説明

絶縁ガラスユニット用のポリウレタン系シーラント

絶縁ガラスユニットは、天然油系ポリオール(NOBP)を使用して製造されるポリウレタンでシールされる。一実施形態において、NOBPは、高レベルのモノヒドロキシ官能性脂肪酸メチルエステルを含有するモノオール豊富モノマーを使用して製造される。これらの化合物をベースとする絶縁ガラスシーラントは、従来の製品と比較してUV及び酸化分解に対する向上した耐性を提供し、同時に、必要とされるバリヤー性及び機械的性質を依然として提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁用ガラスに関する。一態様において、本発明は、ポリウレタン系シーラントでシールされた絶縁用ガラスに関し、別の態様において、本発明は、ポリウレタンが天然油系ポリオール(NOBP)を使用して製造されるそのようなシーラントに関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁用(又は絶縁)ガラス(IG)ユニットは、スペーサーバーにより離間して保持された2枚の平行したガラス板を含む。ガラス板の間に形成された空隙には、熱及び音の伝達の低減を助けるために不活性ガスが充填されている。典型的には、2つの異なるタイプのシーラントを使用して、ガラスをスペーサーバーに接合する。最内部又は一次シーラントは、スペーサーバーをガラス板に接合し、空隙からの不活性ガスの漏れ又は退出に対するバリヤーとして、同時に空隙への水蒸気の進入又は侵入に対するバリヤーとしての役割を果たす。熱可塑性ポリイソブチレンは、最も一般的な一次シーラントである。しかし、この材料は機械的強度を欠いており、最外部又は二次シーラントよりも比較的小さい接着力を示す。このように、二次シーラントの1つの機能は、ユニットに機械的強度を提供すること及びユニットが曝露される自然の熱サイクルの際に一次シーラントの破裂を防止することである。
【0003】
この良好な機械的性質のために、ポリウレタン、特に疎水性ポリブタジエン系ポリオールをベースとするポリウレタンが、二次シーラントとして慣用的に使用される。しかし、そのようなポリウレタンは、良好なUV安定性及びガス保持性を欠いている。また、これらの系の強い臭気の一因である。これらの適用においてポリウレタンの機械的性質を著しく減少することなく、これらの欠点を競争力のある価格で排除又は低減することが、積極的な研究のテーマである。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、本発明は、絶縁ガラスユニット用のポリウレタン系シーラントであり、ポリウレタンは、モノオール(monol)豊富モノマー、すなわち高レベルのモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステル、典型的にはメチルエステルを含有する天然油からのモノマーを使用して製造されるNOBPを使用して製造される。一実施形態において、高レベルのモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルは、天然油に自然に存在し、一方、別の実施形態において、高レベルのモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルは、天然油を濃縮又は精製過程、例えば蒸留に供した結果である。一実施形態において、天然油はダイズに由来する。
【0005】
一実施形態において、本発明は、NOBPモノオール豊富モノマーを使用して製造されたポリウレタンを含むシーラント組成物を含むIGユニットである。これらの化合物をベースとする絶縁ガラスシーラントは、従来の製品と比較してUV及び酸化分解に対する向上した耐性を提供し、同時に、必要とされるバリヤー及び機械的性質を依然として提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタンのDMTAプロットである。
【図1B】実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンのDMTAプロットである。
【図2A】水曝露前後の比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタン及び実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンの伸び率パーセントを報告する棒グラフである。
【図2B】水曝露前後の比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタン及び実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンの引っ張り強さをpsiで報告する棒グラフである。
【図3】比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタン及び実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンのフィルムプラックの機械的性質に対する耐候効果を報告する棒グラフである。
【図4A】比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタン及び実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンのフィルムプラックのMVTRを報告する棒グラフである。
【図4B】比較例Aのポリブタジエン系ポリウレタン及び実施例4のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンのフィルムプラックのOTRを報告する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に異なる記述がない、内容から示唆されない又は当技術分野において慣用ではない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づいており、全ての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものである。米国の特許実務の目的において、いかなる参照特許、特許出願又は公報の内容も、特に、合成技術、定義(本開示において特に提供されているいかなる定義とも不一致ではない程度)の開示及び当技術分野における一般的知識に関して、その全体が参照として組み込まれている(又はその同等の米国版が参照としてそのように組み込まれている)。
【0008】
本開示の数値範囲は近似値であり、したがって、別途に示されない限り、範囲外の値を含むことができる。数値範囲は、任意の低い値と任意の高い値との間に少なくとも2単位の分離があることを条件として、1単位ずつ増加する低い値から高い値までの、低い値及び高い値を含む全ての値を含む。例として、例えば分子量、粘度などの組成的性質、物理的性質又は他の性質が100〜1,000である場合、100、101、102などの全ての個別の値及び例えば100〜144、155〜170、197〜200などの部分範囲は明確に列挙されていることが意図される。1未満である値又は1を超える分数(例えば、1.1、1.5など)を含有する値を含有する範囲では、1単位は、適切であれば0.0001、0.001、0.01又は0.1であることが考慮される。10未満(例えば、1〜5)の一桁の数を含有する範囲では、1単位は典型的には0.1であると考慮される。これらは、何が特に意図されるかの例にすぎず、列挙されている最低値と最高値との間の数値の可能な組合せは、全て、本開示に明確に記述されていると考慮されるべきである。数値範囲は、とりわけシーラント組成物の成分の相対量についての本開示の範囲内で提供される。
【0009】
「組成物」、「配合物」及び同様の用語は、2種以上の成分の混合物又はブレンドを意味する。モノオール豊富モノマーの文脈において、組成物は、モノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステル及び天然油に自然に見出される他の成分を含む。IGシーラントが調製される材料のミックス又はブレンドの文脈において、組成物は、ミックスの全ての成分、例えばポリウレタン及びあらゆる任意選択の成分、例えば酸化防止剤、UV安定剤、レオロジー調節剤、充填剤、任意選択のポリマーなどを含む。
【0010】
「モノオール豊富モノマー」及び同様の用語は、例えば式Iのものであるがこれに限定されないモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルを少なくとも50重量パーセント(重量%)、典型的には少なくとも75重量%、より典型的には少なくとも85重量%含む組成物を意味する:
【0011】
【化1】

式Iの炭素主鎖の長さは変わることができ、例えばC12〜C20であるが、典型的にはC18であり、その長さに沿ったヒドロキシメチル基の配置も変わることができる。本発明の実施に使用されるモノオール豊富モノマーは、炭素主鎖の長さ及び多様な炭素主鎖の長さに沿ったヒドロキシ基の配置の両方が異なるモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルの混合物を含むことができる。モノマーは、また、メチル以外のアルキルエステル、例えばC〜Cアルキルエステルでありうる。組成物の他の成分には、ポリ(例えば、ジ−、トリ−、テトラ−など)ヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
「モノオール豊富モノマーNOBP」、「モノオール豊富モノマーを使用して製造されたNOBP」及び同様の用語は、モノオール豊富モノマーを使用して製造されたNOBPを意味する。
【0013】
「モノオール豊富モノマーNOBPポリウレタン」及び同様の用語は、モノオール豊富モノマーNOBPを使用して製造されたポリウレタンを意味する。
【0014】
天然油系ポリオール
天然油系ポリオール(NOBP)は、天然及び/若しくは遺伝子組換え植物の植物種子油、並びに/又は動物性脂肪などの再生可能原料供給源に基づいた又はこれらに由来するポリオールである。そのような油及び/又は脂肪は、一般に、トリグリセリドから、すなわちグリセロールにより互いに結合している脂肪酸から構成される。好ましいものは、トリグリセリドに少なくとも約70パーセントの不飽和脂肪酸を有する植物油である。好ましくは、天然生成物は少なくとも85重量パーセントの不飽和脂肪酸を含有する。好ましい植物油の例には、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油、ピーナッツ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、綿実油、カノーラ油、ベニバナ油、アマニ油、パーム油、ブドウ種油、ブラックカラウェー(black caraway)油、カボチャ種(pumpkin kernel)油、ルリジサ種油、木胚芽(wood germ)油、杏仁油、ピスタチオ油、アーモンド油、マカデミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン(sea buckthorn)油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、マツヨイグサ油、野バラ油、アザミ油、クルミ油、ヒマワリ油、ジャトロファ(jatropha)種油又はこれらの油の2種以上の組合せからのものが含まれるが、これらに限定されない。動物性食品の例には、ラード、牛脂、魚油及びこれらの生成物の2種以上の混合物が含まれる。加えて、藻類などの生物から得られた油を使用することもできる。植物、藻類及び動物性の油/脂肪の組合せを使用することもできる。
【0015】
改質された天然油由来ポリオールは、動物性又は植物性の油/脂肪をエステル交換に供し、構成脂肪酸を回収する、多段法により得ることができる。この工程の後に、構成脂肪酸の炭素−炭素二重結合をヒドロホルミル化して、ヒドロキシメチル基を形成することが続く。適切なヒドロホルミル化方法は、例えばUSP4,731,486及び4,633,021、並びに米国特許出願第2006/0193802号に記載されている。ヒドロキシメチル化脂肪酸は、天然油系ポリオールの構成単位の1つを形成する「モノマー」である。モノマーは、ヒドロキシメチル化オレイン酸若しくはそのメチルエステル、ヒドロキシメチル化リノール酸若しくはそのメチルエステル、ヒドロキシメチル化リノレイン酸若しくはそのメチルエステル、α−及びγ−リノレイン酸若しくはそのメチルエステル、ミリストレイン酸若しくはそのメチルエステル、パルミトレイン酸若しくはそのメチルエステル、オレイン酸若しくはそのメチルエステル、バクセン酸若しくはそのメチルエステル、ペトロセリン酸若しくはそのメチルエステル、ガドレイン酸若しくはそのメチルエステル、エルカ酸若しくはそのメチルエステル、ネルボン酸若しくはそのメチルエステル、ステアリドン酸若しくはそのメチルエステル、アラキドン酸若しくはそのメチルエステル、ティムノドン酸若しくはそのメチルエステル、イワシ酸若しくはそのメチルエステル、セルボン酸若しくはそのメチルエステル又はヒドロキシメチル化リシノール酸若しくはそのメチルエステルなどの単一種類のヒドロキシメチル化脂肪酸及び/又はヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステルでありうる。一実施形態において、モノマーはヒドロホルミル化メチルオレエートである。或いは、モノマーは、動物又は植物の油/脂肪のエステル交換過程から回収された脂肪酸の混合物をヒドロホルミル化した生成物でありうる。一実施形態において、モノマーは、水素化ダイズ脂肪酸である。別の実施形態において、モノマーは、水素化トウゴマ(castor bean)脂肪酸である。別の実施形態において、モノマーは、選択されたヒドロキシメチル化脂肪酸又はそのメチルエステルの混合物でありうる。
【0016】
一実施形態において、NOBPはモノオール豊富モノマーNOBPである。モノオール豊富モノマーの供給源は、広範囲に変わることができ、例えば、WO2009/009271として公開された出願番号PCT/US08/67585で2008年6月20日に出願されているGeorge Frycek、Shawn Feist、Zenon Lysenko、Bruce Pynnonen及びTim Frankによる同時係属出願「PURIFICATION OF HYDROFORMYLATED AND HYDROGENATED FATTY ALKYL ESTER COMPOSITIONS」に開示されているように、高オレイン原料又は低オレイン原料、例えばダイズなどの天然種油の蒸留物が含まれるが、これらに限定されない。モノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルが豊富ではないモノマーを使用して製造されたNOBPの使用は、機械的性質の低下をもたらしうる高度に架橋された系をもたらす。シーラント組成物は、高い伸び率を有するポリマーを必要とし、したがってモノオール豊富モノマーNOBPを優先する必要がある。式(I)のものなどの一官能価モノマーを使用して、ポリオールを合成する。
【0017】
モノオール豊富モノマーNOBPは、脂肪アルキルエステル又は酸を最初にヒドロホルミル化及び水素化し、続いて精製してモノオール豊富モノマーを得ることにより得ることができる。或いは、脂肪アルキルエステル又は酸を、最初に精製して一不飽和豊富モノマーを得、次にヒドロホルミル化及び水素化することができる。
【0018】
一実施形態において、NOBPは、WO2009/058367及びWO2009/058368に記載されているように、天然油脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルのエポキシ化及び開環を使用して得られるモノマーから製造される。
【0019】
ポリオールは、モノマーを適切な開始剤化合物と反応させてポリエステル又はポリエーテル/ポリエステルポリオールを形成することにより形成される。そのような多段法は、当技術分野において一般に知られており、例えばPCT公報WO2004/096882及びWO2004/096883に記載されている。多段法は、疎水性部分及び親水性部分の両方を有するポリオールの生成をもたらすことができ、これは、水及び従来の石油系ポリオールのいずれとも向上した混和性をもたらす。
【0020】
天然油由来ポリオールを生成する多段法に使用される開始剤は、従来の石油系ポリオールの生成に使用される任意の開始剤でありうる。好ましくは、開始剤は、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリトリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアミノアルコール;1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールなどのアルカンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシ−メチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;ジメロールアルコール(Henkel Corporationから入手可能な36炭素ジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール及びこれらの組合せからなる群より選択される。好ましくは、開始剤は、グリセロール;エチレングリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;エチレンジアミン;ペンタエリトリトール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレントリアミン;ソルビトール;スクロース;又は存在するアルコール若しくはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシド若しくはこれらの混合物と反応している前述のいずれか及びこれらの組合せからなる群より選択される。好ましくは、開始剤は、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スクロース、ソルビトール及び/又はこれらの混合物である。他の開始剤には、アミンを含有する他の線状及び環状化合物が含まれる。ポリアミン開始剤の例には、エチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、1,6−ジアミノヘキサン;ビスアミノメチルトリシクロデカン;ビスアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;トリエチレンテトラミン トルエンジアミンの多様な異性体;ジフェニルメタンジアミン;N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチル−ジプロピルアミン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン及びアミノプロピル−イミダゾールが含まれる。
【0021】
一実施形態において、開始剤を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエチレンと少なくとも1種の他のアルキレンオキシドとの混合物でアルコキシル化して、200から6000の間、好ましくは500から5000の間の分子量のアルコキシル化開始剤を得る。一実施形態において、開始剤は550の分子量を有し、別の実施形態において、分子量は625であり、なお別の実施形態において、開始剤は4600の分子量を有する。
【0022】
一実施形態において、少なくとも1種の開始剤は、少なくとも400の当量又は活性水素基1つあたり平均少なくとも9.5個のエーテル基を有するポリエーテル開始剤であり、そのような開始剤は、WO2009/117630に記載されている。
【0023】
ポリエーテル開始剤のエーテル基は、ポリ(プロピレンオキシド)又はポリ(エチレンオキシド)又はこれらの組合せなどのポリ(アルキレンオキシド)鎖において存在しうる。一実施形態において、エーテル基は、ポリ(エチレンオキシド)でキャップされたポリ(プロピレンオキシド)のジブロック構造において存在しうる。
【0024】
一実施形態において、NOBPは、少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造で隔てられている又は少なくとも約480の当量を有するポリエーテル分子構造で隔てられている少なくとも2つの天然油部分を含むポリオールである。
【0025】
一実施形態において、NOBPは、活性水素基1つあたり400から3000の間の平均当量を有するアルコキシル化開始剤又はアルコキシル化開始剤の組合せにより製造される。平均当量は、活性水素基1つあたり、下限の400、450、480、500、550、600、650、700、800、900、1000、1200又は1300から上限の1500、1750、2000、2250、2500、2750又は3000でありうる。
【0026】
したがって、この実施形態では、天然油系モノマーの少なくとも2種は、1250ダルトンから6000ダルトンの間の平均分子量を有する分子構造で隔てられている。平均分子量は、下限の1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750又は3000ダルトンから上限の3000、3500、4000、4500、5000、5500又は6000ダルトンでありうる。
【0027】
ポリエーテル開始剤を形成するためには、活性水素基を、当技術分野における技能の範囲内の手段によって、少なくとも1種のアルキレンオキシド、そのようなエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシド又はこれらの組合せ;或いはプロピレンオキシドのブロック、続いてエチレンオキシドのブロックと反応させて、ポリエーテルポリオールを形成することができる。ポリエーテル開始剤を、少なくとも1種の天然油系モノマーとの反応の開始剤として使用することができる。或いは、開始剤を当技術分野における技能の範囲内の手段によって反応させて、1つ又は複数のヒドロキシル基を代替的な活性水素基に変換し、例えばプロピレンオキシドである。
【0028】
したがって、一実施形態において、天然油系ポリオールは、少なくとも19個のエーテル基を有する又は少なくとも400の当量を有する、好ましくは両方を有する分子構造で隔てられている少なくとも2つの天然油部分を含むことができる。ポリエーテル開始剤が、天然油又はその誘導体と反応性がある2つを超える活性水素基を有する場合、それぞれの天然油部分は、平均少なくとも19個のエーテル基により又は少なくとも400の分子量の構造により、好ましくは両方により互いに隔てられている。
【0029】
得られる天然油系ポリオールの官能価は、1.5を超え、一般に6以下である。一実施形態において、官能価は4未満である。天然油系ポリオールのヒドロキシル価は、300mg/kOH/g未満、好ましくは20から300の間、好ましくは20から200の間でありうる。一実施形態において、ヒドロキシル価は100未満である。
【0030】
ポリイソシアネート
多数のポリイソシアネートのうち、有利には、ジイソシアネートを使用して、NOBPポリウレタンを製造することができる。一実施形態において、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(「PMDI」)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、液体カルボジイミド改質MDI及びその多様な誘導体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、特に2,6−TDI異性体、並びに当技術分野において十分に確立されている他の多様な脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートのうちの少なくとも1種である。
【0031】
シーラント組成物
NOBPを使用して、ポリウレタンシーラント組成物系を合成する。2成分ポリウレタン系は、ポリイソシアネート及び/又はイソシアネート末端プレポリマーの第1成分を、典型的には10,000未満の分子量を有する低分子量ポリオール及び/又はウレタン改質ポリオールの第2成分と共に含み、適用直前に混合され、硬化される基材に適用される。
【0032】
典型的には、本発明のシーラント組成物は、少なくとも20、より典型的には少なくとも25、更により典型的には少なくとも30重量%のモノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンを含む。また本発明のシーラント組成物は、典型的には、可塑剤、充填剤、顔料、酸化防止剤、レオロジー調節剤、硬化触媒、UV安定剤、接着促進剤、硬化促進剤、水分捕捉剤、染料、界面活性剤、溶媒及び殺生剤の少なくとも1つを含む。
【0033】
充填剤の代表例には、ステアリン酸又はステアリン酸エステルなどの化合物で処理された沈降及びコロイド炭酸カルシウム;フュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、並びに疎水化シリカ及びシリカゲルなどの強化シリカ;破砕及び粉砕石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、雲母、タルクなどの1つ又は複数が含まれるが、これらに限定されない。充填剤は、存在する場合、シーラント組成物の典型的には20〜80重量%、より典型的には30〜70重量%、更により典型的には40〜60重量%を含む。
【0034】
シーラント組成物は、存在する場合、典型的には0.1〜約10重量%のシランなどのガラス接着促進剤を含み、例えばアミノプロピル−トリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン又はグリシドキシプロピルトリメトキシシランである。シーラント組成物は、存在する場合、典型的には1〜30重量%、より典型的には2〜25重量%、更により典型的には3〜20重量%の、例えばアルキルベンジルフタレート(例えば、アルキルはオクチルである)、塩素化パラフィン、種油又は種油誘導体などの可塑剤を含む。
【0035】
シーラント組成物は、接着促進剤として1種又は複数のアルコキシシランを含むこともできる。有用な接着促進剤には、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−ガンマ−トリメトキシシリプロピル)アミン、N−フェニル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン及びガンマ−アミノプロピル−メチルジエトキシシランが含まれる。シーラント組成物は、存在する場合、典型的には0.1〜10重量%、より典型的には0.5〜8重量%、更により典型的には1〜6重量%の接着促進剤を含む。
【0036】
シーラント組成物は、1種又は複数の界面活性剤、典型的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、シリコーンとポリエーテルとのコポリマー、シリコーンとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとのコポリマーなどの非イオン性界面活性剤を含むこともできる。シーラント組成物は、存在する場合、典型的には0.1〜10重量%、より典型的には0.5〜8重量%、更により典型的には1〜6重量%の界面活性剤を含む。
【0037】
シーラント組成物は、少なくとも1種の連鎖延長剤を含むこともできる。本発明の実施形態の目的において、連鎖延長剤は、分子1つあたり2つのイソシアネート反応性基を有し、且つイソシアネート反応性基1つあたりの当量が400未満、好ましくは300未満、特に31〜125ダルトンである材料である。適切な連鎖延長剤の代表例には、多価アルコール、ポリオキシアルキレンジアミンを含む脂肪族ジアミン及びこれらの混合物が含まれる。イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル、第一級脂肪族アミン又は第二級脂肪族アミン基である。連鎖延長剤は、脂肪族又は脂環式であってもよく、トリオール、テトラオール、ジアミン、トリアミン、アミノアルコールなどにより例示される。代表的な連鎖延長剤には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−若しくは1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−及び2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリプロピレングリコール、2−エチルヘキサンジオール、エチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソ−プロピルアミン、4−アミノシクロヘキサノール、1,2−ジアミノテアン(1,2-diaminotheane)、1,3−ジアミノプロパン、ヘキシルメチレンジアミン、メチレンビス(アミノシクロヘキサン)、イソホロンジアミン、1,3−若しくは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジエチレントリアミン、並びにこれらの混合物又はブレンドが含まれる。連鎖延長剤を、ポリオール成分の100重量部あたり0.5〜20重量部、特に1〜10重量部の量で使用することができる。
【0038】
上記のポリオールに加えて、ポリオール組成物は、防腐剤及び酸化防止剤などの他の成分を含むこともできる。
【0039】
本発明の1成分シーラント組成物及び2成分シーラント組成物に典型的に使用される触媒には、ポリウレタン生成を促進するのに有用であることが知られているものが含まれる。触媒には、金属及び非金属触媒が含まれる。本発明に有用な金属触媒の金属部分の例には、スズ、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマス及び亜鉛化合物が含まれる。一実施形態において、シーラント組成物の架橋を促進するのに有用なスズ化合物には、スズ化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトエート、イソブチルスズトリセロエート、ジブチルスズオキシド、可溶化ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビス−ジイソオクチルフタレート、ビス−トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビス−アセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリス−ウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジ−ネオデカノエート、トリエチルスズタルタレート、ジブチルスズジベンゾエート、スズオレエート、スズナフテネート、ブチルスズトリ−2−エチルヘキシルヘキソエート及びスズブチレートなどが含まれる。
【0040】
本発明のシーラント組成物は、少なくとも1種の他のポリマー、例えばポリエチレン、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE);ポリプロピレン(PP);ポリイソブチレン(PIB); ポリ酢酸ビニル(PVAc);ポリビニルアルコール(PVOH);ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びグリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)などのポリエステル;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリフッ化ビニリデン;アクリロニトリル;ブタジエンスチレン(ABS);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリアミド(ナイロン)、ポリメチルペンテン;ポリイミド(PI); ポリエーテルイミド(PEI);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;エチレンクロロトリフルオロエチレン;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);酢酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;イオノマー(例えば、Surtyn(商標));ポリフェニレンスルフィド(PPS); スチレン−無水マレイン酸;改質ポリフェニレンオキシド(PPO)などを含むことができる。任意選択のポリマー(1種又は複数)は、エラストマーの性質であることができ、その例には、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、ポリメチルフェニルシロキサン(PMPS)などが含まれるが、これらに限定されない。これらの任意選択のポリマーを、単独で若しくは組み合わせてブレンドすることができる又はコポリマーの形態で使用することができ、例えば、ポリカーボネート−ABSブレンド、ポリカーボネートポリエステルブレンド、グラフトポリマー、例えばシラングラフトポリエチレンなどである。存在する場合、任意選択のポリマーは、典型的にはLDPE、VLDPE、LLDPE及びHDPEのうちの少なくとも1種である。存在する場合、任意選択のポリマーは、典型的にはシーラント組成物の0.1〜50重量%、より典型的には1〜40重量%を含む。
【0041】
本発明のシーラント組成物を、当技術分野において周知の手順、例えば溶融ブレンド、押出ブレンド、溶液ブレンド、乾式混合などにより水分の存在下又は不在下で調製して、実質的に均質な混合物をもたらす。本発明のシーラント組成物は、IGユニット用の既知のシーラントと同じ様式で使用される。
【0042】
絶縁ガラスユニット
絶縁ガラス(IG)ユニットはよく知られており、WO2009/060199の図1aが例示的である。IGユニットは、既知で従来の構造のものであり、1又は複数のスペースバーにより平行に離間された関係で維持された、したがって窓ガラスの間に空隙を形成する2枚の窓ガラスを含む。一次ガスシーラントが、空隙に隣接してそれぞれのスペースバーとそれぞれの窓ガラスとの間に存在する。二次ガスシーラントが、空隙に隣接していないでそれぞれの窓ガラスとそれぞれのスペースバーとの間に存在する。本発明のシーラント組成物は一次及び二次ガスシーラントのいずれか又は両方でありうるが、典型的には二次シーラントである。窓ガラスの間の空隙は、絶縁ガス(1種又は複数)、例えば空気、二酸化炭素、六フッ化硫黄、窒素、アルゴン、クリプトン、キセノンなどで充填されている。ガラス押し縁が、典型的には、窓ガラスと窓枠との間に位置している。窓ガラスは、多様な材料、例えばガラス、例えば透明フロートガラス、焼き鈍しガラス、強化ガラス、ソーラーガラス、ティンテッドガラス及び低エネルギーガラス;アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂などのいずれかから作ることができる。
【0043】
本発明の硬化シーラント組成物は、既知の従来のガスシーラントと比べて改善されたガスバリヤー特性及び水分漏出特性をもたらす。その結果、本発明の硬化シーラント組成物は、全ての建築様式における絶縁ガラスユニットに長期使用性能をもたらす。
【0044】
本発明のシーラント組成物は一次ガスシーラントとして役割を果たすことができるが、典型的には、一次ガスシーラントは、ゴム系材料、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリスルフィド、EPDMゴム、ニトリルゴムなどが含まれるが、これらに限定されない一次シーラントとして役割を果たすのに有用であることが当技術分野において知られている多数のポリマー材料のいずれか1種を含む。他の有用な材料には、ポリイソブチレン/ポリイソプレンコポリマー、ポリイソブチレンポリマー、臭素化オレフィンポリマー、ポリイソブチレンとパラ−メチルスチレンとのコポリマー、ポリイソブチレンと臭素化パラ−メチルスチレンとのコポリマー、イソブチレンとイソプレンとのブチルゴムコポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリウレタンポリマー、スチレンブタジエンポリマーなどが含まれる。加えて、本発明のシーラント組成物を一次ガスシーラントとして使用することができる。
【0045】
一次ガスシーラント部材は、非常に良好な封止性を有するポリイソブチレンなどの材料から作ることができる。ガラス押し縁は、時々、ガラス敷きパテ(glazing bedding)と呼ばれることがあるシーラントであり、シリコーン又はブチルゴムの形態で提供することができる。乾燥剤を連続スペーサーに含めて、窓ガラスの間の絶縁ガス占有空隙又は空間から水分を除去することができる。有用な乾燥剤は、絶縁ガラスユニットの内部に充填する絶縁ガス(単数/複数)を吸着しないものである。
【0046】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態の例示である。全ての部及びパーセンテージは、別途に指示のある場合を除いて重量に基づいている。
【実施例】
【0047】
実施例1
NOBP−A(82.5g、ダイズ油系ポリオール)を、WO2009/117630の実施例7に従って調製する。モノマー対開始剤のモル比は6:1である。NOBP−Aは、27のヒドロキシル価を有し、1,4−ブタンジオール(2.1g)及び100ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートとブレンドする。この混合物に、ISONATE 143L(12.8g、The Dow Chemical Companyから入手可能なポリカルボジイミド改質ジフェニルメタンジイソシアネート)を加え、激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、216psiの引っ張り強さ及び322%の極限伸び率を有する。
【0048】
実施例2
NOBP−A(82.5g)を、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(3.0g)及び100ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートとブレンドする。この混合物に、ISONATE 143L(11.9g)を加え、激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、2103psiの引っ張り強さ及び367%の極限伸び率を有する。
【0049】
実施例3
NOBP−Bは、モノオール豊富天然油モノマー(1351.76g)を1,4−シクロヘキサンジメタノール(48.02g)と組み合わせることにより製造する。モノオール豊富天然油モノマーは、脂肪酸1つあたり平均1.0個のヒドロキシルを有し、約1重量パーセント(重量%)の飽和モノマー、約93重量%のモノヒドロキシモノマー、約3重量%のジヒドロキシルモノマー及び約1重量%の環状エーテルの分布を生じる分別脂肪酸に由来する。モノマー分布は、WO2009/009271として公開された同時係属出願に開示されている方法を使用して得られる。混合物を、三口フラスコ中で撹拌及び窒素ストリッピングしながら70℃から90℃の間で30分間加熱保持する。次に第一スズオクトエート(0.88g)を混合物に加え、温度を195℃に増加する。混合物を窒素ストリッピングしながら反応温度195℃で6時間撹拌し、次に室温に冷却する。次に得られたNOBP−Bポリオールを、反応器底部ドレイン弁を介して空気中に計量分配して、HDPEプラスチック容器に保存する。
【0050】
実施例4
NOBP−B(82.5g)を、1,4−ブタンジオール(2.5g)及び100ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートとブレンドする。この混合物に、ISONATE 143L(15.1g)を加え、激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、362psiの引っ張り強さ及び308%の極限伸び率を有する。
【0051】
実施例5
NOBP−B(10g)を、1,4−ブタンジオール(0.3g)、Palatinol N(3.0g、BASFから入手可能)、Super−Pflex 200(8.5g、Minerals Technologies Incorporatedから入手可能)、Ultra−Pflex(4.0g、Minerals Technologies Incorporatedから入手可能)、Cab−O−Sil TS−720フュームドシリカ(0.3g、Cabot Corp.から入手可能)及び100ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートとブレンドする。ISONATE 143L(1.8g)を加え、激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、386psiの引っ張り強さ及び427%の極限伸び率を有する。
【0052】
実施例6
均質なプラック又はフィルムを、実施例5のとおりであるが、連鎖延長剤として1,4−ブタンジオール(0.3g)の代わりに2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(0.3g)を用いて製造する。この得られたフィルムは、354psiの引っ張り強さ及び574%の極限伸び率を有する。
【0053】
実施例7
ISONATE 143L(64.5グラム)をNOBP−B(35.5g)に加え、混合物を窒素下、撹拌しながら75℃で3時間加熱して、プレポリマーを形成する。得られたプレポリマーの測定したNCOパーセントは20.1である。プレポリマーの一部(1.7g)を、NOBP−B(10g)、1,4−ブタンジオール(0.3g)、Palatinol N(3.0g)、Super−Pflex 200(8.5g)、Ultra−Pflex(4.0g)、Cab−O−Sil TS−720フュームドシリカ(0.3g)及び100ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートのブレンドと激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、466psiの引っ張り強さ及び316%の極限伸び率を有する。
【0054】
比較例A
Poly bd(登録商標)Resin R−45HTLO(88.9g、Sartomer Company, Inc.から入手可能)のポリオールを、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(2.5g)及び300ppmの触媒を得るのに十分な量のジブチルスズジラウレートとブレンドする。この混合物に、ISONATE 143L(14.3g)を加え、激しく混合する。得られたブレンドを、2枚の金属板の間の金属スペーサーに置き、50℃で圧縮して、均質なプラック又はフィルムを形成する。この得られたフィルムは、248psiの引っ張り強さ及び481%の極限伸び率を有する。
【0055】
無充填系
DMTA
実施例3のポリウレタンポリマーを、絶縁ガラスシーラント組成物に使用する。図1A及び1Bは、モノオール豊富モノマーNOBPにより調製されたポリウレタンの性質が、ポリブタジエン系ポリウレタン(対照)に匹敵することを示す。動機械的熱分析(DMTA)測定は、矩形形状を引張モードで使用する、商標名RSA IIIでTA Instrumentsから入手可能なものなどの市販のDMA装置を使用して行われる。試験片を、初期温度−90℃から最終温度250℃又は試料が壊れるまで勾配する。図1A(ポリブタジエン系PU)のDMTAプロットは、−50℃及び0℃での二重転移を示す。しかし、精製NOPB系PU(図1B)は、−47℃での単一転移を示す。この単一転移は、IGシーラントが耐えなければならない熱サイクルにおいて有利である。
【0056】
機械的性質
実施例3のポリブタジエン系及びNOBP系材料の機械的性質を水吸収の前後で比較する。フィルムをドッグボーン形(dog bones)に切断し、次に脱イオン水に24時間又は沸騰水に1時間浸ける。曝露後、フィルムをティッシュで水気を拭き取り、同日に、典型的には最初の数時間内に引っ張り特性をASTM D1708に従って測定する。対照試料は図2Aに示されているようにその伸び率を約25%失い、同様に図2Bに示されているようにその引っ張り強さを失った。しかし、モノオール豊富モノマーNOBP系材料は、ごく僅かな低下のみを示し、これは測定技術の誤差の範囲内である。水吸収試験において、試料は同等の性能を示した。
【0057】
耐候性
ポリマーフィルムを、4時間毎の50℃でのUV曝露、続く100%の相対湿度の交互サイクルを使用して30日間老化させる。図3に示されている結果は、対照試料が精製NOBP系試料と比較して極めて不十分な性能を有していたことを示している。モノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンの疎水性は、耐候実験において有利であることを実証した。
【0058】
MVTR及びOTR
絶縁用ガラスの二次シールとして使用されるポリマーは、水蒸気又はガスバリヤーとしても作用することができ、IGユニットの性能及び耐用年数に更なる改善をもたらす。ポリブタジエン系ポリウレタンは、水蒸気透過率(MVTR)に関して良好な性能を示す(図4A)。しかし、酸素透過率(OTR)により測定すると、更なる改善がガス透過率において必要である。モノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタン(実施例3)は、対照と同等の結果を示す(図4A)。しかし、モノオール豊富モノマーNOBP系ポリウレタンは、OTR測定において改善を示す(図4B)。
【0059】
完全配合系
充填剤及び他の添加剤を有する系は、同等のDMTA特性を示したが、引っ張り特性及び伸び特性に改善を示した。しかし、シーラントにモノオール豊富モノマーNOBPポリウレタンを使用する利点は、最終シーラントにおける可塑剤の実際の量の低下をもたらすその低粘度である。
【0060】
本発明は前述の特定の実施形態を介して特定の詳細により記載されてきたが、この詳細は例示することが主な目的である。多くの変形及び変更を、以下の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者によって行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のイソシアネートと、天然油系ポリオール(NOBP)を含む少なくとも1種のポリオールブレンドとの少なくとも1種の反応生成物を含む、ポリウレタン系シーラント。
【請求項2】
少なくとも1種のNOBPが、天然油に由来するモノオール豊富モノマーを使用して製造される、請求項1に記載のシーラント。
【請求項3】
少なくとも1種のNOBPが、少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造で隔てられている又は少なくとも約480の当量を有するポリエーテル分子構造で隔てられている少なくとも2つの天然油部分を含む、請求項1又は2に記載のシーラント。
【請求項4】
シーラントが、第1ポリオールと少なくとも1種のイソシアネートとの反応生成物を含む少なくとも1種のプレポリマー、及び第2ポリオールの反応生成物を含み、第1及び第2ポリオールが同一又は異なっていることができ、第1ポリオール及び第2ポリオールのうちの少なくとも1種が、NOBPを含む少なくとも1種のポリオールブレンドを含む、請求項3に記載のシーラント。
【請求項5】
ポリオールブレンドが連鎖延長剤を更に含む、請求項4に記載のシーラント。
【請求項6】
連鎖延長剤が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び1,4−ブタンジオールのうちの少なくとも1種を含む、請求項5に記載のシーラント。
【請求項7】
NOBPが、少なくとも85重量パーセント(重量%)のモノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルを含むモノマー組成物に由来する、請求項1に記載のシーラント。
【請求項8】
モノヒドロキシ官能性脂肪酸アルキルエステルが、モノヒドロキシ官能性脂肪酸メチルエステルである、請求項7に記載のシーラント。
【請求項9】
モノヒドロキシ官能性脂肪酸メチルエステルがダイズ油に由来する、請求項8に記載のシーラント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のポリウレタン系シーラントを含む絶縁用ガラスユニット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2013−515135(P2013−515135A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545954(P2012−545954)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056677
【国際公開番号】WO2011/078922
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】