説明

統合された流体圧検出システム

統合された流体圧検出システムは、プリント回路基板(20)、圧力源(22)を有する圧力マニホールド(18)、及びセンサ(4)を含む。プリント回路基板は、圧力マニホールドに接続される。プリント回路基板と圧力マニホールドとは、圧力キャビティ(16)を定める。圧力源は、圧力キャビティの中へ流体を逃がすように構成される。センサは、圧力キャビティの中でプリント回路基板に取り付けられる。シールメンバ(28, 29, 31, 33)は、プリント回路基板と圧力マニホールドとの間に配置される。ガスケットは、圧力キャビティをシールするように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスミッション、タービン、あるいは同種のもののために統合された流体圧検出システムを含む、統合された流体圧検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧センサは、トランスミッション、ガスタービン及びディーゼル後処理システムあるいは同種のもののようなさまざまなシステムで使用される。流体圧センサは、典型的に、独自のハウジングの配線ポート及びハウジング内のプリント回路基板を有する個別のユニットとして実装される。このような圧力センサは、非常に高速の圧力変化を捉えるダイナミックモードで測定するように設計される。このタイプのセンサの1つの可能な適用として、エンジンシリンダあるいはガスタービンの中の燃焼圧力の測定がある。これらのセンサは、一般に、クウォーツ等の圧電材料によって製造される。
【0003】
図1を参照すると、従来の流体圧システム110における従来の流体圧センサ112は、穴(図示されない)が円筒形メタルボディ114に形成されたベース120を含む円筒形メタルボディ114を有する。円筒形メタルボディ114は、図示されるように、圧力マニホールド122に装着することができるように、円筒形メタルボディ114のベース120にねじが形成された取付部116を有する。選択肢として、センサ112は、一般に、例えば、押え板111等の固定構造を伴う圧力システム110に固定される。
【0004】
円筒形メタルボディ114及び圧力マニホールド122は、対応する圧力源121に関連するキャビティ119を定める。従来の圧力センサ組立体110において、異なる個別の特性を有するセンサ112が与えられた場合、異なる圧力センサ112は、典型的に、各々、別々にシステムに設置するとともに個別に較正する必要がある。さらに、各センサ112は、一般に、それ自身のハウジングユニット114及び電気回路ユニット(図示されない)を有し、コストの増大をもたらす結果となる。
【0005】
これらの従来の流体圧センサの円筒形ハウジングユニット114の中に、スモールアウトライン集積回路(SOIC、あるいはSOICパッケージ)4が配置される。SOIC4は、図2A、図2B、及び図2Cに示される。SOIC4は、特定のシステムの圧力変化を測定する。この例のSOIC4は、同等のデュアルインラインパッケージ(「DIP」)よりも、約70%小さい典型的な厚さを有し、約30-50%小さい面積を占める表面実装型集積回路である。SOIC4は、それに応じて、DIPよりも短く、幅も小さい。SOIC4は、一般に、2つのロングサイド8から突出するリード間隔が1.3mmの「ガルウィング」リード6(図2A、図2B、及び図2Cに示される)を有する。SOIC4は、円筒形メタルボディ114(例えば、図1参照)の中に取り付けられる。配線ポート118もまた、SOIC4との間の電気通信を提供するため、典型的に、円筒形メタルボディ114の頂部に配置される。
【0006】
上述したように、従来のセンサ112の円筒形メタルボディ114は、スナップ式の接続あるいはねじが螺設された円筒形メタルボディ114によって、例えば、トランスミッションシステム等のシステムに直接設けられる。このような円筒形メタルボディ114とシステムとの間の接続は、SOIC4の動作特性に悪影響を及ぼすようなストレスをSOIC4に与える。
【0007】
さらに、従来のセンサ112の圧力ポート(図示されない)と圧力マニホールド122の圧力ポート121との間の公差の累積は、統計上許容される最も悪い値よりも大きい。結果として、従来のセンサ112のシール(図示されない)は、従来のセンサ112の平坦なシール面を超えて望ましくない領域に及ぶ。
【0008】
さらに、異なる別個の圧力センサ112を有し、各々が異なる円筒形メタルボディ114を有するとともに相互が無関係に作動することにより、コストの増大と構造の煩雑化を防ぐことができる。潜在的課題は、上述したように、SOIC4の動作特性を犠牲にすることなく、圧力センサ112と圧力マニホールド122との間に適切なシールを得ることを含む。それゆえ、センサ112と流体圧源との間のインタフェースのシール性を向上させることが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
ここで開示される本実施形態に係る統合された流体圧検出システムは、プリント回路基板、圧力源を有する圧力マニホールド、シールメンバ、及びセンサを含む。プリント回路基板は、圧力マニホールドに接続される。プリント回路基板と圧力マニホールドとによって圧力キャビティが定められる。圧力源は、圧力キャビティの中へ流体を逃がすように構成される。センサは、圧力キャビティの中でプリント回路基板に取り付けられる。シールメンバは、プリント回路基板と圧力マニホールドとの間に配置される。シールメンバは、圧力キャビティをシールするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
開示された実施形態の特徴及び利点は、おそらく全く同じではないが、参照番号が相当の構成に対応するように、以下の詳細な説明及び図面によって明らかになるであろう。簡潔さのため、参照番号あるいは前述された機能を有する特徴は、それらが現われる他の図に関連して説明されるかもしれないし、あるいはそうされないかもしれない。
【図1】従来のトランスミッションの流体圧センサの透視図である。
【図2】図2Aは、スモールアウトライン集積回路パッケージの平面図である。 図2Bは、スモールアウトライン集積回路パッケージの側面図である。 図2Cは、スモールアウトライン集積回路パッケージの正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の断面図である。
【図5】図5Aは、例示的なシールプレートの平面図である。 図5Bは、例示的なガスケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
流体センサ10用のシールシステムが開示され、センサ4は、全てのセンサ4がメディア流体に沈められるか、あるいは晒されるかのようにして、マニホールドポケットあるいはキャビティ16の中に設けられる。完全に流体中に沈めることが可能なセンサ4を設けることによって、センサポートの位置は、それほど重要でなく、また、シールは、付加的な変形がセンサ4に生じないように、センサ回路基板20上の領域へ移動させることが可能である。センサ4の機能的特性に影響が及ぼされるような付加的な変形がセンサ4に生じる場合、補正量を提供するため、1つ以上の追加のセンサの包含あるいは手段の使用が可能である。
【0012】
ここで図3を参照して、本発明の一実施形態を説明する。統合された流体圧検出システム10は、圧力マニホールド18に接続されたプリント回路基板(あるいは回路カード)20を含む。プリント回路基板20及び圧力マニホールド18は、圧力キャビティ16を定める。圧力マニホールド18は、これに限定しない、例えば、トランスミッションフルイドのような流体を、圧力キャビティ16へ逃がすように構成される圧力源22を含む。センサ4は、圧力キャビティ16の中でプリント回路基板20に取り付けられる。ここで使用される用語「取り付けられる」は、概括的に使用され、取り付け、接着、あるいは結合された構成要素の接続のための様々な手段を含む。センサ4はさらに、回路カード/プリント回路基板20上に実装されたレジスタ47及びキャパシタ49を含む。レジスタ47及びキャパシタ49は、ハウジング(例えば、樹脂成形ハウジング44)と、例えば、図3に示されるようなプリント回路基板20との間に配置される。これらに限定しない、ガスケット33あるいはOリングあるいはシールプレート31等のシールメンバ28は、プリント回路基板20と圧力マニホールド18との間に配置される。シールメンバ28は、プリント回路基板20と圧力マニホールド18との間の接合によって圧力キャビティ16をシールするように構成される。
【0013】
図3に示されるように、コネクタピン42は、回路カードあるいはプリント回路基板20の中に配置されるとともに、一体成形されたコネクタシェル46を有する樹脂ハウジング44の中にさらに配置される。コネクタピン42は、外部あるいは非湿潤の環境に対して、センサ4及び回路カード/プリント回路基板20用の電気的接続(図示されない)が生じるように構成される。図3に示されるように、樹脂ハウジング44は、圧力マニホールド18に取り付けられる。樹脂ハウジング44は、例示であってこれらに限定しない、図示されるようなヒートステーク48、あるいは種々の他の従来のメカニカルファスナ(図示されない)によって、圧力マニホールド18に取り付けられる。樹脂ハウジング44はまた、押え板と圧力マニホールド18との間に樹脂ハウジング44を取り付けるあるいは固定するため、少なくとも一部分に、例えば、押え板を供する等、樹脂ハウジング44の頂部に押え板(図示されない)を付与することにより、圧力マニホールド18に取り付けられる。図3に示される実施形態において、ガスケット33は、圧力キャビティ16のシールのために供される。ガスケット33は、圧力キャビティ16の外形寸法に対応する開口35を含む。
【0014】
ここで図4を参照すると、本発明の他の実施形態である統合された流体圧検出システム10はさらに、例えば、プリント回路基板20に取り付けられる第2センサ4を含む、複数個のセンサを含む。複数個のセンサ4は、例えば、はんだ付け工程で、プリント回路基板20に取り付けられる。
【0015】
圧力マニホールド18及びプリント回路基板20は、第2センサ4を含む第2圧力キャビティ16' を定める。このような実施形態で、圧力マニホールド18は、例えば、図4に示されるように、第2圧力キャビティ16' 中へ流体を逃がすように構成される第2圧力源22' を含む。第2圧力キャビティ16' のシールをアシストするため、第2ガスケット(図示されない)あるいはシールプレート28は、プリント回路基板20と圧力マニホールド8との間に配置される。シールメンバ28(図4においてシールプレート29として示される)は、第2圧力キャビティ16' を同様にシールするように構成される。付加的なセンサ4が追加される場合(例えば、第3センサ等)、付加的な圧力キャビティ(例えば、第3圧力キャビティ16'' 等)は、例えば、図4に示されるような、付加的なセンサ4に対応して定められる。シールメンバ28(図5Aにおいてシールプレート29の形であるいは図5Bにおいて符号33で示されるガスケット)は、高分子材料によって製造され、また、圧力マニホールド18は、プラスチック、アルミニウム、スチールあるいは他の適当な材料によって製造される、ことは理解されるはずである。
【0016】
上述したように、シールメンバ28はまた、ガスケット(図3及び図5Bにおいて符号33で示される)の代わりに、シールプレート29(図5Aにおいて符号29で示される)によって構成され、このようなシールプレート29は、1つ以上の各圧力キャビティ16, 16', 16''(図4に示される)を相応にシールすることが可能である。このようなシールプレート29は、実質上、ガスケット33と同じように作用及び機能し、同様に、圧力マニホールド18とプリント回路基板20との間に位置される。このようなシールプレート29は、プラスチックによって製造され、該プラスチックは、その中に定められる開口31を有する板状構造を形成するために射出成形される。シールプレート29の開口31は、1つ以上の圧力キャビティに一致する。これに限定しない、例えば、シリコーン樹脂ラバー30等の高分子材料は、シール特性をさらに向上させるため、シールプレート29上に射出成形される。シリコーンラバーあるいは他のシール材料30は、シールメンバ28がシールプレート29である事例で利用される。シールプレート29は、プリント回路基板20と圧力マニホールド18との間の接合部に配置される。ガスケット33のように、シールプレート29は、圧力マニホールド18とプリント回路基板20との間のリークをより効果的に防ぐための、圧力キャビティの境界部の周囲の圧力マニホールド18とプリント回路基板20との間のシールメンバ28である。
【0017】
一般に、図4に図解されるように、押え板24はまた、押え板24がプリント回路基板20及び圧力マニホールド18に取り付けられる統合された圧力検出システム10で使用される。メカニカルファスナ26は、プリント回路基板20と圧力マニホールド18との間に押え板24を取り付けるために使用される方法あるいは装置の、これに限定しない一例である。
【0018】
典型の装置を製造するための方法はまた、本発明によって成し遂げられる。統合された流体圧検出システム10を製造するための方法は次のステップを含む:(1)プリント回路基板20に取り付けられたセンサ4を有するプリント回路基板20を提供するステップ;(2)シールメンバを提供するステップ;(3)ガスケットが、プリント回路基板20と圧力マニホールド18との間、並びに、プリント回路基板20とセンサ4が収容されるように構成された圧力キャビティを定める圧力マニホールド8との間、に配置されるように、プリント回路基板20を圧力マニホールドに接続するステップ;(4)押え板24を提供するステップ;及び(5)押え板24をプリント回路基板20と圧力マニホールド18とに取り付けるステップ。もし、例えば、ガスケットのような要素がシールプレート29を含むのであれば、シールプレート29上にシリコーンを提供するステップが選択的に付加される、点に言及されるべきである。
【0019】
それはまた、本発明の統合された流体圧検出システム10を製造するための方法がさらに、プリント回路基板20に取り付けられる第2センサを提供するステップを含む、ことが理解されるべきである。第2センサ4' は、プリント回路基板20と圧力マニホールド18とによって定められる対応する第2圧力キャビティ16' の中に配置される。付加的なセンサが提供される限りにおいて、例えば、図4に示されるように、このような付加的なセンサ4はまた、対応する異なる圧力キャビティ16の中に提供される。さらに、このようなセンサ4は、圧力キャビティ16の中でプリント回路基板20にはんだ付けされる。
【0020】
本発明の多様な実施形態が詳細に記述されると同時に、開示された実施形態の変更が可能であることは、当業者にとって明白であろう。そのために、上述の記載は、制限するよりむしろ典型例であると考えられるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(20)と圧力マニホールド(18)とによって圧力キャビティ(16)が定められ、前記圧力マニホールド(18)は、前記圧力キャビティ(16)の中へ流体を逃がすように構成される圧力源(22)を含み、前記圧力マニホールド(18)に接続される前記プリント回路基板(20)と、
前記圧力キャビティ(16)の中で前記プリント回路基板(20)に取り付けられるセンサ(4)と、
前記プリント回路基板(20)と前記圧力マニホールド(18)との間に配置され、前記圧力キャビティ(16)をシールするように構成されるシールメンバ(28, 29, 31, 33)と、
を含むことを特徴とする統合された流体圧検出システム。
【請求項2】
前記プリント回路基板(20)に取り付けられる第2センサ(4)をさらに含み、
前記圧力マニホールド(18)と前記プリント回路基板(20)とは、前記第2センサ(4)を含む第2圧力キャビティ(16'')を定めて、前記圧力マニホールド(18)は、前記第2圧力キャビティ(16'')の中へ流体を逃がすように構成される第2圧力源(22'')を含み、
第2シールメンバ(28, 29, 31, 33)は、前記プリント回路基板(20)と前記圧力マニホールド(18)との間に配置され、前記第2シールメンバ(28, 29, 31, 33)は、前記第2圧力キャビティ(16'')をシールするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項3】
前記シールメンバ(28, 29, 31, 33)の上面及び下面に配置される第2高分子材料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項4】
前記プリント回路基板(20)と前記圧力マニホールド(18)とに取り付けられる押え板(24)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項5】
前記圧力マニホールド(18)に前記押え板(24)と前記プリント回路基板(20)とが取り付けられるように構成されるメカニカルファスナ(26)をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項6】
前記圧力マニホールド(18)は、アルミニウムによって構成されることを特徴とする請求項2に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項7】
前記シールメンバ(28, 29, 31, 33)は、高分子材料によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項8】
プリント回路基板(20)と圧力マニホールド(18)とによって圧力キャビティ(16)が定められ、前記圧力マニホールド(18)は、前記圧力キャビティ(16)の中へ流体を逃がすように構成される圧力源(22)を含み、前記圧力マニホールド(18)に接続される前記プリント回路基板(20)と、
前記プリント回路基板(20)に取り付けられ、前記圧力キャビティ(16)の中の圧力変化を検出する手段(4)と、
前記プリント回路基板(20)と前記圧力マニホールド(18)との間に配置され、前記圧力キャビティ(16)をシールする手段(28, 29, 31, 33)と、
を含むことを特徴とする統合された流体圧システム。
【請求項9】
前記検出手段(4)は、スモールアウトライン集積回路(4)であることを特徴とする請求項8に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項10】
前記シール手段(28, 29, 31, 33)は、ガスケット(33)であることを特徴とする請求項8に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項11】
前記シール手段(28, 29, 31, 33)は、シールプレート(29)であることを特徴とする請求項8に記載の統合された流体圧検出システム。
【請求項12】
前記プリント回路基板(20)と前記圧力マニホルド(18)とに取り付けられる押え板(24)をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の統合された流体圧検出システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−506857(P2013−506857A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532674(P2012−532674)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002530
【国際公開番号】WO2011/042795
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】