継手部の離脱防止構造と継手部の離脱防止工法及び継手部の離脱防止用内面継ぎ輪
【課題】施工現場の管内の狭い作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行う。
【解決手段】流路を構成する状態で接続される両管部1の内周面1aにわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪6が当て付けられ、両管部1と内面継ぎ輪6とが、それらの重合部分の設定連結箇所に径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結され、内面継ぎ輪6の設定連結箇所には、連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔5が予め貫通形成され、この連結孔5が、両管部1の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴7を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている。
【解決手段】流路を構成する状態で接続される両管部1の内周面1aにわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪6が当て付けられ、両管部1と内面継ぎ輪6とが、それらの重合部分の設定連結箇所に径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結され、内面継ぎ輪6の設定連結箇所には、連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔5が予め貫通形成され、この連結孔5が、両管部1の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴7を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管等の流体管同士又は流体管と仕切弁等の流体機器とが嵌合接続又はフランジ接合されている継手部、或いは、隣接配置される両流体管又は流体管と流体機器とが管継ぎ輪を介して接続されている継手部などのように、流路を構成する両管部を接続してある継手部の離脱防止構造と継手部の離脱防止工法及び継手部の離脱防止用内面継ぎ輪に関する。
【背景技術】
【0002】
既設の継手部の離脱防止構造において、それに装備されている既存の密封固定手段だけでは地震や不同沈下等に起因する大きな引抜力には対抗できない場合、離脱阻止機能の高い離脱防止構造に改造することが要望されており、その改造方法として、従来では、次の離脱防止構造及び離脱防止工法が提案されている。
【0003】
(1)特許文献1、2に示す管継手部の離脱防止方法では、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された金属製の内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪の内周面に、前記両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする。
【0004】
そして、各マーキング位置を穿孔装置の穿孔手段で径方向内方から穿孔し、内面継ぎ輪の各マーキング位置には連結孔を貫通形成するとともに、前記両管部の設定連結箇所には径方向内方に開口する連結穴を形成する。
【0005】
次に、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔と前記両管部の連結穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着し、前記両管部の管軸芯方向での相対離脱移動を阻止する状態で固定連結する。
【0006】
尚、前記内面継ぎ輪の連結孔及び両管部の連結穴に夫々雌ネジが形成されているとともに、前記連結部材の外周面に雄ネジが形成されている場合には、前記径方向で相対向する内面継ぎ輪の連結孔と両管部の連結穴とにわたって連結部材を径方向内方から螺合装着することになる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−122465号公報
【特許文献2】特開2008−075841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の管継手部の離脱防止方法では、両管部の内周面にわたって当て付けられた内面継ぎ輪の内周面に、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングし、各マーキング位置を穿孔装置の穿孔手段で径方向内方から穿孔するため、内面継ぎ輪の連結孔及び両管部の連結穴の加工に多くの手間を要する問題があった。
【0009】
また、従来の管継手部の離脱防止方法では、円周方向の一箇所のマーキング位置を穿孔すると、この穿孔で形成された内面継ぎ輪の連結孔と管部の連結穴とにわたって連結部材を装着して連結したのち、周方向で隣接する次のマーキング位置を穿孔する手順がとられているため、穿孔装置の穿孔手段を周方向に順番に移動させる必要があるが、このとき、前記穿孔装置の穿孔手段が管軸芯方向に位置ずれし易く、その都度、穿孔装置の穿孔手段の位置を周方向及び管軸芯方向で大きく修正する必要があり、穿孔作業の効率低下の一つの要因になっていた。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、施工現場の管内の狭い作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことのできる継手部の離脱防止構造と離脱防止工法及び離脱防止用内面継ぎ輪を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪が当て付けられているとともに、前記両管部と内面継ぎ輪とが、それらの重合部分の設定連結箇に所径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結されている継手部の離脱防止構造であって、
前記内面継ぎ輪の設定連結箇所には、前記連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を穿孔装置で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として、穿孔装置の穿孔手段を径方向内方から送り込んで穿孔することにより、両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0013】
従って、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と重合する内面継ぎ輪に多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングする煩雑で面倒な手間を省略することができ、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0014】
本発明による第2の特徴構成は、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方が、前記穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内するガイド面に構成されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め貫通形成されているある一つの連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔とする穿孔工程が終了して、周方向で隣接する次の連結孔又は連結長孔に穿孔装置の穿孔手段を移動させる際、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方に構成されたガイド面に沿って穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内することができるから、穿孔装置の穿孔手段の管軸芯方向での位置ずれが無い又は位置ずれが少なくなり、その分だけ次の穿孔工程に早く着手することができる。
【0016】
本発明による第3の特徴構成は、前記内面継ぎ輪が、円周方向で複数に分割された分割継ぎ輪体と、複数の分割継ぎ輪体の隣接端部同士を径方向内方側に屈曲可能に連結する連結手段とから構成されているとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に、該分割継ぎ輪体と同じ幅の隙間埋設用部材が装着可能に構成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪の管内への搬入及び搬入された分割継ぎ輪体の両管部の内周面への当て付け作業を能率良く容易に行うことができるとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に発生する隙間を隙間埋設用部材で埋めることができるから、内面継ぎ輪を周方向で複数に分割しながらも両管部の内周面に沿った所定形状に確実に維持することができる。
【0018】
特に、前述した第2の特徴構成を引用する場合では、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方に構成されたガイド面が周方向で連続することになり、前記穿孔装置の移動手段に対する内面継ぎ輪のガイド面による周方向移動案内作用の確実化、円滑化を図ることができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記内面継ぎ輪が、これの管軸芯方向の最大幅よりも小なる細幅に構成された円周方向に沿う連結部材と、当該連結部材における設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に取付けられる前記連結孔又は連結長孔を備えた連結プレートから構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪の設定連結数に相当する複数の連結プレートを細幅の連結部材で連結することにより、例えば、前記内面継ぎ輪を帯板状に構成してある場合に比して、内面継ぎ輪の軽量化による取り扱いの容易化を図ることができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記内面継ぎ輪に、前記両管部の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起が形成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に形成した位置合わせ用突起を、前記両管部の隣接端面間に嵌合させる又は少なくとも一方の隣接端面に当接させるだけで、両管部に対して内面継ぎ輪を設定装着位置に迅速、簡便に取り付けることができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記内面継ぎ輪に、これの内周面側から前記両管部の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓が形成されている点にある。
【0024】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に形成されている位置合わせ用窓を通して両管部の隣接端面を基準とする内面継ぎ輪の取付け位置を確認することができるから、両管部に対して内面継ぎ輪を設定装着位置に簡便に取り付けることができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記内面継ぎ輪の外周面には、前記両管部の内周面に当接する弾性体が設けられている点にある。
【0026】
上記構成によれば、流路を構成する状態で接続される両管部の内径が公差によって異なる場合でも、この公差による両管部の内周面の段差を前記弾性体の弾性変形量の差で吸収することが可能で、内面継ぎ輪を両管部に所定姿勢で確実に固定することができる。
【0027】
本発明による第8の特徴構成は継手部の離脱防止工法であって、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって、これとの重合部分の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔が予め貫通形成されている内面継ぎ輪を輪状又は略輪状に当て付けた状態で固定し、この内面継ぎ輪に貫通形成されている前記連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として径方向内方から挿通される穿孔装置の穿孔手段により、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成し、そのうち、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔又は連結長孔と前記両管部の連結穴又は連結長穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着することを特徴とする点にある。
【0028】
上記構成によれば、前記両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として、穿孔装置の穿孔手段を径方向内方から送り込んで穿孔することにより、両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0029】
従って、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と重合する内面継ぎ輪に多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングする煩雑で面倒な手間を省略することができ、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0030】
本発明による第9の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている点にある。
【0031】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に利用することにより、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする煩雑で面倒な手間が不要で、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0032】
本発明による第10の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔を穿孔装置の穿孔手段で形成するための穿孔位置表示用指標部が予め形成されている点にある。
【0033】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め形成されている穿孔位置表示用指標部を穿孔装置の穿孔手段で穿孔することにより、内面継ぎ輪の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔を貫通形成するとともに、両管部の設定連結箇所には径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0034】
従って、従来のようなに、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする煩雑で面倒な手間が不要で、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、水道管やガス管等の流体管Pの配管系に用いられる継手部の一例であるフランジ継手部を示し、流路方向に沿って隣接配置される鋳鉄製の両流体管Pの接続管部1に形成された連結フランジ部1A同士を突き合わせ状態でボルト2・ナット3にて固定連結するとともに、前記両連結フランジ部1Aの接合面間には、密封用のシール部材の一例であるOリング4が介装されている。
【0036】
そして、上記継手部に適用される本発明の離脱防止構造は、図1〜図4に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって、両接続管部1の厚肉管端部1Bにおける管軸芯X方向での厚肉形成領域よりも少し短い横幅で輪状又は略輪状に構成され、且つ、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形状の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を当て付け、この内面継ぎ輪6の連結孔5と、該連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に形成された径方向内方に開口する円形状の連結穴7とのうち、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0037】
さらに、前記両接続管部1の内周面1aにわたって、前記内面継ぎ輪6の横幅よりも大なる横幅に構成された円環状のゴム製の内面バンド10が装着され、この内面バンド10の管軸芯X方向両端部を両接続管部1の内周面1aに押し付け固定する圧着手段Aが設けられているとともに、前記内面バンド10と圧着手段Aとをもって、前記内面継ぎ輪6及び係合ピン8を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段が構成され、さらに、前記連結孔5と連結穴7とにわたって挿入装着された前記係合ピン8の管径方向内方側への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止手段Bが設けられている。
【0038】
前記内面継ぎ輪6は、図4〜図9に示すように、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で略1/4円弧状に構成された4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成され、隣接する分割継ぎ輪体6Aに隣接端部同士は、径方向内方側に相対屈曲揺動自在に蝶番(連結手段)6Bを介して枢支連結されているとともに、前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端面間には、それら先端面間に発生する隙間を略埋め尽くすことが可能な周方向寸法で分割継ぎ輪体6Aと同じ横幅の角柱状に形成された隙間用部材11が装着可能に構成されている。
【0039】
さらに、前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端部にわたって、4つの分割継ぎ輪体6Aを両接続管部1の内周面1aに近接又は接触、好ましくは内周面1aに軽く押し付けた突っ張り状態で固定連結するための連結板12が、締結具の一例である4本のネジ13を介して止め付けられ、前記連結板12には、内面継ぎ輪6の両端部間に発生する隙間寸法に応じて取付け位置を調節するための複数のネジ挿通孔14が形成されている。
【0040】
前記4つの分割継ぎ輪体6Aの外周面における幅方向中心位置には、前記両接続管部1の隣接端面間に形成された径方向内方に開口する環状係合溝の一例で、前記両接続管部1の隣接端面における径方向内方側角部を弧状に形成することによって接合時に現出される隙間15に径方向内方から嵌合することにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持する横断面三角形状の位置合わせ用突起16が円周方向に沿って一体的に突出形成されている。
【0041】
前記内面継ぎ輪6の各分割継ぎ輪体6Aにおける管軸芯X方向の両側辺の端面には、図13に示すように、前記穿孔装置の移動手段の一例である転輪36を円周方向に沿って移動案内するガイド面17に構成されているとともに、前記隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を各分割継ぎ輪体6Aの両側辺と面一に配置して、該隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を、前記各分割継ぎ輪体6Aのガイド面17に連続する補助ガイド面18に構成されている。
【0042】
そして、前記内面継ぎ輪6に予め貫通形成されているある一つの連結孔5を倣い孔とする穿孔工程が終了して、周方向で隣接する次の連結孔5に穿孔装置の穿孔手段Eを移動させる際、前記内面継ぎ輪6の管軸芯X方向両側辺に構成されたガイド面17に沿って穿孔装置の転輪36を円周方向に移動案内することができるから、穿孔装置の穿孔手段Eの管軸芯X方向での位置ずれが無い又は位置ずれが少なくなり、位置ずれ修正時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
しかも、前記分割継ぎ輪体6Aの先端部間に介装することで内面継ぎ輪6を所定形状に維持するための隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を利用して、前記各分割継ぎ輪体6Aのガイド面17に連続する補助ガイド面18に構成してあるので、この円周方向の全域にわたって連続するガイド面17,18により、前記穿孔装置の転輪36に対する周方向移動案内作用の確実化、円滑化を図ることができる。
【0044】
前記内面バンド10は、図1〜図4に示すように、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に成形されており、この内面バンド10の外周面における管軸芯X方向両側部の各々には、モルタルライニング層が剥離処理された両接続管部1の内周面1aに接触する管軸芯X方向で複数個(当該実施形態では3個)の横断面半円形状の円環状シール突起を備えたシール部10Aが一体形成されているとともに、前記両シール部10A間には、前記内面継ぎ輪6が径方向から入り込む環状外溝10Bが形成されている。
【0045】
前記内面バンド10の管軸芯X方向両端部10Cの各々は、モルタルライニング層が剥離処理された両接続管部1の内周面1aに対して前記シール部10Aと略同じシール状態で接触するべく、前記シール部10Aの先端を通る管軸芯X方向の仮想鉛直線と同じ位置まで管径方向外方側に屈曲形成されているとともに、前記内面バンド10の内周面における管軸芯X方向の3箇所には環状リブ10Dが一体形成され、この環状リブ10Dの隣接間に形成される環状内溝10Eが、前記圧着手段Aを構成する二つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0046】
また、前記内面バンド10を構成する粘弾性高分子材料としては、天然ゴム、イソプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等を挙げることができる。
【0047】
前記抜け出し阻止手段Bを構成するに、図2〜図4に示すように、略円柱状の各係合ピン8の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記連結孔5及び連結穴7の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで被覆処理された弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9が形成されているとともに、前記内面バンド10における環状外溝10Bの底面と前記係合ピン8の管径方向内端との対向面間隔が、前記係合ピン8の管径方向外側端部と前記接続管部1の連結穴7との係合深さよりも小に設定され、係合ピン8の管径方向内端と内面バンド10における環状外溝10Bの底面との当接により、前記係合ピン8の管径方向外側端部が前記接続管部1の連結穴7から抜け出すことを防止するように構成されている。
【0048】
前記圧着手段Bを構成する二つの圧着具の各々は、図1〜図3、図10に示すように、前記内面バンド10の装着用環状溝10Eの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に湾曲形成され、かつ、その周方向の一箇所で分断された管径方向(拡径側と縮径側)に弾性変形可能な金属製の圧着帯状体20の内周面の両端部に、管径方向内方に突出する角柱状の係止突起21が設けられているとともに、前記両係止突起21に対して管径方向内方側から係脱自在な係止凹部22aを形成してある係止体22を備え、かつ、両係止体22を内面バンド10の内周面に沿って離間移動させる拡径操作機構A1と、該拡径操作機構A1で拡径された間隔で両係止突起21を固定連結する固定連結機構A2とが設けられている。
【0049】
前記拡径操作機構A1は、両側に螺合方向が逆となる右用と左用のネジ部23aが形成されている操作ネジ軸23のネジ軸芯方向中央位置に断面六角形の回転操作部23bを形成するとともに、前記両回転操作部23bに回転自在に枢支された枢支ピン24には、前記操作ネジ軸23の両ネジ部23aに螺合されるネジ孔を形成して、前記操作ネジ軸23の回転操作部23bの回転操作によって前記両枢支ピン24をネジ軸芯方向に沿って遠近方向に移動させるように構成されている。
【0050】
前記固定連結機構A2を構成するに、前記両係止突起21に形成された管軸芯X方向に沿うネジ孔21aに対してボルト25で螺合固定される固定連結板26の片面に、内面バンド10の内周面に沿って前記圧着帯状体20の両端面間に入り込み可能な先端側ほど幅狭となる両傾斜面27aを備えた台形状の間隔保持板27と、該間隔保持板27と同一形状のガイド板28とが、前記圧着帯状体20の内周面の両端部に固着される外れ止め板29の厚みに相当する間隔を隔てて固着されている。
【0051】
他方、前記圧着帯状体20の両端面には、前記間隔保持板27の両傾斜面27aに当接可能な同一勾配の傾斜面20aが形成されているとともに、前記外れ止め板29が、圧着帯状体20の両傾斜面20aに当て付けられた間隔保持板27の管径方向内方への外れ移動を接当阻止するべく、前記傾斜面20aよりも間隔保持板27の進入経路側に張り出す状態で圧着帯状体20の内周面の両端部に固着されている。
【0052】
さらに、前記固定連結板26のボルト挿通孔26aは、前記拡径操作機構A1の拡径操作に伴う両係止突起21のネジ孔21aの中心間隔(取付け間隔)の変動を吸収可能な長孔に構成されている。
【0053】
そして、前記拡径操作機構A1の拡径操作で圧着帯状体20が内面バンド10の内周面に所定押圧力で押し付け固定されたとき、前記固定連結機構A2の間隔保持板27の両傾斜面27aを、前記圧着帯状体20の両端面に形成された傾斜面20aに当て付け、この状態で固定連結板26の両ボルト挿通孔26aに挿通されたボルト25を圧着帯状体20の両係止突起21のネジ孔21aに螺合固定する。
【0054】
前記管内穿孔装置は、図11〜図13に示すように、前記流体管P内に搬入可能な機体Cに、管内壁の円周方向における任意の位置に対して径方向から突っ張り状態で機体Cを固定保持並びに固定解除操作自在な突っ張り保持手段Dと、管内壁に対して径方向から送込み可能な回転穿孔具の一例であるドリル30を備えた穿孔手段Eと、前記突っ張り保持手段Dが固定解除されている状態で機体Cを管内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段Fが設けられている。
【0055】
前記機体Cは、穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行に配設される一対の支柱軸31と、該両支柱軸31の一端側近傍箇所にわたって前記直交方向に架設される第1横桟部材32と、前記両支柱軸31における管軸芯Xよりも少し他端側に変位した中間部分にわたって前記直交方向に架設される第2横桟部材33とをもって略井状に枠組み構成されている。
【0056】
前記突っ張り保持手段Dを構成するに、前記両支柱軸31の一端部には、内壁面に対して穿孔中心線Y方向に沿う方向から当接する一対の転輪36を軸支する押圧支承部35が略T字状に一体形成されているとともに、前記両支柱軸31の他端部に螺合連結されたネジ軸37には、内壁面に対して穿孔中心線Y方向に沿う方向から当接する一対の転輪36を軸支する略T字状の押圧支承部材38と、該押圧支承部材38を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させた突っ張り固定状態と管径方向内方に引退移動させた突っ張り解除状態とに切り替えるナット39が装着されている。
【0057】
前記押圧支承部35の両転輪36の内寸法(対向面間寸法)及び押圧支承部材38の両転輪36の内寸法は、図13に示すように、前記内面継ぎ輪6の横幅(管軸芯X方向の幅)よりも僅かに大なる寸法に構成され、前記押圧支承部35の両転輪36及び押圧支承部材38の両転輪36が、前記内面継ぎ輪6の横幅方向両側辺に構成されたガイド面17に接触又は近接状態で内壁面に沿って周方向に転動案内されるように構成されている。
【0058】
前記両押圧支承部35にわたって第1補強板40が固定連結されているとともに、前記両押圧支承部材38にわたって第2補強板41が固定連結されている。
【0059】
次に、前記穿孔手段Eを構成するに、前記機体Cの両横桟部材32,33のうち、穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行な方向で相対向する部位に、駆動源の一例である電動機45からドリル30への動力伝達系の減速機構を内装する減速ケース46を摺動自在に保持する一対の摺動ガイド軸47が架設されているとともに、前記減速ケース46の軸受け部48と第1横桟部材32の軸受け部49とにわたって、前記ドリル30を付け替え可能に取付けてある駆動回転軸50が減速ケース46と一体的に移動する状態で回転自在に保持され、前記第2横桟部材33には、前記駆動回転軸50の他端側に相対回転のみ自在に保持されたネジ部材(図示せず)に螺合する送り操作軸51が回転のみ自在に支承され、この送り操作軸51の他端部には、前記駆動回転軸50に送り力又は戻り力を付与するための操作ハンドル52が装着されている。
【0060】
前記回動案内手段Fには、穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対して直交又は略直交する方向から内壁面に当接する当接部55を備え、かつ、前記当接部55が内壁面に当接している状態で機体Cを管軸芯X又は略管軸芯X周りで回動自在に支持する一対の回動支持アーム56が設けられているとともに、前記回動支持アーム56の基端部には、前記穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対して直交又は略直交する回動支持姿勢とその回動支持姿勢に対して交差する方向に突出する格納姿勢とに切換えることができるように、前記支柱軸31に対して回動操作可能な状態で固定連結する連結部57が設けられている。
【0061】
前記回動支持アーム56は、前記連結部57に螺合固定されるネジ軸利用の第1アーム部56Aと、該第1アーム部56Aに対して軸芯方向に摺動自在に外嵌される筒軸利用の第2アーム部56Bと、コイルスプリング56Eを介して第2アーム部56Bの基端側端面を先端側(径方向外方側)に押圧可能な状態で第1アーム部56Aに螺合されるテンションナット56Cと、第2アーム部56Bの先端に固着された連結フランジ部56Dとから構成されているとともに、前記第1アーム部56Aの雄ネジ部とテンションナット56Cとをもって、前記回動支持アーム56のアーム長さを調節する長さ調節手段が構成されている。
【0062】
前記各当接部55は、管内壁に沿って転動可能な一つの輪体(ローラー)55Aとこれを軸支するホルダー55Bから構成されていて、前記ホルダー55Bが第2アーム部56Bの連結フランジ部56Dにボルト・ナットで固定連結されている。
【0063】
次に、上述の如く構成された継手部の離脱防止構造を得るための離脱防止工法について簡単に説明する。
[1]4つに分割された分割継ぎ輪体6Aが蝶番(連結手段)6Bを介して枢支連結され、かつ、接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形状の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を、前記蝶番6Bで折り畳み、その折り畳み姿勢で前記両流体管P内の接続管部1の内周面1aにわたる部位に搬入し、図6、図7に示すように、折り畳まれている分割継ぎ輪体6Aを接続管部1の内周面1aに沿って円環状に伸展させる。
【0064】
[2]前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端面間に、それら先端面間に発生する隙間を略埋め尽くすことが可能な周方向寸法で分割継ぎ輪体6Aと同じ横幅の角柱状に形成された隙間用部材11を装着したのち、内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端部同士を連結板12で固定連結する。
【0065】
[3]流体管P内に搬入さられた穿孔装置を、それの移動手段の一例である転輪36が前記内面継ぎ輪6を跨ぐ状態で設置し、穿孔手段Eのドリル30を、内面継ぎ輪6に予め形成されている一つの連結孔5に位置合わせする。
【0066】
この状態で穿孔装置の突っ張り保持手段Dにより機体Cを管内壁に突っ張り状態で固定保持したのち、電動機45を駆動するとともに操作ハンドル52を操作して、穿孔手段Eのドリル30を設定送り込み寸法だけ送り込むことにより、図13に示すように、前記内面継ぎ輪6に予め形成されている連結孔5を倣い孔として接続管部1の一番目の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成する。
【0067】
[4]径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9で被覆処理されている連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持させる。
【0068】
前記係合ピン8の挿入によって内面継ぎ輪6と一方の接続管部1とが係合され、この係合ピン8が二箇所以上に挿入されると、接続管部1に対する内面継ぎ輪6の取付け姿勢が確定されるとともに強固に固定されるから、前記内面継ぎ輪6が接続管部1の内径よりも少し小径であっても、係合ピン8が二箇所挿入されるまで手等で位置保持できれば問題はない。
【0069】
[5]次に、前記穿孔装置の突っ張り保持手段Dによる突っ張り状態を解除するとともに、穿孔装置の回動案内手段Fを回動案内状態に切り替え、内面継ぎ輪6の管軸芯X方向両側辺に構成されたガイド面17に沿って穿孔装置の転輪36を円周方向に移動させ、案内周方向で隣接する次の連結孔5に穿孔手段Eのドリル30を合致させたのち、突っ張り保持手段Dを突っ張り状態に、回動案内手段Fを回動案内解除状態に夫々切り替える。
【0070】
そして、電動機45を駆動するとともに操作ハンドル52を操作して、穿孔手段Eのドリル30を設定送り込み寸法だけ送り込むことにより、前記内面継ぎ輪6に予め形成されている二番目の連結孔5を倣い孔として接続管部1の二番目の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成する。
【0071】
上述の穿孔工程を繰り返しながら内面継ぎ輪6に予め形成されている全ての連結孔5を倣い孔として接続管部1の全ての設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成し、連結穴7が形成されたその都度、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、防蝕ゴム層9で被覆処理されている係合ピン8を挿入して所定係合位置に保持させる。
【0072】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記係合ピン8を径方向内方から装着可能な連結孔5を予め貫通形成して、この連結孔5を、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する連結穴7を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するときの倣い孔に構成したが、図14に示すように、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する状態で形成される連結穴7及びこれに対して径方向で連通する連結孔5を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するための穿孔位置表示用指標部である穿孔位置表示用小径孔58を予め貫通形成してもよい。
【0073】
この第2実施形態の場合は、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に形成されている穿孔位置表示用小径孔58に穿孔手段Eのドリル30を当て付けて穿孔することにより、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7とが連続して形成されることになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0074】
〔第3実施形態〕
図15に示すように、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する状態で形成される連結穴7及びこれに対して径方向で連通する連結孔5を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するための穿孔位置表示用指標部である穿孔位置表示用窪み59を予め形成してもよい。
【0075】
この第3実施形態の場合も、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に形成されている穿孔位置表示用窪み59に穿孔手段Eのドリル30を当て付けて穿孔することにより、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7とが連続して形成されることになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0076】
〔第4実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6を、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で略1/4円弧状に構成された4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成したが、図16、図17に示すように、前記内面継ぎ輪6を、これの管軸芯X方向の最大幅よりも小なる細幅、具体的には1/10以下の細幅で角柱に構成された円周方向に沿う連結部材6Cと、当該連結部材6Cにおける設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に嵌合状態で取付けられる前記連結孔5を予め形成してある連結プレート6Dから構成してもよい。
【0077】
この第4実施形態では、前記連結プレート6Dに形成した嵌合凹部6dと連結部材6Cとの嵌合摩擦力により、連結部材6Cの設定連結箇所に連結プレート6Dが位置保持されているため、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したのち、当該連結プレート6Dから連結部材6Cを取り外してもよい。
【0078】
また、前記連結プレート6Dと連結部材6Cとを嵌合連結する代わりに、この連結プレート6Dと連結部材6Cとを溶接やビス止め等の適宜固定手段で固着してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0079】
〔第5実施形態〕
上述の第4実施形態では、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したとき、前記連結部材6Cが連結プレート6Dの内周面側に位置するように構成したが、図18に示すように、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したとき、前記連結部材6Cが内周面1aと対面する連結プレート6Dの外周面側に位置するように構成してもよい。
【0080】
この第5実施形態では、前記連結部材6Cを、両接続管部1の隣接端面間に形成された径方向内方に開口する環状係合溝15に径方向内方から嵌合させることにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持させるための位置合わせ用突起に兼用構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0081】
〔第6実施形態〕
上述の各実施形態では、両流体管Pの接続管部1に形成された連結フランジ部1A同士を固定連結したフランジ継手部について説明したが、図19に示すように、一方の流体管Pの受口管部(接続管部の一例)60に挿入接続された他方の流体管Pの挿口管部(接続管部の一例)61に、前記受口管部60の大径内周面60aと挿口管部61の外周面61aとの間を密封可能な合成ゴム製のシール材62と、挿口管部61に外嵌する状態で受口管部60の端部に固定連結される環状部材の一例で、前記シール材62を管軸芯X方向から押圧して密封状態(水密状態)にまで圧縮可能な鋳鉄製の押輪63とが外装されているとともに、前記押輪63の連結フランジ部63Aと受口管部60の連結フランジ部60Aとの間には、押輪63と受口管部60とを管軸芯X方向から相対的に引寄せながら締付け固定する締結具の一例であるT字状のボルト64とナット65が設けられている継手部に本発明の技術を適用してもよい。
【0082】
そして、この第6実施形態では、前記受口管部60の小径内周面60bと挿口管部61の内周面61bとにわたって、輪状又は略輪状に構成され、且つ、前記両管部60,61との重合部分の設定連結箇所に円形の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を当て付け、この内面継ぎ輪6の連結孔5と、該連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両管部60,61の設定連結箇所に形成された径方向内方に開口する連結穴7とのうち、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0083】
また、前記受口管部60の小径内周面60bと挿口管部61の内周面61bとにわたって、前記内面継ぎ輪6の横幅よりも大なる横幅に構成された円環状のゴム製の内面バンド10が装着され、この内面バンド10の管軸芯X方向両端部を両管部60,61の内周面60b、61bに押し付け固定する圧着手段Aが設けられているとともに、前記内面バンド10と圧着手段Aとをもって、前記内面継ぎ輪6及び係合ピン8を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段が構成され、さらに、前記連結孔5と連結穴7とにわたって挿入装着された前記係合ピン8の管径方向内方側への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止手段Bが設けられている。
【0084】
前記抜け出し阻止手段Bを構成するに、略円柱状の各係合ピン8の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記連結孔5及び連結穴7の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで係合ピン8の外周面を被覆処理する弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9が形成されているとともに、前記内面バンド10における環状外溝10Bの底面と前記係合ピン8の管径方向内端との対向面間隔が、前記係合ピン8の管径方向外側端部と前記両管部60,61の連結穴7との係合深さよりも小に設定され、係合ピン8の管径方向内端と内面バンド10における環状外溝10Bの底面との当接により、前記係合ピン8の管径方向外側端部が前記両管部60,61の連結穴7から抜け出すことを防止するように構成されている。
【0085】
また、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向中心位置には、前記両管部60,61の隣接端面の何れか一方(当該実施形態では挿口管部61の隣接端面)に係合することにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持する横断面三角形状の位置合わせ用突起16が円周方向に沿って一体的に突出形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0086】
〔第7実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両管部1の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起16を形成したが、この位置合わせ用突起16を設ける代わりに、図20に示すように、前記内面継ぎ輪6の周方向の一箇所又は複数箇所に、これの内周面側から前記両管部1の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓19を形成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0087】
〔第8実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の内径が同一に構成されている場合を例に挙げて説明したが、図21に示すように、両流体管Pの接続管部1の内径が公差によって異なる場合では、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向両側部に、前記両接続管部1の内周面1aに当接する天然ゴムや合成ゴム製等の弾性体67を付設して実施するとよい。
【0088】
この第8実施形態の場合、公差による両接続管部1の内周面1aの段差を前記弾性体67の弾性変形量の差で吸収することが可能で、内面継ぎ輪6を両接続管部1に所定姿勢で確実、容易に固定することができる。
【0089】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記弾性体67を設けない場合には、前記内面継ぎ輪6の外周面に、公差による両接続管部1の内周面1aの段差に相当する段差面を形成するとよい。
【0090】
〔第9実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって当て付けられる内面継ぎ輪6に、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形の連結孔5を予め貫通形成し、この連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する連結穴7を形成し、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して固定連結したが、図22に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって当て付けられる内面継ぎ輪6に、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に長円形の連結長孔70を予め貫通形成し、この連連結長孔70を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する長円形の連結長穴71を形成し、径方向で連通する連結長孔70と連結長穴71とにわたって、連結部材の一例である長円ブロック状の係合ピース72を、管内側から管径方向に沿って挿入して固定連結してもよい。
【0091】
尚、前記係合ピース72の全外周面は、弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9で被覆処理されている。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0092】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の両側辺の端面を、前記穿孔装置の移動手段の一例である転輪36を円周方向に沿って移動案内するためのガイド面17に構成したが、前記内面継ぎ輪6の一方の側辺の端面のみを転輪36用のガイド面17に構成してもよい。
【0093】
(2)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6を4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成したが、二つの分割継ぎ輪体6A又は三つの分割継ぎ輪体6A或いは五つ以上の分割継ぎ輪体6Aに分割構成してもよい。
また、前記内面継ぎ輪6を、円周方向の一箇所が切断された縮径側に弾性変形可能なC字状に構成してもよい。
【0094】
(3)上述の実施形態では、二種類の継手部を例に挙げて説明したが、それ以外の継手部として、流路を構成する両管部の端部にわたって継ぎ輪を密封状態(水密状態)で外嵌固定してある継手部に本発明の技術を適用してもよい。
【0095】
(4)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向中心位置に、前記両接続管部1の隣接端面間に嵌合又は一方に当接する位置合わせ用突起16を円周方向に沿って連続的に突出形成したが、この位置合わせ用突起16を円周方向に沿って断続形成してもよい。
【0096】
(5)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の連結孔5及び両管部1の連結穴7とにわたって連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を挿入装着したが、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7との少なくとも一方に雌ネジが形成されている場合には、連結部材の一例であるネジ部材を径方向内方から螺合装着することになる。
【0097】
(6)上述の第1実施形態では、前記穿孔装置の移動手段として転輪36を例に挙げて説明したが、橇体等の他の移動手段を用いて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による継手部の離脱防止構造及び離脱防止方法の第1実施形態を示す半断面斜視図
【図2】継手部全体の断面側面図
【図3】継手部の一部切欠き正面図
【図4】継手部の要部の拡大断面側面図
【図5】内面継ぎ輪の斜視図
【図6】内面継ぎ輪の組み立て途中の断面正面図
【図7】内面継ぎ輪の組み立て完了時の断面正面図
【図8】内面継ぎ輪の繋ぎ部の拡大断面正面図
【図9】図8における内面継ぎ輪の繋ぎ部の拡大底面図
【図10】圧着手段の操作途中の拡大斜視図
【図11】穿孔装置の突っ張り固定時の拡大正面図
【図12】穿孔装置の回動案内時の拡大正面図
【図13】穿孔作業時の要部の拡大断面側面図
【図14】本発明の第2実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図15】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図16】本発明の第4実施形態を示す内面継ぎ輪の要部の拡大斜視図
【図17】継手部の要部の拡大断面側面図
【図18】本発明の第5実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図19】本発明の第6実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図20】本発明の第7実施形態を示す要部の拡大平面図
【図21】本発明の第8実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図22】本発明の第9実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【符号の説明】
【0099】
E 穿孔手段
X 管軸芯
1 接続管部
1a 内周面
5 連結孔
6 内面継ぎ輪
6A 分割継ぎ輪体
6B 連結手段(蝶番)
6C 連結部材
6D 連結プレート
7 連結穴
8 連結部材(係合ピン)
16 位置合わせ用突起
17 ガイド面
19 位置合わせ用窓
58 穿孔位置表示用指標部(穿孔位置表示用小径孔)
59 穿孔位置表示用指標部(穿孔位置表示用窪み)
60 受口管部
60b 内周面(小径内周面)
61 挿口管部
61b 内周面
67 弾性体
70 連結長孔
71 連結長穴
72 連結部材(係合ピース)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、水道管等の流体管同士又は流体管と仕切弁等の流体機器とが嵌合接続又はフランジ接合されている継手部、或いは、隣接配置される両流体管又は流体管と流体機器とが管継ぎ輪を介して接続されている継手部などのように、流路を構成する両管部を接続してある継手部の離脱防止構造と継手部の離脱防止工法及び継手部の離脱防止用内面継ぎ輪に関する。
【背景技術】
【0002】
既設の継手部の離脱防止構造において、それに装備されている既存の密封固定手段だけでは地震や不同沈下等に起因する大きな引抜力には対抗できない場合、離脱阻止機能の高い離脱防止構造に改造することが要望されており、その改造方法として、従来では、次の離脱防止構造及び離脱防止工法が提案されている。
【0003】
(1)特許文献1、2に示す管継手部の離脱防止方法では、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された金属製の内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪の内周面に、前記両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする。
【0004】
そして、各マーキング位置を穿孔装置の穿孔手段で径方向内方から穿孔し、内面継ぎ輪の各マーキング位置には連結孔を貫通形成するとともに、前記両管部の設定連結箇所には径方向内方に開口する連結穴を形成する。
【0005】
次に、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔と前記両管部の連結穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着し、前記両管部の管軸芯方向での相対離脱移動を阻止する状態で固定連結する。
【0006】
尚、前記内面継ぎ輪の連結孔及び両管部の連結穴に夫々雌ネジが形成されているとともに、前記連結部材の外周面に雄ネジが形成されている場合には、前記径方向で相対向する内面継ぎ輪の連結孔と両管部の連結穴とにわたって連結部材を径方向内方から螺合装着することになる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−122465号公報
【特許文献2】特開2008−075841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の管継手部の離脱防止方法では、両管部の内周面にわたって当て付けられた内面継ぎ輪の内周面に、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングし、各マーキング位置を穿孔装置の穿孔手段で径方向内方から穿孔するため、内面継ぎ輪の連結孔及び両管部の連結穴の加工に多くの手間を要する問題があった。
【0009】
また、従来の管継手部の離脱防止方法では、円周方向の一箇所のマーキング位置を穿孔すると、この穿孔で形成された内面継ぎ輪の連結孔と管部の連結穴とにわたって連結部材を装着して連結したのち、周方向で隣接する次のマーキング位置を穿孔する手順がとられているため、穿孔装置の穿孔手段を周方向に順番に移動させる必要があるが、このとき、前記穿孔装置の穿孔手段が管軸芯方向に位置ずれし易く、その都度、穿孔装置の穿孔手段の位置を周方向及び管軸芯方向で大きく修正する必要があり、穿孔作業の効率低下の一つの要因になっていた。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、施工現場の管内の狭い作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことのできる継手部の離脱防止構造と離脱防止工法及び離脱防止用内面継ぎ輪を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪が当て付けられているとともに、前記両管部と内面継ぎ輪とが、それらの重合部分の設定連結箇に所径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結されている継手部の離脱防止構造であって、
前記内面継ぎ輪の設定連結箇所には、前記連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を穿孔装置で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として、穿孔装置の穿孔手段を径方向内方から送り込んで穿孔することにより、両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0013】
従って、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と重合する内面継ぎ輪に多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングする煩雑で面倒な手間を省略することができ、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0014】
本発明による第2の特徴構成は、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方が、前記穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内するガイド面に構成されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め貫通形成されているある一つの連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔とする穿孔工程が終了して、周方向で隣接する次の連結孔又は連結長孔に穿孔装置の穿孔手段を移動させる際、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方に構成されたガイド面に沿って穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内することができるから、穿孔装置の穿孔手段の管軸芯方向での位置ずれが無い又は位置ずれが少なくなり、その分だけ次の穿孔工程に早く着手することができる。
【0016】
本発明による第3の特徴構成は、前記内面継ぎ輪が、円周方向で複数に分割された分割継ぎ輪体と、複数の分割継ぎ輪体の隣接端部同士を径方向内方側に屈曲可能に連結する連結手段とから構成されているとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に、該分割継ぎ輪体と同じ幅の隙間埋設用部材が装着可能に構成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪の管内への搬入及び搬入された分割継ぎ輪体の両管部の内周面への当て付け作業を能率良く容易に行うことができるとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に発生する隙間を隙間埋設用部材で埋めることができるから、内面継ぎ輪を周方向で複数に分割しながらも両管部の内周面に沿った所定形状に確実に維持することができる。
【0018】
特に、前述した第2の特徴構成を引用する場合では、前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方に構成されたガイド面が周方向で連続することになり、前記穿孔装置の移動手段に対する内面継ぎ輪のガイド面による周方向移動案内作用の確実化、円滑化を図ることができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記内面継ぎ輪が、これの管軸芯方向の最大幅よりも小なる細幅に構成された円周方向に沿う連結部材と、当該連結部材における設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に取付けられる前記連結孔又は連結長孔を備えた連結プレートから構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪の設定連結数に相当する複数の連結プレートを細幅の連結部材で連結することにより、例えば、前記内面継ぎ輪を帯板状に構成してある場合に比して、内面継ぎ輪の軽量化による取り扱いの容易化を図ることができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記内面継ぎ輪に、前記両管部の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起が形成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に形成した位置合わせ用突起を、前記両管部の隣接端面間に嵌合させる又は少なくとも一方の隣接端面に当接させるだけで、両管部に対して内面継ぎ輪を設定装着位置に迅速、簡便に取り付けることができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記内面継ぎ輪に、これの内周面側から前記両管部の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓が形成されている点にある。
【0024】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に形成されている位置合わせ用窓を通して両管部の隣接端面を基準とする内面継ぎ輪の取付け位置を確認することができるから、両管部に対して内面継ぎ輪を設定装着位置に簡便に取り付けることができる。
【0025】
本発明による第7の特徴構成は、前記内面継ぎ輪の外周面には、前記両管部の内周面に当接する弾性体が設けられている点にある。
【0026】
上記構成によれば、流路を構成する状態で接続される両管部の内径が公差によって異なる場合でも、この公差による両管部の内周面の段差を前記弾性体の弾性変形量の差で吸収することが可能で、内面継ぎ輪を両管部に所定姿勢で確実に固定することができる。
【0027】
本発明による第8の特徴構成は継手部の離脱防止工法であって、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって、これとの重合部分の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔が予め貫通形成されている内面継ぎ輪を輪状又は略輪状に当て付けた状態で固定し、この内面継ぎ輪に貫通形成されている前記連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として径方向内方から挿通される穿孔装置の穿孔手段により、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成し、そのうち、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔又は連結長孔と前記両管部の連結穴又は連結長穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着することを特徴とする点にある。
【0028】
上記構成によれば、前記両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪を当て付け、この内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として、穿孔装置の穿孔手段を径方向内方から送り込んで穿孔することにより、両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0029】
従って、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と重合する内面継ぎ輪に多数の設定連結箇所(設定穿孔箇所)をマーキングする煩雑で面倒な手間を省略することができ、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0030】
本発明による第9の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている点にある。
【0031】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め貫通形成されている連結孔又は連結長孔を、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に利用することにより、従来のように、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする煩雑で面倒な手間が不要で、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【0032】
本発明による第10の特徴構成は、流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔を穿孔装置の穿孔手段で形成するための穿孔位置表示用指標部が予め形成されている点にある。
【0033】
上記構成によれば、前記内面継ぎ輪に予め形成されている穿孔位置表示用指標部を穿孔装置の穿孔手段で穿孔することにより、内面継ぎ輪の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔を貫通形成するとともに、両管部の設定連結箇所には径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成することができる。
【0034】
従って、従来のようなに、施工現場の管内の狭い作業空間において、両管部と内面継ぎ輪との重合部分の多数の設定連結箇所をマーキングする煩雑で面倒な手間が不要で、狭い管内作業空間での穿孔作業を能率良く容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、水道管やガス管等の流体管Pの配管系に用いられる継手部の一例であるフランジ継手部を示し、流路方向に沿って隣接配置される鋳鉄製の両流体管Pの接続管部1に形成された連結フランジ部1A同士を突き合わせ状態でボルト2・ナット3にて固定連結するとともに、前記両連結フランジ部1Aの接合面間には、密封用のシール部材の一例であるOリング4が介装されている。
【0036】
そして、上記継手部に適用される本発明の離脱防止構造は、図1〜図4に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって、両接続管部1の厚肉管端部1Bにおける管軸芯X方向での厚肉形成領域よりも少し短い横幅で輪状又は略輪状に構成され、且つ、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形状の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を当て付け、この内面継ぎ輪6の連結孔5と、該連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に形成された径方向内方に開口する円形状の連結穴7とのうち、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0037】
さらに、前記両接続管部1の内周面1aにわたって、前記内面継ぎ輪6の横幅よりも大なる横幅に構成された円環状のゴム製の内面バンド10が装着され、この内面バンド10の管軸芯X方向両端部を両接続管部1の内周面1aに押し付け固定する圧着手段Aが設けられているとともに、前記内面バンド10と圧着手段Aとをもって、前記内面継ぎ輪6及び係合ピン8を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段が構成され、さらに、前記連結孔5と連結穴7とにわたって挿入装着された前記係合ピン8の管径方向内方側への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止手段Bが設けられている。
【0038】
前記内面継ぎ輪6は、図4〜図9に示すように、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で略1/4円弧状に構成された4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成され、隣接する分割継ぎ輪体6Aに隣接端部同士は、径方向内方側に相対屈曲揺動自在に蝶番(連結手段)6Bを介して枢支連結されているとともに、前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端面間には、それら先端面間に発生する隙間を略埋め尽くすことが可能な周方向寸法で分割継ぎ輪体6Aと同じ横幅の角柱状に形成された隙間用部材11が装着可能に構成されている。
【0039】
さらに、前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端部にわたって、4つの分割継ぎ輪体6Aを両接続管部1の内周面1aに近接又は接触、好ましくは内周面1aに軽く押し付けた突っ張り状態で固定連結するための連結板12が、締結具の一例である4本のネジ13を介して止め付けられ、前記連結板12には、内面継ぎ輪6の両端部間に発生する隙間寸法に応じて取付け位置を調節するための複数のネジ挿通孔14が形成されている。
【0040】
前記4つの分割継ぎ輪体6Aの外周面における幅方向中心位置には、前記両接続管部1の隣接端面間に形成された径方向内方に開口する環状係合溝の一例で、前記両接続管部1の隣接端面における径方向内方側角部を弧状に形成することによって接合時に現出される隙間15に径方向内方から嵌合することにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持する横断面三角形状の位置合わせ用突起16が円周方向に沿って一体的に突出形成されている。
【0041】
前記内面継ぎ輪6の各分割継ぎ輪体6Aにおける管軸芯X方向の両側辺の端面には、図13に示すように、前記穿孔装置の移動手段の一例である転輪36を円周方向に沿って移動案内するガイド面17に構成されているとともに、前記隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を各分割継ぎ輪体6Aの両側辺と面一に配置して、該隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を、前記各分割継ぎ輪体6Aのガイド面17に連続する補助ガイド面18に構成されている。
【0042】
そして、前記内面継ぎ輪6に予め貫通形成されているある一つの連結孔5を倣い孔とする穿孔工程が終了して、周方向で隣接する次の連結孔5に穿孔装置の穿孔手段Eを移動させる際、前記内面継ぎ輪6の管軸芯X方向両側辺に構成されたガイド面17に沿って穿孔装置の転輪36を円周方向に移動案内することができるから、穿孔装置の穿孔手段Eの管軸芯X方向での位置ずれが無い又は位置ずれが少なくなり、位置ずれ修正時間の短縮化を図ることができる。
【0043】
しかも、前記分割継ぎ輪体6Aの先端部間に介装することで内面継ぎ輪6を所定形状に維持するための隙間用部材11の管軸芯X方向両端面を利用して、前記各分割継ぎ輪体6Aのガイド面17に連続する補助ガイド面18に構成してあるので、この円周方向の全域にわたって連続するガイド面17,18により、前記穿孔装置の転輪36に対する周方向移動案内作用の確実化、円滑化を図ることができる。
【0044】
前記内面バンド10は、図1〜図4に示すように、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に成形されており、この内面バンド10の外周面における管軸芯X方向両側部の各々には、モルタルライニング層が剥離処理された両接続管部1の内周面1aに接触する管軸芯X方向で複数個(当該実施形態では3個)の横断面半円形状の円環状シール突起を備えたシール部10Aが一体形成されているとともに、前記両シール部10A間には、前記内面継ぎ輪6が径方向から入り込む環状外溝10Bが形成されている。
【0045】
前記内面バンド10の管軸芯X方向両端部10Cの各々は、モルタルライニング層が剥離処理された両接続管部1の内周面1aに対して前記シール部10Aと略同じシール状態で接触するべく、前記シール部10Aの先端を通る管軸芯X方向の仮想鉛直線と同じ位置まで管径方向外方側に屈曲形成されているとともに、前記内面バンド10の内周面における管軸芯X方向の3箇所には環状リブ10Dが一体形成され、この環状リブ10Dの隣接間に形成される環状内溝10Eが、前記圧着手段Aを構成する二つの圧着具に対する装着用環状溝に構成されている。
【0046】
また、前記内面バンド10を構成する粘弾性高分子材料としては、天然ゴム、イソプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等を挙げることができる。
【0047】
前記抜け出し阻止手段Bを構成するに、図2〜図4に示すように、略円柱状の各係合ピン8の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記連結孔5及び連結穴7の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで被覆処理された弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9が形成されているとともに、前記内面バンド10における環状外溝10Bの底面と前記係合ピン8の管径方向内端との対向面間隔が、前記係合ピン8の管径方向外側端部と前記接続管部1の連結穴7との係合深さよりも小に設定され、係合ピン8の管径方向内端と内面バンド10における環状外溝10Bの底面との当接により、前記係合ピン8の管径方向外側端部が前記接続管部1の連結穴7から抜け出すことを防止するように構成されている。
【0048】
前記圧着手段Bを構成する二つの圧着具の各々は、図1〜図3、図10に示すように、前記内面バンド10の装着用環状溝10Eの内径と同一又は略同一寸法の外径で円環状に湾曲形成され、かつ、その周方向の一箇所で分断された管径方向(拡径側と縮径側)に弾性変形可能な金属製の圧着帯状体20の内周面の両端部に、管径方向内方に突出する角柱状の係止突起21が設けられているとともに、前記両係止突起21に対して管径方向内方側から係脱自在な係止凹部22aを形成してある係止体22を備え、かつ、両係止体22を内面バンド10の内周面に沿って離間移動させる拡径操作機構A1と、該拡径操作機構A1で拡径された間隔で両係止突起21を固定連結する固定連結機構A2とが設けられている。
【0049】
前記拡径操作機構A1は、両側に螺合方向が逆となる右用と左用のネジ部23aが形成されている操作ネジ軸23のネジ軸芯方向中央位置に断面六角形の回転操作部23bを形成するとともに、前記両回転操作部23bに回転自在に枢支された枢支ピン24には、前記操作ネジ軸23の両ネジ部23aに螺合されるネジ孔を形成して、前記操作ネジ軸23の回転操作部23bの回転操作によって前記両枢支ピン24をネジ軸芯方向に沿って遠近方向に移動させるように構成されている。
【0050】
前記固定連結機構A2を構成するに、前記両係止突起21に形成された管軸芯X方向に沿うネジ孔21aに対してボルト25で螺合固定される固定連結板26の片面に、内面バンド10の内周面に沿って前記圧着帯状体20の両端面間に入り込み可能な先端側ほど幅狭となる両傾斜面27aを備えた台形状の間隔保持板27と、該間隔保持板27と同一形状のガイド板28とが、前記圧着帯状体20の内周面の両端部に固着される外れ止め板29の厚みに相当する間隔を隔てて固着されている。
【0051】
他方、前記圧着帯状体20の両端面には、前記間隔保持板27の両傾斜面27aに当接可能な同一勾配の傾斜面20aが形成されているとともに、前記外れ止め板29が、圧着帯状体20の両傾斜面20aに当て付けられた間隔保持板27の管径方向内方への外れ移動を接当阻止するべく、前記傾斜面20aよりも間隔保持板27の進入経路側に張り出す状態で圧着帯状体20の内周面の両端部に固着されている。
【0052】
さらに、前記固定連結板26のボルト挿通孔26aは、前記拡径操作機構A1の拡径操作に伴う両係止突起21のネジ孔21aの中心間隔(取付け間隔)の変動を吸収可能な長孔に構成されている。
【0053】
そして、前記拡径操作機構A1の拡径操作で圧着帯状体20が内面バンド10の内周面に所定押圧力で押し付け固定されたとき、前記固定連結機構A2の間隔保持板27の両傾斜面27aを、前記圧着帯状体20の両端面に形成された傾斜面20aに当て付け、この状態で固定連結板26の両ボルト挿通孔26aに挿通されたボルト25を圧着帯状体20の両係止突起21のネジ孔21aに螺合固定する。
【0054】
前記管内穿孔装置は、図11〜図13に示すように、前記流体管P内に搬入可能な機体Cに、管内壁の円周方向における任意の位置に対して径方向から突っ張り状態で機体Cを固定保持並びに固定解除操作自在な突っ張り保持手段Dと、管内壁に対して径方向から送込み可能な回転穿孔具の一例であるドリル30を備えた穿孔手段Eと、前記突っ張り保持手段Dが固定解除されている状態で機体Cを管内壁に沿って円周方向に回動案内する回動案内手段Fが設けられている。
【0055】
前記機体Cは、穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行に配設される一対の支柱軸31と、該両支柱軸31の一端側近傍箇所にわたって前記直交方向に架設される第1横桟部材32と、前記両支柱軸31における管軸芯Xよりも少し他端側に変位した中間部分にわたって前記直交方向に架設される第2横桟部材33とをもって略井状に枠組み構成されている。
【0056】
前記突っ張り保持手段Dを構成するに、前記両支柱軸31の一端部には、内壁面に対して穿孔中心線Y方向に沿う方向から当接する一対の転輪36を軸支する押圧支承部35が略T字状に一体形成されているとともに、前記両支柱軸31の他端部に螺合連結されたネジ軸37には、内壁面に対して穿孔中心線Y方向に沿う方向から当接する一対の転輪36を軸支する略T字状の押圧支承部材38と、該押圧支承部材38を接続管部1の管内壁に向かって管径方向外方に押し出し移動させた突っ張り固定状態と管径方向内方に引退移動させた突っ張り解除状態とに切り替えるナット39が装着されている。
【0057】
前記押圧支承部35の両転輪36の内寸法(対向面間寸法)及び押圧支承部材38の両転輪36の内寸法は、図13に示すように、前記内面継ぎ輪6の横幅(管軸芯X方向の幅)よりも僅かに大なる寸法に構成され、前記押圧支承部35の両転輪36及び押圧支承部材38の両転輪36が、前記内面継ぎ輪6の横幅方向両側辺に構成されたガイド面17に接触又は近接状態で内壁面に沿って周方向に転動案内されるように構成されている。
【0058】
前記両押圧支承部35にわたって第1補強板40が固定連結されているとともに、前記両押圧支承部材38にわたって第2補強板41が固定連結されている。
【0059】
次に、前記穿孔手段Eを構成するに、前記機体Cの両横桟部材32,33のうち、穿孔中心線Yに対してそれと直交する方向に等間隔をおいて穿孔中心線Yと平行な方向で相対向する部位に、駆動源の一例である電動機45からドリル30への動力伝達系の減速機構を内装する減速ケース46を摺動自在に保持する一対の摺動ガイド軸47が架設されているとともに、前記減速ケース46の軸受け部48と第1横桟部材32の軸受け部49とにわたって、前記ドリル30を付け替え可能に取付けてある駆動回転軸50が減速ケース46と一体的に移動する状態で回転自在に保持され、前記第2横桟部材33には、前記駆動回転軸50の他端側に相対回転のみ自在に保持されたネジ部材(図示せず)に螺合する送り操作軸51が回転のみ自在に支承され、この送り操作軸51の他端部には、前記駆動回転軸50に送り力又は戻り力を付与するための操作ハンドル52が装着されている。
【0060】
前記回動案内手段Fには、穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対して直交又は略直交する方向から内壁面に当接する当接部55を備え、かつ、前記当接部55が内壁面に当接している状態で機体Cを管軸芯X又は略管軸芯X周りで回動自在に支持する一対の回動支持アーム56が設けられているとともに、前記回動支持アーム56の基端部には、前記穿孔手段Eの穿孔中心線Yに対して直交又は略直交する回動支持姿勢とその回動支持姿勢に対して交差する方向に突出する格納姿勢とに切換えることができるように、前記支柱軸31に対して回動操作可能な状態で固定連結する連結部57が設けられている。
【0061】
前記回動支持アーム56は、前記連結部57に螺合固定されるネジ軸利用の第1アーム部56Aと、該第1アーム部56Aに対して軸芯方向に摺動自在に外嵌される筒軸利用の第2アーム部56Bと、コイルスプリング56Eを介して第2アーム部56Bの基端側端面を先端側(径方向外方側)に押圧可能な状態で第1アーム部56Aに螺合されるテンションナット56Cと、第2アーム部56Bの先端に固着された連結フランジ部56Dとから構成されているとともに、前記第1アーム部56Aの雄ネジ部とテンションナット56Cとをもって、前記回動支持アーム56のアーム長さを調節する長さ調節手段が構成されている。
【0062】
前記各当接部55は、管内壁に沿って転動可能な一つの輪体(ローラー)55Aとこれを軸支するホルダー55Bから構成されていて、前記ホルダー55Bが第2アーム部56Bの連結フランジ部56Dにボルト・ナットで固定連結されている。
【0063】
次に、上述の如く構成された継手部の離脱防止構造を得るための離脱防止工法について簡単に説明する。
[1]4つに分割された分割継ぎ輪体6Aが蝶番(連結手段)6Bを介して枢支連結され、かつ、接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形状の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を、前記蝶番6Bで折り畳み、その折り畳み姿勢で前記両流体管P内の接続管部1の内周面1aにわたる部位に搬入し、図6、図7に示すように、折り畳まれている分割継ぎ輪体6Aを接続管部1の内周面1aに沿って円環状に伸展させる。
【0064】
[2]前記内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端面間に、それら先端面間に発生する隙間を略埋め尽くすことが可能な周方向寸法で分割継ぎ輪体6Aと同じ横幅の角柱状に形成された隙間用部材11を装着したのち、内面継ぎ輪6の周方向での両端部となる両分割継ぎ輪体6Aの先端部同士を連結板12で固定連結する。
【0065】
[3]流体管P内に搬入さられた穿孔装置を、それの移動手段の一例である転輪36が前記内面継ぎ輪6を跨ぐ状態で設置し、穿孔手段Eのドリル30を、内面継ぎ輪6に予め形成されている一つの連結孔5に位置合わせする。
【0066】
この状態で穿孔装置の突っ張り保持手段Dにより機体Cを管内壁に突っ張り状態で固定保持したのち、電動機45を駆動するとともに操作ハンドル52を操作して、穿孔手段Eのドリル30を設定送り込み寸法だけ送り込むことにより、図13に示すように、前記内面継ぎ輪6に予め形成されている連結孔5を倣い孔として接続管部1の一番目の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成する。
【0067】
[4]径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9で被覆処理されている連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持させる。
【0068】
前記係合ピン8の挿入によって内面継ぎ輪6と一方の接続管部1とが係合され、この係合ピン8が二箇所以上に挿入されると、接続管部1に対する内面継ぎ輪6の取付け姿勢が確定されるとともに強固に固定されるから、前記内面継ぎ輪6が接続管部1の内径よりも少し小径であっても、係合ピン8が二箇所挿入されるまで手等で位置保持できれば問題はない。
【0069】
[5]次に、前記穿孔装置の突っ張り保持手段Dによる突っ張り状態を解除するとともに、穿孔装置の回動案内手段Fを回動案内状態に切り替え、内面継ぎ輪6の管軸芯X方向両側辺に構成されたガイド面17に沿って穿孔装置の転輪36を円周方向に移動させ、案内周方向で隣接する次の連結孔5に穿孔手段Eのドリル30を合致させたのち、突っ張り保持手段Dを突っ張り状態に、回動案内手段Fを回動案内解除状態に夫々切り替える。
【0070】
そして、電動機45を駆動するとともに操作ハンドル52を操作して、穿孔手段Eのドリル30を設定送り込み寸法だけ送り込むことにより、前記内面継ぎ輪6に予め形成されている二番目の連結孔5を倣い孔として接続管部1の二番目の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成する。
【0071】
上述の穿孔工程を繰り返しながら内面継ぎ輪6に予め形成されている全ての連結孔5を倣い孔として接続管部1の全ての設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する円形状の連結穴7を形成し、連結穴7が形成されたその都度、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、防蝕ゴム層9で被覆処理されている係合ピン8を挿入して所定係合位置に保持させる。
【0072】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記係合ピン8を径方向内方から装着可能な連結孔5を予め貫通形成して、この連結孔5を、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する連結穴7を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するときの倣い孔に構成したが、図14に示すように、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する状態で形成される連結穴7及びこれに対して径方向で連通する連結孔5を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するための穿孔位置表示用指標部である穿孔位置表示用小径孔58を予め貫通形成してもよい。
【0073】
この第2実施形態の場合は、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に形成されている穿孔位置表示用小径孔58に穿孔手段Eのドリル30を当て付けて穿孔することにより、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7とが連続して形成されることになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0074】
〔第3実施形態〕
図15に示すように、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に、前記両管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する状態で形成される連結穴7及びこれに対して径方向で連通する連結孔5を穿孔装置の穿孔手段Eで形成するための穿孔位置表示用指標部である穿孔位置表示用窪み59を予め形成してもよい。
【0075】
この第3実施形態の場合も、前記内面継ぎ輪6の設定連結箇所に形成されている穿孔位置表示用窪み59に穿孔手段Eのドリル30を当て付けて穿孔することにより、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7とが連続して形成されることになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0076】
〔第4実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6を、両接続管部1における内周面1aの内径と同一又は略同一寸法の外径で略1/4円弧状に構成された4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成したが、図16、図17に示すように、前記内面継ぎ輪6を、これの管軸芯X方向の最大幅よりも小なる細幅、具体的には1/10以下の細幅で角柱に構成された円周方向に沿う連結部材6Cと、当該連結部材6Cにおける設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に嵌合状態で取付けられる前記連結孔5を予め形成してある連結プレート6Dから構成してもよい。
【0077】
この第4実施形態では、前記連結プレート6Dに形成した嵌合凹部6dと連結部材6Cとの嵌合摩擦力により、連結部材6Cの設定連結箇所に連結プレート6Dが位置保持されているため、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したのち、当該連結プレート6Dから連結部材6Cを取り外してもよい。
【0078】
また、前記連結プレート6Dと連結部材6Cとを嵌合連結する代わりに、この連結プレート6Dと連結部材6Cとを溶接やビス止め等の適宜固定手段で固着してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0079】
〔第5実施形態〕
上述の第4実施形態では、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したとき、前記連結部材6Cが連結プレート6Dの内周面側に位置するように構成したが、図18に示すように、前記連結プレート6Dを両接続管部1の内周面1aに固定したとき、前記連結部材6Cが内周面1aと対面する連結プレート6Dの外周面側に位置するように構成してもよい。
【0080】
この第5実施形態では、前記連結部材6Cを、両接続管部1の隣接端面間に形成された径方向内方に開口する環状係合溝15に径方向内方から嵌合させることにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持させるための位置合わせ用突起に兼用構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0081】
〔第6実施形態〕
上述の各実施形態では、両流体管Pの接続管部1に形成された連結フランジ部1A同士を固定連結したフランジ継手部について説明したが、図19に示すように、一方の流体管Pの受口管部(接続管部の一例)60に挿入接続された他方の流体管Pの挿口管部(接続管部の一例)61に、前記受口管部60の大径内周面60aと挿口管部61の外周面61aとの間を密封可能な合成ゴム製のシール材62と、挿口管部61に外嵌する状態で受口管部60の端部に固定連結される環状部材の一例で、前記シール材62を管軸芯X方向から押圧して密封状態(水密状態)にまで圧縮可能な鋳鉄製の押輪63とが外装されているとともに、前記押輪63の連結フランジ部63Aと受口管部60の連結フランジ部60Aとの間には、押輪63と受口管部60とを管軸芯X方向から相対的に引寄せながら締付け固定する締結具の一例であるT字状のボルト64とナット65が設けられている継手部に本発明の技術を適用してもよい。
【0082】
そして、この第6実施形態では、前記受口管部60の小径内周面60bと挿口管部61の内周面61bとにわたって、輪状又は略輪状に構成され、且つ、前記両管部60,61との重合部分の設定連結箇所に円形の連結孔5が予め貫通形成されている金属製の内面継ぎ輪6を当て付け、この内面継ぎ輪6の連結孔5と、該連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両管部60,61の設定連結箇所に形成された径方向内方に開口する連結穴7とのうち、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して所定係合位置に保持することにより、前記両管部1,2を管軸芯X方向での相対移動を阻止した状態で固定連結するように構成されている。
【0083】
また、前記受口管部60の小径内周面60bと挿口管部61の内周面61bとにわたって、前記内面継ぎ輪6の横幅よりも大なる横幅に構成された円環状のゴム製の内面バンド10が装着され、この内面バンド10の管軸芯X方向両端部を両管部60,61の内周面60b、61bに押し付け固定する圧着手段Aが設けられているとともに、前記内面バンド10と圧着手段Aとをもって、前記内面継ぎ輪6及び係合ピン8を管内部に対して密封状態で覆う管内密封手段が構成され、さらに、前記連結孔5と連結穴7とにわたって挿入装着された前記係合ピン8の管径方向内方側への抜け出し移動を阻止する抜け出し阻止手段Bが設けられている。
【0084】
前記抜け出し阻止手段Bを構成するに、略円柱状の各係合ピン8の外周面のうち、管内に臨む管径方向内端面を除く部位に、前記連結孔5及び連結穴7の内周面との間に微小な摩擦力が働く弾性圧縮状態で挿入可能な厚みで係合ピン8の外周面を被覆処理する弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9が形成されているとともに、前記内面バンド10における環状外溝10Bの底面と前記係合ピン8の管径方向内端との対向面間隔が、前記係合ピン8の管径方向外側端部と前記両管部60,61の連結穴7との係合深さよりも小に設定され、係合ピン8の管径方向内端と内面バンド10における環状外溝10Bの底面との当接により、前記係合ピン8の管径方向外側端部が前記両管部60,61の連結穴7から抜け出すことを防止するように構成されている。
【0085】
また、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向中心位置には、前記両管部60,61の隣接端面の何れか一方(当該実施形態では挿口管部61の隣接端面)に係合することにより、両接続管部1に対して内面継ぎ輪6を管軸芯X方向での設定取付け位置に係合保持する横断面三角形状の位置合わせ用突起16が円周方向に沿って一体的に突出形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0086】
〔第7実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両管部1の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起16を形成したが、この位置合わせ用突起16を設ける代わりに、図20に示すように、前記内面継ぎ輪6の周方向の一箇所又は複数箇所に、これの内周面側から前記両管部1の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓19を形成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0087】
〔第8実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の内径が同一に構成されている場合を例に挙げて説明したが、図21に示すように、両流体管Pの接続管部1の内径が公差によって異なる場合では、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向両側部に、前記両接続管部1の内周面1aに当接する天然ゴムや合成ゴム製等の弾性体67を付設して実施するとよい。
【0088】
この第8実施形態の場合、公差による両接続管部1の内周面1aの段差を前記弾性体67の弾性変形量の差で吸収することが可能で、内面継ぎ輪6を両接続管部1に所定姿勢で確実、容易に固定することができる。
【0089】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
また、前記弾性体67を設けない場合には、前記内面継ぎ輪6の外周面に、公差による両接続管部1の内周面1aの段差に相当する段差面を形成するとよい。
【0090】
〔第9実施形態〕
上述の第1実施形態では、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって当て付けられる内面継ぎ輪6に、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に円形の連結孔5を予め貫通形成し、この連結孔5を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する連結穴7を形成し、径方向で連通する連結孔5と連結穴7とにわたって、連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を、管内側から管径方向に沿って挿入して固定連結したが、図22に示すように、前記両流体管Pの接続管部1の内周面1aにわたって当て付けられる内面継ぎ輪6に、前記接続管部1との重合部分の設定連結箇所に長円形の連結長孔70を予め貫通形成し、この連連結長孔70を倣い孔として穿孔装置の穿孔手段Eで両接続管部1の設定連結箇所に径方向内方に向かって開口する長円形の連結長穴71を形成し、径方向で連通する連結長孔70と連結長穴71とにわたって、連結部材の一例である長円ブロック状の係合ピース72を、管内側から管径方向に沿って挿入して固定連結してもよい。
【0091】
尚、前記係合ピース72の全外周面は、弾性被覆層の一例である防蝕ゴム層9で被覆処理されている。
また、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0092】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の両側辺の端面を、前記穿孔装置の移動手段の一例である転輪36を円周方向に沿って移動案内するためのガイド面17に構成したが、前記内面継ぎ輪6の一方の側辺の端面のみを転輪36用のガイド面17に構成してもよい。
【0093】
(2)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6を4つの帯板状の分割継ぎ輪体6Aに分割構成したが、二つの分割継ぎ輪体6A又は三つの分割継ぎ輪体6A或いは五つ以上の分割継ぎ輪体6Aに分割構成してもよい。
また、前記内面継ぎ輪6を、円周方向の一箇所が切断された縮径側に弾性変形可能なC字状に構成してもよい。
【0094】
(3)上述の実施形態では、二種類の継手部を例に挙げて説明したが、それ以外の継手部として、流路を構成する両管部の端部にわたって継ぎ輪を密封状態(水密状態)で外嵌固定してある継手部に本発明の技術を適用してもよい。
【0095】
(4)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の外周面における幅方向中心位置に、前記両接続管部1の隣接端面間に嵌合又は一方に当接する位置合わせ用突起16を円周方向に沿って連続的に突出形成したが、この位置合わせ用突起16を円周方向に沿って断続形成してもよい。
【0096】
(5)上述の第1実施形態では、前記内面継ぎ輪6の連結孔5及び両管部1の連結穴7とにわたって連結部材の一例である円柱状の係合ピン8を挿入装着したが、前記内面継ぎ輪6の連結孔5と両管部1の連結穴7との少なくとも一方に雌ネジが形成されている場合には、連結部材の一例であるネジ部材を径方向内方から螺合装着することになる。
【0097】
(6)上述の第1実施形態では、前記穿孔装置の移動手段として転輪36を例に挙げて説明したが、橇体等の他の移動手段を用いて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による継手部の離脱防止構造及び離脱防止方法の第1実施形態を示す半断面斜視図
【図2】継手部全体の断面側面図
【図3】継手部の一部切欠き正面図
【図4】継手部の要部の拡大断面側面図
【図5】内面継ぎ輪の斜視図
【図6】内面継ぎ輪の組み立て途中の断面正面図
【図7】内面継ぎ輪の組み立て完了時の断面正面図
【図8】内面継ぎ輪の繋ぎ部の拡大断面正面図
【図9】図8における内面継ぎ輪の繋ぎ部の拡大底面図
【図10】圧着手段の操作途中の拡大斜視図
【図11】穿孔装置の突っ張り固定時の拡大正面図
【図12】穿孔装置の回動案内時の拡大正面図
【図13】穿孔作業時の要部の拡大断面側面図
【図14】本発明の第2実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図15】本発明の第3実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【図16】本発明の第4実施形態を示す内面継ぎ輪の要部の拡大斜視図
【図17】継手部の要部の拡大断面側面図
【図18】本発明の第5実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図19】本発明の第6実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図20】本発明の第7実施形態を示す要部の拡大平面図
【図21】本発明の第8実施形態を示す要部の拡大断面側面図
【図22】本発明の第9実施形態を示す要部の拡大断面正面図
【符号の説明】
【0099】
E 穿孔手段
X 管軸芯
1 接続管部
1a 内周面
5 連結孔
6 内面継ぎ輪
6A 分割継ぎ輪体
6B 連結手段(蝶番)
6C 連結部材
6D 連結プレート
7 連結穴
8 連結部材(係合ピン)
16 位置合わせ用突起
17 ガイド面
19 位置合わせ用窓
58 穿孔位置表示用指標部(穿孔位置表示用小径孔)
59 穿孔位置表示用指標部(穿孔位置表示用窪み)
60 受口管部
60b 内周面(小径内周面)
61 挿口管部
61b 内周面
67 弾性体
70 連結長孔
71 連結長穴
72 連結部材(係合ピース)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪が当て付けられているとともに、前記両管部と内面継ぎ輪とが、それらの重合部分の設定連結箇に所径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結されている継手部の離脱防止構造であって、
前記内面継ぎ輪の設定連結箇所には、前記連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている継手部の離脱防止構造。
【請求項2】
前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方が、前記穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内するガイド面に構成されている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項3】
前記内面継ぎ輪が、円周方向で複数に分割された分割継ぎ輪体と、複数の分割継ぎ輪体の隣接端部同士を径方向内方側に屈曲可能に連結する連結手段とから構成されているとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に、該分割継ぎ輪体と同じ幅の隙間用部材が装着可能に構成されている請求項1又は2記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項4】
前記内面継ぎ輪が、これの管軸芯方向の最大幅よりも小なる細幅に構成された円周方向に沿う連結部材と、当該連結部材における設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に取付けられる前記連結孔又は連結長孔を備えた連結プレートから構成されている請求項1又は2記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項5】
前記内面継ぎ輪には、前記両管部の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項6】
前記内面継ぎ輪には、これの内周面側から前記両管部の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項7】
前記内面継ぎ輪の外周面には、前記両管部の内周面に当接する弾性体が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項8】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって、これとの重合部分の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔が予め貫通形成されている内面継ぎ輪を輪状又は略輪状に当て付けた状態で固定し、この内面継ぎ輪に貫通形成されている前記連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として径方向内方から挿通される穿孔装置の穿孔手段により、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成し、そのうち、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔又は連結長孔と前記両管部の連結穴又は連結長穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着することを特徴とする継手部の離脱防止工法。
【請求項9】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている継手部の離脱防止用内面継ぎ輪。
【請求項10】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔を穿孔装置の穿孔手段で形成するための穿孔位置表示用指標部が予め形成されている継手部の離脱防止用内面継ぎ輪。
【請求項1】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に形成された内面継ぎ輪が当て付けられているとともに、前記両管部と内面継ぎ輪とが、それらの重合部分の設定連結箇に所径方向内方から装着される連結部材を介して固定連結されている継手部の離脱防止構造であって、
前記内面継ぎ輪の設定連結箇所には、前記連結部材を径方向内方から装着可能な連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている継手部の離脱防止構造。
【請求項2】
前記内面継ぎ輪の管軸芯方向両側辺の少なくとも一方が、前記穿孔装置の移動手段を円周方向に移動案内するガイド面に構成されている請求項1記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項3】
前記内面継ぎ輪が、円周方向で複数に分割された分割継ぎ輪体と、複数の分割継ぎ輪体の隣接端部同士を径方向内方側に屈曲可能に連結する連結手段とから構成されているとともに、前記分割継ぎ輪体の隣接端部間に、該分割継ぎ輪体と同じ幅の隙間用部材が装着可能に構成されている請求項1又は2記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項4】
前記内面継ぎ輪が、これの管軸芯方向の最大幅よりも小なる細幅に構成された円周方向に沿う連結部材と、当該連結部材における設定連結箇所に対応する周方向複数箇所に取付けられる前記連結孔又は連結長孔を備えた連結プレートから構成されている請求項1又は2記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項5】
前記内面継ぎ輪には、前記両管部の隣接端面間に嵌合又は少なくとも一方の隣接端面に当接可能な位置合わせ用突起が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項6】
前記内面継ぎ輪には、これの内周面側から前記両管部の隣接端面を透視可能な位置合わせ用窓が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項7】
前記内面継ぎ輪の外周面には、前記両管部の内周面に当接する弾性体が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の継手部の離脱防止構造。
【請求項8】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって、これとの重合部分の設定連結箇所に連結孔又は連結長孔が予め貫通形成されている内面継ぎ輪を輪状又は略輪状に当て付けた状態で固定し、この内面継ぎ輪に貫通形成されている前記連結孔又は連結長孔を倣い孔又は倣い長孔として径方向内方から挿通される穿孔装置の穿孔手段により、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する連結穴又は連結長穴を形成し、そのうち、径方向で相対向する前記内面継ぎ輪の連結孔又は連結長孔と前記両管部の連結穴又は連結長穴とにわたって連結部材を径方向内方から装着することを特徴とする継手部の離脱防止工法。
【請求項9】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔が予め貫通形成され、この連結孔又は連結長孔が、前記両管部の連結穴又は連結長穴を穿孔装置の穿孔手段で形成するときの倣い孔又は倣い長孔に構成されている継手部の離脱防止用内面継ぎ輪。
【請求項10】
流路を構成する状態で接続される両管部の内周面にわたって輪状又は略輪状に当て付け可能で、且つ、当て付けられた重合部分の設定連結箇所に対して径方向内方から装着される連結部材を介して両管部に固定連結される離脱防止継手装置の内面継ぎ輪であって、前記両管部の設定連結箇所に径方向内方に開口する状態で形成される連結穴又は連結長穴に対して径方向で連通する連結孔又は連結長孔を穿孔装置の穿孔手段で形成するための穿孔位置表示用指標部が予め形成されている継手部の離脱防止用内面継ぎ輪。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−71364(P2010−71364A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238350(P2008−238350)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】
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