給湯装置
【課題】給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑える。
【解決手段】給湯装置では、貯湯タンクの中間流出部(第2流出部)から流出した温水と給水源から給水される水とが第1混合弁において混合された後、第2混合弁において貯湯タンクの上部流出部(第1流出部)から流出した温水と混合されて、第1給湯端末に供給される。給湯装置の判断手段は、第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、中間流出部から流出した温水が第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する。給湯装置の制御手段は、給湯端末への給湯中に、判断手段において中間流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、中間流出部から流出した温水の第1混合弁の通過量を減少させるように第1混合弁を制御する。
【解決手段】給湯装置では、貯湯タンクの中間流出部(第2流出部)から流出した温水と給水源から給水される水とが第1混合弁において混合された後、第2混合弁において貯湯タンクの上部流出部(第1流出部)から流出した温水と混合されて、第1給湯端末に供給される。給湯装置の判断手段は、第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、中間流出部から流出した温水が第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する。給湯装置の制御手段は、給湯端末への給湯中に、判断手段において中間流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、中間流出部から流出した温水の第1混合弁の通過量を減少させるように第1混合弁を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクの中間部から流出する温水を給湯に使用する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯装置として、貯湯タンクの上部から取り出した温水と給水源から供給された水とを混合して給湯端末に供給するものがある。このような給湯装置においては、通常は、貯湯タンク内の温水の温度は、上部が高温で、下部が低温で、中間部がその中間の温度となっている。
【0003】
また、この給湯装置では、熱効率を向上させるために、貯湯タンクの中間部から温水を取り出して、給湯に利用する給湯装置が提案されている。具体的には、貯湯タンクの中間部から取り出した温水と給水源から供給された水とを第1混合弁で混合した後、この混合された温水と貯湯タンクの上部から取り出した温水とを第2混合弁で混合して給湯端末に供給する給湯装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−226593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した給湯装置では、給湯端末に供給される温水の流量の変動によって、給湯端末に供給される温水の温度が変動するという問題がある。例えば、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置された給湯装置において、給湯端末に供給される温水の流量がかなり少なくなった場合、給水源から逆止弁に流入する水の流量もかなり少なくなるため、逆止弁を完全に開弁させることができず、逆止弁を通過する水の流量がさらに少なくなることがある。この場合、第1混合弁の開度が一定であっても、給水源から供給される水の割合が減少するように混合比率が変動して、第1混合弁により混合された温水の温度が上昇し、その結果、給湯端末に供給される温水の温度が上昇するという問題が生じる。
【0006】
また、上述した給湯装置は、貯湯タンクに、上述した上部流出部及び中間流出部以外に別の流出部(以下、第3流出部という)が設けられており、第2混合弁で混合された温水が供給される給湯端末(以下、第1給湯端末という)とは別の給湯端末(以下、第2給湯端末という)に、第3流出部から流出した温水が供給されるように構成されている場合がある。
この給湯装置では、第1給湯端末への給湯中に、第2給湯端末に供給される温水の流量が減少した場合、貯湯タンクから第3流出部を介して流出する流量が減少することにより、貯湯タンクから中間流出部及び上部流出部を介して流出する流量が増加することがある。そして、中間流出部から流出する流量が増加すると、第1混合弁の開度が一定であっても、第1混合弁において中間流出部から流出した温水の割合が増加し、第1混合弁により混合された温水の温度が上昇するという問題が生じる。
【0007】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑えることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0009】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量に応じて、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0010】
第2の発明に係る給湯装置は、第1の発明に係る給湯装置において、前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この給湯装置では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0012】
第3の発明に係る給湯装置は、第1又は第2の発明に係る給湯装置において、前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末とを備えることを特徴とする。
【0013】
この給湯装置では、貯湯タンク内の温水を第1給湯端末に加えて第2給湯端末に供給できると共に、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0014】
第4の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記第1流出部から流出した温水と前記第2流出部から流出した温水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と給水源から供給される水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0015】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0016】
第5の発明に係る給湯装置は、第1〜第4の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とする。
【0017】
この給湯装置では、判断手段が第2流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断した場合に、第1混合弁は、給水源側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0018】
第6の発明に係る給湯装置は、第1〜第5の何れかの発明に係る給湯装置において、前記判断手段は、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断し、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量よりも大きい場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断することを特徴とする。
【0019】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下の場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。また、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0020】
第7の発明に係る給湯装置は、第1〜第6の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする。
【0021】
この給湯装置では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0022】
第8の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末と、前記第2給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0023】
この給湯装置では、第2給湯端末への温水供給流量が減少すると、第3流出部から流出する温水の流量が減少するため、第2流出部から流出する流量が増加する。第2給湯端末への温水供給流量が減少したときに、第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0024】
第9の発明に係る給湯装置は、第8の発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする。
【0025】
この給湯装置では、第1混合弁が給水源側全開状態に切り換えられることにより、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0026】
第10の発明に係る給湯装置は、第8又は第9の発明に係る給湯装置において、前記判断手段は、前記第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断することを特徴とする。
【0027】
この給湯装置では、第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0028】
第11の発明に係る給湯装置は、第8〜第10の何れかの発明に係る給湯装置において、前記判断手段が、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断することを特徴とする。
【0029】
この給湯装置では、判断手段は、第2給湯端末への温水供給流量に基づいた判断に加えて、第1給湯端末への温水供給流量に基づいた判断を行う。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0030】
第12の発明に係る給湯装置は、第11の発明に係る給湯装置において、前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする。
【0031】
この給湯装置では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0032】
第13の発明に係る給湯装置は、第8〜12の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする。
【0033】
この給湯装置では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0034】
第14の発明に係る給湯装置は、第2及び第8〜12の何れかの発明に係る給湯装置において、前記第3流出部は、前記貯湯タンクの上部に設けられており、前記第3流出部から流出した温水と給水源から供給される水とを混合する第3混合弁を備え、前記第2給湯端末は、前記第3混合弁により混合された温水が供給され、前記制御手段は、前記第1混合弁及び前記第2混合弁の制御に加えて、前記第3混合弁の制御も行うことを特徴とする。
【0035】
この給湯装置では、貯湯タンクの上部に設けられた第3流出部から流出した温水と、給水源から供給される水とを第3混合弁において混合して第2給湯端末に供給しているため、第2給湯端末に供給する温水の温度を調整することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0037】
第1の発明では、第1給湯端末への温水供給流量に応じて、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0038】
第2の発明では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0039】
第3の発明では、貯湯タンク内の温水を第1給湯端末に加えて第2給湯端末に供給できると共に、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0040】
第4の発明では、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0041】
第5の発明では、判断手段が第2流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断した場合に、第1混合弁は、給水源側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0042】
第6の発明では、第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下の場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。また、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0043】
第7の発明では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0044】
第8の発明では、第2給湯端末への温水供給流量が減少すると、第3流出部から流出する温水の流量が減少するため、第2流出部から流出する流量が増加する。第2給湯端末への温水供給流量が減少したときに、第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0045】
第9の発明では、第1混合弁が給水源側全開状態に切り換えられることにより、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0046】
第10の発明では、第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0047】
第11の発明では、判断手段は、第2給湯端末への温水供給流量に基づいた判断に加えて、第1給湯端末への温水供給流量に基づいた判断を行う。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0048】
第12の発明では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0049】
第13の発明では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0050】
第14の発明では、貯湯タンクの上部に設けられた第3流出部から流出した温水と、給水源から供給される水とを第3混合弁において混合して第2給湯端末に供給しているため、第2給湯端末に供給する温水の温度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図2】給湯装置のブロック図である。
【図3】第1混合弁制御部(制御手段)の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】給湯運転時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図7】(a)は、第1実施形態の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図8】(a)は、第1実施形態の変形例1の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図9】(a)は、第1実施形態の変形例2の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図10】(a)は、第1実施形態の変形例3の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図11】(a)は、第1実施形態の変形例4の給湯装置の模式図である。(b)〜(d)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図12】(a)は、第2実施形態の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係る給湯装置の第1の実施の形態について説明する。
【0053】
<給湯装置の構成>
図1に示すように、第1実施形態の給湯装置1は、カラン(第1給湯端末)Aと、シャワー(第1給湯端末)Bと風呂(第2給湯端末)Cとに温水を供給する装置であって、ヒートポンプユニット(加熱手段)2と、貯湯タンク20を有する貯湯ユニット3と、リモコン5(図2参照)と、制御部4とを備えている。なお、以下の説明において、カランAとシャワーBと風呂Cとを総称して「給湯端末」という。
【0054】
[ヒートポンプユニット]
ヒートポンプユニット2は、貯湯タンク20内の温水を加熱するためのものである。ヒートポンプユニット2は、冷媒回路10を有しており、この冷媒回路10は、圧縮機11と、水熱交換器12と、電動膨張弁13と、空気熱交換器14と、これらを環状に接続する冷媒配管15とを備えている。また、冷媒回路10は、水熱交換器12から出る高温高圧の冷媒と、空気熱交換器14から出る冷温低圧の冷媒との間で熱交換を行うためのガス熱交換器17を備えている。
【0055】
[貯湯ユニット]
貯湯ユニット3は、貯湯タンク20と、沸上循環回路30と、給湯・追焚回路40とを備えている。
【0056】
(貯湯タンク)
貯湯タンク20の上部には、上部流入部20a、上部流出部(第1流出部)20b、上部流出部(第3流出部)20cが設けられており、貯湯タンク20の中間部には、中間流出部(第2流出部)20dが設けられており、貯湯タンク20の下部には、下部流出部20e、下部流入部20f、20g、20hが設けられている。
【0057】
貯湯タンク20の上部流入部20a、下部流出部20e、下部流入部20fは、沸上循環回路30と接続されており、貯湯タンク20の下部流出部20eから取り出された温水が、ヒートポンプユニット2により加熱された後、貯湯タンク20の上部流入部20a又は下部流入部20fに戻されるようになっている。また、貯湯タンク20の上部流出部20b、20c、中間流出部20d、下部流入部20g、20hは、給湯・追焚回路40と接続されている。給湯端末への給湯又は風呂Cの追い焚きを行う場合、貯湯タンク20の上部流出部20b又は上部流出部20cから高温の温水が流出すると共に、下部流入部20g又は下部流入部20hから貯湯タンク20内に低温の水が流入するようになっている。そのため、ヒートポンプユニット2により貯湯タンク20内の温水がすべて加熱されて高温となっている場合を除けば、貯湯タンク20内の温水の温度は、上部が高温、下部が低温、中間部がその中間温度となっている。
【0058】
貯湯タンク20の外側面には、6つのタンクサーミスタ21a〜21fが、上下方向に並んで取り付けられている。タンクサーミスタ21a〜21fは、貯湯タンク20内の温水の温度を検知するためのものである。なお、タンクサーミスタ21dは、貯湯タンク20の後述する中間流出配管42が接続されている位置と同じ高さに取り付けられている。また、タンクサーミスタ21a〜21fにより検知された温度は、貯湯タンク20内に高温の温水がどれだけ残っているかを検知(残湯量検知)するために用いられる。
【0059】
(沸上循環回路)
沸上循環回路30は、貯湯タンク20内の下部の温水を取り出して、ヒートポンプユニット2の水熱交換器12において加熱してから、貯湯タンク20内の上部に戻すための回路である。沸上循環回路30は、配管31〜35と、沸上三方弁36と、排水用三方弁38とを備えている。
【0060】
配管31は、貯湯タンク20の下部流出部20eと、排水用三方弁38とを接続する配管である。排水用三方弁38には、配管31に加えて、水熱交換器12が設けられた後述する配管32と、排水口D1に向かう配管35とが接続されている。排水用三方弁38は、通常時は貯湯タンク20の下部流出部20eから流出した温水(水の場合を含む)を、ヒートポンプユニット2に向けて流す状態に切り換えられており、貯湯タンク20と給湯・追焚回路40内の配管内の水抜き作業を行うときには、貯湯タンク20の下部流出部20eから流出した水を、排水口D1に流す状態に切り換えられる。
【0061】
配管32は、排水用三方弁38と沸上三方弁36とを上記した水熱交換器12を介して接続する配管である。配管32の途中には、沸上ポンプ37が配置されている。沸上ポンプ37は、貯湯タンク20内の温水(水の場合を含む)を、下部流出部20e、配管31、及び排水用三方弁38を介して配管32に引き込むためのものである。また、配管32の水熱交換器12よりも上流側の位置に、入水サーミスタ18が配置されており、配管32の水熱交換器12よりも下流側の位置に、出湯サーミスタ19が配置されている。
【0062】
配管33は、沸上三方弁36と貯湯タンク20の上部流入部20aとを接続する配管である。配管34は、沸上三方弁36と貯湯タンク20の下部流入部20fとを接続する配管である。る。沸上三方弁36は、入水サーミスタ18により検知された温度に応じて、制御部4によって出口側が配管33と配管34のいずれかに切り換えられる。
【0063】
(給湯・追焚回路)
給湯・追焚回路40は、貯湯タンク20内の温水と給水源Sから供給された水とを混合して給湯端末(カランA、シャワーB、風呂C)に供給すると共に、貯湯タンク20内の温水を熱源として風呂Cの追い焚きを行うための回路である。また、給湯・追焚回路40は、貯湯タンク20内の温水を給湯端末に供給する際、同時に、貯湯タンク20内への給水を行うように構成されている。
【0064】
給湯・追焚回路40は、給水配管41と、中間流出配管42と、接続配管43と、上部流出配管44と、給湯配管45と、熱交循環配管46と、接続配管47と、湯はり配管48と、風呂循環配管49と、第1混合弁51と、第2混合弁52と、第3混合弁53とを備えている。
【0065】
給水配管41は、給水源Sと、第1混合弁51及び第3混合弁53とを接続する配管である。給水配管41の第1混合弁51の近傍部には、逆止弁65が配置されている。逆止弁65は、給水源から第2混合弁52に向かう方向にだけ水が流れるように構成されている。
【0066】
また、給水配管41の分岐点よりも給水源S側には、給水分岐管41aが接続されている。この給水分岐管41aは、給水配管41内の水を、貯湯タンク20の下部流入部20gに供給するための配管である。また、給水分岐管41aには、水温サーミスタ63と、逆止弁64とが配置されている。水温サーミスタ63は、給水源Sから供給される水の温度を検知するためのものである。
【0067】
また、給水配管41の給水分岐管41aが接続された位置よりも給水源S側には、逆止弁61と、減圧弁62とが給水源Sに近い順に並んで配置されている。また、給水配管41の逆止弁61と減圧弁62との間の位置には、水抜き栓66が設けられた分岐管41bが接続されている。水抜き栓66は、通常時は閉じられており、貯湯タンク20や配管内の水抜きを行うときに開放される。分岐管41bは、水抜き時に、配管内の水を排水口D2に排出するためのものである。
【0068】
中間流出配管42は、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出した温水を、第1混合弁51に供給するための配管である。第1混合弁51は、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出する温水と、給水源Sから供給される水とを混合するためのものである。
【0069】
接続配管43は、第1混合弁51で混合された温水を、第2混合弁52に供給するための配管である。接続配管43の途中には、第1混合弁51によって混合された温水の温度を検知するための中間混合サーミスタ71が配置されている。また、接続配管43の第2混合弁52の近傍部には、逆止弁72が配置されている。
【0070】
上部流出配管44は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出した温水を、第2混合弁52に供給するための配管である。上部流出配管44の第2混合弁52の近傍部には、逆止弁73が配置されている。第2混合弁52は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出する温水と、第1混合弁51で混合された温水とを混合するためのものである。
【0071】
給湯配管45は、第2混合弁52で混合された温水を、カラン(第1給湯端末)Aとシャワー(第1給湯端末)Bに供給するための配管である。給湯配管45の途中には、給湯流量センサ74と、給湯サーミスタ75とが配置されている。給湯流量センサ74は、給湯配管45を流れる温水の単位時間当たりの流量を検知するためのものである。給湯サーミスタ75は、第2混合弁52により混合されてカランA及びシャワーBに供給される温水の温度を検知するためのものである。
【0072】
熱交循環配管46は、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出した温水を、貯湯タンク20の下部流出部20eに供給するための配管である。熱交循環配管46の途中には、追焚熱交換器81と、熱交循環ポンプ82とが配置されている。熱交循環ポンプ82は、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46に高温の温水を引き込むためのものである。追焚熱交換器81は、熱交循環配管46を流れる高温の温水と、後述する風呂循環配管49を流れる水とを熱交換させるためのものである。
【0073】
また、熱交循環配管46の追焚熱交換器81よりも上部流出部20c側の位置には、第3混合弁53に接続された接続配管47が接続されている。第3混合弁53は、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出する温水と、給水源Sから供給される水とを混合するためのものである。
【0074】
熱交循環配管46の接続配管47が接続された箇所よりも上部流出部20c側の位置には、逆止弁83と、逆止弁84とを並列に接続した並列回路が配置されている。また、熱交循環配管46には、この並列回路を迂回するようにバイパス配管85が接続されている。また、この並列回路の接続配管47側には、逃がし弁86が接続されている。逃がし弁86は、通常時に貯湯タンク20内及び配管内のエアを外部に排出する役割を有する。また、逃がし弁86は、貯湯タンク20内及び配管内の水抜き作業を行うときに、配管内にエアを供給する役割も有する。
【0075】
風呂循環配管49は、その両端が風呂(第2給湯端末)Cに接続されており、その途中には、上述した追焚熱交換器81と、風呂循環ポンプ96と、風呂サーミスタ97と、水位センサ98とが配置されている。風呂循環ポンプ96の作動時の風呂循環配管49内の温水の流れ方向に関して、風呂サーミスタ97及び水位センサ98は、追焚熱交換器81の上流側に配置されている。水位センサ98は、風呂Cの水位を検知するためのものである。
【0076】
湯はり配管48は、第3混合弁53と、風呂循環配管49の途中部(詳細には、追焚熱交換器81の下流側部分)とを接続する配管である。湯はり配管48の途中には、湯はり電磁弁91と、逆止弁92と、湯はり流量センサ93と、逆止弁94と、湯はりサーミスタ95とが配置されている。湯はりサーミスタ95は、第3混合弁53によって混合されて風呂Cに供給される温水の温度を検知するためのものである。湯はり流量センサ93は、風呂Cに供給される温水の単位時間当たりの流量を検知するためのものである。湯はり電磁弁91は、風呂Cの湯はりを行う場合に開弁状態に切り換えられる。
【0077】
[リモコン]
リモコン5には、操作部(図示省略)と表示部(図示省略)とが設けられている。リモコン5の操作部は、カランA及びシャワーBにおける給湯温度をユーザーが設定するための給湯温度設定ボタンと、風呂Cの湯はりと追い焚きの温度を設定するための風呂温度設定ボタンと、風呂Cの湯はりを開始するための湯はりボタンと、風呂Cの水の追い焚きを開始するための追焚ボタンと、各種設定変更を行うためのメニューボタン等を有している。リモコン5の表示部には、給湯設定温度や、風呂設定温度や、貯湯タンク20の残湯量などが表示される。
【0078】
給湯温度設定ボタンによって設定された給湯温度を、給湯設定温度とする。給湯温度設定ボタンにより設定可能な給湯設定温度には上限と下限(例えば37℃)が設けられている。また、風呂温度設定ボタンにより設定された温度を、風呂設定温度とする。
【0079】
[制御部]
制御部4は、マイコンやメモリ等で構成されている。図2に示すように、制御部4は、リモコン5、サーミスタ18、19、21a〜21f、63、71、75、97、95、流量センサ74、93、水位センサ98、ポンプ37、82、96、沸上三方弁36、混合弁51〜53、湯はり電磁弁91、圧縮機11等に有線又は無線により通信可能に接続されている。なお、図2では、制御部4に接続される上記構成部品の一部を省略して表示している。制御部4は、リモコン5やサーミスタや流量センサ等から送られる信号に基づいて、ポンプや混合弁等を制御する。制御部4は、給湯判断部4aと、第1混合弁51を制御する第1混合弁制御部4bと、第2混合弁52を制御する第2混合弁制御部4cと、中間混合判断部(判断手段)4dとを有している。なお、第1混合弁制御部4b及び第2混合弁制御部4cが、本発明の制御手段に相当する。
【0080】
(給湯判断部)
給湯判断部4aは、給湯流量センサ74により検知された流量F1に基づいて、カランA及びシャワーBの両方又は一方に給湯が行われているか否かを判断する。具体的には、給湯流量センサ74により検知された流量F1が、所定の最低流量Q1以上の場合には、給湯が行われていると判断し、流量F1が、最低流量Q1よりも低い場合には、給湯が行われていないと判断する。
【0081】
(中間混合判断部)
中間混合判断部4dは、給湯流量センサ74により検知されたカランA又はシャワーBに供給される流量F1と、湯はり流量センサ93により検知された風呂Cに供給される流量F2とに基づいて、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出した温水が、第1混合弁51を通過するのを許可するか否かを判断する。この判断は、カランA又はシャワーBへの給湯時にのみ行われる。以下の説明において、中間流出部20dから流出した温水が第1混合弁51を通過するのを許可すると判断することを、湯とりを行うと判断するといい、通過を許可しないと判断することを、湯とりを行わないと判断するという。
【0082】
具体的な判断方法は、図3のフローチャートに示すように、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断されているときに、即ち、流量F1≧最低流量Q1のときに(ステップS10:Yes)、給湯流量センサ74により検知された流量F1が、所定流量Q2以下の場合には(ステップS11:Yes)、湯とりを行わないと判断する(ステップS14)。なお、所定流量Q2は、最低流量Q1よりも大きい。また、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が、負で且つその絶対値が所定の変位量ΔQ以上の場合には(ステップS12:Yes)、湯とりを行わないと判断する(ステップS14)。また、上記2つの条件を両方とも満たさない場合には(ステップS11:No、ステップS12:No)、湯とりを行うと判断する(ステップS13)。なお、変位量ΔQは、湯はり運転時の風呂Cへの単位時間当たりの供給流量よりも小さい値に設定されている。また、流量Q2及び変位量ΔQは、一定であってもよいが、リモコン5の操作によって変更できるようになっていてもよい。
【0083】
(第2混合弁制御部)
第2混合弁制御部4cは、カランA又はシャワーBへの給湯時に、第2混合弁52により混合された温水の温度が、給湯設定温度となるように第2混合弁52の開度を制御する。具体的には、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3とタンクサーミスタ21aにより検知された温度T4とに基づくフィードフォワード制御と、給湯サーミスタ75により検知された温度T5に基づくフィードバック制御とによって、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度となるように、第2混合弁52の開度を制御する。
【0084】
第2混合弁制御部4cは、カランA又はシャワーBへの給湯が開始されて、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断された場合に、第2混合弁52の制御を開始する。
【0085】
また、第2混合弁制御部4cは、カランA及びシャワーBへの給湯が終了して、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断された場合、第2混合弁52の制御を停止し、給湯終了から、所定時間経過後に、第2混合弁52の開度を初期化して、接続配管43側全開状態とし、次の給湯時まで維持する。これにより、次の給湯を開始したときに、カランA又はシャワーBから高温の温水が出湯するのを防止している。
【0086】
また、第2混合弁制御部4cは、給湯サーミスタ75により検知された温度T5が、給湯設定温度近くの給湯設定温度範囲(例えば給湯設定温度±0.5℃)内の温度である場合(即ち、給湯設定温度との温度差が所定の範囲内である場合)に、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度になったものとみなす。
【0087】
(第1混合弁制御部)
第1混合弁制御部4bは、カランA又はシャワーBへの給湯時に、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度となるように第1混合弁51の開度を制御する。以下、この制御を目標温度制御という。但し、給湯中に、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断された場合には、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51を給水源S側全開状態(給水配管41側全開状態)として、この給湯が継続している間は、この開度状態を維持する。従って、給湯中に湯とりを行わないと判断された後で、その給湯中に、湯とりを行うと判断されても、第1混合弁制御部4bは、給水源S側全開状態を維持する。
【0088】
第1混合弁制御部4bは、上記目標温度制御を、給湯が開始されて、第2混合弁52の制御が開始された後、第2混合弁制御部4cにおいて、第2混合弁52により混合された温水が給湯設定となったとみなされてから開始する。
【0089】
また、第1混合弁制御部4bは、カランA及びシャワーBへの給湯が終了して、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断された場合、第1混合弁51の開度を給湯終了時の開度で停止させて、次の給湯時まで維持する。従って、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断された場合には、第1混合弁51は、給水源S側全開状態が次の給湯時まで維持される。
【0090】
また、第1混合弁制御部4bは、上記目標温度制御を行う場合、水温サーミスタ63により検知された温度T1とタンクサーミスタ21dにより検知された温度T2とに基づくフィードフォワード制御と、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3に基づくフィードバック制御とによって、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度となるように、第1混合弁51の開度を制御する。
【0091】
また、第1混合弁制御部4bは、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3が、目標温度近くの目標温度範囲(例えば目標温度±2℃)内の温度である場合(即ち、目標温度との温度差が所定の範囲内である場合)に、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度になったものとみなす。
【0092】
目標温度は、給湯設定温度によらず一定の温度(例えば31℃)となっている。上述したように、リモコン5によって設定可能な給湯設定温度には下限(例えば37℃)が設けられており、目標温度は、設定可能な給湯設定温度の最低温度よりも低い温度に予め設定されている。従って、カランA又はシャワーBへの給湯には、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出する高温の温水が必ず使用される。
【0093】
<給湯装置の動作>
次に、給湯装置1の動作について説明する。
給湯装置1の動作としては、貯湯タンク20に貯湯される温水を加熱する沸上運転と、カランA又はシャワーBへの給湯を行う給湯運転と、風呂Cへの給湯(湯はり)を行う湯はり運転と、風呂Cの追い焚きを行う追焚運転とがある。これらは同時に行うことも可能である。
【0094】
[沸上運転]
沸上運転は、電気料金の安価な深夜時間帯に自動的に開始される。また、昼間時間帯であっても、貯湯タンク20内の残湯量が所定値未満となった場合には、沸上運転が開始される。時刻又は残湯量による沸上運転開始条件が成立すると、制御部4は、圧縮機11と沸上ポンプ37とを駆動させる。すると、貯湯タンク20内の温水が、下部流出部20eから配管31内に流出して、排水用三方弁38を通って配管32内に流れ込む。この温水は、水熱交換器12において冷媒と熱交換されて加熱される。水熱交換器12により加熱された温水の温度が十分に高温の場合(入水サーミスタ18により検知された温度が所定温度以上の場合)には、制御部4により沸上三方弁36の出口側が配管33に切り換えられて、この温水は上部流入部20aから貯湯タンク20内に流入する。この動作を継続して行うことにより、貯湯タンク20内に高温の温水が貯湯される。一方、圧縮機11の駆動を開始した直後など、水熱交換器12により熱交換された温水の温度が十分に高温でない場合(入水サーミスタ18により検知された温度が所定温度未満の場合)には、沸上三方弁36の出口側が配管34に切り換えられて、この温水は下部流入部20fから貯湯タンク20内に流入する。
【0095】
[追焚運転]
追焚運転は、リモコン5の追焚ボタンが押下されることにより開始される。リモコン5からの追焚開始信号を受信した制御部4は、熱交循環ポンプ82と風呂循環ポンプ96とを駆動する。すると、風呂Cから風呂循環配管49に流出した温水と、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46に流出した高温の温水とが、追焚熱交換器81で熱交換される。風呂循環配管49を流れる温水は、熱交換により加熱されて風呂Cに流入する。熱交循環配管46を流れる温水は、熱交換により温度が低下した後、下部流入部20hから貯湯タンク20内に流入する。その後、風呂サーミスタ97で検知される温度が、リモコン5で設定された風呂設定温度となったときに、追焚運転は終了する。
【0096】
[湯はり運転]
湯はり運転は、リモコン5の湯はりボタンが押下されることにより開始される。リモコン5からの湯はり開始信号を受けた制御部4は、湯はり電磁弁91を開弁状態に切り換える。すると、給水源Sの給水圧力により下部流入部20gから貯湯タンク20内に水が流入すると同時に、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46及び接続配管47に高温の温水が流出する。この温水は、第3混合弁53において、給水源Sから供給された水と混合された後、湯はり配管48及び風呂循環配管49を経由して、風呂Cに供給される。このとき、第3混合弁53により混合された温水が、リモコン5により設定された風呂設定温度となるように、第3混合弁53の開度は、制御部4によって制御される。その後、湯はり流量センサ93の検知結果を基にして算出される風呂Cに供給された全水量が所定値に達したときに、湯はり運転は終了する。
【0097】
[給湯運転]
給湯運転は、カランA及びシャワーBのレバー等を操作することによって開始又は終了する。以下、給湯運転時の水の流れについて説明する。
【0098】
カランA及びシャワーBのレバー等を流水状態に切り換えると、給水源Sの給水圧力により下部流入部20gから貯湯タンク20内に水が流入すると共に、貯湯タンク20の上部流出部20b及び中間流出部20dから温水が流出する。中間流出部20dから中間流出配管42に流出した温水は、第1混合弁51において、給水源Sから供給された水と混合された後、第2混合弁52において、貯湯タンク20の上部流出部20bから上部流出配管44に流出した高温の温水と混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。
【0099】
なお、第1混合弁51が給水源S側全開状態となっている場合には、給水源Sから供給された水と、貯湯タンク20の上部から流出した高温の温水とが、第2混合弁52において混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。また、第1混合弁51が中間流出配管42側全開状態となっている場合には、貯湯タンク20の中間部から中間流出配管42に流出した温水と、貯湯タンク20の上部から流出した高温の温水とが、第2混合弁52において混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。
【0100】
次に、給湯運転時の制御部4の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
カランA又はシャワーBのレバー等を流水状態に切り換えることにより給湯が開始されて、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断されると、第2混合弁制御部4cは、第2混合弁52の制御を開始する(ステップS1)。具体的には、第2混合弁52で混合された温水の温度が、リモコン5により設定された給湯設定温度となるように、第2混合弁52の混合比率が調整される。
【0102】
第2混合弁制御部4cによって第2混合弁52の開度が制御されることにより、給湯サーミスタ75により検知される温度T5が給湯設定温度に近づいていく。そして、給湯サーミスタ75により検知された温度T5が、給湯設定温度範囲内の温度になり(ステップS2:Yes)、第2混合弁制御部4cにおいて、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度になったとみなされると、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51の目標温度制御を開始する(ステップS3)。具体的には、第1混合弁51で混合された温水の温度が目標温度となるように、第1混合弁51の混合比率が調整される。
【0103】
第1混合弁51の混合比率が調整されて、第1混合弁51により混合された温水の温度である温度T2が変化すると、それに応じて、第2混合弁52の混合比率も調整される。温度T2が目標温度範囲内の温度になると、第1混合弁51の開度が維持されて、温度T2が安定する。その後、この温度T2に基づいて調整される第2混合弁52の開度も安定し、第2混合弁52により混合された温水の温度である温度T5も安定する。
【0104】
カランA及びシャワーBのレバー等を止水状態に切り換えて給湯を終了し、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断されると、第1混合弁制御部4b及び第2混合弁制御部4cは、第1混合弁51及び第2混合弁52の制御をそれぞれ停止する。第1混合弁51は、給湯終了時の開度が、次の給湯時まで維持される。また、第2混合弁52は、給湯終了から所定時間が経過してから、初期化(接続配管43側全開状態に切換)されて、その開度が次の給湯時まで維持される。
【0105】
なお、カランA又はシャワーBへの給湯開始時又は給湯中に、レバー等によってカランA又はシャワーBへ給湯流量がかなり小さくなるように設定されていることにより、給湯流量センサ74により検知された流量F1が所定流量Q2以下となる場合がある。また、カランAとシャワーBの両方で給湯を行っている状態から一方の給湯を終了することにより、給湯流量センサ74により検知された流量F1が所定流量Q2以下となる場合がある。このような場合、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁51は、第1混合弁制御部4bによって、給水源S側全開状態に切り換えられて、この開度状態が給湯中維持される。
【0106】
また、給湯中に湯はり運転が終了又は停止した場合、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が負で且つその絶対値が変位量ΔQ以上となる。また、給湯と同時に湯はり運転を行っている場合であって、給湯中に、リモコン5を操作すること等によって風呂Cへの単位時間当たりの給湯流量を低下させたことにより、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が負で且つその絶対値が変位量ΔQ以上となる場合がある。
このような場合、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁51は、第1混合弁制御部4bによって、給水源S側全開状態に切り換えられて、この開度状態が給湯中維持される。
【0107】
<第1実施形態の給湯装置の特徴>
本実施形態の給湯装置1には、以下のような特徴がある。
【0108】
カランA及びシャワーBへの給湯流量F1が減少した場合、給水源Sから逆止弁65及び第1混合弁51に向かって流れる水の流量もかなり小さくなる。逆止弁65は、流入する水の圧力に応じて開弁するように構成されているため、流入する水の流量が極端に少なくなると、逆止弁65を完全に開弁させることができず、逆止弁65を通過する水の流量がさらに少なくなる場合がある。この場合、中間流出部20dから流出された温水と給水源Sから供給された水とを第1混合弁51において混合していると、第1混合弁51の開度が一定であっても、給水源Sから供給される水の割合が減少するように混合比率が変動して、第1混合弁51により混合された温水の温度T3が上昇してしまう。
【0109】
第1実施形態の給湯装置1では、カランA又はシャワーBへの温水供給流量である流量F1が、所定流量Q2以下に減少した場合、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、逆止弁65を完全に開弁させることができないほど流量F1が減少しても、第1混合弁51を通過した温水の温度T3が上昇するのを抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の上昇を抑制できる。
【0110】
また、カランA及びシャワーBへの給湯流量F1がかなり少ない場合、第1混合弁51の目標温度制御を精度良く行うことが困難であるため、第1混合弁51の目標温度制御を行うと、第1混合弁51により混合された温水の温度が変動して、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度が変動する。
【0111】
第1実施形態の給湯装置1では、流量F1が、所定流量Q2以下の場合、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁51の目標温度制御を精度良く行うことが困難になるほど流量F1が少なくても、第1混合弁51を通過した温水の温度T3の変動を抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の変動を抑制できる。
【0112】
また、カランA又はシャワーBへの給湯中に湯はり運転が終了又は停止して、風呂Cへの給湯流量F2が減少した場合、上部流出部20cから流出する温水の流量が減少することにより、中間流出部20d及び上部流出部20bから流出する温水の流量が増加する。この場合、中間流出部20dから流出された温水と給水源Sから供給された水とを第1混合弁51において混合していると、第1混合弁51の開度が一定であっても、中間流出部20dから流出する温水の割合が増加するように混合比率が変動して、第1混合弁51により混合された温水の温度T3が上昇してしまう。
【0113】
第1実施形態の給湯装置1では、カランA又はシャワーBへの給湯途中に、流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が、負で且つその絶対値が所定の変位量ΔQ以上の場合に、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁51を通過した温水の温度T3が上昇するのを抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の上昇を抑制できる。
【0114】
また、上述したように、カランA又はシャワーBへの温水供給時に、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁制御部4bによって第1混合弁51が給水源S側全開状態に切り換えられた後、その温水供給中に、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行うと判断されても、その温水供給が継続されている間は、第1混合弁51の開度を維持する。
このように、給湯中に中間混合判断部4dによる判断が変化しても、第1混合弁51の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁51の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0115】
次に、本発明に係る給湯装置の第2の実施の形態について説明する。上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0116】
図5に示すように、第2実施形態の給湯装置1001は、以下の点において、上記第1実施形態の給湯装置1と相違している。給湯装置1001は、第1混合弁51により混合された温水と、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出した温水とを第3混合弁153で混合して、風呂Cに供給するように構成されている。この給湯装置1001は、上記第1実施形態で述べた給湯装置1の効果と同様の効果を奏する。
【0117】
次に、本発明に係る給湯装置の第3の実施の形態について説明する。上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0118】
図6に示すように、第3実施形態の給湯装置2001は、以下の点において、上記第1実施形態の給湯装置1と相違している。給湯装置2001は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出した温水と中間流出部20dから流出した温水とを第1混合弁251で混合した後、この混合された温水と給水源Sから供給された水とを第2混合弁252において混合してカランA又はシャワーBに供給するように構成されている。また、給湯装置2001の中間混合判断部(判断手段)は、給湯流量センサ74により検知されるカランA及びシャワーBに供給される温水の流量F1が所定流量以下の場合にのみ、中間流出部20dから流出する温水が第1混合弁251を通過するのを許可しない(湯とりを行わない)と判断する。
【0119】
第3実施形態の給湯装置2001では、カランA及びシャワーBに供給される温水の流量F1が所定流量以下の場合に、第1混合弁251が給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁251の目標温度制御を精度良く行うことが困難になるほど流量F1が少なくても、第1混合弁251を通過した温水の温度の変動を抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度の変動を抑制できる。
【0120】
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記第1〜第3実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記第1〜第3実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、中間混合判断部4dは、給湯流量センサ74により検知される流量F1に基づいて湯とりを行うか否か判断すると共に、湯はり流量センサ93により検知される流量F2とに基づいて湯とりを行うか否か判断しているが、これに限定されるものではなく、流量F1のみに基づいて、湯とりを行うか否か判断するようになっていてもよい。逆に、湯はり流量センサ93により検知される流量F2のみに基づいて、湯とりを行うか否か判断するようになっていてもよい。
【0122】
また、上記第1〜第3実施形態では、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行わないと判断された場合、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51を給水源S側全開状態に切り換えているが、これに限定されるものではない。例えば、第1混合弁51の開度を、中間流出部20dから流出した温水の第1混合弁51の通過量が減少するように切り換えるようになっていてもよい。この場合、上記第1〜第3実施形態のように、第1混合弁51を給水源S側全開状態に切り換える場合に比べて、カランA及びシャワーBに供給される温水の温度が変動するのをより確実に抑制することができる。この点においては、上記第1〜第3実施形態の方が好ましい。
【0123】
ところで、上記第1実施形態の給湯装置では、貯湯タンク20の上部に貯留された温水と、中間部に貯留された温水との比重差による差圧や、貯湯タンク20の上部に貯留された温水と、下部に貯留された温水との温度差による比重差によって生じる差圧に起因して、上述した給湯・追焚回路40内の配管の内部において貯湯タンク20の上部流出部20b、20cから中間流出部20dあるいは下部流入部20gに向かう方向に対流が生じることがある。そこで、以下では、この対流を防止するために設けられた各逆止弁の機能について、図7を参照しつつ説明する。
【0124】
図7(a)は、図1に示した第1実施形態の給湯装置1の模式図である。図7(b)〜図7(f)は、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される回路を示した図である。
【0125】
[第1回路〜第5回路]
図7(a)に示す貯湯ユニット3の給湯・追焚回路40のうち、図7(b)〜図7(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。なお、図中の分岐点B1は、貯湯タンク20の下部流入部20gと給水源Sとを接続する接続点を、分岐点B2は、分岐点B1と第1混合弁51とを接続する接続点を、分岐点B3は、分岐点B2と貯湯タンク20の上部流出部20c及び逃がし弁86とを接続する接続点を示している。
【0126】
[第1回路]
図7(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上部流出部20bから第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁73が配置されている。この逆止弁73は、スプリング式の逆止弁であって、差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されている。ここで、差圧Pは、上部流出部20bから中間流出部20dへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように設定されている。従って、第1回路では、逆止弁73が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0127】
なお、第1混合弁51と第2混合弁52との間に配置された逆止弁72は、第1混合弁51から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れるものであって、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dや下部流入部20gへと至る対流を防止するためにも用いられる。
【0128】
なお、「対流に起因する差圧」とは、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される回路において、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所に対応した部分に貯留された温水の温度差による比重差によって発生する圧力差を意味する。そして、この「対流に起因する差圧」は、高さの差が大きいほど大きくなると共に、温水の比重差が大きくなるほど大きくなる。上述したように、逆止弁73は、差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されており、この差圧Pは、上部流出部20bから中間流出部20dへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように設定されている。したがって、差圧Pは、上部流出部20bと中間流出部20dとの高さの差は一定であるから、上部流出部の近くに貯留される温水と中間流出部の近くに貯留される温水との比重差が最大となったときの差圧より大きくなるように設定されている。
【0129】
また、貯湯タンク20の上面に設けられた上部流出部と下面に設けられた下部流入部との間に回路が形成された場合(高さの差が最大)であって、上部流出部の近くに貯留される温水と下部流入部の近くに貯留される水との比重差が最大となった場合に、「対流に起因する差圧」は最も大きくなると考えられる。従って、上記第1実施形態の給湯装置では、対流を防止する逆止弁の差圧Pは、「対流に起因する差圧」が最も大きくなった場合でも、その差圧によって開弁しないように設定されている。上記第1実施形態では、貯湯タンク20内の温水の比重差(密度差)は0〜90℃の範囲で最大3.6%であるので、貯湯タンク20の高さを2m程度として、逆止弁の差圧Pは、0.72kPaに設定されている。
【0130】
[第2回路]
図7(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上部流出部20cから分岐点B3を経由して湯はり混合弁53に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁83が配置されている。この逆止弁83は、上部流出部20cから中間流出部20dや下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように構成されている。従って、第2回路では、逆止弁83が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。なお、逆止弁83と並列に接続された逆止弁84は、分岐点B3から上部流出部20cに向かう方向にだけ温水が流れるものであって、後述の水抜き作業に使用されると共に、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dや下部流入部20gへ至る対流を防止するためにも用いられる。
【0131】
[第3回路]
図7(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0132】
[第4回路]
図7(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0133】
[第5回路]
図7(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、第1混合弁51と分岐点B2との間には、給水源Sから分岐点B2を経由して第1混合弁51に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁65が配置されている。これにより、第1混合弁51から分岐点B2に向かう方向には温水が流れない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0134】
[水抜き作業]
次に、貯湯ユニット3のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。貯湯ユニット3において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0135】
より具体的には、例えば、排水経路f1(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f2(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁84、貯湯タンク20の上部流出部20c、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)や、排水経路f3(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f1〜f3には、排水口D1または排水口D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1または排水口D2に向かって水が流れることができる。
【0136】
以上説明したように、給湯装置1では、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0137】
<変形例1>
図8(a)は、第1実施形態の変形例1の給湯装置101の模式図である。この変形例1では、上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0138】
図8(a)に示すように、変形例1の給湯装置101は、以下の点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例1の給湯装置101は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間に、逆止弁84が配置されていない点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0139】
図8(b)〜図8(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0140】
[第1回路1〜第5回路5]
図8(a)に示す給湯装置101の給湯・追焚回路のうち、図8(b)〜図8(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路1〜第5回路5とする。
【0141】
[第1回路1]
図8(b)に示す第1回路1は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路1において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、第1混合弁51から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から第1混合弁51に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路1では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0142】
[第2回路2]
図8(c)に示す第2回路2は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路2において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路2では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0143】
[第3回路3]
図8(d)に示す第3回路3は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路3において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路3では、貯湯タンク20の上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0144】
[第4回路4]
図8(e)に示す第4回路4は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路4において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路4では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0145】
[第5回路5]
図8(f)に示す第5回路5は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路5において、第1混合弁51と分岐点B3との間には、上述した逆止弁65が配置されている。従って、第5回路5では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0146】
[水抜き作業]
次に、給湯装置101のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置101において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0147】
より具体的には、例えば、排水経路f11(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f12(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、貯湯タンク20の中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f11、f12には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0148】
以上説明したように、給湯装置101では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路1〜第5回路5において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0149】
<変形例2>
図9(a)は、上記第1実施形態の変形例2の給湯装置201の模式図である。変形例2では、上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0150】
図9(a)に示すように、変形例2の給湯装置201は、以下の点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例2の給湯装置201は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間に逆止弁84が配置されていない点、分岐点B3と湯はり混合弁53との間に逆止弁83が配置されている点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点で、貯湯ユニット3と相違している。
【0151】
図9(b)〜図9(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0152】
[第1回路〜第5回路]
図9(a)に示す給湯装置201の給湯・追焚回路のうち、図9(b)〜図9(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0153】
[第1回路]
図9(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から第1混合弁51に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0154】
[第1回路]
図9(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0155】
[第3回路]
図9(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B2との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0156】
[第4回路]
図9(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0157】
[第5回路]
図9(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、第1混合弁51と分岐点B2との間には、上述した逆止弁65が配置されている。これにより、第1混合弁51から分岐点B3に向かう方向には温水が流れない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0158】
[水抜き作業]
次に、給湯装置201のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置201において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。なお、逆止弁83は、上述のとおり、差圧Pで開弁しないように設定されているが、この差圧Pは、逃がし弁86から逆止弁83までの配管内部の水圧よりも小さく設定されている。従って、この水圧によって逆止弁83が開弁され、貯湯タンク20や配管の内部からの水抜きが可能となる。
【0159】
より具体的には、例えば、排水経路f21(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f22(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、貯湯タンク20の中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)や、排水経路f23(逃がし弁86から、分岐点B3、貯湯タンク20の上部流出部20c、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f21〜f23には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0160】
以上説明したように、給湯装置201では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0161】
<変形例3>
図10(a)は、上記第1実施形態の変形例3の給湯装置301の模式図である。変形例3では、上記実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0162】
図10(a)に示すように、変形例3の給湯装置301は、以下の点で上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例3の給湯装置301は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B2との間に、逆止弁84が配置されていない点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点、分岐点B2と第1混合弁51の間に逆止弁65が配置されていない点、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間に逆止弁365が配置されている点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0163】
図10(b)〜図10(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0164】
[第1回路〜第5回路]
図10(a)に示す給湯装置301の給湯・追焚回路のうち、図10(b)〜図10(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0165】
[第1回路]
図10(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第1回路では、貯湯タンク20の第1上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0166】
[第2回路]
図10(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0167】
[第3回路]
図10(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0168】
[第4回路]
図10(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0169】
[第5回路]
図10(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間には、中間流出部20dから第1混合弁51に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁365が配置されている。この逆止弁365は、スプリング式の逆止弁であって、上述した差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されている。これにより、逆止弁365は、中間流出部20dから下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0170】
[水抜き作業]
次に、給湯装置301のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置301において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きを行う場合には、排水用三方弁38は、貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0171】
より具体的には、例えば、排水経路f31(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に至るまでの経路)や、排水経路f32(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、第1混合弁51、逆止弁72、第2混合弁52、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に至るまでの経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f31、f32には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0172】
以上説明したように、給湯装置301では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0173】
<変形例4>
図11(a)は、上記第1実施形態の変形例4の給湯装置401の模式図である。変更例4では、上記実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0174】
図11(a)に示すように、変形例4の給湯装置401は、以下の点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例4の給湯装置401は、風呂Cに温水を供給する装置を有していない点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。また、変形例4の給湯装置401は、逃がし弁86が、貯湯タンク20の上部流出部20bと逆止弁73とを接続する配管に接続されている点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0175】
図11(b)〜図11(d)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0176】
[第1回路〜第3回路]
図11(a)に示す給湯装置401の給湯・追焚回路のうち、図11(b)〜図11(d)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第3回路とする。
【0177】
[第1回路]
図11(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0178】
[第2回路]
図11(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0179】
[第3回路]
図11(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、第1混合弁51と分岐点B3との間には、上述した逆止弁65が配置されている。従って、第3回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0180】
[水抜き作業]
次に、給湯装置401のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置401において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0181】
より具体的には、例えば、排水経路f51(逃がし弁86から、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の排水経路f51には、排水口D1から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1に向かって水が流れることができる。
【0182】
以上説明したように、給湯装置401では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第3回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1から排水することができる。
【0183】
図12(a)は、図5に示した第2実施形態の給湯装置1001の模式図である。図12(b)〜図12(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0184】
[第1回路〜第5回路]
図12(a)に示す給湯装置1001の給湯・追焚回路のうち、図12(b)〜図12(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0185】
[第1回路]
図12(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、分岐点B102及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と分岐点B102との間には、分岐点B102から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から分岐点B102に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0186】
[第2回路2]
図12(c)に示す第2回路2は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路2において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B102との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路2では、逆止弁83が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0187】
[第3回路]
図12(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B102との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、逆止弁83が配置されることによって、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0188】
[第4回路]
図12(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、分岐点B102、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と分岐点B102との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0189】
[第5回路]
図12(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間には、上述した逆止弁365が配置されている。これにより、逆止弁365は、中間流出部20dから下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しない。従って、第5回路では、逆止弁365が配置されることによって、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0190】
[水抜き作業]
次に、給湯装置1001のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置1001において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0191】
より具体的には、例えば、排水経路f41(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、第1混合弁51、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に至るまでの経路)や、排水経路f42(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、逆止弁72、第2混合弁52、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に至るまでの経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f41、42には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0192】
以上説明したように、給湯装置1001では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の各配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0193】
なお、上記第1、第2実施形態及び第1実施形態の変形例1〜4では、全ての逆止弁の差圧Pが、貯湯タンク20の上面に設けられた上部流出部と下面に設けられた下部流入部との間に回路が形成された場合(高さの差が最大)であって、上部流出部の近くに貯留される温水と下部流入部の近くに貯留される水との比重差が最大となった場合のように、「対流に起因する差圧」が最も大きくなった場合でも、その差圧によって開弁しないように設定される例について述べたが、本発明はこれに限定されず、逆止弁の差圧は、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所間の高さや、異なる2ヵ所の近くにそれぞれ貯留される温水や水の比重差に応じて設定できる。
【0194】
また、上記第1、第2実施形態及び第1実施形態の変形例1〜4では、貯湯タンク20の上部に設けられた配管である、上部流出部20cから湯はり混合弁53に至る回路の配管、または、上部流出部20bから第2混合弁52に至る回路の配管に、逃がし弁86が接続されているが、逃がし弁86が、貯湯タンク20の上部に接続されていてもよいし、貯湯タンク20の上部の空間に連通した配管に接続されていてもよい。
【0195】
上述した第1実施形態の変形例4の給湯装置401では、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置される例について述べたが、この逆止弁73に代えて、第1混合弁51と第2混合弁52の間に上述した逆止弁72が配置されてもよい。これにより、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dまたは下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。また、変形例4の給湯装置401において、逆止弁72、73が併設されてもよい。
【0196】
上述した変形例4の給湯装置401では、分岐点B1と第1混合弁51との間に逆止弁65が配置される例について述べたが、この逆止弁65に代えて、中間流出部20dと第1混合弁51との間に上述した逆止弁365が配置されてもよい。これにより、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。また、変形例4の給湯装置401において、逆止弁65、365が併設されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明を利用すれば、給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑えることのできる給湯装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0198】
1 給湯装置
2 ヒートポンプユニット(加熱手段)
3 貯湯ユニット
4 制御部
20 貯湯タンク
20b 上部流出部(第1流出部)
20c 上部流出部(第3流出部)
20d 中間流出部(第2流出部)
51 第1混合弁
52 第2混合弁
53 第3混合弁
65 逆止弁
4a 給湯判断部
4b 第1混合弁制御部(制御手段)
4c 第2混合弁制御部(制御手段)
4d 中間混合判断部(判断手段)
A カラン(第1給湯端末)
B シャワー(第1給湯端末)
C 風呂(第2給湯端末)
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクの中間部から流出する温水を給湯に使用する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯装置として、貯湯タンクの上部から取り出した温水と給水源から供給された水とを混合して給湯端末に供給するものがある。このような給湯装置においては、通常は、貯湯タンク内の温水の温度は、上部が高温で、下部が低温で、中間部がその中間の温度となっている。
【0003】
また、この給湯装置では、熱効率を向上させるために、貯湯タンクの中間部から温水を取り出して、給湯に利用する給湯装置が提案されている。具体的には、貯湯タンクの中間部から取り出した温水と給水源から供給された水とを第1混合弁で混合した後、この混合された温水と貯湯タンクの上部から取り出した温水とを第2混合弁で混合して給湯端末に供給する給湯装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−226593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した給湯装置では、給湯端末に供給される温水の流量の変動によって、給湯端末に供給される温水の温度が変動するという問題がある。例えば、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置された給湯装置において、給湯端末に供給される温水の流量がかなり少なくなった場合、給水源から逆止弁に流入する水の流量もかなり少なくなるため、逆止弁を完全に開弁させることができず、逆止弁を通過する水の流量がさらに少なくなることがある。この場合、第1混合弁の開度が一定であっても、給水源から供給される水の割合が減少するように混合比率が変動して、第1混合弁により混合された温水の温度が上昇し、その結果、給湯端末に供給される温水の温度が上昇するという問題が生じる。
【0006】
また、上述した給湯装置は、貯湯タンクに、上述した上部流出部及び中間流出部以外に別の流出部(以下、第3流出部という)が設けられており、第2混合弁で混合された温水が供給される給湯端末(以下、第1給湯端末という)とは別の給湯端末(以下、第2給湯端末という)に、第3流出部から流出した温水が供給されるように構成されている場合がある。
この給湯装置では、第1給湯端末への給湯中に、第2給湯端末に供給される温水の流量が減少した場合、貯湯タンクから第3流出部を介して流出する流量が減少することにより、貯湯タンクから中間流出部及び上部流出部を介して流出する流量が増加することがある。そして、中間流出部から流出する流量が増加すると、第1混合弁の開度が一定であっても、第1混合弁において中間流出部から流出した温水の割合が増加し、第1混合弁により混合された温水の温度が上昇するという問題が生じる。
【0007】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑えることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0009】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量に応じて、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0010】
第2の発明に係る給湯装置は、第1の発明に係る給湯装置において、前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする。
【0011】
この給湯装置では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0012】
第3の発明に係る給湯装置は、第1又は第2の発明に係る給湯装置において、前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末とを備えることを特徴とする。
【0013】
この給湯装置では、貯湯タンク内の温水を第1給湯端末に加えて第2給湯端末に供給できると共に、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0014】
第4の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記第1流出部から流出した温水と前記第2流出部から流出した温水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と給水源から供給される水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0015】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0016】
第5の発明に係る給湯装置は、第1〜第4の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とする。
【0017】
この給湯装置では、判断手段が第2流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断した場合に、第1混合弁は、給水源側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0018】
第6の発明に係る給湯装置は、第1〜第5の何れかの発明に係る給湯装置において、前記判断手段は、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断し、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量よりも大きい場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断することを特徴とする。
【0019】
この給湯装置では、第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下の場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。また、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0020】
第7の発明に係る給湯装置は、第1〜第6の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする。
【0021】
この給湯装置では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0022】
第8の発明に係る給湯装置は、温水を加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末と、前記第2給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする。
【0023】
この給湯装置では、第2給湯端末への温水供給流量が減少すると、第3流出部から流出する温水の流量が減少するため、第2流出部から流出する流量が増加する。第2給湯端末への温水供給流量が減少したときに、第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0024】
第9の発明に係る給湯装置は、第8の発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする。
【0025】
この給湯装置では、第1混合弁が給水源側全開状態に切り換えられることにより、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0026】
第10の発明に係る給湯装置は、第8又は第9の発明に係る給湯装置において、前記判断手段は、前記第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断することを特徴とする。
【0027】
この給湯装置では、第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0028】
第11の発明に係る給湯装置は、第8〜第10の何れかの発明に係る給湯装置において、前記判断手段が、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断することを特徴とする。
【0029】
この給湯装置では、判断手段は、第2給湯端末への温水供給流量に基づいた判断に加えて、第1給湯端末への温水供給流量に基づいた判断を行う。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0030】
第12の発明に係る給湯装置は、第11の発明に係る給湯装置において、前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする。
【0031】
この給湯装置では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0032】
第13の発明に係る給湯装置は、第8〜12の何れかの発明に係る給湯装置において、前記制御手段は、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする。
【0033】
この給湯装置では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0034】
第14の発明に係る給湯装置は、第2及び第8〜12の何れかの発明に係る給湯装置において、前記第3流出部は、前記貯湯タンクの上部に設けられており、前記第3流出部から流出した温水と給水源から供給される水とを混合する第3混合弁を備え、前記第2給湯端末は、前記第3混合弁により混合された温水が供給され、前記制御手段は、前記第1混合弁及び前記第2混合弁の制御に加えて、前記第3混合弁の制御も行うことを特徴とする。
【0035】
この給湯装置では、貯湯タンクの上部に設けられた第3流出部から流出した温水と、給水源から供給される水とを第3混合弁において混合して第2給湯端末に供給しているため、第2給湯端末に供給する温水の温度を調整することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0037】
第1の発明では、第1給湯端末への温水供給流量に応じて、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0038】
第2の発明では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0039】
第3の発明では、貯湯タンク内の温水を第1給湯端末に加えて第2給湯端末に供給できると共に、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0040】
第4の発明では、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0041】
第5の発明では、判断手段が第2流出部から流出した温水の第1混合弁の通過を許可しないと判断した場合に、第1混合弁は、給水源側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0042】
第6の発明では、第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下の場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。また、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0043】
第7の発明では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0044】
第8の発明では、第2給湯端末への温水供給流量が減少すると、第3流出部から流出する温水の流量が減少するため、第2流出部から流出する流量が増加する。第2給湯端末への温水供給流量が減少したときに、第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。そのため、第1給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑制することができる。
【0045】
第9の発明では、第1混合弁が給水源側全開状態に切り換えられることにより、第1混合弁で混合された温水の温度の変動を確実に抑制することができる。
【0046】
第10の発明では、第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、第1混合弁は第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えられる。そのため、第2給湯端末への温水供給流量の減少に起因して、第1混合弁で混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0047】
第11の発明では、判断手段は、第2給湯端末への温水供給流量に基づいた判断に加えて、第1給湯端末への温水供給流量に基づいた判断を行う。第1混合弁よりも給水源側に逆止弁が配置されている場合、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を第2流出部から流出した温水の通過量を減少させるように切り換えることにより、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。また、第1給湯端末への温水供給流量が低流量のときに第1混合弁を上述したように切り換えることにより、第1混合弁の制御を精度良く行うことが困難になるほど第1給湯端末への温水供給流量が少なくても、第1混合弁により混合された温水の温度の変動を抑制することができる。
【0048】
第12の発明では、逆止弁を完全に開弁させることができないほど第1給湯端末への温水供給流量が減少しても、第1混合弁により混合された温水の温度が変動するのを抑制することができる。
【0049】
第13の発明では、給湯中に判断手段による判断が変化しても、第1混合弁の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0050】
第14の発明では、貯湯タンクの上部に設けられた第3流出部から流出した温水と、給水源から供給される水とを第3混合弁において混合して第2給湯端末に供給しているため、第2給湯端末に供給する温水の温度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図2】給湯装置のブロック図である。
【図3】第1混合弁制御部(制御手段)の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】給湯運転時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【図7】(a)は、第1実施形態の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図8】(a)は、第1実施形態の変形例1の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図9】(a)は、第1実施形態の変形例2の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図10】(a)は、第1実施形態の変形例3の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図11】(a)は、第1実施形態の変形例4の給湯装置の模式図である。(b)〜(d)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【図12】(a)は、第2実施形態の給湯装置の模式図である。(b)〜(f)は、貯湯タンクの異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係る給湯装置の第1の実施の形態について説明する。
【0053】
<給湯装置の構成>
図1に示すように、第1実施形態の給湯装置1は、カラン(第1給湯端末)Aと、シャワー(第1給湯端末)Bと風呂(第2給湯端末)Cとに温水を供給する装置であって、ヒートポンプユニット(加熱手段)2と、貯湯タンク20を有する貯湯ユニット3と、リモコン5(図2参照)と、制御部4とを備えている。なお、以下の説明において、カランAとシャワーBと風呂Cとを総称して「給湯端末」という。
【0054】
[ヒートポンプユニット]
ヒートポンプユニット2は、貯湯タンク20内の温水を加熱するためのものである。ヒートポンプユニット2は、冷媒回路10を有しており、この冷媒回路10は、圧縮機11と、水熱交換器12と、電動膨張弁13と、空気熱交換器14と、これらを環状に接続する冷媒配管15とを備えている。また、冷媒回路10は、水熱交換器12から出る高温高圧の冷媒と、空気熱交換器14から出る冷温低圧の冷媒との間で熱交換を行うためのガス熱交換器17を備えている。
【0055】
[貯湯ユニット]
貯湯ユニット3は、貯湯タンク20と、沸上循環回路30と、給湯・追焚回路40とを備えている。
【0056】
(貯湯タンク)
貯湯タンク20の上部には、上部流入部20a、上部流出部(第1流出部)20b、上部流出部(第3流出部)20cが設けられており、貯湯タンク20の中間部には、中間流出部(第2流出部)20dが設けられており、貯湯タンク20の下部には、下部流出部20e、下部流入部20f、20g、20hが設けられている。
【0057】
貯湯タンク20の上部流入部20a、下部流出部20e、下部流入部20fは、沸上循環回路30と接続されており、貯湯タンク20の下部流出部20eから取り出された温水が、ヒートポンプユニット2により加熱された後、貯湯タンク20の上部流入部20a又は下部流入部20fに戻されるようになっている。また、貯湯タンク20の上部流出部20b、20c、中間流出部20d、下部流入部20g、20hは、給湯・追焚回路40と接続されている。給湯端末への給湯又は風呂Cの追い焚きを行う場合、貯湯タンク20の上部流出部20b又は上部流出部20cから高温の温水が流出すると共に、下部流入部20g又は下部流入部20hから貯湯タンク20内に低温の水が流入するようになっている。そのため、ヒートポンプユニット2により貯湯タンク20内の温水がすべて加熱されて高温となっている場合を除けば、貯湯タンク20内の温水の温度は、上部が高温、下部が低温、中間部がその中間温度となっている。
【0058】
貯湯タンク20の外側面には、6つのタンクサーミスタ21a〜21fが、上下方向に並んで取り付けられている。タンクサーミスタ21a〜21fは、貯湯タンク20内の温水の温度を検知するためのものである。なお、タンクサーミスタ21dは、貯湯タンク20の後述する中間流出配管42が接続されている位置と同じ高さに取り付けられている。また、タンクサーミスタ21a〜21fにより検知された温度は、貯湯タンク20内に高温の温水がどれだけ残っているかを検知(残湯量検知)するために用いられる。
【0059】
(沸上循環回路)
沸上循環回路30は、貯湯タンク20内の下部の温水を取り出して、ヒートポンプユニット2の水熱交換器12において加熱してから、貯湯タンク20内の上部に戻すための回路である。沸上循環回路30は、配管31〜35と、沸上三方弁36と、排水用三方弁38とを備えている。
【0060】
配管31は、貯湯タンク20の下部流出部20eと、排水用三方弁38とを接続する配管である。排水用三方弁38には、配管31に加えて、水熱交換器12が設けられた後述する配管32と、排水口D1に向かう配管35とが接続されている。排水用三方弁38は、通常時は貯湯タンク20の下部流出部20eから流出した温水(水の場合を含む)を、ヒートポンプユニット2に向けて流す状態に切り換えられており、貯湯タンク20と給湯・追焚回路40内の配管内の水抜き作業を行うときには、貯湯タンク20の下部流出部20eから流出した水を、排水口D1に流す状態に切り換えられる。
【0061】
配管32は、排水用三方弁38と沸上三方弁36とを上記した水熱交換器12を介して接続する配管である。配管32の途中には、沸上ポンプ37が配置されている。沸上ポンプ37は、貯湯タンク20内の温水(水の場合を含む)を、下部流出部20e、配管31、及び排水用三方弁38を介して配管32に引き込むためのものである。また、配管32の水熱交換器12よりも上流側の位置に、入水サーミスタ18が配置されており、配管32の水熱交換器12よりも下流側の位置に、出湯サーミスタ19が配置されている。
【0062】
配管33は、沸上三方弁36と貯湯タンク20の上部流入部20aとを接続する配管である。配管34は、沸上三方弁36と貯湯タンク20の下部流入部20fとを接続する配管である。る。沸上三方弁36は、入水サーミスタ18により検知された温度に応じて、制御部4によって出口側が配管33と配管34のいずれかに切り換えられる。
【0063】
(給湯・追焚回路)
給湯・追焚回路40は、貯湯タンク20内の温水と給水源Sから供給された水とを混合して給湯端末(カランA、シャワーB、風呂C)に供給すると共に、貯湯タンク20内の温水を熱源として風呂Cの追い焚きを行うための回路である。また、給湯・追焚回路40は、貯湯タンク20内の温水を給湯端末に供給する際、同時に、貯湯タンク20内への給水を行うように構成されている。
【0064】
給湯・追焚回路40は、給水配管41と、中間流出配管42と、接続配管43と、上部流出配管44と、給湯配管45と、熱交循環配管46と、接続配管47と、湯はり配管48と、風呂循環配管49と、第1混合弁51と、第2混合弁52と、第3混合弁53とを備えている。
【0065】
給水配管41は、給水源Sと、第1混合弁51及び第3混合弁53とを接続する配管である。給水配管41の第1混合弁51の近傍部には、逆止弁65が配置されている。逆止弁65は、給水源から第2混合弁52に向かう方向にだけ水が流れるように構成されている。
【0066】
また、給水配管41の分岐点よりも給水源S側には、給水分岐管41aが接続されている。この給水分岐管41aは、給水配管41内の水を、貯湯タンク20の下部流入部20gに供給するための配管である。また、給水分岐管41aには、水温サーミスタ63と、逆止弁64とが配置されている。水温サーミスタ63は、給水源Sから供給される水の温度を検知するためのものである。
【0067】
また、給水配管41の給水分岐管41aが接続された位置よりも給水源S側には、逆止弁61と、減圧弁62とが給水源Sに近い順に並んで配置されている。また、給水配管41の逆止弁61と減圧弁62との間の位置には、水抜き栓66が設けられた分岐管41bが接続されている。水抜き栓66は、通常時は閉じられており、貯湯タンク20や配管内の水抜きを行うときに開放される。分岐管41bは、水抜き時に、配管内の水を排水口D2に排出するためのものである。
【0068】
中間流出配管42は、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出した温水を、第1混合弁51に供給するための配管である。第1混合弁51は、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出する温水と、給水源Sから供給される水とを混合するためのものである。
【0069】
接続配管43は、第1混合弁51で混合された温水を、第2混合弁52に供給するための配管である。接続配管43の途中には、第1混合弁51によって混合された温水の温度を検知するための中間混合サーミスタ71が配置されている。また、接続配管43の第2混合弁52の近傍部には、逆止弁72が配置されている。
【0070】
上部流出配管44は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出した温水を、第2混合弁52に供給するための配管である。上部流出配管44の第2混合弁52の近傍部には、逆止弁73が配置されている。第2混合弁52は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出する温水と、第1混合弁51で混合された温水とを混合するためのものである。
【0071】
給湯配管45は、第2混合弁52で混合された温水を、カラン(第1給湯端末)Aとシャワー(第1給湯端末)Bに供給するための配管である。給湯配管45の途中には、給湯流量センサ74と、給湯サーミスタ75とが配置されている。給湯流量センサ74は、給湯配管45を流れる温水の単位時間当たりの流量を検知するためのものである。給湯サーミスタ75は、第2混合弁52により混合されてカランA及びシャワーBに供給される温水の温度を検知するためのものである。
【0072】
熱交循環配管46は、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出した温水を、貯湯タンク20の下部流出部20eに供給するための配管である。熱交循環配管46の途中には、追焚熱交換器81と、熱交循環ポンプ82とが配置されている。熱交循環ポンプ82は、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46に高温の温水を引き込むためのものである。追焚熱交換器81は、熱交循環配管46を流れる高温の温水と、後述する風呂循環配管49を流れる水とを熱交換させるためのものである。
【0073】
また、熱交循環配管46の追焚熱交換器81よりも上部流出部20c側の位置には、第3混合弁53に接続された接続配管47が接続されている。第3混合弁53は、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出する温水と、給水源Sから供給される水とを混合するためのものである。
【0074】
熱交循環配管46の接続配管47が接続された箇所よりも上部流出部20c側の位置には、逆止弁83と、逆止弁84とを並列に接続した並列回路が配置されている。また、熱交循環配管46には、この並列回路を迂回するようにバイパス配管85が接続されている。また、この並列回路の接続配管47側には、逃がし弁86が接続されている。逃がし弁86は、通常時に貯湯タンク20内及び配管内のエアを外部に排出する役割を有する。また、逃がし弁86は、貯湯タンク20内及び配管内の水抜き作業を行うときに、配管内にエアを供給する役割も有する。
【0075】
風呂循環配管49は、その両端が風呂(第2給湯端末)Cに接続されており、その途中には、上述した追焚熱交換器81と、風呂循環ポンプ96と、風呂サーミスタ97と、水位センサ98とが配置されている。風呂循環ポンプ96の作動時の風呂循環配管49内の温水の流れ方向に関して、風呂サーミスタ97及び水位センサ98は、追焚熱交換器81の上流側に配置されている。水位センサ98は、風呂Cの水位を検知するためのものである。
【0076】
湯はり配管48は、第3混合弁53と、風呂循環配管49の途中部(詳細には、追焚熱交換器81の下流側部分)とを接続する配管である。湯はり配管48の途中には、湯はり電磁弁91と、逆止弁92と、湯はり流量センサ93と、逆止弁94と、湯はりサーミスタ95とが配置されている。湯はりサーミスタ95は、第3混合弁53によって混合されて風呂Cに供給される温水の温度を検知するためのものである。湯はり流量センサ93は、風呂Cに供給される温水の単位時間当たりの流量を検知するためのものである。湯はり電磁弁91は、風呂Cの湯はりを行う場合に開弁状態に切り換えられる。
【0077】
[リモコン]
リモコン5には、操作部(図示省略)と表示部(図示省略)とが設けられている。リモコン5の操作部は、カランA及びシャワーBにおける給湯温度をユーザーが設定するための給湯温度設定ボタンと、風呂Cの湯はりと追い焚きの温度を設定するための風呂温度設定ボタンと、風呂Cの湯はりを開始するための湯はりボタンと、風呂Cの水の追い焚きを開始するための追焚ボタンと、各種設定変更を行うためのメニューボタン等を有している。リモコン5の表示部には、給湯設定温度や、風呂設定温度や、貯湯タンク20の残湯量などが表示される。
【0078】
給湯温度設定ボタンによって設定された給湯温度を、給湯設定温度とする。給湯温度設定ボタンにより設定可能な給湯設定温度には上限と下限(例えば37℃)が設けられている。また、風呂温度設定ボタンにより設定された温度を、風呂設定温度とする。
【0079】
[制御部]
制御部4は、マイコンやメモリ等で構成されている。図2に示すように、制御部4は、リモコン5、サーミスタ18、19、21a〜21f、63、71、75、97、95、流量センサ74、93、水位センサ98、ポンプ37、82、96、沸上三方弁36、混合弁51〜53、湯はり電磁弁91、圧縮機11等に有線又は無線により通信可能に接続されている。なお、図2では、制御部4に接続される上記構成部品の一部を省略して表示している。制御部4は、リモコン5やサーミスタや流量センサ等から送られる信号に基づいて、ポンプや混合弁等を制御する。制御部4は、給湯判断部4aと、第1混合弁51を制御する第1混合弁制御部4bと、第2混合弁52を制御する第2混合弁制御部4cと、中間混合判断部(判断手段)4dとを有している。なお、第1混合弁制御部4b及び第2混合弁制御部4cが、本発明の制御手段に相当する。
【0080】
(給湯判断部)
給湯判断部4aは、給湯流量センサ74により検知された流量F1に基づいて、カランA及びシャワーBの両方又は一方に給湯が行われているか否かを判断する。具体的には、給湯流量センサ74により検知された流量F1が、所定の最低流量Q1以上の場合には、給湯が行われていると判断し、流量F1が、最低流量Q1よりも低い場合には、給湯が行われていないと判断する。
【0081】
(中間混合判断部)
中間混合判断部4dは、給湯流量センサ74により検知されたカランA又はシャワーBに供給される流量F1と、湯はり流量センサ93により検知された風呂Cに供給される流量F2とに基づいて、貯湯タンク20の中間流出部20dから流出した温水が、第1混合弁51を通過するのを許可するか否かを判断する。この判断は、カランA又はシャワーBへの給湯時にのみ行われる。以下の説明において、中間流出部20dから流出した温水が第1混合弁51を通過するのを許可すると判断することを、湯とりを行うと判断するといい、通過を許可しないと判断することを、湯とりを行わないと判断するという。
【0082】
具体的な判断方法は、図3のフローチャートに示すように、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断されているときに、即ち、流量F1≧最低流量Q1のときに(ステップS10:Yes)、給湯流量センサ74により検知された流量F1が、所定流量Q2以下の場合には(ステップS11:Yes)、湯とりを行わないと判断する(ステップS14)。なお、所定流量Q2は、最低流量Q1よりも大きい。また、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が、負で且つその絶対値が所定の変位量ΔQ以上の場合には(ステップS12:Yes)、湯とりを行わないと判断する(ステップS14)。また、上記2つの条件を両方とも満たさない場合には(ステップS11:No、ステップS12:No)、湯とりを行うと判断する(ステップS13)。なお、変位量ΔQは、湯はり運転時の風呂Cへの単位時間当たりの供給流量よりも小さい値に設定されている。また、流量Q2及び変位量ΔQは、一定であってもよいが、リモコン5の操作によって変更できるようになっていてもよい。
【0083】
(第2混合弁制御部)
第2混合弁制御部4cは、カランA又はシャワーBへの給湯時に、第2混合弁52により混合された温水の温度が、給湯設定温度となるように第2混合弁52の開度を制御する。具体的には、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3とタンクサーミスタ21aにより検知された温度T4とに基づくフィードフォワード制御と、給湯サーミスタ75により検知された温度T5に基づくフィードバック制御とによって、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度となるように、第2混合弁52の開度を制御する。
【0084】
第2混合弁制御部4cは、カランA又はシャワーBへの給湯が開始されて、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断された場合に、第2混合弁52の制御を開始する。
【0085】
また、第2混合弁制御部4cは、カランA及びシャワーBへの給湯が終了して、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断された場合、第2混合弁52の制御を停止し、給湯終了から、所定時間経過後に、第2混合弁52の開度を初期化して、接続配管43側全開状態とし、次の給湯時まで維持する。これにより、次の給湯を開始したときに、カランA又はシャワーBから高温の温水が出湯するのを防止している。
【0086】
また、第2混合弁制御部4cは、給湯サーミスタ75により検知された温度T5が、給湯設定温度近くの給湯設定温度範囲(例えば給湯設定温度±0.5℃)内の温度である場合(即ち、給湯設定温度との温度差が所定の範囲内である場合)に、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度になったものとみなす。
【0087】
(第1混合弁制御部)
第1混合弁制御部4bは、カランA又はシャワーBへの給湯時に、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度となるように第1混合弁51の開度を制御する。以下、この制御を目標温度制御という。但し、給湯中に、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断された場合には、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51を給水源S側全開状態(給水配管41側全開状態)として、この給湯が継続している間は、この開度状態を維持する。従って、給湯中に湯とりを行わないと判断された後で、その給湯中に、湯とりを行うと判断されても、第1混合弁制御部4bは、給水源S側全開状態を維持する。
【0088】
第1混合弁制御部4bは、上記目標温度制御を、給湯が開始されて、第2混合弁52の制御が開始された後、第2混合弁制御部4cにおいて、第2混合弁52により混合された温水が給湯設定となったとみなされてから開始する。
【0089】
また、第1混合弁制御部4bは、カランA及びシャワーBへの給湯が終了して、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断された場合、第1混合弁51の開度を給湯終了時の開度で停止させて、次の給湯時まで維持する。従って、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断された場合には、第1混合弁51は、給水源S側全開状態が次の給湯時まで維持される。
【0090】
また、第1混合弁制御部4bは、上記目標温度制御を行う場合、水温サーミスタ63により検知された温度T1とタンクサーミスタ21dにより検知された温度T2とに基づくフィードフォワード制御と、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3に基づくフィードバック制御とによって、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度となるように、第1混合弁51の開度を制御する。
【0091】
また、第1混合弁制御部4bは、中間混合サーミスタ71により検知された温度T3が、目標温度近くの目標温度範囲(例えば目標温度±2℃)内の温度である場合(即ち、目標温度との温度差が所定の範囲内である場合)に、第1混合弁51により混合された温水の温度が目標温度になったものとみなす。
【0092】
目標温度は、給湯設定温度によらず一定の温度(例えば31℃)となっている。上述したように、リモコン5によって設定可能な給湯設定温度には下限(例えば37℃)が設けられており、目標温度は、設定可能な給湯設定温度の最低温度よりも低い温度に予め設定されている。従って、カランA又はシャワーBへの給湯には、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出する高温の温水が必ず使用される。
【0093】
<給湯装置の動作>
次に、給湯装置1の動作について説明する。
給湯装置1の動作としては、貯湯タンク20に貯湯される温水を加熱する沸上運転と、カランA又はシャワーBへの給湯を行う給湯運転と、風呂Cへの給湯(湯はり)を行う湯はり運転と、風呂Cの追い焚きを行う追焚運転とがある。これらは同時に行うことも可能である。
【0094】
[沸上運転]
沸上運転は、電気料金の安価な深夜時間帯に自動的に開始される。また、昼間時間帯であっても、貯湯タンク20内の残湯量が所定値未満となった場合には、沸上運転が開始される。時刻又は残湯量による沸上運転開始条件が成立すると、制御部4は、圧縮機11と沸上ポンプ37とを駆動させる。すると、貯湯タンク20内の温水が、下部流出部20eから配管31内に流出して、排水用三方弁38を通って配管32内に流れ込む。この温水は、水熱交換器12において冷媒と熱交換されて加熱される。水熱交換器12により加熱された温水の温度が十分に高温の場合(入水サーミスタ18により検知された温度が所定温度以上の場合)には、制御部4により沸上三方弁36の出口側が配管33に切り換えられて、この温水は上部流入部20aから貯湯タンク20内に流入する。この動作を継続して行うことにより、貯湯タンク20内に高温の温水が貯湯される。一方、圧縮機11の駆動を開始した直後など、水熱交換器12により熱交換された温水の温度が十分に高温でない場合(入水サーミスタ18により検知された温度が所定温度未満の場合)には、沸上三方弁36の出口側が配管34に切り換えられて、この温水は下部流入部20fから貯湯タンク20内に流入する。
【0095】
[追焚運転]
追焚運転は、リモコン5の追焚ボタンが押下されることにより開始される。リモコン5からの追焚開始信号を受信した制御部4は、熱交循環ポンプ82と風呂循環ポンプ96とを駆動する。すると、風呂Cから風呂循環配管49に流出した温水と、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46に流出した高温の温水とが、追焚熱交換器81で熱交換される。風呂循環配管49を流れる温水は、熱交換により加熱されて風呂Cに流入する。熱交循環配管46を流れる温水は、熱交換により温度が低下した後、下部流入部20hから貯湯タンク20内に流入する。その後、風呂サーミスタ97で検知される温度が、リモコン5で設定された風呂設定温度となったときに、追焚運転は終了する。
【0096】
[湯はり運転]
湯はり運転は、リモコン5の湯はりボタンが押下されることにより開始される。リモコン5からの湯はり開始信号を受けた制御部4は、湯はり電磁弁91を開弁状態に切り換える。すると、給水源Sの給水圧力により下部流入部20gから貯湯タンク20内に水が流入すると同時に、貯湯タンク20の上部流出部20cから熱交循環配管46及び接続配管47に高温の温水が流出する。この温水は、第3混合弁53において、給水源Sから供給された水と混合された後、湯はり配管48及び風呂循環配管49を経由して、風呂Cに供給される。このとき、第3混合弁53により混合された温水が、リモコン5により設定された風呂設定温度となるように、第3混合弁53の開度は、制御部4によって制御される。その後、湯はり流量センサ93の検知結果を基にして算出される風呂Cに供給された全水量が所定値に達したときに、湯はり運転は終了する。
【0097】
[給湯運転]
給湯運転は、カランA及びシャワーBのレバー等を操作することによって開始又は終了する。以下、給湯運転時の水の流れについて説明する。
【0098】
カランA及びシャワーBのレバー等を流水状態に切り換えると、給水源Sの給水圧力により下部流入部20gから貯湯タンク20内に水が流入すると共に、貯湯タンク20の上部流出部20b及び中間流出部20dから温水が流出する。中間流出部20dから中間流出配管42に流出した温水は、第1混合弁51において、給水源Sから供給された水と混合された後、第2混合弁52において、貯湯タンク20の上部流出部20bから上部流出配管44に流出した高温の温水と混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。
【0099】
なお、第1混合弁51が給水源S側全開状態となっている場合には、給水源Sから供給された水と、貯湯タンク20の上部から流出した高温の温水とが、第2混合弁52において混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。また、第1混合弁51が中間流出配管42側全開状態となっている場合には、貯湯タンク20の中間部から中間流出配管42に流出した温水と、貯湯タンク20の上部から流出した高温の温水とが、第2混合弁52において混合されて、カランA又はシャワーBに供給される。
【0100】
次に、給湯運転時の制御部4の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
カランA又はシャワーBのレバー等を流水状態に切り換えることにより給湯が開始されて、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていると判断されると、第2混合弁制御部4cは、第2混合弁52の制御を開始する(ステップS1)。具体的には、第2混合弁52で混合された温水の温度が、リモコン5により設定された給湯設定温度となるように、第2混合弁52の混合比率が調整される。
【0102】
第2混合弁制御部4cによって第2混合弁52の開度が制御されることにより、給湯サーミスタ75により検知される温度T5が給湯設定温度に近づいていく。そして、給湯サーミスタ75により検知された温度T5が、給湯設定温度範囲内の温度になり(ステップS2:Yes)、第2混合弁制御部4cにおいて、第2混合弁52により混合された温水の温度が給湯設定温度になったとみなされると、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51の目標温度制御を開始する(ステップS3)。具体的には、第1混合弁51で混合された温水の温度が目標温度となるように、第1混合弁51の混合比率が調整される。
【0103】
第1混合弁51の混合比率が調整されて、第1混合弁51により混合された温水の温度である温度T2が変化すると、それに応じて、第2混合弁52の混合比率も調整される。温度T2が目標温度範囲内の温度になると、第1混合弁51の開度が維持されて、温度T2が安定する。その後、この温度T2に基づいて調整される第2混合弁52の開度も安定し、第2混合弁52により混合された温水の温度である温度T5も安定する。
【0104】
カランA及びシャワーBのレバー等を止水状態に切り換えて給湯を終了し、給湯判断部4aにおいて、給湯が行われていないと判断されると、第1混合弁制御部4b及び第2混合弁制御部4cは、第1混合弁51及び第2混合弁52の制御をそれぞれ停止する。第1混合弁51は、給湯終了時の開度が、次の給湯時まで維持される。また、第2混合弁52は、給湯終了から所定時間が経過してから、初期化(接続配管43側全開状態に切換)されて、その開度が次の給湯時まで維持される。
【0105】
なお、カランA又はシャワーBへの給湯開始時又は給湯中に、レバー等によってカランA又はシャワーBへ給湯流量がかなり小さくなるように設定されていることにより、給湯流量センサ74により検知された流量F1が所定流量Q2以下となる場合がある。また、カランAとシャワーBの両方で給湯を行っている状態から一方の給湯を終了することにより、給湯流量センサ74により検知された流量F1が所定流量Q2以下となる場合がある。このような場合、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁51は、第1混合弁制御部4bによって、給水源S側全開状態に切り換えられて、この開度状態が給湯中維持される。
【0106】
また、給湯中に湯はり運転が終了又は停止した場合、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が負で且つその絶対値が変位量ΔQ以上となる。また、給湯と同時に湯はり運転を行っている場合であって、給湯中に、リモコン5を操作すること等によって風呂Cへの単位時間当たりの給湯流量を低下させたことにより、湯はり流量センサ93により検知された流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が負で且つその絶対値が変位量ΔQ以上となる場合がある。
このような場合、中間混合判断部4dにおいて、湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁51は、第1混合弁制御部4bによって、給水源S側全開状態に切り換えられて、この開度状態が給湯中維持される。
【0107】
<第1実施形態の給湯装置の特徴>
本実施形態の給湯装置1には、以下のような特徴がある。
【0108】
カランA及びシャワーBへの給湯流量F1が減少した場合、給水源Sから逆止弁65及び第1混合弁51に向かって流れる水の流量もかなり小さくなる。逆止弁65は、流入する水の圧力に応じて開弁するように構成されているため、流入する水の流量が極端に少なくなると、逆止弁65を完全に開弁させることができず、逆止弁65を通過する水の流量がさらに少なくなる場合がある。この場合、中間流出部20dから流出された温水と給水源Sから供給された水とを第1混合弁51において混合していると、第1混合弁51の開度が一定であっても、給水源Sから供給される水の割合が減少するように混合比率が変動して、第1混合弁51により混合された温水の温度T3が上昇してしまう。
【0109】
第1実施形態の給湯装置1では、カランA又はシャワーBへの温水供給流量である流量F1が、所定流量Q2以下に減少した場合、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、逆止弁65を完全に開弁させることができないほど流量F1が減少しても、第1混合弁51を通過した温水の温度T3が上昇するのを抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の上昇を抑制できる。
【0110】
また、カランA及びシャワーBへの給湯流量F1がかなり少ない場合、第1混合弁51の目標温度制御を精度良く行うことが困難であるため、第1混合弁51の目標温度制御を行うと、第1混合弁51により混合された温水の温度が変動して、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度が変動する。
【0111】
第1実施形態の給湯装置1では、流量F1が、所定流量Q2以下の場合、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁51の目標温度制御を精度良く行うことが困難になるほど流量F1が少なくても、第1混合弁51を通過した温水の温度T3の変動を抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の変動を抑制できる。
【0112】
また、カランA又はシャワーBへの給湯中に湯はり運転が終了又は停止して、風呂Cへの給湯流量F2が減少した場合、上部流出部20cから流出する温水の流量が減少することにより、中間流出部20d及び上部流出部20bから流出する温水の流量が増加する。この場合、中間流出部20dから流出された温水と給水源Sから供給された水とを第1混合弁51において混合していると、第1混合弁51の開度が一定であっても、中間流出部20dから流出する温水の割合が増加するように混合比率が変動して、第1混合弁51により混合された温水の温度T3が上昇してしまう。
【0113】
第1実施形態の給湯装置1では、カランA又はシャワーBへの給湯途中に、流量F2の単位時間当たりの変位量ΔF2が、負で且つその絶対値が所定の変位量ΔQ以上の場合に、第1混合弁51は給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁51を通過した温水の温度T3が上昇するのを抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度T5の上昇を抑制できる。
【0114】
また、上述したように、カランA又はシャワーBへの温水供給時に、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行わないと判断されて、第1混合弁制御部4bによって第1混合弁51が給水源S側全開状態に切り換えられた後、その温水供給中に、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行うと判断されても、その温水供給が継続されている間は、第1混合弁51の開度を維持する。
このように、給湯中に中間混合判断部4dによる判断が変化しても、第1混合弁51の開度を維持することにより、給湯途中に第1混合弁51の開度を変化させた場合に生じる温度変動を防止することができる。
【0115】
次に、本発明に係る給湯装置の第2の実施の形態について説明する。上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0116】
図5に示すように、第2実施形態の給湯装置1001は、以下の点において、上記第1実施形態の給湯装置1と相違している。給湯装置1001は、第1混合弁51により混合された温水と、貯湯タンク20の上部流出部20cから流出した温水とを第3混合弁153で混合して、風呂Cに供給するように構成されている。この給湯装置1001は、上記第1実施形態で述べた給湯装置1の効果と同様の効果を奏する。
【0117】
次に、本発明に係る給湯装置の第3の実施の形態について説明する。上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0118】
図6に示すように、第3実施形態の給湯装置2001は、以下の点において、上記第1実施形態の給湯装置1と相違している。給湯装置2001は、貯湯タンク20の上部流出部20bから流出した温水と中間流出部20dから流出した温水とを第1混合弁251で混合した後、この混合された温水と給水源Sから供給された水とを第2混合弁252において混合してカランA又はシャワーBに供給するように構成されている。また、給湯装置2001の中間混合判断部(判断手段)は、給湯流量センサ74により検知されるカランA及びシャワーBに供給される温水の流量F1が所定流量以下の場合にのみ、中間流出部20dから流出する温水が第1混合弁251を通過するのを許可しない(湯とりを行わない)と判断する。
【0119】
第3実施形態の給湯装置2001では、カランA及びシャワーBに供給される温水の流量F1が所定流量以下の場合に、第1混合弁251が給水源S側全開状態に切り換えられるため、第1混合弁251の目標温度制御を精度良く行うことが困難になるほど流量F1が少なくても、第1混合弁251を通過した温水の温度の変動を抑制できる。そのため、カランA又はシャワーBに供給される温水の温度の変動を抑制できる。
【0120】
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記第1〜第3実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記第1〜第3実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、中間混合判断部4dは、給湯流量センサ74により検知される流量F1に基づいて湯とりを行うか否か判断すると共に、湯はり流量センサ93により検知される流量F2とに基づいて湯とりを行うか否か判断しているが、これに限定されるものではなく、流量F1のみに基づいて、湯とりを行うか否か判断するようになっていてもよい。逆に、湯はり流量センサ93により検知される流量F2のみに基づいて、湯とりを行うか否か判断するようになっていてもよい。
【0122】
また、上記第1〜第3実施形態では、中間混合判断部4dにおいて湯とりを行わないと判断された場合、第1混合弁制御部4bは、第1混合弁51を給水源S側全開状態に切り換えているが、これに限定されるものではない。例えば、第1混合弁51の開度を、中間流出部20dから流出した温水の第1混合弁51の通過量が減少するように切り換えるようになっていてもよい。この場合、上記第1〜第3実施形態のように、第1混合弁51を給水源S側全開状態に切り換える場合に比べて、カランA及びシャワーBに供給される温水の温度が変動するのをより確実に抑制することができる。この点においては、上記第1〜第3実施形態の方が好ましい。
【0123】
ところで、上記第1実施形態の給湯装置では、貯湯タンク20の上部に貯留された温水と、中間部に貯留された温水との比重差による差圧や、貯湯タンク20の上部に貯留された温水と、下部に貯留された温水との温度差による比重差によって生じる差圧に起因して、上述した給湯・追焚回路40内の配管の内部において貯湯タンク20の上部流出部20b、20cから中間流出部20dあるいは下部流入部20gに向かう方向に対流が生じることがある。そこで、以下では、この対流を防止するために設けられた各逆止弁の機能について、図7を参照しつつ説明する。
【0124】
図7(a)は、図1に示した第1実施形態の給湯装置1の模式図である。図7(b)〜図7(f)は、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される回路を示した図である。
【0125】
[第1回路〜第5回路]
図7(a)に示す貯湯ユニット3の給湯・追焚回路40のうち、図7(b)〜図7(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。なお、図中の分岐点B1は、貯湯タンク20の下部流入部20gと給水源Sとを接続する接続点を、分岐点B2は、分岐点B1と第1混合弁51とを接続する接続点を、分岐点B3は、分岐点B2と貯湯タンク20の上部流出部20c及び逃がし弁86とを接続する接続点を示している。
【0126】
[第1回路]
図7(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上部流出部20bから第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁73が配置されている。この逆止弁73は、スプリング式の逆止弁であって、差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されている。ここで、差圧Pは、上部流出部20bから中間流出部20dへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように設定されている。従って、第1回路では、逆止弁73が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0127】
なお、第1混合弁51と第2混合弁52との間に配置された逆止弁72は、第1混合弁51から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れるものであって、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dや下部流入部20gへと至る対流を防止するためにも用いられる。
【0128】
なお、「対流に起因する差圧」とは、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される回路において、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所に対応した部分に貯留された温水の温度差による比重差によって発生する圧力差を意味する。そして、この「対流に起因する差圧」は、高さの差が大きいほど大きくなると共に、温水の比重差が大きくなるほど大きくなる。上述したように、逆止弁73は、差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されており、この差圧Pは、上部流出部20bから中間流出部20dへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように設定されている。したがって、差圧Pは、上部流出部20bと中間流出部20dとの高さの差は一定であるから、上部流出部の近くに貯留される温水と中間流出部の近くに貯留される温水との比重差が最大となったときの差圧より大きくなるように設定されている。
【0129】
また、貯湯タンク20の上面に設けられた上部流出部と下面に設けられた下部流入部との間に回路が形成された場合(高さの差が最大)であって、上部流出部の近くに貯留される温水と下部流入部の近くに貯留される水との比重差が最大となった場合に、「対流に起因する差圧」は最も大きくなると考えられる。従って、上記第1実施形態の給湯装置では、対流を防止する逆止弁の差圧Pは、「対流に起因する差圧」が最も大きくなった場合でも、その差圧によって開弁しないように設定されている。上記第1実施形態では、貯湯タンク20内の温水の比重差(密度差)は0〜90℃の範囲で最大3.6%であるので、貯湯タンク20の高さを2m程度として、逆止弁の差圧Pは、0.72kPaに設定されている。
【0130】
[第2回路]
図7(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上部流出部20cから分岐点B3を経由して湯はり混合弁53に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁83が配置されている。この逆止弁83は、上部流出部20cから中間流出部20dや下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しないように構成されている。従って、第2回路では、逆止弁83が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。なお、逆止弁83と並列に接続された逆止弁84は、分岐点B3から上部流出部20cに向かう方向にだけ温水が流れるものであって、後述の水抜き作業に使用されると共に、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dや下部流入部20gへ至る対流を防止するためにも用いられる。
【0131】
[第3回路]
図7(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0132】
[第4回路]
図7(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0133】
[第5回路]
図7(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、第1混合弁51と分岐点B2との間には、給水源Sから分岐点B2を経由して第1混合弁51に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁65が配置されている。これにより、第1混合弁51から分岐点B2に向かう方向には温水が流れない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0134】
[水抜き作業]
次に、貯湯ユニット3のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。貯湯ユニット3において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0135】
より具体的には、例えば、排水経路f1(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f2(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁84、貯湯タンク20の上部流出部20c、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)や、排水経路f3(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f1〜f3には、排水口D1または排水口D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1または排水口D2に向かって水が流れることができる。
【0136】
以上説明したように、給湯装置1では、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0137】
<変形例1>
図8(a)は、第1実施形態の変形例1の給湯装置101の模式図である。この変形例1では、上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0138】
図8(a)に示すように、変形例1の給湯装置101は、以下の点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例1の給湯装置101は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間に、逆止弁84が配置されていない点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0139】
図8(b)〜図8(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0140】
[第1回路1〜第5回路5]
図8(a)に示す給湯装置101の給湯・追焚回路のうち、図8(b)〜図8(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路1〜第5回路5とする。
【0141】
[第1回路1]
図8(b)に示す第1回路1は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路1において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、第1混合弁51から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から第1混合弁51に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路1では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0142】
[第2回路2]
図8(c)に示す第2回路2は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路2において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路2では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0143】
[第3回路3]
図8(d)に示す第3回路3は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路3において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路3では、貯湯タンク20の上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0144】
[第4回路4]
図8(e)に示す第4回路4は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路4において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路4では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0145】
[第5回路5]
図8(f)に示す第5回路5は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路5において、第1混合弁51と分岐点B3との間には、上述した逆止弁65が配置されている。従って、第5回路5では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0146】
[水抜き作業]
次に、給湯装置101のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置101において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0147】
より具体的には、例えば、排水経路f11(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f12(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、貯湯タンク20の中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f11、f12には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0148】
以上説明したように、給湯装置101では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路1〜第5回路5において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0149】
<変形例2>
図9(a)は、上記第1実施形態の変形例2の給湯装置201の模式図である。変形例2では、上記第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0150】
図9(a)に示すように、変形例2の給湯装置201は、以下の点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例2の給湯装置201は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間に逆止弁84が配置されていない点、分岐点B3と湯はり混合弁53との間に逆止弁83が配置されている点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点で、貯湯ユニット3と相違している。
【0151】
図9(b)〜図9(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0152】
[第1回路〜第5回路]
図9(a)に示す給湯装置201の給湯・追焚回路のうち、図9(b)〜図9(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0153】
[第1回路]
図9(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から第1混合弁51に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0154】
[第1回路]
図9(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0155】
[第3回路]
図9(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B2との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0156】
[第4回路]
図9(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0157】
[第5回路]
図9(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、第1混合弁51と分岐点B2との間には、上述した逆止弁65が配置されている。これにより、第1混合弁51から分岐点B3に向かう方向には温水が流れない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0158】
[水抜き作業]
次に、給湯装置201のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置201において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。なお、逆止弁83は、上述のとおり、差圧Pで開弁しないように設定されているが、この差圧Pは、逃がし弁86から逆止弁83までの配管内部の水圧よりも小さく設定されている。従って、この水圧によって逆止弁83が開弁され、貯湯タンク20や配管の内部からの水抜きが可能となる。
【0159】
より具体的には、例えば、排水経路f21(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に向かう方向の経路)や、排水経路f22(逃がし弁86から、分岐点B3、逆止弁83、湯はり混合弁53、分岐点B2、逆止弁65、第1混合弁51、貯湯タンク20の中間流出部20d、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)や、排水経路f23(逃がし弁86から、分岐点B3、貯湯タンク20の上部流出部20c、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f21〜f23には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0160】
以上説明したように、給湯装置201では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0161】
<変形例3>
図10(a)は、上記第1実施形態の変形例3の給湯装置301の模式図である。変形例3では、上記実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0162】
図10(a)に示すように、変形例3の給湯装置301は、以下の点で上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例3の給湯装置301は、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B2との間に、逆止弁84が配置されていない点、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置されていない点、分岐点B1と貯湯タンク20の下部流入部20gとの間に逆止弁64が配置されていない点、分岐点B2と第1混合弁51の間に逆止弁65が配置されていない点、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間に逆止弁365が配置されている点で、上記第1実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0163】
図10(b)〜図10(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0164】
[第1回路〜第5回路]
図10(a)に示す給湯装置301の給湯・追焚回路のうち、図10(b)〜図10(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0165】
[第1回路]
図10(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第1回路では、貯湯タンク20の第1上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0166】
[第2回路]
図10(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0167】
[第3回路]
図10(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B3との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0168】
[第4回路]
図10(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と第1混合弁51との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0169】
[第5回路]
図10(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51、分岐点B2及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間には、中間流出部20dから第1混合弁51に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁365が配置されている。この逆止弁365は、スプリング式の逆止弁であって、上述した差圧P以上の圧力によって開弁するように構成されている。これにより、逆止弁365は、中間流出部20dから下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しない。従って、第5回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0170】
[水抜き作業]
次に、給湯装置301のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置301において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きを行う場合には、排水用三方弁38は、貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0171】
より具体的には、例えば、排水経路f31(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に至るまでの経路)や、排水経路f32(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B2、第1混合弁51、逆止弁72、第2混合弁52、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に至るまでの経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f31、f32には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0172】
以上説明したように、給湯装置301では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0173】
<変形例4>
図11(a)は、上記第1実施形態の変形例4の給湯装置401の模式図である。変更例4では、上記実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0174】
図11(a)に示すように、変形例4の給湯装置401は、以下の点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。つまり、変形例4の給湯装置401は、風呂Cに温水を供給する装置を有していない点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。また、変形例4の給湯装置401は、逃がし弁86が、貯湯タンク20の上部流出部20bと逆止弁73とを接続する配管に接続されている点で、上記実施形態に係る給湯装置1と相違している。
【0175】
図11(b)〜図11(d)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0176】
[第1回路〜第3回路]
図11(a)に示す給湯装置401の給湯・追焚回路のうち、図11(b)〜図11(d)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第3回路とする。
【0177】
[第1回路]
図11(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0178】
[第2回路]
図11(c)に示す第2回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第2回路において、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52との間には、上述した逆止弁73が配置されている。従って、第2回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0179】
[第3回路]
図11(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、第1混合弁51と分岐点B3との間には、上述した逆止弁65が配置されている。従って、第3回路では、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0180】
[水抜き作業]
次に、給湯装置401のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置401において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部から水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0181】
より具体的には、例えば、排水経路f51(逃がし弁86から、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に向かう方向の経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の排水経路f51には、排水口D1から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1に向かって水が流れることができる。
【0182】
以上説明したように、給湯装置401では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第3回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の配管の内部の水を排水口D1から排水することができる。
【0183】
図12(a)は、図5に示した第2実施形態の給湯装置1001の模式図である。図12(b)〜図12(f)は、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間で形成される回路を示した図である。
【0184】
[第1回路〜第5回路]
図12(a)に示す給湯装置1001の給湯・追焚回路のうち、図12(b)〜図12(f)中で太線表示した回路を、それぞれ、第1回路〜第5回路とする。
【0185】
[第1回路]
図12(b)に示す第1回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、分岐点B102及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第1回路において、第2混合弁52と分岐点B102との間には、分岐点B102から第2混合弁52に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁72が配置されている。これにより、第2混合弁52から分岐点B102に向かう方向には温水が流れない。従って、第1回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0186】
[第2回路2]
図12(c)に示す第2回路2は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102及び第1混合弁51を経由して、貯湯タンク20の中間流出部20dに至るまでの回路である。第2回路2において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B102との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第2回路2では、逆止弁83が配置されることによって、貯湯タンク20の上部流出部20cから中間流出部20dに向かう方向の対流が防止される。
【0187】
[第3回路]
図12(d)に示す第3回路は、貯湯タンク20の上部流出部20cから、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第3回路において、貯湯タンク20の上部流出部20cと分岐点B102との間には、上述した逆止弁83が配置されている。従って、第3回路では、逆止弁83が配置されることによって、上部流出部20cから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0188】
[第4回路]
図12(e)に示す第4回路は、貯湯タンク20の上部流出部20bから、第2混合弁52、分岐点B102、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第4回路において、第2混合弁52と分岐点B102との間には、上述した逆止弁72が配置されている。従って、第4回路では、貯湯タンク20の上部流出部20bから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0189】
[第5回路]
図12(f)に示す第5回路は、貯湯タンク20の中間流出部20dから、第1混合弁51及び分岐点B1を経由して、貯湯タンク20の下部流入部20gに至るまでの回路である。第5回路において、貯湯タンク20の中間流出部20dと第1混合弁51との間には、上述した逆止弁365が配置されている。これにより、逆止弁365は、中間流出部20dから下部流入部20gへと至る対流に起因する差圧では開弁しない。従って、第5回路では、逆止弁365が配置されることによって、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。
【0190】
[水抜き作業]
次に、給湯装置1001のメンテナンス時における水抜き作業について説明する。給湯装置1001において、貯湯タンク20や給湯・追焚回路40内の配管の内部からの水抜きが行われる場合には、排水用三方弁38が貯湯タンク20内の温水が排水口D1から排水されるように切り換えられると共に、減圧弁62及び水抜き栓66が開放される。これにより、逃がし弁86から貯湯タンク20や配管の内部にエアが吸い込まれると共に、貯湯タンク20や配管の内部の水が排水口D1、D2から排水されることにより、貯湯タンク20や配管から水抜きが行われる。
【0191】
より具体的には、例えば、排水経路f41(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、第1混合弁51、分岐点B1、減圧弁62及び水抜き栓66を経由して排水口D2に至るまでの経路)や、排水経路f42(逃がし弁86から、分岐点B3、湯はり混合弁53、分岐点B102、逆止弁72、第2混合弁52、貯湯タンク20の上部流出部20b、下部流出部20e及び排水用三方弁38を経由して排水口D1に至るまでの経路)等の内部を水が流れることにより貯湯タンク20や配管の内部の水抜きが行われる。ここで、上記の各排水経路f41、42には、排水口D1、D2から逃がし弁86に向かう方向にだけ温水が流れる逆止弁が設けられていないことから、排水口D1、D2に向かって水が流れることができる。
【0192】
以上説明したように、給湯装置1001では、貯湯タンク20の異なる2ヵ所の間に形成される第1回路〜第5回路において対流を防止できる。また、貯湯タンク20及び給湯・追焚回路40内の各配管の内部の水を排水口D1、D2から排水することができる。
【0193】
なお、上記第1、第2実施形態及び第1実施形態の変形例1〜4では、全ての逆止弁の差圧Pが、貯湯タンク20の上面に設けられた上部流出部と下面に設けられた下部流入部との間に回路が形成された場合(高さの差が最大)であって、上部流出部の近くに貯留される温水と下部流入部の近くに貯留される水との比重差が最大となった場合のように、「対流に起因する差圧」が最も大きくなった場合でも、その差圧によって開弁しないように設定される例について述べたが、本発明はこれに限定されず、逆止弁の差圧は、貯湯タンク20の高さの異なる2ヵ所間の高さや、異なる2ヵ所の近くにそれぞれ貯留される温水や水の比重差に応じて設定できる。
【0194】
また、上記第1、第2実施形態及び第1実施形態の変形例1〜4では、貯湯タンク20の上部に設けられた配管である、上部流出部20cから湯はり混合弁53に至る回路の配管、または、上部流出部20bから第2混合弁52に至る回路の配管に、逃がし弁86が接続されているが、逃がし弁86が、貯湯タンク20の上部に接続されていてもよいし、貯湯タンク20の上部の空間に連通した配管に接続されていてもよい。
【0195】
上述した第1実施形態の変形例4の給湯装置401では、貯湯タンク20の上部流出部20bと第2混合弁52の間に逆止弁73が配置される例について述べたが、この逆止弁73に代えて、第1混合弁51と第2混合弁52の間に上述した逆止弁72が配置されてもよい。これにより、貯湯タンク20の上部流出部20bから中間流出部20dまたは下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。また、変形例4の給湯装置401において、逆止弁72、73が併設されてもよい。
【0196】
上述した変形例4の給湯装置401では、分岐点B1と第1混合弁51との間に逆止弁65が配置される例について述べたが、この逆止弁65に代えて、中間流出部20dと第1混合弁51との間に上述した逆止弁365が配置されてもよい。これにより、貯湯タンク20の中間流出部20dから下部流入部20gに向かう方向の対流が防止される。また、変形例4の給湯装置401において、逆止弁65、365が併設されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明を利用すれば、給湯端末に供給される温水の温度の変動を抑えることのできる給湯装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0198】
1 給湯装置
2 ヒートポンプユニット(加熱手段)
3 貯湯ユニット
4 制御部
20 貯湯タンク
20b 上部流出部(第1流出部)
20c 上部流出部(第3流出部)
20d 中間流出部(第2流出部)
51 第1混合弁
52 第2混合弁
53 第3混合弁
65 逆止弁
4a 給湯判断部
4b 第1混合弁制御部(制御手段)
4c 第2混合弁制御部(制御手段)
4d 中間混合判断部(判断手段)
A カラン(第1給湯端末)
B シャワー(第1給湯端末)
C 風呂(第2給湯端末)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、
前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置。
【請求項4】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記第1流出部から流出した温水と前記第2流出部から流出した温水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と給水源から供給される水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の給湯装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断し、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量よりも大きい場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の給湯装置。
【請求項8】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、
前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末と、
前記第2給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする請求項8に記載の給湯装置。
【請求項10】
前記判断手段は、前記第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断することを特徴とする請求項8又は9に記載の給湯装置。
【請求項11】
前記判断手段が、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の給湯装置。
【請求項12】
前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の給湯装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の給湯装置。
【請求項14】
前記第3流出部は、前記貯湯タンクの上部に設けられており、
前記第3流出部から流出した温水と給水源から供給される水とを混合する第3混合弁を備え、
前記第2給湯端末は、前記第3混合弁により混合された温水が供給され、
前記制御手段は、前記第1混合弁及び前記第2混合弁の制御に加えて、前記第3混合弁の制御も行うことを特徴とする請求項2及び請求項8〜13の何れかに記載の給湯装置。
【請求項1】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、
前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置。
【請求項4】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記第1流出部から流出した温水と前記第2流出部から流出した温水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と給水源から供給される水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の給湯装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量以下である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断し、前記第1給湯端末への温水供給流量が所定量よりも大きい場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の給湯装置。
【請求項8】
温水を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの上部から温水を流出する第1流出部と、
前記貯湯タンクの中間部から温水を流出する第2流出部と、
前記貯湯タンクから温水を流出する第3流出部と、
前記第2流出部から流出した温水と給水源から給水される水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁で混合された温水と前記第1流出部から流出した温水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁で混合された温水が供給される第1給湯端末と、
前記第3流出部から流出した温水が供給される第2給湯端末と、
前記第2給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断する判断手段と、
前記第1混合弁及び前記第2混合弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記判断手段において、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断された場合、前記第1混合弁を前記給水源側全開状態とすることを特徴とする請求項8に記載の給湯装置。
【請求項10】
前記判断手段は、前記第2給湯端末への温水供給流量の単位時間あたりの減少量が所定量以上である場合に、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断することを特徴とする請求項8又は9に記載の給湯装置。
【請求項11】
前記判断手段が、前記第1給湯端末への温水供給流量に基づいて、前記第2流出部から流出した温水が前記第1混合弁を通過するのを許可するか否かを判断することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の給湯装置。
【請求項12】
前記第2混合弁の前記給水源側には、前記給水源から第2混合弁に向かう方向にだけ水が流れる逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の給湯装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記制御手段は、前記第1給湯端末への温水供給時に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可しないと判断されて、前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過量を減少させるように前記第1混合弁を制御した後、その温水供給中に、前記判断手段において前記第2流出部から流出した温水の前記第1混合弁の通過を許可すると判断されても、その温水供給が継続されている間は、前記第1混合弁の開度を維持することを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の給湯装置。
【請求項14】
前記第3流出部は、前記貯湯タンクの上部に設けられており、
前記第3流出部から流出した温水と給水源から供給される水とを混合する第3混合弁を備え、
前記第2給湯端末は、前記第3混合弁により混合された温水が供給され、
前記制御手段は、前記第1混合弁及び前記第2混合弁の制御に加えて、前記第3混合弁の制御も行うことを特徴とする請求項2及び請求項8〜13の何れかに記載の給湯装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−158161(P2011−158161A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19750(P2010−19750)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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