説明

給電端子

【課題】 ライナーを容易に剥がすことができると共に、製造時にライナー全体を再度貼着する必要をなくす。
【解決手段】 ピックアップ端子3の下面に貼着されているライナー12には、切欠窓12aから2本の切れ目12bが設けられている。切欠窓12aから2本の切れ目12bに沿ってライナーを切り離して、切り離した部分だけを剥がすことができ、これをガイドとしてライナー12の全体を容易に剥がすことができるようになる。また、製造時における接触片33aを折曲する場合には、2本の切れ目12bにより切り離した部分だけを剥がして接触片33aを折曲して再貼り付けすればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の窓ガラスに貼着されているフフィルムアンテナへの給電を行う給電端子に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にはAM/FMラジオが一般に装備されており、さらに、テレビ受信機、無線装置等の各種通信システムが装備されるようになって来ている。このような通信システムを装備する場合、車両にはアンテナを備えることが必要となる。そして、車両に取り付けるアンテナとして、トランクリッドやルーフに取り付けるアンテナが知られている。ルーフに取り付けるルーフアンテナは、アンテナが高い場所に位置することと、ルーフをグランドプレーンとして用いることができることから車載用アンテナとして好適なアンテナとされている。これらのアンテナは、車体に取り付けられたアンテナは車体から突出して取り付けられるようになる。
そこで、車両に取り付けられても車体から突出させたくない場合には、車両の窓ガラスに貼着することのできるアンテナエレメントを印刷したフィルムアンテナが用いられている。このフィルムアンテナにおけるアンテナエレメントの給電部に、給電用端子を貼着することにより車両内に設けられているAM/FM受信機、テレビ受信機やVICS(Vehicle Information and Communication System)対応機器とフィルムアンテナとが接続されるようになる。
【0003】
フィルムアンテナの給電部に貼着することのできる従来の給電用端子であるピックアップ端子の構成の一例を図28および図29に示す。なお、図28は従来のピックアップ端子の構成を示す正面図であり、図29はその下面図である。
これらの図に示すピックアップ端子103は、樹脂モールドにより形成されている本体部131を有し、本体部131に先端部がモールドされた給電線とされるAV線106が後方に導出されている。また、本体部131の下面には両面テープ110が貼着されている。さらに、本体部131内において、内部にモールドされている給電金具にAV線106の先端部が接続されている。この給電金具の一端は本体部131の下面から突出されて下面に沿うよう折曲された接触片133とされている。この接触片133は両面テープ110に貼着されている。そして、ピックアップ端子103の下面の両面テープ110の貼着面および接触片133を保護するように、両面テープ110上に剥離可能な樹脂シートからなるライナー112が貼着されている。両面テープ110には、接触片133が挿通される切欠窓が形成されており、ライナー112にも同様の切欠窓112aが形成されている。
【特許文献1】特開2004−14441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のピックアップ端子103の製造工程を図30ないし図33に示す。
ピックアップ端子103の製造工程においては、まず、AV線106の先端部を一端部にハンダ付けした給電金具を樹脂モールドすることにより図30(a)に示す正面図の構成、および、図30(b)に示す下面図の構成を有する細長い形状の本体部131を形成する。この場合、給電金具の他端部とされる接触片133は本体部131の下面から下方へ突出されるようになる。そして、図30(c)に示す正面図の構成、および、図30(d)に示す平面図の構成を有する両面テープ110を用意する。この両面テープ110は本体部131の下面の形状に合わせた細長い矩形状とされており、そのほぼ中央部に切欠窓が形成されている。両面テープ110における両面の貼着面はライナー112,112’によりそれぞれ保護されており、その内の一面を保護しているライナー112’を剥離して本体部131の下面に両面テープ110の一面を貼着する。次いで、両面テープ110の他面を保護しているライナー112を剥離する。これにより、図31(a)に示す正面図の構成、および、図31(b)に示す下面図の構成となる。すなわち、本体部131の下面には両面テープ110が貼着されており、切欠窓110aから接触片133が突出している状態となる。
【0005】
次いで、図32(a)に示す正面図の構成、および、図32(b)に示す下面図の構成に示すように、切欠窓110aから下方へ突出している接触片133を矢印で示す本体部131の先端部側へ折曲して両面テープ110に押し付けるようにする。これにより、接触片133が両面テープ110に貼着される。次いで、先ほど両面テープ110から剥離した図32(c)に示す正面図、および、図32(d)に示す下面図に示す構成のライナー112を、本体部131における両面テープ110の他面に位置合わせして再貼着する。これにより、図33(a)に示す正面図の構成、および、図33(b)に示す下面図の構成のピックアップ端子103を作成することができる。図33(a)(b)に示す構成のピックアップ端子103が、図28および図29に示す構成のピックアップ端子103である。
【0006】
このような従来のピックアップ端子103においては、フィルムアンテナの給電部に貼着する際に、ピックアップ端子103の下面に貼られている両面テープ110の貼着面を保護しているライナー112を剥離して、フィルムアンテナの給電部にピックアップ端子103を貼着している。この場合、ユーザがライナー112を剥がす際のガイド等がなく、ライナー112を剥がしずらいと云う問題点があった。
また、ピックアップ端子103を作成する際に、上記説明したように一度剥がしたライナー112を再度両面テープ110上に貼着するようにしている。すると、ライナー112の全体を貼着しなければならないことから、再度貼着するときに貼着位置のずれや浮き等が発生し易く、酸化等の原因により両面テープ110の貼着面の接着力が低下したり、貼着面の外観上の劣化が生じる可能性が生じるようになる。このため、製造工程におけるライナー112の再貼着時、および完成時にその検査を行う工程が必要になるという問題点があった。
さらに、ライナー112を剥がす際に、その外周から剥がす必要があるため、剥がした跡が目立つと云う問題点もある。
【0007】
そこで、本発明はライナーを容易に剥がすことができると共に、製造時にライナー全体を再度貼着する必要のない給電端子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の給電端子は、切欠窓からほぼ縁部まで延伸する切れ目をライナーに形成するようにしたことを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、切欠窓からほぼ縁部まで延伸する切れ目をライナーに形成するようにしたことから、切れ目に沿って切り離された部位から容易にライナー全体を剥がすことができるようになる。また、接触片を折曲する際に切れ目に沿って切り離された部位のみを剥がせばよく再度貼着する際にずれや浮きが発生するおそれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ライナーを容易に剥がすことができると共に、製造時にライナー全体を再度貼着する必要のない給電端子を提供するという目的を、切欠窓からほぼ縁部まで延伸する切れ目をライナーに形成するようにしたことにより実現した。
【0011】
本発明の実施例の給電端子を用いる車載用のフィルムアンテナの構成を図1に示す。
図1に示すフィルムアンテナはフロントガラス1の左右に設ける2つのフィルムアンテナ2a、2bからなり、フィルムアンテナ2aはフロントガラス1の上部の向かって右側に設置されており、フィルムアンテナ2bはフロントガラス1の上部の向かって左側に設置されている。フィルムアンテナ2a、2bの上部に給電部がそれぞれ形成されており、この給電部にそれぞれピックアップ端子3a、3bがそれぞれ接続されている。また、金属製の車体のフロントガラス1上の左右にはアースシール4a、4bが貼着されており、このアースシール4a、4bにそれぞれアース給電端子5a、5bが設けられている。そして、ピックアップ端子3a、3bとアースシール4a、4bとの間がそれぞれ単線のビニル被覆されたAV線6a、6bにより接続されており、アース給電端子5a、5bからは同軸ケーブル7a、7bが導出されている。この同軸ケーブル7a、7bは車内に搭載されているAM/FM受信機、テレビ受信機やVICS対応機器等に接続されており、これにより、フィルムアンテナ2a、2bで受信された信号がこれらの機器に導かれるようになる。
【0012】
ピックアップ端子3a、3bは本発明の実施例の給電端子の1つであって、フィルムアンテナ2a、2bの給電部にそれぞれ貼着されており、貼着された際に下面に設けられている接触片が給電部に電気的に接続されるようになる。この接触片にAV線6a、6bがハンダ付け等によりそれぞれ接続されてアース給電端子5a、5bに導入されている。アース給電端子5a、5bも本発明の実施例の給電端子であって、車体と容量的に結合されている導電性のアースシール4a、4bに貼着されており、貼着された際に下面に設けられている接触片がアースシール4a、4bに電気的に接続されて、高周波的に車体にアースされるようになる。アース給電端子5a、5bからは同軸ケーブル7a、7bが導出されており、導入されたAV線6a、6bは同軸ケーブル7a、7bの芯線に接続され、同軸ケーブル7a、7bの編組線は接触片にハンダ付け等により接続されてアースシール4a、4bにアースされる。
【0013】
フィルムアンテナ2aの構成例を図2に示し、フィルムアンテナ2bの構成例を図3に示す。
フィルムアンテナ2aは、図2に示すように透明のフィルム2a1を基材としているフィルム2a1上に複数のエレメント2a2と上部の端部に給電部2a3が形成されて構成されている。フィルムアンテナ2aは、複数のエレメント2a2により多周波のアンテナとして動作する。
フィルムアンテナ2bは、図3に示すように透明のフィルム2b1を基材としているフィルム2b1上に複数のエレメント2b2と上部の端部に給電部2b3が形成されて構成されている。フィルムアンテナ2bは、複数のエレメント2b2により多周波のアンテナとして動作する。
【0014】
次に、本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子3の詳細構成を図4ないし図6に示す。図4は本発明にかかるピックアップ端子3の構成を示す正面図であり、図5はその一部を拡大して示す拡大図であり、図6はピックアップ端子3の構成を示す下面図である。
これらの図に示すように、ピックアップ端子3は細長い略直方体状に形成されていると共に下面がほぼ平面状とされた本体部31を備えている。本体部31は合成樹脂をモールドすることにより形成されており、前部は厚みが薄く形成され後部の厚みは厚く形成されている。この本体部31は、モールドする際に接触片33aを有する給電金具33と、給電金具33に端部がハンダ付けされているAV線6の端部とが内部にモールドされる。本体部31のほぼ平面状とされている下面には、本体部31の下面と同様に矩形状とされた両面テープ10が貼着されている。本体部31の内部にモールドされた給電金具33に形成されている接触片33aは、図5に示すように本体部31の下面から両面テープ10に形成されている切欠窓10aを挿通して下方へ突出し、両面テープ10の表面に沿うよう折曲されて両面テープ10上に貼着される。
【0015】
このようなピックアップ端子3を、図2に示すフィルムアンテナ2aにおける給電部2a3、あるいは図3に示すフィルムアンテナ2bにおける給電部2b3上に貼着することにより、ピックアップ端子3の下面に位置している接触片33aが給電部2a3あるいは給電部2b3に接触して給電されるようになる。この接触片33aが形成されている給電金具33の構成を示す斜視図を図7に示す。図7に示すように給電金具33は金属板を加工してL字状に折曲することにより形成されており、一端部に細長い平板状の接触片33aが形成されている。接触片33aからほぼ90°折曲されて細長い延伸部33cが形成されており、延伸部33cの先に断面コ字状のケーブル保持部33bが形成されている。このケーブル保持部33b内にAV線6の先端部を挿入してケーブル保持部33bをカシメることによりAV線6がケーブル保持部33bに固着される。そして、AV線6の芯線が延伸部33cの図示する矩形状の切欠部にハンダ付けされる。この状態において、ケーブル保持部33bおよび延伸部33cがモールドされることにより、ピックアップ端子3の本体部31が形成されている。
【0016】
次に、本発明の給電端子の他の実施例であるアース給電端子5の詳細構成を図8および図9に示す。図8は本発明にかかるアース給電端子5の構成を示す正面図であり、図9はアース給電端子5の構成を示す下面図である。
これらの図に示すように、アース給電端子5は細長い略直方体状に形成されていると共に下面がほぼ平面状とされた本体部51を備えている。本体部51は合成樹脂をモールドすることにより形成されており、一方の端面からピックアップ端子3に接続されているAV線6が導出されており、他方の端面から車体内に導かれる同軸ケーブル7が導出されている。この本体部51には、モールドする際にAV線6の芯線と同軸ケーブル7の芯線とを接続する接続金具と、接触片53aが形成されているアース金具と、AV線6の端部および同軸ケーブル7の端部とが内部にモールドされる。本体部51のほぼ平面状とされている矩形の下面には矩形状の両面テープ11が貼着されている。本体部51の内部にモールドされたアース金具に形成されている接触片53aは、図示するように本体部51の下面から両面テープ11に形成されている切欠窓11aを挿通して下方へ突出し、両面テープ11の表面に沿うよう折曲されて両面テープ11上に貼着される。
【0017】
このようなアース給電端子5を、図1に示すアースシール4a、4b上に貼着することにより、アース給電端子5の下面に位置している接触片53aがアースシール4a、4bに接触してアースされ、同軸ケーブル7a、7bを用いて車体内に信号を伝達できるようになる。アース給電端子5内にモールドされる接続金具の構成例を図10に示す。図10に示す接続金具52は円筒状に形成されており、一方の端部から同軸ケーブル7が挿入されている。この同軸ケーブル7の端部の被覆は除去されて編組線7dが露出しており、この編組線7dの部位が接続金具52にカシメられて固着されている。そして、他方の端部から挿入されたAV線6の芯線に同軸ケーブル7の芯線7cがハンダ付けされて接続金具52とは絶縁されている接続片52aに保持されている。
【0018】
また、接触片53aが形成されているアース金具53の構成を示す正面図を図11(a)に、その構成を示す側面図を図11(b)に、その構成を示す平面図を図11(c)に示す。これらの図に示すように、アース金具53は金属板を加工してL字状に形成されており、L字状の一方が細長い平板状の接触片53aとされ、L字状の他方が軸方向にスリットが設けられている円筒状の保持部53bとされている。保持部53b内に図10に示す構成の接続金具52が挿入されて楕円状の切り欠きがハンダ付けされて両者は電気的かつ機械的に接続されている。このように、接続金具52をアース金具53に固着した状態においてモールドされることにより、アース給電端子5の本体部51が形成されている。
【0019】
図4,図6に示すピックアップ端子3は使用状態の構成を示しており、梱包状態においては両面テープ10の貼着面および接触片33aを保護するために剥離可能な材質からなるライナー12がピックアップ端子3の下面に貼着されている。このピックアップ端子3の構成を示す正面図を図12に、ピックアップ端子3の構成示す下面図を図13に示す。これらの図に示すように、ピックアップ端子3の下面に設けられている両面テープ10の外表面には両面テープ10と同形状のライナー12が貼着されている。このライナー12は合成樹脂シートからなり、両面テープ10を製造した際にその両面の貼着面を保護するために設けられたライナーの一方である。両面テープ10には前述したように接触片33aが挿通される切欠窓10aが形成されているが、この切欠窓10aはライナーが両面に設けられている状態で形成されるため、ライナー12にも同様の形状の切欠窓12aが形成されている。また、ライナー12は元々両面テープ10と一体とされていたことから両面テープ10の外形とほぼ同様の寸法に形成されている。ライナー12において特徴的な構成は、切欠窓12aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目12bが形成されていることである。一方の切れ目12bは接触片33aを超える所定の長さで形成されており、他方の切れ目12bは途中からライナー12の長辺に向かって斜めに縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓12aから切れ目12bに沿って切り離すことができ、切り離された部位のみをつまんで両面テープ10から剥がすことができる。そして、切り離された部位から剥がしていくことにより、剥がした後が目立つことなくライナー12全体を容易に両面テープ10から剥がすことができるようになる。
【0020】
また、図8,図9に示すアース給電端子5も使用状態の構成を示しており、梱包状態においては両面テープ11の貼着面および接触片53aを保護するために剥離可能な材質からなるライナー13がアース給電端子5の下面に貼着されている。このアース給電端子5の構成を示す正面図を図14に、アース給電端子5の構成示す下面図を図15に示す。これらの図に示すように、アース給電端子5の下面に設けられている両面テープ11の外表面にはライナー13が貼着されている。このライナー13は合成樹脂シートからなり、両面テープ11を製造した際にその両面の貼着面を保護するために設けられたライナーの一方である。両面テープ11には前述したように接触片53aが挿通される切欠窓11aが形成されているが、この切欠窓11aはライナーが両面に設けられている状態で形成されるため、ライナー13にも同様の形状の切欠窓13aが形成されている。また、ライナー13は元々両面テープ11と一体とされていたことから両面テープ11の外形とほぼ同様の寸法に形成されている。ライナー13において特徴的な構成は、切欠窓13aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目13bが形成されていることである。一方の切れ目13bは接触片53aを超える所定の長さで形成されており、他方の切れ目13bは途中からライナー13の長辺に向かって斜めに縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓13aから切れ目13bで切り離された部位のみをつまんで両面テープ11から剥がすことができる。そして、切り離された部位から剥がしていくことにより、剥がした後が目立つことなくライナー13全体を容易に両面テープ11から剥がすことができるようになる。
【0021】
次に、図12,図13に示す本発明にかかるピックアップ端子3の製造工程を図16ないし図21を参照して説明する。
ピックアップ端子3の製造工程においては、まず、AV線6の先端部を一端部にハンダ付けした給電金具33を樹脂モールドすることにより図16(a)に示す正面図の構成、および、図16(b)に示す下面図の構成を有する細長い形状の本体部31を形成する。この場合、給電金具33の他端部とされる接触片33aは本体部31の下面から下方へ突出されるようになる。そして、図16(c)に示す正面図の構成、16(d)に示す平面図の構成を有する両面テープ10を用意する。この両面テープ10は本体部31の形状に合わせた細長い矩形状とされており、そのほぼ中央部に切欠窓が形成されている。両面テープ10における両面の貼着面は図17に拡大して示すようにライナー12,12’によりそれぞれ保護されており、その内の一面を保護しているライナー12’を剥離して本体部31の下面に両面テープ10の一面を貼着する。これにより、図18(a)に示す正面図の構成、および、図18(b)に示す下面図の構成となる。すなわち、本体部31の下面にはライナー12が外表面に設けられている両面テープ10が貼着されており、ライナー12の切欠窓12aから接触片33aが突出している状態となる。
【0022】
ここで、ライナー12の切欠窓12aから2本の切れ目12bの間のライナー12を剥がしていく。すると、ライナー12は図19(a)に示す正面図の構成、および、図19(b)に示す下面図の構成に示すように、切れ目12bに沿って切り離され切り離された部位のみが両面テープ10から剥がれるようになる。そこで、この状態において直立している接触片33aを矢印で示す本体部31の先端部側へ折曲して両面テープ10に押し付けるようにする。これにより、折曲された接触片33aが両面テープ10に貼着され、図20(a)に示す正面図、および、図20(b)に示す下面図の構成となる。そして、先ほど両面テープ10から剥離した2本の切れ目12bに沿って切り離されたライナー12の部位を両面テープ10に貼り戻す戻すと、本発明にかかるピックアップ端子3の製造工程が終了し、図21(a)に示す正面図、および、図21(b)に示す下面図の構成となる。このように、本発明のピックアップ端子3では接触片33aを折曲する際に切れ目12bに沿って切り離された部位のみのライナー12を剥がせばよいことから、剥がした部位を再度貼着する際にずれや浮きが発生するおそれを防止することができる。
なお、本発明にかかるアース給電端子5においても、ライナー13の構成がライナー12と同様の構成とされていることから、製造時において接触片53aを折曲する際にライナー13の2本の切れ目13bに沿って切り離された部位のみのライナー13を剥がせばよいことになる。これにより、本発明にかかるアース給電端子5においても、剥がした部位を再度貼着する際にずれや浮きが発生するおそれを防止することができる。
【0023】
次に、ピックアップ端子3のライナー12およびアース給電端子5のライナー13に設けられる切れ目の変形例を図22ないし図27に示す。
図22に示すライナー14においては、切欠窓14aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目14bが形成されている。一方の切れ目14bは所定の長さで形成されており、他方の切れ目14bは途中からライナー14の長辺に向かって斜めに縁部の手前まで長く形成されている。これにより、切欠窓14aから切れ目14bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
また、図23に示すライナー15においては、切欠窓15aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目15bが形成されている。一方の切れ目15bは所定の長さで中途まで形成されており、他方の切れ目15bはライナー15の短辺の縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓15aから切れ目15bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
【0024】
さらに、図24に示すライナー16においては、切欠窓16aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目16bが形成されている。一方の切れ目16bは所定の長さで形成されており、他方の切れ目16bは途中からライナー16の一方の切れ目16b側の長辺に向かって斜めに縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓16aから切れ目16bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
さらにまた、図25に示すライナー17においては、切欠窓17aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目17bが形成されている。一方の切れ目17bは所定の長さで中途まで形成されており、他方の切れ目17bは途中からライナー17の長辺に向かって90°を超える角度で曲がり斜めに縁部まで形成されている。これにより、切欠窓17aから切れ目17bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
【0025】
さらにまた、図26に示すライナー18においては、切欠窓18aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目18bが形成されている。一方の切れ目18bは途中からライナー18の長辺に向かってほぼ直角に曲がって縁部まで形成されており、他方の切れ目18bはライナー18の短辺の縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓18aから切れ目18bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
さらにまた、図27に示すライナー19においては、切欠窓19aの2本の長辺を延長するように2本の切れ目19bが形成されている。2本の切れ目19bはライナー19の短辺の縁部まで長く形成されている。これにより、切欠窓19aから切れ目19bで切り離された部位のみをつまんで両面テープから剥がすことができるようになる。
【0026】
以上説明した本発明の給電端子であるピックアップ端子およびアース給電端子のライナーにおいては、ライナーに切欠窓から切れ目を設けることで、切れ目で切り離される部位を両面テープから容易に剥がすことができ、この部位をガイドとしてライナー全体を簡易に剥がすことができる。この場合、切れ目によりライナーの外縁まで切れるようになり、切れたところからライナーが剥がれ易くなる。これにより、ライナーの材質に関わらずどのような材質のライナーにも対応できるようになる。
また、製造時に接触片を折曲する際に切れ目で切り離される最小面積のライナーを剥がすことで対応できるようになる。これにより、接触片の折曲後のライナーの再貼り付け面積が減少することになり、剥がされなかったほとんどのライナーの部分の接着力は保持されるようになる。さらに、接触片の折曲後のライナーの再貼り付け面積が減少することから再貼り付け時のライナーの浮き・ズレに起因する両面テープの酸化が防止され両面テープの劣化要因が減少する。さらにまた、ライナーを再貼り付けする面が外縁に沿っていないため、再貼り付けした際のライナーの浮き・ズレがあっても目立たないようになる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上の説明では車両に用いるフィルムアンテナに適用する給電端子として説明したが、これに限ることはなく車両以外に使用されるフィルムアンテナの給電端子に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例の給電端子を用いる車載用のフィルムアンテナの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例の給電端子を用いる車載用のフィルムアンテナの一方の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例の給電端子を用いる車載用のフィルムアンテナの他方の構成を示す図である。
【図4】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の詳細構成を示す正面図である。
【図5】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の詳細構成を示す一部拡大図である。
【図6】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の詳細構成を示す下面図である。
【図7】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子にモールドされる給電金具の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子の詳細構成を示す正面図である。
【図9】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子の詳細構成を示す下面図である。
【図10】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子にモールドされる接続金具の構成を示す図である。
【図11】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子にモールドされるアース金具の構成を示す図である。
【図12】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の梱包状態の構成を示す正面図である。
【図13】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の梱包状態の構成を示す下面図である。
【図14】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子の梱包状態の構成を示す正面図である。
【図15】本発明の給電端子の実施例であるアース給電端子の梱包状態の構成を示す下面図である。
【図16】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明する図である。
【図17】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明する他の図である。
【図18】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【図19】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【図20】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【図21】本発明の給電端子の実施例であるピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【図22】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目の変形例を示す図である。
【図23】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目の他の変形例を示す図である。
【図24】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目のさらに他の変形例を示す図である。
【図25】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目のさらに他の変形例を示す図である。
【図26】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目のさらに他の変形例を示す図である。
【図27】本発明の給電端子におけるライナーに設けられる切れ目のさらに他の変形例を示す図である。
【図28】従来のピックアップ端子の詳細構成を示す正面図である。
【図29】従来のピックアップ端子の詳細構成を示す下面図である。
【図30】従来のピックアップ端子の製造工程を説明する図である。
【図31】従来のピックアップ端子の製造工程を説明する他の図である。
【図32】従来のピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【図33】従来のピックアップ端子の製造工程を説明するさらに他の図である。
【符号の説明】
【0029】
1 フロントガラス、2a フィルムアンテナ、2a1 フィルム、2a2 エレメント、2a3 給電部、2b フィルムアンテナ、2b1 フィルム、2b2 エレメント、2b3 給電部、3 ピックアップ端子、3a,3b ピックアップ端子、4a アースシール、5 アース給電端子、5a,5b アース給電端子、6 AV線、6a,6b AV線、7 同軸ケーブル、7a,7b 同軸ケーブル、7c 芯線、7d 編組線、10 両面テープ、10a 切欠窓、11 両面テープ、11a 切欠窓、12,12’ ライナー、12a 切欠窓、12b 切れ目、13 ライナー、13a 切欠窓、13b 切れ目、14 ライナー、14a 切欠窓、14b 切れ目、15 ライナー、15a 切欠窓、15b 切れ目、16 ライナー、16a 切欠窓、16b 切れ目、17 ライナー、17a 切欠窓、17b 切れ目、18 ライナー、18a 切欠窓、18b 切れ目、19 ライナー、19a 切欠窓、19b 切れ目、31 本体部、33 給電金具、33a 接触片、33b ケーブル保持部、33c 延伸部、51 本体部、52 接続金具、52a 接続片、53 アース金具、53a 接触片、53b 保持部、103 ピックアップ端子、106 AV線、110 両面テープ、110a 切欠窓、112,112’ ライナー、112a 切欠窓、131 本体部、133 接触片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナへの給電を行う給電端子であって、
少なくとも下面がほぼ平面状に形成されている細長い形状の本体部と、
該本体部の下面に貼着されている両面テープと、
前記本体部内に配置されており、前記本体部の下面から接触片が突出されて前記両面テープ上に沿うように折曲されている給電金具と、
前記両面テープおよび前記接触片を保護するように前記両面テープ上に剥離可能に貼着されているライナーとを備え、
前記ライナーには、ほぼ中央部に形成されている切欠窓からほぼ縁部まで延伸する切れ目が形成されており、前記接触片を前記両面テープに沿うよう折曲する際に、前記切れ目に沿って切り離される前記ライナーの部位のみを前記両面テープから剥離することができ、剥離した前記部位から前記ライナー全体を剥離できると共に、剥離した前記部位を再貼着できるようにされていることを特徴とする給電端子。
【請求項2】
略矩形状とされている前記切欠窓から形成されている前記切れ目が、前記ライナーの長辺にほぼ平行に2本形成されており、その内の1本が中途から長辺に向かって折れ曲がって形成されていることを特徴とする請求項1記載の給電端子。
【請求項3】
略矩形状とされている前記切欠窓から形成されている前記切れ目が、前記ライナーの長辺にほぼ平行に2本形成されており、その内の1本が前記ライナーの短辺まで形成されていることを特徴とする請求項1記載の給電端子。
【請求項4】
略矩形状とされている前記切欠窓から形成されている前記切れ目が、前記ライナーの長辺にほぼ平行に長辺の直前まで2本形成されていることを特徴とする請求項1記載の給電端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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