説明

絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路

【課題】 絶縁ゲート型半導体素子のターンオンタイムをより短縮することのできる絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を提供する。
【解決手段】 絶縁ゲート型半導体素子10を駆動するため、半導体素子1、2、と3、4が夫々トーテムポール接続された直列接続体を2組設け、夫々の陽極に抵抗5、6、7、8を介して正負の電源を夫々接続し、半導体素子1、2の中点は抵抗11を介し、半導体素子3、4の中点は直接絶縁ゲート型半導体素子10のゲートに接続し、半導体素子3、4へ遅延回路13、14によりスイッチング信号を遅延させて供給するようにし、抵抗5と並列にスイッチング素子17を設け、このスイッチング素子17をワンショット信号発生回路18の出力で制御して絶縁ゲート型半導体素子へ電荷をいち早く充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路に関する。
【背景技術】
【0002】
MOS型ゲート構造を有する絶縁ゲート型半導体素子には、たとえばMOSFET、IGBT、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)などがある。
【0003】
これら絶縁ゲート型半導体素子は、電圧駆動型であり、ゲート・エミッタ間の容量を充電、放電する電流がオンオフ切り替え時に短時間流れるだけで、定常時にはゲート電流が流れない。したがって、絶縁ゲート型半導体素子のゲートパワーはパイポーラ素子に比べ非常に小さくできる利点がある。また、絶縁ゲート型半導体素子は、MOS型ゲート構造特有の高速動作が可能である。
【0004】
これらのことから、近年、この種の電圧駆動型の半導体素子の開発が進められ、高圧大電流(例えば4.5kV―5000A級)の絶縁ゲート型半導体素子が開発され、電力変換装置への適用が拡大している。
【0005】
しかしながら、絶縁ゲート型半導体素子は、高電圧、大電流化に伴いコレクタ・エミッタ間、コレクタ・ゲート間、およびゲート・エミッタ間の夫々の静電容量が大きくなってきている。特にトレンチ型は、そのゲート構造上従来のプレーナ型以上にゲート・エミッタ間静電容量が大きくなり、1.5〜2倍程度になる場合がある。
【0006】
絶縁ゲート型半導体素子は、ゲートのターンオン、ターンオフの過渡時にゲート・エミッタ間の容量特性によりゲート・コレクタ電圧が一定電圧となり、この期間は制御不能となる所謂ミラー電圧時間が現れる。特にターンオン時には高耐圧素子ほどミラー電圧時間が長くなる傾向がある。これは、特にゲート・エミッタ間の容量がコレクタ・エミッタ間電圧に依存するためで、ターンオンによりコレクタ・エミッタ電圧が低下してくるとゲート・エミッタ容量が増加することに起因する。
【0007】
PWM(パルス幅変調)インバータでは、負荷電流をより正弦波に近くするため、そのスイッチング周波数を高くすることが望まれるが、前記のミラー時間により最小オン時間やデッドタイムの制約が生じて上限周波数が制限されることになる。
【0008】
このミラー時間は、ゲート抵抗を小さくすれば短縮することが可能であるが、そうすると、絶縁ゲート型半導体素子のスイッチング特性も早くなり、ターンオン時には電流が急峻に立ち上がり(dI/dt)、またターンオフ時には電圧が急峻に立ち上がるため(dV/dt)、このような電流や電圧の急激な変化によって素子が破損する、またEMIノイズが多くなる、或いは負荷側へ悪影響を及ぼすこと等が問題となる。
【0009】
上記のような悪影響を防止するために、ターンオン、ターンオフ時にはゲート信号にデッドタイムを設け、上下アームの短絡を防止している。
【0010】
しかしながら、反対アームの絶縁ゲート型半導体素子をターンオンまたはターンオフすると、特に電流の急変(dI/dt)や電圧の急変(dV/dt)によるゲート・エミッタ間の容量への充電または放電により、ゲート電圧が正方向または負方向に持ち上がるという現象が確認されている。
【0011】
上記の現象を防止するためには、ゲート・エミッタ間にコンデンサを設けることが有効であるが、コンデンサを設けると絶縁ゲート型半導体素子のスイッチング時間が遅くなるためスイッチング損失が増加するという問題が発生する。
【0012】
以上述べたような諸問題を解決するための絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路が、特許文献1に提案されている。
【0013】
特許文献1に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、絶縁ゲート型半導体素子を駆動するために、半導体素子がそれぞれトーテムポール接続された直列接続体を2組設け、夫々の陽極及び陰極に抵抗を介して正負の電源を接続し、第1組の半導体素子の中点は抵抗を介し、第2組の半導体素子の中点は直接絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続し、第2組の半導体素子へ遅延回路によりスイッチング信号を遅延させて供給するようにし、第1組の直列接続体の負側半導体素子に直列接続された抵抗と並列にスイッチング素子を設けて、スイッチング素子をワンショット信号発生回路の出力信号によりオンオフ制御することによって、ターンオフ時に絶縁ゲート型半導体素子に充電されていた電荷をいち早く放電させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−88892号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特にトレンチ型半導体素子は、そのゲート構造上従来のプレーナ型以上にゲート・エミッタ間静電容量が大きくなり、1.5〜2倍程度になる場合がある。
【0015】
特許文献1に記載されている技術により、これまでの様々な問題が解決できるようになってきたところであるが、近年のトレンチゲート型絶縁ゲート型半導体素子は、前述のようにゲート容量がプレーナゲート型絶縁ゲート型半導体素子に対し1.5〜2倍程度増加するため、ターンオン時のミラー時間がさらに延びる傾向、すなわち、ターンオンタイムが延びる傾向にある。
【0016】
このため、近年の絶縁ゲート型半導体素子では、上下アーム素子間のデッドタイムを増大させる必要がでてきた。
【0017】
ゲート抵抗とターンオン時間には相関関係があり、ターンオン時間短縮にはゲート抵抗値の低減が効果的である。しかし、ゲート抵抗値を下げると、トレンチゲート型絶縁ゲート型半導体素子の場合にはプレーナ型以上にスイッチング特性も早くなりターンオン時の電圧の立ち下がり(−dV/dt)がより急峻になり、コレクタ電流の立ち上がり(dI/dt)の増大による半導体素子の破損や、サージ電圧の増大による絶縁ゲート型半導体素子と逆並列に接続されたダイオード素子の破損、EMIノイズの誘発、負荷への悪影響が懸念される。
【0018】
このため、−dV/dtやdI/dtを増大させずターンオンタイムを短縮できるゲート回路に改善することが望まれていた。
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、悪影響を与えることなく絶縁ゲート型半導体素子のターンオンタイムをより短縮することが可能な絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の第1の発明である絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、前記第1の抵抗に並列に設けられたスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオンオフ制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の第2の発明である絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、前記第1の抵抗と並列に設けられ、前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート容量以上の容量を有するコンデンサとを備えたことを特徴としている。
【0022】
また、本発明の第3の発明である絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する第1及び第2の遅延回路と、前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号生成手段と、前記ワンショット信号生成手段の出力と前記第1の遅延回路の出力の論理和を前記第3の半導体制御素子の制御極に与える論理和生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0023】
また、本発明の第4の発明である絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、前記正側電源の正極方向に直列に接続された正側加算用電源と、前記正側加算用電源の正極から第3のダイオードを介して前記正側電源に接続された電圧加算用スイッチング素子とを備え、前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号により前記電圧加算用スイッチング素子をオンさせるようにしたことを特徴としている。
【0024】
更に、本発明の第5の発明である絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第5の半導体制御素子と第7の抵抗を直列接続して成る第5の直列回路と、前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路とを備え、前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号により前記第5の半導体制御素子をオンさせるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、悪影響を与えることなく絶縁ゲート型半導体素子のミラー時間を短縮することができるので、絶縁ゲート型半導体素子のターンオンタイムをより短縮することが可能な絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図である。
【0028】
制御極を備えた半導体制御素子であるNPN型半導体素子(Nチャネル半導体素子)1とこのNPN型半導体素子1とは逆極性のPNP型半導体素子(Pチャネル半導体素子)2は直列にトーテムポール接続され、第1の直列接続体を形成している。同様にトーテムポール接続されたNPN型半導体素子3とPNP型半導体素子4は第2の直列接続体を形成している。ここで、NPN型半導体素子1、PNP型半導体素子2、NPN型半導体素子3、及びPNP型半導体素子4は、何れもバイポーラトランジスタである。
【0029】
第1の直列接続体の正側即ちNPN型半導体素子1のコレクタは、抵抗5を介して電源P(正)に、また負側即ちPNP型半導体素子2のコレクタは、抵抗6を介して電源N(負)に接続されている。同様に、第2の直列接続体の正側即ちNPN型半導体素子3のコレクタは、抵抗7を介して電源P(正)に、また負側即ちPNP型半導体素子4のコレクタは、抵抗8を介して電源N(負)に接続されている。また、第1の直列接続体と第2の直列接続体の各々の中点(NPN型半導体素子1とPNP型半導体素子2の接続点並びにNPN型半導体素子3とPNP型半導体素子4の接続点)間には抵抗9が接続されており、またこの第2の直列接続体の中点は駆動すべき絶縁ゲート型半導体素子10のゲートGに接続されている。
【0030】
ここで、抵抗3及び抵抗4は、低インピーダンスの抵抗器であるが、発振現象などの異常を生ずることなく絶縁ゲート型半導体素子10を安定に駆動するためには、通電時の電圧ドロップが、NPN型半導体素子3又はPNP型半導体素子4のオン電圧に対して十分大きい値となるように抵抗値を選定しておく必要がある。
【0031】
第1の直列接続体を構成しているNPN型半導体素子1とPNP型半導体素子2の各々の制御極であるベースは互いに接続され、ここに抵抗11の一端が接続されている。
【0032】
この抵抗11の他端には、スイッチング信号(出力信号A)を供給するスイッチング信号源12の出力端が接続されている。
【0033】
また、スイッチング信号源12が供給する出力信号Aは、夫々遅延回路13及び14を介して第2の直列接続体を構成しているNPN型半導体素子3及びPNP型半導体素子4の夫々の制御極であるベースに供給されている。
【0034】
第1の直列接続体の負側に直列に設けられた抵抗6と並列にスイッチング素子15が接続されている。ここでスイッチング素子15は、所謂スイッチングトランジスタである(以下、他のスイッチング素子においても同様である)。
【0035】
このスイッチング素子15は、スイッチング信号源12の出力信号Aのオフ制御信号をトリガとしてワンショット信号を供給するワンショット信号発生回路16の出力信号により駆動される。
【0036】
更に第1の直列接続体の正側に直列に設けられた抵抗5と並列にスイッチング素子17が接続されている。ここでスイッチング素子17もスイッチングトランジスタである。
【0037】
このスイッチング素子17は、スイッチング信号源12の出力信号Aのオン制御信号をトリガとしてワンショット信号を供給するワンショット信号発生回路18の出力信号により駆動される。
【0038】
以下本実施例の動作及び効果について図2を参照して説明する。
【0039】
図2は、図1に示したゲート回路で絶縁ゲート型半導体素子を駆動したときの動作タイムチャートである。
【0040】
まず、時刻t=t0までは、スイッチング信号源12の出力信号AによりPNP型半導体素子2(SW2)及びPNP型半導体素子4(SW4)にオン信号が供給されている。このときNPN型半導体素子1(SW1)及びNPN型半導体素子3(SW3)はオフとなっている。
【0041】
時刻t=t0でスイッチング信号源12の出力信号Aが反転してオン制御信号になると、PNP型半導体素子2(SW2)及びPNP型半導体素子4(SW4)にオフ信号が、またNPN型半導体素子1(SW1)及びNPN型半導体素子3(SW3)にオン信号が供給される。これと共に、上記オン制御信号をワンショット信号発生回路18が受けると同時にワンショット信号を出力して所定の期間だけスイッチング素子17(SW17)がオンされる。
【0042】
これにより、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間には、抵抗9、NPN型半導体素子1及びスイッチング素子17の充電ルートで電荷が充電され始める。
【0043】
そして、スイッチング素子17はミラー電圧到達前の時刻t=t1でオフされ、その後抵抗5を介して上記の充電が継続される。時刻t=t2でゲート・エミッタ間電圧がミラー電圧に到達すると、絶縁ゲート型半導体素子10はターンオンし、コレクタ・エミッタ間電圧(Vce)が低下してコレクタ電流(Ic)が流れ出す。
【0044】
これにより、図2の破線で示したスイッチング素子17を使用しないときのミラー時間までの到達時間(t2´−t0)は、スイッチング素子17によるワンショット効果による時間の早い充電により、より短いミラー時間までの到達時間(t2−t0)になる。
【0045】
これは次の理由による。例えば、ターンオン時、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間の静電容量に蓄積すべき電荷Qが20μクーロンであって、上記スイッチング素子17を使用しないときの抵抗9と抵抗5の合計値で決まるオンゲート電流が2Aの場合には、前記電荷Qを充電するまで約10μ秒かかる。
【0046】
これに対し、ターンオン時にスイッチング素子17をオンして抵抗9のみにより、例えばオンゲート電流を10A流すようにすれば、Q=電流×時間であるので、2μ秒でゲート・エミッタ間の電荷を充電することができることになる。
【0047】
一方、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧(Vge)は、図2に示すように、ゲート・エミッタ間容量の充電が完了するまでミラー電圧レベルが継続する。この時間は、抵抗9の抵抗値にもよるが20〜30μ秒にもなる。
【0048】
ゲート・エミッタ間容量は、遅延回路13で設定された時間(たとえば10μ秒)後の時刻t=t3で、第2の直列接続体のNPN型半導体素子3(SW3)がオンになり、低インピーダンスの抵抗7を介して直ちに充電される。
【0049】
このようにしてミラー電圧までの到達時間を早めたことによりNPN型半導体素子3(SW3)のオン制御が可能となるt=t3のタイミングがt=t3´より早められることになる。
【0050】
次に、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧(Vge)が正の電源Pのレベルまで上昇し、絶縁ゲート型半導体素子10は安定したオン状態となる。この状態となれば、外乱などによりゲート電圧が低下しようとしてもNPN型半導体素子3(SW3)と直列に接続された抵抗7によりゲート電圧が低下することなく維持される。
【0051】
スイッチング信号源12の出力信号Aが時刻t=t4で反転してオフ制御信号となると、NPN型半導体素子1(SW1)及び3(SW3)にオフ信号、PNP型半導体素子2(SW2)にオン信号が与えられる。これと共に、上記オフ制御信号をワンショット信号発生回路18が受けると同時にワンショット信号を出力して所定の期間だけスイッチング素子15(SW15)がオンされる。
【0052】
これにより、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間に充電されていた電荷が抵抗9、NPN型半導体素子2及びスイッチング素子15の放電ルートで放電され始める。
【0053】
そして、スイッチング素子15はミラー時間完了前にオフになり、抵抗6を介して放電が継続される。コレクタ・エミッタ間電圧(Vce)は放電完了後の時刻t=t5で上昇を開始し、時刻t=t6で電流が遮断されてターンオフが完了する。その後、遅延回路14により遅延したスイッチング信号源12の出力信号AによりPNP型半導体素子4(SW4)がオンになる。
【0054】
以上の動作により、図2の破線で示したターンオフ時のスイッチング素子15を使用しないときのミラー時間(t5´−t4)は、スイッチング素子15によるワンショットによる時間の早い放電により、より短いミラー時間(t5−t4)になりターンオフタイムを短くすることができる。
【0055】
例えば、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間の静電容量に蓄積された電荷Qが20μクーロンであり、上記スイッチング素子15を使用しないときの抵抗9と抵抗6の合計値で決まるオフゲート電流が2Aの場合には、前記電荷Qを引き抜くまで約10μ秒かかる。
【0056】
これに対し、ターンオフ時にスイッチング素子15をオンして抵抗9のみにより、例えばオフゲート電流を10A流せば、Q=電流×時間であるので、2μ秒でゲート・エミッタ間の電荷を引き抜くことができ、ターンオフタイムが大幅に短縮される。
【0057】
尚、このゲート回路の遅延回路14で設定する遅延時間は、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフ時間(t6−t4)以上に設定する。
【0058】
この遅延時間後、第2の直列接続体のNPN型半導体素子4がオンすると、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧(Vge)が負の電源Nのレベルまで下降し、絶縁ゲート型半導体素子10は安定したオフ状態となる。この状態となれば、外乱などによりゲート電圧が上昇しようとしてもPNP型半導体素子4(SW4)と直列に接続された抵抗8によりゲート電圧が上昇することなく維持される。
【実施例2】
【0059】
図3は、本発明の実施例2に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0060】
この実施例2の各部について、図1の本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例2が実施例1と異なる点は、第2の直列接続体を構成する半導体制御素子として、電界効果トランジスタ(MOSFET)であるNチャネル半導体素子3A及びこのNチャネル半導体素子3Aとは逆極性のPチャネル半導体素子4Aを使用した点である。
【0061】
このように、第2の直列接続体にMOSFETを使用した場合にも、その動作は、前述した実施例1のようにNPN型半導体素子3及びPNP型半導体素子4としてパイポーラトランジスタを使用した場合と同様に、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができる。
【0062】
尚、図示を省略するが、第1の直列接続体にMOSFETを使用することも可能であり、同じように絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができる。
【0063】
また、図示を省略するが、スイッチング素子15、17としてMOSFETを使用することも可能であり、同じように絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができる。
【実施例3】
【0064】
図4は、本発明の実施例3に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0065】
この実施例3の各部について、図1の本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例3が実施例1と異なる点は、第2の直列接続体に直列に接続されている抵抗7と並列に、即ち正側のNPN型半導体素子3に対して直列にコンデンサ19を、また第2の直列接続体に直列に接続されている抵抗8と並列に、即ち負側のPNP型半導体素子4に対して直列にコンデンサ20を接続した点である。
【0066】
このように、第2の直列接続体に直列に接続されている抵抗7と並列にコンデンサ19を設けて低インピーダンス化することにより、オン期間中のゲート正バイアスにノイズ的な急変外乱があった場合にも変動をより小さく抑えることができる。
【0067】
同様に、第2の直列接続体に直列に接続されている抵抗8と並列にコンデンサ20を設けて低インピーダンス化することにより、オフ期間中のゲート負バイアスにノイズ的な急変外乱があった場合にも変動をより小さく抑えることができる。
【実施例4】
【0068】
図5は、本発明のゲート型半導体素子のゲート回路に用いるワンショット信号発生回路の一例を示す図面である。
【0069】
図5に示したように、ワンショット信号発生回路18は、スイッチング信号源12の出力信号Aをコンデンサ181で受け、その出力を抵抗182と抵抗183の直列回路の中点に接続し、この中点をワンショット信号発生回路18の出力としている。抵抗182と抵抗183の直列回路の両端に制御電圧を印加しておけば、コンデンサ181、抵抗182及び抵抗183は微分回路を形成する。
【0070】
この微分回路によるワンショット信号の信号幅は、周知の通り、コンデンサ181と抵抗182及び抵抗183の時定数で決めることができる。
【0071】
このように微分回路によってワンショット信号をつくりだすことによって、前述した実施例1乃至実施例3のように絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を動作させることが可能となる。
【0072】
また、図示を省略するが、スイッチング信号源12の出力信号Aをトリガとしてワンショット信号を作る手段として、一般に市販されている単安定マルチICなどを用いた回路を適用してもよい。
【実施例5】
【0073】
図6は、本発明の実施例5に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0074】
この実施例5の各部について、図4の本発明の実施例3に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例5が実施例3と異なる点は、絶縁ゲート型半導体素子10のコレクタ電圧を、ツェナーダイオード21を介して検出し、抵抗23を介してスイッチング素子17のベースに与えるようにした点、また、絶縁ゲート型半導体素子10のコレクタ電圧を、ダーオード23を介して検出し、抵抗24を介してスイッチング素子15のベースに与えるように構成した点である。
【0075】
まず、ターンオン時の動作を考える。抵抗23を適切な値に選定することにより、コレクタ電圧が所定電圧値以下となった時点で、ターンオン前にオンしていたスイッチング素子17をオフ動作させることが可能となる。
【0076】
同様にターンオフ時には、抵抗24を適切な値に選定することにより、コレクタ電圧が所定電圧値以上となった時点で、ターンオフ前にオンしていたスイッチング素子15をオフ動作させることが可能となる。
【0077】
本実施例においては、絶縁ゲート型半導体素子10のコレクタ電圧に基づいてスイッチング素子17をオン動作させるようにしたので、抵抗9及び抵抗5により絶縁ゲート型半導体素子10をソフトにターンオンさせることができる。
【0078】
従って、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができると共に、ターンオンをソフトにしたことにより、ターンオン時の電圧の立ち上がりを滑らかにすることが可能となる。
【0079】
同様に、本実施例においては、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフタイムを短くすることができると共に、ターンオフをソフトにしたことにより、ターンオフ時の電圧の立ち上がりを滑らかにすることが可能となる。
【実施例6】
【0080】
図7は、本発明の実施例6に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0081】
この実施例6の各部について、図4の本発明の実施例3に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例6が実施例3と異なる点は、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧を、コンパレータ25を介して検出し、このコンパレータ25の出力をスイッチング素子17のゲート入力とした点、また、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧を、コンパレータ26を介して検出し、このコンパレータ25の出力をスイッチング素子15のゲート入力とした点である。
【0082】
コンパレータ25は、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧とゲート回路の内部電源(たとえばP/N電位を分圧)を利用した基準電圧V1とを比較し、ゲート電圧が所定電圧値以上となった時点でスイッチング素子17をオフ動作させる。また同様に、コンパレータ26は、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧とゲート回路の内部電源(たとえばP/N電位を分圧)を利用した基準電圧V2とを比較し、ゲート電圧が所定電圧値以下となった時点でスイッチング素子15をオフ動作させる。
【0083】
ここで、スイッチング素子17を制御するコンパレータ25の基準電圧V1は、図2に示した絶縁ゲート型半導体10のターンオン時のミラー電圧よりも若干低めに設定する。また、スイッチング素子16を制御するコンパレータ26の基準電圧V2は図2に示した絶縁ゲート型半導体10のターンオフ時のミラー電圧よりも若干高めに設定する。
【0084】
本実施例による絶縁ゲート型半導体素のゲート回路によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧に基づいてスイッチング素子17及びスイッチング素子15のオフ動作を行うようにしたので、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート容量のバラツキなどに起因するターンオン及びターンオフ時のミラー電圧までの到達時間のバラツキの影響を考慮してスイッチング素子17及びスイッチング素子15をオフするタイミングを決める必要が無くなる。
【0085】
従って、本実施例によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン及びターンオフタイムを確実により短くすることが可能となる。
【0086】
尚、図示は省略するが、ゲート回路の内部電源(たとえばP/N電位を分圧)を利用した基準電圧V1及びV2を作る手段としては、一般に市販されている3端子レギュレータなどを適用してもよい。
【実施例7】
【0087】
図8は、本発明の実施例7に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0088】
この実施例7の各部について、図7の本発明の実施例6に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例7が実施例6と異なる点は、コンパレータ25の基準電圧を、P電位を抵抗251とツェナーダイオード252で分圧した値となるようにした点、また、コンパレータ26の基準電圧を、P電位を抵抗261とツェナーダイオード262で分圧した値となるように構成した点である。
【0089】
コンパレータ25の基準電圧が、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン時のミラー電圧よりも若干低めになるようにツェナーダイオード252の降伏電圧を選定する。同様に、コンパレータ26の基準電圧が、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフ時のミラー電圧よりも若干高めになるようにツェナーダイオード262の降伏電圧を選定する。
【0090】
本実施例の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート電圧に基づいてスイッチング素子17及びスイッチング素子15のオフ動作を行うようにしたので、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート容量のバラツキなどに起因するターンオン及びターンオフ時のミラー電圧までの到達時間のバラツキの影響を考慮してスイッチング素子17及びスイッチング素子15をオフするタイミングを決める必要が無くなる。
【0091】
従って、本実施例によれば、実施例6の場合と同様、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン及びターンオフタイムをより短くすることができる。また、本実施例における基準電圧はP電位、N電位のゲート回路内部電圧変動の影響を受けることがないため、更に信頼性の高い絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を提供することが可能となる。
【0092】
尚、図示を省略するが、コンパレータ25の基準電圧はエミッタよりダイレクトに接続する構成にしてもよい。
【実施例8】
【0093】
図9は、本発明の実施例8に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0094】
この実施例8の各部について、図7の本発明の実施例6に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例8が実施例6と異なる点は、コレクタ電流検出器27を設け、このコレクタ電流検出器27の出力をコンパレータ25及びコンパレータ26の一方の入力となるように構成した点である。
【0095】
上記の構成によって、コンパレータ25に与えられるコレクタ電流が、コンパレータ25の他方の入力である基準電圧値Vi1以上となった時点でスイッチング素子17はオフ動作し、またコンパレータ26に与えられるコレクタ電流がコンパレータ26の他方の入力である基準電圧値Vi2以上となった時点でスイッチング素子15はオフ動作を行う。
【0096】
ここで、スイッチング素子17を制御するコンパレータ25の基準電圧Vi1は、絶縁ゲート型半導体10のコレクタ電流Icが流れ始めたことが検出可能な低めの値に設定し、ターンオン時dI/dtが大きくなる期間中にスイッチング素子17をオフすることが可能なようにしておく。また、スイッチング素子15を制御するコンパレータ26の基準電圧Vi2は、絶縁ゲート型半導体10のコレクタ電流Icが流れ終わることが検出可能な高めの値に設定し、ターンオフ時の−dI/dtが大きくなる期間中にスイッチング素子15をオフできるようにする。
【0097】
本実施例の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のコレクタ電流に基づいてスイッチング素子17及びスイッチング素子15のオフ動作を行うようにしたので、絶縁ゲート型半導体素子10をソフトにターンオン/オフさせることができる。
【0098】
従って、本実施例によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができると共に、ターンオンをソフトにしたので、ターンオン時の電圧の立ち上がりを滑らかにすることができる。また、本実施例によれば、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフタイムを短くすることができると共に、ターンオフをソフトにしたので、ターンオフ時の電圧の立ち上がりを滑らかにすることができる。
【実施例9】
【0099】
図10は、本発明の実施例9に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0100】
この実施例9の各部について、図4の本発明の実施例3に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例9が実施例3と異なる点は、スイッチング素子15、17及びワンショット発生回路16、18を省き、抵抗5と並列にコンデンサ28を、また抵抗6と並列にコンデンサ29を設けた点である。
【0101】
このコンデンサ28及び29の容量は、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間の容量より充分大きい容量とし、またコンデンサ28及び29は高周波特性に優れたコンデンサ、例えばPP(ポリプロピレン)フィルムコンデンサを使用する。
【0102】
これにより、本実施例の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、スイッチング素子15、17を設けた場合と同様なワンショット時間を確保し、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン時は電荷をいち早く充電させ、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短くすることができ、ターンオフ時は充電された電荷をいち早く放電させて、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフタイムを短くすることができる。
【0103】
また、高周波特性に優れたコンデンサを適用することにより、絶縁ゲート型半導体素子10のオンオフの動作周波数が速い場合にも低損失で確実に動作することが可能となる。
【実施例10】
【0104】
図11は、本発明の実施例10に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0105】
この実施例10の各部について、図1の本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例10が実施例1と異なる点は、遅延回路13、14の出力を、夫々ダイオード30、31を介してNPN型半導体素子3及びPNP型半導体素子4のゲートに夫々供給するようにした点、スイッチング信号源17の出力にワンショット発生回路32を設け、この出力を、ダイオード33を介してNPN型半導体素子3のゲートに供給するようにした点、またスイッチング信号源17の出力にワンショット発生回路34を設け、この出力を、ダイオード35を介してPNP型半導体素子4のゲートに供給するようにした点である。
【0106】
本実施例の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路は、ダイオード30とダイオード33によって、遅延回路13からの遅延されたスイッチング信号とワンショット信号発生回路32からのワンショット信号との論理和信号を作り、この論理和信号を第2の直列接続体の正側のNPN型半導体素子3のベースに供給するように構成している。また、ダイオード31とダイオード35によって、遅延回路14からの遅延されたスイッチング信号とワンショット信号発生回路34からワンショット信号との論理和信号を作り、この論理和信号を第2の直列接続体の負側のPNP型半導体素子4のベースに供給するように構成している。
【0107】
スイッチング信号源17の出力信号Aがオン信号となると、まずワンショット信号発生回路32からのワンショット信号により正側のNPN型半導体素子3がオンし、抵抗7を経由した大電流により、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間に電荷の充電が開始する。そして、ワンショット時間経過後は、NPN型半導体素子3が一旦オフになり、NPN型半導体素子1、抵抗9及び抵抗5の充電ルートにより絶縁ゲート型半導体素子10がソフトにターンオンする。
【0108】
ターンオン後は、再び遅延回路13の出力信号によりNPN型半導体素子3がオンになって抵抗7を介した正バイアス状態になる。
【0109】
つぎに、スイッチング信号源17の出力信号Aがオフ信号となると、まずワンショット信号発生回路34からのワンショット信号により負側のPNP半導体素子4がオンし、抵抗8を経由した大電流により、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間の電荷の放電が開始する。そして、ワンショット時間経過後は、PNP型半導体素子4が一旦オフになり、PNP型半導体素子2、抵抗9及び抵抗6の放電ルートにより絶縁ゲート型半導体素子10がソフトにターンオフする。
【0110】
ターンオフ後は、再び遅延回路14の出力信号によりPNP型半導体素子4がオンになって抵抗8を介した負バイアス状態になる。
【0111】
以上の動作によって、本実施例においては、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン及びターンオフタイムを短くすることができると共に、ターンオン/オフがソフトになることによって、ターンオン/オフ時の電圧の立ち上がりを滑らかにすることができる。
【0112】
尚、本実施例に適用したワンショット信号発生回路32及び34は、実施例4で説明したように、抵抗とコンデンサから構成される微分回路、または市販されている単安定マルチICなどにより構成することが可能である。
【実施例11】
【0113】
図12は、本発明の実施例11に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0114】
この実施例11の各部について、図11の本発明の実施例10に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例11が実施例10と異なる点は、第1の直列接続体とその両端の抵抗で構成される直列回路に代え、Pチャネル半導体素子2A、抵抗5、抵抗6及びNチャネル半導体素子1Aで構成される直列回路を設け、抵抗5と抵抗6の中点を抵抗9の一端に接続した点、第2の直列接続体とその両端の抵抗で構成される直列回路に代え、Pチャネル半導体素子4A、抵抗7、抵抗8及びNチャネル半導体素子3Aで構成される直列回路を設け、抵抗7と抵抗8の中点を抵抗9の他端及び絶縁ゲート型半導体素子10のゲートに接続した点、スイッチング信号源17の信号を反転する反転回路35を追加した点、またダイオード30及び33、並びにダイオード31及び35によるダイオード論理和回路に代え、夫々論理和回路36及び37を設けた点である。
【0115】
ここで、直列回路のPチャネル半導体素子とNチャネル半導体素子のアーム構成を正負逆にしているため、反転回路35が必要となっている。本実施例のように、直列回路に適用する半導体素子としてMOSFETを適用した場合であっても、実施例2に示したようにアームの極性構成を必ずしも正負逆にする必要はないが、短絡保護上有利となる場合もあるので本実施例においてはアームの極性構成を逆とした。
【0116】
また直列回路の抵抗を、実施例2に示したように外側(制御電源側)ではなく内側(ゲート側)に入れる構成としたのは、安定性で有利な場合があるためであるが、必ずしもそうする必要はない。
【0117】
このように、直列回路の構成を変化させた場合でも、実施例10で説明したように絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン及びターンオフタイムを短くすることができる。
【0118】
尚、図示を省略するが、ここでPチャネル半導体素子2A及び4A、並びにNチャネル半導体素子1A及び3AはMOSFETとしているが、これらをバイポーラトランジスタで構成しても良い。
【0119】
また、図12に示した直列回路の構成を実施例1乃至実施例3、及び実施例5乃至実施例10に適用することも可能であり、これは以下の実施例についても同様である。
【実施例12】
【0120】
図13は、本発明の実施例12に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0121】
この実施例12の各部について、図12の本発明の実施例11に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例12が実施例11と異なる点は、直列に接続された第1の正電源E1と第2の正電源E2を設け、第2の正電源E2からダイオード38を介してスイッチング素子17Aのコレクタに接続し、このスイッチング素子17Aのエミッタを正の電源Pに接続した点、また、第1の正電源E1からダイオード39を介して正の電源Pに制御電源を供給すると共に、反転回路35の出力からワンショット信号発生回路18を介してスイッチング素子17Aのベース駆動を行うようにした点、更に、直列に接続された第1の負電源E3と第2の負電源E4を設け、第2の負電源E4からダイオード40を介してスイッチング素子15Aのエミッタに接続し、このスイッチング素子15Aのコレクタを負の電源Nに接続した点、また、第1の負電源E3からダイオード41を介して負の電源Nに制御電源を供給すると共に、反転回路35の出力からワンショット信号発生回路16を介してスイッチング素子15Aのベース駆動を行うようにした点である。
【0122】
スイッチング素子17Aは、スイッチング信号源17からの出力信号Aのオン制御信号をトリガとしたワンショット信号発生回路18の出力信号により所定時間の間だけオンする。そうすると、絶縁ゲート型半導体素子10をターンオンするとき、正の電源PのラインにはE1+E2の電圧が供給され、絶縁ゲート型半導体素子10のオンゲート電源側の電位が上がる。
【0123】
正の電源PのラインにE1+E2の電圧が供給されて電位が上がることにより、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間に電荷をより速く充電することができるようになり、ミラー時間までの到達時間を短くすることができ、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオンタイムを短縮することが可能となる。
【0124】
またスイッチング素子15Aは、スイッチング信号源17からの出力信号Aのオフ制御信号をトリガとするワンショット信号発生回路16の出力信号により所定時間の間だけオンする。そうすると、絶縁ゲート型半導体素子10をターンオフするとき、負の電源NのラインにはE3+E4の電圧が供給され、絶縁ゲート型半導体素子10のオフゲート電源側の電位が下がる。
【0125】
負の電源NのラインにE3+E4の電圧が供給されて電位が下がることにより、絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間の電荷をより速く引き抜くことができるようになり、ミラー時間を短くすることができ、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフタイムを短縮することが可能となる。
【0126】
以上説明したように、本実施例のように制御電源の電圧を変化させることによっても、ターンオン及びターンオフ時間の短縮を図ることができる。
【実施例13】
【0127】
図14は、本発明の実施例13に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路を示す回路構成図である。
【0128】
この実施例13の各部について、図12の本発明の実施例11に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例13が実施例11と異なる点は、PNP型半導体素子42、抵抗43、抵抗44及びNPN型半導体素子45で構成され、両端が正及び負の電源に接続された第3の直列回路を設け、抵抗43と抵抗44の中点を第2の直列回路の中点及び絶縁ゲート型半導体素子10のゲートに接続した点、反転回路35の出力から夫々ワンショット信号発生回路18及び16を介して上記のPNP型半導体素子42及びNPN型半導体素子45のベースを夫々駆動するようにした点、また、第2の直列回路を構成するPチャネル半導体素子4A及びNチャネル半導体素子3Aのゲートを、反転回路35の出力から夫々遅延回路13及び14を介して夫々駆動するようにした点である。
【0129】
絶縁ゲート型半導体素子10のターンオン時、PNP型半導体素子42がワンショット信号によりオンとなった所定時間の間に絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間に充電するための電荷が、PNP型半導体素子42と抵抗43の充電ルートで充電される。従ってこのワンショット時間の早い充電により、ターンオンタイムを短くすることが可能となる。
【0130】
また、絶縁ゲート型半導体素子10のターンオフ時、NPN型半導体素子45がワンショット信号によりオンとなった所定時間の間に絶縁ゲート型半導体素子10のゲート・エミッタ間を放電するための電荷が、NPN型半導体素子45と抵抗44の放電ルートで放電される。従ってこのワンショット時間の早い放電により、ターンオフタイムを短くすることが可能となる。
【0131】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は、これら実施例に限定されるものではなく、例えば、それぞれの実施例を組み合わせて、さらに変形した実施例とすることも可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施例1に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図2】実施例1における絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の動作を示すタイムチャート。
【図3】本発明の実施例2に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図4】本発明の実施例3に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図5】本発明に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路に用いるワンショット信号発生回路の一例を示す回路構成図。
【図6】本発明の実施例5に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図7】本発明の実施例6に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図8】本発明の実施例7に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図9】本発明の実施例8に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図10】本発明の実施例9に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図11】本発明の実施例10に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図12】本発明の実施例11に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図13】本発明の実施例12に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【図14】本発明の実施例13に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路の回路構成図。
【符号の説明】
【0133】
1、3 NPN型半導体素子
2、4 PNP型半導体素子
3A Nチャネル半導体素子
3B Pチャネル半導体素子
5、6、7、8、9 抵抗
10 絶縁ゲート型半導体素子
11 抵抗
12 スイッチング信号源
13、14 遅延回路
15、17 スイッチング素子
16、18 ワンショット信号発生回路
19、20 コンデンサ
21 ツェナーダイオード
22 ダイオード
23、24 抵抗
25、26 コンパレータ
27 電流検出器
28、29 コンデンサ
30、31、33、35 ダイオード
32、34 ワンショット信号発生回路
35 反転回路
36、37 論理和回路
38、39、40、41 ダイオード
42 Nチャネル半導体素子
43、44 抵抗
45 Pチャネル半導体素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、
一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、
一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、
前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、
互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、
前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、
前記第1の抵抗に並列に設けられたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子をオンオフ制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号を生成し、このワンショット信号により前記スイッチング素子をオンするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項3】
前記絶縁ゲート型半導体素子のコレクタ電圧を検出するコレクタ電圧検出手段を有し、
前記制御手段は、
前記コレクタ電圧検出手段によって検出した電圧値が所定値以下になったとき、前記スイッチング素子をオフするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項4】
前記電圧検出手段は、
ツェナーダイオードを介して前記コレクタ電圧を検出するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項5】
前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート電圧を検出するゲート電圧検出手段を有し、
前記制御手段は、
前記ゲート電圧検出手段によって検出した電圧値が所定の基準電圧値以上になったとき、前記スイッチング素子をオフするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項6】
前記基準電圧値は、
ゲート回路の内部電圧を利用して得るようにしたことを特徴とする請求項5に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項7】
前記基準電圧値は、
前記正側電源を抵抗とツェナーダイオードで分圧して得るようにしたことを特徴とする請求項5に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項8】
前記絶縁ゲート型半導体素子のコレクタ電流を検出するコレクタ電流検出手段を有し、
前記制御手段は、
前記コレクタ電流検出手段によって検出した電流値が所定の基準電流値以上になったとき、前記スイッチング素子をオフするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項9】
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、
一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、
一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、
前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、
互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、
前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、
前記第1の抵抗と並列に設けられ、前記絶縁ゲート型半導体素子のゲート容量以上の容量を有するコンデンサと
を備えたことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項10】
前記コンデンサは、高周波特性を有することを特徴とする請求項9に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項11】
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、
一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、
一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、
前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、
互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、
前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する第1及び第2の遅延回路と、
前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号生成手段と、
前記ワンショット信号生成手段の出力と前記第1の遅延回路の出力の論理和を前記第3の半導体制御素子の制御極に与える論理和生成手段と
を備えたことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項12】
前記論理和生成手段は、
前記第1の遅延回路の出力から前記第3の半導体制御素子の制御極に信号を供給する第1のダイオードと、
前記ワンショット信号生成手段の出力から前記第3の半導体制御素子の制御極に信号を供給する第2のダイオードと
から成ることを特徴とする請求項11に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項13】
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、
一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、
一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、
前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、
互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、
前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と、
前記正側電源の正極方向に直列に接続された正側加算用電源と、
前記正側加算用電源の正極から第3のダイオードを介して前記正側電源に接続された電圧加算用スイッチング素子と
を備え、
前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号により前記電圧加算用スイッチング素子をオンさせるようにしたことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項14】
一端が正側電源に接続され、第1の半導体制御素子と第1の抵抗を直列接続して成る第1の直列回路と、
一端が前記第1の直列回路の他端に、他端が負側電源に接続され、前記第1の半導体制御素子とは逆極性の第2の半導体制御素子と第2の抵抗を直列接続して成る第2の直列回路と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第3の半導体制御素子と第3の抵抗を直列接続して成る第3の直列回路と、
一端が前記第3の直列回路の他端に、他端が前記負側電源に接続され、前記第3の半導体制御素子とは逆極性の第4の半導体制御素子と第4の抵抗を直列接続して成る第4の直列回路と、
前記第1の直列回路と前記第2の直列回路の接続点と前記絶縁ゲート型半導体素子のゲートの間に接続された第5の抵抗と、
互いに接続された前記第1の半導体制御素子の制御極と前記第2の半導体制御素子の制御極に第6の抵抗を介してスイッチング信号を供給するスイッチング信号源と、
一端が前記正側電源に、他端が絶縁ゲート型半導体素子のゲートに接続され、前記第1の半導体制御素子と同極性の第5の半導体制御素子と第7の抵抗を直列接続して成る第5の直列回路と、
前記第3の半導体制御素子と前記第4の半導体制御素子の夫々の制御極に、前記スイッチング信号源からのスイッチング信号を所定時間遅延させて夫々供給する2つの遅延回路と
を備え、
前記スイッチング信号源が出力するオン指令信号をトリガとしたワンショット信号により前記第5の半導体制御素子をオンさせるようにしたことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。
【請求項15】
前記第3の抵抗と前記第4の抵抗の少なくとも1つに並列にコンデンサを接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体素子のゲート回路。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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