説明

給湯装置

【課題】給湯の配管が長いため、給湯開始時に蛇口(給湯栓)をひねってから、冷たい配管内の水が出終わって、お湯が出てくるまでの時間を短縮する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯タンク1と、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段2と、前記貯湯タンクの湯水を給湯するための給湯管6と、この給湯管途中に設けられ、給湯水を加圧給湯する給湯加圧ポンプ16と給湯管の末端に給湯栓を備えた給湯装置に於いて、前記給湯加圧ポンプ16の回転数を制御する給湯加圧ポンプ制御手段30を設け、この給湯加圧ポンプ制御手段は前記給湯栓からの給湯運転開始時の所定時間、給湯加圧ポンプ16の回転数を通常の給湯時よりも高い回転数で運転するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクの湯水を加熱する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯装置においては、湯水を貯湯する貯湯タンクと、圧縮機、冷媒水熱交換器、減圧器、蒸発器を備え、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記ヒートポンプ式加熱手段の前記冷媒水熱交換器の水側と前記貯湯タンクとを循環可能に接続する循環ポンプを有したヒーポン循環回路と、前記貯湯タンクの湯水を給湯するための給湯管とを備えたものが知られている。(特許文献1)
【0003】
また、給湯先までの高低差が大きく給湯圧力が不足する場合に、給湯管途中に給湯圧を加圧するための給湯加圧ポンプを設けた構成も知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−263393号公報
【特許文献2】特開2007−263394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの給湯装置においては、給湯の配管が長いために蛇口(給湯栓)をひねってから、冷たい配管内の水が出終わって、お湯が出てくるまでに長い時間が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は前記課題を解決するため、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの湯水を給湯するための給湯管と、この給湯管途中に設けられ、給湯水を加圧給湯する給湯加圧ポンプと給湯管の末端に給湯栓を備えた給湯装置に於いて、前記給湯加圧ポンプの回転数を制御する給湯加圧ポンプ制御手段を設け、この給湯加圧ポンプ制御手段は前記給湯栓からの給湯運転開始時の所定時間、給湯加圧ポンプの回転数を通常の給湯時よりも高い回転数で運転するようにした。
【発明の効果】
【0007】
給湯開始時のお湯の流量を一時的に多くすることで、冷たい水を捨てお湯が出始めるまでの時間を短縮することができるものである。
また、配管の長さに応じた給湯加圧ポンプの回転数を設定することで、安定した出湯量を確保することができ、無駄なお湯の使用や、無駄な電力を使用することが少なくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施形態の給湯装置の概略構成図。
【図2】同給湯加圧ポンプの回転数と時間の関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段、3は前記貯湯タンク1の下部に接続された加熱往き管4および前記貯湯タンク1の上部に接続された加熱戻り管5よりなるヒーポン循環回路、6は前記貯湯タンク1の下部に接続され貯湯タンク1に水を給水する給水管、7は前記貯湯タンク1の上部に接続され貯湯されている高温水を出湯する出湯管である。
【0010】
8は給水管6から分岐された給水バイパス管、9は出湯管7からの湯と給水バイパス管8からの水を混合して給湯設定温度の湯とする混合弁、10は混合弁9で混合後の湯水を給湯栓11へ給湯するための給湯管、12は給湯管途中に設けられ、給湯温度を検出する給湯温度センサ、13は給水管6に設けられ、貯湯タンク1にかかる給水圧を減圧する減圧弁、14は貯湯タンク1内の湯水の加熱に伴う膨張水を逃がす逃がし弁、15は貯湯タンク1の側面上下にわたり複数設けられ、貯湯タンク1内の湯の温度を検出する貯湯温度センサである。
【0011】
16は給湯管10途中に設けられ、給湯水を加圧給湯するための給湯加圧ポンプ、17は給湯加圧ポンプ16の上流側にに設けられ、配管内の温水流量を測定して給湯栓11が開かれたことを検知するための給湯フローセンサである。
【0012】
前記ヒートポンプ式加熱手段2は、冷媒を圧縮する圧縮機18と、高温高圧の冷媒と貯湯タンク1内の湯水とを熱交換する冷媒水熱交換器19と、冷媒水熱交換器19通過後の冷媒を減圧させる減圧器としての電子膨張弁20と、電子膨張弁20からの低温低圧の冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器21とを冷媒配管で環状に接続したヒートポンプサイクル22と、冷媒水熱交換器19の水側のヒーポン循環回路3途中に設けられて貯湯タンク1の湯水を循環させる循環ポンプ23とから構成されている。ここで、前記冷媒水熱交換器19は冷媒の流動方向と被加熱水の流動方向が対向する対向流式の熱交換器である。
【0013】
24は圧縮機18と冷媒水熱交換器19との間に設けられ、冷媒の吐出温度を検出する冷媒吐出温度センサ、25は冷媒水熱交換器19と電子膨張弁20との間に設けられ、冷媒の冷媒水熱交換器19からの流出温度を検出する流出温度センサ、26は空気熱交換器21の空気入口側に設けられ、外気温度を検出する外気温度センサ、27は冷媒水熱交換器19の水側の入水温度を検出する入水温度センサ、28は冷媒水熱交換器19の水側の沸き上げ温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
29は各センサの出力を受けて各機器の作動を制御してヒートポンプ式給湯装置を運転させるマイクロコンピュータ等から成る制御手段で、過去の給湯量の最大値や平均値等の湯の使用実績を貯湯温度センサ12で検出する貯湯タンク2の残湯量および昼間の沸き増し運転の実績から推測し、翌日の給湯量の予測量を確保できるように目標沸き上げ温度を65℃から90℃の範囲で決定し、外気温度、目標沸き上げ温度や入水温度から予め記憶されたデータテーブルを参照して圧縮機18の運転周波数および循環ポンプ23の運転周波数を決定し、その運転周波数で運転されるよう制御して沸き上げ運転を行わせるものである。
【0015】
また、前記制御手段29の中には、給湯加圧ポンプ制御手段をとしての加圧ポンプ制御部30が設けられ、この給湯加圧ポンプ制御部30によって給湯加圧ポンプ16の回転数1000rpm〜4000rpmの範囲で多段階に変化するものであり、通常時の回転数、給湯開始時の所定時間、給湯加圧ポンプ16の回転数を通常時よりも増加させることで、配管内の冷たい水を捨てお湯が出始めるまでの時間を短縮することができるものである。
【0016】
31は前記給湯加圧ポンプ16から給湯栓11までの実際の配管長さを概略でリモコン等の操作部から入力設定する配管長入力手段で、ここで入力された配管長に応じて前記加圧ポンプ制御部30にて給湯加圧ポンプ16の通常の回転数と、運転開始時の回転数と、運転開始時に高回転を行う時間が、予め記憶されてあるテーブルを基に決定されるものであり、図2で示すように配管の長さに応じて、配管が長いほど給湯加圧ポンプ16の回転数は高くなり、給湯開始時の高回転運転時間も長くなるものである。
【0017】
例えば、配管の長さが約15mの場合、給湯栓11が開かれると、制御手段29は、給湯フローセンサ17で給湯栓11が開かれたことを検知し、給湯加圧ポンプ16を高回転の運転周波数(4,000rpm)で駆動する。この回転数を給湯開始時より30秒間継続すると、配管内の冷たい水が無くなりお湯に変わるので通常時の回転数(3,500rpm)まで回転を落として運転するので、お湯が出始めるまでの時間を短縮することができるものである。
【0018】
そして、貯湯タンク1の下部の給水管6から市水が流入し、貯湯タンク1上部から深夜時間帯に沸き上げられて貯湯されている高温の湯が出湯管7へ出湯され、出湯管7からの高温の湯と給水バイパス管8からの市水とが混合弁9で混合される。ここで、制御手段29は、給湯温度センサ12で検出する混合後の給湯温度がリモートコントローラ(図示せず)等で設定された給湯設定温度になるように混合弁9の混合比率を調整し、給湯設定温度の湯が給湯栓11から高圧力で給湯されるようにしている。
【0019】
このように給湯開始時のお湯の流量を一時的に多くすることで、冷たい水を捨てお湯が出始めるまでの時間を短縮することができるものである。
また、配管の長さに応じた給湯加圧ポンプの回転数を設定することで、安定した出湯量を確保することができ、無駄なお湯の使用や、無駄な電力を使用することが少なくなるものである。
【0020】
なお、本発明は上記した一実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変可能なもので、例えば、ヒートポンプ式給湯装置自体を貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットと加圧ポンプユニットの複数に分割構成し、制御手段29も複数の制御手段に分割してもよいものである。
【符号の説明】
【0021】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
4 給湯管
11 給湯栓
16 給湯加圧ポンプ
17 給湯フローセンサ
29 制御手段
30 加圧ポンプ制御部(給湯加圧ポンプ制御手段)
31 配管長入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの湯水を給湯するための給湯管と、この給湯管途中に設けられ、給湯水を加圧給湯する給湯加圧ポンプと給湯管の末端に給湯栓を備えた給湯装置に於いて、前記給湯加圧ポンプの回転数を制御する給湯加圧ポンプ制御手段を設け、この給湯加圧ポンプ制御手段は前記給湯栓からの給湯運転開始時の所定時間、給湯加圧ポンプの回転数を通常の給湯時よりも高い回転数で運転することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記給湯加圧ポンプから給湯栓までの配管長さを設定する配管長入力手段を設け、前記配管長に応じて、給湯加圧ポンプの通常回転数と、給湯運転開始時の回転数と、給湯運転開始時の所定時間とを設定することを特徴とする請求項1記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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