給紙装置
【課題】用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に積載したときに、給紙ミスを低減する。
【解決手段】封筒Fを給紙する場合には封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側に設定して積載する給紙装置10において、給紙台11の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、用紙Pを積載する場合には給紙台11の上面11aと略同じ高さで収納され、一方、封筒Fを積載する場合には封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げて支持するように給紙台11の上面11aよりも上方に向かって傾斜する第1可動板31と、給紙台11の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、用紙Pを積載する場合には給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止され、一方、封筒Fを積載する場合には封筒Fの底部Ft側を下方に下げて支持するように給紙台11の上面11aよりも下方に向かって傾斜する第2可動板41と、を備えている。
【解決手段】封筒Fを給紙する場合には封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側に設定して積載する給紙装置10において、給紙台11の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、用紙Pを積載する場合には給紙台11の上面11aと略同じ高さで収納され、一方、封筒Fを積載する場合には封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げて支持するように給紙台11の上面11aよりも上方に向かって傾斜する第1可動板31と、給紙台11の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、用紙Pを積載する場合には給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止され、一方、封筒Fを積載する場合には封筒Fの底部Ft側を下方に下げて支持するように給紙台11の上面11aよりも下方に向かって傾斜する第2可動板41と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙や封筒に画像とか文字を印刷(形成)する印刷装置(画像形成装置)は、インクジェット印刷装置,孔版印刷装置,レーザビームプリンタ,熱転写印刷装置などが家庭用又は業務用として多用されている。
【0003】
上記した印刷装置には、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置が設置されている。
【0004】
この種の給紙装置の一例として、とくに、封筒を給紙する場合に、給紙台上に大量の封筒を積載して給送を行っても、封筒の不送りや重送などの不具合が生じることがないように構成した封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットを説明する前に、ここで給紙される封筒(和封筒)について、図1及び図2を用いて簡略に説明する。
【0006】
図1(a),(b)に示す如く、一般的に、手紙などを封入する長方形状の封筒(和封筒)Fでは、表紙Faと裏紙Fbとを重ね合わせて袋状に形成した際に、封筒Fの先端側に形成したフラップ部Ff側とは反対の底部Ft側が糊代Fnにより裏紙Fbに糊付けされているために底部Ft側の厚みは紙3枚分となり、底部Ft側は紙1枚のフラップ部Ff側よりも厚くなってしまう。
【0007】
上記に伴って、図2に示す如く、長方形状の封筒Fを印刷装置(図示せず)を用いて印刷する際に、通常は封筒Fの表紙Fa上に宛名や住所を印刷するために表紙Fa側を上方に向け、且つ、裏紙Fb側を下にして給紙台K上に積載する。
【0008】
この場合に、封筒Fの底部Ft側の方がフラップ部Ff側よりも剛性があるので、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の先頭に設定して給紙するようになっていると共に、フラップ部Ff側を折り込まずに開いたまま給紙方向とは反対側に向けている。
【0009】
この際、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して封筒Fを通常の姿勢で給紙台K上に複数枚積載すると、給紙台K上から最上層の封筒Fまでの積載高さは、給紙側となる封筒Fの底部Ft側の高さH1が、給紙側とは反対側となるフラップ部Ff側の高さH2よりも顕著に高くなるために、封筒Fの底部Ft側に上方に向かう反り(アップカール)が発生してしまうので、封筒の不送りや重送などの不具合が生じる。
【0010】
そこで、ここでの図示を省略するが、特許文献1に開示された封筒給紙装置では、封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して給紙台上に封筒を積載する際、給紙方向とは反対側となる封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するために、給紙台の上面に対して所定の角度傾斜した傾斜積載面を有する傾斜台を給紙台の後方部位に設置するか、又は、傾斜角可変可能な傾斜テーブルを給紙台の後方部位に回動可能に設置している。
【0011】
また、給紙台上の前方部位には、給紙方向の先頭側となる封筒の底部側を下方に下げて支持するために、形状復元性を有する積載台を傾斜台又は傾斜テーブルの傾斜開始高さに合わせて給紙台上に設置している。
【0012】
上記した積載台は、ここに積載された封筒が満載状態であるとき、この積載台の積載面が給紙方向の上流側から下流側に向かって下方に傾斜し、封筒の枚数が満載状態から減少するにつれて、積載台の積載面が略平坦状の積載面位置に徐々に復帰するように構成されている。
【0013】
更に、封筒の底部側で給紙台の上方には、給紙台上に積載した複数枚の封筒のうちで最上層の封筒を給紙するための呼出しローラ(以下、給紙ローラと記す)が回転自在に設けられ、且つ、給紙ローラよりも下流に封筒を1枚ずつ分離するための分離ローラ対が設けられている。
【0014】
従って、上記のように封筒給紙装置を構成したときに、積載台上に積載された最上層の封筒は、給紙方向の先頭側となる封筒の底部側と、給紙方向とは反対側となるフラップ部側とが給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、最上層の封筒を給紙ローラにより給紙したときに、封筒の不送りや重送などの不具合が生じない旨が記載されている。
【0015】
一方、特許文献1に開示された封筒給紙台カセットは、給紙台上に着脱可能に設置されている。この封筒給紙台カセットでは、給紙台上に搭載される封筒給紙台の後方部位に封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するための傾斜テーブルが回動可能に設置されている共に、封筒給紙台の前方部位に封筒の底部側を下方に下げて支持するために形状復元性を有する積載台が設置されている。また、封筒給紙台の前方部位で積載台よりも前方に、加圧レバーが揺動自在に設けられている。
【0016】
この際、上記した加圧レバーは、ねじりコイルバネの付勢力が低荷重に設定されており、これにより給紙ローラが適正範囲の給紙圧をもって最上層の封筒に当接するようになっている。そして、加圧レバーは、封筒給紙台上に積載された封筒が満載状態であるときに給紙方向の上流側から下流側に向かって下方に傾斜し、封筒の枚数が満載状態から減少するにつれて、略平坦状の積載面位置に復帰するように構成されている。
【0017】
従って、上記のように封筒給紙台カセットを構成したときに、封筒給紙台カセットは給紙台上に着脱自在であり、且つ、封筒給紙台上に積載された最上層の封筒が封筒給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、前記した封筒給紙装置と略同様の効果が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平10−35901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットによれば、積載台又は封筒給紙台上に封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して積載したときに、最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、封筒の不送りや重送などの不具合を対策することが可能となる。
【0020】
一方、最近、印刷装置は大量印刷が望まれているので、これに伴って、給紙台上にA3サイズやA4サイズなどの用紙を例えば4000枚程度積載できると共に、封筒を多数枚積載可能となるような給紙装置の開発が要求されている。
【0021】
そこで、給紙装置を新たに開発するに当たって、上記特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットの技術的思想を一部適用し、とくに、封筒の給紙に対して、封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するための傾斜テーブルを給紙台の後方部位に回動可能に設置すると共に、封筒の底部側を下方に下がるように支持するための積載台及び加圧レバーの少なく一方を給紙台の前方部位に設置した場合に、上記とは異なって用紙や封筒の不送りや重送などの不具合が生じる可能性がある。
【0022】
即ち、給紙台上に用紙を多数枚積載した場合に、用紙の後端部側では傾斜テーブルを給紙台上に倒すことで平坦になるが、用紙の先端部側では多数枚の用紙の重量によって積載台及び加圧レバーの少なく一方が下方に向って回動してしまうので、これにより最上層の用紙の先端部が下方に撓んでしまうために給紙ローラによる給紙を正常に行うことができない。
【0023】
また、給紙台上に用紙や封筒を多数枚積載した際に、加圧レバーを付勢するためのねじりコイルバネの付勢力が弱い場合には、多数枚の用紙や封筒の重量が重くなるので、ねじりコイルバネの付勢力は給紙ローラに最適な給紙圧を付与できない。
【0024】
更に、加圧レバーを付勢するためのねじりコイルバネの付勢力が弱い場合には、用紙や封筒は厚さや材質などによって剛性が異なるために、この場合もねじりコイルバネの付勢力は給紙ローラに最適な給紙圧を付与できない。
【0025】
そこで、用紙や封筒に画像を印刷できる印刷装置に適用可能とされ、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に多数枚積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する際に、用紙を給紙する場合に確実に給紙でき、且つ、封筒を給紙する場合に封筒の先端側に形成したフラップ部とは反対側の底部側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して給紙台上に多数枚積載したとき、積載した最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができ、且つ、封筒給紙時に給紙ローラに対して最適な給紙圧を付与できる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台の上面上に多数枚積載可能とされ、前記封筒の場合には前記封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側に設定して積載し、積載した最上層の前記用紙又は前記封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置において、
前記給紙台の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には前面が前記給紙台の上面と略同じ高さで収納され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するように前記給紙台の上面よりも上方に向かって傾斜する第1可動板と、
前記給紙台の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には上面が前記給紙台の上面と略同じ高さに係止され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒の底部側を下方に下げて支持するように前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜する第2可動板と、
を備えたことを特徴とする給紙装置である。
【0027】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の給紙装置において、
前記封筒の積載時に前記第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を2段階以上切替える付勢力切替え手段と、
を更に備えたことを特徴とする給紙装置である。
【0028】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の給紙装置において、
前記第1可動板を可動させる第1可動板可動手段は、
前記給紙台の給紙方向の上流側に形成した第1可動板収納部内で回動可能なシャフトに固着され、且つ、前記第1可動板の後面に接離するカム板と、
前記第1可動板収納部内から前記給紙台の一つの側面側に延出された前記シャフトに固着された切替え操作レバーと、備え、
前記切替え操作レバーを操作したときの前記カム板の回動角度によって前記第1可動板の傾斜角度を可変させることを特徴とする給紙装置である。
【0029】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給紙装置において、
前記第2可動板を前記用紙の積載時に係止する一方、前記封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、
前記第2可動板の下面側に回動自在に設けられた係止レバーと、
前記給紙台の一つの側面に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第1スライド板と、
前記第1スライド板の前記下流側に固着され、前記第1スライド板が前記下流側に移動したときに前記係止レバーに係合して前記第2可動板を係止させる一方、前記第1スライド板の前記上流側への移動に伴って前記係止レバーの係止を解除する係止ピンと、
前記第2可動板に形成したバネ掛止部と間隔を離して対向するように前記下流側に形成したバネ掛止部と、前記上流側に形成した第1スライド板押圧部と、前記下流側と前記上流側との間に固着させた切替え操作ノブとを有して、前記第1スライド板に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第2スライド板と、
前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間に掛止された引張バネと、を備え、
前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記下流側に移動したときに、前記第1スライド板押圧部で前記第1スライド板を前記下流側に移動させて前記係止ピンを介して前記係止レバーを係止して前記第2可動板を係止させ、更に、前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記上流側に移動したときに、前記引張バネの付勢力で前記第1スライド板を前記上流側に移動させて前記係止レバーよる前記第2可動板への係止を解除して該第2可動板を前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させることを特徴とする給紙装置である。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、上記した請求項4に記載の給紙装置おいて、
前記第1,第2スライド板が共に前記下流側に移動して、前記係止レバーを介して前記第2可動板を前記給紙台の上面と略同じ高さに係止させる第1の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に第1の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに第1の付勢力を付与する第2の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に前記第1の移動量よりも大きい第2の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様と、
を取り得ることを特徴とする給紙装置である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の給紙装置によると、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に多数枚積載し、とくに封筒の場合に、封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して積載するように給紙装置を構成した際に、用紙を給紙する場合には、第1,第2可動板を共に回動させずに第1,第2可動板を給紙台の上面と略同じ高さにすることで、最上層の用紙が先端から後端まで給紙台の上面と平行な姿勢を取るので、用紙の不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0032】
また、封筒を給紙する場合には、給紙台の給紙方向の上流側に設けた第1可動板で封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持する一方、給紙台の給紙方向の下流側に設けた第2可動板で封筒の底部側を下方に下げて支持しているの、封筒の給紙方向の先頭となる封筒の底部側と、給紙方向とは反対側となるフラップ部側とで厚みが異なっていても、給紙台上に積載した最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢を取ることができるので、封筒の不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0033】
また、請求項2に記載の給紙装置によると、封筒の積載時に第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段の付勢力を、付勢力切替え手段により2段階以上切替えることで、封筒の紙質による重量に対応して第2可動板を傾斜させることができると共に、付勢手段の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0034】
また、請求項3に記載の給紙装置によると、第1可動板を回動させる第1可動板可動手段は、切替え操作レバーを操作したときのカム板の回動角度によって第1可動板の傾斜角度を可変させているので、封筒の長さや、封筒の積載量に応じてユーザが切替え操作レバーの回動角度を操作することにより設定可能になる。
【0035】
また、請求項4に記載の給紙装置によると、第2可動板を用紙の積載時に係止する一方、封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、切替え操作ノブを介して第2スライド板を給紙方向の下流側に移動したときに、第1スライド板押圧部で第1スライド板を下流側に移動させて係止ピンを介して係止レバーを係止して第2可動板を係止させ、更に、切替え操作ノブを介して第2スライド板を上流側に移動したときに、引張バネの付勢力で第1スライド板を上流側に移動させて係止レバーよる第2可動板への係止を解除して第2可動板を給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させているので、用紙を給紙台上に積載したときに、第2可動板で用紙の給紙方向の先端部側を給紙台の上面と平行に積載できる。
【0036】
一方、封筒を給紙台上に積載したときに、第2可動板で封筒の給紙方向の先頭となる厚みの厚い底部を下方に下げることで、最上層の封筒の底部側が給紙台の上面と略平行な姿勢を取ることができる。
【0037】
また、請求項5に記載の給紙装置によると、用紙を給紙台上に積載する場合に、第1の態様を取り得たときに、第2可動板を給紙台の上面と略同じ高さで係止させているので、積載した用紙の給紙方向の先端部が給紙台の上面と平行に保持されるため、用紙を確実に給紙できる。
【0038】
また、重量が軽い封筒を給紙台上に積載する場合に、第2の態様を取り得たときに、第2可動板のバネ掛止部と第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、引張バネに第1の付勢力を付与することができるので、引張バネによる第1の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の軽い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0039】
また、重量が重い封筒を給紙台上に積載する場合に、第3の態様を取り得たときに、第2可動板のバネ掛止部と第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、引張バネに第2の付勢力を付与することができるので、引張バネによる第2の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の重い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a),(b)は長方形状の封筒を示した裏面図,側面図である。
【図2】封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して、封筒を通常の姿勢で給紙台上に複数枚積載した状態を示した側面図である。
【図3】本発明に係る給紙装置の全体構成を説明するために示した斜視図である。
【図4】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に用紙を積載する状態を示した斜視図である。
【図5】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に封筒を積載する状態を示した斜視図である。
【図6】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒のフラップ部側を支持する封筒フラップ部支持手段を説明するための斜視図である。
【図7】(a),(b)は図6に示した封筒フラップ部支持手段の動作を説明するための側面図である。
【図8】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒の底部側を支持する封筒底部支持手段を給紙台の右側面側から見た斜視図である。
【図9】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒の底部側を支持する封筒底部支持手段を給紙台の左側面側から見た斜視図である。
【図10】図8及び図9に示した第2可動板と、係止レバーと、第1,第2スライド板との関係を拡大して示した側面図である。
【図11】(a),(b),(c),(d)は図8〜図10に示した第1スライド板を示した上面図,正面図,側面図,下面図である。
【図12】(a),(b),(c),(d)は図8〜図10に示した第2スライド板を示した上面図,正面図,側面図,下面図である。
【図13】(a)〜(c)は図8及び図9に示した封筒底部支持手段の動作を説明するためにそれぞれ示した上面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明に係る給紙装置の一実施例について、図3〜図13を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
図3は、本発明の実施例に係る給紙装置の全体構成を示した斜視図である。
【0043】
図3に示す如く、本発明の実施例に係る給紙装置10は、二点鎖線で示した用紙Pや、実線で示した封筒Fに、画像とか文字を印刷(形成)できるインクジェット印刷装置,孔版印刷装置,レーザビームプリンタ,熱転写印刷装置などの印刷装置(画像形成装置)1に適用されている。
【0044】
また、上記した給紙装置10は、給紙台11の上面11a上に用紙P又は封筒Fのいずれか一方を積載可能になっている。そして、給紙台11は、用紙P又は封筒Fを積載した状態で印刷装置1の一つの側板2の外側に昇降手段20を介して上下方向に昇降可能に設置されている。
【0045】
上記した給紙台11は、外形サイズの異なるA3サイズ,A4サイズ,B4サイズ,B5サイズなど1種類の用紙Pを例えば4000枚程度積載できると共に、封筒Fを多数枚積載可能となるように剛性のある金属材又は樹脂材を用いて略直方形状に形成されている。
【0046】
この際、用紙P又は封筒Fの給紙方向の下流側(給紙方向の前方側)を給紙台11の前方部位と対応させ、給紙方向の下流側(給紙方向の前方側)とは反対側の上流側(給紙方向の後方側)を給紙台11の後方部位と対応させて、以下説明する。
【0047】
また、給紙台11の前方部位の左右には、矩形孔11b,11cが上下方向に貫通するように形成されており、これらの矩形孔11b,11c内に用紙P又は封筒Fの幅方向をガイドする左右一対のガイドフェンス12L,12Rが進入している。尚、用紙P又は封筒Fの幅方向は、給紙方向と直交する方向である。
【0048】
上記した左右一対のガイドフェンス12L,12Rは、高さ方向に対して長尺に形成されている。そして、左右一対のガイドフェンス12L,12Rの上下の各端部が、給紙方向と直交して上下に間隔を離してそれぞれ2本ずつ平行に横設した各ガイドシャフト13に嵌合することにより、左右一対のガイドフェンス12L,12Rが手動により各ガイドシャフト13に沿って用紙P又は封筒Fの幅方向に移動自在になっている。
【0049】
また、給紙台11の上方部位には、給紙ローラ14と捌きローラ15とが左右一対のアーム16に軸支されており、両ローラ14,15はローラ回転駆動源18によりそれぞれ反時計方向に回転可能になっている。この際、印刷装置1の一つの側板2の上方部位は、両ローラ14,15によって給紙される最大サイズの用紙Pが通過できるように大きく開口されている。
【0050】
そして、用紙P又は封筒Fの給紙方向(搬送方向)の上流側に配置された給紙ローラ14は、給紙台11上に積載された最上層の用紙P又は封筒Fに回転しながら当接して給紙している。
【0051】
一方、給紙ローラ14よりも下流側に配置された捌きローラ15には摩擦板17が接しており、給紙ローラ14より給紙された用紙P又は封筒Fは捌きローラ15と摩擦板17との間で挟持搬送されながら一枚ずつ分離されて重送が防止され、この後、印刷装置1内に搬送されるようになっている。
【0052】
また、給紙台11を昇降させるための昇降手段20は、左右一対のラック部材21L,21Rが印刷装置1の一つの側板2の外側左右に間隔を離して上下方向に向って平行に垂直に取り付けられている。また、左右一対のラック部材21L,21Rには、長尺なラック歯21aが給紙台11の後方側に向かって左右対称に形成されている。
【0053】
一方、給紙台11の左右の側面11e,11fの前方部位には、略山形状に形成された左右一対の側板22L,22Rが取り付けられている。
【0054】
そして、左側の側板22Lの外側には、L字状に形成したモータブラケット23が固着されており、このモータブラケット23の水平面にエンコーダ付きモータ24が取り付けられている。また、エンコーダ付きモータ24の軸に取り付けたギアボックス25の最終段のピニオンギア(図示せず)が、モータブラケット23の垂直面に軸支され、更に、最終段のピニオンギア(図示せず)が左側のラック部材21Lのラック歯21aに噛合している。
【0055】
一方、右側の側板22Rの外側には、平板状の板26が固着されており、この板26にピニオンギア27が軸支されて、ピニオンギア27が右側のラック部材21Rのラック歯21aに噛合している。
【0056】
上記した昇降手段20の構成により、給紙台11は左右に傾くことなく略水平に昇降させることが可能になっていると共に、給紙台11上に積載した最上層の用紙P又は封筒Fが給紙ローラ14に当接する給紙位置まで給紙台11を上昇させている。
【0057】
尚、この実施例では、給紙台11を昇降手段20により上下方向に昇降させているが、昇降手段20を設けることなく、給紙台11を印刷装置1の一つの側板2の外側又は内側に固定設置しても良く、この場合には給紙ローラ14を揺動アームなどを介して最上層の用紙P又は封筒Fに当接可能に揺動させれば良い。
【0058】
また、用紙Pを積載する場合には、用紙Pの先端部側を給紙方向の先頭に設定して給紙台11上に積載している。
【0059】
一方、封筒Fを積載する場合には、封筒Fの表紙Fa側を上方に向け、且つ、裏紙Fb側を下にして給紙台K上に積載するが、このときに、前述したように、封筒Fの底部Ftの方がフラップ部Ffよりも剛性があるので、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して給紙するようになっていると共に、フラップ部Ff側を折り込まずに開いたまま給紙方向とは反対側に向けている。
【0060】
この際、先に図2を用いて説明したように、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の先頭に設定して封筒Fを通常の姿勢で給紙台K(=給紙台11)上に複数枚積載すると、給紙台K上から最上層の封筒Fまでの積載高さは、給紙側となる封筒Fの底部Ft側の高さH1がフラップ部Ff側の高さH2よりも顕著に高くなる。
【0061】
そこで、この実施例では、給紙台11上に積載した最上層の封筒Fに対して、給紙方向の先頭側となる封筒Fの底部Ft側と、給紙方向とは反対側となるフラップFf側とが給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるように、給紙台11の後方部位に封筒Fのフラップ部Ff側を支持する封筒フラップ部支持手段30を設置すると共に、給紙台11の前方部位に封筒Fの底部Ft側を支持する封筒底部支持手段40を設置しているが、両手段30,40については後で詳述する。
【0062】
ここで、給紙台11上に用紙Pを積載する場合と、給紙台11上に封筒Fを積載する場合について、図4及び図5を用いて説明する。
【0063】
図4は、給紙台11上に用紙Pを積載する状態を示した斜視図であり、一方、図5は、給紙台11上に封筒Fを積載する状態を示した斜視図である。
【0064】
まず、図4及び図5に示す如く、給紙台11は、上面11aが平坦に形成されていると共に、給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rの内側左右に設けた矩形孔11b,11c間の上面11aが幅狭く形成されている。
【0065】
また、給紙台11の上面11a上の後方部位(給紙台11の給紙方向の上流側)には、封筒Fのフラップ部Ff側を支持するための封筒フラップ部支持手段30を構成する第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)31が、給紙台11の後方部位に形成した第1可動板収納部11d内に回動可能に支持されている。
【0066】
これにより、第1可動板31は、第1可動板収納部11dに対して開閉可能に収納されている。
【0067】
この際、給紙台11の後方部位に形成した第1可動板収納部11dは、給紙台11の上面11a上に第1可動板31が収納可能な矩形状の孔を設けるか、又は、給紙台11の後方部位に収納ケースを取り付けるなどいずれでも良い。
【0068】
尚、この実施例では、第1可動板31を第1可動板収納部11d内に回動可能に設けているが、これに限定されるものではなく、第1可動板31を第1可動板収納部11dに対して上下動させる構成でも良い。
【0069】
また、給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方(給紙台11の給紙方向の下流側)には、封筒Fの底部Ftを支持するための封筒底部支持手段40を構成するが第2可動板(封筒底部支持可動板)41が、給紙方向と直交する方向に長尺に形成されて、給紙台11の上面11aとこの上面11aよりも下方部位との間で回動可能に支持されている。
【0070】
そして、図4に示す如く、給紙台11の上面11a上に用紙Pを積載する場合に、給紙台11の後方部位に回動可能に設置した第1可動板31は、この前面31aが給紙台11の上面11aと略同じ高さを保つように閉じられて、第1可動板収納部11d内に収納されている。
【0071】
また、給紙台11の前方部位に回動可能に設置した第2可動板41は、この上面41aが後述する係止レバー45(図8〜図10,図13)を介して給紙台11の上面11aと略同じ高さに保った状態で係止されている。
【0072】
上記から、用紙Pを積載したときに、第1,第2可動板31,41は共に回動せずに、給紙台11の上面11aと略同じ高さを保って平坦になるので、用紙Pを上面11a上に積載できる。
【0073】
一方、図5に示す如く、給紙台11の上面11a上に封筒Fを積載する場合には、封筒Fの表紙Faを上にし、且つ、裏紙Fb側を下にした状態で封筒Fを給紙台11の前方部位の左右に設けた矩形孔11b,11c間の上面11a上に積載すると共に、封筒Fの底部Ft側を給紙方向に向けている。
【0074】
また、給紙台11の第1可動板収納部11d内に収納した第1可動板31を後述する切替え操作レバー36を介して上方に向かって開いて、給紙台11の上面11aに対して所定の角度だけ傾斜させ、この第1可動板31の前面31aに封筒Fのフラップ部Ff側の端を当接させて、第1可動板31で封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げように支持している。
【0075】
更に、封筒Fの底部Feを下方に下げて支持するために給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方に設置した第2可動板41を後述する切替え操作ノブ51を介して給紙台11の上面11aよりも下方に回動させている。
【0076】
上記から、封筒Fを積載した場合に、第1可動板31は給紙台11の上面11aよりも上方に向かって回動して傾斜し、一方、第2可動板41は給紙台11の上面11aよりも下方に向かって回動して傾斜するので、積載した最上層の封筒Fが給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができる。
【0077】
次に、本発明の要部の一部を構成する第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)31を有する封筒フラップ部支持手段30について、図6及び図7を用いて説明する。
【0078】
図6は、封筒フラップ部支持手段の構成を示した斜視図である。
【0079】
図6に示す如く、上記した封筒フラップ部支持手段30では、前述したように、封筒Fを積載したときのみ傾斜させる第1可動板31が、平坦な前面31aと後面31bと下端の軸支持部31cと左右の側面31d,31eとを有して板金材を用いて矩形状に折り曲げ形成されている。
【0080】
そして、第1可動板31の軸支持部31cが、給紙台11の第1可動板収納部11d内の左右に固着されている第1シャフト32により回動可能に軸支され、且つ、第1可動板31が第1シャフト32に嵌入したネジリバネ33により閉じ方向に付勢されていると共に、第1可動板31を開いたときにこの前面31aが封筒Fのフラップ部Ff側と対向可能になっている。
【0081】
また、給紙台の第1可動板収納部11d内には、長尺な第2シャフト34が第1シャフト32と平行に第1可動板収納部11d内の左側面11d1と給紙台11の右側面11fとの間に回動自在に軸支されており、第2シャフト34は第1可動板31の後面31b側と対向している。
【0082】
また、上記した第2シャフト34には、先端に凸部35aと凹部35bとを交互に複数形成したカム板35が給紙台11の第1可動板収納部11d内の左右に分かれて2つ固着されている。
【0083】
この際、カム板35に形成した複数の凸部35aの先端及び複数の凹部35bの底と、回動中心となる第2シャフト34との間の各寸法は、段階的に変化している。
【0084】
また、第2シャフト34は、給紙台11の第1可動板収納部11d内から右側面11f側にスライド自在に設けた第1,第2スライド部材48,49の逃げ孔48b,49bを通って外側まで延出されて、この第2シャフト34の端部にカム板35の回動角度を切替えることで第1可動板31の傾斜角度を切替える切替え操作レバー36が固着されている。
【0085】
また、給紙台11の第1可動板収納部11d内には、2つのカム板35が反時計方向に回動して第1可動板31を閉じたときに、各カム板35を退避させるための逃げ孔11d2が形成されている。
【0086】
また、第1可動板31の後面31bには、各カム板35のいずれか一つの凸部35aを係合させる被係合凹部31b1が、左右に間隔を離して2箇所形成されており、各カム板35のいずれか一つの凸部35aの位置によって第1可動板31の傾斜角度が段階的に可変可能になっている。
【0087】
ここで、上記のように構成した封筒フラップ部支持手段30の動作を説明するにあたって、図7(a)は用紙Pを積載する場合を示し、一方、図7(b)は封筒Fを積載する場合を示している。
【0088】
図7(a)に示す如く、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、ユーザが給紙台11の右側面11f側に設けた切替え操作レバー36を反時計方向に操作する。そして、切替え操作レバー36の先端部と、この切替え操作レバー36を固着した第2シャフト34の中心とを結ぶ仮想線が給紙台11の上面11aと略平行になる位置まで切替え操作レバー36を回動させると、給紙台11の第1可動板収納部11d内で第2シャフト34に固着させたカム板35も反時計方向に回動して第1可動板31の後面31bから退避する。
【0089】
これにより、第1可動板31は、ネジリバネ33の付勢力により第1シャフト32を中心にして反時計方向に回動して、給紙台11の第1可動板収納部11d内に収納されるので、第1可動板31の前面31aと給紙台11の上面11aとが略同じ高さで平坦となる。
【0090】
従って、第1可動板31を閉じたときには、用紙Pの後端部側を第1可動板31上に積載することが可能となる。
【0091】
また、図7(b)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、ユーザが切替え操作レバー36を図7(a)に示した位置から時計方向に回動させると、給紙台11の第1可動板収納部11d内で第2シャフト34に固着させたカム板35も時計方向に回動して、カム板35で第1可動板31の後面31bを上方に向かって押し上げるので、第1可動板31がネジリバネ33の付勢力に抗して第1シャフト32を中心にして時計方向に回動する。
【0092】
そして、ユーザが切替え操作レバー36を時計方向に所望の角度だけ回動させると、カム板35に形成したいずれか一つの凸部35aが第1可動板31の後面31bに形成した被係合凹部31b1に係合されるので、第1可動板31が給紙台11の上面11aに対して所定の角度だけ傾斜して、この前面31aに当接している多数枚の封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げるように支持している。
【0093】
この際、第1可動板31の傾斜角度は、封筒Fの長さや、封筒Fの積載量に応じてユーザが切替え操作レバー36を操作してカム板35の回動角度を段階的に選択することで設定可能になっている。例えば、カム板35の凸部35aの先端と第2シャフト34との間の寸法が一番長い凸部35aが、第1可動板31の後面31bに形成した被係合凹部31b1に係合されたときに、第1可動板31の傾斜角度が最大となる。
【0094】
尚、第1可動板31の傾斜角度を設定したときに、第1可動板31の前面31aによって上方に持ち上げられた最上層の封筒Fのフラップ部Ff側が給紙台11の上面11aに対して略水平となるのが理想であるが、最上層の封筒Fのフラップ部Ff側が略水平状態よりも更に上方に持ち上げられても給紙不良は全く生じないので、問題なく封筒Fを給紙できる。
【0095】
尚更に、この実施例では、カム板35に凸部35aと凹部35bとを交互に形成していずれか一つの凸部35aを第1可動板31の被係合凹部31b1に係合させているが、これに限定されるものではなく、第2シャフト34に固着させたカム板35は、第1可動板31の後面31bに接離でき、且つ、切替え操作レバー36を操作したときのカム板35の回動角度によって第1可動板31の傾斜角度を可変できる構造形態であれば良い。
【0096】
次に、本発明の要部の一部を構成する第2可動板(封筒底部支持可動板)41を有する封筒底部支持手段40について、図8〜図13を用いて説明する。
【0097】
図8及び図9は、封筒底部支持手段40の構成を説明するために給紙台の右側面11f側及び左側面11e側からそれぞれ見た斜視図である。
【0098】
図8及び図9に示す如く、上記した封筒底部支持手段40では、前述したように、封筒Fを積載したときのみ傾斜させる第2可動板41が、平坦な上面41a及び下面41bと、この上面41a及び下面41bの左右に連接して下方に垂下した左右の側面41c,41dとを有して板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0099】
この際、第2可動板41の上面41a及び下面41bは、給紙方向と直交する方向が給紙台11の横幅寸法と同程度に長尺に形成され、且つ、上面41a及び下面41bの給紙方向の幅は狭く形成されている。
【0100】
また、第2可動板41の上面41aの中心部位に薄い厚みのゴム材などを用いた摩擦部材42が貼着されて、この上方に設置した給紙ローラ14(図3)と対向しているので、最下層の用紙P又は封筒Fに対して摩擦部材42で摩擦力を付加している。
【0101】
また、第2可動板41の左右の側面41c,41dの各外側には左右一対の軸43,43が固着されており、各軸43が給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rに軸支されているので、第2可動板41は給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方に回動可能に支持されている。この際、第2可動板41の右側面41d側の軸43は、後述する第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内に進入している。
【0102】
また、第2可動板41の左右の側面41c,41dから給紙台11の後方部位側に向かってバネ掛止部41c1,41d1が上方に突出形成されており、これらのバネ掛止部41c1,41d1に左右一対の引張バネ44,44の各一端側が掛止されている。
【0103】
そして、第2可動板41の左側面41c側に掛止された引張バネ44の他端側は、給紙台11の左側面11e側に形成した不図示のバネ掛止部に掛止されているが、第2可動板41の右側面41d側に掛止された引張バネ44の他端側は、後述する第2スライド板49の先端部近傍に形成したバネ掛止部49aに掛止されている。
【0104】
この際、引張バネ44は、後述するように、第2可動板41を軸43を中心にして時計方向に付勢していると共に、給紙ローラ14(図3)への反発力を付与している。
【0105】
また、第2可動板41の下面41bの下方には、回動可能な第2可動板41を係止するための係止レバー45が回動自在に設けられている。
【0106】
上記した係止レバー45は、前面45a及び後面45bと、この前面45a及び後面45の左右に連接した左右の側面45c,45dとを有して板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0107】
また、係止レバー45は、左右の側面45c,45d間の長さが第2可動板41と略同じ長さで長尺に形成されている。そして、係止レバー45の左右の側面45c,45dの下方部位に長尺な1本の軸46を貫通させて、右側面45dの外側にネジリバネ47を嵌入させた状態で軸46の両端部が給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rに回動可能に軸支されている。
【0108】
この際、ネジリバネ47は、一端側を係止レバー45の右側面45dに形成したバネ掛止部45d1に掛止させ、且つ、他端側を給紙台11の右側面11f側に掛止させて、係止レバー45を軸46を中心にして反時計方向に付勢している。
【0109】
また、図10に拡大して示した如く、係止レバー45の右側面45dには、後述する第1スライド板48の裏面に固着させた係止ピン50が進入して係合される被係合凹部45d2が形成されている。
【0110】
そして、係止レバー45の右側面45dに形成した被係合凹部45d2内に係止ピン50が係合しているときには、係止レバー45がネジリバネ47の付勢力に抗しながら起立し、係止レバー45の上端部45eが第2可動板41の下面41bに当接することで、第2可動板41の上面41aが給紙台11の上面11aと略同じ高さになった状態で係止されるので、第2可動板41上に用紙Pの先端部側を積載することが可能となっている。
【0111】
再び図8及び図9に戻り、給紙台11の右側面11fの外側には、第1,第2スライド板48,49が給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライド自在に設けられており、これを言い換えると、第1,第2スライド板48,49が給紙台11の前後方向にスライド自在に設けられている。
【0112】
この際、内側に配置された第1スライド板48は、給紙台11の右側面11fに沿ってスライドし、一方、外側に配置された第2スライド板49は、第1スライド板48に沿ってスライドするようになっている。
【0113】
上記した第1スライド板48は、図11(a)〜(d)に示す如く、板金材を用いて上下をコ字状に折り曲げて長尺に形成されている。そして、第1スライド板48には、スライド方向に沿って給紙台11の右側面11fに設けられた複数のガイドピンが嵌合する複数のガイド孔や、前記軸43及び前記第2シャフト34並びに後述する切替え操作ノブ51(図12)が進入可能な複数の逃げ孔48a〜48cが貫通して形成されている。
【0114】
また、第1スライド板48の裏面側で給紙方向の先端部位には、先に説明した係止レバー45を係止させるための係止ピン50が固着されている。
【0115】
一方、上記した第2スライド板49は、図12(a)〜(d)に示す如く、板金材を用いて上下をコ字状に折り曲げて第1スライド板48よりも短く形成されている。そして、第2スライド板49には、スライド方向に沿って第1スライド板48に設けられた複数のガイドピンが嵌合する複数のガイド孔や、前記第2シャフト34が進入するための逃げ孔49bが貫通して形成されている。
【0116】
また、第2スライド板49の給紙方向の先端部には、先に説明した引張バネ44を掛止させるバネ掛止部49aが、第2可動板41の右側面41dに形成したバネ掛止部41d1と間隔を離して対向するように給紙台11の前方部位側に向かって上方に突出形成されている。
【0117】
更に、第2スライド板49の後端部には、第1スライド板48を押圧するための第1スライド板押圧部49cが裏面側に向かって直角に折り曲げ形成されている。
【0118】
ここで、上記のように構成した封筒底部支持手段40の動作を説明するにあたって、図13(a)は用紙Pを積載する場合を示し、図13(b)は封筒Fを積載する際に引張バネ44の付勢力を小さく設定する場合を示し、図13(c)は封筒Fを積載する際に引張バネ44の付勢力を大きく設定する場合を示している。
【0119】
尚、図13(a)〜(c)中において、各上面図は第1,第2スライド板48,49のスライド状態を上方から見て摸式的に図示し、且つ、各側面図は第1,第2可動板31,41の回動状態を側面側から見て図示している。
【0120】
尚また、以下の説明では、第1,第2スライド板48,49の給紙方向の下流側へのスライドを前方側のスライドと記載し、第1,第2スライド板48,49の給紙方向の上流側へのスライドを後方側のスライドと記載して説明する。
【0121】
まず、図13(a)に示す如く、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、ユーザは給紙台11の右側面11f側にスライド可能に設けた第2スライド板49に固着させた切替え操作ノブ51を前方側(矢印X1方向側)に操作して、第2スライド板49の後端部に形成した第1スライド板押圧部49cで第1スライド板48の後端部48dを前方側(矢印X1方向側)に押してスライドさせると、第1スライド板48の先端部に固着させた係止ピン50が係止レバー45に係合する。
【0122】
これにより、係止レバー45がネジリバネ47に抗して軸46を中心にして時計方向に回動して起立し、先に図10を用いて説明したように係止レバー45の上端部45eが第2可動板41の下面41bに当接するので、第2可動板41の上面41aが給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止される。この状態で用紙Pの先端部側を第2可動板41上に積載することが可能となるので、最上層の用紙Pの先端部側は給紙台11の上面11aと平行に保持されるため、用紙Pの不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0123】
このとき、第2可動板41の軸43は、第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の左端に至っている。
【0124】
勿論、用紙Pの積載時には、先に図7(a)を用いて説明したように、給紙台11の後方部位に回動可能に設けた第1可動板31は給紙台11の上面11aと略同じ高さに閉じているので、第1可動板31上に用紙Pの後端部側を積載できる。
【0125】
上記から図13(a)では、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、第1,第2スライド板48,49が共に給紙台11の前方側に移動して、係止レバー45を介して第2可動板41を給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止させる第1の態様を取り得る。
【0126】
この第1の態様を取り得えたときに、積載した用紙Pの給紙方向の先端部が給紙台11の上面11aと平行に保持されるため、用紙Pを確実に給紙できる。
【0127】
次に、図13(b)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ft側は、フラップ部Ff側よりも厚みが厚いので積載した封筒Fの底部Ft側を低くする必要があり、且つ、封筒Fの紙質が薄く封筒Fの重量が軽いときに、給紙ローラ14への反発力を封筒Fの軽い重量に対応して最適となるように設定する必要がある。
【0128】
そこで、ユーザは切替え操作ノブ51を図13(a)の状態から後方側(矢印X2方向側)に第1の移動量α1だけ移動させると、切替え操作ノブ51を固着した第2スライド板49も第1の移動量α1だけ移動する。
【0129】
そして、第2スライド板49が第1の移動量α1だけ後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の右側面41d側に形成したバネ掛止部41d1と第2スライド板49に形成したバネ掛止部49aとの間が第1の所定量だけ隔てることになる。
【0130】
これにより、引張バネ44が後方側(矢印X2方向側)に向って第1の所定量だけ伸びるために、引張バネ44による第1の付勢力が第2可動板41の軸43に伝達され、引張バネ44に引っ張られて軸43で第1スライド板48の逃げ孔48a内の左端を瞬間的に押すので、第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動する。
【0131】
その後、第1スライド板48は、第2スライド板49の後端部に形成した第1スライド板押圧部49cに当接して第1の移動量α1だけ移動して停止する。
【0132】
更に、第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第1スライド板48の先端部に固着させた係止ピン50による係止レバー45への係止が解除される。
【0133】
これにより、係止レバー45がネジリバネ47の付勢力により軸46を中心にして反時計方向に回動して、係止レバー45の上端部45e(図10)が第2可動板41の下面41bから離間するために係止レバー45による第2可動板41への係止が解除される。
【0134】
そして、係止を解除された第2可動板41は、引張バネ44の付勢力により軸43を中心にして時計方向に回動するので、この第2可動板41の上面41aが、給紙台11の上面11aよりも斜め下方に向かって傾斜する。このとき、第2可動板41の軸43は、第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の右端に至る。
【0135】
従って、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ftは、第2可動板41の斜め下方への回動により下方に下がるように支持されるが、底部Ftが積み重なった最上層では給紙台11の上面11aと略平行な姿勢を取る。また、封筒Fの重量が軽い場合に、引張バネ44が第1の所定量だけ伸びることにより、この引張バネ44による第1の付勢力が第2可動板41に伝達されて給紙ローラ14(図3)への反発力として作用するので、封筒Fの軽い重量に対して最適な給紙圧を得ることができる。
【0136】
勿論、封筒Fの積載時には、先に図7(b)を用いて説明したように、給紙台11の後方部位に回動可能に設けた第1可動板31は所定の傾斜角度を持って傾斜しているので、最上層の封筒Fのフラップ部Ffと底部Ftとの間が給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、封筒Fの不送りや重送などの給紙ミスは発生しない。
【0137】
上記から図13(b)では、重量が軽い封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、第2スライド板49を前記第1の態様に対して後方側に第1の移動量α1だけ移動させる動作に伴って、引張バネ44により第1スライド板48を後方側に第1の移動量α1だけ移動させて第2可動板41の係止を解除すると共に、第2可動板41のバネ掛止部41d1と第2スライド板49のバネ掛止部49aとの間を第1の所定量だけ隔てることで、引張バネ44に第1の付勢力を付与する第2の態様を取り得る。
【0138】
この第2の態様を取り得たときに、引張バネ44による第1の付勢力で給紙ローラ14への反発力を封筒Fの軽い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0139】
次に、図13(c)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、封筒Fの給紙方向側の底部Ftを給紙台11の上面11aよりも低くすると共に、封筒Fの紙質が厚く重量が重いときに、給紙ローラ14への反発力を封筒Fの重い重量に対応して最適となるように設定する必要がある。
【0140】
そこで、ユーザは切替え操作ノブ51を図13(a)の状態から後方側(矢印X2方向側)に第1の移動量α1よりも大きい第2の移動量α2だけ移動させると、切替え操作ノブ51を固着した第2スライド板49も第2の移動量α2だけ移動する。
【0141】
そして、第2スライド板49が第2の移動量α2だけ後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の右側面41d側に形成したバネ掛止部41d1と第2スライド板49に形成したバネ掛止部49aとの間が前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることになる。
【0142】
これにより、引張バネ44が後方側(矢印X2方向側)に向って第2の所定量だけ伸びるために、引張バネ44による第2の付勢力に引っ張られて第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の軸43が第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の右端に至るために、この時点で第1スライド板48の移動が規制されるので第1スライド板48は第1の移動量α1だけ移動して停止する。
【0143】
この第1スライド板48の移動に伴って、上記した図13(b)の場合と同様な動作により、係止レバー45による第2可動板41への係止が解除され、第2可動板41は軸43を中心にして時計方向に回動する。
【0144】
そして、係止を解除された第2可動板41は、この上面41aが給紙台11の上面11aよりも斜め下方に向かって傾斜する。
【0145】
従って、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ftは、図13(b)と同様に第2可動板41の斜め下方への回動により下方に下がるように支持されるが、底部Ftが積み重なった最上層では給紙台11の上面11aと略平行な姿勢を取る。また、封筒Fの重量が重い場合に、引張バネ44が第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ伸びることにより、この引張バネ44による第2の付勢力が第2可動板41に伝達されて給紙ローラ14(図3)への反発力として作用するので、封筒Fの重い重量に対して最適な給紙圧を得ることができる。
【0146】
上記から図13(c)では、重量が重い封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、第2スライド板49を前記第1の態様に対して後方側に前記第1の移動量α1よりも大きい第2の移動量α2だけ移動させる動作に伴って、引張バネ44により第1スライド板48を後方側に第1の移動量α1だけ移動させて第2可動板41の係止を解除すると共に、第2可動板41のバネ掛止部41d1と第2スライド板49のバネ掛止部49aとの間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、引張バネ44に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様を取り得る。
【0147】
この第3の態様を取り得たときに、引張バネ44による第2の付勢力で給紙ローラ14への反発力を封筒Fの重い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0148】
尚、この実施例では、第1,第2スライド板48,49の動作により、第1スライド板48を付勢している引張バネ44の付勢力を封筒Fの重量に対応して2段階に切替えて封筒Fへの給紙性能を向上させているが、給紙装置10(図3)を安価に構成する場合には引張バネ44の付勢力を切替えない構造形態も可能であり、この場合でも第2可動板41は係止状態と傾斜状態とを取り得る構造形態にすれば良い。
【符号の説明】
【0149】
1…印刷装置(画像形成装置)、2…一つの側板、
10…給紙装置、
11…給紙台、11a…上面、11b,11c…矩形孔、11d…第1可動板収納部、
11e,11f…左右の側面、11g…給紙方向先端部、
12L,12R…左右一対のガイドフェンス、13…ガイドシャフト、
14…給紙ローラ、15…捌きローラ、17…摩擦板、
20…昇降手段、
30…封筒フラップ部支持手段、
31…第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)、
31a…前面、31b…後面、31b1…被係合凹部、
32…第1シャフト、33…ネジリバネ、34…第2シャフト、
35…カム板、35a…凸部、35b…凹部、36…切替え操作レバー、
40…封筒底部支持手段、
41…第2可動板(封筒底部支持可動板)、41a…上面、41b…下面、
41c,41d…左右の側面、41c1,41d1…バネ掛止部、
42…摩擦部材、43…左右一対の軸、44…左右一対の引張バネ、
45…係止レバー、45a…前面、45b…後面、45c,45d…左右の側面、
45d1…バネ掛止部、45d2…被係止凹部、45e…上端部、
46…軸、47…ネジリバネ、48…第1スライド板、
49…第2スライド板、49a…バネ掛止部、49c…第1スライド板押圧部、
50…係止ピン、51…切替え操作ノブ、
F…封筒、Fa…表紙、Fb…裏紙、Ff…フラップ部、Fn…糊代、Fe…底部、
P…用紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、用紙や封筒に画像とか文字を印刷(形成)する印刷装置(画像形成装置)は、インクジェット印刷装置,孔版印刷装置,レーザビームプリンタ,熱転写印刷装置などが家庭用又は業務用として多用されている。
【0003】
上記した印刷装置には、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置が設置されている。
【0004】
この種の給紙装置の一例として、とくに、封筒を給紙する場合に、給紙台上に大量の封筒を積載して給送を行っても、封筒の不送りや重送などの不具合が生じることがないように構成した封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットを説明する前に、ここで給紙される封筒(和封筒)について、図1及び図2を用いて簡略に説明する。
【0006】
図1(a),(b)に示す如く、一般的に、手紙などを封入する長方形状の封筒(和封筒)Fでは、表紙Faと裏紙Fbとを重ね合わせて袋状に形成した際に、封筒Fの先端側に形成したフラップ部Ff側とは反対の底部Ft側が糊代Fnにより裏紙Fbに糊付けされているために底部Ft側の厚みは紙3枚分となり、底部Ft側は紙1枚のフラップ部Ff側よりも厚くなってしまう。
【0007】
上記に伴って、図2に示す如く、長方形状の封筒Fを印刷装置(図示せず)を用いて印刷する際に、通常は封筒Fの表紙Fa上に宛名や住所を印刷するために表紙Fa側を上方に向け、且つ、裏紙Fb側を下にして給紙台K上に積載する。
【0008】
この場合に、封筒Fの底部Ft側の方がフラップ部Ff側よりも剛性があるので、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の先頭に設定して給紙するようになっていると共に、フラップ部Ff側を折り込まずに開いたまま給紙方向とは反対側に向けている。
【0009】
この際、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して封筒Fを通常の姿勢で給紙台K上に複数枚積載すると、給紙台K上から最上層の封筒Fまでの積載高さは、給紙側となる封筒Fの底部Ft側の高さH1が、給紙側とは反対側となるフラップ部Ff側の高さH2よりも顕著に高くなるために、封筒Fの底部Ft側に上方に向かう反り(アップカール)が発生してしまうので、封筒の不送りや重送などの不具合が生じる。
【0010】
そこで、ここでの図示を省略するが、特許文献1に開示された封筒給紙装置では、封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して給紙台上に封筒を積載する際、給紙方向とは反対側となる封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するために、給紙台の上面に対して所定の角度傾斜した傾斜積載面を有する傾斜台を給紙台の後方部位に設置するか、又は、傾斜角可変可能な傾斜テーブルを給紙台の後方部位に回動可能に設置している。
【0011】
また、給紙台上の前方部位には、給紙方向の先頭側となる封筒の底部側を下方に下げて支持するために、形状復元性を有する積載台を傾斜台又は傾斜テーブルの傾斜開始高さに合わせて給紙台上に設置している。
【0012】
上記した積載台は、ここに積載された封筒が満載状態であるとき、この積載台の積載面が給紙方向の上流側から下流側に向かって下方に傾斜し、封筒の枚数が満載状態から減少するにつれて、積載台の積載面が略平坦状の積載面位置に徐々に復帰するように構成されている。
【0013】
更に、封筒の底部側で給紙台の上方には、給紙台上に積載した複数枚の封筒のうちで最上層の封筒を給紙するための呼出しローラ(以下、給紙ローラと記す)が回転自在に設けられ、且つ、給紙ローラよりも下流に封筒を1枚ずつ分離するための分離ローラ対が設けられている。
【0014】
従って、上記のように封筒給紙装置を構成したときに、積載台上に積載された最上層の封筒は、給紙方向の先頭側となる封筒の底部側と、給紙方向とは反対側となるフラップ部側とが給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、最上層の封筒を給紙ローラにより給紙したときに、封筒の不送りや重送などの不具合が生じない旨が記載されている。
【0015】
一方、特許文献1に開示された封筒給紙台カセットは、給紙台上に着脱可能に設置されている。この封筒給紙台カセットでは、給紙台上に搭載される封筒給紙台の後方部位に封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するための傾斜テーブルが回動可能に設置されている共に、封筒給紙台の前方部位に封筒の底部側を下方に下げて支持するために形状復元性を有する積載台が設置されている。また、封筒給紙台の前方部位で積載台よりも前方に、加圧レバーが揺動自在に設けられている。
【0016】
この際、上記した加圧レバーは、ねじりコイルバネの付勢力が低荷重に設定されており、これにより給紙ローラが適正範囲の給紙圧をもって最上層の封筒に当接するようになっている。そして、加圧レバーは、封筒給紙台上に積載された封筒が満載状態であるときに給紙方向の上流側から下流側に向かって下方に傾斜し、封筒の枚数が満載状態から減少するにつれて、略平坦状の積載面位置に復帰するように構成されている。
【0017】
従って、上記のように封筒給紙台カセットを構成したときに、封筒給紙台カセットは給紙台上に着脱自在であり、且つ、封筒給紙台上に積載された最上層の封筒が封筒給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、前記した封筒給紙装置と略同様の効果が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平10−35901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットによれば、積載台又は封筒給紙台上に封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して積載したときに、最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、封筒の不送りや重送などの不具合を対策することが可能となる。
【0020】
一方、最近、印刷装置は大量印刷が望まれているので、これに伴って、給紙台上にA3サイズやA4サイズなどの用紙を例えば4000枚程度積載できると共に、封筒を多数枚積載可能となるような給紙装置の開発が要求されている。
【0021】
そこで、給紙装置を新たに開発するに当たって、上記特許文献1に開示された封筒給紙装置及び封筒給紙台カセットの技術的思想を一部適用し、とくに、封筒の給紙に対して、封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するための傾斜テーブルを給紙台の後方部位に回動可能に設置すると共に、封筒の底部側を下方に下がるように支持するための積載台及び加圧レバーの少なく一方を給紙台の前方部位に設置した場合に、上記とは異なって用紙や封筒の不送りや重送などの不具合が生じる可能性がある。
【0022】
即ち、給紙台上に用紙を多数枚積載した場合に、用紙の後端部側では傾斜テーブルを給紙台上に倒すことで平坦になるが、用紙の先端部側では多数枚の用紙の重量によって積載台及び加圧レバーの少なく一方が下方に向って回動してしまうので、これにより最上層の用紙の先端部が下方に撓んでしまうために給紙ローラによる給紙を正常に行うことができない。
【0023】
また、給紙台上に用紙や封筒を多数枚積載した際に、加圧レバーを付勢するためのねじりコイルバネの付勢力が弱い場合には、多数枚の用紙や封筒の重量が重くなるので、ねじりコイルバネの付勢力は給紙ローラに最適な給紙圧を付与できない。
【0024】
更に、加圧レバーを付勢するためのねじりコイルバネの付勢力が弱い場合には、用紙や封筒は厚さや材質などによって剛性が異なるために、この場合もねじりコイルバネの付勢力は給紙ローラに最適な給紙圧を付与できない。
【0025】
そこで、用紙や封筒に画像を印刷できる印刷装置に適用可能とされ、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に多数枚積載して最上層の用紙又は封筒を給紙ローラにより給紙する際に、用紙を給紙する場合に確実に給紙でき、且つ、封筒を給紙する場合に封筒の先端側に形成したフラップ部とは反対側の底部側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して給紙台上に多数枚積載したとき、積載した最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができ、且つ、封筒給紙時に給紙ローラに対して最適な給紙圧を付与できる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台の上面上に多数枚積載可能とされ、前記封筒の場合には前記封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側に設定して積載し、積載した最上層の前記用紙又は前記封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置において、
前記給紙台の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には前面が前記給紙台の上面と略同じ高さで収納され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するように前記給紙台の上面よりも上方に向かって傾斜する第1可動板と、
前記給紙台の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には上面が前記給紙台の上面と略同じ高さに係止され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒の底部側を下方に下げて支持するように前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜する第2可動板と、
を備えたことを特徴とする給紙装置である。
【0027】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の給紙装置において、
前記封筒の積載時に前記第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を2段階以上切替える付勢力切替え手段と、
を更に備えたことを特徴とする給紙装置である。
【0028】
また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の給紙装置において、
前記第1可動板を可動させる第1可動板可動手段は、
前記給紙台の給紙方向の上流側に形成した第1可動板収納部内で回動可能なシャフトに固着され、且つ、前記第1可動板の後面に接離するカム板と、
前記第1可動板収納部内から前記給紙台の一つの側面側に延出された前記シャフトに固着された切替え操作レバーと、備え、
前記切替え操作レバーを操作したときの前記カム板の回動角度によって前記第1可動板の傾斜角度を可変させることを特徴とする給紙装置である。
【0029】
また、請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給紙装置において、
前記第2可動板を前記用紙の積載時に係止する一方、前記封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、
前記第2可動板の下面側に回動自在に設けられた係止レバーと、
前記給紙台の一つの側面に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第1スライド板と、
前記第1スライド板の前記下流側に固着され、前記第1スライド板が前記下流側に移動したときに前記係止レバーに係合して前記第2可動板を係止させる一方、前記第1スライド板の前記上流側への移動に伴って前記係止レバーの係止を解除する係止ピンと、
前記第2可動板に形成したバネ掛止部と間隔を離して対向するように前記下流側に形成したバネ掛止部と、前記上流側に形成した第1スライド板押圧部と、前記下流側と前記上流側との間に固着させた切替え操作ノブとを有して、前記第1スライド板に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第2スライド板と、
前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間に掛止された引張バネと、を備え、
前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記下流側に移動したときに、前記第1スライド板押圧部で前記第1スライド板を前記下流側に移動させて前記係止ピンを介して前記係止レバーを係止して前記第2可動板を係止させ、更に、前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記上流側に移動したときに、前記引張バネの付勢力で前記第1スライド板を前記上流側に移動させて前記係止レバーよる前記第2可動板への係止を解除して該第2可動板を前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させることを特徴とする給紙装置である。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、上記した請求項4に記載の給紙装置おいて、
前記第1,第2スライド板が共に前記下流側に移動して、前記係止レバーを介して前記第2可動板を前記給紙台の上面と略同じ高さに係止させる第1の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に第1の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに第1の付勢力を付与する第2の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に前記第1の移動量よりも大きい第2の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様と、
を取り得ることを特徴とする給紙装置である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の給紙装置によると、用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台上に多数枚積載し、とくに封筒の場合に、封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して積載するように給紙装置を構成した際に、用紙を給紙する場合には、第1,第2可動板を共に回動させずに第1,第2可動板を給紙台の上面と略同じ高さにすることで、最上層の用紙が先端から後端まで給紙台の上面と平行な姿勢を取るので、用紙の不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0032】
また、封筒を給紙する場合には、給紙台の給紙方向の上流側に設けた第1可動板で封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持する一方、給紙台の給紙方向の下流側に設けた第2可動板で封筒の底部側を下方に下げて支持しているの、封筒の給紙方向の先頭となる封筒の底部側と、給紙方向とは反対側となるフラップ部側とで厚みが異なっていても、給紙台上に積載した最上層の封筒が給紙台の上面と略平行な姿勢を取ることができるので、封筒の不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0033】
また、請求項2に記載の給紙装置によると、封筒の積載時に第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段の付勢力を、付勢力切替え手段により2段階以上切替えることで、封筒の紙質による重量に対応して第2可動板を傾斜させることができると共に、付勢手段の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0034】
また、請求項3に記載の給紙装置によると、第1可動板を回動させる第1可動板可動手段は、切替え操作レバーを操作したときのカム板の回動角度によって第1可動板の傾斜角度を可変させているので、封筒の長さや、封筒の積載量に応じてユーザが切替え操作レバーの回動角度を操作することにより設定可能になる。
【0035】
また、請求項4に記載の給紙装置によると、第2可動板を用紙の積載時に係止する一方、封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、切替え操作ノブを介して第2スライド板を給紙方向の下流側に移動したときに、第1スライド板押圧部で第1スライド板を下流側に移動させて係止ピンを介して係止レバーを係止して第2可動板を係止させ、更に、切替え操作ノブを介して第2スライド板を上流側に移動したときに、引張バネの付勢力で第1スライド板を上流側に移動させて係止レバーよる第2可動板への係止を解除して第2可動板を給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させているので、用紙を給紙台上に積載したときに、第2可動板で用紙の給紙方向の先端部側を給紙台の上面と平行に積載できる。
【0036】
一方、封筒を給紙台上に積載したときに、第2可動板で封筒の給紙方向の先頭となる厚みの厚い底部を下方に下げることで、最上層の封筒の底部側が給紙台の上面と略平行な姿勢を取ることができる。
【0037】
また、請求項5に記載の給紙装置によると、用紙を給紙台上に積載する場合に、第1の態様を取り得たときに、第2可動板を給紙台の上面と略同じ高さで係止させているので、積載した用紙の給紙方向の先端部が給紙台の上面と平行に保持されるため、用紙を確実に給紙できる。
【0038】
また、重量が軽い封筒を給紙台上に積載する場合に、第2の態様を取り得たときに、第2可動板のバネ掛止部と第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、引張バネに第1の付勢力を付与することができるので、引張バネによる第1の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の軽い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0039】
また、重量が重い封筒を給紙台上に積載する場合に、第3の態様を取り得たときに、第2可動板のバネ掛止部と第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、引張バネに第2の付勢力を付与することができるので、引張バネによる第2の付勢力で給紙ローラへの反発力を封筒の重い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a),(b)は長方形状の封筒を示した裏面図,側面図である。
【図2】封筒の底部側を給紙方向の先頭に設定して、封筒を通常の姿勢で給紙台上に複数枚積載した状態を示した側面図である。
【図3】本発明に係る給紙装置の全体構成を説明するために示した斜視図である。
【図4】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に用紙を積載する状態を示した斜視図である。
【図5】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に封筒を積載する状態を示した斜視図である。
【図6】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒のフラップ部側を支持する封筒フラップ部支持手段を説明するための斜視図である。
【図7】(a),(b)は図6に示した封筒フラップ部支持手段の動作を説明するための側面図である。
【図8】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒の底部側を支持する封筒底部支持手段を給紙台の右側面側から見た斜視図である。
【図9】本発明に係る給紙装置において、給紙台上に積載した封筒の底部側を支持する封筒底部支持手段を給紙台の左側面側から見た斜視図である。
【図10】図8及び図9に示した第2可動板と、係止レバーと、第1,第2スライド板との関係を拡大して示した側面図である。
【図11】(a),(b),(c),(d)は図8〜図10に示した第1スライド板を示した上面図,正面図,側面図,下面図である。
【図12】(a),(b),(c),(d)は図8〜図10に示した第2スライド板を示した上面図,正面図,側面図,下面図である。
【図13】(a)〜(c)は図8及び図9に示した封筒底部支持手段の動作を説明するためにそれぞれ示した上面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明に係る給紙装置の一実施例について、図3〜図13を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
図3は、本発明の実施例に係る給紙装置の全体構成を示した斜視図である。
【0043】
図3に示す如く、本発明の実施例に係る給紙装置10は、二点鎖線で示した用紙Pや、実線で示した封筒Fに、画像とか文字を印刷(形成)できるインクジェット印刷装置,孔版印刷装置,レーザビームプリンタ,熱転写印刷装置などの印刷装置(画像形成装置)1に適用されている。
【0044】
また、上記した給紙装置10は、給紙台11の上面11a上に用紙P又は封筒Fのいずれか一方を積載可能になっている。そして、給紙台11は、用紙P又は封筒Fを積載した状態で印刷装置1の一つの側板2の外側に昇降手段20を介して上下方向に昇降可能に設置されている。
【0045】
上記した給紙台11は、外形サイズの異なるA3サイズ,A4サイズ,B4サイズ,B5サイズなど1種類の用紙Pを例えば4000枚程度積載できると共に、封筒Fを多数枚積載可能となるように剛性のある金属材又は樹脂材を用いて略直方形状に形成されている。
【0046】
この際、用紙P又は封筒Fの給紙方向の下流側(給紙方向の前方側)を給紙台11の前方部位と対応させ、給紙方向の下流側(給紙方向の前方側)とは反対側の上流側(給紙方向の後方側)を給紙台11の後方部位と対応させて、以下説明する。
【0047】
また、給紙台11の前方部位の左右には、矩形孔11b,11cが上下方向に貫通するように形成されており、これらの矩形孔11b,11c内に用紙P又は封筒Fの幅方向をガイドする左右一対のガイドフェンス12L,12Rが進入している。尚、用紙P又は封筒Fの幅方向は、給紙方向と直交する方向である。
【0048】
上記した左右一対のガイドフェンス12L,12Rは、高さ方向に対して長尺に形成されている。そして、左右一対のガイドフェンス12L,12Rの上下の各端部が、給紙方向と直交して上下に間隔を離してそれぞれ2本ずつ平行に横設した各ガイドシャフト13に嵌合することにより、左右一対のガイドフェンス12L,12Rが手動により各ガイドシャフト13に沿って用紙P又は封筒Fの幅方向に移動自在になっている。
【0049】
また、給紙台11の上方部位には、給紙ローラ14と捌きローラ15とが左右一対のアーム16に軸支されており、両ローラ14,15はローラ回転駆動源18によりそれぞれ反時計方向に回転可能になっている。この際、印刷装置1の一つの側板2の上方部位は、両ローラ14,15によって給紙される最大サイズの用紙Pが通過できるように大きく開口されている。
【0050】
そして、用紙P又は封筒Fの給紙方向(搬送方向)の上流側に配置された給紙ローラ14は、給紙台11上に積載された最上層の用紙P又は封筒Fに回転しながら当接して給紙している。
【0051】
一方、給紙ローラ14よりも下流側に配置された捌きローラ15には摩擦板17が接しており、給紙ローラ14より給紙された用紙P又は封筒Fは捌きローラ15と摩擦板17との間で挟持搬送されながら一枚ずつ分離されて重送が防止され、この後、印刷装置1内に搬送されるようになっている。
【0052】
また、給紙台11を昇降させるための昇降手段20は、左右一対のラック部材21L,21Rが印刷装置1の一つの側板2の外側左右に間隔を離して上下方向に向って平行に垂直に取り付けられている。また、左右一対のラック部材21L,21Rには、長尺なラック歯21aが給紙台11の後方側に向かって左右対称に形成されている。
【0053】
一方、給紙台11の左右の側面11e,11fの前方部位には、略山形状に形成された左右一対の側板22L,22Rが取り付けられている。
【0054】
そして、左側の側板22Lの外側には、L字状に形成したモータブラケット23が固着されており、このモータブラケット23の水平面にエンコーダ付きモータ24が取り付けられている。また、エンコーダ付きモータ24の軸に取り付けたギアボックス25の最終段のピニオンギア(図示せず)が、モータブラケット23の垂直面に軸支され、更に、最終段のピニオンギア(図示せず)が左側のラック部材21Lのラック歯21aに噛合している。
【0055】
一方、右側の側板22Rの外側には、平板状の板26が固着されており、この板26にピニオンギア27が軸支されて、ピニオンギア27が右側のラック部材21Rのラック歯21aに噛合している。
【0056】
上記した昇降手段20の構成により、給紙台11は左右に傾くことなく略水平に昇降させることが可能になっていると共に、給紙台11上に積載した最上層の用紙P又は封筒Fが給紙ローラ14に当接する給紙位置まで給紙台11を上昇させている。
【0057】
尚、この実施例では、給紙台11を昇降手段20により上下方向に昇降させているが、昇降手段20を設けることなく、給紙台11を印刷装置1の一つの側板2の外側又は内側に固定設置しても良く、この場合には給紙ローラ14を揺動アームなどを介して最上層の用紙P又は封筒Fに当接可能に揺動させれば良い。
【0058】
また、用紙Pを積載する場合には、用紙Pの先端部側を給紙方向の先頭に設定して給紙台11上に積載している。
【0059】
一方、封筒Fを積載する場合には、封筒Fの表紙Fa側を上方に向け、且つ、裏紙Fb側を下にして給紙台K上に積載するが、このときに、前述したように、封筒Fの底部Ftの方がフラップ部Ffよりも剛性があるので、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の下流側(先頭側)に設定して給紙するようになっていると共に、フラップ部Ff側を折り込まずに開いたまま給紙方向とは反対側に向けている。
【0060】
この際、先に図2を用いて説明したように、封筒Fの底部Ft側を給紙方向の先頭に設定して封筒Fを通常の姿勢で給紙台K(=給紙台11)上に複数枚積載すると、給紙台K上から最上層の封筒Fまでの積載高さは、給紙側となる封筒Fの底部Ft側の高さH1がフラップ部Ff側の高さH2よりも顕著に高くなる。
【0061】
そこで、この実施例では、給紙台11上に積載した最上層の封筒Fに対して、給紙方向の先頭側となる封筒Fの底部Ft側と、給紙方向とは反対側となるフラップFf側とが給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるように、給紙台11の後方部位に封筒Fのフラップ部Ff側を支持する封筒フラップ部支持手段30を設置すると共に、給紙台11の前方部位に封筒Fの底部Ft側を支持する封筒底部支持手段40を設置しているが、両手段30,40については後で詳述する。
【0062】
ここで、給紙台11上に用紙Pを積載する場合と、給紙台11上に封筒Fを積載する場合について、図4及び図5を用いて説明する。
【0063】
図4は、給紙台11上に用紙Pを積載する状態を示した斜視図であり、一方、図5は、給紙台11上に封筒Fを積載する状態を示した斜視図である。
【0064】
まず、図4及び図5に示す如く、給紙台11は、上面11aが平坦に形成されていると共に、給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rの内側左右に設けた矩形孔11b,11c間の上面11aが幅狭く形成されている。
【0065】
また、給紙台11の上面11a上の後方部位(給紙台11の給紙方向の上流側)には、封筒Fのフラップ部Ff側を支持するための封筒フラップ部支持手段30を構成する第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)31が、給紙台11の後方部位に形成した第1可動板収納部11d内に回動可能に支持されている。
【0066】
これにより、第1可動板31は、第1可動板収納部11dに対して開閉可能に収納されている。
【0067】
この際、給紙台11の後方部位に形成した第1可動板収納部11dは、給紙台11の上面11a上に第1可動板31が収納可能な矩形状の孔を設けるか、又は、給紙台11の後方部位に収納ケースを取り付けるなどいずれでも良い。
【0068】
尚、この実施例では、第1可動板31を第1可動板収納部11d内に回動可能に設けているが、これに限定されるものではなく、第1可動板31を第1可動板収納部11dに対して上下動させる構成でも良い。
【0069】
また、給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方(給紙台11の給紙方向の下流側)には、封筒Fの底部Ftを支持するための封筒底部支持手段40を構成するが第2可動板(封筒底部支持可動板)41が、給紙方向と直交する方向に長尺に形成されて、給紙台11の上面11aとこの上面11aよりも下方部位との間で回動可能に支持されている。
【0070】
そして、図4に示す如く、給紙台11の上面11a上に用紙Pを積載する場合に、給紙台11の後方部位に回動可能に設置した第1可動板31は、この前面31aが給紙台11の上面11aと略同じ高さを保つように閉じられて、第1可動板収納部11d内に収納されている。
【0071】
また、給紙台11の前方部位に回動可能に設置した第2可動板41は、この上面41aが後述する係止レバー45(図8〜図10,図13)を介して給紙台11の上面11aと略同じ高さに保った状態で係止されている。
【0072】
上記から、用紙Pを積載したときに、第1,第2可動板31,41は共に回動せずに、給紙台11の上面11aと略同じ高さを保って平坦になるので、用紙Pを上面11a上に積載できる。
【0073】
一方、図5に示す如く、給紙台11の上面11a上に封筒Fを積載する場合には、封筒Fの表紙Faを上にし、且つ、裏紙Fb側を下にした状態で封筒Fを給紙台11の前方部位の左右に設けた矩形孔11b,11c間の上面11a上に積載すると共に、封筒Fの底部Ft側を給紙方向に向けている。
【0074】
また、給紙台11の第1可動板収納部11d内に収納した第1可動板31を後述する切替え操作レバー36を介して上方に向かって開いて、給紙台11の上面11aに対して所定の角度だけ傾斜させ、この第1可動板31の前面31aに封筒Fのフラップ部Ff側の端を当接させて、第1可動板31で封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げように支持している。
【0075】
更に、封筒Fの底部Feを下方に下げて支持するために給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方に設置した第2可動板41を後述する切替え操作ノブ51を介して給紙台11の上面11aよりも下方に回動させている。
【0076】
上記から、封筒Fを積載した場合に、第1可動板31は給紙台11の上面11aよりも上方に向かって回動して傾斜し、一方、第2可動板41は給紙台11の上面11aよりも下方に向かって回動して傾斜するので、積載した最上層の封筒Fが給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができる。
【0077】
次に、本発明の要部の一部を構成する第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)31を有する封筒フラップ部支持手段30について、図6及び図7を用いて説明する。
【0078】
図6は、封筒フラップ部支持手段の構成を示した斜視図である。
【0079】
図6に示す如く、上記した封筒フラップ部支持手段30では、前述したように、封筒Fを積載したときのみ傾斜させる第1可動板31が、平坦な前面31aと後面31bと下端の軸支持部31cと左右の側面31d,31eとを有して板金材を用いて矩形状に折り曲げ形成されている。
【0080】
そして、第1可動板31の軸支持部31cが、給紙台11の第1可動板収納部11d内の左右に固着されている第1シャフト32により回動可能に軸支され、且つ、第1可動板31が第1シャフト32に嵌入したネジリバネ33により閉じ方向に付勢されていると共に、第1可動板31を開いたときにこの前面31aが封筒Fのフラップ部Ff側と対向可能になっている。
【0081】
また、給紙台の第1可動板収納部11d内には、長尺な第2シャフト34が第1シャフト32と平行に第1可動板収納部11d内の左側面11d1と給紙台11の右側面11fとの間に回動自在に軸支されており、第2シャフト34は第1可動板31の後面31b側と対向している。
【0082】
また、上記した第2シャフト34には、先端に凸部35aと凹部35bとを交互に複数形成したカム板35が給紙台11の第1可動板収納部11d内の左右に分かれて2つ固着されている。
【0083】
この際、カム板35に形成した複数の凸部35aの先端及び複数の凹部35bの底と、回動中心となる第2シャフト34との間の各寸法は、段階的に変化している。
【0084】
また、第2シャフト34は、給紙台11の第1可動板収納部11d内から右側面11f側にスライド自在に設けた第1,第2スライド部材48,49の逃げ孔48b,49bを通って外側まで延出されて、この第2シャフト34の端部にカム板35の回動角度を切替えることで第1可動板31の傾斜角度を切替える切替え操作レバー36が固着されている。
【0085】
また、給紙台11の第1可動板収納部11d内には、2つのカム板35が反時計方向に回動して第1可動板31を閉じたときに、各カム板35を退避させるための逃げ孔11d2が形成されている。
【0086】
また、第1可動板31の後面31bには、各カム板35のいずれか一つの凸部35aを係合させる被係合凹部31b1が、左右に間隔を離して2箇所形成されており、各カム板35のいずれか一つの凸部35aの位置によって第1可動板31の傾斜角度が段階的に可変可能になっている。
【0087】
ここで、上記のように構成した封筒フラップ部支持手段30の動作を説明するにあたって、図7(a)は用紙Pを積載する場合を示し、一方、図7(b)は封筒Fを積載する場合を示している。
【0088】
図7(a)に示す如く、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、ユーザが給紙台11の右側面11f側に設けた切替え操作レバー36を反時計方向に操作する。そして、切替え操作レバー36の先端部と、この切替え操作レバー36を固着した第2シャフト34の中心とを結ぶ仮想線が給紙台11の上面11aと略平行になる位置まで切替え操作レバー36を回動させると、給紙台11の第1可動板収納部11d内で第2シャフト34に固着させたカム板35も反時計方向に回動して第1可動板31の後面31bから退避する。
【0089】
これにより、第1可動板31は、ネジリバネ33の付勢力により第1シャフト32を中心にして反時計方向に回動して、給紙台11の第1可動板収納部11d内に収納されるので、第1可動板31の前面31aと給紙台11の上面11aとが略同じ高さで平坦となる。
【0090】
従って、第1可動板31を閉じたときには、用紙Pの後端部側を第1可動板31上に積載することが可能となる。
【0091】
また、図7(b)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、ユーザが切替え操作レバー36を図7(a)に示した位置から時計方向に回動させると、給紙台11の第1可動板収納部11d内で第2シャフト34に固着させたカム板35も時計方向に回動して、カム板35で第1可動板31の後面31bを上方に向かって押し上げるので、第1可動板31がネジリバネ33の付勢力に抗して第1シャフト32を中心にして時計方向に回動する。
【0092】
そして、ユーザが切替え操作レバー36を時計方向に所望の角度だけ回動させると、カム板35に形成したいずれか一つの凸部35aが第1可動板31の後面31bに形成した被係合凹部31b1に係合されるので、第1可動板31が給紙台11の上面11aに対して所定の角度だけ傾斜して、この前面31aに当接している多数枚の封筒Fのフラップ部Ff側を上方に持ち上げるように支持している。
【0093】
この際、第1可動板31の傾斜角度は、封筒Fの長さや、封筒Fの積載量に応じてユーザが切替え操作レバー36を操作してカム板35の回動角度を段階的に選択することで設定可能になっている。例えば、カム板35の凸部35aの先端と第2シャフト34との間の寸法が一番長い凸部35aが、第1可動板31の後面31bに形成した被係合凹部31b1に係合されたときに、第1可動板31の傾斜角度が最大となる。
【0094】
尚、第1可動板31の傾斜角度を設定したときに、第1可動板31の前面31aによって上方に持ち上げられた最上層の封筒Fのフラップ部Ff側が給紙台11の上面11aに対して略水平となるのが理想であるが、最上層の封筒Fのフラップ部Ff側が略水平状態よりも更に上方に持ち上げられても給紙不良は全く生じないので、問題なく封筒Fを給紙できる。
【0095】
尚更に、この実施例では、カム板35に凸部35aと凹部35bとを交互に形成していずれか一つの凸部35aを第1可動板31の被係合凹部31b1に係合させているが、これに限定されるものではなく、第2シャフト34に固着させたカム板35は、第1可動板31の後面31bに接離でき、且つ、切替え操作レバー36を操作したときのカム板35の回動角度によって第1可動板31の傾斜角度を可変できる構造形態であれば良い。
【0096】
次に、本発明の要部の一部を構成する第2可動板(封筒底部支持可動板)41を有する封筒底部支持手段40について、図8〜図13を用いて説明する。
【0097】
図8及び図9は、封筒底部支持手段40の構成を説明するために給紙台の右側面11f側及び左側面11e側からそれぞれ見た斜視図である。
【0098】
図8及び図9に示す如く、上記した封筒底部支持手段40では、前述したように、封筒Fを積載したときのみ傾斜させる第2可動板41が、平坦な上面41a及び下面41bと、この上面41a及び下面41bの左右に連接して下方に垂下した左右の側面41c,41dとを有して板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0099】
この際、第2可動板41の上面41a及び下面41bは、給紙方向と直交する方向が給紙台11の横幅寸法と同程度に長尺に形成され、且つ、上面41a及び下面41bの給紙方向の幅は狭く形成されている。
【0100】
また、第2可動板41の上面41aの中心部位に薄い厚みのゴム材などを用いた摩擦部材42が貼着されて、この上方に設置した給紙ローラ14(図3)と対向しているので、最下層の用紙P又は封筒Fに対して摩擦部材42で摩擦力を付加している。
【0101】
また、第2可動板41の左右の側面41c,41dの各外側には左右一対の軸43,43が固着されており、各軸43が給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rに軸支されているので、第2可動板41は給紙台11の給紙方向先端部11gよりも前方に回動可能に支持されている。この際、第2可動板41の右側面41d側の軸43は、後述する第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内に進入している。
【0102】
また、第2可動板41の左右の側面41c,41dから給紙台11の後方部位側に向かってバネ掛止部41c1,41d1が上方に突出形成されており、これらのバネ掛止部41c1,41d1に左右一対の引張バネ44,44の各一端側が掛止されている。
【0103】
そして、第2可動板41の左側面41c側に掛止された引張バネ44の他端側は、給紙台11の左側面11e側に形成した不図示のバネ掛止部に掛止されているが、第2可動板41の右側面41d側に掛止された引張バネ44の他端側は、後述する第2スライド板49の先端部近傍に形成したバネ掛止部49aに掛止されている。
【0104】
この際、引張バネ44は、後述するように、第2可動板41を軸43を中心にして時計方向に付勢していると共に、給紙ローラ14(図3)への反発力を付与している。
【0105】
また、第2可動板41の下面41bの下方には、回動可能な第2可動板41を係止するための係止レバー45が回動自在に設けられている。
【0106】
上記した係止レバー45は、前面45a及び後面45bと、この前面45a及び後面45の左右に連接した左右の側面45c,45dとを有して板金材を用いて折り曲げ形成されている。
【0107】
また、係止レバー45は、左右の側面45c,45d間の長さが第2可動板41と略同じ長さで長尺に形成されている。そして、係止レバー45の左右の側面45c,45dの下方部位に長尺な1本の軸46を貫通させて、右側面45dの外側にネジリバネ47を嵌入させた状態で軸46の両端部が給紙台11の前方部位側で左右一対の側板22L,22Rに回動可能に軸支されている。
【0108】
この際、ネジリバネ47は、一端側を係止レバー45の右側面45dに形成したバネ掛止部45d1に掛止させ、且つ、他端側を給紙台11の右側面11f側に掛止させて、係止レバー45を軸46を中心にして反時計方向に付勢している。
【0109】
また、図10に拡大して示した如く、係止レバー45の右側面45dには、後述する第1スライド板48の裏面に固着させた係止ピン50が進入して係合される被係合凹部45d2が形成されている。
【0110】
そして、係止レバー45の右側面45dに形成した被係合凹部45d2内に係止ピン50が係合しているときには、係止レバー45がネジリバネ47の付勢力に抗しながら起立し、係止レバー45の上端部45eが第2可動板41の下面41bに当接することで、第2可動板41の上面41aが給紙台11の上面11aと略同じ高さになった状態で係止されるので、第2可動板41上に用紙Pの先端部側を積載することが可能となっている。
【0111】
再び図8及び図9に戻り、給紙台11の右側面11fの外側には、第1,第2スライド板48,49が給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライド自在に設けられており、これを言い換えると、第1,第2スライド板48,49が給紙台11の前後方向にスライド自在に設けられている。
【0112】
この際、内側に配置された第1スライド板48は、給紙台11の右側面11fに沿ってスライドし、一方、外側に配置された第2スライド板49は、第1スライド板48に沿ってスライドするようになっている。
【0113】
上記した第1スライド板48は、図11(a)〜(d)に示す如く、板金材を用いて上下をコ字状に折り曲げて長尺に形成されている。そして、第1スライド板48には、スライド方向に沿って給紙台11の右側面11fに設けられた複数のガイドピンが嵌合する複数のガイド孔や、前記軸43及び前記第2シャフト34並びに後述する切替え操作ノブ51(図12)が進入可能な複数の逃げ孔48a〜48cが貫通して形成されている。
【0114】
また、第1スライド板48の裏面側で給紙方向の先端部位には、先に説明した係止レバー45を係止させるための係止ピン50が固着されている。
【0115】
一方、上記した第2スライド板49は、図12(a)〜(d)に示す如く、板金材を用いて上下をコ字状に折り曲げて第1スライド板48よりも短く形成されている。そして、第2スライド板49には、スライド方向に沿って第1スライド板48に設けられた複数のガイドピンが嵌合する複数のガイド孔や、前記第2シャフト34が進入するための逃げ孔49bが貫通して形成されている。
【0116】
また、第2スライド板49の給紙方向の先端部には、先に説明した引張バネ44を掛止させるバネ掛止部49aが、第2可動板41の右側面41dに形成したバネ掛止部41d1と間隔を離して対向するように給紙台11の前方部位側に向かって上方に突出形成されている。
【0117】
更に、第2スライド板49の後端部には、第1スライド板48を押圧するための第1スライド板押圧部49cが裏面側に向かって直角に折り曲げ形成されている。
【0118】
ここで、上記のように構成した封筒底部支持手段40の動作を説明するにあたって、図13(a)は用紙Pを積載する場合を示し、図13(b)は封筒Fを積載する際に引張バネ44の付勢力を小さく設定する場合を示し、図13(c)は封筒Fを積載する際に引張バネ44の付勢力を大きく設定する場合を示している。
【0119】
尚、図13(a)〜(c)中において、各上面図は第1,第2スライド板48,49のスライド状態を上方から見て摸式的に図示し、且つ、各側面図は第1,第2可動板31,41の回動状態を側面側から見て図示している。
【0120】
尚また、以下の説明では、第1,第2スライド板48,49の給紙方向の下流側へのスライドを前方側のスライドと記載し、第1,第2スライド板48,49の給紙方向の上流側へのスライドを後方側のスライドと記載して説明する。
【0121】
まず、図13(a)に示す如く、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、ユーザは給紙台11の右側面11f側にスライド可能に設けた第2スライド板49に固着させた切替え操作ノブ51を前方側(矢印X1方向側)に操作して、第2スライド板49の後端部に形成した第1スライド板押圧部49cで第1スライド板48の後端部48dを前方側(矢印X1方向側)に押してスライドさせると、第1スライド板48の先端部に固着させた係止ピン50が係止レバー45に係合する。
【0122】
これにより、係止レバー45がネジリバネ47に抗して軸46を中心にして時計方向に回動して起立し、先に図10を用いて説明したように係止レバー45の上端部45eが第2可動板41の下面41bに当接するので、第2可動板41の上面41aが給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止される。この状態で用紙Pの先端部側を第2可動板41上に積載することが可能となるので、最上層の用紙Pの先端部側は給紙台11の上面11aと平行に保持されるため、用紙Pの不送りや重送などの給紙ミスを抑制できる。
【0123】
このとき、第2可動板41の軸43は、第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の左端に至っている。
【0124】
勿論、用紙Pの積載時には、先に図7(a)を用いて説明したように、給紙台11の後方部位に回動可能に設けた第1可動板31は給紙台11の上面11aと略同じ高さに閉じているので、第1可動板31上に用紙Pの後端部側を積載できる。
【0125】
上記から図13(a)では、用紙Pを給紙台11上に積載する場合に、第1,第2スライド板48,49が共に給紙台11の前方側に移動して、係止レバー45を介して第2可動板41を給紙台11の上面11aと略同じ高さに係止させる第1の態様を取り得る。
【0126】
この第1の態様を取り得えたときに、積載した用紙Pの給紙方向の先端部が給紙台11の上面11aと平行に保持されるため、用紙Pを確実に給紙できる。
【0127】
次に、図13(b)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ft側は、フラップ部Ff側よりも厚みが厚いので積載した封筒Fの底部Ft側を低くする必要があり、且つ、封筒Fの紙質が薄く封筒Fの重量が軽いときに、給紙ローラ14への反発力を封筒Fの軽い重量に対応して最適となるように設定する必要がある。
【0128】
そこで、ユーザは切替え操作ノブ51を図13(a)の状態から後方側(矢印X2方向側)に第1の移動量α1だけ移動させると、切替え操作ノブ51を固着した第2スライド板49も第1の移動量α1だけ移動する。
【0129】
そして、第2スライド板49が第1の移動量α1だけ後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の右側面41d側に形成したバネ掛止部41d1と第2スライド板49に形成したバネ掛止部49aとの間が第1の所定量だけ隔てることになる。
【0130】
これにより、引張バネ44が後方側(矢印X2方向側)に向って第1の所定量だけ伸びるために、引張バネ44による第1の付勢力が第2可動板41の軸43に伝達され、引張バネ44に引っ張られて軸43で第1スライド板48の逃げ孔48a内の左端を瞬間的に押すので、第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動する。
【0131】
その後、第1スライド板48は、第2スライド板49の後端部に形成した第1スライド板押圧部49cに当接して第1の移動量α1だけ移動して停止する。
【0132】
更に、第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第1スライド板48の先端部に固着させた係止ピン50による係止レバー45への係止が解除される。
【0133】
これにより、係止レバー45がネジリバネ47の付勢力により軸46を中心にして反時計方向に回動して、係止レバー45の上端部45e(図10)が第2可動板41の下面41bから離間するために係止レバー45による第2可動板41への係止が解除される。
【0134】
そして、係止を解除された第2可動板41は、引張バネ44の付勢力により軸43を中心にして時計方向に回動するので、この第2可動板41の上面41aが、給紙台11の上面11aよりも斜め下方に向かって傾斜する。このとき、第2可動板41の軸43は、第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の右端に至る。
【0135】
従って、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ftは、第2可動板41の斜め下方への回動により下方に下がるように支持されるが、底部Ftが積み重なった最上層では給紙台11の上面11aと略平行な姿勢を取る。また、封筒Fの重量が軽い場合に、引張バネ44が第1の所定量だけ伸びることにより、この引張バネ44による第1の付勢力が第2可動板41に伝達されて給紙ローラ14(図3)への反発力として作用するので、封筒Fの軽い重量に対して最適な給紙圧を得ることができる。
【0136】
勿論、封筒Fの積載時には、先に図7(b)を用いて説明したように、給紙台11の後方部位に回動可能に設けた第1可動板31は所定の傾斜角度を持って傾斜しているので、最上層の封筒Fのフラップ部Ffと底部Ftとの間が給紙台11の上面11aと略平行な姿勢(水平姿勢)を取ることができるので、封筒Fの不送りや重送などの給紙ミスは発生しない。
【0137】
上記から図13(b)では、重量が軽い封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、第2スライド板49を前記第1の態様に対して後方側に第1の移動量α1だけ移動させる動作に伴って、引張バネ44により第1スライド板48を後方側に第1の移動量α1だけ移動させて第2可動板41の係止を解除すると共に、第2可動板41のバネ掛止部41d1と第2スライド板49のバネ掛止部49aとの間を第1の所定量だけ隔てることで、引張バネ44に第1の付勢力を付与する第2の態様を取り得る。
【0138】
この第2の態様を取り得たときに、引張バネ44による第1の付勢力で給紙ローラ14への反発力を封筒Fの軽い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0139】
次に、図13(c)に示す如く、封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、封筒Fの給紙方向側の底部Ftを給紙台11の上面11aよりも低くすると共に、封筒Fの紙質が厚く重量が重いときに、給紙ローラ14への反発力を封筒Fの重い重量に対応して最適となるように設定する必要がある。
【0140】
そこで、ユーザは切替え操作ノブ51を図13(a)の状態から後方側(矢印X2方向側)に第1の移動量α1よりも大きい第2の移動量α2だけ移動させると、切替え操作ノブ51を固着した第2スライド板49も第2の移動量α2だけ移動する。
【0141】
そして、第2スライド板49が第2の移動量α2だけ後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の右側面41d側に形成したバネ掛止部41d1と第2スライド板49に形成したバネ掛止部49aとの間が前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることになる。
【0142】
これにより、引張バネ44が後方側(矢印X2方向側)に向って第2の所定量だけ伸びるために、引張バネ44による第2の付勢力に引っ張られて第1スライド板48が後方側(矢印X2方向側)に移動すると、第2可動板41の軸43が第1スライド板48の先端部近傍に設けた逃げ孔48a内の右端に至るために、この時点で第1スライド板48の移動が規制されるので第1スライド板48は第1の移動量α1だけ移動して停止する。
【0143】
この第1スライド板48の移動に伴って、上記した図13(b)の場合と同様な動作により、係止レバー45による第2可動板41への係止が解除され、第2可動板41は軸43を中心にして時計方向に回動する。
【0144】
そして、係止を解除された第2可動板41は、この上面41aが給紙台11の上面11aよりも斜め下方に向かって傾斜する。
【0145】
従って、封筒Fの給紙方向の先頭となる底部Ftは、図13(b)と同様に第2可動板41の斜め下方への回動により下方に下がるように支持されるが、底部Ftが積み重なった最上層では給紙台11の上面11aと略平行な姿勢を取る。また、封筒Fの重量が重い場合に、引張バネ44が第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ伸びることにより、この引張バネ44による第2の付勢力が第2可動板41に伝達されて給紙ローラ14(図3)への反発力として作用するので、封筒Fの重い重量に対して最適な給紙圧を得ることができる。
【0146】
上記から図13(c)では、重量が重い封筒Fを給紙台11上に積載する場合に、第2スライド板49を前記第1の態様に対して後方側に前記第1の移動量α1よりも大きい第2の移動量α2だけ移動させる動作に伴って、引張バネ44により第1スライド板48を後方側に第1の移動量α1だけ移動させて第2可動板41の係止を解除すると共に、第2可動板41のバネ掛止部41d1と第2スライド板49のバネ掛止部49aとの間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、引張バネ44に前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様を取り得る。
【0147】
この第3の態様を取り得たときに、引張バネ44による第2の付勢力で給紙ローラ14への反発力を封筒Fの重い重量に対応して最適となるように設定することができる。
【0148】
尚、この実施例では、第1,第2スライド板48,49の動作により、第1スライド板48を付勢している引張バネ44の付勢力を封筒Fの重量に対応して2段階に切替えて封筒Fへの給紙性能を向上させているが、給紙装置10(図3)を安価に構成する場合には引張バネ44の付勢力を切替えない構造形態も可能であり、この場合でも第2可動板41は係止状態と傾斜状態とを取り得る構造形態にすれば良い。
【符号の説明】
【0149】
1…印刷装置(画像形成装置)、2…一つの側板、
10…給紙装置、
11…給紙台、11a…上面、11b,11c…矩形孔、11d…第1可動板収納部、
11e,11f…左右の側面、11g…給紙方向先端部、
12L,12R…左右一対のガイドフェンス、13…ガイドシャフト、
14…給紙ローラ、15…捌きローラ、17…摩擦板、
20…昇降手段、
30…封筒フラップ部支持手段、
31…第1可動板(封筒フラップ部支持可動板)、
31a…前面、31b…後面、31b1…被係合凹部、
32…第1シャフト、33…ネジリバネ、34…第2シャフト、
35…カム板、35a…凸部、35b…凹部、36…切替え操作レバー、
40…封筒底部支持手段、
41…第2可動板(封筒底部支持可動板)、41a…上面、41b…下面、
41c,41d…左右の側面、41c1,41d1…バネ掛止部、
42…摩擦部材、43…左右一対の軸、44…左右一対の引張バネ、
45…係止レバー、45a…前面、45b…後面、45c,45d…左右の側面、
45d1…バネ掛止部、45d2…被係止凹部、45e…上端部、
46…軸、47…ネジリバネ、48…第1スライド板、
49…第2スライド板、49a…バネ掛止部、49c…第1スライド板押圧部、
50…係止ピン、51…切替え操作ノブ、
F…封筒、Fa…表紙、Fb…裏紙、Ff…フラップ部、Fn…糊代、Fe…底部、
P…用紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台の上面上に多数枚積載可能とされ、前記封筒の場合には前記封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側に設定して積載し、積載した最上層の前記用紙又は前記封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置において、
前記給紙台の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には前面が前記給紙台の上面と略同じ高さで収納され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するように前記給紙台の上面よりも上方に向かって傾斜する第1可動板と、
前記給紙台の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には上面が前記給紙台の上面と略同じ高さに係止され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒の底部側を下方に下げて支持するように前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜する第2可動板と、
を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記封筒の積載時に前記第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を2段階以上切替える付勢力切替え手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第1可動板を可動させる第1可動板可動手段は、
前記給紙台の給紙方向の上流側に形成した第1可動板収納部内で回動可能なシャフトに固着され、且つ、前記第1可動板の後面に接離するカム板と、
前記第1可動板収納部内から前記給紙台の一つの側面側に延出された前記シャフトに固着された切替え操作レバーと、備え、
前記切替え操作レバーを操作したときの前記カム板の回動角度によって前記第1可動板の傾斜角度を可変させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第2可動板を前記用紙の積載時に係止する一方、前記封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、
前記第2可動板の下面側に回動自在に設けられた係止レバーと、
前記給紙台の一つの側面に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第1スライド板と、
前記第1スライド板の前記下流側に固着され、前記第1スライド板が前記下流側に移動したときに前記係止レバーに係合して前記第2可動板を係止させる一方、前記第1スライド板の前記上流側への移動に伴って前記係止レバーの係止を解除する係止ピンと、
前記第2可動板に形成したバネ掛止部と間隔を離して対向するように前記下流側に形成したバネ掛止部と、前記上流側に形成した第1スライド板押圧部と、前記下流側と前記上流側との間に固着させた切替え操作ノブとを有して、前記第1スライド板に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第2スライド板と、
前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間に掛止された引張バネと、を備え、
前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記下流側に移動したときに、前記第1スライド板押圧部で前記第1スライド板を前記下流側に移動させて前記係止ピンを介して前記係止レバーを係止して前記第2可動板を係止させ、更に、前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記上流側に移動したときに、前記引張バネの付勢力で前記第1スライド板を前記上流側に移動させて前記係止レバーよる前記第2可動板への係止を解除して該第2可動板を前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1,第2スライド板が共に前記下流側に移動して、前記係止レバーを介して前記第2可動板を前記給紙台の上面と略同じ高さに係止させる第1の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に第1の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに第1の付勢力を付与する第2の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に前記第1の移動量よりも大きい第2の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様と、
を取り得ることを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項1】
用紙又は封筒のいずれか一方を給紙台の上面上に多数枚積載可能とされ、前記封筒の場合には前記封筒のうちで厚みが薄いフラップ部側よりも厚みが厚い底部側を給紙方向の下流側に設定して積載し、積載した最上層の前記用紙又は前記封筒を給紙ローラにより給紙する給紙装置において、
前記給紙台の給紙方向の上流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には前面が前記給紙台の上面と略同じ高さで収納され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒のフラップ部側を上方に持ち上げて支持するように前記給紙台の上面よりも上方に向かって傾斜する第1可動板と、
前記給紙台の給紙方向の下流側に可動可能に設けられ、前記用紙を積載する場合には上面が前記給紙台の上面と略同じ高さに係止され、一方、前記封筒を積載する場合には前記封筒の底部側を下方に下げて支持するように前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜する第2可動板と、
を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記封筒の積載時に前記第2可動板を傾斜させるように付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力を2段階以上切替える付勢力切替え手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第1可動板を可動させる第1可動板可動手段は、
前記給紙台の給紙方向の上流側に形成した第1可動板収納部内で回動可能なシャフトに固着され、且つ、前記第1可動板の後面に接離するカム板と、
前記第1可動板収納部内から前記給紙台の一つの側面側に延出された前記シャフトに固着された切替え操作レバーと、備え、
前記切替え操作レバーを操作したときの前記カム板の回動角度によって前記第1可動板の傾斜角度を可変させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第2可動板を前記用紙の積載時に係止する一方、前記封筒の積載時に係止を解除する第2可動板係止及び係止解除手段は、
前記第2可動板の下面側に回動自在に設けられた係止レバーと、
前記給紙台の一つの側面に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第1スライド板と、
前記第1スライド板の前記下流側に固着され、前記第1スライド板が前記下流側に移動したときに前記係止レバーに係合して前記第2可動板を係止させる一方、前記第1スライド板の前記上流側への移動に伴って前記係止レバーの係止を解除する係止ピンと、
前記第2可動板に形成したバネ掛止部と間隔を離して対向するように前記下流側に形成したバネ掛止部と、前記上流側に形成した第1スライド板押圧部と、前記下流側と前記上流側との間に固着させた切替え操作ノブとを有して、前記第1スライド板に沿って給紙方向の下流側とこの下流側とは反対側の上流側との間をスライドする第2スライド板と、
前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間に掛止された引張バネと、を備え、
前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記下流側に移動したときに、前記第1スライド板押圧部で前記第1スライド板を前記下流側に移動させて前記係止ピンを介して前記係止レバーを係止して前記第2可動板を係止させ、更に、前記切替え操作ノブを介して前記第2スライド板を前記上流側に移動したときに、前記引張バネの付勢力で前記第1スライド板を前記上流側に移動させて前記係止レバーよる前記第2可動板への係止を解除して該第2可動板を前記給紙台の上面よりも下方に向かって傾斜させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1,第2スライド板が共に前記下流側に移動して、前記係止レバーを介して前記第2可動板を前記給紙台の上面と略同じ高さに係止させる第1の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に第1の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を第1の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに第1の付勢力を付与する第2の態様と、
前記第2スライド板を前記第1の態様に対して前記上流側に前記第1の移動量よりも大きい第2の移動量だけ移動させる動作に伴って、前記引張バネにより前記第1スライド板を前記上流側に前記第1の移動量だけ移動させて前記第2可動板の係止を解除すると共に、前記第2可動板のバネ掛止部と前記第2スライド板のバネ掛止部との間を前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ隔てることで、前記引張バネに前記第1の付勢力よりも大きい第2の付勢力を付与する第3の態様と、
を取り得ることを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−71794(P2013−71794A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210705(P2011−210705)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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