説明

給紙装置

【課題】ハーネスの誤挿入を防止するとともに、部品の共通性を保持して部品の製造費用を軽減する。
【解決手段】記録紙を収納する給紙トレイを挿脱可能な複数の給紙段と、複数の給紙段それぞれの給紙トレイから給紙される記録紙が搬送される共通の搬送経路上に設けられ、記録紙を検知するレジストセンサ8と、複数の給紙段それぞれに対応して備えられ、給紙コロを回転させて記録紙を搬送させて給紙させる際にメインモータ2からの駆動力を給紙コロに伝える給紙クラッチ6A、6Bと、給紙クラッチ6A、6Bの起動時からレジストセンサ8が記録紙を検知するまでの計測時間1を計測するタイマ部130と、計測時間1に基づいて、制御基板1の制御ポートE、Fにハーネス153を介して接続された給紙クラッチ6A、6Bがいずれの給紙段に備えられているかを判別する判別部112と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイから記録紙を搬送する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給紙トレイを2段以上備える給紙装置では、各給紙段において、給紙トレイにセットされる記録紙のサイズを検知するサイズセンサ、記録紙が給紙トレイに有るか無いかを検知するエンドセンサ、およびモータにより給紙コロを回転させて記録紙を搬送させる際のモータの駆動を給紙コロに伝える給紙クラッチなどを備えている。そして、このような給紙装置では、共通性を持たせるために、各給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチを同一品にすることが多い。
【0003】
しかし、給紙装置の製造工程時において、各給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチにハーネスを接続する際、該ハーネスが予め定められた給紙段とは異なる給紙段に誤挿入される場合がある。そうなると、制御基板の電気的に繋がれた制御ポートにハーネスを介して接続された各給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチが、どの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチであるか判別できなくなってしまう。このような場合、例えば、本来制御すべき給紙段とは異なる給紙段を制御することになるため、ジャムなどの不具合の発生が懸念される。
【0004】
その対策として、従来ではハーネスのコネクタを色分けしたり番号札を設けたりすることで視覚的に識別するなど、種々の技術が知られている。例えば、特許文献1では、同一形状のコネクタ部とハウジング部に対して、1:1に対応する刻印を目視可能な位置に付与することやその上でさらに色分けすることにより、コネクタ部の差し違いを防止する遊技機用コネクタユニットが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハーネスのコネクタを色分けしたり番号札を設けたりして視覚的に識別した場合でも、例えば製造工程者の体調不良や交代があった場合などには、ハーネスを誤挿入してしまうことも考えられ、必ずしも製造工程時のハーネスの誤挿入を防ぐことはできないという問題があった。また、上述した特許文献1の遊技機用コネクタユニットのように刻印を付与したり色分けしても、同様に必ずしも製造工程時のハーネスの誤挿入を防ぐことはできない上、共通性がなくなってしまうとともに、部品のコストアップに繋がってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ハーネスをどの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチに接続しても、該ハーネスがいずれの給紙段に接続されたかを容易に判断でき、ハーネスの誤挿入を防止するとともに、部品の共通性を保持して部品の製造費用を軽減する給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録紙を収納する給紙トレイを挿脱可能な複数の保持部と、前記複数の保持部それぞれの前記給紙トレイから給紙される記録紙が搬送される共通の搬送経路上に設けられ、記録紙を検知する記録紙検知手段と、前記複数の保持部それぞれに対応して備えられ、給紙ローラを回転させて記録紙を搬送させて給紙させる際に駆動部からの駆動力を前記給紙ローラに伝える複数の伝達手段と、前記伝達手段の起動時から、前記記録紙検知手段が記録紙を検知するまでの第1計測時間を計測する計測手段と、計測された前記第1計測時間に基づいて、制御基板の制御ポートに接続部材を介して接続された前記複数の伝達手段がいずれの前記保持部に備えられているかを判別する判別手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハーネスをどの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチに接続しても、該ハーネスがいずれの給紙段に接続されたがを容易に判断でき、ハーネスの誤挿入を防止するとともに、部品の共通性を保持して部品の製造費用を軽減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態にかかる給紙装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態にかかる制御基板の構成を示す図である。
【図3】図3は、給紙段判断情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態にかかる給紙装置における判別処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、給紙装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、実施の形態にかかる給紙装置の全体構成を示す図である。
【0011】
本実施の形態の給紙装置では、給紙トレイを2段備えており、制御基板における電気的に繋がれた制御ポートにハーネスをどの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチに接続しても、該ハーネスを介して接続された各給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチが、いずれの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチであるかを判別することができるものである。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の給紙装置は、制御基板1と、メインモータ2と、給紙トレイ3(3A、3B)と、エンドセンサ4(4A、4B)と、サイズセンサ5(5A、5B)と、給紙クラッチ6(6A、6B)と、給紙コロ7(7A、7B)と、レジストセンサ8と、レジストローラ9と、転写ローラ10と、定着ローラ11とを主に備えている。ここで、本実施の形態の給紙装置は、2段の給紙トレイを備えているが、3段以上の給紙トレイを備えた構成としてもよい。
【0013】
制御基板1は、給紙装置全体の制御を司るボードである。なお、図1では、制御基板1を分かり易く図示しているだけであって、実際にはレジストセンサ8やレジストローラ9や転写ローラ10は制御基板1の裏側に配置されている。
【0014】
メインモータ2は、制御基板1の指令に従い、各種ローラやコロを回転させる駆動源である。
【0015】
給紙トレイ3は、記録紙Pを積載して収納するユニットであり、給紙装置の各給紙段(上段および下段)に挿脱可能な状態で備えられており、上段の給紙トレイ3Aと下段の給紙トレイ3Bの2段が積み重なっている。図1では、上段の給紙トレイ3AにA4サイズの記録紙P1、下段の給紙トレイ3BにA3サイズの記録紙P2が積載されている。なお、保持部が給紙段に対応している。
【0016】
エンドセンサ4は、給紙トレイ3における記録紙Pの有無を検知するセンサである。本実施の形態のエンドセンサ4は、透過型の光学的センサであって、記録紙Pと連動して動くフィラーが該光学的センサを遮るか否かにより記録紙Pの有無を検知している。エンドセンサ4は、各給紙段(複数の給紙段それぞれ)に対応して備えられており、上段にエンドセンサ4A、下段にエンドセンサ4Bが備えられ、それぞれ同じものである。エンドセンサ4が記録紙有無検知手段に対応している。
【0017】
サイズセンサ5は、給紙トレイ3に収納されている記録紙Pのサイズを検知するセンサである。本実施の形態のサイズセンサ5は、透過型の光学的センサであって、記録紙Pと連動して動くフィラーが該光学的センサを遮るか否かにより記録紙Pのサイズを検知している。サイズセンサ5は、各給紙段(複数の給紙段それぞれ)に対応して備えられており、上段にサイズセンサ5A、下段にサイズセンサ5Bが備えられ、それぞれ同じものである。サイズセンサ5がサイズ検知手段に対応している。
【0018】
給紙クラッチ6は、メインモータ2により給紙コロ7を回転させて記録紙Pを搬送させる際に、メインモータ2の駆動力を給紙コロ7に伝えるクラッチであり、メインモータ2と給紙コロ7間のギアが該クラッチに連動して回転する構造となっている。給紙クラッチ6は、各給紙段(複数の給紙段それぞれ)に対応して備えられており、上段に給紙クラッチ6A、下段に給紙クラッチ6Bが備えられ、それぞれ同じものである。なお、給紙クラッチ6が伝達手段に対応している。
【0019】
給紙コロ7は、記録紙Pを搬送させるコロであり、メインモータ2とギアなどで連結されている。給紙コロ7は、上段に給紙コロ7A、下段に給紙コロ7Bが備えている。
【0020】
レジストセンサ8は、給紙コロ7により搬送された記録紙Pに転写ローラ10によりトナー画像を転写させる際に、記録紙Pの決められた位置から転写させるための同期を取るセンサである。レジストセンサ8は、各給紙段の給紙トレイ3(3A、3B)から給紙される記録紙Pが搬送される共通の搬送経路上に設けられている。本実施の形態のレジストセンサ8は、透過型の光学的センサであって、記録Pと連動して動くフィラーが該光学的センサを遮るか否かにより記録紙Pを検知している。レジストセンサ8が記録紙検知手段に対応している。
【0021】
レジストローラ9は、給紙コロ7から搬送された記録紙Pを転写ローラ10に引き渡すためのローラであり、メインモータ2とギアなどで連結されている。
【0022】
転写ローラ10は、感光体ドラムに可視像化されたトナー画像を記録紙Pに転写させるローラであり、メインモータ2とギアなどで連結されている。
【0023】
定着ローラ11は、転写ローラ10により転写されたトナー画像を熱と圧力により定着させるローラであり、メインモータ2とギアなどで連結されている。
【0024】
記録紙Pは、給紙トレイ3から給紙コロ7、レジストローラ9、転写ローラ10、定着ローラ11の順で搬送され、図示しない排紙トレイ上に排出される。
【0025】
ここで、記録紙の搬送時間に関して説明する。図1に示すように、上段の給紙トレイ3Aから搬送される記録紙P1の給紙コロ7Aからレジストセンサ8までの搬送距離より、下段の給紙トレイ3Bから搬送される記録紙P2の給紙コロ7Bからレジストセンサ8までの搬送距離の方が長い。また、記録紙P1およびP2の搬送速度は同じである。従って、上段の給紙トレイ3Aから記録紙P1が搬送される場合の給紙クラッチ6Aの起動時からレジストセンサ8が記録紙P1を検知するまでの時間より、下段の給紙トレイ3Bから記録紙P2搬送される場合の給紙クラッチ6Bの起動時からレジストセンサ8が記録紙P2を検知するまでの時間の方が長くなる。
【0026】
さらに、記録紙P1およびP2の搬送速度が同じであることから、レジストセンサ8による記録紙P1およびP2の検知開始から検知終了までの時間は、用紙サイズにより異なる。例えばA3サイズの記録紙の縦方向に対して、A4サイズの記録紙の横方向の長さは半分なので、上記時間(記録紙Pの検知開始から検知終了までの時間)も半分となる。
【0027】
次に、制御基板1について説明する。図2は、実施の形態にかかる制御基板の構成を示す図である。図2に示すように、制御基板1は、制御部110と、メモリ120と、タイマ部130と、I/O(Input/Output)部140とを主に備えている。
【0028】
制御部110は、メモリ120に記憶された制御プログラムに従って給紙装置の全体を制御するものであり、監視部111と、判別部112とをさらに備えている。監視部111および判別部112の詳細については後述する。
【0029】
メモリ120は、給紙装置の全体を制御するための制御プログラム、各種必要なパラメータおよび給紙装置の全体制御のワークエリア領域等である。メモリ120は、給紙クラッチ6の起動時(オンタイミング)からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの時間である計測時間1(第1計測時間)と、レジストセンサ8による記録紙Pの検知開始から検知終了までの時間である計測時間2(第2計測時間)とを記憶する。
【0030】
また、メモリ120は、後述する判別部112による判断結果、すなわち制御基板1に備えられた各制御ポートA、B、C、D、E、Fにハーネス151、152、153を介して接続されたエンドセンサ4、給紙クラッチ6、およびサイズセンサ5が、いずれの給紙段のエンドセンサ4、給紙クラッチ6、サイズセンサ5に対応しているかを示した割り付け(各制御ポートに対する割り付け)を記憶する。
【0031】
さらに、メモリ120は、給紙段判断情報121を記憶している。図3は、給紙段判断情報の一例を示す図である。図3に示すように、給紙段判断情報121は、縦に計測時間1による分類がなされ、横に計測時間2による分類がなされている。そして、計測時間1および計測時間2によって、ハーネス151、152、153を介して接続されたエンドセンサ4、給紙クラッチ6、およびサイズセンサ5が、いずれの給紙段に備えられ、その給紙段の給紙トレイ3にはいずれのサイズの記録紙が収納されているかを判断するものである。
【0032】
具体的には、計測時間1は、T1およびT2に分類されており、T1>T2となっている。記録紙P1とP2の搬送速度が同じであって、図1に示すように、給紙クラッチ6Bの起動時からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの距離の方が、給紙クラッチ6Aの起動時からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの距離より長いので、給紙クラッチ6Bの起動時からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの時間がT1で、給紙クラッチ6Aの起動時からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの時間がT2となる。従って、給紙段判断情報121は、計測時間1のT1と、給紙トレイ3B、サイズセンサ5B、エンドセンサ4B、給紙クラッチ6Bを備えた下段とを対応付けている。一方、給紙段判断情報121は、計測時間1のT2と、給紙トレイ3A、サイズセンサ5A、エンドセンサ4A、給紙クラッチ6Aを備えた上段とを対応付けている。
【0033】
また、計測時間2は、T3およびT4に分類されており、T3>T4となっている。ここでは、給紙装置にA4サイズおよびA3サイズの記録紙が収納されていることを想定している。そして、レジストセンサ8によるA3サイズの記録紙Pの検知開始から検知終了までの時間の方が、レジストセンサ8によるA4サイズの記録紙Pの検知開始から検知終了までの時間より長いので、A3サイズの記録紙Pを検知した場合がT3で、A4サイズの記録紙Pを検知した場合がT4となる。従って、計測時間2のT3と、A3サイズの記録紙Pとを対応付け、計測時間2のT4と、A4サイズの記録紙Pとを対応付けている。なお、メモリ120が記憶部に対応している。
【0034】
タイマ部130は、給紙クラッチ6の起動時(オンタイミング)からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの時間である計測時間1(第1計測時間)と、レジストセンサ8による記録紙Pの検知開始から検知終了までの時間である計測時間2(第2計測時間)とを計測するものである。タイマ部130が計測手段に対応している。
【0035】
I/O部140は、レジストセンサ8およびメインモータ2がハーネスを介して接続されている。
【0036】
また、I/O部140は、上段の給紙トレイ3Aのエンドセンサ4Aが制御ポートAまたは制御ポートBのいずれか一方に接続されており、下段の給紙トレイ3Bのエンドセンサ4Bが制御ポートAまたは制御ポートBのもう一方(制御ポートAまたは制御ポートBのうちエンドセンサ4Aが接続されていない方)に接続されている。そして、エンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bを制御ポートに接続しているハーネス151はほぼ同じ長さになっている。
【0037】
また、I/O部140は、上段の給紙トレイ3Aのサイズセンサ5Aが制御ポートCまたは制御ポートDのいずれか一方に接続されており、下段の給紙トレイ3Bのサイズセンサ5Bが制御ポートCまたは制御ポートDのもう一方(制御ポートCまたは制御ポートDのうちサイズセンサ5Aが接続されていない方)に接続されている。そして、サイズセンサ5Aおよびサイズセンサ5Bを制御ポートに接続しているハーネス152はほぼ同じ長さになっている。
【0038】
また、I/O部140は、上段の給紙トレイ3Aの給紙クラッチ6Aが制御ポートEまたは制御ポートFのいずれか一方に接続されており、下段の給紙トレイ3Bの給紙クラッチ6Bが制御ポートEまたは制御ポートFのもう一方(制御ポートEまたは制御ポートFのうち給紙クラッチ6Aが接続されていない方)に接続されている。そして、給紙クラッチ6Aおよび給紙クラッチ6Bを制御ポートに接続しているハーネス153はほぼ同じ長さになっている。
【0039】
次に、監視部111および判別部112の詳細について説明する。
【0040】
監視部111は、エンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bによる記録紙Pの有無の検知状態が変化したか否かを監視するものである。すなわち、監視部111は、エンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bによって、記録紙Pの検知状態が有りから無しに変化したか、もしくは検知状態が無しから有りに変化したかを監視する。
【0041】
判別部112は、タイマ部130によって計測された計測時間1に基づいて、制御基板1の制御ポートEまたは制御ポートFにハーネス153を介して接続された給紙クラッチ6Aおよび給紙クラッチ6Bがいずれの給紙段に備えられているかを判別するものである。
【0042】
具体的には、給紙クラッチ6Aまたは給紙クラッチ6Bが起動され、タイマ部130によって計測時間1が計測された場合、判別部112は、メモリ120に記憶されている給紙段判断情報121を参照し、計測された計測時間1に対応する給紙段に、起動した給紙クラッチ6(給紙クラッチ6Aまたは給紙クラッチ6B)が備えられていると判別する。なお、給紙段が2段である場合、一方の給紙クラッチ6が上段または下段のいずれかの給紙段に備えられていると判別した場合、他方の給紙クラッチ6は当該一方の給紙クラッチ6が備えられていない給紙段に備えられていると判別できる。
【0043】
また、判別部112は、タイマ部130によって計測された計測時間2に基づいて、制御基板1の制御ポートCまたは制御ポートDにハーネス152を介して接続されたサイズセンサ5Aおよびサイズセンサ5Bがいずれかの給紙段に備えられているかを判別する。
【0044】
具体的には、まず、サイズセンサ5Aおよびサイズセンサ5Bが、それぞれの給紙トレイ3Aおよび3Bに収納された記録紙P1およびP2の用紙サイズを検知する。そして、給紙クラッチ6Aまたは給紙クラッチ6Bが起動され、記録紙Pが搬送されてレジストセンサ8で検知された場合、判別部112は、メモリ120に記憶されている給紙段判断情報121を参照し、計測された計測時間2に対応するサイズの記録紙Pを検知したサイズセンサ5が、起動した給紙クラッチ6が備えられた給紙段に備えられていると判別する。
【0045】
また、判別部112は、監視部111の監視結果に基づいて、制御基板1の制御ポートAまたは制御ポートBにハーネス151を介して接続されたエンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bがいずれかの給紙段に備えられているかを判別する。
【0046】
具体的には、給紙クラッチ6Aまたは給紙クラッチ6Bが起動されて記録紙Pが搬送された際に、監視部111によって、エンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bがいずれかによる記録紙Pの検知状態が有りから無しに変化した旨の監視結果が得られた場合、判別部112は、記録紙Pの検知状態が有りから無しに変化したエンドセンサ4が、起動した給紙クラッチ6が備えられた給紙段に備えられていると判別する。
【0047】
また、判別部112は、1回の制御、すなわちいずれかの給紙トレイ3から記録紙Pを搬送して排紙トレイに排紙する制御により、少なくとも給紙クラッチ6およびサイズセンサ5の判別、または給紙クラッチ6およびエンドセンサ4の判別を行う。また、判別部112は、特定の検査を実行する場合に、少なくとも給紙クラッチ6およびサイズセンサ5の判別、または給紙クラッチ6およびエンドセンサ4の判別を実行する。
【0048】
次に、給紙装置における各給紙段のサイズセンサ5、エンドセンサ4、および給紙クラッチ6がいずれの給紙段に備えられているかを判別する処理の流れについて説明する。図4は、実施の形態にかかる給紙装置における判別処理の流れを示すフローチャートである。図4では、2段の給紙トレイを備えた給紙装置において、一方の給紙段の給紙トレイ3にA4サイズの記録紙P、もう一方の給紙段の給紙トレイ3にA3サイズの記録紙Pがセットされていると仮定し、その状態で印刷要求を受けた場合の判別処理の流れを説明する。
【0049】
このような状態において、給紙装置では、各給紙段のエンドセンサ4(4Aおよび4B)は、制御ポートAおよび制御ポートBを介して、給紙トレイ3に収納された全ての記録紙が「有り」と検知されている。なお、エンドセンサ4Aおよびエンドセンサ4Bが、上段に備えられているか、下段に備えられているかまでは区別できてない。
【0050】
また、給紙装置では、各給紙段のサイズセンサ5(5Aおよび5B)は、制御ポートCおよび制御ポートDを介して、給紙トレイ3にA4サイズまたはA3サイズのどちらかの記録紙Pが収納されていることが検知されている。なお、サイズセンサ5Aおよびサイズセンサ5Bが、上段に備えられているか、下段に備えられているかまでは区別できてない。
【0051】
まず、制御部110は、各給紙段の給紙コロ7を回転させるための駆動源であるメインモータ2を起動(ON)させる(ステップS1)。
【0052】
次に、制御部110は、決め打ちで一方の給紙クラッチ6を、制御ポートEまたは制御ポートFを介して起動(ON)させて、メインモータ2の駆動力を各給紙段の一つの給紙コロ7に伝達して、記録紙Pを搬送させると同時に、タイマ部130は、計測時間1の計測を開始する(ステップS2)。
【0053】
そして、監視部111は、ステップS2において記録紙Pを搬送させた後に各給紙段の各々のエンドセンサ4の検知状態が、制御ポートAまたは制御ポートBを介して、いずれか一つでも有りから無しに変化したか否かを監視する(ステップS3)。
【0054】
いずれかのエンドセンサ4の検知状態が、有りから無しに変化したと判断された場合(ステップS3:Yes)、制御部110は、検知状態が有りから無しに変化したエンドセンサ4が接続された制御ポート(制御ポートAまたは制御ポートB)をメモリ120に記憶する(ステップS4)。一方、いずれのエンドセンサ4の検知状態も有りから無しに変化しないと判断された場合(ステップS3:No)、ステップS5に進む。
【0055】
判別部112は、ステップS2において搬送された記録紙Pがレジストセンサ8に到達して、レジストセンサ8が起動(ON)になるか否かを判断する(ステップS5)。レジストセンサ8が起動していないと判断された場合(ステップS5:No)、判別部112は、予め定めた一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS6)。一定時間が経過した場合(ステップS6:Yes)は、ジャムエラーが発生したと判断して処理を終了する。一方、一定時間が経過していない場合(ステップS6:No)は、ステップS5の処理に戻る。
【0056】
一方、ステップS5において、レジストセンサ8が起動していると判断された場合(ステップS5:Yes)、すなわちレジストセンサ8による記録紙Pの検知が開始された場合、制御部110は、タイマ130により、ステップS2における給紙クラッチ6の起動時(オンタイミング)からステップS5におけるレジストセンサ8の検知開始までの時間を計測した計測時間1をメモリ120に記憶すると同時に、タイマ部130は、計測時間2の計測を開始する(ステップS7)。
【0057】
そして、制御部110は、記録紙Pがレジストセンサ8を通過してレジストセンサ8による検知が終了(OFF)したか否かを判断する(ステップS8)。レジストセンサ8による検知が終了していないと判断された場合(ステップS8:No)、判別部112は、予め定めた一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS9)。一定時間が経過した場合(ステップS9:Yes)は、ジャムエラーが発生したと判断して処理を終了する。一方、一定時間が経過していない場合(ステップS9:No)は、ステップS8の処理に戻る。
【0058】
一方、ステップS8において、レジストセンサ8による検知が終了したと判断された場合(ステップS8:Yes)、制御部110は、タイマ130により、ステップS7におけるレジストセンサ8の記録紙Pの検知開始からステップS8におけるレジストセンサ8の記録紙Pの検知終了までの時間を計測した計測時間2をメモリ120に記憶する(ステップS10)。
【0059】
次に、判別部112は、計測時間1および計測時間2を分析する(ステップS11)。すなわち、判別部112は、メモリ120に記憶された給紙段判断情報121を参照し、計測された計測時間1が給紙段判断情報121の計測時間1(T1またはT2)のいずれであるかを判断し、ステップS2において決め打ちで起動させた給紙クラッチ6が上段の給紙クラッチ6Aか下段の給紙クラッチ6Bか判別する。
【0060】
そして、判別部112は、メモリ120に記憶された給紙段判断情報121を参照し、計測された計測時間2が給紙段判断情報121の計測時間2(T3またはT4)のいずれであるかを判断し、A3サイズまたはA4サイズの記録紙Pを検知している各給紙段のサイズセンサ5が上段のサイズセンサ5Aか下段のサイズセンサ5Bか判別する。
【0061】
さらに判別部112は、ステップS4で記憶した制御ポートAまたは制御ポートBに接続されたエンドセンサ4が上段のエンドセンサ4Aか下段のエンドセンサ4Bかを判別する。
【0062】
すなわち、計測した計測時間1および計測時間2の組み合わせと、ステップS4で記憶した制御ポートにより、給紙クラッチ6、サイズセンサ5、エンドセンサ4がいずれの給紙段に備えられたかを判別する。
【0063】
ここで、一例を挙げて具体的に説明する。例えば、タイマ部130により計測された計測時間1が「T1」であって、計測時間2が「T3」であったとする。この場合、判別部112は、まず、給紙段判断情報121を参照し、T1に対応する給紙段は下段であると判別し、ステップS2において決め打ちで起動させた給紙クラッチ6が下段の給紙クラッチ6Bであると判別する。そして、起動させていない給紙クラッチ6が上段の給紙クラッチ6Aであると判別する。
【0064】
次に、判別部112は、給紙段判断情報121を参照し、T3に対応する記録紙のサイズはA3サイズであると判別し、A3サイズを検知しているサイズセンサ5が起動された給紙クラッチ6が備えられた給紙段、すなわち下段のサイズセンサ5Bであると判別する。そして、A4サイズを検知しているサイズセンサ5が上段のサイズセンサ5Aであると判別する。
【0065】
そして、判別部112は、ステップS4で記憶した制御ポートに接続されたエンドセンサ4が、起動された給紙クラッチ6が備えられた給紙段、すなわち下段のエンドセンサ4Bであると判別する。そして、記憶されていない制御ポートに接続されたエンドセンサ4が上段のエンドセンサ4Aであると判別する。
【0066】
そして、制御部110は、ステップS11における判別結果に従って、各制御ポート(制御ポートA、B、C、D、E、F)にハーネス151、152、153を介して接続されたエンドセンサ4A、エンドセンサ4B、サイズセンサ5A、サイズセンサ5B、給紙クラッチ6A、給紙クラッチ6Bが、いずれの給紙段のエンドセンサ、サイズセンサ、給紙クラッチに対応しているかを示した割り付け(各制御ポートに対する割り付け)を記憶する(ステップS12)。
【0067】
このように、本実施の形態の給紙装置では、給紙クラッチ6の起動時からレジストセンサ8が記録紙Pを検知するまでの計測時間1と、レジストセンサ8による記録紙Pの検知開始から検知終了までの計測時間2とを計測し、計測した計測時間1および計測時間2に基づいてサイズセンサ5、エンドセンサ4、および給紙クラッチ6が、いずれの給紙段に備えられているかを判別する。従って、ハーネスをどの給紙段のサイズセンサ、エンドセンサ、および給紙クラッチに接続しても、該ハーネスがいずれの給紙段に接続されたかを容易に判断でき、ハーネスの誤挿入を防止するとともに、部品の共通性を保持して部品の製造費用を軽減することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 制御基板
2 メインモータ
3(3A、3B) 給紙トレイ
4(4A、4B) エンドセンサ
5(5A、5B) サイズセンサ
6(6A、6B) 給紙クラッチ
7(7A、7B) 給紙コロ
8 レジストセンサ
9 レジストローラ
10 転写ローラ
11 定着ローラ
110 制御部
111 監視部
112 判別部
120 メモリ
121 給紙段判断情報
130 タイマ部
140 I/O部
151、152、153 ハーネス
P(P1、P2) 記録紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2004−167151号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を収納する給紙トレイを挿脱可能な複数の保持部と、
前記複数の保持部それぞれの前記給紙トレイから給紙される記録紙が搬送される共通の搬送経路上に設けられ、記録紙を検知する記録紙検知手段と、
前記複数の保持部それぞれに対応して備えられ、給紙ローラを回転させて記録紙を搬送させて給紙させる際に駆動部からの駆動力を前記給紙ローラに伝える複数の伝達手段と、
前記伝達手段の起動時から、前記記録紙検知手段が記録紙を検知するまでの第1計測時間を計測する計測手段と、
計測された前記第1計測時間に基づいて、制御基板の制御ポートに接続部材を介して接続された前記複数の伝達手段がいずれの前記保持部に備えられているかを判別する判別手段と、
を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記伝達手段の起動時から前記記録紙検知手段が記録紙を検知するまでの時間と、前記保持部とを対応付けた判断情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判別手段は、前記判断情報を参照し、計測された前記第1計測時間に対応する前記保持部に、起動した前記伝達手段が備えられていると判別することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記複数の保持部それぞれに対応して備えられ、前記給紙トレイに収納されている記録紙のサイズを検知する複数のサイズ検知手段をさらに備え、
前記計測手段は、前記記録紙検知手段による記録紙の検知開始から検知終了までの第2計測時間を計測し、
前記判別手段は、計測された前記第2計測時間に基づいて、前記制御ポートに前記接続部材を介して接続された前記複数のサイズ検知手段がいずれの前記保持部に備えられているかを判別することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記判断情報は、さらに、前記記録紙検知手段による記録紙の検知開始から検知終了までの時間と、記録紙のサイズとを対応付け、
前記判別手段は、前記判断情報を参照し、計測された前記第2計測時間に対応する記録紙のサイズを検知した前記サイズ検知手段が、起動した前記伝達手段が備えられた前記保持部に備えられていると判別することを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記複数の保持部それぞれに対応して備えられ、前記給紙トレイにおける記録紙の有無を検知する複数の記録紙有無検知手段と、
前記複数の記録紙有無検知手段による記録紙の有無の検知状態が変化したか否かを監視する監視手段と、をさらに備え、
前記判別手段は、前記監視手段の監視結果に基づいて、前記制御ポートに前記接続部材を介して接続された前記複数の記録紙有無検知手段がいずれの前記保持部に備えられているかを判別することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の給紙装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記監視手段によって記録紙の検知状態が有りから無しに変化した旨の前記監視結果が得られた場合、記録紙の検知状態が有りから無しに変化した前記記録紙有無検知手段が、起動した前記伝達手段が備えられた前記保持部に備えられていると判別することを特徴とする請求項5に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記判別手段は、1回の制御により、少なくとも、前記伝達手段および前記サイズ検知手段の判別、または前記伝達手段および前記記録紙有無検知手段の判別を行うことを特徴とする請求項6に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記判別手段は、特定の検査を実行する場合に、少なくとも、前記伝達手段および前記サイズ検知手段の判別、または前記伝達手段および前記記録紙有無検知手段の判別を実行することを特徴とする請求項6または7に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記記録紙検知手段はレジストセンサであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の給紙装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−91545(P2013−91545A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234397(P2011−234397)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】