説明

統合型スクリーニングおよび確認装置

本発明は、体液試料を収集するための体液収集器と、該体液試料を検査し、保持するための筐体とを有する体液収集および薬物検査装置を提供する。筐体は、体液収集器を収容するための開口端を有する収集チャンバと、収集チャンバと流体連通する、少なくとも1つの検査薬物の有無を示すための少なくとも1つの膜検査ストリップと、収集チャンバと流体連通する、検査対象を確実に同定し、検査対象を体液試料と関連付けるための、イムノアッセイに基づく指紋採取パッドとを有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2006年3月31日出願の米国特許出願第11/394,189号(本開示内容全体は、参照することにより本願に組み込まれる)の開示内容に依存し、またその利益を請求する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、薬物検査に関する。具体的には、本発明は、検査対象から収集された体液試料中の1つ以上の特定の薬物の有無を検査し、検査対象を確実に同定し、後の確認のために体液試料を確保する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物検査は、現代社会のあらゆる場面で見られるようになった。職場から、運動競技、法の執行などに至るまで、有効、安価、かつ信頼性のある薬物検査装置が求められてきた。市場は、これに対応し、血液、尿、または唾液の検査を目的としたそのような多数の装置で満ちている。しかし、これらの装置では、検査を受ける体液試料の別の容器への移動、および/または体液試料の離れた場所への除去を伴う一連の検査を要することがある。1つの単純な検査装置は、いくつかの膜検査ストリップを含む単一のカードを含み、このカードの露出した端部は体液試料に浸される。一企業Craig Medical Distribution,Inc.は、いくつかの尿および唾液を用いる薬物検査装置を広告している(http://www.craigmedical.com/products.htm参照)。
【0004】
しばしば、これらの装置に関連する管理責任の流れは、体液試料が汚染されたり、置き違えられたり、あるいは異なった体液試料が完全に取り換えられたりする可能性から、結果に疑念を与える。上述の膜検査ストリップ装置では、体液試料は、保持さえすることができない。多くの場合、体液試料と関連付けられる検査対象の同定が、重要な手がかりとなる。また、より精緻な検査と分析を用いた体液試料のさらなる確認検査がしばしば必要となる。これらの目標を現行の装置と方法を用いて達成することは、実際には不可能である。従って、本業界では、現行の膜検査ストリップ技術の簡易性と、検査対象を確実に同定する能力と、また後の確認のために体液試料を確保する機能とを1つの装置内に組み合わせる必要がある。
【発明の開示】
【0005】
発明の要旨
本発明の実施形態は、体液試料を収集するための体液収集器と、体液試料を検査および保持するための筐体とを有する体液収集および薬物検査装置を提供する。筐体は、体液収集器を収容するための開口端を有する収集チャンバと、収集チャンバと流体連通する、少なくとも1つの検査薬物の有無を示すための少なくとも1つの膜検査ストリップと、収集チャンバと流体連通する、検査対象を確実に同定し、検査対象を体液試料と関連付けるためのイムノアッセイに基づく指紋採取パッドとを有する。
【0006】
本発明の上記あるいはその他の効果は、以下の発明の説明と添付の図面によって、より明らかとなるであろう。
【本発明の様々な実施形態の詳細な説明】
【0007】
本発明の実施形態は、例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン、アヘン剤、THC、およびPCP、およびヒトの体液(例えば、口腔液)におけるそれらの代謝物を含む薬物を同時かつ定性的に検出するための迅速なスクリーニングであるラテラルフ
ロー式イムノクロマトグラフアッセイを、検査対象のイムノアッセイに基づく指紋同定と組み合わせた、口腔液薬物スクリーニング装置を提供する。また、本発明の実施形態は、さらなる確認検査のために体液試料を安全に保存する。
【0008】
ラテラルフロー式イムノクロマトグラフアッセイ検査は、競合結合の原理に基づき、体液試料中に存在しうる薬物は、それらの特異的抗体上の結合部位でそれぞれの薬物複合体と競合する。本発明の様々な実施形態では、モノクローナル抗体を用いて、検査対象体液中の特定の薬物の上昇値を選択的に検出する。例えば、多孔質膜検査ストリップは、検査領域を薬物−タンパク質複合体で被覆し、コントロール領域をコントロール−タンパク質複合体で被覆し、染色パッド領域を着色した抗体で被覆することができる。一実施形態では、コントロール−タンパク質複合体は、金−タンパク質複合体に対するヤギポリクローナル抗体であり、染色パッド領域は、検査される種々の薬物に特異的なマウスモノクローナル抗体で被覆されたコロイド金粒子を有する。
【0009】
体液試料が膜検査ストリップ内の染色パッド領域付近に導入された後、体液試料の一部は毛管作用によって上方に移動する。体液試料中に既定の濃度を下回る薬物が存在する場合、その薬物は薬物の特異的抗体の結合部位を飽和させない。体液試料が膜検査ストリップを横断して上方に移動すると、抗体も同様に上方に運搬される。抗体が検査領域に到達すると、抗体は、薬物−タンパク質複合体と反応し、検査領域において着色ラインが可視となる。反対に、体液試料中に既定の濃度を上回る薬物が存在する場合、その薬物は薬物の特異的抗体の結合部位を飽和させる。体液試料が上方に移動すると、抗体はもはや薬物−タンパク質複合体と自由に反応することができず、着色ラインは出現しない。コントロール−タンパク質複合体と別の着色された抗体との反応は、コントロール領域に着色ラインを生成し、適切な容量の体液試料が添加され、膜浸出が行なわれたことを示す。
【0010】
従って、薬物陽性の体液検体は、薬物の競合があるため膜検査ストリップの検査領域に着色ラインを生成せず、薬物陰性の体液試料は、薬物の競合がないため、検査領域にラインを生成する。
【0011】
イムノアッセイに基づく指紋同定の様々な実施形態が、本発明により意図される。いくつかの実施形態は、米国特許第6,352,863号(Raouf A.Guirguis、2002年3月5日出願)(’863特許)、および米国特許第5,244,815号(Raouf A.Guirguis、1993年9月14日出願)(’815特許)に記載されているが、これらは全体を参照することにより本願に組み込まれる。下記の別の実施形態は、’863および’815特許で開示される実施形態の種々の特徴を組み込むことがある。
【0012】
図1〜5は、本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置を表す。本実施形態では、指紋薬物スクリーニング装置10は、検査対象から体液試料を収集するための体液収集器20と、体液試料を検査および保持するための筐体30を有する。筐体30は、開口部32を通して体液収集器20を収容するための収集チャンバ40と、1つ以上の薬物の有無を示すための1つ以上の膜検査ストリップ51と、検査対象を確実に同定するためのイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60とを有する。収集チャンバ40は、概して、膜検査ストリップ51およびイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60と流体連通している。例えば、プラスチック管類およびその他の構成を有する配管システムは、これらの構成要素を流体的に連結することができる。
【0013】
体液収集器20は、検査対象から体液試料を受け取り、その体液試料が筐体30に移されるまで一時的に保管する。好ましい実施形態では、体液試料は唾液であるが、別の実施形態では、体液試料は尿や血液などでよい。概して、体液試料の採取、保存が可能なあら
ゆる材料を使用することができる。好ましい実施形態では、体液試料を吸収し、一時的に保管するために、スポンジ25が体液収集器20の一端に付設される。スポンジ25は、例えばクエン酸や塩化ナトリウムなどの唾液生成物質で含浸させてよい。体液試料を収集した後、体液収集器20は、開口部32を通して収集チャンバ40内に挿入され、収集チャンバ40の下部42の底面に対してスポンジ25を圧縮し、それにより取り込まれた体液を配管システム内に放出することで、体液試料がそこから取り出される。
【0014】
体液収集器20は、中央シャフト22と、中央シャフト22の上端に配置されたディスク21と、中央シャフト22の下端に配置されたディスク24と、ディスク21の上面に付設されたハンドル23と有する。図示されている実施形態では、ディスク21の直径は、ディスク24の直径よりもやや大きい。さらに、封止リング28および29は、それぞれディスク21および24の外周に付設することができる。一般的に、ディスク21および24と封止リング28および29の寸法は、体液が開口部32を通って流出するのを防止するために、収集チャンバ40の内部寸法と適合する。スポンジ25は、ディスク24の下面に付設され、スポンジ25の圧縮時に、収集チャンバ40の下部42内での半径方向の膨張を可能にするように、ディスク24の直径よりもやや小さい寸法とされる。
【0015】
以下にさらに詳しく説明するように、体液収集器20は、体液収集器20が収集チャンバ40内に既定の深度まで挿入された後、収集チャンバ40内に確保される。所望に応じて、その後ハンドル23aをディスク21の上面から離脱することができる。指紋薬物スクリーニング装置10は、確保された体液収集器20を見ることができる窓36も有する。カバー37は、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60を包囲し、ヒンジ38によって筐体30に付設される。カバー37は、検査対象の指紋を採取した後に、タブ・スロット構成やセキュリティテープなどの種々の係止機構を用いて固定される。確保された体液試料を用いて、ガスクロマトグラフィ/質量分析法やガスクロマトグラフィ/タンデム質量分析法などのさらなる確認検査を実施することができる。体液試料へのアクセス得るためには、例えば、単にイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60を除去してアダプタ61と管46とを露出したり、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60を針で穿刺し、アダプタ61と管46にアクセスするなどしてよい。
【0016】
膜検査ストリップ51を有する検査カートリッジ50は、開口部33を通して検査カートリッジチャンバ34内に挿入することができる。有利なことには、異なる組み合わせの薬物を検査するために異なる形式の検査カートリッジ50を開発してよく、それによって、検査管理者が検査現場で適当な薬物検査一式を選択することができる。検査カートリッジチャンバ34は、検査カートリッジ50を検査カートリッジチャンバ34内に固定し、それによって検査カートリッジ50が筐体30から外れるのを防止する係止機構35を備えてもよい。係止機構35は、検査カートリッジ50上に位置する対応する構成と協働し、また例えば、対合歯、係止タブ・スロット構成などを有してもよい。あるいは、検査カートリッジ50は、装置の一体化した構成要素として加工することもできるが、この場合は、筐体30の開口部33、および係止機構35は必要とされない。筐体30の開口部または窓31は、検査カートリッジ50の一部が見えるようにするが、これにはもちろん膜検査ストリップ51の検査およびコントロール領域が含まれる。
【0017】
概して、各膜検査ストリップ51は、1つ以上の薬物の有無を示す。図示される実施形態では、例えば、コカイン(COC)、アンフェタミン(AMP)、メタンフェタミン(mAMP)、マリファナ(THC)、メタドン(MTD)、フェンシクリジン(PCP)、モルヒネ、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、アルコールなど、各膜検査ストリップ51によって単一の薬物または薬物群が示される。任意の特定薬物の存在が検出される最低濃度値は、例えば、国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse、NIDA)、薬物乱用・精神衛生管理庁(Substanc
e Abuse & Mental Health Services Administration、SAMHSA)、世界保健機関(World Health Organization、WHO)など、種々の業界最低基準によって測定される。
【0018】
イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60は、コントロールゾーンと複数の反応ゾーンとを有し、多孔質支持体上に構成される圧縮性の多孔質反応媒体を備える。コントロールゾーンは、体液試料提供者を同定するためのコントロール試薬を有し、各反応ゾーンは、体液試料中の特定の被検薬物(例えば、麻薬)の存在を測定するための反応試薬を有する。コントロール試薬は、既定のリガンド/受容体結合対の要素を有する。同様に、各反応試薬は、既定のリガンド/受容体結合対の要素を有する。コントロールおよび反応ゾーン内で使用する種々のリガンド/受容体結合対は、’863および’815特許に記載されている。
【0019】
一実施形態では、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60は、収集チャンバ40と流体的に連結される。多孔質支持体の上面あるいは反応媒体の下面に位置するシグナル生成物質は、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60に提供される体液試料と混合する。試料を提供する人物を同定する画像またはパターンの生成は、反応媒体の上面に指先を当てて反応媒体を圧縮することによって、体液試料/シグナル生成物質混合物を反応媒体に浸透させてコントロールゾーンのリガンド/受容体反応を発生させ、それによってこの免疫対がシグナル生成物質と結合して、指紋画像を生成することによって達成される。同様に、体液試料中の特定の分析対象の有無は、それぞれの特定の反応試薬の体液試料/シグナル生成物質混合物との反応によって、各反応ゾーン内で示される。
【0020】
概して、配管システムは、収集チャンバ40を膜検査ストリップ51およびイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60に流体的に連結する。図示される実施形態では、管43は、収集チャンバ40の下部42をアダプタ44および検査カートリッジ体液容器45に流体的に連結する。同様に、管46は、収集チャンバ40の下部42をイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60の直下に位置するアダプタ61に流体的に連結する。管43および46は、収集チャンバ40の下部42に独立して接続されて示されているが、その他の構成も可能である。例えば、管43が、収集チャンバ40の下部42との唯一の接続であってもよい。本実施形態例では、管43に「T」接続を組み込み、管46をイムノアッセイに基づく指紋採取パッド60に流体的に連結することができる。あるいは、必要な流体接続を筐体30内に直接成形してもよい。
【0021】
図6〜8は、本発明の別の実施形態による体液収集および薬物検査装置を表しているが、これも図4に表される体液収集器20の実施形態を利用する。本実施形態では、指紋薬物スクリーニング装置100は、筐体30に直接付設された膜検査ストリップ151を有する。膜検査ストリップは、体液容器145に連結される。図示される実施形態では、例えば、コカイン(COC)、メタンフェタミン(mAMP)、およびフェンシクリジン(PCP)(最左ストリップ)、マリファナ(THC)、アヘン剤、およびアンフェタミン(AMP)(中央ストリップ)、メタドン(MTD)(最右ストリップ)など、各膜検査ストリップ151によっていくつかの薬物が示される。認められている基準に加え、陽性反応を発生させる、つまり膜検査ストリップの検査領域に可視ラインが現れない最低濃度値には、例えば、アンフェタミン(50ng/mL)、メタンフェタミン(50g/mL)、ベンゾイルエクゴニンとエクゴニンメチルエステルを含むコカイン代謝物(20ng/mL)、モルヒネ、コデイン、ヘロインを含むアヘン剤(40ng/mL)、マリファナ(THC COOH)(12ng/mL)、フェンシクリジン(10ng/mL)がある。筐体30のいくつかの開口部または窓131は、膜検査ストリップ151の検査およびコントロール領域が見えるようにする。
【0022】
上述のように、体液収集器20は、検査対象から体液試料を受け取り、その体液試料が筐体30に移動されるまで一時的に保管する。体液収集器20は、次に開口部32を通して収集チャンバ40内に挿入され、収集チャンバ40の下部42の底面に対してスポンジ25を圧縮し、それにより取り込まれた体液を管43および46内に放出することで、体液試料がそこから取り出される。一実施形態では、突起26は、ディスク21の上面から延出し、収集チャンバ40の内面に位置する環状突起46と協働して、体液収集器20を収集チャンバ40内に固定する。
【0023】
図7および8に表されるように、体液収集器20が既定の距離まで挿入された後、突起26が環状突起46に係合して、体液収集器20が収集チャンバ40から抜去されるのを防止する。4つの突起が図示されているが、体液収集器20を収集チャンバ40内に効果的に固定するためには、少なくとも2つを使用するべきである。あるいは、環状突起46は、ディスク21の封止リング28の上に位置する突出した円周リング(図示せず)と協働して、体液収集器20を収集チャンバ40内に固定する。さらなる固定手段として、ハンドル23aは、体液収集器20が環状突起46に係合した後、脆弱線27に沿って体液収集器20から離脱することができる。ハンドル23aを体液収集器20から取り外すために捻り運動が所望される場合は、1つ(またはそれ以上)の止め具47を環状突起46の直下に位置付け、突起26のうちの1つ(またはそれ以上)に係合することによって、体液収集器20が回転するのを防止することができる。
【0024】
図9は、本発明のさらなる実施形態による体液収集および薬物検査装置を表している。一実施形態では、指紋薬物スクリーニング装置200は、封止可能な開口部49を組み込んだ窓37を有し、収集チャンバ40へのアクセスを可能とする。体液収集器20が収集チャンバ40内に固定されると、封止可能な開口部49は、ディスク21と24との間に形成された確認チャンバ47へのアクセスを可能にする。別の一実施形態では、通路48は、収集チャンバ40の下部42を確認チャンバ47に流体的に連結して、体液収集器20が収集チャンバ40内に挿入されたときに、体液試料の一部が確認チャンバ47に流入することができるようにする。体液収集器20が収集チャンバ40に固定されると、体液試料の一部は、封止可能な開口部49を通して確認試料を採取するために利用することができる。
【0025】
一実施形態では、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60は、収集チャンバ40に流体的に連結されていない。その代わりに、体液試料の一部は、例えばピペットを用いて、封止可能な開口部49を通して取り出され、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60の上面に塗布される。シグナル生成物質は、人物の指先に塗布される。あるいは代替的に、シグナル生成物質は、多孔質支持体の上面または反応媒体の下面に位置してもよい。次に、シグナル生成物質は、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド60に提供される体液試料と混合する。試料を提供する人物を同定する画像またはパターンの生成は、反応媒体の上面に指先を当てて反応媒体を圧縮することによって、体液試料を反応媒体に浸透させて、既定のリガンド/受容体反応を発生させ、それによってこの免疫対の成員がシグナル生成物質と結合して、指紋画像を生成することによって達成される。同様に、体液試料中の特定の分析対象の有無は、それぞれの特定の反応試薬の体液試料/シグナル生成物質混合物との反応によって、各反応ゾーン内で示される。
【0026】
他の実施形態では、イムノアッセイに基づく指紋採取パッド160をインクを用いない指紋パッドなどに置き換え、特定の物質を検査せずに、単に検査対象を同定することもできる。
【0027】
本発明によると、複数の異なる試料を分析することができる。例えば、唾液、粘膜、血液、およびその他の体液を分析することができる。さらに、本発明によると、比較的小さ
い試料サイズを分析することができる。これらの特徴の双方は、当技術分野で既知のその他のシステムに優る利点を提供する。
【0028】
一部の実施形態では、本発明の装置を指で圧迫することにより付加される圧力が、アッセイ反応の速度を増加させる。代替的または追加的に、被験者の指によって装置に伝達された被験者の体熱が、アッセイ反応を増進する。被験者の指によって提供される圧力および/または温度を少なくとも部分的な要因として、反応速度の増加が、小さい試料サイズを可能にし、さらに好適な結果を提供する。
【実施例】
【0029】
本発明のいくつかの特長は、以下の実施例を通じてさらに開示される。以下の実施例は、本発明のいくつかの側面に関する詳細を提供するものと理解すべきであり、本発明をいかようにも制限するものと理解すべきではない。
【0030】
実施例1:イムノアッセイ装置
本発明のイムノアッセイ検査装置の一実施形態は、以下の手順に従って準備された。反応ゾーンは、多孔質支持体上に設置した低タンパク結合性ポリスルホン膜(Gelman
Supor膜)の一部に、ヒト血清アルブミン−ベンゾイルエクゴニン(HSA−BE)で被覆されたポリスチレン粒子を埋め込むことによって作成された。コントロールゾーンは、膜の別の部分にヤギ抗マウス抗体で被覆されたポリスチレン粒子を埋め込むことによって作成された。
【0031】
アッセイ装置は、以下の手順に従って準備された。反応媒体は、まず2%ポリビニルアルコール(PVA)、1%グリシン、および0.05% TWEEN−20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を含むリン酸緩衝食塩液から成るブロッキング緩衝液(溶液A)で洗浄した。イムノアッセイ装置の中央ウェル(コントロールゾーン)には、4%スクロース、1.0%BSA、および0.05%アジドを含有するリン酸緩衝食塩液にヤギ抗マウスイムノグロブリンG(ヒト血清に対して吸着される)で被覆されたポリスチレンラテックスを加えた希釈溶液を配置した。反応ゾーンには、0.2M重炭酸ナトリウムにヒト血清アルブミン−ベンゾイルエクゴニン(HSA−BE)で被覆されたポリスチレンラテックスを加えた希釈溶液を配置した。次に反応媒体を疎水性ポリエチレン上に逆さに置き、80〜100°Fに設定した乾燥室で1時間乾燥させた。反応媒体を疎水性ポリエチレンから除去した後、アッセイ装置は使用可能となった。
【0032】
実施例2:唾液試料の検査
唾液試料は、ベンゾイルエクゴニンの有無の検査を受ける人物から採取した。0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.05% TWEEN−20とを含有するリン酸緩衝食塩液にマウス抗−ベンゾイルエクゴニンイムノグロブリンG(マウス抗−BE IgG)を加えた希釈溶液の200マイクロリットルアリコートを唾液試料の200マイクロリットルアリコートに添加した。得られた混合物を3分間培養した。この培養時間中、溶液A400マイクロリットルを実施例1で準備したイムノアッセイ装置の反応媒体に添加し、反応媒体を通して排出させた。次にマウス抗−BE IgG/唾液混合物を反応媒体に添加し、2分間培養した。溶液Aの新たな400マイクロリットルアリコートを反応媒体に添加し、排出させた。溶液Aの排出を終えた後、1.0%BSA、0.05% TWEEN−20、および0.05%アジドを含有するTRIS緩衝液にコロイド金結合ヤギ抗マウスイムノグロブリンGを加えた希釈溶液(以下「金標識溶液」)15マイクロリットルを、唾液試料を提供した人物の指に塗布した。指を、イムノアッセイ装置の反応媒体に軽く押し付け、3秒間維持した。次に指を回転させて反応媒体から慎重に離した。反応媒体を15秒間培養してから、溶液Aの新たな400マイクロリットルアリコートを反応媒体に添加した。本手順が完了した後、反応ゾーンが着色され、ベンゾイルエクゴニンに対
する陰性の検査結果が示された。
【0033】
マウス抗−BE IgG溶液の添加直前に、唾液試料に少量のベンゾイルエクゴニンを添加した点以外は、同様に測定を繰り返した。本例では、検査完了後、反応ゾーンは完全に白色であった。両方の測定が完了した後、中央ウェルのコントロールゾーンは、唾液試料を提供した人物の指跡を含有した。
【0034】
実施例3:複数分析対象の検査
イムノアッセイ装置は、装置が異なる分析対象用の6つの反応ゾーンを含む点以外は、実施例1の手順に従って準備された。各反応ゾーンには、膜に埋め込まれた、異なる分析対象の複合体で被覆されたポリスチレン粒子が含まれる。反応ゾーンは、分析対象としてのコカイン、アヘン剤、PCP、アンフェタミン/メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールでそれぞれ被覆されたポリスチレンラテックスを含む。中央コントロールゾーンは、実施例1と同様に、ヤギ抗マウスイムノグロブリンGで被覆されたポリスチレン粒子を膜に埋め込んで準備される。
【0035】
唾液試料は、6つの分析対象の有無の検査を受ける人物から採取した。リン酸緩衝食塩液に、6つの異なる分析対象それぞれに対するマウス抗−分析対象イムノグロブリンGを加えた希釈溶液(以下「マウス抗−分析対象IgG溶液I」)の200マイクロリットルアリコートを唾液試料200マイクロリットルに添加する。実施例2に記載されるように、この混合物の培養中に、反応媒体を溶液Aで前処理する。マウス抗−分析対象IgG溶液I/唾液混合物を反応媒体に添加した後は、実施例2に記載される残りの検査手順に従う。反応媒体は、溶液Aで処理し、コロイド金結合ヤギ抗マウスイムノグロブリンGの希釈溶液で被覆された検査対象の指で接触した後、再び溶液Aで処理する。本手順の実施後、中央コントロールゾーンは、唾液試料を提供する人物の指跡を含む。反応ゾーンは、全て着色され、6つの分析対象全ての存在に対する陰性の検査結果を示す。
【0036】
次に、残った唾液に、少量のアンフェタミン/メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールを混入する。混入を受けた唾液200マイクロリットルに、次にマウス抗−分析対象IgG溶液Iの200マイクロリットルアリコートを添加し、混入を受けていない試料についての記載と同様に測定を繰り返す。本手順の実施後、アッセイ装置は、図2に図示される結果を示す。中央コントロールゾーンは、唾液試料を提供する人物の指跡を含む。反応ゾーンは、陰性の検査結果を示して着色される。反応ゾーンは、陽性結果を示して白色となる。
【0037】
実施例4:尿試料の検査
6つの反応ゾーンを含むイムノアッセイ装置は、実施例1の手順に従って準備される。実施例3と同様に、反応ゾーンは、分析対象としてのコカイン、アヘン剤、PCP、アンフェタミン/メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールでそれぞれ被覆されたポリスチレンラテックスを含有する。しかし本例では、実施例1と同様に準備された中央コントロールゾーンは、膜に埋め込まれた、ヤギ抗マウスイムノグロブリンGで被覆されたポリスチレン粒子を含有する。尿試料は、6つの分析対象の有無の検査を受ける人物から採取する。尿200のマイクロリットルアリコートをマウス抗−分析対象IgG溶液I200マイクロリットルと混合し、その後は実施例2の記載と全く同様に検査手順が実施される。測定完了後、中央コントロールゾーンは、尿試料を提供する人物の指跡を含み、反応ゾーンは、全て着色され、6つの分析対象全ての存在に対する陰性の検査結果を示す。
【0038】
次に、残った尿に、少量のアンフェタミン/メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールを混入する。次に混入を受けた尿200マイクロリットルに、
マウス抗−分析対象IgG溶液Iの200マイクロリットルアリコートを添加し、混入を受けていない試料に関する記載と同様に測定を繰り返す。測定完了後、イムノアッセイ装置は、図2に図示される結果を示す。中央コントロールゾーンは、尿試料を提供する人物の指跡を含む。反応ゾーンは、着色され(陰性結果)、また反応ゾーンは、白色となる(陽性結果)。
実施例5:指
【0039】
反応媒体は、実施例1に記載の手順に従って準備される。反応媒体は、分析対象としてのコカイン、アヘン剤、PCP、メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールでそれぞれ被覆されたポリスチレンラテックスを含む6つの反応ゾーンと、膜に埋め込まれた、ヤギ抗マウスイムノグロブリンGで被覆されたポリスチレン粒子を含有する中央コントロールゾーンとを含む。6つの分析対象の唾液中の有無を検査される人物の舌下に滅菌綿棒を配置する。1分後、綿棒を除去し、イムノアッセイ装置の培養溝および凹所に配置する。6つの異なる分析対象それぞれに対するマウス抗−分析対象イムノグロブリンGの銀被覆金ミクロゾーム複合体の希釈溶液(以下「マウス抗−分析対象IgG溶液II」)3滴を唾液を含む綿棒に添加する。処理された綿棒を1分間培養した後、唾液試料を提供する人物の指を10秒間綿棒に押し付ける。次に指を持ち上げて綿棒から離し、即座にイムノアッセイ装置の反応媒体に押し付け、30秒間同じ場所に維持する。次に指を持ち上げて反応媒体から離し、媒体を2分間培養した後、結果を読み取る。この時点で、中央コントロールゾーンは、唾液試料を提供する人物の指跡を含み、反応ゾーンは、全て着色されて、6つの分析対象全てに対する陰性の検査結果を示す。
【0040】
本検査手順は、新しい滅菌綿棒を用いて繰り返されるが、マウス抗−分析対象IgG溶液IIを綿棒に添加する前に、少量のメタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールを含有する溶液を綿棒に添加する点が異なる。検査完了後、イムノアッセイ装置は結果を示す。中央コントロールゾーンは、唾液試料を提供した人物の指跡を含む。反応ゾーンは、着色され(陰性結果)、また反応ゾーンは、白色となる(陽性結果)。
【0041】
実施例6:さらなる唾液検査
イムノアッセイ装置は、実施例5と同様に準備される。唾液試料は、6つの分析対象の有無の検査を受ける人物の舌下から、滅菌綿棒を用いて採取される。唾液試料の採取中、マウス抗−分析対象IgG溶液I800マイクロリットルをPCPの希釈溶液1滴と共に試料管に設置する。唾液を含有する綿棒を試料管内の溶液に2分間浸漬する。得られる混合物の400マイクロリットルアリコートを反応媒体に付加し、20秒間培養する。次に、溶液Aの400マイクロリットルアリコートを反応媒体に添加し、排出させる。溶液Aの排出が終了した後、唾液試料を提供した人物の指に金標識溶液15マイクロリットルを塗布する。指は即座にイムノアッセイ装置の反応媒体に軽く押し付けられ、5秒間同じ場所に維持される。指を回転させて反応媒体から慎重に離した後、媒体を15秒間培養し、新たな400マイクロリットルアリコートの溶液Aを反応媒体に添加する。本手順の完了後、反応ゾーンは完全に白色であり、PCPに対する陽性の検査結果を示す。中央コントロールゾーンは、唾液試料を提供した人物の指跡を含む。
【0042】
実施例7:指穿刺を用いた薬物検査
イムノアッセイ装置は、実施例1の手順に従って準備される。反応媒体は、ナイロン膜を備える。反応ゾーンは、膜に埋め込まれた、ヒト血清アルブミン−コカインで被覆されたポリスチレン粒子を含む。中央コントロールゾーンは、膜に埋め込まれた、ヤギ抗マウスイムノグロブリンGで被覆されたポリスチレン粒子を含む。
【0043】
血中のコカインの有無の検査を受ける人物の指を針で穿刺し、血液の液滴を採取する。
この液滴は、指先上に血液の薄膜を形成するように、滅菌したへらで広げる。血液で被覆された指先を、反応媒体に押し付け、10秒間同じ場所に維持する。指を持ち上げて離した後、反応媒体を家庭用洗剤の希釈溶液で処理することにより、反応媒体から赤い血液の色を除去する。血液の色が除去された後、反応媒体をアルカリフォスファターゼと結合させたマウス抗−コカインイムノグロブリンGの希釈溶液で処理し、2分間培養する。反応媒体は、順次、溶液A、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸とニトロブルーテトラゾリウムの希釈溶液(BCIP/NBT)、そして再度溶液Aで処理する。反応媒体は、BCIP/NBTでの処理と最後の溶液Aでの処理との間に数分間培養する。本手順の完了時、中央コントロールゾーンは、血液試料を提供した人物の指跡を含み、反応ゾーンは着色されて、コカインに対する陰性の検査結果を示す。
【0044】
実施例8:コカイン検査
イムノアッセイ装置は、実施例7と同様に準備される。0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.05% TWEEN−20とを含有するリン酸緩衝食塩液にマウス抗−コカインイムノグロブリンGを加えた希釈溶液(以下「マウス抗−コカイン IgG溶液」)の500マイクロリットルアリコートを小型試料管内に配置する。少量のコカインを含有する溶液1滴を試料管に添加する。
【0045】
血中のコカインの有無を検査される人物の指を針で穿刺し、血液の液滴を採取し、血液2滴を試料管中の混合物に添加する。得られる混合物を試料管内で2分間培養した後、その混合物をイムノアッセイ装置の反応媒体に添加する。混合物を反応媒体上で1分間培養し、その後溶液Aで洗浄する。血液試料を提供した人物の指に、金標識溶液15マイクロリットルを塗布する。イムノアッセイ装置の反応媒体に指を軽く押し付け、5秒間同じ場所に維持してから、回転させて反応媒体から慎重に離す。反応媒体を15秒培養した後、新たな400マイクロリットルアリコートの溶液Aを反応媒体に添加する。手順完了後、反応ゾーンは完全に白色であり(コカインに対して陽性)、コントロールゾーンは血液試料を提供する人物の指跡を含む。
【0046】
実施例9:コレステロール検査
イムノアッセイ装置は、装置が6つの反応ゾーンを含む点以外は、実施例1の手順に従って準備される。各反応ゾーンは、膜に埋め込まれた、異なる量のコレステロール複合体で被覆されたポリスチレン粒子を含有する。反応ゾーンは、150ミリグラム/デシリットル以上の総コレステロール値を有する生体液と接触した場合に、陽性シグナルを生成するコレステロール複合体を含有する。反応ゾーンは、中量のコレステロール複合体を含有するが、コレステロール複合体の量は、ゾーンからゾーンへと順次増加する(すなわち、180mg/dl、240mg/dl、280mg/dl)。反応媒体は、高比重リポタンパク30ml/dlと65ml/dlとに相当する2つの参照コントロールゾーンも含む。
【0047】
血中のコレステロール量の検査を受ける人物の指を針で穿刺し、血液の液滴を採取する。その液滴は、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.05% TWEEN−20とを含有するリン酸緩衝食塩液にマウス抗−コレステロールイムノグロブリンGとコロイド金結合マウス抗−コレステロールイムノグロブリンGとを加えた希釈溶液(以下「マウス抗−コレステロールIgG溶液」)400マイクロリットルを含む小型試料管に添加する。3分間の培養後、滅菌したへらを用いて、血液試料を提供する人物の指先上に、混合物の薄膜を伸ばす。指先を即座にイムノアッセイ装置の反応媒体に軽く押し付ける。5秒間同じ場所に維持した後、慎重に指を持ち上げて反応媒体から離す。反応媒体を1分間培養した後、家庭用洗剤の希釈溶液で処理して、反応媒体から赤い血液の色を除去する。本手順の完了後、コントロールゾーンは、血液試料を提供した人物の指跡を含む。いくつかの反応ゾーンは着色され(コレステロールに対する陰性検査)、別の反応ゾーンは白色と
なる(コレステロールに対する陽性検査)。各反応ゾーンは、少なくとも既定の閾値量のコレステロールが存在する場合に、コレステロールに対する陽性検査を与える。閾値のコレステロール濃度は、各反応ゾーンによって異なるが、これは反応媒体のそのゾーンに吸着されたコレステロール複合体の量に対応する。
【0048】
実施例10:関連薬物
以下は本発明を用いてその有無が測定されるその他の多数の薬物の一覧である。これは例示に過ぎず、本発明をこれらに限定することを意図しない。
【0049】
ベータ遮断薬:アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、プロパノロール、ソタロール、および関連化合物
【0050】
興奮剤:アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アミフェナゾール、ベンズフェタミン、カフェイン、カチン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレックス、クロルプレナリン、コカイン、クロプロパミド、クロテタミド、ジメタンフェタミン、エフェドリン、エタフェドリン、エタミバン、エチルアンフェタミン、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンプロポレクス、フルフェノレクス、メフェノレクス、メタンフェタミン、メトキシフェナミン、メチルフェドリン、メチルフェニデート、モラゾン、ニケタミド、ペモリン、ペンテトラゾール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピプラドロール、プロリンタン、プロピルヘキセドリン、ピロバレロン、ストリキニーネ、および関連化合物
【0051】
アナボリックステロイド:ボラステロン、ボルデノン、クロステボル、デヒドロメチルテストステロン、フルオキシメステロン、メステロロン、メタンジエノン、メタンドロステノロン、メテノロン、メチルテストステロン、ナンドロロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、オキシメタゾリン、オキシメチレン、スタノゾロール、テストステロン、および関連化合物
【0052】
アヘン剤:ヘロイン、モルヒネ、メタドン、メペリジン、コデイン、プロポキシフェン、バルビツレート、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、フェノバルビタール、ブタミホス、ブタカイン、抗精神病薬
【0053】
抗うつ薬:クロルプロマジン、トラゾドン、ハロペリドール、アモキサピン、炭酸リチウム、イミプラミン
【0054】
鎮痛薬:アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフルニサル、フェニルブタゾン
【0055】
利尿薬:アセタゾールアミド、アミロリド、ベンドロフルメチアジド、ブメタニド、カンレノン、クロルメロドリン、クロルタリドン、ジクロフェナミド、エタクリン酸、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、マーサリル、スピロノラクトン、トリアムテレン、および関連化合物
【0056】
麻薬性鎮痛薬:アルファプロジン、アニレリジン、ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、ジアモルフィン、ジヒドロコデイン、ジピパノン、エトヘプタジン、エチルモルフィン、レボルファノール、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、トリメペリジン、および関連化合物
【0057】
幻覚薬:リセルグ酸ジエチルアミド、メスカリン、フェンシクリジン(PCP)、ケタミン、2,5−ジメトキシ−4−メチルアンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、マリファナ
【0058】
鎮静薬/催眠薬:抱水クロラール、グルテチミド、メプロバメート、メタカロン
【0059】
ベンゾジアゼピン:ジアゼパム、クロラゼプ酸、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム
【0060】
溶剤:エタノール、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、クロロホルム
【0061】
アナボリックステロイド:テストステロン、メチルテストステロン、ナンドロロン、スタノゾロール、オキサンドロロン、メタンドロステノロン、クロステボル、メステロロン、ノルエタンドロロン。
【0062】
実施例11:乾燥血液による指塗抹
本実施例では、実施例7の装置と方法を用いるが、異なる点は、アッセイ装置が分析対象に対する反応ゾーンを含み、反応媒体の表面が溶液Aであらかじめ湿潤され、検査対象の指を穿刺して血液を対象の指先上に塗抹するのに十分な量の血液を生成し、塗抹された血液が対象の指上で乾燥される点である。次に、乾燥した血液の付いた指をアッセイ装置に当て、約15秒間装置との接触を維持する。指を持ち上げて離した後、反応媒体を清浄用試薬の希釈溶液で処理することによって、反応媒体から赤い血液の色を除去する。赤い血液の色を除去した後、反応媒体を二次抗体と結合されたコロイド金の複合体(各複合体は、指定された分析対象のうちの1つに特異的に結合している)の希釈溶液で処理する。約2分間の培養後、コントロールゾーンのリガンド受容体に対して特異的なリガンドに結合されたコロイド金約10マイクロリットルで、血液の塗布に使用していない指先を被覆する。指先の除去後、中央コントロールゾーンは、血液試料を提供した人物の指跡を含み、反応ゾーンは、着色され、分析対象に対する陰性の検査結果を示す。
【0063】
実施例12:血液塗抹
本実施例では、実施例7の装置と方法を用いるが、異なる点は、アッセイ装置が分析対象に対する反応ゾーンを含み、反応媒体の表面が乾燥しており、検査対象の指を穿刺して対象の指先上に血液を塗抹するのに十分な量の血液を生成し、塗抹された血液を即座に(乾燥する前に)反応媒体に約15秒間当てる点である。指を持ち上げて離した後、反応媒体を乾燥させ(通常約1〜2分)、清浄用溶液で処理して赤血球を除去し、清浄用試薬の希釈溶液で処理することによって、反応媒体から赤い血液の色を除去する。赤い血液の色を除去した後、反応媒体を二次抗体と結合されたコロイド金の複合体(各複合体は、指定された分析対象のうちの1つに特異的に結合している)の希釈溶液で処理する。約2分間の培養後、コントロールゾーンのリガンド受容体に対して特異的なリガンドに結合されたコロイド金約10マイクロリットルで、血液の塗布に使用していない指先を被覆する。指先の除去後、中央コントロールゾーンは、血液試料を提供した人物の指跡を含み、反応ゾーンは、着色され、分析対象に対する陰性の検査結果を示す。
【0064】
実施例13:投与された薬物の検査
実施例1の手順に従って、5つの反応ゾーンを含むアッセイ装置を準備する。実施例3と同様に、反応ゾーンは、分析対象としてのコカイン、PCP、アンフェタミン/メタンフェタミン、テトラヒドロカンナビノール、およびアルコールでそれぞれ被覆されたポリスチレンラテックスを含有する。しかし本例では、1つのゾーンはいかなる吸着された分析対象または抗体も含有せず、参照コントロールゾーン、つまり検査の終結時に完全に白
色のままとなるゾーンとしての役割を果たす。中央コントロールゾーン(「アイデンティティコントロールゾーン」)が、膜に埋め込まれた、ヤギ抗ウサギイムノグロブリンGで被覆されたポリスチレン粒子を含有すること以外は、実施例1と同様に準備する。
【0065】
反応媒体を溶液A500マイクロリットルで処理することによって、反応媒体を湿潤させる。血中の5つの分析対象の有無を検査する検査対象から、血液試料を採取する。試料の一部で検査対象の指先を塗布し、5つの反応ゾーンと参照コントロールゾーンに当てる。反応媒体への圧力を約10〜15秒間維持する。
【0066】
次に、数滴(例えば、約500マイクロリットルアリコート)の希釈家庭用洗剤溶液を反応媒体に添加し、排出させる。家庭用洗剤による処理は、反応媒体に存在するあらゆる赤血球を溶解し、媒体から血液による暗赤色を洗い流す。次に、1.0% BSA、0.05% TWEEN−20、および0.05% アジドを含有するTRIS緩衝液にコロイド金結合マウス抗−分析対象イムノグロブリンGを加えた混合物の希釈溶液約10mlで、5つの反応ゾーンと参照コントロールゾーンを処理する。
【0067】
次に、血液試料を提供した人物の指に、1.0% BSA、0.05% TWEEN−20、および0.05% アジドを含有するTRIS緩衝液にコロイド金結合ウサギ抗−ヤギイムノグロブリンGを加えた希釈溶液15マイクロリットルを塗布する。反応媒体のアイデンティティコントロールゾーンに指を軽く押し付け、3秒間同じ場所に維持する。指を慎重に持ち上げて反応媒体から離した後、媒体を15秒間培養し、その後反応媒体に新たな400マイクロリットルアリコートの溶液Aを添加する。本手順の完了後、反応ゾーンは着色され、分析対象に対する陰性の検査結果を示す。参照コントロールゾーンは、完全に白色で、アイデンティティコントロールゾーンは、血液試料を提供する人物の指跡を含む。

【0068】
本発明は、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者には、多数の代替物、修正物、および変形物が明らかとなるであろう。従って、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態は、例示を目的とし、制限するものではない。本願に記載される本発明の真の精神と全ての範囲から逸脱することなく、種々の変更を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の正面図を表している。
【図2】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の上面図を表している。
【図3】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の背面図を表している。
【図4】本発明の実施形態による、体液収集器の2つの斜視図を表している。
【図5】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の正面図を表している。
【図6】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の正面図を表している。
【図7】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の正面断面図を表している。
【図8】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の背面図を表している。
【図9】本発明の実施形態による、体液収集および薬物検査装置の背面図を表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液試料を収集するための体液収集器と、
該体液収集器を収容するための開口端を有する収集チャンバと、該収集チャンバと流体連通する、少なくとも1つの検査薬物の有無を示すための少なくとも1つの膜検査ストリップと、前記収集チャンバと流体連通する、イムノアッセイに基づく指紋採取パッドとを有する前記体液試料を検査および保持するための筐体と、
を備える、体液収集および薬物検査装置。
【請求項2】
前記筐体は、検査カートリッジを前記装置内に収容および固定するための、前記収集チャンバと流体連通する部分を有する検査カートリッジチャンバを有し、該検査カートリッジは、前記少なくとも1つの膜検査ストリップを有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記体液収集器は、
中央シャフトの遠位端に位置し、第1の円周封止材を有する第1のディスクと、
前記第1のディスクの上面に付設されたハンドルと、
前記中央シャフトの近位端に位置し、第2の円周封止材を有する第2のディスクと、
前記第2のディスクの下面に付設された、前記体液試料を吸収するためのスポンジとを有する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記収集チャンバの内面は、前記体液収集器が前記収集チャンバ内に挿入された後、前記体液収集器を前記収集チャンバ内に固定するための、前記開口端に隣接した上部環状突起を有する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記体液収集器は、前記体液収集器が前記収集チャンバ内に挿入された後、前記環状突起と協働し、前記体液収集器を前記収集チャンバ内に固定するための、前記第1のディスクの前記上面に付設された複数の突起を有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ハンドルは、前記第1のディスクの前記上面に着脱可能に付設される請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記イムノアッセイに基づく指紋採取パッドは、
既定のリガンド/受容体結合対の一要素を有する、前記体液試料提供者を同定するためのコントロール試薬を備える少なくとも1つのコントロールゾーンと、
既定のリガンド/受容体結合対の一要素を有する、前記体液試料中の特定の検査薬物の存在を測定するための反応試薬をそれぞれが有する複数の反応ゾーンと、
を備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記イムノアッセイに基づく指紋採取パッドは、前記筐体に付設された係止可能なカバーに包囲される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記体液収集器スポンジは、唾液生成物質で含浸される請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記唾液生成物質は、クエン酸と塩化ナトリウムとを含む請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの膜検査ストリップは、
前記膜検査ストリップの近位端に配置され、前記少なくとも1つの検査薬物のそれぞれに特異的なマウスモノクローナル抗体で被覆されたコロイド金粒子を有する染色領域と、
前記膜ストリップの遠位端に配置され、金−タンパク質複合体に対するヤギポリクロー
ナル抗体を有するコントロール領域と、
前記染色領域と前記コントロール領域との間に配置され、前記少なくとも1つの検査薬物のそれぞれに特異的な薬物−タンパク質複合体を有する検査領域と、
を備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントロール領域は、前記体液収集器から収容した体液の第1の容量が既定の閾値を上回り、適切な膜浸出が行なわれている場合に、可視的指標を表示する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記既定の閾値は200マイクロリットルである請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記検査領域は、前記体液試料中の前記膜検査薬物の濃度が既定の閾値を下回る場合に可視的指標を表示する請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの膜検査ストリップは、前記体液試料中のアンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン代謝物、アヘン剤、THC−COOH、およびフェンシクリジンを含む特定の検査薬物の有無を同定する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記特定の検査薬物の不在は、前記膜ストリップ上の可視的指標の存在によって示される請求項15に記載の装置。
【請求項17】
検査薬物の存在は、前記膜ストリップ上の可視的指標の不在によって示される請求項15に記載の装置。
【請求項18】
中央シャフトの遠位端に位置し、第1の円周封止材を有する第1のディスクと、前記第1のディスクの上面に付設されたハンドルと、前記中央シャフトの近位端に位置し、第2の円周封止材を有する第2のディスクと、前記第2のディスクの下面に付設された、前記体液試料を吸収するためのスポンジとを有する体液試料を収集するための体液収集器と、
前記体液収集器を収容するための開口端を有する収集チャンバと、該収集チャンバと流体連通する、少なくとも1つの膜検査ストリップと、イムノアッセイに基づく指紋採取パッドと、
を有する筐体と、
を備える体液収集および検査装置。
【請求項19】
前記収集チャンバの下部を前記収集チャンバの中央部に連結する流体通路をさらに備える請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のディスクと第2のディスクとの間の領域は、前記体液収集器が前記収集チャンバ内に固定されたときに、前記収集チャンバの前記中央部内に確認チャンバを形成する請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記筐体の外壁に配置され、前記確認チャンバに連結される封止可能な開口部をさらに備える請求項20に記載の装置。
【請求項22】
体液試料を収集するための体液収集器と
前記体液収集器を収容するための開口端を有する収集チャンバと、前記収集チャンバと流体連通する、少なくとも1つの膜検査ストリップと、インクを用いない指紋採取パッドとを有する筐体と、
を備える体液収集および検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−532675(P2009−532675A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503037(P2009−503037)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/007956
【国際公開番号】WO2007/123713
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508293896)ラミナ・エクイテイーズ・コーポレーシヨン (1)
【Fターム(参考)】