説明

継手の組立装置及び組立方法

【課題】管に取り付けられる継手を精度よく組み立てるとともに、継手の良否を正確に判定する。
【解決手段】組立装置10は、継手本体3のネジ部3Gに取り付けたキャップナット4内に、管を継手本体3に固定するコレットが設けられた継手1を組み立てる。仮締め手段20は、継手本体3のネジ部3Gに対してキャップナット4を相対回転させて、ネジ部3Gとキャップナット4を所定のトルクで仮締めする。検出手段31は、継手本体3に対する仮締め後のキャップナット4の取り付け位置を検出する。判定手段は、検出手段31の検出結果に基づいて、組み立てた継手1の良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管に取り付けられる継手の組立装置と組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管(例えば、ホース)を接続するときには、管用の継手が使用される。継手は、ネジ部が形成された継手本体と、ネジ部に取り付けられたキャップナットと、キャップナット内に設けられたコレットを有する。管は、継手内に挿入されて、キャップナットと継手本体の内側に配置される。コレットは、キャップナット内で管の外周に配置される。キャップナットをネジ部にねじ込むことで、コレットが締め付けられる。管は、変形したコレットと継手本体の間に挟み込まれて、継手本体に固定される。これにより、継手が管に取り付けられる(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、継手は、組み立てられた状態で出荷されて、施工現場で使用される。継手の組み立て時には、コレットを継手本体とキャップナットの間に入れて、キャップナットを継手本体のネジ部に取り付ける。ネジ部とキャップナットを手動で仮締めして、継手を組み立てる。その際、ネジ部とキャップナットを大きなトルクで仮締めすると、変形し易いコレットがキャップナット内で変形してしまい、管を継手内に挿入できないことがある。
【0004】
これに対し、ネジ部とキャップナットを小さなトルクで仮締めすることで、コレットの変形を防止できる。しかしながら、このようにすると、コレットによる抵抗を感じることなく仮締め作業が完了するため、コレットの入れ忘れを見逃す虞がある。継手の部品の位置にバラツキが生じて、継手を適切な状態に組み立てられないこともある。従って、継手に関しては、コレットの変形や部品の位置のバラツキを防止して、精度よく組み立てることが求められている。また、人手による作業では、部品寸法の不良、ネジ部の不良、又は、ねじ込み不足を見逃す虞があり、組み立てられた継手の良否を正確に判断するのは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−90500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、管に取り付けられる継手を精度よく組み立てるとともに、継手の良否を正確に判定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、継手本体のネジ部に取り付けたキャップナット内に、管を継手本体に固定するコレットが設けられた継手の組立装置であって、継手本体のネジ部に対してキャップナットを相対回転させて、ネジ部とキャップナットを所定のトルクで仮締めする仮締め手段と、継手本体に対する仮締め後のキャップナットの取り付け位置を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、組み立てた継手の良否を判定する判定手段と、を備えた継手の組立装置である。
また、本発明は、継手本体のネジ部に取り付けたキャップナット内に、管を継手本体に固定するコレットが設けられた継手の組立方法であって、継手本体のネジ部に対してキャップナットを相対回転させる工程と、キャップナットの相対回転により、ネジ部とキャップナットを所定のトルクで仮締めして継手を組み立てる工程と、継手本体に対する仮締め後のキャップナットの取り付け位置を検出手段により検出する工程と、検出手段の検出結果に基づいて、組み立てた継手の良否を判定する工程と、を有する継手の組立方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管に取り付けられる継手を精度よく組み立てることができる。また、継手の良否を正確に判定することができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の継手を示す斜視図である。
【図2】組み立て後の継手を示す図である。
【図3】本実施形態の継手の組立装置を示す正面図である。
【図4】組み立て後の複数の継手を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の継手の組立装置(以下、組立装置という)と組立方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、管(例えば、ホースやパイプ)用の継手を、管に取り付けられる前の状態に予め組み立てる。継手は、管同士又は管と他の部材を接続する管継手であり、管の端部に取り付けられる。継手は、組立装置により、管への取り付け前の状態に仮組みされる。組立装置により継手を組み立てて、組み立てられた継手を製造する。
【0011】
図1は、本実施形態の継手を示す斜視図である。図1では、分解した継手1を示している。図2は、組み立て後の継手1を示す図である。図2では、継手1の中心線Lの上側に継手1の断面図を示し、中心線Lの下側に継手1の正面図を示す。図2には、継手1に挿入される管(ここでは、ホース)2も、継手1と同様に、断面図と正面図で示している。
【0012】
継手1は、上記した従来の継手と同様に構成されている。継手1は、図示のように、継手本体3と、キャップナット4と、コレット5を有する。継手本体3は、ナット3Aと、内筒3Bと、外筒3Cと、内筒3Bを貫通する流路6を有する。ナット3Aの内面には、管(図示せず)が固定される。内筒3Bは、ナット3Aの内周部に回転可能に連結される。外筒3Cは、止め輪3Dにより、内筒3Bの外周部に保持される。外筒3Cと内筒3Bの間の空間は、管2が挿入される挿入部3Eになっている。管2は、継手本体3内の挿入部3Eに挿入される。外筒3Cのナット3A側の外周部3Fは、六角形状に形成されている。外筒3Cのキャップナット4側の外周部は、雄ネジが形成されたネジ部Gである。
【0013】
キャップナット4は、六角ナットであるナット部4Aと、キャップ部4Bを有する。ナット部4Aの内周部には、雌ネジが形成されている。ナット部4Aは、継手本体3のネジ部3Gに取り付けられる。ネジ部3Gに対して、キャップナット4を相対的に回転させることで、ネジ部3Gがキャップナット4のナット部4Aにねじ込まれる。キャップナット4は、ネジ部3Gにねじ込まれて、継手本体3に取り付けられる。キャップ部4Bは、円筒状をなし、ナット部4Aからキャップナット4の先端部に向かって次第に縮小するように形成されている。
【0014】
コレット5は、拡縮可能な円筒状部材からなる。コレット5は、複数のスリット5Aと、内周面に形成された複数の凸部5Bを有する。複数のスリット5Aにより、コレット5が、半径方向に変形し易くなる。コレット5は、継手本体3のネジ部3Gに取り付けたキャップナット4内に設けられる。コレット5は、キャップナット4と継手本体3の内筒3Bの間に配置される。キャップナット4をネジ部3Gにねじ込むと、コレット5は、キャップナット4のキャップ部4Bに押されて移動する。これにより、コレット5の一部が、外筒3Cの先端部内に入る。コレット5は、キャップナット4と外筒3Cの内面に接触する。
【0015】
管2が挿入部3Eに挿入されたときに、コレット5は、キャップナット4内で管2の外周に配置される。管2は、キャップナット4、コレット5、及び、継手本体3の内部に挿入される。その状態で、キャップナット4をねじ込むと、コレット5は、キャップ部4Bと外筒3Cの内面により締め付けられる。これにより、コレット5が、縮小するように変形する。管2は、変形したコレット5と内筒3Bの間に挟み込まれる。コレット5は、管2を締め付けて継手本体3(内筒3B)に固定する。このように、キャップナット4により継手1内のコレット5を締め付けて、継手1を管2に取り付ける。管2は、継手1に接続される。
【0016】
継手1を組立装置により組み立てるときには、コレット5を継手本体3とキャップナット4の間に入れて、キャップナット4を継手本体3のネジ部3Gに取り付ける。キャップナット4は、コレット5が変形しないように、ネジ部3Gに僅かにねじ込む。続いて、ネジ部3Gとキャップナット4を組立装置により自動で仮締めして、キャップナット4内にコレット5が設けられた継手1を組み立てる。その際、ネジ部3Gとキャップナット4は、管2を継手1内に挿入可能な所定のトルクで仮締めされる。継手1は、コレット5がキャップナット4と継手本体3に接触した状態(図2に示す状態)に組み立てられる。コレット5は、変形しない状態(又は、所定径まで僅かに変形した状態)で、継手1内に保持される。
【0017】
図3は、本実施形態の組立装置を示す正面図である。図3では、組立装置10の要部を模式的に示している。
組立装置10は、図示のように、仮締め手段20と、検査手段30と、制御手段11と、報知手段12を備えている。組立装置10は、各手段(装置)11、12、20、30により継手1を組み立てて検査する。制御手段11は、マイクロプロセッサとメモリ(ROM、RAM)を有するコンピュータを備える。制御手段11は、組立装置10の各部に接続されている。制御手段11は、組立装置10の全体を制御し、組立装置10に継手1の組み立てと検査のための動作を実行させる。
【0018】
仮締め手段20は、継手本体3のネジ部3Gに対して、ネジ部3Gに取り付けたキャップナット4を相対回転させる。これにより、ネジ部3Gとキャップナット4を所定のトルクで仮締めする。仮締めとは、ネジ部3Gとキャップナット4を、管2を継手1に挿入可能な状態に締めることである。コレット5は、管2が挿入可能な状態で継手1内に設けられる。ネジ部3Gとキャップナット4は、コレット5の抵抗によりキャップナット4の相対回転が停止するように、コレット5の締め付けに必要なトルクよりも弱いトルクで仮締めされる。仮締め時の所定のトルクは、継手1に応じて予め設定される。
【0019】
仮締め手段20は、フレーム21と、回転手段22と、固定手段27を有する。回転手段22は、継手本体3のネジ部3Gとキャップナット4のいずれか一方を回転させる。固定手段27は、ネジ部3Gとキャップナット4の他方を固定する。本実施形態では、回転手段22がキャップナット4を回転させ、固定手段27がネジ部3Gを固定する。
【0020】
回転手段22は、回転駆動装置であるモータ23と、円柱状の回転部材24を有する。モータ23は、フレーム21の内部に固定される。モータ23は、例えば、発生するトルクを制御できるサーボモータからなり、制御手段11により制御されて動作する。制御手段11は、モータ23のトルクを変更するとともに、モータ23に一定のトルクを発生させる。回転部材24は、モータ23の回転軸23Aに固定され、垂直方向に配置されている。回転部材24は、軸受け25を介して、フレーム21に取り付けられている。回転部材24の先端部には、嵌合孔26が形成されている。嵌合孔26には、キャップナット4が挿入される。嵌合孔26の一部(図3では上部)は、六角形状に形成され、キャップナット4のナット部4Aに嵌合する。回転手段22は、モータ23により回転部材24及びキャップナット4を回転させる。
【0021】
固定手段27は、回転部材24の先端部に隣接する位置で、フレーム2に固定されている。固定手段27は、保持部材28と、保持部材28を移動させる移動手段(図示せず)を有する。保持部材28は、外筒3Cに設けられた六角形状の外周部3Fに嵌合する。外筒3Cは、保持部材28により保持される。保持部材28は、移動手段により、外筒3Cを保持する位置と、外筒3Cを保持しない位置との間で移動する。固定手段27は、保持部材28により外筒3Cを保持して、ネジ部3Gを固定する。ネジ部3Gは、固定手段27の固定により、回転が防止される。仮締め手段20は、回転手段22により、固定手段27が固定するネジ部3Gに対して、キャップナット4を所定のトルクで仮締めする。
【0022】
キャップナット4を嵌合孔26に挿入することで、仮締め前の継手1が、仮締め手段20(回転手段22)に装着される。続いて、開始ボタンを押す等して、制御手段11に仮締めの開始が指示されたときに、組立装置10が継手1の仮締めを開始する。制御手段11は、設定されたプログラムに基づいて、組立装置10を制御する。その際、制御手段11は、制御プログラムに基づいて、組立装置10の制御のための処理を実行する。また、制御手段11は、検査プログラムに基づいて、後述する継手1の検査のための処理を実行する。
【0023】
仮締め手段20は、固定手段27により、継手本体3のネジ部3Gを固定する。回転手段22は、モータ23によりキャップナット4を回転させる。これにより、ネジ部3Gに対してキャップナット4を相対回転させて、キャップナット4をネジ部3Gにねじ込む。ネジ部3Gは、キャップナット4内に変位する。継手本体3は、キャップナット4側に移動して下方に変位する。キャップナット4のねじ込みに伴い、キャップナット4内のコレット5の抵抗により、キャップナット4の回転に要するトルクが次第に大きくなる。仮締め手段20は、ネジ部3Gとキャップナット4を所定のトルクで仮締めする。また、仮締めの荷重が規定荷重に達したときに、回転手段22によるキャップナット4の回転を停止する。その際、モータ23が、制御手段11により制御されて停止する。
【0024】
このように、仮締め手段20は、ネジ部3Gとキャップナット4を仮締めするトルクが所定のトルクに達したときに、キャップナット4の相対回転を停止させる手段を有する。キャップナット4の相対回転により、ネジ部3Gとキャップナット4を所定のトルクで仮締めして、仮締めされた継手1を組み立てる。ネジ部3Gとキャップナット4を所定のトルクで仮締めすることで、キャップナット4内でコレット5が変形するのが防止される。また、継手1の部品の位置にバラツキが生じるのを抑制して、継手1を正確に組み立てる。継手1は、精度よく、かつ、管2を挿入するための適切な状態に組み立てられる。
【0025】
組立装置10は、仮締めが完了したときに、検査手段30により、仮締め後(組み立て後)の継手1を検査する。
図4は、組み立て後の複数の継手1を示す図である。図4では、図2と同様に、継手1を断面図と正面図で示す。図4Aに、正常な継手1(良品)を示す。図4B〜図4Eに、異常が生じた継手1(不良品)を示す。
【0026】
図示のように、継手1は、仮締めの良否を含む継手1の良否に応じた状態に組み立てられる。これに伴い、継手本体3に対する仮締め後のキャップナット4の取り付け位置(キャップナット4の取り付け位置という)が変化する。その際、キャップナット4とネジ部3Gのねじ込み量が変化して、キャップナット4のネジ部3Gへの取り付け位置が変化する。また、継手1の一方の端部1A(図4では下端部)に対する他方の端部1B(図4では上端部)の位置7が、キャップナット4の取り付け位置に対応して変化する。継手1の高さもキャップナット4の取り付け位置に対応して変化する。
【0027】
正常に組み立てられた継手1(図4A参照)では、コレット5が上記した状態で継手1内に配置される。また、キャップナット4が、継手本体3の正常な位置に取り付けられる。その結果、キャップナット4の取り付け位置が、基準取り付け位置に一致する。基準取り付け位置は、継手本体3に対する仮締め後のキャップナット4の基準となる取り付け位置(図4Aに示す正常位置)である。継手1の端部1Bの位置7は、基準位置8に一致する。基準位置8は、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置に一致するときの端部1Bの位置7である。キャップナット4の基準取り付け位置と基準位置8は、予め設定される。
【0028】
これに対し、キャップナット4やネジ部3Gのネジが不良であるときには(図4B参照)、キャップナット4の取り付け位置が変化する。キャップナット4の取り付け位置は基準取り付け位置に一致せず、キャップナット4が継手本体3の異常な位置に取り付けられる。継手1の端部1Bの位置7も基準位置8と一致せず、端部1Bの位置7が基準位置8から外れる。端部1Bの位置7は、キャップナット4の取り付け位置と基準取り付け位置の差に対応した位置(図4Bでは、基準位置8の上方位置)になる。キャップナット4のねじ込みが不足したときにも、同様に、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置から外れる。
【0029】
コレット5がキャップナット4内で斜めになったときには(図4C参照)、コレット5によりキャップナット4のねじ込みが妨げられる。その結果、図4Bに示す継手1と同様に、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置に一致せず、継手1の端部1Bの位置7が基準位置8から外れる。端部1Bの位置7は、基準位置8の上方位置になる。
【0030】
コレット5が変形していたとき、又は、キャップナット4をねじ込みすぎてコレット5が変形したときには(図4D参照)、キャップナット4がネジ部3Gに多くねじ込まれる。その結果、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置に一致せず、継手1の端部1Bの位置7が基準位置8から外れる。端部1Bの位置7は、基準位置8の下方位置になる。コレット5を継手1内に入れ忘れたときにも(図4E参照)、同様に、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置から外れる。
【0031】
以上のように、組み立て後の継手1の良否は、キャップナット4の取り付け位置により判定できる。また、本実施形態の継手1では、端部1Bの位置7は、キャップナット4の取り付け位置に対応して変化する。検査手段30(図3参照)は、仮締め手段20の停止後、検出手段31を作動させて継手1を検査する。検出手段31は、継手1の端部1Bの位置7を検出する端部検出装置32を有する。検出手段31は、端部検出装置32により継手1の端部1Bの位置7を検出して、キャップナット4の取り付け位置を検出する。検査手段30は、継手1の端部1Bの位置7(キャップナット4の取り付け位置)により継手1の良否を検査する。
【0032】
継手1を仮締め手段20に装着すると、継手1の一方の端部1A(下端部)が、仮締め手段20により一定位置に維持される。継手1の他方の端部1B(上端部)は、キャップナット4の取り付け位置に対応して下方に移動する。端部検出装置32は、仮締め手段20に装着された継手1の端部1Bの位置7を検出する。
【0033】
端部検出装置32は、発光部32Aと受光部32Bを有する位置検出センサからなる。発光部32Aは、継手1の端部1Bに向かって光(平行光)を発生する。受光部32Bは、発光部32Aが発生した光を受光する。また、受光部32Bは、継手1の端部1Bに遮られずに受光部32Bまで達した光を受光する。受光部32Bが受光する光は、継手1の端部1Bの位置7に対応して変化する。端部検出装置32は、受光部32Bにより受光した光に基づいて、継手1の端部1Bの位置7を検出する。検査手段30は、検出手段31(端部検出装置32)の検出結果を制御手段11へ出力する。
【0034】
制御手段11は、検出手段31の検出結果に基づいて、組み立てた継手1の良否(合否)を判定する。その際、制御手段11は、継手1の端部1Bの検出位置7(図4参照)と基準位置8を比較し、位置7、8の比較結果に基づいて、継手1の良否を判定する。端部1Bの検出位置7が基準位置8に一致するとき(図4A参照)、即ち、キャップナット4の取り付け位置(検出取り付け位置)が基準取り付け位置であるときに、制御手段11は、継手1が良(合格)であると判定する。端部1Bの検出位置7が基準位置8から外れたとき(図4B〜図4E参照)、即ち、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置から外れたときに、制御手段11は、継手1が不良(不合格)であると判定する。
【0035】
制御手段11は、機能実現手段として、上記した各処理を行う手段(比較手段、判定手段等)を有する。制御手段11は、各手段により、組み立て後の継手1の良否を判定する。これにより、各種の不良が生じた継手1を見付ける。継手1の不良は、例えば、キャップナット4のネジの不良、ネジ部3Gのネジの不良、キャップナット4のねじ込み不足、コレット5の傾き、コレット5の変形、コレット5の入れ忘れ、継手1の部品寸法の不良、又は、継手1の組み立て不良である。
【0036】
制御手段11は、継手1の判定結果に応じて報知手段12を作動させる。報知手段12は、判定結果を表示する表示装置、判定結果に応じて音を発生する音発生装置、又は、判定結果に応じて光を発生する光発生装置からなる。報知手段12は、制御手段11により制御されて、判定手段である制御手段11の判定結果を報知する。報知手段12は、継手1の良否の判定毎に、良否の判定結果を報知する。或いは、報知手段12は、継手1が不良であると判定されたときに、継手1が不良であることを報知する。これにより、不良の発生を警告する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、管2に取り付けられる継手1を精度よく組み立てることができる。また、継手1の良否を正確に判定することができる。継手1の良否を、継手1の外観から容易に判定することもできる。仮締めした継手1の品質を向上させることもできる。報知手段12により継手1の判定結果を報知することで、不良の見逃しを防止できる。
【0038】
なお、キャップナット4とネジ部3Gを仮締めするときには、キャップナット4を固定して、ネジ部3Gを回転させてもよい。また、キャップナット4とネジ部3Gの両方を回転させて、ネジ部3Gに対してキャップナット4を相対回転させてもよい。ただし、ネジ部3Gとキャップナット4の一方を回転させて、他方を固定することで、仮締めを簡単に行うことができる。仮締め手段20の制御も容易になる。
【0039】
検出手段31には、撮像装置を有する端部検出装置32を設けるようにしてもよい。この場合には、撮像装置により、端部1Bを含む継手1を撮像する。撮像装置により取得した継手1の画像に基づいて、継手1の端部1Bの位置7を検出する。また、継手1の画像に基づいて、キャップナット4の取り付け位置を検出するようにしてもよい。制御手段11は、キャップナット4の取り付け位置の検出結果に基づいて、組み立て後の継手1の良否を判定する。
【0040】
継手1の長手方向の寸法(図3、図4では高さ)は、キャップナット4の取り付け位置に対応して変化する。そのため、継手1の寸法を検出する寸法検出装置を、検出手段31に設けるようにしてもよい。例えば、寸法検出装置は、継手1の画像を取得する撮像装置からなり、継手1の画像から継手1の寸法を検出する。検出手段31は、寸法検出装置により継手1の寸法を検出して、キャップナット4の取り付け位置を検出する。判定手段である制御手段11は、検出手段31の検出結果に基づいて、上記と同様に継手1の良否を判定する。
【0041】
その際、制御手段11は、継手1の検出寸法と予め設定された基準寸法を比較し、比較結果に基づいて、継手1の良否を判定する。継手1の検出寸法と基準寸法が一致するときは(図4A参照)、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置にあり、継手1が良であると判定される。継手1の検出寸法と基準寸法が一致しないときは(図4B〜図4E参照)、キャップナット4の取り付け位置が基準取り付け位置から外れており、継手1が不良であると判定される。
【0042】
キャップナット4の基準取り付け位置は、キャップナット4の所定の取り付け位置でもよく、所定の取り付け位置に許容範囲を設定した位置であってもよい。同様に、継手1の端部1Bの基準位置8は、所定の位置でもよく、所定の位置に許容範囲を設定した位置であってもよい。継手1の基準寸法は、所定の寸法でもよく、所定の寸法に許容範囲を設定した寸法であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1・・・継手、1A、1B・・・端部、2・・・管、3・・・継手本体、3A・・・ナット、3B・・・内筒、3C・・・外筒、3D・・・止め輪、3E・・・挿入部、3F・・・外周部、3G・・・ネジ部、4・・・キャップナット、4A・・・ナット部、4B・・・キャップ部、5・・・コレット、5A・・・スリット、5B・・・凸部、6・・・流路、8・・・基準位置、10・・・組立装置、11・・・制御手段、12・・・報知手段、20・・・仮締め手段、21・・・フレーム、22・・・回転手段、23・・・モータ、24・・・回転部材、25・・・軸受け、26・・・嵌合孔、27・・・固定手段、28・・・保持部材、30・・・検査手段、31・・・検出手段、32・・・端部検出装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体のネジ部に取り付けたキャップナット内に、管を継手本体に固定するコレットが設けられた継手の組立装置であって、
継手本体のネジ部に対してキャップナットを相対回転させて、ネジ部とキャップナットを所定のトルクで仮締めする仮締め手段と、
継手本体に対する仮締め後のキャップナットの取り付け位置を検出する検出手段と、
検出手段の検出結果に基づいて、組み立てた継手の良否を判定する判定手段と、
を備えた継手の組立装置。
【請求項2】
請求項1に記載された継手の組立装置において、
仮締め手段が、ネジ部とキャップナットの一方を回転させる回転手段と、ネジ部とキャップナットの他方を固定する固定手段とを有する継手の組立装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された継手の組立装置において、
仮締め手段が、ネジ部とキャップナットを仮締めするトルクが所定のトルクに達したときに、キャップナットの相対回転を停止させる手段を有する継手の組立装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された継手の組立装置において、
判定手段の判定結果を報知する報知手段を備えた継手の組立装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された継手の組立装置において、
判定手段が、仮締め後のキャップナットの取り付け位置が基準取り付け位置であるときに組み立てた継手が良であると判定する手段と、仮締め後のキャップナットの取り付け位置が基準取り付け位置から外れたときに組み立てた継手が不良であると判定する手段とを有する継手の組立装置。
【請求項6】
継手本体のネジ部に取り付けたキャップナット内に、管を継手本体に固定するコレットが設けられた継手の組立方法であって、
継手本体のネジ部に対してキャップナットを相対回転させる工程と、
キャップナットの相対回転により、ネジ部とキャップナットを所定のトルクで仮締めして継手を組み立てる工程と、
継手本体に対する仮締め後のキャップナットの取り付け位置を検出手段により検出する工程と、
検出手段の検出結果に基づいて、組み立てた継手の良否を判定する工程と、
を有する継手の組立方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−86222(P2013−86222A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230355(P2011−230355)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】