説明

絶縁型信号伝送装置

【課題】直流電流信号を一方向に絶縁伝送する絶縁型信号伝送装置において、交流通信信号を双方向に適切に絶縁伝送できるようにする。
【解決手段】直流電流信号を検出する電流検出抵抗を含み、検出された直流電流信号を一方向に絶縁伝送する直流信号経路を備えた絶縁型信号伝送装置であって、直流電流信号を遮断し、絶縁トランスによって交流通信信号を双方向に絶縁伝送する通信信号経路と、電流検出抵抗と通信信号経路との間に設けられたインダクタ部材とを備えた絶縁型信号伝送装置。インダクタ部材は、巻線コイルあるいは半導体回路で構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁型の信号伝送装置に関し、特に直流電流信号に加え通信信号を伝送する絶縁型信号伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントにおいて計測、制御等を行なうフィールド機器では、検出した値等を電気信号に変換して分散型制御システム(DCS)等の上位機器に伝送することが行なわれている。一般に、この電気信号の伝送は、4〜20mAの直流電流信号が用いられており、直流電流信号を絶縁して伝送する絶縁型信号伝送装置としてアイソレータやディストリビュータが知られている。
【0003】
フィールド機器と上位機器との間では、一方向に伝送される直流電流信号とは別に、制御信号等の通信信号のやり取りが行なわれる。このため、絶縁型信号伝送装置を用いて、直流電流信号に加え、通信信号も絶縁伝送することが考えられる。一般に、通信信号の伝送は、高周波帯域を使用し、双方向で行なわれることから、直流電流信号を伝送する経路とは別の伝送経路が必要となる。
【0004】
図8は、通信信号の絶縁伝送を行なうために絶縁アンプを用いた絶縁型信号伝送装置の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、フィールド機器200と上位機器300との間で信号を伝送する絶縁型信号伝送装置400は、フィールド機器200から上位機器300に4〜20mAの直流電流信号を絶縁伝送する直流信号の経路と、双方向で通信信号を絶縁伝送する通信信号の経路とを備えている。
【0005】
フィールド機器200から絶縁型信号伝送装置400に入力された直流電流信号は、電流検出抵抗R1で電圧信号に変換され、さらに、パルス幅変調回路PWMでパルス幅変調されたパルス列に変換される。パルス列は、フォトカプラPC1で絶縁されて上位機器300側に伝送される。そして、ローパスフィルタLPFで平滑化され、直流電圧に変換された後、定電流回路を構成するMOS−FETQ1から電流信号として出力される。
【0006】
フィールド機器200から上位機器300への通信信号は、コンデンサC1で、直流電流信号から分離され、絶縁アンプISO1によって上位機器300側に伝送される。上位機器300からフィールド機器200への通信信号は、コンデンサC2を介して、絶縁アンプISO2によってフィールド機器200側に伝送される。
【0007】
図9は、通信信号の伝送にトランスT1を用いた絶縁型信号伝送装置420の構成を示すブロック図である。図8に示したブロック図と同じ構成については、同じ符号を用いている。トランスT1は、双方向に通信信号を伝送することができるため、1個でよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−153011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8に示した絶縁アンプを用いた方式では、絶縁アンプISO1と絶縁アンプISO2とが逆並列にループ状に接続されているため、このループを一巡した利得が1に近づくにしたがって回路が不安定になり、伝達利得が1を超えると発振してしまう。したがって、回路を安定に動作させるためには、ある程度の損失が避けられない。
【0010】
電話回線の中継増幅器に使用されているようなハイブリッドトランスまたは同様の機能を有する電子回路を利用して、信号の伝わる向きによって、上り下りの信号を分離して増幅する方法を適用することも考えられ、この方法によれば利得が1を超えることも可能である。しかしながら、この場合は、負荷および信号源のインピーダンスが設計値から外れると、上り下りの信号分離度が悪くなる。一般に、4〜20mAの直流電流信号等を伝送するシステムにおいては、路線のインピーダンスは広範囲に渡り、インピーダンス整合を取って、必要な分離度を得ることは困難である。
【0011】
これに対して、図9に示したトランスT1を用いた方式では、発振や損失の問題は生じない。しかしながら、フィールド機器200側と上記機器300側とがトランスT1で結合しているため、比較的高周波の交流信号である通信信号について以下のような問題が生じる。
【0012】
すなわち、通信信号の周波数帯域が数10Hz〜数KHzであり、トランスT1の巻線比が1:1と仮定すると、フィールド機器200側から見た通信信号周波数帯域における線路インピーダンスは、フィールド機器200の出力インピーダンスRo、上位機器300の入力インピーダンスRi、電流検出抵抗R1が並列になったものである。
【0013】
一般に、フィールド機器200の出力インピーダンスRoは十分大きいが、上位機器300の入力インピーダンスRiは、電流検出抵抗R1と同程度の低インピーダンスである。このため、合成インピーダンスはさらに低下し、電流信号である通信信号の振幅が小さくなりすぎ、上位機器300での通信信号の検出が困難となる。
【0014】
そこで、本発明は、直流電流信号を一方向に絶縁伝送する絶縁型信号伝送装置において、交流通信信号を双方向に適切に絶縁伝送できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の絶縁型信号伝送装置は、直流電流信号を検出する電流検出抵抗を含み、検出された前記直流電流信号を一方向に絶縁伝送する直流信号経路を備えた絶縁型信号伝送装置であって、前記直流電流信号を遮断し、絶縁トランスによって交流通信信号を双方向に絶縁伝送する通信信号経路と、前記電流検出抵抗と前記通信信号経路との間に設けられたインダクタ部材と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、前記通信信号経路には、固定抵抗と可変抵抗の並列回路よりなる信号帯域調整回路が直列接続されたことを特徴とする。
【0017】
本発明の絶縁型信号伝送装置では、インダクタ部材を用いることにより、通信信号を直流信号経路から分離している。このため、通信信号が電流検出抵抗の影響を受けることがなくなり、交流通信信号を双方向に適切に絶縁伝送できるようになる。ここで、前記インダクタ部材は、巻線コイルあるいは半導体回路で構成することができる。
【0018】
そして、通信信号に自由振動が重畳されて通信できなくなった場合、信号帯域調整回路を構成している可変抵抗の抵抗値を調整することにより自由振動は停止し、通信が可能になる。
【0019】
また、本発明の絶縁型信号伝送装置は、フィールド機器から上位機器に前記直流電流信号を絶縁伝送し、前記交流通信信号を双方向に絶縁伝送する場合に、特に効果的に適用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、直流電流信号を一方向に絶縁伝送する絶縁型信号伝送装置において、交流通信信号を双方向に適切に絶縁伝送できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態における絶縁型信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】フィールド機器の直流電流信号出力側の構成例を示すブロック図である。
【図3】上位機器の直流電流信号入力側の構成例を示すブロック図である。
【図4】巻線コイルのインダクタに代え、擬似インダクタ回路を用いた絶縁型信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図5】自由振動の説明図である。
【図6】自由振動対策を施した絶縁型信号伝送装置100の主要部分の具体的な回路例図である。
【図7】信号帯域調整回路を構成する可変抵抗VRの実装例図である。
【図8】通信信号の伝送に絶縁アンプを用いた絶縁型信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図9】通信信号の伝送にトランスを用いた絶縁型信号伝送装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における絶縁型信号伝送装置100の構成を示すブロック図である。絶縁型信号伝送装置100は、通信信号の伝送に、発振や損失の問題が生じないトランスT1を用いており、図8および図9に示したブロック図と同じ構成については、同じ符号を用いている。
【0023】
本図に示すように、フィールド機器200と上位機器300との間で信号を伝送する絶縁型信号伝送装置100は、フィールド機器200から上位機器300に4〜20mAの直流電流信号を絶縁伝送する直流信号の経路と、双方向で通信信号を絶縁伝送する通信信号の経路とを備えている。
【0024】
また、本実施形態における絶縁型信号伝送装置100は、フィールド機器200から上位機器300への通信信号が、直流電流信号検出のための電流検出抵抗R1に流れないようにインダクタL1が設けられている。インダクタL1は、通信信号の周波数帯域において十分高いインピーダンスを持つような値が設定されている。
【0025】
フィールド機器200から絶縁型信号伝送装置400に入力された直流電流信号は、インダクタL1を通り、電流検出抵抗R1で電圧信号に変換される。そして、バッファとして機能するオペアンプOp1を介してパルス幅変調回路PWMに入力され、パルス幅変調回路PWMでパルス幅変調されたパルス列に変換される。
【0026】
パルス幅変調されたパルス列は、フォトカプラPC1で絶縁されて上位機器300側に伝送され、ローパスフィルタLPFで平滑化されて直流電圧に変換される。ローパスフィルタLPFから出力された直流電圧は、オペアンプOp2、MOS−FETQ1、抵抗R2で構成される定電流回路に入力され、MOS−FETQ1から電流信号として出力される。
【0027】
ただし、フィールド機器200から上位機器300への直流電流信号の伝送は、フォトカプラPC1を用いた本例に限られず、種々の手法を用いることができる。
【0028】
フィールド機器200から上位機器300への通信信号は、コンデンサC1で、直流電流信号から分離され、トランスT1によって上位機器300側に絶縁伝送される。上位機器300からフィールド機器200への通信信号は、コンデンサC1を介して、トランスT1によってフィールド機器200側に絶縁伝送される。
【0029】
通信信号の周波数帯域が数10Hz〜数KHzであり、トランスT1の巻線比を1:1とすると、フィールド機器200側から見た通信信号周波数帯域における線路インピーダンスは、交流信号を遮断するインダクタL1を用いているため、フィールド機器200の出力インピーダンスRo、上位機器300の入力インピーダンスRiが並列になったものとなる。すなわち、電流検出抵抗R1は通信信号から分離されることになる。
【0030】
一般に、フィールド機器200の出力インピーダンスRoは十分大きいため、フィールド機器200側から見た通信信号周波数帯域における線路インピーダンスは、上位機器300の入力インピーダンスRiだけで決まり、電流検出抵抗R1の影響を受けない。したがって、上位機器300での通信信号の検出を適切に行なうことができるようになる。
【0031】
また、上位機器300側から見た通信信号周波数帯域における線路インピーダンスは、フィールド機器200の出力インピーダンスRoが十分高いため、やはり上位機器300の入力インピーダンスRiだけで決まり、電流検出抵抗R1の影響を受けず、フィールド機器200での通信信号の検出を適切に行なうことができる。
【0032】
このため、本実施形態によれば、直流電流信号を一方向に絶縁伝送する絶縁型信号伝送装置100において、交流通信信号を双方向に適切に絶縁伝送できるようになる。
図2は、フィールド機器200の直流電流信号出力側の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、フィールド機器200は、4〜20mAの直流電流信号を出力する直流電流源201と、上位機器300に伝送する通信信号を送信する通信信号送信器202と、上位機器300から伝送された通信信号を受信するオペアンプOp21とを備えている。また、直流電流信号と通信信号を分離するために、コンデンサC21、コンデンサC22が用いられている。このような構成により、フィールド機器200の出力インピーダンスは高インピーダンスとなっている。
【0033】
図3は、上位機器300の直流電流信号入力側の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、上位機器300は、4〜20mAの直流電流信号を検出する抵抗R31と、抵抗R31に生じた電圧によって直流電流信号を入力するオペアンプ31と、フィールド機器200に伝送する通信信号を送信する通信信号送信器301と、フィールド機器200から伝送された通信信号を受信するオペアンプOp32とを備えている。また、直流電流信号と通信信号を分離するために、コンデンサC31、コンデンサC32が用いられている。このような構成により、上位機器300の入力インピーダンスは低インピーダンスとなっている。
【0034】
ところで、図1に示した巻線コイルのインダクタL1を用いた構成では、例えば、0.5Hといったような比較的大きなインダクタンス値が必要になることと、直流信号が流れても鉄心が磁気飽和してはいけないことから、インダクタL1の形状寸法が大きくなってしまう。
【0035】
そこで、巻線コイルのインダクタL1に代えて、図4に示すように半導体回路で構成された擬似インダクタ回路を用いるようにしてもよい。本図の例では、MOS−FETQ2、抵抗Rg、抵抗R1、コンデンサCgで擬似インダクタ回路を構成しており、等価的なインダクタンス値は、L=Rg・Cg・R1[H]であり、純インダクタLに抵抗R1が直列になったものと等価である。
【0036】
例えば、Rg=100kΩ、Cg=0.1μF、R1=100Ωとすると、等価インダクタンス値は、1Hとなり、巻線コイルに比べて小型軽量で安価に構成することができる。
【0037】
なお、擬似インダクタ回路は、MOSFETに限られず、バイポーラトランジスタやオペアンプを用いて構成するようにしてもよいし、その他の回路を用いて構成するようにしてもよい。
【0038】
また、絶縁型信号伝送装置100の通信信号経路に着目すると、通信信号に対してはトランスT1内部のL成分が見えている。この結果、通信信号に対して、コンデンサC1のC成分とトランスT1内部のL成分とでLC回路が構成されて、このLC回路は通信信号に対して図5に示すような自由振動を発生することになる。
【0039】
通信信号にこのような自由振動が重畳されると、フィールド機器200や上位機器300が通信信号を認識しないことがある。
【0040】
通信信号規格として、通信信号に自由振動が重畳した場合の所定の仕様が具体的に制定されているが、所定の仕様を満たしていない製品が実際には存在し、通信信号の伝送が安定に行なわれないことがある。
【0041】
フィールド機器200と上位機器300間の配線や通信条件によっては前述のLC回路の値はさらに変化し、通信信号経路全体から見れば不明となるが、それらに対しても通信信号に自由振動が重畳されないように自由振動の発生を抑えることが望ましい。
【0042】
図6は、このような対策を施した絶縁型信号伝送装置100の主要部分の具体的な回路例図であり、図1と同じ構成については、同じ符号を用いている。
【0043】
本図に示すように、コンデンサC2の後段には、固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路が直列に接続されている。すなわち、従来のLC回路に抵抗回路Rが接続されて、RLC回路が構成されることになる。
【0044】
本来、抵抗回路Rは、フィールド機器200に対する純粋な負荷になるため、抵抗回路Rの接続は好ましくない。ただし、安全保持器や配線抵抗などは許容しなければならないことから、通信信号規格として許容抵抗値を設けている。したがって、固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路の抵抗値Rは通信信号規格の許容抵抗値を超えないようにする必要がある。
【0045】
本図のように絶縁型信号伝送装置100をRLC回路にした場合、自由振動に対するそれぞれの条件は以下のように表すことができる。
1)自由振動モード
2<4L/C (1)
2)非振動モードで最も早く安定
2=4L/C (2)
3)非振動モード
2>4L/C (3)
【0046】
ここで、RLC回路のL成分およびC成分について、絶縁型信号伝送装置100内に関しては把握できるが、フィールド配線が持つ成分や接続先であるフィールド機器200および上位機器300が持つ成分は分からない。そこで、固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路で構成されるR成分を調整することで(2)式または(3)式の条件を満たすようにして、自由振動の発生を抑える。
【0047】
すなわち、本図のようにR成分として可変抵抗VRを含む構成にすることにより、固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路の抵抗値Rが通信信号規格の許容抵抗値を超えないようにすることができ、自由振動の発生を抑えるRLC回路が実現できる。本図の構成により自由振動の発生を抑えているが、実際には信号帯域を調整しているともいえる。周波数特性から見ると、LC共振点を抑えていることになる。すなわち、固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路は、信号帯域調整回路を構成している。
【0048】
具体例について説明する。本図のコンデンサC1のC成分を2.2μF、トランスT1のL成分を0.175H、可変抵抗VRの抵抗値を1kΩ、固定抵抗FRを220Ωとする。
【0049】
通常時は、R成分は好ましくないため、可変抵抗VRの抵抗値を0Ωにして使用する。可変抵抗VRと固定抵抗FRは並列接続されているので、R成分は0Ωになる。この状態では、通信信号には自由振動が重畳する。重畳した自由振動が原因で、フィールド機器200や上位機器300が通信信号を認識しない場合には、可変抵抗VRの抵抗値を0Ωから増加させる。このようにして、R成分が前述の(2)式または(3)式の条件を満たす位置まで可変抵抗VRの抵抗値を調整すると、自由振動は停止する。これにより、フィールド機器200または上位機器300は通信信号を認識できるようになり、通信が可能になる。
【0050】
もし、ユーザーが誤って可変抵抗VRを回しすぎて壊した場合でも、固定抵抗FRの抵抗値を通信信号規格の許容抵抗値を超えない値(例えば220Ω)に設定しておくことにより、通信信号規格の許容抵抗値を超えることはない。
【0051】
図7は、信号帯域調整回路を構成する可変抵抗VRの実装例図である。本図において、可変抵抗VRは、外部から直接抵抗値を可変調整できるように、絶縁型信号伝送装置100が実装されているプリント基板に実装される。
【0052】
なお、可変抵抗VRは、例えば回転やスライドにより無段階で連続的に調整できるように構成された抵抗器であってもよいし、例えばロータリースイッチ等で段階的に調整できるように構成された抵抗器であってもよい。
【0053】
さらに、図6では、巻線コイルのインダクタL1を用いた図1の回路のコンデンサC2の後段に固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路を直列に接続する例を説明したが、半導体回路で構成された擬似インダクタ回路を用いた図4の回路のコンデンサC2の後段に固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路を直列に接続してもよいし、これらインダクタ部材が設けられていない図8や図9の回路のコンデンサC2の後段に固定抵抗FRと可変抵抗VRの並列回路を直列に接続してもよく、これらいずれの場合にも可変抵抗VRの抵抗値を調整することにより通信信号に自由振動が重畳されないように自由振動の発生を抑えることができる。
【0054】
また、本発明は、上位機器300が高インピーダンスのRoとなり、フィールド機器200が低インピーダンスのRiとなった構成時においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィールド機器200から上位機器300に対して、直流電流信号と通信信号とを完全に分離して伝送することができるため、通信信号が、直流信号経路内の電流検出抵抗の影響を受けることがなくなり、適切に上位機器300で検出されるようになる。
【符号の説明】
【0056】
100 絶縁型信号伝送装置
200 フィールド機器
300 上位機器
400 絶縁型信号伝送装置
420 絶縁型信号伝送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流信号を検出する電流検出抵抗を含み、検出された前記直流電流信号を一方向に絶縁伝送する直流信号経路を備えた絶縁型信号伝送装置であって、
前記直流電流信号を遮断し、絶縁トランスによって交流通信信号を双方向に絶縁伝送する通信信号経路と、
前記電流検出抵抗と前記通信信号経路との間に設けられたインダクタ部材と、を備えたことを特徴とする絶縁型信号伝送装置。
【請求項2】
前記インダクタ部材は、巻線コイルあるいは半導体回路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁型信号伝送装置。
【請求項3】
フィールド機器から上位機器に前記直流電流信号を絶縁伝送し、前記交流通信信号を双方向に絶縁伝送することを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁型信号伝送装置。
【請求項4】
前記通信信号経路には、固定抵抗と可変抵抗の並列回路よりなる信号帯域調整回路が直列接続されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の絶縁型信号伝送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−239362(P2011−239362A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263166(P2010−263166)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】