説明

給湯機および給湯機用リモコン

【課題】給湯機本体とリモコンとを接続するケーブルが仕様外であるためにリモコンが正常に動作しないという不具合の発生する可能性を施工段階で簡単に検知する。
【解決手段】給湯機100は、給湯機本体2と、給湯機本体2と有線3で接続され、有線3を介して給湯機本体2から電源電圧の供給を受けるとともに給湯機本体2を遠隔操作するリモコン1とを備える。リモコン1は、有線が接続される端子4と、この端子4に供給される電源電圧を検出する電圧検出部11とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は給湯機本体と有線を介して接続されたリモコンから給湯機本体を遠隔操作する給湯機、およびその給湯機用のリモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯機では、給湯機本体とリモコン(Remote Control)とが2線式電源ケーブルによって接続されている。リモコンは、2線式電源ケーブルを介して給湯機本体から電力供給を受けるともに、給湯機本体との間で2線式電源ケーブルを介した双方向のデータ通信を行なう(たとえば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−84590号公報
【特許文献2】特開2009−257676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既築住宅の給湯機を置き換える場合、給湯機本体とリモコンとを結ぶ電源ケーブルは、以前から使われているものをそのまま使用することが多い。この場合、新設の給湯機用の電源ケーブルの仕様に比べて既設の電源ケーブルが長すぎることや細すぎることが原因となって、電源ケーブルの抵抗値が想定値よりも大きくなってしまうことがある。このような仕様外の電源ケーブルを用いても通常動作時には問題がないことが多い。
【0005】
しかしながら、音声ガイダンス機能を用いる場合やインターフォン機能を用いる場合などのように通常動作時よりも大きな電流を必要とする機能を用いる場合には、リモコンに供給される電源電圧が不足する。このためにそれらの一部の機能が正常に動作しないという不具合が生じることがある。
【0006】
給湯機の据付工事の際には、施工者は、通常画面での動作しか確認していないのが実情である。仮に通常機能と異なる画面でテストを行なったとしても、不具合の発生確率が低い場合には、1回のテストでは電源ケーブルの仕様が不適切であることまでは判明しないことが多い。このように、これまで、上記の不具合に施工段階で気付けないことが多く問題となっていた。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、給湯機本体とリモコンとを接続するケーブルが仕様外であるためにリモコンが正常に動作しないという不具合の発生する可能性を施工段階で簡単に検知することができる給湯機およびその給湯機用のリモコンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一局面による給湯機は、給湯機本体と、給湯機本体と有線で接続され、有線を介して給湯機本体から電源電圧の供給を受けるとともに給湯機本体を遠隔操作するリモコンとを備える。リモコンは、有線が接続される端子と、この端子に供給される電源電圧を検出する電圧検出部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、リモコン端子に供給される電源電圧を検出する電圧検出部を設けることよって、ケーブルが仕様外であるためにリモコンが正常に動作しないという不具合の発生する可能性を施工段階で簡単に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による給湯機100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の給湯機用リモコン1による異常判定手順を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS4で表示装置8に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2による給湯機において、給湯機用リモコンによる異常判定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
【0012】
<実施の形態1>
[給湯機の全体構成]
図1は、この発明の実施の形態1による給湯機100の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1を参照して、給湯機100は、給湯機用リモコン1と、給湯機本体2と、電源ケーブル3とを含む。給湯機用リモコン1は、給湯機本体2と電源ケーブル3によって接続される。通常、電源ケーブル3として図1に示すような2線式電源ケーブルが用いられる。電源ケーブル3を介して、給湯機用リモコン1は、給湯機本体2から電源電圧の供給を受けるともに給湯機本体2との間で双方向のデータ通信を行なう。この場合、データ信号は電源電圧に重畳されて送受信される。
【0014】
図1に示すように、給湯機用リモコン1は、電源ケーブル3と接続される電源端子4と、インターフェース部5と、電源回路6と、マイクロコントローラ(MCU:Micro Control Unit)7と、液晶ディスプレイなどの表示装置8と、スピーカ9と、キー入力装置10と、電圧検出部11とを含む。
【0015】
インターフェース部5は、給湯機本体2から電源ケーブル3を介して受けた電源電圧とデータ信号とを分離し、電源電圧を電源回路6に出力するとともにデータ信号をMCU7に入力する。インターフェース部5は、さらに、MCU7が生成したデータ信号を、電源ケーブル3を介して給湯機本体2に出力する。
【0016】
電源回路6は、インターフェース部5から受けた電源電圧を所定の電圧レベルに変換して、MCU7、表示装置8、およびスピーカ9などのリモコン1内部の各部品に供給する。
【0017】
MCU7は、コンピュータシステムを集積化した集積回路装置であり、内蔵のメモリに予め記憶されたプログラムに従って動作することによって、給湯機用リモコン1全体の制御を行なう。たとえば、MCU7は、操作者に知らせるメッセージを表示装置8に表示したり、スピーカ9から音声として出力したりする。MCU7は、さらに、キー入力装置10を介して操作者が入力した指令に基づいて、給湯機本体2を遠隔操作する。
【0018】
電圧検出部11は、電源端子4とインターフェース部5との間の配線に接続される。電圧検出部11は、内蔵のローパスフィルタによってデータ信号成分を除去することによって、給湯機本体2から電源ケーブル3を介して電源端子4に供給された電源電圧を検出する。電圧検出部11をインターフェース部5と電源回路6との間の配線に接続してもよい。この場合には、データ信号成分はインターフェース部によって分離されるので、電圧検出部11の内部にローパスフィルタを設けなくてよい。
【0019】
[電圧検出部を用いた電源ケーブルの異常判定]
既に説明したように、既築住宅の給湯機を置き換える場合、給湯機本体2と給湯機用リモコン1とを接続する電源ケーブル3は、既設のものをそのまま使用することが多い。既設の電源ケーブル3が、新設された給湯機に用いられる電源ケーブルの仕様外である場合には、電源ケーブル3の抵抗値が想定される抵抗値よりも大きくなることがある。この場合、給湯のためのリモコンの通常機能は動作しても、複数のリモコン間で通話するインターフォン機能や操作手順をユーザに音声で知らせる音声ガイダンス機能など、通常機能よりも消費電流の多い機能が正常に動作しないことがある。
【0020】
電圧検出部11は、このように電源ケーブル3が仕様外であるために給湯機用リモコン1の一部の機能が動作しなくなるという不具合が発生する可能性を施工段階で簡単に検知するために設けられている。具体的には、電圧検出部11によって検出された電源端子4の電圧が所定の基準電圧以下の場合には、電源ケーブル3が異常の可能性があると判定される。以下、異常判定手順について詳しく説明する。
【0021】
図2は、図1の給湯機用リモコン1による異常判定手順を示すフローチャートである。図1、図2を参照して、ステップS1で、給湯機本体2に電源が投入されることによって、電源ケーブル3を介して給湯機本体2から給湯機用リモコン1に電源が供給される。これによって給湯機用リモコン1が動作を開始する。
【0022】
次のステップS2で、電圧検出部11は、電源ケーブル3が接続される電源端子4の電圧を検出する。検出された電圧のデータは、MCU7に送信される。
【0023】
次のステップS3で、MCU7は、電圧検出部11によって検出された電圧が所定の基準値以下であるか否かを判定する。検出電圧が基準値を超える場合には(ステップS3でNO)、MCU7は、電源ケーブル3は正常と判断して処理をステップS2に戻す。以後、ステップS2およびS3が繰り返される。検出電圧が基準値以下の場合には(ステップS3でYES)、MCU7は処理をステップS4に進める。
【0024】
ステップS4で、MCU7は、たとえば図3に示すようなメッセージを表示装置8に表示させる。
【0025】
図3は、図2のステップS4で表示装置8に表示されるメッセージの一例を示す図である。図3には、図1の給湯機用リモコン1の外観が示される。図3に示すように、給湯機用リモコン1の中央には、表示装置8の表示画面21が配置される。表示画面21の周辺に、キー入力装置10の一部である操作ボタン22,23と、スピーカ9とが配置される。表示画面21の下側にカバー25が設けられ、カバー25内にキー入力装置10に含まれる他の操作ボタンが配置される。
【0026】
電圧検出部11の検出電圧が基準値以下である場合(図2のステップS3でYES)には、MCU7は、図3に示すようなメッセージを表示装置8に表示させることによって、施工者に対して、給湯機用リモコン1の電源端子4の電圧が所定の基準値以下であったことを知らせ、電源ケーブルを再確認するように警告することができる。
【0027】
以上のとおり、実施の形態1による給湯機100によれば、電圧検出部11によって給湯機本体2から供給される電源電圧が検出され、検出された電圧が所定の基準値以下だった場合にその情報を施工者に知らせることができる。すなわち、給湯機本体2と給湯機用リモコン1とを接続する電源ケーブル3が仕様外であることに起因する電源ケーブル3の異常な電圧降下を施工時に発見することができる。この結果、電源ケーブル3を取り替えるなどの対処を行なうことができ、ユーザが実際に給湯機を使用している際に、供給される電源電圧の不足によってリモコンが正常に動作しないという不具合が発生することを未然に防止できる。
【0028】
[変形例]
実施の形態1の給湯機100では、施工者へ異常を報知する異常報知手段として表示装置8を使用したが、表示装置8に代えてどのような異常報知手段を用いてもよい。たとえば、スピーカ9から音声でメッセージを出力したり、警告音を鳴らしたりしたりしてもよい。さらに、給湯機用リモコン1に発光ダイオードなどの警告用のランプを設けて警告ランプを点灯するようにしてもよい。
【0029】
<実施の形態2>
実施の形態1では、MCU7が、電圧検出部11によって検出された端子電圧(電源端子4の電圧)が基準値以下であるか否かを判定していた。このような判定を行なわずに、検出した端子電圧の値を表示装置8に表示させるようにしてもよい。この場合、施工者は表示装置8に表示された端子電圧の値から、電源ケーブル3の異常な電圧降下に気付くことができる。ユーザが実際に給湯機を使用しているときには端子電圧の情報は不要であるので、端子電圧を表示装置8に表示する検査モードと端子電圧を表示装置8に表示しない通常モードとにキー入力装置10への入力に応じて切替えられるようにすることが望ましい。以下、具体的な異常判定手順について説明する。
【0030】
図4は、この発明の実施の形態2による給湯機において、給湯機用リモコンによる異常判定手順を示すフローチャートである。実施の形態2による給湯機のハードウェア構成は図1に示した実施の形態1の場合と同じである。
【0031】
図1、図4を参照して、ステップS11で、給湯機本体2に電源が投入されることによって、電源ケーブル3を介して給湯機本体2から給湯機用リモコン1に電源が供給される。これによって給湯機用リモコン1が動作を開始する。
【0032】
次のステップS12で、電圧検出部11は、電源ケーブル3が接続される電源端子4の電圧を検出する。検出された電圧のデータは、MCU7に送信される。
【0033】
次のステップS13で、MCU7は、動作モードが検査モードであるか通常モードであるかを判定する。給湯機用リモコン1の動作モードは、キー入力装置10への入力に応じて切替えられる。動作モードが通常モードの場合は(ステップS13でNO)、処理はステップS12に戻り、動作モードが検査モードの場合は(ステップS13でYES)、処理はステップS14に進む。
【0034】
ステップS14で、MCU7は、電圧検出部11によって検出された電源端子4の電圧値を表示装置8に表示させる。この結果、施工者は、電源ケーブル3で異常な電圧降下が生じているか否かを判断することができる。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1 給湯機用リモコン、2 給湯機本体、3 電源ケーブル、4 電源端子、5 インターフェース部、6 電源回路、7 MCU、8 表示装置、9 スピーカ、10 キー入力装置、11 電圧検出部、100 給湯機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯機本体と、
前記給湯機本体と有線で接続され、前記有線を介して前記給湯機本体から電源電圧の供給を受けるとともに前記給湯機本体を遠隔操作するリモコンとを備え、
前記リモコンは、
前記有線が接続される端子と、
前記端子に供給される電源電圧を検出する電圧検出部とを含む、給湯機。
【請求項2】
前記リモコンは、さらに、
前記電圧検出部による検出電圧の大きさが所定の基準電圧以下であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記検出電圧の大きさが前記基準電圧以下であると判定された場合に異常を報知する異常報知部とを含む、請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
前記リモコンは、さらに、前記電圧検出部によって検出された電圧値を表示する表示装置を含む、請求項1に記載の給湯機。
【請求項4】
給湯機本体と有線で接続され、前記有線を介して前記給湯機本体から電源電圧の供給を受けるとともに前記給湯機本体を遠隔操作する給湯機用リモコンであって、
前記有線が接続される端子と、
前記端子に供給される電源電圧を検出する電圧検出部とを備える給湯機用リモコン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−141075(P2012−141075A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292339(P2010−292339)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】