説明

絶縁テープ

【課題】長期間使用しても絶縁テープの強度低下を防ぎ、しかもコイルとの密着性及び作業性に優れた絶縁テープを提供する。
【解決手段】回転機のコイルに使用する絶縁テープにおいて、たて糸に熱収縮性繊維とガラス繊維を配し、横糸にガラス繊維を配した構成であるので、コイルに巻き付け後にゆるみを生じることがなく、また伸縮性があることから作業性に優れ、且つコイルとの密着性を保ち十分な強度で縛れる絶縁テープを提供できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機のコイルを絶縁処理する絶縁テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転機のコイルの絶縁処理には絶縁テープが用いられているが、この絶縁テープとして、例えば図5に示す絶縁テープ(特許文献1参照)が用いられている。
図5に示す絶縁テープは、たて糸に熱収縮性ポリエステル繊維12を配し、横糸にガラス繊維2を配したポリエステルガラスクロスからなる裏打材を、マイカ箔9に配設すると共に、エポキシ樹脂1を含浸させた絶縁レジンリッチマイカテープ10から構成されている。また一般的な絶縁テープとしては、図6に示すように、たて糸及び横糸にガラス繊維2を配したガラスクロスにエポキシ樹脂1を含浸させ、半硬化状に硬化させたプリプレグガラスクロステープ11が用いられている。
【特許文献1】特公平1−3296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の絶縁レジンリッチマイカテープ10の場合、たて糸が熱収縮性ポリエステル12から構成されており、長期間使用するとテープ強度が低下するという問題があった。また、一般的に用いられているプリプレグガラスクロステープ11の場合、熱収縮性がないため、コイルに巻き付ける場合、巻き付け後にゆるみが生じるという問題や、伸縮性が悪いことから作業性が悪化する要因になるなどの問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その課題は長期間使用しても絶縁テープの強度低下を防ぎ、しかもコイルとの密着性及び作業性に優れた絶縁テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、回転機のコイルに使用する絶縁テープにおいて、たて糸に熱収縮性繊維とガラス繊維を配し、横糸にガラス繊維を配したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によると、たて糸に熱収縮性繊維とガラス繊維を配し、横糸にガラス繊維を配した絶縁テープの構成とすることにより、熱収縮性および伸縮性を保持し、更にコイルを十分な強度で縛ることができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の絶縁テープにおいて、たて糸の熱収縮性繊維とガラス繊維が交互に配したことを特徴とする。
請求項2記載の発明によると、請求項1記載の絶縁テープと同様の効果が得られ更により強度を一定にすることができる。
【0007】
請求項3記載の発明は、回転機のコイルに使用する絶縁テープにおいて、たて糸及び横糸にガラス繊維を配した第1の層のテープと、前記第1の層のテープ上から第2の層のテープとなる熱収縮性ポリエステルフィルムを張り合わせ二層構造としたことを特徴とする。
請求項3記載の発明によると、ポリエステルフィルムが熱収縮することで、請求項1記載の絶縁テープと同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コイルに巻き付け後にゆるみを生じることがなく、また伸縮性があることから作業性に優れ、且つコイルとの密着性を保ち十分な強度で縛れる絶縁テープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の絶縁テープの構成図である。
同図に示すように、本実施形態の絶縁テープ8aは、たて糸である熱収縮性繊維3とガラス繊維2と、横糸であるガラス繊維2をテープ状に引きそろえ、これにエポキシ樹脂1を含浸したものである。
【0010】
次に、本実施形態の絶縁テープの使用例を図2の斜視図について説明する。
同図に示すように、回転子鉄心5に回転子コイル7が巻き付けられており、この回転子コイル7は、図1の絶縁テープ8aで縛られている。また、回転子鉄心5と回転子コイル7の間の絶縁として絶縁シート6を挟んでいる。絶縁テープ8aは、たて糸に熱収縮性繊維3とガラス繊維2を配しているので、コイルに巻き付けて熱処理後にゆるみを生じることはなく、また伸縮性を有するので作業性に優れ、且つ回転子コイル7との密着性を保ち十分な強度で縛ることができる。
【0011】
図3は本発明の第2実施形態の絶縁テープの構成図である。
同図に示すように、本実施形態の絶縁テープ8bは、たて糸である熱収縮性繊維3とガラス繊維2と、横糸であるガラス繊維2を交互にテープ状に引きそろえ、これにエポキシ樹脂1を含浸したものである。
【0012】
次に、本実施形態の作用について説明すると、本実施形態の絶縁テープ8bは、たて糸に熱収縮性繊維3とガラス繊維2を交互に配することにより、図1の絶縁テープ8aと同様の効果が得られ、且つ絶縁テープの強度の安定化を図ることができる。
【0013】
図4は本発明の第3実施形態の絶縁テープの構成図である。
同図に示すように、本実施形態の絶縁テープ8cは、たて糸及び横糸のガラス繊維2をテープ状に引きそろえ、これにエポキシ樹脂1を含浸した上から、熱収縮性ポリエステルフィルム4を張り合わせ二層構造としている。
【0014】
次に、本実施形態の作用について説明すると、本実施形態の絶縁テープ8cは、熱処理により熱収縮性ポリエステルフィルム4が熱収縮することで、図1の絶縁テープ8aと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の絶縁テープの構成図。
【図2】図1の絶縁テープの使用例を示す斜視図。
【図3】本発明の第2実施形態の絶縁テープの構成図。
【図4】本発明の第3実施形態の絶縁テープの構成図。
【図5】従来の絶縁テープの構成図。
【図6】従来の他の絶縁テープの構成図。
【符号の説明】
【0016】
1…エポキシ樹脂、2…ガラス繊維、3…熱収縮性繊維、4…熱収縮性ポリエステルフィルム、5…回転子鉄心、6…絶縁シート、7…回転子コイル、8a,8b,8c…絶縁テープ、9…マイカ箔、10…絶縁レジンリッチマイカテープ、11…プリプレグガラスクロステープ、12…熱収縮性ポリエステル繊維。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機のコイルに使用する絶縁テープにおいて、たて糸に熱収縮性繊維とガラス繊維を配し、横糸にガラス繊維を配したことを特徴とする絶縁テープ。
【請求項2】
たて糸の熱収縮性繊維とガラス繊維が交互に配したことを特徴とする請求項1記載の絶縁テープ。
【請求項3】
回転機のコイルに使用する絶縁テープにおいて、たて糸及び横糸にガラス繊維を配した第1の層のテープと、前記第1の層のテープ上から第2の層のテープとなる熱収縮性ポリエステルフィルムを張り合わせ二層構造としたことを特徴とする絶縁テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−147028(P2008−147028A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333113(P2006−333113)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】