説明

給紙方法および給紙装置

【課題】
手作業によることなくリフト上に補充した新たな堆積紙に積み重ねることで搬送作業効率を向上させる。
【解決手段】
給紙方法は、堆積紙端面撮影工程と、画像処理工程と、リーム分離工程と、リーム把持工程と、給紙工程とを有する給紙方法において、画像処理工程における画像処理結果に基づき、堆積紙22の残りが1枚以上かつ所定枚数未満であるかを検出する残り枚数検出工程と、堆積紙22の残り枚数が1枚以上かつ所定枚数未満であるときは、残りの堆積紙22をグリップにより把持して次工程テーブ31ルに一時退避する堆積紙一時退避工程と、堆積紙一時退避工程により堆積紙22が一時退避されているときは、堆積紙リフトに堆積紙23の補充を行う堆積紙補充工程と、堆積紙22を前記補充された前記堆積紙23に積み重ねる退避堆積紙積み重ね工程とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆積紙を順次リームに分離して次工程テーブルに搬送する給紙方法および給紙装置に関し、リフト上の堆積紙の枚数が一リームの枚数に満たないときに当該堆積紙を手作業によることなくリフト上に補充した新たな堆積紙に積み重ねることで搬送作業効率を向上させることができる前記給紙方法および前記給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堆積紙を所定枚数からなるリームに順位分離して次工程に搬送する技術が知られている(特許文献1等参照)。この種の技術では、カメラにより堆積紙端面を撮影し、画像処理により上からN枚数目の紙とN+1枚目の紙と境界位置を求め、当該位置に分離ブレードを挿入し、画像処理により上から1枚目からN枚数目の紙を一リームとしてリーム把持手段により把持して、次の工程に搬送している。
【特許文献1】特開2000−171435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術では、堆積紙の残り枚数がN数(一リームを構成する枚数)に満たないといきは、当該残りの堆積紙を、補充されるべき堆積紙に手作業で積み重ねなくてはならない。
【0004】
本発明の目的は、リフト上の堆積紙の枚数が一リームの枚数に満たないときに当該堆積紙を手作業によることなくリフト上に補充した新たな堆積紙に積み重ねることで搬送作業効率を向上させることができる給紙方法および給紙装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の給紙方法は、堆積紙リフト上の堆積紙の上端を含む端面を撮影する堆積紙端面撮影工程と、前記撮影した画像に基づき前記堆積紙リフト上の前記堆積紙上部の紙の所定枚数を計数するとともに、前記堆積紙の分離位置を求める画像処理工程と、前記分離位置に分離ブレードを挿入して前記所定枚数の紙をリームに分離するリーム分離工程と、前記分離した前記リームを把持するリーム把持工程と、把持した前記リームを次工程テーブルに搬送する給紙工程とを有する給紙方法において、前記画像処理工程における画像処理結果に基づき、前記堆積紙の残り枚数がゼロか、1枚以上かつ前記所定枚数未満であるかを検出する残り枚数検出工程と、前記残り枚数検出工程において前記堆積紙の残り枚数が1枚以上かつ前記所定枚数未満であるときは、残りの堆積紙を把持して前記次工程テーブルに一時退避する堆積紙一時退避工程と、前記堆積紙一時退避工程により堆積紙が一時退避されているとき、または画像処理工程において前記堆積紙の残り枚数がゼロであることが検出されたときは、前記堆積紙リフトに堆積紙の補充を行う堆積紙補充工程と、前記堆積紙補充工程により前記堆積紙リフトに前記堆積紙が補充された場合において、前記次工程テーブルに堆積紙が一時退避されているときは当該堆積紙を前記補充された前記堆積紙に積み重ねる退避堆積紙積み重ね工程とを有するものである。
【0006】
本発明の給紙装置は、堆積紙リフト上の堆積紙の上端を含む端面を撮影するカメラと、
前記撮影画像に基づき前記堆積紙リフト上の前記堆積紙上部の紙の所定枚数を計数するとともに、前記堆積紙の分離位置を求める画像処理手段と、前記分離位置に分離ブレードを挿入して前記所定枚数の紙をリームに分離するリーム分離手段と、前記リーム分離手段により分離したリームを把持するリーム把持手段と、前記リーム把持手段により把持した前記リームを次工程テーブルに搬送する給紙手段とを備えた給紙装置において、前記画像処理手段が前記堆積紙の残り枚数が1枚以上かつ前記所定枚数未満であることを検出したときは、前記残りの堆積紙をリーム把持手段により把持して前記次工程テーブルに一時退避する堆積紙一時退避手段と、前記堆積紙一時退避手段に堆積紙が一時退避されているとき、または画像処理手段により前記堆積紙の残り枚数がゼロであることが検出されたときは、前記堆積紙リフトに堆積紙の補充を行う堆積紙補充手段と、前記堆積紙補充手段により堆積紙が堆積紙リフトに補充された場合において、前記次工程テーブルに堆積紙が一時退避されているときは当該堆積紙を前記補充された前記堆積紙に積み重ねる退避堆積紙積重ね手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、リフト上の堆積紙の枚数が一リームの枚数に満たないときは当該堆積紙を次工程のテーブルに一時退避させ、リフト上に新たな堆積紙を補充した後に、当該補充した堆積紙に前記一時退避させた補充紙を積み重ねている。したがって、搬送作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1(A),(B)は本発明の給紙装置の一実施形態を示す説明図である。
図1(A)において給紙装置11は、カメラ111と、画像処理手段112と、リーム分離手段113と、リーム把持手段114と、給紙手段115と、堆積紙一時退避手段116と、堆積紙補充手段117と、退避堆積紙積重ね手段118を備えている。
【0009】
カメラ111は、図1(B)に示す堆積紙リフト21上の堆積紙22の上端を含む端面Sを撮影することができる。カメラ111は、CCDカメラ等のデジタル画像処理を行うことができる撮像装置であり、通常、撮像軸が水平となるように適宜位置に固定されている。
【0010】
画像処理手段112は、カメラ111による撮影画像に基づき堆積紙リフト21上の堆積紙22の上部の紙を所定枚数計数するとともに、堆積紙22の分離位置を求めることができる。
リーム分離手段113は、堆積紙22の分離位置に分離ブレードを挿入して所定枚数の紙をリームに分離することができる。
リーム把持手段114は、リーム分離手段113により分離したリーム(一リームを構成する枚数をNとする。)把持することができる。
【0011】
給紙手段115は、リーム把持手段114により把持したリームを次工程テーブルTに搬送することができる。
堆積紙一時退避手段116は、画像処理手段112が堆積紙22の残り枚数が1枚以上かつ所定枚数未満であることを検出したときは、残りの堆積紙22をリーム把持手段114により把持して次工程テーブルTに一時退避することができる。
【0012】
堆積紙補充手段117は、堆積紙一時退避手段116に堆積紙22が一時退避されているとき、または画像処理手段112により堆積紙22の残り枚数がゼロであることが検出されたときは、堆積紙リフト21に堆積紙の補充(図1(B)では、補充堆積紙を符号23で示す)を行うことができる。
退避堆積紙積重ね手段118は、堆積紙補充手段117により堆積紙が堆積紙リフト21に補充された場合において、次工程テーブルTに堆積紙が一時退避されているときは堆積紙22を補充堆積紙23に積み重ねることができる。
【0013】
図1(A)の給紙装置11により本発明の給紙方法を実施することができる。以下、図2により本発明の給紙方法の一実施形態を図1(A),(B)を参照しつつ説明する。
【0014】
本実施形態の給紙方法は、初期工程(S100)と、堆積紙端面撮影工程(S101)と、画像処理工程(S102)と、リーム分離工程(S109)と、リーム把持工程(S110)と、給紙工程(S111)と、残り枚数検出工程(S103,S104)と、堆積紙一時退避工程(S105)と、堆積紙補充工程(S106,S108)と、退避堆積紙積み重ね工程(S107)とを有している。
【0015】
初期工程S100では、堆積紙リフト21の垂直方向の高さを調整し、分離ブレードをリーム境界に大まかに合せておく。
堆積紙端面撮影工程S101では、堆積紙リフト21上の堆積紙の上端を含む端面を撮影する。
画像処理工程S102では、堆積紙端面撮影工程S101において撮影した画像に基づき堆積紙リフト21上の堆積紙上部の紙の所定枚数を計数するとともに堆積紙22の分離位置を求める。
【0016】
残り枚数検出工程(S103,S104)では、画像処理工程102における画像処理結果に基づき、堆積紙22の残り枚数がゼロか、1枚以上かつ所定枚数(例えば、N)未満か、前記所定枚数(例えば、N)以上かを検出する。
残り枚数検出工程(S103)において、堆積紙22の残り枚数が所定枚数(例えば、N)以上であることが検出されたときは、S103の「NO」は、工程S109〜S111の処理を実行する(図2参照)。リーム分離工程S109では、分離位置に分離ブレードを挿入して所定枚数(例えば、N)の紙をリームに分離する。リーム把持工程S110では、分離したリームを把持する。給紙工程S111では、把持したリームを次工程テーブルに搬送する。
【0017】
残り枚数検出工程(S103,104)において、堆積紙22の残り枚数が1枚以上かつ前記所定枚数(例えば、N)未満であることが検出されたとき(S103の「YES」,S104の「NO」)は、堆積紙一時退避工程S105に処理を移す。
堆積紙一時退避工程S105では、残りの堆積紙を把持して次工程テーブルTに一時退避し、堆積紙補充工程S106により堆積紙リフト21に補充堆積紙23の補充を行う。この後、退避堆積紙積み重ね工程S107において、堆積紙22を、補充堆積紙23に積み重ねた後、処理をリーム分離工程S109に移す。
【0018】
残り枚数検出工程(S103,104)において、堆積紙22の残り枚数がゼロであることが検出されたとき(S103の「YES」,S104の「YES」)は、堆積紙補充工程S108により堆積紙リフト21に補充堆積紙23の補充を行った後、処理をリーム分離工程S109に移す。
【0019】
本発明の給紙装置および給紙方法の詳細な実施形態を以下に説明する。
図3および図4は、給紙装置3および包装システム4を示す側面図および正面図である。なお、説明の便宜上、図3には図4に示すコンピュータ304は図示されておらず、図4には図3に示す包装システム4は図示されていない。
【0020】
図3および図4において、給紙装置3は、床部300と、分離ヘッド駆動装置支持アーム301と、押えプレート駆動装置支持アーム302(図4には示されていない)と、カメラ支持柱303と、コンピュータ304(図3には示されていない)とを備えている。分離ヘッド駆動装置支持アーム301と押えプレート駆動装置支持アーム302は、アーム支持フレーム305から水平移動可能に迫り出して構成される。なお、アーム支持フレーム305は垂直フレーム306の上部からから水平に延びて構成されている。
【0021】
分離ヘッド駆動装置支持アーム301には分離ヘッド駆動装置307が設けられている。分離ヘッド駆動装置307には、分離ヘッド駆動装置支持アーム301に沿って水平移動(堆積紙22の分離操作が行われる端面に平行な方向への移動)を行う水平制御部(図示せず)、分離ブレード3083、グリップ下部材3081およびグリップ上部材3082を独立して垂直方向に動作させる垂直制御部(図示せず)が設けられている。
【0022】
グリップ下部材3081とグリップ上部材3082とがピンサーを構成し、分離ブレード3083とグリップ下部材3081とグリップ上部材3082とが分離ヘッド308を構成する。
【0023】
押えプレート駆動装置支持アーム302には、押えプレート駆動装置310が設けられている。押えプレート駆動装置310には、押えプレート駆動装置支持アーム302に沿って水平移動(堆積紙22の分離操作が行われる端面に平行な方向への移動)を行う水平制御部(図示せず)、押えプレート311を垂直方向に動作させる垂直制御部(図示せず)が設けられている。なお、本実施形態では、図4に示すように、押えプレート駆動装置310の水平位置(押えプレート駆動装置支持アーム302に平行な方向の水平位置)は、分離ヘッド駆動装置307の水平位置(分離ヘッド駆動装置支持アーム301に平行な方向の水平位置)とは、分かり易いように異ならせてあるが同一水平位置であってもよい。
【0024】
また、アーム支持フレーム305には分離ヘッド駆動装置支持アーム301および押えプレート駆動装置支持アーム302を水平移動するアーム水平駆動装置312が設けられている。
【0025】
分離ブレード3083、グリップ下部材3081およびグリップ上部材3082は、図5(A),(B)にも示すように側面視がL字形状に構成されている。図5(A)では、分離ブレード3083がグリップ下部材3081よりも上にある場合を示し、図5(B)では分離ブレード3083がグリップ下部材3081よりも下にある場合を示している。
【0026】
分離ブレード3083およびグリップ下部材3081のL字の垂直部に対応する部分が堆積紙22の端面に平行な垂直平面Pを構成している。また、分離ブレード3083はL字の水平部に対応する部分がヘラ状に構成され、グリップ下部材3081は、L字の水平部に対応する部分が分離ブレード3083の水平部を挟む一対のヘラ状に構成されている。
【0027】
すなわち、グリップ下部材3081は、水平に間隔を隔てて堆積紙22の端面側に突出して構成されている。分離ブレード3083の水平部は、グリップ下部材3081の一対の水平部(ヘラ)の間に配置され、かつグリップ下部材3081と同一方向に突出している。分離ブレード3083の水平部は、グリップ下部材3081の水平部よりも長くかつ先端が刃状に形成されている。グリップ上部材3082はL字の水平部に対応する部分が平板状に形成されており、グリップ下部材3081との間でリームを挟むことができる水平板部を有し、分離ブレード3083およびグリップ下部材3081の垂直平面Pに沿って垂直移動できるように構成されている。
【0028】
押えプレート311は、図5(C)にも示すように側面視がL字形状に構成されており、L字の水平部に対応する部分がヘラ状に構成され、堆積紙22のうち、分離したリームより下の部分を上から押え付けることができる。
【0029】
床部300上には、給紙テーブル313と油圧シリンダ3141とXアーム3142とからなるリフト(図1(B)の堆積紙リフト21に対応する)が設けられており、給紙テーブル313は油圧シリンダ3141の制御により所望の垂直位置で停止することができる。給紙テーブル313には堆積紙22が載置されたパレット315がセットされている。なお、油圧シリンダ3141に代えて、たとえば4点支持等のボールネジアクチュエータを用いることもでき、より垂直方向の精度を高めることができる。
【0030】
カメラ支持柱303には、カメラユニット316が設けられている。カメラユニット316は、図6(A)に示すように、カメラ317(図1では符号111)とフラッシュ光源318とを備えており、堆積紙22の上端を含む端面Sをフラッシュ撮影することができる。なお、本実施形態では、図4に示すように、カメラ317は、分離ブレード3083(またはグリップ下部材3081)の背面に設置されているが、この位置と異なる位置に設置されていてもよい。また、本実施形態ではカメラユニット316をカメラ支持柱303に設けたが、これに限定されず、たとえば押えプレート駆動装置支持アーム302に移動可能に設けることもできる。
【0031】
アーム支持フレーム305には、位置合せユニット支持アーム319が水平に設けられており、位置合せユニット支持アーム319には位置合せユニット320が設けられている。位置合せユニット320は、図6(B)に示すように、カメラ321とレーザ位置検出器322とを備えている。カメラ321は、堆積紙22の端片位置を撮影することができ、レーザ位置検出器322はレーザ光源3221からレーザ光を出射し反射光をフォトダイオード3222により受光することができる。
【0032】
コンピュータ304(図3には示されていない)は、ディスプレイ3041と、操作パネル3042を備えている。コンピュータ304は、各種制御装置、画像処理装置として機能することができる。画像処理装置は、図1(A)の画像処理手段112としての機能を奏する。図7(A),(B)はコンピュータ304を示す図であり、図7(A)に示すように、カメラ317の撮影画像を、ディスプレイ3041に表示することができ、操作パネル3042から一リームを構成する枚数を設定することができる。ファイン制御に際して、画像処理装置は、たとえば濃淡認識により垂直方向の濃淡の繰り返しの個数および高濃度の位置を検出し、制御装置は後述するように分離ブレード3083の先端を所定位置に移動させることができる。また、図7(B)に示すように、カメラ321の撮影画像を、ディスプレイ3041に表示することができ、画像処理装置(図1(A)の画像処理手段112)は、堆積紙22の端辺の位置を検出することができる。
【0033】
堆積紙22のフラッシュ撮影が行われる端面と反対側には包装システム4(図4には示されていない)が設けられている。この包装システム4は、ピンサー制御装置支持アーム401に取り付けられピンサー制御装置402が取り付けられている。ピンサー制御装置支持アーム401は、アーム支持フレーム403から水平移動可能に迫り出して構成される。なお、アーム支持フレーム403は垂直フレーム404の上部からから水平に延びて構成されている。アーム支持フレーム403には、ピンサー制御装置支持アーム401を水平移動するアーム水平駆動装置407が設けられている。
【0034】
ピンサー制御装置402には、ピンサー405が設けられている。ピンサー405は、図5(D)に示すように、側面視がL字形状に構成され、水平板を有するピンサー上部材4052と、グリップ上部材4051との間に、包装テーブル406(図1の次工程テーブルTに対応)に搬送されたリームを挟むことができる。
【0035】
以下、一リームをN枚として分離して包装システム4に搬送する場合の給紙装置3の動作を説明する。
なお、以下に述べるように、図1(A)のカメラ111は、図4および図5のカメラ317等に対応し、図1(A)の画像処理手段112は図5のコンピュータ304等に対応し、図1(A)のリーム分離手段113は、分離ヘッド駆動装置307,分離ブレード3083等に対応し、図1(A)のリーム把持手段114は、分離ヘッド駆動装置307,グリップ下部材3081,グリップ上部材3082等に対応し、図1(A)のリーム搬送手段115,堆積紙一時退避手段116,堆積紙積み重ね手段118は、アーム水平制御装置312,アーム水平駆動装置407等に対応し、図1(A)の堆積紙補充手段117は、後述する自動フォークリフトが対応する。
【0036】
最初に、堆積紙22の残り枚数がN枚以上の場合を説明する。
給紙テーブル313に、堆積紙22が積載されたパレット315を載置し、油圧シリンダ3141を駆動して給紙テーブル313を上昇させ定位置で停止させる。この定位置は、堆積紙22の上面が包装テーブル406の上面位置と同一となるように設定されており、制御装置(コンピュータ304)は、フォトセンサ等により検出した上記定位置に堆積紙22の上面が位置するように、油圧シリンダ3141を駆動する。
【0037】
紙の厚みδと一リームの紙の枚数Nとからリーム厚(δ×N)を求め、堆積紙22の上面から下方δ×Nの位置に分離ブレード3083の先端が位置するように分離ブレード3083をコース制御する。このとき、堆積紙22の上面からN枚目の紙とN+1枚目の紙との境界に、分離ブレード3083の先端が位置しているとは限らない。
【0038】
次に、カメラ317により堆積紙22の上端を含む端面をフラッシュ光源318からフラッシュ光を照射して撮影する。そして、コンピュータ304の画像処理機能により、堆積紙22の上からN枚目までの枚数を計数する。以下、〔1〕堆積紙22にN枚以上の紙があるとき、〔2〕堆積紙22に1枚以上N枚未満(ここではmとする)の紙があるときに分けて説明する。
【0039】
〔1〕堆積紙22にN枚以上の紙があるとき
堆積紙22の上面から下方δ×Nの位置を検出し、分離ブレード3083をファイン制御する。すなわち、分離ブレード3083を垂直に移動することにより、または給紙テーブル313を油圧シリンダ3141により垂直移動ことにより、あるいは。これらの動作を組み合わせることにより、分離ブレード3083の先端を堆積紙22の上面からN枚目の紙とN+1枚目の紙との境界に正確に位置させる。
【0040】
図8(A)にこのときの状態を示す。図8(A)において、床部300の表面から分離ブレード3083の先端までの高さをH1で示す。また、分離ブレード3083のL字の垂直部に対応する部分と、堆積紙22の端面Sまでの距離をW1で示す。
【0041】
この後、図8(B)に示すように、アーム水平制御装置312により、分離ヘッド駆動装置支持アーム301を堆積紙22の端面に向けて移動させる(すなわち、分離ブレード3083を堆積紙22の端面に向けて移動させる)ことで、分離ブレード3083を堆積紙22の上面からN枚目の紙とN+1枚目の紙との境界に挿入する。
図8(B)において、分離ブレード3083のL字の垂直部に対応する部分と、堆積紙22の端面Sまでの距離をW2で示す。
【0042】
次いで、図8(C)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の垂直制御部を制御することで、グリップ下部材3081をやや上昇させる。図8(C)において、床部300の表面から分離ブレード3083の先端までの高さをH2で示す。
【0043】
この空隙に、図8(D)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の水平制御部を制御することで分離ブレード3083を挿入する。本実施形態では、このとき、図8(D)に示すように、分離ブレード3083のL字の垂直部に対応する部分と、堆積紙22の端面Sまでの距離をゼロとしている。
【0044】
そして、図9(E)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の垂直制御部を制御することで、グリップ下部材3081をやや上昇させるとともに、油圧シリンダ3141を駆動して給紙テーブル313を上昇させる。この後、図9(F)に示すように、グリップ上部材3082とグリップ下部材3081とにより堆積紙22の上から1枚目からN枚目の紙までを一リームとして把持する。これとともに、アーム水平駆動装置312により押えプレート駆動装置支持アーム302の水平移動を行うとともに、押えプレート駆動装置310の垂直制御部により押えプレート311を堆積紙22の上からN枚目より下の堆積紙を押さえ付ける。
【0045】
この後、図9(G)に示すように、分離ヘッド駆動装置支持アーム301を包装テーブル406に向けて移動する。これにより、堆積紙22の上から1枚目の紙からN枚目の紙が一リームとして包装システム4のピンサー405に送り込まれる。ピンサー405は、送り込まれたリームをピンサー上部材4052とピンサー下部材4051との間に挟み込み、リームは、包装テーブル406の所定位置まで搬送される。
【0046】
この搬送が終了すると、図9(H)に示すように、分離ヘッド駆動装置支持アーム301、プレート駆動装置支持アーム302、分離ブレード3083、グリップ下部材3081、グリップ上部材3082、押えプレート311を初期位置に戻す。
【0047】
〔2〕堆積紙22に1枚以上N枚未満(ここではmとする)の紙があるとき
堆積紙22の上面から下方δ×mの位置を検出し、分離ブレード3083をファイン制御する。すなわち、分離ブレード3083を垂直に移動することにより、または給紙テーブル313を油圧シリンダ3141により垂直移動ことにより、あるいは、これらの動作を組み合わせることにより、分離ブレード3083の先端を堆積紙22の上面からn枚目の紙とパレット315上面の境界に位置させる。図10(I)にこのときの状態を示す。
【0048】
この後、図10(J)に示すように、アーム水平制御装置312により、分離ヘッド駆動装置支持アーム301を堆積紙22の端面に向けて移動させる(すなわち、分離ブレード3083を堆積紙22の端面に向けて移動させる)ことで、分離ブレード3083を堆積紙22の最下の紙とパレット315との境界に挿入する。
【0049】
次いで、図10(K)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の垂直制御部を制御することで、分離ブレード3083を、グリップ下部材3081が挿入できる程度の空隙ができるようにやや上昇させる。
【0050】
この空隙に、図10(L)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の水平制御部を制御することで分離ブレード3083を挿入する。本実施形態では、このとき、図10(L)に示すように、分離ブレード3083のL字の垂直部に対応する部分と、堆積紙22の端面までの距離をゼロとしている。
【0051】
そして、図10(M)に示すように、分離ヘッド駆動装置307の垂直制御部を制御することで、グリップ下部材308をやや上昇させる。図10(M)において、床部300の表面から分離ブレード3083の先端までの高さをH3で示す。これとともに、図10(N)に示すように、油圧シリンダ3141を駆動して給紙テーブル313を上昇させさせ、グリップ上部材3082とグリップ下部材3081とによりn枚の紙(堆積紙22)を把持し、油圧シリンダ3141を駆動して堆積紙22の上面が包装テーブル406の上面に一致するように給紙テーブル313を上昇させる。
【0052】
これとともに、アーム水平駆動装置312により押えプレート駆動装置支持アーム302の水平移動を行う。
【0053】
この後、図10(O),(P)に示すように、分離ヘッド駆動装置支持アーム301を包装テーブル406に向けて移動する。これにより、n枚の紙(堆積紙22)が包装テーブル406のピンサー405に送り込まれる。ピンサー405は、送り込まれた紙をピンサー上部材4052とピンサー下部材4051との間に挟み込み、包装テーブル406の所定位置まで退避させる。ピンサー上部材4052とピンサー下部材4051とは、アーム水平駆動装置407により水平移動される。
【0054】
以上の処理の後、図10(Q)に示すように、補充堆積紙23の補充を行う。すなわち、空のパレット315を補充堆積紙23が積載されたパレット315と交換する。この補充は自動フォークリフト等により行なうことができる。このときの補充堆積紙23の高さは、包装テーブル406の高さとほぼ同じに(包装テーブル406の高さよりやや低く)設定される。また、カメラ321により補充堆積紙23の端辺を撮影し、端辺位置を測定しておく。
【0055】
そして、図10(R)に示すように、押えプレート311を補充堆積紙23を上から押さえ付けた状態で、グリップ下部材3081とグリップ上部材3082との間、ピンサー下部材4051とピンサー上部材4052との間に挟み込まれたn枚の紙(退避してあった堆積紙22)を補充堆積紙23上に移動する。
【0056】
このとき、図10(R)に示す補充堆積紙23の端辺がレーザ位置検出器322により検出される。この位置から、補充堆積紙23の端辺位置(カメラ321により撮影された画像により検出されている)までの距離を正確に求めることができる。
【0057】
アーム水平駆動装置312は、レーザ位置検出器322が補充堆積紙23の端辺を検出したときは(図10(S)参照)、ファイン制御により、図10(T)に示すように、n枚の紙(堆積紙22)の後端の辺とレーザ位置検出器322の辺とをずれることなく正確に重なり合わせることができる。
【0058】
この後、図10(T)に示すように、油圧シリンダ3141を駆動して給紙テーブル313を上昇させ、堆積紙23の上面が包装テーブル406の上面位置と同一となるように設定するとともに、分離ヘッド駆動装置支持アーム301、プレート駆動装置支持アーム302、分離ブレード3083、グリップ下部材3081、グリップ上部材3082、押えプレート311を初期位置に戻す。この後〔1〕「堆積紙22にN枚以上の紙があるとき」の処理を行う。
【0059】
なお、堆積紙22がゼロ枚であるときは、空のパレット315を補充堆積紙23が積載されたパレット315と交換した後、〔1〕「堆積紙22にN枚以上の紙があるとき」の処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の給紙装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の給紙方法の一実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明の給紙装置および包装システムを示す側面図である。
【図4】(A)は本発明の給紙装置を示す正面図、(B)は包装システムを示す正面図である。
【図5】(A)は分離ヘッドの分離ブレードがグリップ下部材よりも上にある場合を示す図、(B)は分離ヘッドの分離ブレードがグリップ下部材よりも下にある場合を示す図、(C)は押えプレートを示す図、(D)はピンサーを示す図である。
【図6】(A)は図4および図5の給紙装置に使用されるカメラユニットを示す図で、(B)は図4および図5の給紙装置に使用され位置合せユニットを示す図である。
【図7】図5のコンピュータを示す図であり、(A)は堆積紙端面の撮影画像を示す図、(B)堆積紙の端辺の位置を示す図である。
【図8】(A)〜(D)は、堆積紙枚数がリーム枚数以上であるときの図4および図5の給紙装置の動作説明図(前半)である。
【図9】(E)〜(H)は、堆積紙枚数がリーム枚数以上であるときの図4および図5の給紙装置の動作説明図(後半)である。
【図10】(I)〜(P)は、堆積紙枚数がリーム枚数未満であるときの図4および図5の給紙装置の動作説明図(前半)である。
【図11】(Q)〜(U)は、堆積紙枚数がリーム枚数未満であるときの図4および図5の給紙装置の動作説明図(後半)である。
【符号の説明】
【0061】
2 堆積紙
3 給紙装置
4 包装システム
11 給紙装置
21 堆積紙リフト
22,23 堆積紙
111 カメラ
112 画像処理手段
113 リーム分離手段
114 リーム把持手段
115 給紙手段
116 堆積紙一時退避手段
117 堆積紙補充手段
118 退避堆積紙積重ね手段
300 床部
301 分離ヘッド駆動装置支持アーム
302 押えプレート駆動装置支持アーム
303 カメラ支持柱
304 コンピュータ
305 アーム支持フレーム
306 垂直フレーム
307 分離ヘッド駆動装置
308 分離ヘッド
310 押えプレート駆動装置
311 押えプレート
312 アーム水平駆動装置
313 給紙テーブル
315 パレット
316 カメラユニット
317 カメラ
318 フラッシュ光源
319 位置合せユニット支持アーム
320 位置合せユニット
321 カメラ
322 レーザ位置検出器
401 ピンサー制御装置支持アーム
402 ピンサー制御装置
403 アーム支持フレーム
404 垂直フレーム
405 ピンサー
406 包装テーブル
407 アーム水平駆動装置
3041 ディスプレイ
3042 操作パネル
3081 グリップ下部材
3083 分離ブレード
3082 グリップ上部材
3141 油圧シリンダ
3142 Xアーム
3221 レーザ光源
3222 フォトダイオード
4052 グリップ上部材
4051 グリップ上部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積紙リフト上の堆積紙の上端を含む端面を撮影する堆積紙端面撮影工程と、
前記撮影した画像に基づき前記堆積紙リフト上の前記堆積紙上部の紙の所定枚数を計数するとともに、前記堆積紙の分離位置を求める画像処理工程と、
前記分離位置に分離ブレードを挿入して前記所定枚数の紙をリームに分離するリーム分離工程と、
前記分離した前記リームを把持するリーム把持工程と、
把持した前記リームを次工程テーブルに搬送する給紙工程と、
を有する給紙方法において、
前記画像処理工程における画像処理結果に基づき、前記堆積紙の残り枚数がゼロか、1枚以上かつ前記所定枚数未満であるかを検出する残り枚数検出工程と、
前記残り枚数検出工程において前記堆積紙の残り枚数が1枚以上かつ前記所定枚数未満であるときは、残りの堆積紙を把持して前記次工程テーブルに一時退避する堆積紙一時退避工程と、
前記堆積紙一時退避工程により堆積紙が一時退避されているとき、または画像処理工程において前記堆積紙の残り枚数がゼロであることが検出されたときは、前記堆積紙リフトに堆積紙の補充を行う堆積紙補充工程と、
前記堆積紙補充工程により前記堆積紙リフトに前記堆積紙が補充された場合において、前記次工程テーブルに堆積紙が一時退避されているときは当該堆積紙を前記補充された前記堆積紙に積み重ねる退避堆積紙積み重ね工程と、
を有することを特徴とする給紙方法。
【請求項2】
堆積紙リフト上の堆積紙の上端を含む端面を撮影するカメラと、
前記撮影画像に基づき前記堆積紙リフト上の前記堆積紙上部の紙の所定枚数を計数するとともに、前記堆積紙の分離位置を求める画像処理手段と、
前記分離位置に分離ブレードを挿入して前記所定枚数の紙をリームに分離するリーム分離手段と、
前記リーム分離手段により分離したリームを把持するリーム把持手段と、
前記リーム把持手段により把持した前記リームを次工程テーブルに搬送する給紙手段と、
を備えた給紙装置において、
前記画像処理手段が前記堆積紙の残り枚数が1枚以上かつ前記所定枚数未満であることを検出したときは、前記残りの堆積紙をリーム把持手段により把持して前記次工程テーブルに一時退避する堆積紙一時退避手段と、
前記堆積紙一時退避手段に堆積紙が一時退避されているとき、または画像処理手段により前記堆積紙の残り枚数がゼロであることが検出されたときは、前記堆積紙リフトに堆積紙の補充を行う堆積紙補充手段と、
前記堆積紙補充手段により堆積紙が堆積紙リフトに補充された場合において、前記次工程テーブルに堆積紙が一時退避されているときは当該堆積紙を前記補充された前記堆積紙に積み重ねる退避堆積紙積重ね手段と、
を備えたことを特徴とする給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−290606(P2006−290606A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117097(P2005−117097)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(391045750)株式会社丸石製作所 (4)
【Fターム(参考)】