説明

給湯装置

【課題】停電時の給湯可能時間を長くすることができる給湯装置を提供する。
【解決手段】商用電源34の停電を検知する停電検知部12と、停電検知部12により商用電源34の停電が検知され、且つ、複数のリモコン40,50の何れかが優先モードとされているときに、該優先モードに設定されているリモコンについてのみ、給湯装置本体1の作動状態を含む第1表示を表示部41,51に表示させ、非優先モードとなっている他のリモコンについては、第1表示よりも表示情報が少なく表示のための消費電力が第1表示よりも少ない第2表示を、表示部41,51に表示させるリモコン表示制限部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電用のバックアップ電池を備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯装置本体と、給湯装置本体を遠隔操作するためのリモコンを備えた給湯装置において、給湯装置本体に充電式の電池を組み込んで、停電時に電池をバックアップ電源として利用することにより、停電時にも給湯と追焚きができるようにした給湯装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−14855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給湯装置のリモコンの仕様としては、給湯装置本体とリモコンを通信ケーブルにより接続し、給湯装置本体から通信ケーブルを介してリモコンに電源供給する構成が一般的である。
【0005】
そして、この仕様のリモコンを備えた給湯装置において、給湯装置本体に停電バックアップ電源として電池を備えたときには、商用電源の停電が生じたときに、給湯装置本体に組み込まれた電池の出力電力をリモコンに供給することになる。そのため、停電中のリモコンの消費電力が大きいほど、電池の消耗が大きくなって給湯装置本体による給湯可能時間が短くなる。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、停電中のリモコンの消費電力を低減して、停電中の給湯可能時間を長くすることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、電池と、商用電源及び前記電池と接続され、該商用電源から電力が供給されているときは、該商用電源から供給される電力に基づく第1電力を出力し、該商用電源からの電力供給が停止しているときには、前記電池から供給される電力に基づく第2電力を出力する電源回路と、前記電源回路から供給される前記第1電力又は前記第2電力により作動する給湯装置本体と、表示部及び操作部を有して前記給湯装置本体と通信ケーブルにより接続され、前記給湯装置本体から前記通信ケーブルを介して供給される電力により作動して、前記給湯装置本体を遠隔操作する複数のリモコンと、前記各リモコンにおける所定の優先設定操作に応じて、該優先設定操作がなされたリモコンを前記給湯装置本体からの給湯温度の設定が可能な優先モードにすると共に、他のリモコンを該給湯温度の設定が不能な非優先モードにするリモコン優先設定部とを備えた給湯装置の改良に関する。
【0008】
そして、前記商用電源の停電を検知する停電検知部と、前記停電検知部により前記商用電源の停電が検知され、且つ、前記複数のリモコンの何れかが前記優先モードにされているときに、該優先モードにされているリモコンについてのみ、前記給湯装置本体の作動状態を含む第1表示を前記表示部に表示させ、非優先モードになっている他のリモコンについては、前記第1表示よりも表示情報が少なく表示のための消費電力が前記第1表示よりも少ない第2表示を、前記表示部に表示させるリモコン表示制限部とを備えたことを特徴とする(第1発明)。
【0009】
第1発明によれば、前記商用電源が停電しているときに、前記リモコン表示制限部により、前記優先モードとなっているリモコンのみが前記表示部に前記第1表示を行い、非優先モードとなっている他のリモコンは、前記第1表示よりも消費電力が少ない前記第2表示を行う。このように、前記第1表示を行うリモコンを、優先モードとされていて、使用者による操作頻度が高いと想定されるリモコンに限定することによって、使用者の利便性を確保しつつ、全てのリモコンに前記第1表示を行う場合よりも、給湯装置本体から各リモコンに供給する総電力を低減することができる。そのため、前記電池の放電電力を減少させて、前記商用電源の停電中における前記給湯装置本体の給湯可能時間を長くすることができる。
【0010】
また、第1発明において、前記各リモコンは、前記商用電源の停電中に前記非優先モードとなっているときには、前記優先設定操作以外の操作の受付を禁止することを特徴とする(第2発明)。
【0011】
第2発明によれば、前記非優先モードとなっているリモコンについて、前記優先設定操作による給湯温度を行うリモコンの切替えを可能にしつつ、前記優先設定操作以外の操作の受付を禁止することにより、操作の受付のための処理に伴う電力消費を削減することができる。
【0012】
また、第1発明又は第2発明において、前記各リモコンは、前記商用電源の停電中に前記非優先モードとなっているときには、前記表示部に停電中であることを報知する表示を行うことを特徴とする(第3発明)。
【0013】
第3発明によれば、前記第2表示を行っている前記非優先モードのリモコンを視認した使用者が、給湯装置の故障であると誤認することを防止することができる。
【0014】
また、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記リモコンは、音による報知を行なう音報知部を備え、前記商用電源が停電中であるときに、前記音報知部の上限出力を、前記商用電源の停電が生じていないときよりも減少させることを特徴とする(第4発明)。
【0015】
第4発明によれば、前記商用電源が停電中であるときに、前記リモコンの前記音報知部の上限出力を、前記商用電源の停電が生じていないときよりも減少させることによって、音出力のための前記電池の出力電力を低減して、前記給湯装置本体による給湯可能時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の給湯装置の構成図。
【図2】図1に示した給湯装置本体のコントローラの作動フローチャート(1/2)。
【図3】図1に示した給湯装置本体のコントローラの作動フローチャート(2/2)。
【図4】無停電電源を採用した給湯装置の第1構成図。
【図5】無停電電源を採用した給湯装置の第2構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0018】
図1を参照して、本実施形態の給湯装置は、給湯装置本体1と、給湯装置本体1を遠隔操作するための浴室リモコン40及び台所リモコン50とにより構成されている。なお、さらに、増設リモコン60を給湯装置本体1に接続することも可能である。給湯装置本体1と、浴室リモコン40,台所リモコン50,及び増設リモコン60とは、通信ケーブル20〜22により接続される。
【0019】
給湯装置本体1は、給水管(図示しない)に供給される水を、ガス或いは灯油バーナ等により加熱される熱交換器内を流通させることにより加熱して、給湯管(図示しない)に出湯する。給湯装置本体1は、電源回路30と、電源回路30から供給される電力により作動して、給湯装置本体1の作動を制御するコントローラ10とを備えている。
【0020】
電源回路30は、商用電源34(例えば、AC100Vの商用電源)及び電池35(例えば、DC12Vの蓄電池)と接続され、商用電源34から出力される交流電力を直流電力P1(本発明の第1電力に相当する)に変換する整流回路31と、選択回路32と、商用電源34の停電を検知する停電検知回路33とを備えている。
【0021】
選択回路32は、整流回路31から電力が供給されているときは、整流回路31からの電力P1を出力する。また、商用電源34の停電により、整流回路31からの電力供給が停止しているときには、選択回路32は、電池35からの電力P2(本発明の第2電力に相当する)を出力する。
【0022】
電池35は蓄電池(2次電池)であり、商用電源34から供給される電力により充電される。なお、電池35に1次電池を用いてもよい。停電検知回路33は、商用電源34の停電を検知しているときに、停電検知信号をコントローラ10に出力する。コントローラ10は、この停電検知信号の受信により商用電源34の停電を認識する。
【0023】
コントローラ10は、電源回路30から供給される電力を、通信ケーブル20〜22を介して、浴室リモコン40、台所リモコン50、及び増設リモコン60の作動用電源として供給する。
【0024】
コントローラ10と、浴室リモコン40、台所リモコン50、及び増設リモコン60とは、通信ケーブル20〜22を介した電源重畳通信により、双方向通信を行う。浴室リモコン40、台所リモコン50、及び増設リモコン60には、表示部41,51,61と、運転スイッチ42,52,62等の各種スイッチ(本発明の操作部に相当する)と、音声等を出力するスピーカ43,53,63(本発明の音報知部に相当する)が備えられている。
【0025】
運転スイッチ42,52,62は、給湯装置を、給湯運転が可能であって、各リモコンのスイッチ部の操作を有効とすると共に、表示部41,51,61に給湯装置本体1の運転状況等を表示する運転モードと、給湯運転が不能であって、各リモコンの操作部の運転スイッチ42,52,62の操作以外を無効とすると共に、表示部41,51,61を消灯する待機モードとの切替えを指示するためのスイッチである。
【0026】
運転スイッチ42は、運転モードであるときに点灯されるLED42aを内蔵している。同様に、運転スイッチ52はLED52aを内蔵し、運転スイッチ62はLED62aを内蔵している。
【0027】
また、浴室リモコン40は、浴室リモコン40を優先モードと非優先モードに切替えるための優先スイッチ45を備えている。優先モードは、他のリモコンに優先して給湯装置本体1の給湯温度の設定操作が可能なモードであり、非優先モードは、給湯温度の設定操作が不能なモードである。
【0028】
浴室リモコン40が優先モードであるときは、使用者は、浴室リモコン40の温度設定スイッチ(図示しない)を操作して、給湯装置本体1の給湯温度を設定することができる。一方、浴室リモコン40が非優先モードであるときには、使用者は、浴室リモコン40により給湯温度を設定することができない。
【0029】
優先スイッチ45はLED45aを内蔵しており、浴室リモコン40が優先モードであるときはLED45aが点灯され、浴室リモコン40が非優先モードであるときにはLED45aが消灯される。
【0030】
また、台所リモコン50及び増設リモコン60は、優先スイッチを備えていないが、使用者は、運転スイッチ52,62の操作により、台所リモコン50及び増設リモコン60を優先モードとすることができる。
【0031】
例えば、浴室リモコン40が優先モードになっているときに、使用者が台所リモコン50の運転スイッチ52を操作して給湯装置を一旦待機モードにしてから、運転スイッチ52を再び操作して給湯装置を運転モードにすると、台所リモコン50が優先モードとなり、浴室リモコン40は非優先モードになる。
【0032】
同様に、増設リモコン60についても、運転スイッチ62の操作により優先モードにすることができ、浴室リモコン40についても、運転スイッチ42の操作により優先モードにすることができる。
【0033】
なお、このように、浴室リモコン40の運転スイッチ42及び優先スイッチ45、台所リモコン50の運転スイッチ52、増設リモコン60の運転スイッチ62により、優先モードにする操作が、本発明の優先設定操作に相当する。
【0034】
浴室リモコン40、台所リモコン50、及び増設リモコン60は、操作部の各スイッチの操作状況を示す操作状況信号をコントローラ10に送信する。また、浴室リモコン40、台所リモコン50、及び増設リモコン60は、コントローラ10から送信される表示制御信号に応じて、表示部41,51,61の表示を制御する。
【0035】
浴室リモコン40にはマイクロコンピュータ44が備えられ、マイクロコンピュータ44により浴室リモコン40の作動が制御される。同様に、台所リモコン50はマイクロコンピュータ54により作動が制御され、増設リモコン60はマイクロコンピュータ64により作動が制御される。
【0036】
コントローラ10は、図示しないCPU、メモリ、入出力インターフェース等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された給湯装置の制御用プログラムをCPUで実行することによって、給湯装置の給湯動作を制御する給湯制御部11、停電検知回路33からの停電検知信号を受信して商用電源34の停電を検知する停電検知部12、各リモコン40,50,60の操作に応じて、いずれかのリモコンを優先モードとすると共に、他のリモコンを非優先モードとするリモコン優先設定部13、及び、商用電源34に停電が生じているときに、非優先モードになっているリモコンの表示を制限して、省電力を図るリモコン表示制限部14として機能する。
【0037】
以下、図2及び図3に示したフローチャートに従って、商用電源34の停電が生じているときの給湯装置本体1と、浴室リモコン40及び台所リモコン50における処理について説明する。
【0038】
図2〜図3は給湯装置本体1のコントローラ10による処理である。コントローラ10は、電源回路30からの電力供給が開始されると起動し、通信ケーブル20,21を介した浴室リモコン40及び台所リモコン50への電源供給を開始する。
【0039】
この電源供給により、浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44及び台所リモコン50のマイクロコンピュータ54が起動し、コントローラ10と、浴室リモコン40及び台所リモコン50とは、所定のタイミングでの双方向通信を開始する。
【0040】
コントローラ10は、STEP1で給湯装置を待機モードとする。続くSTEP2で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に対して、表示部41,51の表示を消灯(表示なし)する制御信号を送信する。
【0041】
この制御信号を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41を消灯状態とする。同様に、台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51を消灯状態とする。
【0042】
次のSTEP3で、コントローラ10は、台所リモコン50の運転スイッチ52がONしているか否かを判断する。そして、運転スイッチ52がONしているときは図3のSTEP12に分岐し、運転スイッチ52がONしていないときにはSTEP4に進む。
【0043】
STEP4で、コントローラ10は、浴室リモコン40の運転スイッチ42がONしているか否かを判断する。そして、運転スイッチ42がONしているときはSTEP5に進み、運転スイッチ42がONしていないときにはSTEP3に戻る。
【0044】
STEP5で、コントローラ10は給湯装置を運転モードに設定し、続くSTEP6で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に「運転ランプ点灯信号」を送信する。この「運転ランプ点灯信号」の受信に応じて、浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、運転スイッチ42の内蔵LED42aを点灯させる。また、台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、運転スイッチ52の内蔵LED52aを点灯させる。
【0045】
次のSTEP7はリモコン優先設定部13による処理である。リモコン優先設定部13は、運転スイッチ42による運転モードへの切替操作がなされた浴室リモコン40を優先モードに設定し、台所リモコン50を非優先モードに設定する。
【0046】
リモコン優先設定部13は、浴室リモコン40に対して「優先モード設定信号」を送信し、この「優先モード設定信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、優先スイッチ45の内蔵LED45aを点灯させて、浴室リモコン40を優先モードで作動させる。
【0047】
また、リモコン優先設定部13は、台所リモコン50に対して「非優先モード設定信号」を送信し、この「非優先モード設定信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、優先モードとなっていることを示す表示部51への優先表示をOFFして、台所リモコン50を非優先モードで作動させる。
【0048】
続くSTEP8は停電検知部12による処理である。停電検知部12は、停電検知回路33からの停電検知信号の入力の有無により、商用電源34が停電中であるか否かを判断する。そして、商用電源34が停電中であればSTEP30に分岐し、商用電源34が停電中でなければSTEP9に進む。
【0049】
STEP9で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に、「通常表示許可信号」を送信する。この「通常表示許可信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41に、給湯装置本体1の作動状態(バーナ燃焼中、給湯温度等)の表示を含む第1表示を行う。同様に、「通常表示許可信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51に第1表示を行う。
【0050】
続くSTEP10で、コントローラ10は、浴室リモコン40の運転スイッチ42又は台所リモコン50の運転スイッチ52がONしているか否かを判断する。そして、運転スイッチ42又は運転スイッチ52がONしているときにはSTEP1に分岐し、給湯装置を待機モードに設定する。
【0051】
また、運転スイッチ42及び運転スイッチ52がいずれもONしていないときにはSTEP11に進み、コントローラ10は、浴室リモコン40の優先スイッチ45がONしているか否かを判断する。そして、優先スイッチ45がONしているときは図3のSTEP14に進み、台所リモコン50を優先モードに設定すると共に、浴室リモコン40を非優先モードに設定する。
【0052】
一方、優先スイッチ42がONしていないときにはSTEP7に戻り、この場合は、浴室リモコン40が優先モードに設定され、台所リモコン50が非優先モードに設定された状態が維持される。
【0053】
STEP30〜STEP31はリモコン表示制限部14による処理である。リモコン表示制限部14は、STEP30で、台所リモコン50に「省電力表示信号」を送信する。この「省電力表示信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51への表示を、表示項目を高温警告ランプ等に限定して前記第1表示よりも少なくし、表示に伴う消費電力を第1表示よりも減少させて第2表示とする。
【0054】
また、次のSTEP31で、リモコン表示制限部14は、浴室リモコン40に「通常表示許可信号」を送信する。この「通常表示許可信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41に前記第1表示を行う。
【0055】
STEP30〜STEP31の処理により、第1表示を行うリモコンを優先モードに設定されている浴室リモコン40のみに限定し、他のリモコン(本実施形態では台所リモコン50)については、第1表示よりも消費電力が少ない第2表示を行うことにより、全てのリモコンにおいて第1表示を行うときよりも、コントローラ10から各リモコンに供給される総電力を減少させることができる。
【0056】
そのため、電池35の出力電力を低減させて、商用電源34の停電中における給湯装置本体1の給湯可能時間を長くすることができる。
【0057】
続くSTEP32で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に、「停電表示信号」を送信してSTEP10に進む。この「停電表示信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41に、商用電源34が停電中であることを報知する表示を行う。同様に、「停電表示信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51に、商用電源34が停電中であることを報知する表示を行う。
【0058】
そして、これらの表示によって、商用電源34の停電により、台所リモコン50の表示部51への表示が第2表示に制限されていることを使用者に認識させ、給湯装置の故障により表示部51の表示が通常の第1表示と異なるものになっていると、使用者が誤認することを防止している。
【0059】
次に、台所リモコン50の運転スイッチ52のONにより、STEP3からYES分岐した図3のSTEP12で、コントローラ10は給湯装置を運転モードに設定し、続くSTEP13で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に、「運転ランプ点灯信号」を送信する。
【0060】
この「運転ランプ点灯信号」の受信に応じて、浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、運転スイッチ42の内蔵LED42aを点灯させる。また、台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、運転スイッチ52の内蔵LED52aを点灯させる。
【0061】
次のSTEP14は、リモコン優先設定部13による処理である。リモコン優先設定部13は、運転スイッチ52による運転モードへの切替操作がなされた台所リモコン50を優先モードに設定し、浴室リモコン40を非優先モードに設定する。
【0062】
リモコン優先設定部13は、台所リモコン40に対して「優先モード設定信号」を送信し、この「優先モード設定信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51に優先モードになっていることを示す優先表示をONして、台所リモコン50を優先モードで作動させる。
【0063】
また、リモコン優先設定部13は、浴室リモコン40に対して「非優先モード設定信号」を送信し、この「非優先モード設定信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、優先スイッチ45の内蔵LED45aを消灯して浴室リモコン40を非優先モードで作動させる。
【0064】
続くSTEP15は停電検知部12による処理である。停電検知部12は、停電検知回路33からの停電検知信号の入力の有無により、商用電源34が停電中であるか否かを判断する。そして、商用電源34が停電中であればSTEP40に分岐し、商用電源34が停電中でなければSTEP16に進む。
【0065】
STEP16で、コントローラ10は、浴室リモコン40及び台所リモコン50に、「通常表示許可信号」を送信する。この「通常表示許可信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41に第1表示を行う。同様に、「通常表示許可信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51に第1表示を行う。
【0066】
続くSTEP17で、コントローラ10は、浴室リモコン40の運転スイッチ42又は台所リモコン50の運転スイッチ52がONしているか否かを判断する。そして、運転スイッチ42又は運転スイッチ52がONしているときには図2のSTEP1に分岐し、給湯装置を待機モードに設定する。
【0067】
また、運転スイッチ42及び運転スイッチ52がいずれもONしていないときにはSTEP18に進み、コントローラ10は、浴室リモコン40の優先スイッチ45がONしているか否かを判断する。そして、優先スイッチ45がONしているときは図2のSTEP7に進み、浴室リモコン40を優先モードに設定すると共に、台所リモコン50を非優先モードに設定する。
【0068】
一方、優先スイッチ45がONしていないときにはSTEP14に戻り、この場合は、台所リモコン50が優先モードに設定され、浴室リモコン40が非優先モードに設定された状態が維持される。
【0069】
STEP40〜STEP41はリモコン表示制限部14による処理である。リモコン表示制限部14は、STEP40で、浴室リモコン40に「省電力表示信号」を送信する。この「省電力表示信号」を受信した浴室リモコン40のマイクロコンピュータ44は、表示部41への表示を、上述した第2表示とする。
【0070】
また、次のSTEP41で、リモコン表示制限部14は、台所リモコン50に「通常表示許可信号」を送信する。この「通常表示許可信号」を受信した台所リモコン50のマイクロコンピュータ54は、表示部51に上述した第1表示を行う。
【0071】
STEP40〜STEP41の処理により、第1表示を行うリモコンを優先モードに設定されている台所リモコン50のみに限定し、他のリモコン(本実施形態では浴室リモコン40)については、第1表示よりも消費電力が少ない第2表示を行うことにより、全てのリモコンにおいて第1表示を行うときよりも、コントローラ10から各リモコンに供給される総電力を減少させることができる。
【0072】
そのため、電池35の出力電力を低減させて、商用電源34の停電中における給湯装置本体1の給湯可能時間を長くすることができる。
【0073】
続くSTEP42で、コントローラ10は、図2のSTEP32と同様に、浴室リモコン40及び台所リモコン50に、「停電表示信号」を送信してSTEP17に進む。
【0074】
なお、商用電源34が停電中であるときに、浴室リモコン40のスピーカ43及び台所リモコン50のスピーカ53の出力の上限を、商用電源34の停電が生じていないときよりも低くするようにして、浴室リモコン40及び台所リモコン50の消費電力をさらに低減させてもよい。
【0075】
次に、図4は、停電バックアップ用に無停電電源70を採用した他の構成例であり、商用電源34が停電したときに、無停電電源70に内蔵された電池の出力電力により交流電力を生成して、停電時にも交流電力Pacを給湯装置本体1aに供給する。なお、上述した図1の給湯装置とは、停電検知部12aと電源回路80の構成が相違しており、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
給湯装置本体1aは、無停電電源70から供給される交流電力Pacを整流して直流電力Pdcを出力する電源回路80を備え、コントローラ10aは、電源回路80から供給される直流電力Pdcにより作動する。
【0077】
無停電電源70に備えられた停電検知回路71は、停電検知用端末90と接続され、停電検知用端末90に停電検知信号Pfsを出力する。停電検知用端末90は、コントローラ10aと通信ケーブル23により接続され、停電検知信号Pfsをコントローラ10aに中継する。通信ケーブル23による通信仕様は、通信ケーブル20,21による浴室リモコン40及び台所リモコン50との通信仕様と同一である。
【0078】
そして、コントローラ10aの停電検知部12aは、無停電電源70の停電検知回路71から出力された停電検知信号Pfsの受信の有無により、商用電源34の停電を検知する。図4の構成によれば、商用電源34の停電を検知するための構成を、無停電電源70に備えられた停電検知回路71を流用し、また、通信ケーブル23及び停電検知用端末90によるインターフェースを用いて、容易に構成することができる。
【0079】
次に、図5は、図4の構成に対して、台所リモコン50aに無停電電源70の停電検知回路71との接続インターフェース(接続コネクタ+インターフェース回路)55を備えた構成である。この構成による場合は、図4の停電検知用端末90と通信ケーブル23を不要とすることができる。
【0080】
なお、図5では、無停電電源70の停電検知回路71との接続インターフェース55を備えた台所リモコン50aを示したが、浴室リモコン40又は増設リモコン60(図1参照)に、接続インターフェース55を備える構成としてもよい。
【0081】
なお、本実施形態においては、図2のSTEP32の処理、及び図3のSTEP42の処理により、商用電源34が停電中であるときに、浴室リモコン40の表示部41及び台所リモコン50の表示部51に停電中であることを報知する表示を行ったが、この表示を行わない場合にも本発明の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1…給湯装置本体、10…コントローラ、11…給湯制御部、12…停電検知部、13…リモコン優先設定部、14…リモコン表示制限部、30…電源回路、31…整流回路、32…選択回路、33…停電検知回路、34…商用電源、35…電池、20〜22…通信ケーブル、40…浴室リモコン、41…表示部、42…運転スイッチ、43…スピーカ、44…マイクロコンピュータ、45…優先スイッチ、50…台所リモコン、51…表示部、52…運転スイッチ、53…スピーカ、54…マイクロコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
商用電源及び前記電池と接続され、該商用電源から電力が供給されているときは、該商用電源から供給される電力に基づく第1電力を出力し、該商用電源からの電力供給が停止しているときには、前記電池から供給される電力に基づく第2電力を出力する電源回路と、
前記電源回路から供給される前記第1電力又は前記第2電力により作動する給湯装置本体と、
表示部及び操作部を有して前記給湯装置本体と通信ケーブルにより接続され、前記給湯装置本体から前記通信ケーブルを介して供給される電力により作動して、前記給湯装置本体を遠隔操作する複数のリモコンと、
前記各リモコンにおける所定の優先設定操作に応じて、該優先設定操作がなされたリモコンを前記給湯装置本体からの給湯温度の設定が可能な優先モードにすると共に、他のリモコンを該給湯温度の設定が不能な非優先モードにするリモコン優先設定部と
を備えた給湯装置において、
前記商用電源の停電を検知する停電検知部と、
前記停電検知部により前記商用電源の停電が検知され、且つ、前記複数のリモコンの何れかが前記優先モードにされているときに、該優先モードにされているリモコンについてのみ、前記給湯装置本体の作動状態を含む第1表示を前記表示部に表示させ、非優先モードになっている他のリモコンについては、前記第1表示よりも表示情報が少なく表示のための消費電力が前記第1表示よりも少ない第2表示を、前記表示部に表示させるリモコン表示制限部と
を備えたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記各リモコンは、前記商用電源の停電中に前記非優先モードとなっているときには、前記優先設定操作以外の操作の受付を禁止することを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯装置において、
前記各リモコンは、前記商用電源の停電中に前記非優先モードとなっているときには、前記表示部に停電中であることを報知する表示を行うことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載の給湯装置において、
前記リモコンは、音による報知を行なう音報知部を備え、前記商用電源が停電中であるときに、前記音報知部の上限出力を、前記商用電源の停電が生じていないときよりも減少させることを特徴とする給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36653(P2013−36653A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172059(P2011−172059)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】