説明

絶縁塗料及び絶縁電線

【課題】耐熱性、絶縁皮膜と導体との密着性が高く、かつ低誘電率であり、コロナ放電の発生抑制に優れた絶縁皮膜が得られる絶縁塗料及び絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体上に塗布、焼付されて絶縁皮膜を形成する絶縁塗料において、下記式(1)
【化1】


で表されるポリイミド樹脂からなり、式(1)中のXが芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基であり、式(1)中のY1が芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基であり、式(1)中のY2がフルオレン構造を有する2価の芳香族基であり、式(1)におけるY1とY2の配合比が、モル比で30/70〜80/20である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体上に塗布、焼付して絶縁皮膜を形成するための絶縁塗料及び絶縁電線に係り、特に、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料及び絶縁電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータや変圧器などのコイルに用いられている絶縁電線として、導体上に絶縁塗料を塗布、焼付し、単層あるいは多層からなる絶縁皮膜が形成されているものがある。
【0003】
この絶縁電線は、巻線にするなどして大容量、大型の電気機器、あるいは重電機器のコイルとして広く実用されている。例えば、モータやトランスなどを作製する場合、一般的には、モータのコア(磁芯)のスロットに、連続的に絶縁電線をコイル状に巻回して形成したり、あるいは絶縁電線をコイル状に巻いたものをコアのスロットに嵌合、挿入したりする方法が主流であった。
【0004】
一方、小型で、かつ高密度の磁束が要求される電気機器のコイル、例えば自動車の発電機などのコイルの場合、絶縁電線を連続的に巻いて巻き数の多い長尺のコイルを形成するのではなく、断面積の大きな(外径の大きい)絶縁電線、あるいは平角導体を有する絶縁電線などのようなコイルの形状に合致した断面形状を有する短尺の絶縁電線を用い、その絶縁電線の端末部分を溶接により繋ぎ合わせて長尺のコイルを形成する方法が提案されている。
【0005】
これらのコイルに用いられる絶縁電線としては、導体の周りにポリエステルイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布、焼付して絶縁皮膜を設け、その絶縁皮膜の周りにポリアミドイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布、焼付して絶縁皮膜を設けた絶縁電線や、導体の周りにポリアミドイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布、焼付して絶縁皮膜を設けたのみの絶縁電線が主に用いられている。
【0006】
また、導体の周りにポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布、焼付して絶縁皮膜を設け、その絶縁皮膜の周りにポリアミドイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布、焼付して絶縁皮膜を設けた絶縁電線なども、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂の連続耐熱区分が180〜220℃クラスと高いことから、耐熱性と機械的強度とを向上させた絶縁電線として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料で形成された絶縁皮膜を有する絶縁電線としては、例えば、4,4’−オキシジフタル酸二無水物および芳香族エーテル系ジアミンを原料モノマとし、この原料モノマを用いてポリイミド前駆体を合成し、熱を加えてイミド化したポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を導体上に塗布、焼付した絶縁電線が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、4,4’−オキシジフタル酸二無水物および芳香族エーテル系ジアミン、シリコーンジアミンを原料モノマとしたポリイミド樹脂からなる絶縁塗料も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
ところで、近年では、電気機器は、小型化、高性能化に伴って、高電圧のインバータ制御によって使用される傾向にある。このように、電気機器をインバータ制御する場合、このインバータ制御によって発生するインバータサージ電圧がモータに侵入し、モータの絶縁システムに悪影響を及ぼす。
【0010】
ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂からなる絶縁皮膜を有する絶縁電線は、優れた耐熱性を有する反面、極性が高いことから誘電率が高く、この絶縁電線をモータに用いた場合、インバータサージ電圧に起因して発生するコロナ放電によって絶縁皮膜の劣化が促進される問題がある。
【0011】
このようなインバータサージ電圧による絶縁皮膜の劣化を防ぐためには、絶縁皮膜がコロナ放電開始電圧以上の絶縁性能を有していればよい。つまり、絶縁皮膜のコロナ放電開始電圧を高くすることで、コロナ放電を抑制して絶縁皮膜(絶縁電線)の寿命を長くすることができる。
【0012】
絶縁皮膜のコロナ放電開始電圧を高くする方法としては、絶縁皮膜の厚膜化、絶縁皮膜の低誘電率化が挙げられる。絶縁皮膜を低誘電率化する方法としては、例えば、フッ素系ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を導体表面に塗布、焼付して絶縁皮膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0013】
【特許文献1】特開平5−130759号公報
【特許文献2】特開2001−31764号公報
【特許文献3】特開平10−231425号公報
【特許文献4】特開2002−56720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、絶縁皮膜のコロナ放電開始電圧を高くするために、フッ素系ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を用いて導体表面に絶縁皮膜を形成した場合、絶縁皮膜の誘電率は低くなるものの、導体との密着性に劣るため、導体と絶縁皮膜の間で皮膜浮きが発生し、低い電圧で絶縁破壊が発生してしまう場合があるという問題がある。
【0015】
また、特許文献2に記載の芳香族エーテル系ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を用いて絶縁皮膜を形成した場合、絶縁皮膜の熱可塑性が強いため、高温での弾性率低下が顕著となり、軟化温度が低く、耐熱性に劣る場合があるといった問題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、耐熱性、導体との密着性が高く、かつ低誘電率であり、コロナ放電の発生抑制に優れた絶縁皮膜が得られる絶縁塗料及び絶縁電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、導体上に塗布、焼付されて絶縁皮膜を形成する絶縁塗料において、下記式(1)
【0018】
【化1】

【0019】
で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂からなり、前記式(1)中のXが下記式
【0020】
【化2】

【0021】
で表される芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基であり、前記式(1)中のY1が下記式
【0022】
【化3】

【0023】
で表される芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基であり、前記式(1)中のY2が下記式
【0024】
【化4】

【0025】
で表されるフルオレン構造を有する2価の芳香族基であり、前記式(1)におけるY1とY2の配合比が、モル比で30/70〜80/20である絶縁塗料である。
【0026】
請求項2の発明は、前記式(1)におけるmとnの比m/nが、0.4≦m/n≦4.0である請求項1記載の絶縁塗料である。
【0027】
請求項3の発明は、前記芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1が、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンのいずれかであり、前記フルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2が、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレンである請求項1または2記載の絶縁塗料である。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1〜3いずれかに記載の絶縁塗料を、導体上に直接または内層絶縁皮膜を介して、塗布、焼付してなる絶縁皮膜を有する絶縁電線である。
【0029】
請求項5の発明は、前記内層絶縁皮膜は、シランカップリング剤を導体上に塗布、焼付して形成されている請求項4記載の絶縁電線である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、耐熱性、導体との密着性が高く、かつ低誘電率であり、コロナの発生抑制に優れた絶縁皮膜を得ることができる絶縁塗料及びそれを用いた絶縁電線を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明者らは、絶縁皮膜の耐熱性、導体との密着性が高く、かつ誘電率を低くすることができ、コロナの発生抑制や絶縁破壊特性に優れ、特にモータや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を鋭意検討した結果、芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基と芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基およびフルオレン構造を有する2価の芳香族基を含むポリイミド樹脂からなり、芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基とフルオレン構造を有する2価の芳香族基との配合比がモル比で30/70〜80/20である絶縁塗料を導体上に直接または他の絶縁層を介して塗布、焼付することで達成可能であることを見出し、本発明に至った。
【0032】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0033】
まず、本実施の形態に係る絶縁塗料を説明する。
【0034】
本実施の形態に係る絶縁塗料は、導体上に塗布、焼付されて絶縁皮膜を形成するものであり、下記式(1)
【0035】
【化5】

【0036】
で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂からなる。
【0037】
上記式(1)において、Xは下記式
【0038】
【化6】

【0039】
で表される芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基であり、Y1は下記式
【0040】
【化7】

【0041】
で表される芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基、Y2は下記式
【0042】
【化8】

【0043】
で表されるフルオレン構造を有する2価の芳香族基である。
【0044】
芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基Xとしては、例えば、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)などが挙げられる。
【0045】
芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1としては、例えば、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)などが挙げられる。
【0046】
フルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2としては、例えば、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA)などが挙げられる。
【0047】
上記式(1)におけるmとnの比m/n(m、nは変数)は、0.4≦m/n≦4.0である。
【0048】
m/nを0.4≦m/n≦4.0とするのは、m/n<0.4であると、剛直成分となるフルオレン構造が増加するため、ポリイミド主鎖の柔軟性が低下してしまう。このため、180°耐折性(可とう性)が大幅に低下してしまう。一方、m/n>4.0であると、芳香族エーテル構造が増加するため、ガラス転移温度が低下し、熱可塑性が発現し易くなる。このため、熱による絶縁皮膜の劣化は発現しないものの、絶縁皮膜が低温領域から軟化・変形してしまい、耐熱変形性を有する絶縁皮膜としての特性を発現しない場合があるためである。
【0049】
また、上記式(1)における芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1とフルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2の配合比は、モル比で30/70〜80/20であるとよい。これは、芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1とフルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2の配合比がモル比で30/70未満であると、剛直成分となるフルオレン構造が増加するため、ポリイミド主鎖の柔軟性が低下してしまう。このため、180°耐折性(可とう性)が低下してしまう。一方、80/20を超えると、芳香族エーテル構造が増加するため、ガラス転移温度が低下し、熱可塑性が発現し易くなる。このため、絶縁皮膜が低温領域で軟化、変形が始まるなど、耐熱変形性が低下してしまうためである。
【0050】
絶縁塗料は、上述の各樹脂と溶剤とからなり、溶剤中で合成される。溶剤としては、N−メチル−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、アニソール、ジオキソラン、ブチルセルソルブアセテート、ラクトン系などが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0051】
溶剤中に上述の各樹脂を溶解させ、これらを室温で所定時間(例えば5時間)攪拌機などで攪拌しつつ反応させると、ポリイミド樹脂からなる本実施の形態に係る絶縁塗料が得られる。
【0052】
また、必要に応じ、導体との密着性をさらに向上させるために、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、特に限定しないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが好ましい。
【0053】
次に、本実施の形態に係る絶縁塗料を用いた絶縁電線を説明する。
【0054】
本実施の形態に係る絶縁電線は、導体と、その導体上に直接または他の絶縁層を介して、上述の絶縁塗料を塗布、焼付してなる絶縁皮膜とを有する。
【0055】
導体は、例えば、軟銅線からなる。導体としては、断面積の大きな(外径の大きい)もの、あるいは平角導体など、コイルの形状に合致した断面形状を有するものを用いてもよい。
【0056】
本実施の形態では、導体と絶縁皮膜との接着性をより高めるため、絶縁皮膜の内周(導体の外周)にシランカップリング剤を用いて内層絶縁皮膜を形成してもよい。
【0057】
また、耐傷性を向上させるために、必要に応じて最外層(絶縁皮膜の外周)に潤滑性を有する外層絶縁皮膜を設けてもよい。外層絶縁皮膜は、例えば、ポリアミドイミドなどからなる。
【0058】
本実施の形態に係る絶縁電線を製造する際は、まず、導体の外周にシランカップリング剤を塗布し、これを加熱炉などで加熱して内層絶縁皮膜を形成する。その後、ダイスなどで内層絶縁皮膜の外周に絶縁塗料を塗布し、これを加熱炉などで焼成(焼付)すると、本実施の形態に係る絶縁電線が得られる。
【0059】
本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
本実施の形態に係る絶縁塗料は、下記式(1)
【0061】
【化9】

【0062】
で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂からなり、上記式(1)中のXが下記式
【0063】
【化10】

【0064】
で表される芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基であり、一般式(1)中のY1が下記式
【0065】
【化11】

【0066】
で表される芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基であり、一般式(1)中のY2が下記式
【0067】
【化12】

【0068】
で表されるフルオレン構造を有する2価の芳香族基であり、式(1)におけるY1とY2の配合比が、モル比で30/70〜80/20である。
【0069】
このような構造のポリイミド樹脂を用いることにより、ガラス転移温度や銅との密着性を低下させずにイミド濃度を低下させることができるため、絶縁皮膜の耐熱性(耐熱変形性)、導体との高密着性を維持し、低誘電率化を達成することができる。よって、導体上に本発明の絶縁塗料を塗布・焼付して絶縁皮膜を形成することにより、耐熱性、導体と絶縁皮膜との密着性、コロナの発生抑制や絶縁破壊特性に優れた絶縁電線が得られる。
【0070】
また、本実施形態に係る絶縁塗料では、一般式(1)におけるmとnの比m/nを0.4≦m/n≦4.0としている。これにより、可とう性(180°耐折性)、かつ、耐熱劣化性と耐熱変形性との両方の耐熱性を向上させることができる。よって、導体上に本発明の絶縁塗料を塗布・焼付して絶縁皮膜を形成することにより、可とう性(180°耐折性)、耐熱性、導体との密着力、低誘電率、高絶縁破壊電圧、および500kV/mm課電後外観性能に優れ、特にモータや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を得ることができる。
【0071】
さらに、本実施形態に係る絶縁電線では、絶縁皮膜の内周にシランカップリング剤を用いて内層絶縁皮膜を形成している。これにより、導体と絶縁皮膜の密着性をより向上させることができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0073】
(実施例1)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)205.3g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)174.3g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2759gを加え、室温で5時間反応させた。
【0074】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分で加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0075】
(実施例2)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R;分子量292.3)146.2g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)174.3g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2523gを加え、室温で5時間反応させた。
【0076】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0077】
(実施例3)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q;分子量292.3)146.2g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)174.3g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2523gを加え、室温で5時間反応させた。
【0078】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0079】
(実施例4)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)123.2g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)243.9g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2708gを加え、室温で5時間反応させた。
【0080】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0081】
(実施例5)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)328.4g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)69.7g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2832gを加え、室温で5時間反応させた。
【0082】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0083】
(比較例1)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)348.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2634gを加え、室温で5時間反応させた。
【0084】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0085】
(比較例2)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)410.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2882gを加え、室温で5時間反応させた。
【0086】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0087】
(比較例3)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)369.5g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)34.8g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2817gを加え、室温で5時間反応させた。
【0088】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0089】
(比較例4)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP;分子量410.5)82.1g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)278.8g、N−メチル−2−ピロリドン2684gを加え、室温で5時間反応させた。
【0090】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0091】
(比較例5)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および1,4−ジアミノベンゼン(PPD;分子量108.14)54.7g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)174.3g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2156gを加え、室温で5時間反応させた。
【0092】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0093】
(比較例6)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R;分子量292.3)263.1g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)34.8g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2432gを加え、室温で5時間反応させた。
【0094】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0095】
(比較例7)
攪拌機を取りつけた5Lのセパラブル3つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた。その3つ口フラスコに4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA;分子量310.21)310.0g、および1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q;分子量292.3)263.1g、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレン(FDA;分子量348.44)34.8g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン2432gを加え、室温で5時間反応させた。
【0096】
攪拌機の回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜回転数を低下させ、ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を得た。横断面視で丸形状の銅導体上に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBE−903;信越化学社製)の1%水溶液を塗布し、遠赤外加熱炉により100℃×5分加熱することで、1μmの内層絶縁皮膜を設けた。その後、塗出ダイスを通して内層絶縁皮膜の周りに上記ポリイミド樹脂からなる絶縁塗料を塗布し、これを240℃×1分、340℃×1分焼成することで、絶縁皮膜を被覆した。この操作を14回繰り返し、被覆厚31μmの絶縁電線を作製した。
【0097】
以上の実施例1〜5および比較例1〜7の絶縁塗料、絶縁電線を用い、以下に基づいて評価を行った。
【0098】
(1)可とう性評価:フィルム状に成型した、2mm×100mmの試験短冊片を180°に折り曲げ、10回繰り返した後の割れ発生有無を評価した。
【0099】
(2)ガラス転移温度:得られた絶縁塗料を用いて30mm×5mmのサイズのフィルムを作製し、アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性装置DVA−200を用い、周波数10Hz、昇温速度3℃/分の条件で、室温から400℃までの温度領域において測定した弾性率の変曲点をガラス転移温度とした。
【0100】
(3)5%重量減少温度:得られた絶縁塗料を用いて重量が10mgのフィルムを作製し、このフィルムをプラチナ製サンプルパンに入れ、セイコーインスツル(株)製の示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA320を使用して、空気中、100ml/分流量、昇温速度10℃/分の条件で、室温から800℃まで熱分析し、フィルムの重量が5%減少した時点の温度を、5%重量減少温度として求めた。
【0101】
(4)銅密着力:密着力評価用の銅基板に塗料を塗布・焼付し、幅10mmの試験短冊片をテンシロン測定機で引剥強さを測定し、密着力を評価した。
【0102】
(5)誘電率:フィルム状に成型した、2mm×100mmの試験短冊片を空洞共振器摂動法(S−パラメータネットワークアナライザ8720ES;アジレント社製)を用い、周波数10GHzの誘電率を測定した。
【0103】
(6)絶縁破壊電圧:絶縁皮膜を黄銅製平行平板電極30mmφで挟み、初期電圧1kVから0.5kV/minの割合で昇圧し、破壊時の電圧を測定した。
【0104】
(7)500kV/mm課電後の外観:得られた絶縁電線(絶縁皮膜の厚さ;31μm)を黄銅製平行平板電極30mmφで挟み、初期電圧1kVから0.5kV/minの割合で15.5kVの電圧まで昇圧させた後、絶縁皮膜の外観を走査型電子顕微鏡で観察し、亀裂の有無を観察した。
【0105】
実施例1〜5の絶縁塗料および絶縁電線の評価結果を表1に示す。また、比較例1〜7の絶縁塗料および絶縁電線の評価結果を表2に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
表1に示すように、本発明に係る絶縁塗料を用いて作製した実施例1〜5の絶縁電線は、従来のポリイミド絶縁皮膜を有する絶縁電線と同様の耐熱性を有すると共に、絶縁皮膜の誘電率が2.8以下で、従来のポリイミド絶縁皮膜よりも低い誘電率を有することが分かる。これに加え、実施例1〜5では、可とう性、導体との密着性、および絶縁破壊電圧も優れていることが分かる。
【0109】
これに対して、表2に示すように、芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1を含まない比較例1は可とう性が低く、フルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2を含まない比較例2は絶縁破壊電圧が低下している。
【0110】
また、芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1とフルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2の配合比が、モル比で80/20を超えている比較例3、6、7では、絶縁破壊電圧が低下しており、30/70未満である比較例4では可とう性が低下している。
【0111】
さらに、芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1に替えて、芳香族エーテル構造のないPPDを用いた比較例5では、可とう性が低下している。
【0112】
以上の実験結果から、本発明によれば、耐熱性、導体との密着性が良好で、かつ誘電率の低い絶縁皮膜が得られることが確認できる。
【0113】
よって、本発明の絶縁塗料を用いることにより、絶縁皮膜(ポリイミド樹脂)の可とう性や耐熱性などの諸特性を維持し、コロナ放電の発生抑制や絶縁特性に優れ、特に、モータや変圧器などのコイル用として好適な絶縁電線を提供することができる。
【0114】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体上に塗布、焼付されて絶縁皮膜を形成する絶縁塗料において、下記式(1)
【化1】

で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂からなり、前記式(1)中のXが下記式
【化2】

で表される芳香族エーテル構造を有する4価の芳香族基であり、前記式(1)中のY1が下記式
【化3】

で表される芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基であり、前記式(1)中のY2が下記式
【化4】

で表されるフルオレン構造を有する2価の芳香族基であり、前記式(1)におけるY1とY2の配合比が、モル比で30/70〜80/20であることを特徴とする絶縁塗料。
【請求項2】
前記式(1)におけるmとnの比m/nが、0.4≦m/n≦4.0である請求項1記載の絶縁塗料。
【請求項3】
前記芳香族エーテル構造を有する2価の芳香族基Y1が、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンのいずれかであり、前記フルオレン構造を有する2価の芳香族基Y2が、9,9−ビス−4−(アミノフェニル)フルオレンである請求項1または2記載の絶縁塗料。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の絶縁塗料を、導体上に直接または内層絶縁皮膜を介して、塗布、焼付してなる絶縁皮膜を有することを特徴とする絶縁電線。
【請求項5】
前記内層絶縁皮膜は、シランカップリング剤を導体上に塗布、焼付して形成されている請求項4記載の絶縁電線。

【公開番号】特開2010−67408(P2010−67408A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231180(P2008−231180)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【出願人】(591039997)日立マグネットワイヤ株式会社 (63)
【Fターム(参考)】