説明

給電システム、給電装置および電子機器

【課題】磁界または電界を用いて電力伝送を行う際に、機器間の認証を低コストで行うことを可能とする給電システム等を提供する。
【解決手段】給電システムは、第1の電子機器と、1または複数の第2の電子機器と、この第2の電子機器に対して磁界または電界を用いた電力伝送を行う給電装置とを備えている。第1および第2の電子機器は、互いに通信を行うことが可能となっており、第1の電子機器および給電装置は、互いに通信を行うことが可能となっている。電力伝送の際の給電装置と第2の電子機器との間の機器間認証は、第1の電子機器を介して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば携帯電話機等の電子機器に対して非接触に電力供給(電力伝送)を行う給電装置を備えた給電システム、ならびにそのような給電システムに適用される給電装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤー等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、電磁誘導や磁気共鳴等を利用して非接触に電力供給を行う給電装置(非接触充電装置、ワイヤレス充電装置)が注目を集めている(例えば、特許文献1〜6)。これにより、ACアダプタのような電源装置のコネクタを機器に挿す(接続する)ことによって充電を開始するのはなく、電子機器を充電用のトレー(充電用トレー)上に置くだけで充電を開始することができる。すなわち、電子機器と充電トレーと間での端子接続が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−102974号公報
【特許文献2】WO00−27531号公報
【特許文献3】特開2008−206233号公報
【特許文献4】特開2002−34169号公報
【特許文献5】特開2005−110399号公報
【特許文献6】特開2010−63245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような給電装置と電子機器とからなる非接触型の給電システムでは、偽物を排除して正規の給電装置と電子機器との間でのみ充電を行うこと等を目的として、非接触の電力伝送の際に、給電装置と電子機器との間での機器間認証がなされる場合がある。しかしながら、従来の給電システムでは、この電力伝送の際の機器間認証に複雑な処理を要していたため、コストが増大してしまうという問題があった。
【0005】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁界または電界を用いて電力伝送を行う際に、機器間の認証を低コストで行うことを可能とする給電装置、電子機器および給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の給電システムは、第1の電子機器と、1または複数の第2の電子機器と、この第2の電子機器に対して磁界または電界を用いた電力伝送を行う給電装置とを備えたものである。第1および第2の電子機器は、互いに通信を行うことが可能となっており、第1の電子機器および給電装置は、互いに通信を行うことが可能となっている。電力伝送の際の給電装置と第2の電子機器との間の機器間認証は、第1の電子機器を介して行われる。
【0007】
本開示の給電装置は、第1の電子機器との間で互いに通信を行うことが可能な1または複数の第2の電子機器に対して、磁界または電界を用いた電力伝送を行う送電部を備え、この電力伝送の際の第2の電子機器との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な第1の電子機器を介して行うようにしたものである。
【0008】
本開示の電子機器(第2の電子機器)は、他の電子機器(第1の電子機器)との間で互いに通信を行うことが可能な給電装置から磁界または電界を用いて伝送された電力を受け取る受電部を備え、この電力伝送の際の給電装置との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な他の電子機器を介して行うようにしたものである。
【0009】
本開示の給電システム、給電装置および電子機器では、電力伝送の際の給電装置と電子機器(第2の電子機器)との間の機器間認証が、他の電子機器(第1の電子機器)を介して行われる。これにより、この電力伝送の際の機器間の認証(給電装置と第2の電子機器との間の機器間認証)が、簡易に実現される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の給電システム、給電装置および電子機器によれば、電力伝送の際の給電装置と電子機器(第2の電子機器)との間の機器間認証が他の電子機器(第1の電子機器)を介して行われるようにしたので、この電力伝送の際の機器間の認証を簡易に実現することができる。よって、磁界または電界を用いて電力伝送を行う際に、機器間の認証を低コストで行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施の形態に係る給電システムの全体構成例を表すブロック図である。
【図2】比較例に係る給電システムの全体構成例を表すブロック図である。
【図3】図1に示した給電システムにおける充電動作の一例を表す流れ図である。
【図4】変形例1に係る給電システムの全体構成例を表すブロック図である。
【図5】変形例2に係る給電システムの全体構成例を表すブロック図である。
【図6】その他の変形例に係る給電システムの概略構成例を表すブロック図である。
【図7】図6に示した給電システムにおける電界の伝播態様例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(0次側機器から1次側機器へ電力も供給する場合の例)
2.変形例
変形例1(1次側機器が外部から電力供給を受ける場合の例)
変形例2(2次側機器が受電用装置と認証用装置とに分離されると共に、0次側機器と1次側機器とが一体化されている場合の例)
3.その他の変形例(電界を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムの例等)
【0013】
<実施の形態>
[給電システム4の構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る給電システム(給電システム4)の全体のブロック構成を表すものである。給電システム4は、磁界を用いて(電磁誘導や磁気共鳴等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電)を行うシステムである。この給電システム4は、電子機器本体40(第1の電子機器,他の電子機器,0次側機器)と、充電トレー41(給電装置,1次側機器)と、1つのリモートコントロール装置42(第2の電子機器,電子機器,遠隔制御装置,2次側機器)とを備えている。給電システム4では、後述するように、充電トレー41上にリモートコントロール装置42が置かれる(または近接する)ことによって、充電トレー41からリモートコントロール装置42に対して電力伝送が行われるようになっている。換言すると、この給電システム4は、非接触型の給電システムである。
【0014】
(電子機器本体40)
電子機器本体40は、例えば、TV装置(テレビジョン受像機)や映像記録再生装置、ゲーム機器などの電子機器の本体部であり、制御部33および通信部34を有している。
【0015】
通信部34は、リモートコントロール装置42(具体的には、後述する通信部24)との間で、後述する所定の通信(電子機器本体40に対する遠隔制御等)がなされる部分である。これにより、電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間で、互いに通信を行うことが可能となっている。
【0016】
制御部33は、電子機器本体40全体の動作を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。この制御部33は、電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間の相互の機器認証(第1の認証)を行うための認証部35を有している。この認証部35(および後述するリモートコントロール装置42内の認証部25)による第1の認証の詳細については、後述する。
【0017】
なお、この制御部33は、上記した機器認証を行う機能に加え、例えば以下のような他の機能を有していてもよい。すなわち、例えば、充電トレー41とリモートコントロール装置42との間のデータ通信制御機能、充電トレー41による充電対象物が複数存在する場合における台数管理機能や充電制御機能(電力の適正分配機能)などを有していてもよい。
【0018】
(充電トレー41)
充電トレー41は、上記したように、磁界を用いてリモートコントロール装置42に対して電力伝送を行う給電装置であり、電子機器本体40との間で互いに通信を行うことが可能となっている。充電トレー41は、送電部10、交流信号源11、検出部12および制御部13を有している。また、この充電トレー41は、電子機器本体41から電力(電力P01)の供給を受けるようになっている。換言すると、電子機器本体40は、充電トレー41に対して後述する認識結果情報Icに加えて電力をも供給するようになっている。
【0019】
送電部10は、コイル(1次側コイル)L1および容量素子(可変容量素子)C1を含んで構成されている。送電部10は、これらのコイルL1および容量素子C1を利用して、リモートコントロール装置42(具体的には、後述する受電部20)に対して磁界を用いた電力伝送を行うものである。具体的には、送電部10は、リモートコントロール装置42へ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。なお、この送電部10において、リモートコントロール装置42との間で所定の信号の送受信も行うようにしてもよい。
【0020】
交流信号源11は、例えば交流電源や発振器、増幅回路等を含んで構成されており、送電部10内のコイルL1および容量素子C1に対して、電力伝送を行うための所定の交流信号を供給する信号源である。
【0021】
検出部12は、例えば、充電トレー41上の異物金属等を検出したり、充電トレー41の周囲の温度(環境温度)や圧力(環境圧力)等を検出したりするものである。これにより、環境圧力の変化によって物体を検出したり、異物金属等の過剰な温度上昇を回避したり、環境温度に応じた電力伝送を行ったりすることが可能となっている。
【0022】
制御部13は、充電トレー41全体の動作を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。この制御部13はまた、電子機器本体40内の制御部33との間で互いに通信を行う機能を有し、この電子機器本体40から、前述した第1の認証(電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間の相互の機器認証)の認証結果としての認証結果情報Icを取得することが可能となっている。そして、制御部13は、取得したこの認証結果情報Icを利用して、充電トレー41からリモートコントロール装置42への電力伝送の際の機器認証(充電トレー41とリモートコントロール装置42との間の相互の機器認証;第2の認証)を行う。すなわち、このような電力伝送の際の第2の認証が、電子機器本体40を介して行われるようになっている。なお、この制御部13による第2の認証の詳細については、後述する。
【0023】
(リモートコントロール装置42)
リモートコントロール装置42は、電子機器本体40に対して遠隔制御を行うための装置であり、受電部20、充電部21、バッテリー22、制御部23、通信部24および認証部25を有している。
【0024】
受電部20は、コイル(2次側コイル)L2および容量素子C2を含んで構成されている。受電部20は、これらのコイルL2および容量素子C2を利用して、充電トレー41内の送電部10から伝送された電力を受け取る機能を有している。なお、この受電部20において、充電トレー41との間で所定の信号の送受信も行うようにしてもよい。
【0025】
充電部21は、整流回路211および充電回路212を含んで構成されており、受電部20において受け取った電力(交流電力)に基づいて、バッテリー22に対する充電動作を行うものである。具体的には、整流回路211は、受電部20から供給された交流電力を整流し、直流電力を生成する回路である。充電回路212は、整流回路211から供給される直流電力に基づいて、バッテリー22に対して充電を行うための回路である。
【0026】
バッテリー22は、充電回路212による充電に応じて電力を貯蔵するものであり、例えばリチウムイオン電池等の2次電池を用いて構成されている。
【0027】
通信部24は、電子機器本体40(通信部34)との間で所定の通信(電子機器本体40に対する遠隔制御等)がなされる部分である。これにより、リモートコントロール装置42と電子機器本体40との間で、互いに通信を行うことが可能となっている。なお、ここでは、通信部24,34間の通信(リモートコントロール装置42から電子機器本体40への遠隔制御等)が、無線(例えば赤外線等)により行われる場合を例に挙げているが、このような通信(遠隔制御)が有線によって行われるようにしてもよい。ここで、赤外線以外を用いた無線通信の例としては、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、FeliCa(登録商標)などが挙げられる。あるいは、電力を供給する磁力線(磁界)に対してデータを重畳(変調)させるようにしてもよい。一方、有線通信の例としては、USB(Universal Serial Bus)やイーサネット(登録商標)などが挙げられる。また、これらの通信部24,34間の通信は双方向通信であることが望ましいが、一方方向(片方向)の通信(リモートコントロール装置42側から電子機器本体40側への通信のみ)であってもよい。
【0028】
認証部25は、前述した第1の認証(電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間の相互の機器認証)を行うものである。なお、この認証部25(および前述した認証部35)による第1の認証の詳細については、後述する。
【0029】
制御部23は、リモートコントロール装置42全体の動作を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。具体的には、制御部23は、受電部20、充電部21、バッテリー22、通信部24および認証部25の動作を制御するようになっている。
【0030】
[給電システム4の作用・効果]
続いて、本実施の形態の給電システム4の作用および効果について説明する。
【0031】
(1.全体動作の概要)
(充電トレー41からリモートコントロール装置42への充電動作)
この給電システム4では、充電トレー41において、制御部13による制御に応じて、交流信号源11が送電部10内のコイルL1および容量素子C1に対して、電力伝送を行うための所定の交流信号を供給する。これにより、送電部10内のコイルL1において磁界(磁束)が発生する。このとき、充電トレー41の上面(送電面)に、給電対象物(充電対象物)としてのリモートコントロール装置42が置かれる(または近接する)と、充電トレー41内のコイルL1とリモートコントロール装置42内のコイルL2とが、充電トレー41の上面付近にて近接する。
【0032】
このように、磁界(磁束)を発生しているコイルL1に近接してコイルL2が配置されると、コイルL1から発生されている磁束に誘起されて、コイルL2に起電力が生じる。換言すると、電磁誘導または磁気共鳴により、コイルL1およびコイルL2のそれぞれに鎖交して磁界が発生する。これにより、コイルL1側(1次側、充電トレー41側、送電部10側)からコイルL2側(2次側、リモートコントロール装置42側、受電部20側)に対して、電力伝送がなされる(図1中に示した電力P12参照)。
【0033】
すると、リモートコントロール装置42では、コイルL2において受け取った交流電力が充電部21へ供給され、以下の充電動作がなされる。すなわち、この交流電力が整流回路211によって所定の直流電力に変換された後、充電回路212によって、この直流電力に基づくバッテリー22への充電がなされる。このようにして、リモートコントロール装置42において、受電部20において受け取った電力に基づく充電動作がなされる。
【0034】
すなわち、本実施の形態では、リモートコントロール装置42の充電に際し、例えばACアダプタ等への端子接続が不要であり、充電トレー41の上面に置く(近接させる)だけで、容易に充電を開始させることができる(非接触給電がなされる)。これは、ユーザにおける負担軽減に繋がる。
【0035】
(電子機器本体40・リモートコントロール装置42間の機器間認証:第1の認証)
この給電システム4ではまた、電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間で、互いを認証するための機器間認証(第1の認証)がなされる。具体的には、認証部25,35はそれぞれ、例えば、お互いを認証(識別)するためのID(Identification:個体識別)情報を保持しており、このID情報が通信部24,34を介した通信によって交換されることにより、そのような機器間認証が行われる。
【0036】
このような第1の認証がなされることにより、リモートコントロール装置42が電子機器本体40に対する遠隔制御装置として正規のものであるのか否か(偽物であるのか否か)が判断される。その結果、電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間で、安全な(セキュリティの高い)通信(遠隔制御)が実現される。
【0037】
(2.充電動作の際の機器間認証:第2の認証)
ところで、給電装置と電子機器とからなる非接触型の給電システムでは、非接触の電力伝送の際に、給電装置と電子機器との間での機器間認証(第2の認証)がなされる場合がある。これは、例えば以下の理由によるものである。すなわち、まず、偽物を排除して、正規の給電装置と電子機器との間でのみ充電を行うことが挙げられる。すなわち、充電対象としての電子機器内のバッテリー(例えば2次電池)は、その性質から必要以上の電力供給でダメージを負うため、給電装置の製品管理(正規の給電装置であるのか否かの認証)を必要する。また、給電装置によってより大電力を供給することができれば、充電時間が短縮され利便性が向上することが想像されるが、安全面や法規面等から、機器間認証が必要である。
【0038】
(比較例)
ここで、図2は、比較例に係る給電システム(給電システム104)の全体のブロック構成例を表したものである。この比較例の給電システム104は、給電システム4と同様に磁界を用いて非接触に電力伝送を行うシステムであり、給電装置としての充電トレー101と、給電対象物としての電子機器102とを備えている。
【0039】
充電トレー101は、図1に示した充電トレー41において、制御部13の代わりに制御部103Aを設けたものに対応しており、他の構成は同様となっている。この制御部103Aは、電力伝送の際の充電トレー101と電子機器102との間の機器間認証(第2の認証)を行う認証部35を有している。
【0040】
電子機器102は、図1に示したリモートコントロール装置42において、通信部24および認証部25を省く(設けない)と共に、制御部23の代わりに制御部103Bを設けたものに対応しており、他の構成は同様となっている。この制御部103Bは、電力伝送の際に上記した第2の認証を認証部35とともに行う認証部25を有している。
【0041】
このような構成の給電システム104では、給電システム4と同様にして、充電トレー101から電子機器102に対して非接触の電力伝送(充電動作)が行われる(図2中に示した電力P101参照)。また、このような電力伝送の際に、充電トレー101と電子機器102との間での機器認証(第2の認証)がなされる。具体的には、認証部25,35はそれぞれ例えば前述したID情報を保持しており、電力伝送の際に、送電部10と受電部20との間での信号の送受信によってこのID情報が交換されることにより、そのような機器間認証が行われる。これにより、充電トレー101と電子機器102との間で、安全な(セキュリティの高い)電力伝送(充電動作)が実現される。
【0042】
ところが、この比較例の給電システム104では、第2の認証を実現するための機能(認証部25,35)を、充電トレー101および電子機器102の内部(ここでは、制御部103A,103B内)に設ける必要があることから、以下の問題が生じる。すなわち、第2の認証を行う機能を有していない一般的な給電システムにおいて、この第2の認証用の複雑な処理を新たに設ける必要が生じることから、製造コストが増大してしまうと共に、製品の開発が長期化してしまうなどの問題がある。
【0043】
(本実施の形態)
そこで本実施の形態の給電システム4では、電力伝送の際の充電トレー41とリモートコントロール装置42との間の機器間認証(第2の認証)が、電子機器本体40を介して行われる。具体的には図1に示したように、充電トレー41(制御部13)はまず、電子機器本体40から、この電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間の機器間認証(第1の認証)の際の認証結果としての認証結果情報Icを取得する。そして充電トレー41(制御部13)は、この認証結果情報Icを利用して上記第2の認証を行う。これにより、第1の認証の際の認証結果(既存の認証結果)を利用して、第2の認証が上記比較例と比べて簡易に実現される。
【0044】
図3は、給電システム4における充電動作の一例を、電子機器本体40、充電トレー41およびリモートコントロール装置42の間での各動作を時系列で挙げて流れ図で表わしたものである。
【0045】
本実施の形態の充電動作では、まず、充電トレー41上にリモートコントロール装置42が置かれる(または近接する)と、充電トレー41における検出部12が、充電対象(ここではリモートコントロール装置42)を検出する(図3のステップS11)。次いで、後述する第2の認証の前に、まず、充電トレー41からリモートコントロール装置42に対して予備充電が行われる(ステップS12)。この予備充電とは、以下説明する充電要求や第1の認証を行う際にリモートコントロール装置42側において必要とされる電力を、後述する本充電の前に予め供給しておく動作のことである。なお、この予備充電の際には、リモートコントロール装置42(通信部24)から電子機器本体40(通信部34)への通信を行うことにより、電子機器本体40を介して充電トレー41側へ、必要な電力量や現在の動作状態等の情報を予め通知しておくことが望ましい。
【0046】
続いて、リモートコントロール装置42は、電子機器本体40に対して通信を行うことにより、(本充電の)充電要求を行う(ステップS13)。すると、次にこれらの電子機器本体40(1次側機器)とリモートコントロール装置42(2次側機器)との間で、例えば前述した手法により機器間認証(第1の認証)が行われる(ステップS14)。
【0047】
次いで、電子機器本体40(制御部33内の認証部35)は、充電トレー41(制御部13)に対して、上記第1の認証の際の認証結果としての認証結果情報Icを送信する(ステップS15)。そして、充電トレー41(制御部13)は、送信されたこの認証結果情報Icを利用して、充電トレー41からリモートコントロール装置42への電力伝送(本充電)を行う(ステップS16)。具体的には、制御部13は、例えば前述したID情報の交換によって相互が正しく(正常に)認証された場合に、充電対象が正規品である物と判断して、本充電が開始(継続)されるように制御する。以上により、図3に示した充電動作が終了となる。
【0048】
以上のように本実施の形態では、充電トレー41からリモートコントロール装置42に対して磁界を用いた電力伝送を行う際に、この電力伝送の際の充電トレー41とリモートコントロール装置42との間の機器間認証(第2の認証)が、電子機器本体40を介して行われるようにしたので、この第2の認証を簡易に実現することができる。したがって、例えば既存の給電システムにおいて非接触充電機能を導入する際などに、既存の機能(電子機器本体40とリモートコントロール装置42との間の機器間認証(第1の認証)を行う機能)を有効活用し、比較的コストをかけずにスピーディに導入することができる。よって、磁界を用いて電力伝送を行う際に、機器間の認証を低コストで行うことが可能となる。
【0049】
また、電子機器本体40が充電トレー41に対して、認識結果情報Icに加えて電力をも供給するようにしたので、以下説明する変形例1とは異なり、充電トレー41自体に外部電源の入力機能を設けずに済むことになる。
【0050】
更に、電力伝送の際に、充電トレー41において、上記第2の認証前にリモートコントロール装置42への予備充電を行うと共に、第2の認証後にリモートコントロール装置42への本充電を行うようにしたので、リモートコントロール装置42における電力残量や動作状態等を考慮した適切な充電動作を行うことが可能となる。
【0051】
<変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0052】
[変形例1]
図4は、変形例1に係る給電システム(給電システム4A)の全体のブロック構成を表したものである。本変形例の給電システム4Aは、電子機器本体40A(第1の電子機器,0次側機器)と、充電トレー41A(給電装置,1次側機器)と、1つのリモートコントロール装置42とを備えている。すなわち、上記実施の形態の給電システム4において、電子機器本体40および充電トレー41の代わりに、電子機器本体40Aおよび充電トレー41Aを設けたものとなっている。
【0053】
電子機器本体40Aは、電子機器本体40において、制御部33の代わりに制御部33Aを設けたものであり、他の構成は同様となっている。この制御部33Aは、制御部33とは異なり、電子機器本体40A側から充電トレー41A側への電力の供給機能を有していない。
【0054】
充電トレー41Aは、充電トレー41において外部電源入力部14を更に設けたものであり、他の構成は同様となっている。この外部電源入力部14は、充電トレー41Aが動作するのに必要な電力を外部から入力する(受電する)ものであり、例えば電源プラグ等を含んで構成されている。すなわち、本変形例の充電トレー41Aでは、電子機器本体40の代わりに、外部から電力供給を受けるようになっている(図4中に示した電力P1参照)。
【0055】
本変形例においても、基本的には上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。
【0056】
[変形例2]
図5は、変形例2に係る給電システム(給電システム4B)の全体のブロック構成を表したものである。本変形例の給電システム4Bは、充電機能付き電子機器本体40B(第1の電子機器および給電装置,0次側機器および1次側機器)と、1つの受電用装置42B(2次側機器)と、1つの認証用装置43(遠隔制御装置,3次側機器)とを備えている。すなわち、上記実施の形態の給電システム4において、電子機器本体40および充電トレー41の代わりに充電機能付き電子機器本体40Bを設けると共に、リモートコントロール装置42の代わりに、受電用装置42Bおよび認証用装置43を設けたものとなっている。
【0057】
充電機能付き電子機器本体40Bは、送電部10、交流信号源11、検出部12、制御部13、制御部33および通信部34を有している。すなわち、本変形例の充電機能付き電子機器本体40Bは、これまで説明した電子機器本体40および充電トレー41の機能を一体化させたもの(0次側機器および1次側機器を一体化させたもの)となっている。換言すると、充電機能付き電子機器本体40Bにおいては、電子機器本体40と充電トレー41とが一体化されている。
【0058】
受電用装置42Bは、リモートコントロール装置42において、通信部24および認証部25を省いた(設けないようにした)ものであり、他の構成は同様となっている。一方、認証用装置43は、リモートコントロール装置42における通信部24および認証部25を有している。
【0059】
すなわち、本変形例では、リモートコントロール装置42(2次側機器)における受電用機能部(受電部20、充電部21、バッテリー22および制御部23)と認証用機能部(通信部24および認証部25)とが、それぞれ、受電用装置42Bと認証用装置43とに分離されている。換言すると、上記実施の形態におけるリモートコントロール装置42が、電力伝送の際の受電動作を行うための受電用装置42Bと、前述した第1の認証を行うための認証用装置43とに分離されている。なお、このことに起因して、本変形例では、受電用装置42B(制御部23)から認証用装置43(通信部24)に対して電力供給がなされるようになっている(図5中に示した電力P23参照)。
【0060】
本変形例においても、基本的には上記実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。
【0061】
<その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、上記実施の形態等では、機器間の認証動作の一例を具体的に挙げて説明したが、認証動作の手法はこれには限られず、他の手法を用いて行うようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態等では、電子機器本体、充電トレーおよびリモートコントロール装置等の各構成要素を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0064】
更に、上記実施の形態等では、給電システム内に、給電対象物として電子機器(第2の電子機器)が1つだけ設けられている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、本開示の給電システムは、給電対象物としての電子機器が複数(2つ以上)設けられている場合にも適用することが可能である。
【0065】
加えて、上記実施の形態等では、給電装置の一例として、携帯電話機等の小型の電子機器(CE機器)向けの充電トレーを挙げて説明したが、給電装置としてはそのような家庭用の充電トレーには限定されず、様々な電子機器の充電器として適用可能である。また、必ずしもトレーである必要はなく、例えば、いわゆるクレードル等の電子機器用のスタンドであってもよい。
【0066】
(電界を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムの例)
また、上記実施の形態等では、1次側機器としての給電装置(充電トレー)から2次側機器としての第2の電子機器(リモートコントロール装置)に対して、磁界を用いて非接触に電力伝送(給電)を行う給電システムの場合を例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、本開示内容は、1次側機器としての給電装置から2次側機器としての第2の電子機器に対して、電界(電界結合)を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムにおいても適用することが可能であり、上記実施の形態等と同様の効果を得ることが可能である。
【0067】
具体的には、例えば図6に示した給電システムは、1つの給電装置41C(1次側機器,充電トレー)と、1つの第2の電子機器(2次側機器,リモートコントロール装置)とを備えている(電子機器本体(第1の電子機器)については、図示を省略している)。給電装置41Cは、主に、送電電極E1(1次側電極)を含む送電部10Cと、交流信号源11(発振器)と、接地電極Eg1とを有している。第2の電子機器42Cは、主に、受電電極E2(2次側電極)を含む受電部20Cと、整流回路211と、負荷26と、接地電極Eg2とを有している。すなわち、この給電システムは、送電電極E1および受電電極E2と、接地電極Eg1,Eg2との2組の電極を備えている。換言すると、給電装置41C(1次側機器)および第2の電子機器42C(2次側機器)はそれぞれ、モノポールアンテナのような非対称性の一対の電極構造からなるアンテナを、機器内部に有している。
【0068】
このような構成の給電システムでは、送電電極E1と受電電極E2とが互いに対向すると、上記した非接触性のアンテナ同士が、互いに結合する(電極の垂直方向に沿って互いに電界結合する)。すると、これらの間に誘導電界が発生し、これにより電界を用いた電力伝送が行われる(図6中に示した電力P12参照)。具体的には、例えば図7に模式的に示したように、送電電極E1側から受電電極E2側へと向かって、発生した電界(誘導電界Ei)が伝播すると共に、接地電極Eg2側から接地電極Eg1側へと向かって、発生した誘導電界Eiが伝播する。すなわち、1次側機器と2次側機器との間で、発生した誘導電界Eiのループ経路が形成されることになる。このような電界を用いた非接触による電力供給システムにおいても、上記実施の形態等と同様の手法を適用することにより、同様の効果を得ることが可能である。
【0069】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
第1の電子機器と、
1または複数の第2の電子機器と、
前記第2の電子機器に対して、磁界または電界を用いた電力伝送を行う給電装置と
を備え、
前記第1および第2の電子機器は、互いに通信を行うことが可能となっており、
前記第1の電子機器および前記給電装置は、互いに通信を行うことが可能となっており、
前記電力伝送の際の前記給電装置と前記第2の電子機器との間の機器間認証が、前記第1の電子機器を介して行われる
給電システム。
(2)
前記第1および第2の電子機器は、互いの機器間認証としての第1の認証を行い、
前記給電装置は、
前記第1の電子機器から、前記第1の認証の認証結果としての認証結果情報を取得すると共に、
この認証結果情報を利用して、前記電力伝送の際の前記給電装置と前記第2の電子機器との間の機器間認証としての第2の認証を行う
上記(1)に記載の給電システム。
(3)
前記給電装置は、前記電力伝送の際に、
前記第2の認証前に、前記第2の電子機器に対して予備充電を行うと共に、
前記第2の認証後に、前記第2の電子機器に対して本充電を行う
上記(2)に記載の給電システム。
(4)
前記第2の電子機器が、前記電力伝送の際の受電動作を行うための受電用装置と、前記第1の認証を行うための認証用装置とに分離されている
上記(2)または(3)に記載の給電システム。
(5)
前記第1の電子機器と前記給電装置とが一体化されている
上記(4)に記載の給電システム。
(6)
前記第1の電子機器は、前記給電装置に対して電力供給を行う
上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の給電システム。
(7)
前記第1の電子機器が電子機器本体であると共に、
前記第2の電子機器が、前記電子機器本体に対する遠隔制御装置である
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の給電システム。
(8)
第1の電子機器との間で互いに通信を行うことが可能な1または複数の第2の電子機器に対して、磁界または電界を用いた電力伝送を行う送電部を備え、
前記電力伝送の際の前記第2の電子機器との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な前記第1の電子機器を介して行う
給電装置。
(9)
他の電子機器との間で互いに通信を行うことが可能な給電装置から磁界または電界を用いて伝送された電力を受け取る受電部を備え、
この電力伝送の際の前記給電装置との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な前記他の電子機器を介して行う
電子機器。
【符号の説明】
【0070】
10,10C…送電部、11…交流信号源、12…検出部、13…制御部、14…外部電源入力部、20,20C…受電部、21…充電部、211…整流回路、212…充電回路、22…バッテリー、23…制御部、24…通信部、25…認証部、26…負荷、33,33A…制御部、34…通信部、35…認証部、4,4A,4B…給電システム、40,40A…電子機器本体(第1の電子機器)、40B…充電機能付き電子機器本体、41,41A,41C…充電トレー(給電装置)、42,42C…リモートコントロール装置(第2の電子機器)、42B…受電用装置、43…認証用装置、L1…コイル(1次側コイル)、L2…コイル(2次側コイル)、E1…送電電極(1次側電極)、E2…受電電極(2次側電極)、C1,C2…容量素子、Eg1,Eg2…接地電極、Ic…認証結果情報、P1,P01,P12,P23…電力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子機器と、
1または複数の第2の電子機器と、
前記第2の電子機器に対して、磁界または電界を用いた電力伝送を行う給電装置と
を備え、
前記第1および第2の電子機器は、互いに通信を行うことが可能となっており、
前記第1の電子機器および前記給電装置は、互いに通信を行うことが可能となっており、
前記電力伝送の際の前記給電装置と前記第2の電子機器との間の機器間認証が、前記第1の電子機器を介して行われる
給電システム。
【請求項2】
前記第1および第2の電子機器は、互いの機器間認証としての第1の認証を行い、
前記給電装置は、
前記第1の電子機器から、前記第1の認証の認証結果としての認証結果情報を取得すると共に、
この認証結果情報を利用して、前記電力伝送の際の前記給電装置と前記第2の電子機器との間の機器間認証としての第2の認証を行う
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電装置は、前記電力伝送の際に、
前記第2の認証前に、前記第2の電子機器に対して予備充電を行うと共に、
前記第2の認証後に、前記第2の電子機器に対して本充電を行う
請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記第2の電子機器が、前記電力伝送の際の受電動作を行うための受電用装置と、前記第1の認証を行うための認証用装置とに分離されている
請求項2に記載の給電システム。
【請求項5】
前記第1の電子機器と前記給電装置とが一体化されている
請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
前記第1の電子機器は、前記給電装置に対して電力供給を行う
請求項1に記載の給電システム。
【請求項7】
前記第1の電子機器が電子機器本体であると共に、
前記第2の電子機器が、前記電子機器本体に対する遠隔制御装置である
請求項1に記載の給電システム。
【請求項8】
第1の電子機器との間で互いに通信を行うことが可能な1または複数の第2の電子機器に対して、磁界または電界を用いた電力伝送を行う送電部を備え、
前記電力伝送の際の前記第2の電子機器との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な前記第1の電子機器を介して行う
給電装置。
【請求項9】
他の電子機器との間で互いに通信を行うことが可能な給電装置から磁界または電界を用いて伝送された電力を受け取る受電部を備え、
この電力伝送の際の前記給電装置との間の機器間認証を、互いに通信を行うことが可能な前記他の電子機器を介して行う
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55875(P2013−55875A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35835(P2012−35835)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】