説明

給湯機

【課題】混合弁よりも下流の給湯経路上に直列に複数の温度検出手段がない場合であっても温度検出手段の故障を検出することができるとともに、使用者の使い勝手をなるべく損わずに温度検出手段の故障を検出することができ、また、故障した温度検出手段を特定することが容易な給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の給湯機は、混合弁14への給水温度を検出する給水温度センサ20と、混合弁14への給湯温度を検出する残湯温度センサ18と、混合弁14から流出した湯水の温度を検出する給湯温度センサ21とを備え、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度または目標温度との一致/不一致を判定する第1の故障判定処理を行い、第1の故障判定処理で不一致と判定された場合に、混合弁14を水側全開の状態に制御した後、給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との一致/不一致を判定する第2の故障判定処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯機では、貯湯タンクなどの湯源から供給される湯と、水源から供給される水とを混合弁にて混合し、その混合された湯水の温度を温度センサにより検出し、その検出された温度が使用者の設定した温度になるように混合弁の混合比を制御することにより、使用者の希望する温度で給湯することを実現している。このような給湯機において、温度センサが故障すると、高温出湯につながる可能性がある。このため、温度センサが故障した場合には、そのことを早急且つ確実に検出することが望まれる。温度センサの故障のうち、断線や短絡などのように、極端な出力変動を生ずる故障の場合には、その故障を検出することは容易である。これに対し、センサ性能が徐々に低下し、検出誤差が徐々に増大していく場合のように、極端な出力変動を生じない故障の場合には、その故障を検出することは容易ではない。
【0003】
上記の点に鑑みた発明として、特許文献1には、冷水供給源から供給される水の温度を検出する給水温度センサと、混合弁よりも下流の給湯経路上に直列に設けられており、温水利用箇所へ供給される水の温度を検出する少なくとも2つ以上の温度センサ群と、混合弁の開度を水側全開にして、給水温度センサと温度センサ群で検出される温度を比較する温度比較手段とを備え、温度比較手段において、1つの温度センサと他のいずれの温度センサとの間でも所定温度以上の温度差が検出されたときに、その温度差が検出された温度センサを故障と判断し、給湯を停止する給湯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報に開示された従来の技術では、混合弁よりも下流の給湯経路上に直列に2つ以上の温度センサ群がある場合でなければ、故障を検出することができないという問題がある。また、上記公報に開示された従来の技術では、温度センサの故障検出処理を行う際に、まず、混合弁の開度を水側全開にする必要がある。このため、どの温度センサにも異常がない場合であっても、故障検出処理が行われるたびに、使用者の意に反して混合弁から冷水が一定時間流出することとなるので、使用者にとって不便である。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、混合弁よりも下流の給湯経路上に直列に複数の温度検出手段がない場合であっても温度検出手段の故障を検出することができるとともに、使用者の使い勝手をなるべく損わずに温度検出手段の故障を検出することができ、また、故障した温度検出手段を特定することが容易な給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給湯機は、水源から供給される水と、湯源から供給される湯とを混合するとともに、その混合比を変化させることのできる混合弁と、水源から供給される水の温度を検出する水源温度検出手段と、湯源から供給される湯の温度を検出する湯源温度検出手段と、混合弁から流出した湯水の温度を検出する給湯温度検出手段と、混合弁から流出した湯水の温度が目標温度になるように混合弁の混合比を制御する混合弁制御手段と、水源温度検出手段により検出された温度と、湯源温度検出手段により検出された温度と、混合弁の混合比の情報とに基づいて、混合弁から流出する湯水の計算上の温度を算出する計算給湯温度算出手段と、給湯温度検出手段により検出された温度と、計算給湯温度算出手段により算出された温度または目標温度との一致/不一致を判定する第1の故障判定処理を行う第1の故障判定手段と、第1の故障判定処理で不一致と判定された場合に、混合弁を水側全開の状態に制御した後、水源温度検出手段により検出された温度と、給湯温度検出手段により検出された温度との一致/不一致を判定する第2の故障判定処理を行う第2の故障判定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、混合弁よりも下流の給湯経路上に直列に複数の温度検出手段がない場合であっても温度検出手段の故障を検出することができる。また、使用者の使い勝手をなるべく損わずに温度検出手段の故障を検出することができる。また、故障した温度検出手段を特定することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の給湯機を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1において制御装置により実行される給湯制御のフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1において制御装置により実行される保守点検用の故障判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の給湯機を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の給湯機は、貯湯タンク2を内蔵したタンクユニット1と、水を加熱して湯を生成するヒートポンプユニット3とを有している。ヒートポンプユニット3は、大気の熱を吸熱することにより、高い効率で湯を生成することができる。タンクユニット1とヒートポンプユニット3とは、ヒートポンプ循環配管7,8により接続されている。水道等の水源から供給される水は、給水配管4を通って減圧弁12に流入し、所定圧力に減圧された後、給水配管5を通って貯湯タンク2の下部に流入する。貯湯タンク2内には、減圧弁12により所定圧力に減圧された水源水圧が給水配管4,5から作用している。貯湯タンク2内は、常に満水状態に維持される。また、減圧弁12で減圧された水は、給水配管6を通って、混合弁14,15にも供給される。
【0012】
貯湯タンク2の沸き上げ運転時には、貯湯タンク2内の水が貯湯タンク2の下部から取り出され、ヒートポンプ循環ポンプ23の作動によりヒートポンプ循環配管7を通ってヒートポンプユニット3に送られ、加熱されて湯となる。この湯は、ヒートポンプ循環配管8を通ってタンクユニット1に戻り、バイパス弁13を通って貯湯タンク2の上部から貯湯タンク2内に流入する。このような沸き上げ運転が行われることにより、貯湯タンク2内で上部から下部に向かって湯が貯えられていく。貯湯タンク2内の上部の湯と下部の水とは、比重差があるため、温度境界層を介して、混じり合うことなく維持される。
【0013】
給湯する際は、貯湯タンク2の上部から取り出された湯が湯源配管9を通って混合弁14,15へ送られる。混合弁14,15は、湯源配管9より送られてきた湯と、給水配管6より送られてきた水とを混合することにより、温度を調節した湯を出湯する。混合弁14から出湯した湯は、給湯配管10を通って図示しない蛇口等の所定の給湯先に供給される。混合弁15から出湯した湯は、風呂配管11を通って図示しない浴槽に供給される。
【0014】
混合弁14,15は、水と湯との混合比を変化させることができる。本実施形態の混合弁14,15は、水の混合比を最大とする水側全開の状態と、湯の混合比を最大とする湯側全開との間で、混合比を任意に変えることができる。本実施形態では、水側全開の状態では、混合比が水100:湯0となり、湯側全開の状態では混合比が水0:湯100となるものとする。混合弁14,15は、ステッピングモータの作動によって混合比を変化させるように構成されている。
【0015】
給水配管4、給水配管6、湯源配管9、給湯配管10、風呂配管11には、それぞれ、逆流を防止する逆止弁16が設置されている。また、給水配管4には、水源から供給される水の温度を検出する給水温度センサ20(水源温度検出手段)が更に設けられている。貯湯タンク2の最上部には、貯湯タンク2の最上部にある湯の温度を検出する残湯温度センサ18(湯源温度検出手段)が設けられている。この残湯温度センサ18により、湯源配管9から供給される湯の温度を検出することができる。貯湯タンク2には、更に、高さが異なる位置に複数の残湯温度センサ19が設けられている。湯源配管9には、逃がし弁17が更に設けられている。給湯配管10には、混合弁14から流出して給湯先に供給される湯水の温度を検出する給湯温度センサ21(給湯温度検出手段)が更に設けられている。風呂配管11には、混合弁15から流出して浴槽に供給される湯水の温度を検出する風呂給湯温度センサ22(給湯温度検出手段)が更に設けられている。
【0016】
タンクユニット1の内部には、制御装置24が設けられている。本給湯装置が備えるアクチュエータ類およびセンサ類は、制御装置24と電気的に接続されている。また、制御装置24は、例えば台所や浴室等に設置されるユーザーインターフェースとしてのリモコン26と通信線25を介して接続されている。制御装置24は、本給湯装置の全体を制御する。例えば、制御装置24は、残湯温度センサ18,19によって貯湯タンク2の内部温度を測定することにより、貯湯量を管理している。また、制御装置24は、混合弁14,15が備えるステッピングモータのステップ数により、混合弁14,15の混合比を検出することができる。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1において制御装置24により実行される給湯制御のフローチャートである。ここでは、給湯配管10側から給湯する場合について代表して説明するが、風呂配管11側から給湯する場合も同様である。
【0018】
図2のステップS11において、給湯配管10の末端にある給湯栓(図示せず)が開かれることによって給湯が開始すると、貯湯タンク2内の上部にある湯が湯源配管9を通って混合弁14に供給されるとともに、水源からの水が給水配管4,6を通って混合弁14に供給される。給湯が開始した場合、制御装置24は、混合弁14から流出して給湯配管10に供給される湯水の温度が設定温度(目標温度)となるように、混合弁14の混合比を調整する(ステップS12)。この目標温度とは、リモコン26等の温度設定手段によって予め設定された温度である。制御装置24は、ステップS12の処理を行いつつ、給湯温度センサ21の検出温度が設定温度に一致しているかどうかを判断する(ステップS13)。このステップS13において、設定温度と給湯温度センサ21の検出温度との差が一定値を超える場合には、両者が一致していないと判断され、ステップS12の処理を続行する。一方、ステップS13において、設定温度と給湯温度センサ21の検出温度との差が一定値以内である場合には、両者が一致していると判断され、ステップS14に移行する。
【0019】
ステップS14では、給湯温度センサ21の検出温度と、計算給湯温度との一致/不一致を判定する第1の故障判定処理を行う。計算給湯温度とは、給水温度センサ20の検出温度と、残湯温度センサ18の検出温度と、混合弁14の混合比の情報とに基づいて制御装置24により算出される計算上の給湯温度である。例えば、混合弁14の混合比が水50:湯50であり、残湯温度センサ18の検出温度が90℃であり、給水温度センサ20の検出温度が10℃である場合には、計算給湯温度は、(90+10)/2=50℃と計算される。残湯温度センサ18、給水温度センサ20、給湯温度センサ21が何れも正常であれば、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度とは一致するはずである。ステップS14では、制御装置24は、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度との差の絶対値が所定の許容温度差(例えば10℃)を超える状態が所定の許容時間(例えば5秒)を超えて継続した場合には、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度とが不一致であると判定する。これに対し、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度との差の絶対値が上記許容温度差を超える状態が上記許容時間を超えて継続していると認められない場合には、給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度とが一致している判定する。給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度とが一致していると判定された場合には、ステップS15へ移行し、給湯配管10への給湯を続行する。
【0020】
一方、上記ステップS14の第1の故障判定処理で給湯温度センサ21の検出温度と計算給湯温度とが不一致であると判定された場合には、残湯温度センサ18、給水温度センサ20、給湯温度センサ21の何れかが故障している可能性がある。この場合には、故障している温度センサを判別するため、第2の故障判定処理(ステップS16およびS17)を実行する。ステップS16では、混合弁14を水側全開の状態に制御する。この際、例えば5秒程度の時間をかけて混合弁14の混合比を徐々に変化させて水側全開の状態にすることが望ましい。これにより、給湯温度の急変を緩和することができるので、給湯配管10の湯がシャワー等に利用されている場合であっても、使用者を驚かさずに済ますことができる。
【0021】
ステップS16において混合弁14が水側全開の状態になった後、ステップS17に移行し、給水温度センサ20の検出温度と、給湯温度センサ21の検出温度との一致/不一致を判定する処理を行う。混合弁14が水側全開の状態では、給水配管4,6から供給される水のみが給湯配管10に流れるので、給水温度センサ20および給湯温度センサ21が共に正常であれば、両者の検出温度は一致するはずである。ステップS17では、制御装置24は、給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との差の絶対値が所定の許容温度差(例えば10℃)を超える状態が所定の許容時間(例えば5秒)を超えて継続した場合には、給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度とが不一致であると判定する。この場合には、ステップS20に移行し、給湯配管10への給湯を停止するとともに、リモコン26等にエラー表示をする等の方法により、故障の旨を報知する。なお、給湯配管10への給湯を停止する方法としては、例えば給湯配管10に設けた電磁弁(図示せず)を閉じる等の方法で停止することができる。
【0022】
ステップS17で給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度とが不一致であると判定された場合には、給水温度センサ20と給湯温度センサ21との何れかに故障または故障の可能性があると判定できる。仮に、給湯温度センサ21が故障しているとした場合には、給湯配管10からの給湯温度を正確に検出することができないため、給湯を行った場合、設定温度よりも高い温度の湯が継続して使用者に供給される可能性がある(以下、「高温出湯」と称する)。これに対し、本実施形態では、ステップS17で給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度とが不一致であると判定された場合、給湯温度センサ21の故障である場合を考慮して、ステップS20で給湯を停止することとしている。このため、高温出湯を確実に防止することができ、高い安全性が得られる。なお、上記ステップS20では、故障箇所が給水温度センサ20、給湯温度センサ21の何れかである旨を併せて報知してもよい。
【0023】
一方、ステップS17で、給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との差の絶対値が上記許容温度差を超える状態が上記許容時間を超えて継続していると認められない場合には、給水温度センサ20の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度とは一致していると判定される。この場合、給水温度センサ20および給湯温度センサ21は、共に故障ではないと判定することができる。したがって、この場合には、残湯温度センサ18に故障または故障の可能性があると判定することができる。この場合には、次に、ステップS18に移行し、第3の故障判定処理を実行する。このステップS18の第3の故障判定処理では、過去所定期間内(例えば過去一週間以内)にステップS17に至る判定動作(第2の故障判定処理)が実行された回数が所定回数(例えば6回)に達しているかどうかを確認する。このステップS18の処理によれば、残湯温度センサ18の故障が確定的であるかどうかを判断することができる。ステップS18で、過去所定期間内の第2の故障判定処理の実行回数が所定回数未満であった場合、すなわち残湯温度センサ18の故障が確定的でない場合には、ステップS15へ移行し、給湯配管10への給湯を続行する。一方、過去所定期間内の第2の故障判定処理の実行回数が所定回数に達していた場合、すなわち残湯温度センサ18の故障が確定的である場合には、給湯配管10への給湯を続行するとともに、リモコン26等にエラー表示をする等の方法により、故障の旨を使用者に報知する。この際、故障箇所が残湯温度センサ18である旨を併せて報知してもよい。
【0024】
上述したように、本実施形態では、第2の故障判定処理で一致と判定された場合、すなわち、故障箇所が残湯温度センサ18であり、給湯温度センサ21(および給水温度センサ20)に故障はないと判定できる場合には、給湯配管10への給湯を続行する。給湯温度センサ21が正常である場合には、給湯配管10からの給湯温度を正確に検出することができるので、給湯温度センサ21の検出温度をフィードバックして制御装置24が混合弁14の混合比を調整することにより、給湯配管10からの給湯温度を設定温度に制御することが可能である。このため、高温出湯が発生する可能性はないと考えられるので、安全性の面で給湯を停止する必要はないと言える。そこで、この場合には、ステップS15またはS19に移行して給湯を続行することとした。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の制御によれば、第1の故障判定処理においては、混合弁14が強制的に水側全開に制御されることはない。すなわち、残湯温度センサ18、給水温度センサ20、給湯温度センサ21の何れかに故障が発生しない限りは、混合弁14が強制的に水側全開に制御されることはない。このため、使用者の意に反して冷水が給湯配管10に供給されることを抑制することができ、使用者の使い勝手を向上することができる。
【0026】
これに対し、本発明と異なり、定期的に混合弁を強制的に水側全開に制御して故障検出処理を行うようなシステムでは、温度センサの故障が発生していない場合であっても、故障検出処理が行われるたびに、使用者の意に反して冷水が給湯配管に供給されてしまうので、使い勝手が悪くなる。
【0027】
また、本実施形態の制御によれば、第1の故障判定処理で不一致と判定され、残湯温度センサ18、給水温度センサ20、給湯温度センサ21の何れかが故障している可能性がある場合には、第2の故障判定処理を行うことにより、残湯温度センサ18の故障であるか、給水温度センサ20または給湯温度センサ21の故障であるかを判別することができる。これにより、修理の際に故障箇所の特定が容易となるので、修理を円滑且つ迅速に行うことができる。また、高温出湯の可能性がある場合(給湯温度センサ21の故障の可能性がある場合)と、高温出湯の可能性がない場合(給湯温度センサ21は正常であり、残湯温度センサ18の故障である場合)とを判別することができるので、高温出湯の可能性がある場合にのみ給湯を停止し、高温出湯の可能性がない場合には給湯を続行することができる。このため、給湯停止になる可能性を低くすることができるので、使用者の利便性と、安全性とを両立することができる。
【0028】
また、本実施形態では、第1の故障判定処理で不一致と判定された場合であっても、高温出湯の可能性がない場合にはすぐには使用者に故障を報知せず、ステップS18の第3の故障判定処理によって残湯温度センサ18の故障が確定的であると判定された場合にのみ、ステップS19に移行して使用者に故障を報知することとしている。これにより、残湯温度センサ18の一時的な異常など、危険性のない軽微な故障の場合には、使用者への故障の報知が回避されるので、使用者の煩わしさを軽減することができる。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1において制御装置24により実行される保守点検用の故障判定処理のフローチャートである。以下、図3を参照して、保守点検用の故障判定処理(第4の故障判定処理)を、給湯配管10側について実行する場合を代表して説明するが、風呂配管11側について実行する場合も同様である。
【0030】
給水温度センサ20、給湯温度センサ21のどちらかが故障した場合、図2に基づいて説明した第1および第2の故障判定処理では、どちらが故障しているのかを判別することができない。しかしながら、修理を行う際には、故障箇所を特定する必要がある。そのような場合、以下に説明する第4の故障判定処理を実行することにより、給水温度センサ20、給湯温度センサ21のどちらが故障しているかを判別することができる。
【0031】
第4の故障判定処理では、混合弁14を湯側全開の状態にして給湯し、貯湯タンク2から供給される高温の湯を給湯配管10に流入させる。その際の危険を防止するため、第4の故障判定処理は、一般の使用者が決して行うことのない所定の特殊な操作をサービスマンなどの修理技術者が行った場合に限って、実行されるようになっている。この特殊操作としては、例えば、リモコン26に設けられている給湯温度ボタン、停止日数ボタンおよび給湯量ボタンのような複数個のボタンを同時に5秒間程度の長押しをするような操作が挙げられる。あるいは、リモコン26でなく、制御装置24に、特殊操作を受け付ける手段を設けるようにしてもよい。
【0032】
図3のステップS21において上記特殊操作が行われた場合には、ステップS22に移行し、給湯配管10への給湯を開始する。給湯を開始した後、ステップS23に移行し、混合弁14を湯側全開の状態に制御する。続いて、ステップS24に移行し、残湯温度センサ18の検出温度と、給湯温度センサ21の検出温度との一致/不一致を判定する処理を行う。混合弁14が湯側全開の状態では、貯湯タンク2の上部から湯源配管9を通って供給される湯のみが給湯配管10に流れるので、給湯温度センサ21が正常であれば、給湯温度センサ21の検出温度は残湯温度センサ18の検出温度に一致するはずである。ステップS24では、制御装置24は、残湯温度センサ18の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との差の絶対値が所定の許容温度差(例えば10℃)を超える状態が所定の許容時間(例えば5秒)を超えて継続した場合には、給湯温度センサ21の検出温度が残湯温度センサ18の検出温度に不一致であると判定する。この場合には、ステップS27に移行し、給湯を停止するとともに、リモコン26等にエラー表示をする等の方法により、故障の旨を報知する。この場合には、給湯温度センサ21が故障であると判定することができる。ステップS27では、給湯温度センサ21が故障である旨を併せて報知してもよい。
【0033】
一方、ステップS24で、残湯温度センサ18の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との差の絶対値が所定の許容温度差を超える状態が所定の許容時間を超えて継続していることが認められない場合には、ステップS25に移行して、給湯開始からの経過時間が所定時間(例えば1分)に達したかどうかを判断し、給湯開始からの経過時間が所定時間に達していない場合には、ステップS24の判定を再度行う。給湯開始から上記所定時間が経過しても、残湯温度センサ18の検出温度と給湯温度センサ21の検出温度との差の絶対値が上記許容温度差を超える状態が上記許容時間を超えて継続していることが認められない場合には、給湯温度センサ21の検出温度と残湯温度センサ18の検出温度とは一致していると判定される。その後、ステップS26に移行し、給湯を停止する。この場合、給湯温度センサ21は故障していないと判定することができる。この場合において、過去に図2のステップS14およびステップS17で不一致と判定されている場合には、給水温度センサ20が故障であると判定することができる。なお、ステップS26では給水温度センサ20が故障である旨を報知してもよい。
【0034】
以上説明した実施の形態における第1の故障判定処理(ステップS14)では、計算給湯温度と給湯温度センサ21の検出温度との一致/不一致を判定しているが、設定温度(目標温度)と給湯温度センサ21の検出温度との一致/不一致を判定するようにしてもよい。
【0035】
また、上述した実施の形態では、給湯配管10側から給湯して残湯温度センサ18、給水温度センサ20および給湯温度センサ21の故障を検出する場合について代表して説明したが、風呂配管11側から給湯して残湯温度センサ18、給水温度センサ20および風呂給湯温度センサ22の故障を検出する場合についても同様に行うことができる。
【0036】
また、上述した実施の形態では、貯湯タンク2を湯源とする貯湯式給湯機を例に説明したが、本発明は、ヒーター、ヒートポンプ、太陽熱などを利用して湯を生成する加熱手段を湯源とし、この湯源から混合弁に高温の湯を供給する給湯機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 タンクユニット
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット
4,5,6 給水配管
7,8 ヒートポンプ循環配管
9 湯源配管
10 給湯配管
11 風呂配管
12 減圧弁
13 バイパス弁
14 混合弁(給湯)
15 混合弁(風呂)
16 逆止弁
17 逃がし弁
18,19 残湯温度センサ
20 給水温度センサ
21 給湯温度センサ
22 風呂給湯温度センサ
23 ヒートポンプ循環ポンプ
24 制御装置
25 通信線
26 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水源から供給される水と、湯源から供給される湯とを混合するとともに、その混合比を変化させることのできる混合弁と、
前記水源から供給される水の温度を検出する水源温度検出手段と、
前記湯源から供給される湯の温度を検出する湯源温度検出手段と、
前記混合弁から流出した湯水の温度を検出する給湯温度検出手段と、
前記混合弁から流出した湯水の温度が目標温度になるように前記混合弁の混合比を制御する混合弁制御手段と、
前記水源温度検出手段により検出された温度と、前記湯源温度検出手段により検出された温度と、前記混合弁の混合比の情報とに基づいて、前記混合弁から流出する湯水の計算上の温度を算出する計算給湯温度算出手段と、
前記給湯温度検出手段により検出された温度と、前記計算給湯温度算出手段により算出された温度または前記目標温度との一致/不一致を判定する第1の故障判定処理を行う第1の故障判定手段と、
前記第1の故障判定処理で不一致と判定された場合に、前記混合弁を水側全開の状態に制御した後、前記水源温度検出手段により検出された温度と、前記給湯温度検出手段により検出された温度との一致/不一致を判定する第2の故障判定処理を行う第2の故障判定手段と、
を備える給湯機。
【請求項2】
前記第2の故障判定処理で一致と判定された場合には、給湯を続行し、
前記第2の故障判定処理で不一致と判定された場合には、給湯を停止する請求項1記載の給湯機。
【請求項3】
前記第2の故障判定処理で一致と判定された場合に、過去所定期間内に前記第2の故障判定処理が実行された回数が所定回数に達しているか否かを判断する第3の故障判定処理を行う第3の故障判定手段を備える請求項1または2記載の給湯機。
【請求項4】
前記第2の故障判定処理で一致と判定された場合には、前記湯源温度検出手段に故障または故障の可能性があると判定し、
前記第2の故障判定処理で不一致と判定された場合には、前記水源温度検出手段または前記給湯温度検出手段に故障または故障の可能性があると判定する請求項1乃至3の何れか1項記載の給湯機。
【請求項5】
所定の特殊操作を受け付ける受付手段と、
前記受付手段に前記特殊操作が行われた場合に、前記混合弁を湯側全開の状態に制御して給湯し、前記湯源温度検出手段により検出された温度と、前記給湯温度検出手段により検出された温度との一致/不一致を判定する第4の故障判定処理を行う第4の故障判定手段と、
を備える請求項1乃至4の何れか1項記載の給湯機。
【請求項6】
前記故障判定処理の判定結果を報知する報知手段を備える請求項1乃至5の何れか1項記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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