水取り出し管26が接続されている。
【0041】
そして、高温水取り出し管26の経路途中には、図示しない逃がし弁が設けられた排出配管が接続しており、貯湯タンク21内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク21内の給湯用水を外部に排出して、貯湯タンク21などにダメージを与えないようになっている。
【0042】
また、図中に示す符号27を付した構成は、貯湯タンク21内に蓄えられた給湯用水のうち高温の給湯用水よりも湯温の低い中温の給湯用水を取り出すための中温水取り出し管であり、貯湯タンク21の上下方向略中央部に接続している。
【0043】
さらに、図中に示す符号29を付した構成は、高温水取り出し管26と中温水取り出し管27との下流側合流部位に設けられた高中温水混合弁であって、下流側の給湯用配管28に流通する給湯用水の湯温を調節する温度調節弁である。高中温水混合弁29は、高温水取り出し管26側と中温水取り出し管27側との開口面積比を調節することで、高温水取り出し管26から取り出した高温の給湯用水と中温水取り出し管27から取り出した中温の給湯用水との混合比を調節するようになっている。
【0044】
本例では、この高中温水混合弁29は、操作盤で操作された設定温度に対して、約5℃程度高い湯温の給湯用水を給湯用配管28に流通させるようになっている。高中温水混合弁29は、制御装置100に電気的に接続されており、給湯用配管28に設けられた図示しないサーミスタにより検出される温度情報に基づいてフィードバック制御されるようになっている。
【0045】
給湯用配管28は、下流端が台所、浴室などの図示しない給湯水栓(使用側端末)に通ずる給湯用配管であり、使用側端末までの経路途中には、給湯用混合弁30、給湯サーミスタ28a、図示を省略した流量カウンタが設けられている。
【0046】
給湯サーミスタ28aは給湯用配管28内の温度情報を、図示を省略した流量カウンタは給湯用配管28内の流量情報を、制御装置100に出力するようになっている。また、給湯用混合弁30は、図示しない給湯水栓に出湯させる給湯用水の湯温を調節する温度調節弁であり、それぞれの開口面積比を調節することで、高中温水混合弁29で温度調節された給湯用水と水道水との混合比を調節して操作盤で操作された設定温度に調節するように制御される。
【0047】
給湯用混合弁30は、制御装置100に電気的に接続されており、給湯サーミスタ28bにより検出される給湯用水の湯温に基づいてフィードバック制御されるようになっている。
【0048】
貯湯タンク21の底面における導入口21aの近傍には、貯湯タンク21内の水道水を吸入するための吸入口21cが設けられ、貯湯タンク21の上部には、貯湯タンク21内に湯を吐出する吐出口21dが設けられている。この吸入口21cと吐出口21dとは循環水回路23で接続されており、循環水回路23の一部は沸き上げ熱源装置であるヒートポンプユニット22内に配置されている。
【0049】
循環水回路23のヒートポンプユニット22内に配置された部分には、図示しない熱交換器が設けられており、吸入口21cから吸入した貯湯タンク21内の湯水を高温冷媒との熱交換により加熱し、吐出口21dから貯湯タンク21内に戻すことにより貯湯タンク21内の給湯用水を沸き上げることができるようになっている。
【0050】
なお、本実施形態のヒートポンプユニット22は、図示しない圧縮機、放熱器、減圧器、蒸発器などのヒートポンプサイクルを構成する冷媒機能部品からなる例えば二酸化炭素を冷媒とする超臨界ヒートポンプである。この超臨界ヒートポンプとは、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となるヒートポンプサイクルを言い、二酸化炭素以外に、エチレン、エタン、酸化窒素などを冷媒とするものであってもよい。二酸化炭素を冷媒とする超臨界ヒートポンプによれば、比較的高温(例えば、85℃〜90℃程度)の給湯水を沸き上げることができる。
【0051】
ヒートポンプユニット22は、制御装置100からの制御信号により作動するとともに、作動状態を制御装置100に出力するようになっている。また、貯湯タンク21の上部外壁面には、貯湯タンク21内の上部の湯温を検出する出湯温度サーミスタ24aが設けられており、導出口21bから導出される湯温の温度情報を制御装置100に出力するようになっている。
【0052】
貯湯タンク21の外壁面には、複数の水位サーミスタ24が縦方向にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク21内に満たされた湯水の各水位レベルでの温度情報を制御装置100に出力するようになっている。これにより、水位サーミスタ24からの温度情報に基づいて、貯湯タンク21内上方の沸き上げられた給湯用水と貯湯タンク21内下方の沸き上げられる前の水との温度境界位置を検出できるようになっている。
【0053】
貯湯タンク21の外部には、貯湯タンク21内から導出した給湯用水(流体に相当)を循環して貯湯タンク21内の上部と下部との間の中間部(具体的には、最下部よりも若干上方の部位)へ戻す貯湯水循環回路40(流体循環回路に相当)が設けられている。
【0054】
貯湯水循環回路40の経路の途中には、外部熱交換器41(熱交換器に相当)が配設されている。外部熱交換器41は、貯湯水流路42(流体通路に相当)と熱媒体流路43(熱媒体通路に相当)とを有しており、貯湯水流路42が貯湯水循環回路40の一部を構成している。外部熱交換器41は、貯湯水流路42を通過する貯湯水と熱媒体流路43を通過する熱媒体とを対向する流れとして流通させ、貯湯水と熱媒体との間の熱交換を行うようになっている。
【0055】
貯湯水循環回路40は、外部熱交換器41の貯湯水流路42よりも上流側が2本の配管で構成されている。貯湯タンク21上部の導出口21b近傍から貯湯タンク21内の上部の高温水を貯湯水流路42へ導くための上部導出配管44(上部導出流路に相当)と、貯湯タンク21底部の導入口21a近傍から貯湯タンク21内の下部の水(低温水)を貯湯水流路42へ導くための下部導出配管45(下部導出流路に相当)とが、外部熱交換器41の貯湯水流路42よりも上流側の部位で合流している。
【0056】
貯湯水循環回路40の上部導出配管44と下部導出配管45との合流点には、流路切替バルブ46が配設されている。流路切替バルブ46は、貯湯タンク21内から外部熱交換器41の貯湯水流路42への貯湯水の流路を、上部導出配管44側と下部導出配管45側とで切り替えるようになっており、本実施形態における導出流路切替手段に相当する。
【0057】
貯湯水循環回路40の外部熱交換器41の貯湯水流路42よりも下流側の部位には、循環ポンプ47(流体循環手段に相当)が配設されている。循環ポンプ47は、オン状態となって作動した際には、貯湯水循環回路40に貯湯水を循環させ、オフ状態となって作動を停止した際には、貯湯水循環回路40への貯湯水循環を禁止するようになっている。流路切替バルブ46および循環ポンプ47からなる構成が、本実施形態における熱交換状態切替手段に相当する。
【0058】
床暖房器51(暖房器に相当)は、例えば建物内の床面に敷設されて、内部の熱媒体通路を流通する熱媒体からの放熱により建物内の暖房を行う暖房装置である。暖房器は床暖房器51に限定されるものではなく、内部を流通する熱媒体からの放熱により暖房を行うものであればよい。
【0059】
太陽熱集熱器11、外部熱交換器41の熱媒体流路43、および床暖房器51は、熱媒体循環回路60により環状に接続されており、熱媒体循環回路60には、熱媒体循環手段である循環ポンプ68が配設されている。そして、循環ポンプ68の作動により、太陽熱集熱器11→熱媒体流路43→床暖房器51→太陽熱集熱器11の順に熱媒体が循環可能となっている。
【0060】
熱媒体循環回路60の太陽熱集熱器11の上流側の部位と下流側の部位とは、太陽熱集熱器11をバイパスして熱媒体を流通可能な集熱器バイパス配管61(集熱器バイパス流路に相当)で接続されている。そして、集熱器バイパス配管61の熱媒体循環回路60への上流側接続点には、熱媒体の流路を、太陽熱集熱器11側と集熱器バイパス配管61側とで切り替える流路切替バルブ62(第1流路切替手段に相当)が配設されている。
【0061】
また、熱媒体循環回路60の床暖房器51の上流側の部位と下流側の部位とは、床暖房器51をバイパスして熱媒体を流通可能な暖房器バイパス配管63(暖房器バイパス流路に相当)で接続されている。そして、暖房器バイパス配管63の熱媒体循環回路60への上流側接続点には、熱媒体の流路を、床暖房器51側と暖房器バイパス配管63側とで切り替える流路切替バルブ64(第2流路切替手段に相当)が配設されている。
【0062】
熱媒体循環回路60の流路切替バルブ64よりも上流側の部位には、内部の熱媒体の温度を検出する温度検出手段である暖房往きサーミスタ65が配設されている。暖房往きサーミスタ65は、検出した熱媒体循環回路60内の温度情報を制御装置100に出力するようになっている。
【0063】
また、熱媒体循環回路60の暖房器バイパス配管63下流側接続点よりも下流側の部位には、内部の熱媒体の温度を検出する温度検出手段である暖房戻りサーミスタ66が配設されている。暖房戻りサーミスタ66は、検出した熱媒体循環回路60内の温度情報を制御装置100に出力するようになっている。
【0064】
熱媒体循環回路60の暖房器バイパス配管63下流側接続点と集熱器バイパス配管61上流側接続点との間には、熱媒体循環回路60内の熱媒体の体積変化を吸収するための膨張タンク(シスターン)67、および、前述の循環ポンプ68も配設されている。
【0065】
制御手段である制御装置100は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROMには予め設定された制御プログラムが格納されており、各サーミスタ12、24、24a、28a、33a、65、66から入力する温度情報や、運転条件設定手段であるリモコン99から入力する暖房運転設定情報等に基づいて、ヒートポンプユニット22、各バルブ28、29、46、62、64、各循環ポンプ47、68等の作動制御を行うようになっている。
【0066】
なお、図1では、制御装置100を1つとしているが、これに限定されるものではなく、制御手段を情報を相互通信可能な複数の制御装置(例えば、給湯機制御装置と暖房器制御装置)で構成してもかまわない。
【0067】
次に、上記構成に基づき、本実施形態の給湯暖房装置の作動について説明する。
【0068】
図2に示すように、制御装置100は、まず、床暖房器51における暖房加熱要求があるか否か判断する(ステップ110)。暖房加熱要求とは、床暖房器51において暖房のために放熱することが求められていることであり、リモコン99の操作によって暖房運転がオンされて制御装置100が床暖房器51の暖房制御を行う中で、床暖房器51における放熱が要求されていることである。具体的には、制御装置100は、ステップ110では、暖房運転がオン状態、かつ、暖房戻りサーミスタ66の検出温度<暖房戻り設定温度、であるか否かを判断する。
【0069】
ステップ110において、暖房加熱要求がないと判断した場合には、太陽熱を集熱して貯湯タンク21内へ蓄熱可能であるか否か判断する(ステップ120)。具体的には、制御装置100は、ステップ120では、集熱サーミスタ12の検出温度から、水位サーミスタ24のうち最下部に配設された(具体的には下部導出配管45による貯湯水導出位置近傍に配設された)出水温度サーミスタ24bの検出温度を減じた値が、所定値以上であるか否かを判断する。
【0070】
ステップ120において、太陽熱を蓄熱可能であると判断した場合には、流路切替バルブ62により熱媒体の流路を太陽熱集熱器11側とし、流路切替バルブ64により熱媒体の流路を暖房器バイパス配管63側として、循環ポンプ68を作動させる。これに加えて、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を下部導出配管45側として、循環ポンプ47を作動させる(ステップ130)。
【0071】
ステップ130が実行されると、図3に例示するように熱媒体および貯湯水が流れる。図3では、熱媒体や貯湯水が流通している部分を実線で、流通していない部分を破線で示している。これは、図4〜8においても同様である。太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体と、貯湯タンク21の下部から導出された貯湯水とが、外部熱交換器41で熱交換して、太陽熱を利用して加熱された貯湯水が貯湯タンク21内に貯湯される。このとき、床暖房器51には熱媒体を循環しないので、床暖房器51で不要な放熱が行われることを抑止することができる。
【0072】
ステップ120において、太陽熱を蓄熱可能でないと判断した場合には、循環ポンプ47、68のいずれも停止する(ステップ140)。これにより、熱媒体および貯湯水の循環は、いずれも停止され、熱を移動するための運転は行われない。
【0073】
ステップ110において、暖房加熱要求があると判断した場合には、太陽熱を利用して床暖房器51による暖房が可能であるか否か判断する(ステップ150)。具体的には、制御装置100は、ステップ150では、集熱サーミスタ12の検出温度から、暖房戻りサーミスタ66の検出温度を減じた値が、所定値以上であるか否かを判断する。
【0074】
ステップ150において、太陽熱を暖房に利用することができないと判断した場合には、流路切替バルブ62により熱媒体の流路を集熱器バイパス配管61側とし、流路切替バルブ64により熱媒体の流路を床暖房器51側として、循環ポンプ68を作動させる。これに加えて、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を上部導出配管44側として、循環ポンプ47を作動させる(ステップ160)。
【0075】
ステップ160が実行されると、図4に例示するように熱媒体および貯湯水が流れる。貯湯タンク21の上部から導出された高温水と熱媒体とが外部熱交換器41で熱交換して熱媒体が加熱され、加熱された熱媒体が床暖房器51で放熱して暖房を行う。すなわち、貯湯タンク21内に蓄熱された熱量を利用して床暖房器51で暖房を行う。このとき、太陽熱集熱器11には熱媒体を循環しないので、太陽熱集熱器11で不要な放熱が行われることを抑止することができる。
【0076】
このとき、暖房往きサーミスタ65の検出温度が暖房往き温度設定範囲となるように、循環ポンプ47をフィードバック制御する。これにより、床暖房器51での暖房に必要な熱量が外部熱交換器41で熱媒体に加えられる。
【0077】
ステップ150において、太陽熱を暖房に利用することができると判断した場合には、暖房往きサーミスタ65の検出温度が、床暖房に好適な暖房往き温度設定範囲内(例えば50〜60℃)であるか、暖房往き温度設定範囲の上限を超えているか、暖房往き温度設定範囲の下限を下回っているかを判断する(ステップ170)。
【0078】
ステップ170において、暖房往きサーミスタ65の検出温度が、床暖房に好適な暖房往き温度設定範囲内にあると判断した場合には、流路切替バルブ62により熱媒体の流路を太陽熱集熱器11側とし、流路切替バルブ64により熱媒体の流路を床暖房器51側として、循環ポンプ68を作動させる。これに加えて、循環ポンプ47を停止させる(ステップ180)。
【0079】
ステップ180が実行されると、図5に例示するように熱媒体が流れる。太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体が床暖房器51で放熱して暖房を行う。すなわち、太陽熱集熱器11で集熱された熱量のみを利用して床暖房器51で暖房を行う。太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体で貯湯水を加熱し、加熱された貯湯水の熱量で床暖房を行う場合に対し、熱交換に伴うロスがないので、効率よく太陽熱を利用した暖房を行うことができる。
【0080】
例えば、冬季等の低外気温時には、太陽熱集熱器11において熱媒体を55℃程度までにしか昇温できない場合がある。ところが、このような場合であっても、熱交換器を介さずに直接55℃の熱媒体を床暖房器51へ送り、貯湯タンク21内の蓄熱を用いなくても暖房を行うことが可能であり、省エネルギー性が高い。
【0081】
ステップ170において、暖房往きサーミスタ65の検出温度が、暖房往き温度設定範囲の上限を超えている(例えば60℃超)と判断した場合には、流路切替バルブ62により熱媒体の流路を太陽熱集熱器11側とし、流路切替バルブ64により熱媒体の流路を床暖房器51側として、循環ポンプ68を作動させる。これに加えて、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を下部導出配管45側として、循環ポンプ47を作動させる(ステップ181)。
【0082】
ステップ181が実行されると、図6に例示するように熱媒体および貯湯水が流れる。太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体と、貯湯タンク21の下部から導出された貯湯水とが、外部熱交換器41で熱交換して、太陽熱を利用して加熱された貯湯水が貯湯タンク21内に貯湯される。さらに、外部熱交換器41で熱交換した後の熱媒体が床暖房器51で放熱して暖房を行う。このとき、暖房往きサーミスタ65の検出温度が暖房往き温度設定範囲となるように、循環ポンプ47をフィードバック制御する。これにより、床暖房器51での暖房に必要な熱量に対して余剰となる熱量を利用して、外部熱交換器41で貯湯水が加熱され、貯湯タンク21内へ蓄熱される。
【0083】
ステップ181を実行しているときに、貯湯タンク21の下部から導出される貯湯水の温度が高く、余剰熱量を貯湯タンク21内に蓄熱できない場合には、床暖房器51に必要以上の熱量が供給されてしまう。そこで、本実施形態の給湯暖房装置では、暖房戻りサーミスタ66の検出温度(暖房往きサーミスタ65の検出温度でもかまわない)が、床暖房器51の暖房設定温度に基づく所定温度以上となった場合には、循環ポンプ68を間欠動作させて、床暖房器51が暖房設定温度となるように調節する。
【0084】
ステップ170において、暖房往きサーミスタ65の検出温度が、暖房往き温度設定範囲の下限を下回っている(例えば50℃未満)と判断した場合には、流路切替バルブ62により熱媒体の流路を太陽熱集熱器11側とし、流路切替バルブ64により熱媒体の流路を床暖房器51側として、循環ポンプ68を作動させる。これに加えて、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を上部導出配管44側として、循環ポンプ47を作動させる(ステップ182)。
【0085】
ステップ182が実行されると、図7に例示するように熱媒体および貯湯水が流れる。太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体と、貯湯タンク21の上部から導出された貯湯水とが、外部熱交換器41で熱交換して、熱媒体が更に加熱される。この外部熱交換器41で熱交換した後の熱媒体が床暖房器51で放熱して暖房を行う。このとき、暖房往きサーミスタ65の検出温度が暖房往き温度設定範囲となるように、循環ポンプ47をフィードバック制御する。これにより、床暖房器51での暖房に必要な熱量に対して不足する熱量が外部熱交換器41で熱媒体に加えられる。
【0086】
ステップ130、140、160、180、181、182のいずれかを実行したら、ステップ110へリターンする。
【0087】
なお、ステップ160、181、182を実行する際には、暖房往きサーミスタ65の検出温度が暖房往き温度設定範囲となるように、循環ポンプ47をフィードバック制御していたが、ステップ130を実行する際には、循環ポンプ47は、所定の一定回転数で駆動させればよい。
【0088】
図2では省略していたが、本実施形態の制御装置100は、集熱暖房給湯制御プログラムの他に、貯湯タンク21内の給湯用水の沸き上げ運転を行なう沸き上げ貯湯制御プログラムを備えており、電力コストに基づいて定まる所定時間帯、具体的には電力料金が比較的安価な深夜時間帯(例えば、午後11:00〜翌朝7:00)に沸き上げ運転を行なうようになっている。
【0089】
この沸き上げ運転は、深夜時間帯に達すると各水位サーミスタ24や他の温度センサからの温度情報等に基づいて、図8に例示するように、ヒートポンプユニット22を作動させて貯湯タンク21内の下部の低温の水を加熱して高温(例えば85℃の湯)の給湯用水として蓄えておく。従って、深夜時間帯終了時(例えば、午前7:00)には、一日に使用する給湯用必要熱量に応じた貯湯量が貯湯タンク21内に蓄えられる。ただし、深夜時間帯以外において、予め設定した貯湯量を超過して使用したときは、所定の最低貯湯量以下となったときに沸き増し運転がなされるように設定されている。
【0090】
上述の構成および作動によれば、図2に示すステップ130を実行して、図3に例示するように熱媒体および貯湯水を循環させると、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を貯湯タンク21内の下部の貯湯水(給湯用水)に蓄熱する太陽熱利用蓄熱運転モードとすることができる。また、図2に示すステップ160を実行して、図4に例示するように熱媒体および貯湯水を循環させると、貯湯タンク21内の上部の貯湯水の熱量を床暖房器51から放熱す蓄熱利用暖房運転モードとすることができる。また、図2に示すステップ180を実行して、図5に例示するように熱媒体を循環させると、太陽熱集熱器11で集熱した熱量のみを床暖房器51から放熱する太陽熱利用暖房運転モードとすることができる。
【0091】
また、図2に示すステップ181を実行して、図6に例示するように熱媒体および貯湯水を循環させると、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱するとともに、暖房には余剰の熱量を貯湯タンク21内の下部の貯湯水に蓄熱する太陽熱利用暖房蓄熱運転モードとすることができる。さらに、図2に示すステップ182を実行して、図7に例示するように熱媒体および貯湯水を循環させると、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱するとともに、暖房に不足する熱量を貯湯タンク21内の上部の貯湯水から補う太陽熱蓄熱利用暖房運転モードとすることができる。
【0092】
したがって、太陽熱集熱器11で集熱した熱量が床暖房器51からの放熱に必要な熱量に対して不足する場合であっても、太陽熱集熱器11で加熱された熱媒体を床暖房器51
に循環して、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を暖房に有効利用することができる。
【0093】
太陽熱集熱器11で集熱した熱量を暖房に有効利用することで、太陽熱集熱器11で集熱され貯湯タンク21内に蓄熱される熱量を低減することができる。すなわち、太陽熱集熱器11で集熱された熱量で貯湯タンク21内に生成される中温水の量を低減することができる。これにより、深夜時間帯等においてヒートポンプユニット22による沸き上げ運転時のCOP(運転効率)を向上することができる。
【0094】
また、外部熱交換器41における熱交換状態を、蓄熱利用暖房運転モード時および太陽熱蓄熱利用暖房運転モード時には、熱媒体流路43を通過する熱媒体が貯湯水流路42を通過する貯湯水から吸熱する熱媒体吸熱状態とし、太陽熱利用蓄熱運転モード時および太陽熱利用暖房蓄熱運転モード時には、熱媒体流路43を通過する熱媒体から貯湯水流路42を通過する貯湯水へ放熱する熱媒体放熱状態とし、太陽熱利用暖房運転モード時には、熱媒体流路43を通過する熱媒体と貯湯水流路42を通過する貯湯水との熱交換を禁止する熱交換禁止状態としている。
【0095】
そして、外部熱交換器41における熱媒体吸熱状態、熱媒体放熱状態、および、熱交換禁止状態の切り替えは、流路切替バルブ46による流路切り替えと、循環ポンプ47の作動および停止により行っている。このように、外部熱交換器41における3つの熱交換状態の切り替えを、流路切替バルブ46および循環ポンプ47という簡単な構成で行うことができる。
【0096】
また、貯湯タンク21内の貯湯水(給湯用水)と熱交換する熱媒体の循環系を、太陽熱集熱器11と床暖房器51とのそれぞれについて形成する場合に対し、外部熱交換器41、膨張タンク67、循環ポンプ68を共用することが可能である。したがって、給湯暖房装置の構成を簡素化することができる。
【0097】
上記実施形態の説明では詳述していなかったが、太陽熱集熱器11側と集熱器バイパス配管61側とで熱媒体の流路を切り替える流路切替バルブ62を、太陽熱集熱器11を通過する流路を流れる熱媒体と集熱器バイパス配管61を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置とし、床暖房器51側と暖房器バイパス配管63側とで熱媒体の流路を切り替える流路切替バルブ64を、床暖房器51を通過する流路を流れる熱媒体と暖房器バイパス配管63を流れる熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置とすることが好ましい。
【0098】
流路切替バルブ62、64をいずれも流量比調整弁装置とすることで、太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量と床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量とが異なる場合であっても、太陽熱集熱器11および床暖房器51のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。流路切替バルブ62、64をいずれも流量比調整弁装置としておけば、例えば施工時等に、流路切替バルブ62、64が流路を切り換えた際の熱媒体の好適な流量比を設定して、太陽熱集熱器11および床暖房器51のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。
【0099】
例えば、図5〜7に示す太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱する運転モード時に、太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量に対して床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量が大きい場合には、以下に述べる第1の熱媒体流通状態を設定すればよい。
【0100】
第1の熱媒体流通状態は、流路切替バルブ62が、熱媒体の流路を集熱器バイパス配管61に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス配管61に流通させ、熱媒体の流路を太陽熱集熱器11を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の一部を太陽熱集熱器11を通過する流路に流通させ、熱媒体の残部(床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量から太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量を減じた流量分)を集熱器バイパス流配管61に迂回させるとともに、流路切替バルブ64が、熱媒体の流路を床暖房器51を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の全量を床暖房器51を通過する流路に流通させ、熱媒体の流路を暖房器バイパス配管63に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス配管63に流通させる状態である。
【0101】
また、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱する運転モード時に、太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量に対して床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量が小さい場合には、以下に述べる第2の熱媒体流通状態を設定すればよい。
【0102】
第2の熱媒体流通状態は、流路切替バルブ62が、熱媒体の流路を太陽熱集熱器11を通過する流路に切り替えた際には、熱媒体の全量を太陽熱集熱器11を通過する流路に流通させ、熱媒体の流路を集熱器バイパス配管61に切り替えた際には、熱媒体の全量を集熱器バイパス配管61に流通させるとともに、流路切替バルブ64が、熱媒体の流路を暖房器バイパス配管63に切り換えた際には、熱媒体の全量を暖房器バイパス配管63に流通させ、熱媒体の流路を床暖房器51を通過する流路に切り換えた際には、熱媒体の一部を床暖房器51を通過する流路に流通させ、熱媒体の残部(太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量から床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量を減じた流量分)を暖房器バイパス配管63に迂回させる状態である。
【0103】
流路切替バルブ62、64をいずれも流量比調整弁装置としておけば、太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量と床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量とが異なる場合であっても、上記した第1の熱媒体流通状態および第2の熱媒体流通状態のいずれかを選択して設定することで、太陽熱集熱器11および床暖房器51のそれぞれに必要な流量の熱媒体を流通させることができる。
【0104】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0105】
上記実施形態では、流路切替バルブ62、64をいずれも流量比調整弁装置としていたが、これに限定されるものではない。例えば、流路切替バルブ62、64のいずれか一方を流量比調整弁装置とするものであってもよい。また、流路切替バルブ62、64の少なくともいずれかを、流路を切り替えた際に所定の流量比で熱媒体を配分する、流量比を固定した流路切替弁装置としてもかまわない。
【0106】
太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱する運転モード時に、太陽熱集熱器11に必要な熱媒体の循環流量と床暖房器51に必要な熱媒体の循環流量とに差がある場合に、差分の流量の熱媒体を、必要な循環流量が小さい方の構成を迂回させることが可能な流路切替手段を採用するものであればよい。
【0107】
また、流路切替バルブ62、64を、熱媒体循環回路60への各バイパス配管61、63上流側接続点に設けていたが、これに限定されるものではない。例えば、流路切替バルブ62、64を、熱媒体循環回路60への各バイパス配管61、63下流側接続点に設けるものであってもよい。また、熱媒体循環回路60とバイパス配管61、63とに設けた複数の弁装置を組み合わせて流路切替手段を構成するものであってもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、熱媒体循環回路60には、太陽熱集熱器11→外部熱交換器41の熱媒体流路43→床暖房器51→太陽熱集熱器11の順に熱媒体が循環するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、熱媒体循環回路60に、太陽熱集熱器11→床暖房器51→外部熱交換器41の熱媒体流路43→太陽熱集熱器11の順に熱媒体を循環させるものであってもよい。
【0109】
図1に示した上記実施形態の給湯暖房装置では、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱する運転モード時に外部熱交換器41で熱媒体を加熱しても、太陽熱集熱器11には床暖房器51で放熱した後の比較的低温の熱媒体が流通するため、太陽熱集熱器11における集熱効率を向上することができる。
【0110】
一方、図9に例示した給湯暖房装置では、太陽熱集熱器11で集熱した熱量を床暖房器51から放熱する運転モード時に外部熱交換器41で熱媒体を加熱する際に、外部熱交換器41には床暖房器51で放熱した後の比較的低温の熱媒体が流通するため、外部熱交換器41にいて熱媒体が吸熱する際の熱交換効率を向上することができる。
【0111】
また、上記実施形態では、貯湯タンク21内から中温水も出湯可能な構成としていたが、これに限定されるものではない。例えば、図9および図10に示すように、貯湯タンク21内からは高温水のみを出湯可能な給湯暖房装置であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では説明を省略していたが、例えば、図11に示すように、外部熱交換器41に浴水流路48を設けて循環ポンプ81で浴槽80内の浴水を循環し、浴槽80内の浴水を貯湯タンク21内の熱量で追い焚きしたり、浴槽80内の浴水から貯湯タンク21内へ熱回収をしたりするものであってもよい。
【0113】
浴水を追い焚きする場合には、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を上部導出配管44側として、循環ポンプ47を作動させる。一方、浴水から貯湯タンク21内へ熱回収を行う場合には、流路切替バルブ46により貯湯水の導出流路を下部導出配管45側として、循環ポンプ47を作動させればよい。
【0114】
なお、図11において、符号82を付した構成は湯張り用混合弁であり、符号83を付した構成は、湯張り経路の開閉弁であり、符号84を付した構成は、湯張り時等に熱交換器41をバイパスする経路に流路切り替えを行う流路切替弁である。
【0115】
また、上記実施形態では、外部熱交換器41で、熱媒体流路43を通過する熱媒体と貯湯タンク21内の貯湯水との間の熱交換を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、貯湯タンク内の上部と下部に、内部に熱媒体通路を形成した蛇管式の熱交換器を配設して、両熱交換器のそれぞれをバイパスするバイパス流路と流路切替手段とを設け、上部の熱交換器の熱媒体通路を通過する熱媒体が貯湯タンク内の上部の高温水から吸熱する熱媒体吸熱状態と、下部の熱交換器の熱媒体通路を通過する熱媒体から貯湯タンク内の下部の低温水へ放熱する熱媒体放熱状態と、両熱交換器における熱媒体と貯湯タンク内の貯湯水との熱交換を禁止する熱交換禁止状態とを切り替えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0116】
11 太陽熱集熱器
21 貯湯タンク(蓄熱タンク)
40 貯湯水循環回路(流体循環回路)
41 外部熱交換器(熱交換器)
42 貯湯水流路(流体通路)
43 熱媒体流路(熱媒体通路)
44 上部導出配管(上部導出流路)
45 下部導出配管(下部導出流路)
46 流路切替バルブ(導出流路切替手段、熱交換状態切替手段の一部)
47 循環ポンプ(流体循環手段、熱交換状態切替手段の一部)
51 床暖房器(暖房器)
60 熱媒体循環回路
61 集熱器バイパス配管(集熱器バイパス流路)
62 流路切替バルブ(第1流路切替手段)
63 暖房器バイパス配管(暖房器バイパス流路)
64 流路切替バルブ(第2流路切替手段)
100 制御装置(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱を集熱し熱媒体を加熱する太陽熱集熱器(11)と、
前記熱媒体からの放熱により暖房する暖房器(51)と、
内部の流体の熱量が給湯に利用される蓄熱タンク(21)と、
内部に形成された熱媒体通路(43)を通過する前記熱媒体と、前記蓄熱タンク(21)内の流体との間で熱交換を行う熱交換器(41)と、
前記太陽熱集熱器(11)、前記暖房器(51)および前記熱媒体通路(43)を環状に接続し、前記熱媒体が循環する熱媒体循環回路(60)と、
前記熱媒体循環回路(60)の前記太陽熱集熱器(11)の上流と下流とを繋ぎ、前記太陽熱集熱器(11)をバイパスして前記熱媒体を流通する集熱器バイパス流路(61)と、
前記熱媒体循環回路(60)の前記暖房器(51)の上流と下流とを繋ぎ、前記暖房器(51)をバイパスして前記熱媒体を流通する暖房器バイパス流路(63)と、
前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路と前記集熱器バイパス流路(61)とで、前記熱媒体の流路を切り替える第1流路切替手段(62)と、
前記暖房器(51)を通過する流路と前記暖房器バイパス流路(63)とで、前記熱媒体の流路を切り替える第2流路切替手段(64)と、
前記熱交換器(41)における熱交換状態を、前記熱媒体通路(43)を通過する熱媒体が前記蓄熱タンク(21)内の上部の流体から吸熱する熱媒体吸熱状態と、前記熱媒体通路(43)を通過する熱媒体から前記蓄熱タンク(21)内の前記上部よりも下方の下部の流体へ放熱する熱媒体放熱状態と、前記熱媒体通路(43)を通過する熱媒体と前記蓄熱タンク(21)内の流体との熱交換を禁止する熱交換禁止状態とで、切り替える熱交換状態切替手段(46、47)と、
を備えることを特徴とする給湯暖房装置。
【請求項2】
前記蓄熱タンク(21)の外部に設けられ、前記蓄熱タンク(21)内から導出した流体を循環して前記蓄熱タンク(21)内の前記上部と前記下部との間の中間部へ戻す流体循環回路(40)を備え、
前記熱交換器(41)は、前記蓄熱タンク(21)の外部に配設され、内部に形成された流体通路(42)が前記流体循環回路(40)の一部をなして、前記流体通路(42)を通過する前記蓄熱タンク(21)内から導出された流体と前記熱媒体通路(43)を通過する熱媒体との熱交換を行うものであり、
前記流体循環回路(40)は、
前記蓄熱タンク(21)内の前記上部から導出した流体を前記流体通路(42)へ導く上部導出流路(44)と、
前記蓄熱タンク(21)内の前記下部から導出した流体を前記流体通路(42)へ導く下部導出流路(45)と、を有し、
前記熱交換状態切替手段(46、47)は、
前記流体循環回路(40)に前記流体を循環する流体循環手段(47)と、
前記蓄熱タンク(21)内から前記流体通路(42)への流体の流路を、前記上部導出流路(44)と前記下部導出流路(45)とで切り替える導出流路切替手段(46)と、を有し、
前記熱交換器(41)における熱交換状態を前記熱媒体吸熱状態とするときには、前記流体循環手段(47)を作動させるとともに、前記導出流路切替手段(46)により前記蓄熱タンク(21)内から前記流体通路(42)への流体の流路を前記上部導出流路(44)とし、
前記熱交換器(41)における熱交換状態を前記熱媒体放熱状態とするときには、前記流体循環手段(47)を作動させるとともに、前記導出流路切替手段(46)により前記蓄熱タンク(21)内から前記流体通路(42)への流体の流路を前記下部導出流路(45)とし、
前記熱交換器(41)における熱交換状態を前記熱交換禁止状態とするときには、前記流体循環手段(47)を停止することを特徴とする請求項1に記載の給湯暖房装置。
【請求項3】
前記第1流路切替手段(62)は、
前記熱媒体の流路を前記集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記集熱器バイパス流路(61)に流通させ、
前記熱媒体の流路を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、前記熱媒体の一部を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させるとともに、前記熱媒体の残部を前記集熱器バイパス流路(61)に迂回させ、
前記第2流路切替手段(64)は、
前記熱媒体の流路を前記暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器(51)を通過する流路に流通させ、
前記熱媒体の流路を前記暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器バイパス流路(63)に流通させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯暖房装置。
【請求項4】
前記第1流路切替手段(62)は、前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路を流れる前記熱媒体と前記集熱器バイパス流路(61)を流れる前記熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(62)であることを特徴とする請求項3に記載の給湯暖房装置。
【請求項5】
前記第1流路切替手段(62)は、
前記熱媒体の流路を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、
前記熱媒体の流路を前記集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記集熱器バイパス流路(61)に流通させ、
前記第2流路切替手段(64)は、
前記熱媒体の流路を前記暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器バイパス流路(63)に流通させ、
前記熱媒体の流路を前記暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、前記熱媒体の一部を前記暖房器(51)を通過する流路に流通させるとともに、前記熱媒体の残部を前記暖房器バイパス流路(63)に迂回させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯暖房装置。
【請求項6】
前記第2流路切替手段(64)は、前記暖房器(51)を通過する流路を流れる前記熱媒体と前記暖房器バイパス流路(63)を流れる前記熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(64)であることを特徴とする請求項5に記載の給湯暖房装置
【請求項7】
前記第1流路切替手段(62)は、前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路を流れる前記熱媒体と前記集熱器バイパス流路(61)を流れる前記熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(62)からなるとともに、前記第2流路切替手段(64)は、前記暖房器(51)を通過する流路を流れる前記熱媒体と前記暖房器バイパス流路(63)を流れる前記熱媒体との流量比を調節可能な流量比調整弁装置(64)からなり、
前記第1流路切替手段(62)が、前記熱媒体の流路を前記集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記集熱器バイパス流路(61)に流通させ、前記熱媒体の流路を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、前記熱媒体の一部を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、前記熱媒体の残部を前記集熱器バイパス流路(61)に迂回させるとともに、
前記第2流路切替手段(64)が、前記熱媒体の流路を前記暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器(51)を通過する流路に流通させ、前記熱媒体の流路を前記暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器バイパス流路(63)に流通させる、第1の熱媒体流通状態と、
前記第1流路切替手段(62)が、前記熱媒体の流路を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記太陽熱集熱器(11)を通過する流路に流通させ、前記熱媒体の流路を前記集熱器バイパス流路(61)に切り替えた際には、前記熱媒体の全量を前記集熱器バイパス流路(61)に流通させるとともに、
前記第2流路切替手段(64)が、前記熱媒体の流路を前記暖房器バイパス流路(63)に切り換えた際には、前記熱媒体の全量を前記暖房器バイパス流路(63)に流通させ、前記熱媒体の流路を前記暖房器(51)を通過する流路に切り換えた際には、前記熱媒体の一部を前記暖房器(51)を通過する流路に流通させ、前記熱媒体の残部を前記暖房器バイパス流路(63)に迂回させる、第2の熱媒体流通状態と、
を設定可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−202668(P2012−202668A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70335(P2011−70335)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】