説明

緊急表示機能付き紙葉類処理装置

【課題】 非常停止スイッチが押下された場合、装置を駆動する部分の電源を遮断するが、緊急遮断表示部の電源を遮断しないで、緊急事態を即座に知らせることができる緊急表示機能付き紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 非常停止スイッチ81が押下されると、スイッチ制御回路43によって検知された出力信号が搬送・区分制御部35によって読み取られ制御部30に送信される。制御部30は、パネル制御部36に非常停止スイッチ81の情報を送信し、オペレートパネル20に押下された非常停止スイッチの位置を点滅する。また、リレーパネル部37のフリッカーリレー37bを駆動してタワーランプ38を点滅表示する。さらに、上記非常停止スイッチ81が押下されてから1秒後、タイマーリレー37aによって装置本体101に供給する電源39aの出力を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉書や封書などの紙葉類を処理する装置において、当該装置に備えられた非常停止スイッチが押下されたことにより、装置本体の電源が遮断されたことを示す緊急表示機能付き紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を処理する紙葉類処理装置(以下、装置と称す)では、装置の運転中、操作員・保守員に危険が発生した場合、非常停止スイッチを押下することによって、装置を緊急停止することが出来る。この装置の停止方法として、装置本体の電源は投入したまま、例えば搬送ベルト・搬送ローラ・など駆動部分を停止する方法と、装置本体の電源を遮断する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−73114号公報(第8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記、装置本体の電源は投入したまま、搬送ベルト・搬送ローラなど駆動部分を停止する方法では、装置本体の電源が投入されたままになっているため、活線部分と駆動部分はないがアイドリング部分が存在するなど電源系統を含めた完全な緊急遮断にならないという問題があった。
【0004】
一方、装置本体の電源を遮断する方法では、装置内部の全ての電源が切れてしまうため、操作員・保守員に緊急事態の発生を即座に知らせることができないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、非常停止スイッチが押下された場合、装置を駆動する部分の電源を遮断するが表示部の電源を遮断しないため、操作員・保守員に緊急事態を即座にしらせることができる緊急表示機能付き紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の請求項1記載の緊急表示機能付き紙葉類処理装置は、紙葉類を処理する紙葉類処理装置の本体と、前記紙葉類処理装置を操作する操作手段と、前記紙葉類処理装置の状態を表示する表示手段と、前記本体に電源を供給する本体電源と、前記操作手段及び前記表示手段に電源を供給する操作・表示部電源と、前記本体に配置した複数の非常通報スイッチと、前記非常通報スイッチが押下されたのに基づいて、この非常通報スイッチが押下されてから所定時間経過後、前記本体電源を遮断し、かつ、前記操作・表示部電源によって前記表示手段に緊急表示する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非常停止スイッチが押下された場合、装置を駆動する本体の電源を遮断するが操作・表示部の電源を遮断しないため、操作員・保守員に緊急事態を即座にしらせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の実施例による緊急表示機能付き紙葉類処理装置100の概略構成図である。図1の(A)は平面図で、図1の(B)は正面図である。紙葉類処理装置100(以下、装置と称する)は、紙葉類に記載された配達区分情報を読取部(図示しない)で読み取り、この読み取った配達区分情報を文字認識部5で認識する。そして、この認識した配達区分情報をIJP(Ink Jet Printer)印刷部7で当該紙葉類にバーコード印字し、区分毎の区分口を有するスタッカに当該紙葉類を集積する装置である。また、上記認識部で認識できなかった紙葉類の配達区分情報を示す画像情報がビデオコーディングシステム(Video Coding System)(以下、VCSと称する。)に送信され、当該画像情報に基づいて操作員によって配達区分情報が入力されると、オンライン処理中に上記IJP印刷部7でバーコードが印字されて上記スタッカに集積される。
【0010】
装置100では、供給部1に紙葉類をセットし、オペレートパネル20のスタートスイッチをオンすることによって装置100を運転させると取出部2から紙葉類が取出される。異物混入紙葉類や定型外紙葉類などの書状を検出して排除集積部3へ排除し、それ以外の供給可能な紙葉類は、プレバーコード読取部4と文字認識部5で紙葉類に記載された各種データを認識して、遅延搬送部6へと流れていく。遅延搬送部6は、文字認識部5で認識できなかった紙葉類のVCS処理(紙葉類の画像をモニタに表示し、操作員が一定時間内に配達区分情報を打鍵する処理)時間を稼ぐための搬送部である。その後、プレバーコード読取部4並びに、文字認識部5又はVCS打鍵情報を元に配達区分情報をIJP印刷部7にて特殊フォーマットのバーコードを印字し、その印字した内容をベリファイバーコード読取部8にて再チェックを行う。その後、最終判定(最終行先スタッカの決定)を行って、該当のスタッカへ集積させるために分岐部9にてゲート(図示しない)を稼動し各段への振分を行う。振分られた紙葉類は、第1スタッカ集積部50、第2スタッカ集積部60へと搬送され、最終行先スタッカの決定に従って該当スタッカへ集積される。
【0011】
図2は、装置100の電源系統別構成を示すブロック図である。装置100は、電源系統別に装置本体101の電源系統と、操作・表示部102の電源系統とから構成される。
【0012】
装置本体(本体)101は、本体電源39aからの電源供給を受け、制御部(制御手段)30によって制御される。制御部30は、供給・取出部周辺をコントロールするための取出制御部31、異物混入紙葉類を排除するための異物検出制御部32、紙葉類の配達区分情報をやりとりするための読取部インターフェース制御部33、その配達区分情報をバーコード印刷(IJP)するための印刷制御部34、紙葉類を搬送させ決められたスタッカへ集積させる搬送・区分制御部35、及び紙葉類の集積情報や装置100の異常情報を表示するためのパネル制御部36を制御する。
【0013】
搬送・区分制御部35は、紙葉類をベルト搬送するためのモータ駆動回路40、この搬送ベルトがどのくらいのスピードで駆動しているのかを検出するためのエンコーダ入力回路41、上記各スタッカへ集積させるためのゲート駆動回路42、そのゲートの駆動タイミングを検出するシフトセンサ、集積状態を監視する満杯検出センサ(2種)、紙札発行スイッチのオン/オフボタン、及び非常停止スイッチ81を検出するためのスイッチ制御回路43を有する。さらに、搬送・区分制御部35は、スタッカを制御をするために、スタッカの満杯状態を知らせるための満杯ランプ、及び集積開始または抜き取りを指示する紙札ランプの点灯/消灯制御を行うランプ制御回路44、並びに集積情報を表示するためのLCD制御回路45を有する。また、各種情報を保持するためのメモリ回路46を有する。
【0014】
操作・表示部102は、操作・表示部電源39bからの電源供給を受け、パネル制御部36及びリレーパネル部37によって制御される。
【0015】
パネル制御部36は、操作手段及び表示手段であるオペレートパネル20を制御する。また、リレーパネル部37にはタイマーリレー37a及びフリッカーリレー37bが設けられ、本体電源39aのオン・オフ制御、及びタワーランプ38の点滅制御を行う。
【0016】
上述したように、電源には、本体電源39a、操作・表示部電源39bが設けられており、本体電源39aの出力は、本実施例の装置100を駆動及び制御する装置本体101に供給される。一方、操作・表示部電源39bの出力は、パネル制御部36、オペレートパネル20、リレーパネル部37、タワーランプ38に供給される。
【0017】
図3は、装置100にオペレートパネル20、タワーランプ38、非常停止スイッチ81の配置を示す図である。非常停止スイッチ81は、概略5m間隔に装置100に配置してある。また、オペレートパネル20の近傍にタワーランプ38が配置されている。
【0018】
非常停止スイッチ81には、スイッチ本体81b及びこのスイッチ本体81bに軸支されているボタン81aが設けられている。ボタン81aは初期状態では図示Aの位置にあるが、押下されると図示Bの状態でロックされる。このロックされた状態は、ボタン81aを捻ることによって初期状態に復帰する(ターンリリースタイプ)。
【0019】
図5は、タワーランプ(緊急表示器)の外観図である。タワーランプ38は、発行色の異なる複数のLEDを一列に配置して構成される。また、このタワーランプは、装置100の操作員及び保守員が装置100のどこからでも目視確認できる程度の大きさを有して複数配置される。実施例では2個配置され、例えば、装置100の稼動中に非常停止スイッチが押下された場合には、赤表示部38aが点滅する(詳細は、後述する)。
【0020】
図6は、オペレートパネル20の外観を示す。オペレートパネル20には、装置100を稼動するSTARTスイッチ23、装置100を停止するSTOPスイッチ24、タッチ入力可能な液晶表示部25などの操作手段が備えられている。
【0021】
また、液晶表示部25には、表示手段として装置100の全体図が表示されており、非常停止スイッチが押下されると、表示された装置10の全体図中に押下された該当部分の非常停止スイッチが点滅し、押されたスイッチの位置を知ることができるようになっている。
【0022】
次に、図7、図8を参照して非常停止スイッチ81が押下された場合の操作を説明する。図7は、非常停止スイッチが押下されてからタワーランプが点灯するまでの信号の流れを説明するブロック図である。また、図8は、非常停止スイッチが押下されてからタワーランプが点滅するまでの動作を説明するタイミングチャートである。
【0023】
何れかの非常停止スイッチ81が押下されると(図8(A)のT1)、スイッチ制御回路43で検知される。このスイッチ制御回路43の出力信号は搬送・区分制御部35によって読み取られ、装置100の制御部30に送信される。
【0024】
制御部30は、受信したスイッチ信号の種類及び内容を判別する。判別の結果、非常停止スイッチがオンされた場合は、パネル制御部36に押下された非常停止スイッチのスイッチ情報を送信する(図8(B)のT2)。また、リレーパネル部37のタイマーリレー37a及びフリッカーリレー37bを起動する(図8(D)、(E))。
【0025】
リレーパネル部37のタイマーリレー37aは、所定時間(例えば、1秒)経過後本体電源39aの出力をオフ(OFF)にする(図8(D)のT3)。この結果、本体電源39aがオフし、装置100の主要な動作が停止する。しかしながら、パネル制御部36、オペレートパネル20、リレーパネル37、タワーランプ38の電源である表示部電源の出力はオフしない。
【0026】
上記タイマーリレー37aが必要な理由は、タイマーリレー37aを制御するパネル制御部36を制御する制御部30の電源が図2に示すように本体電源39aから供給されるためである。すなわち、タイマーリレーを用いずに制御部30が本体電源を遮断するための情報がパネル制御部37で受信されると、装置本体の瞬断処理が終了する前に本体電源がオフ(遮断)してしまい、システムの整合性がとれなくなる場合があるからである。そのため、タイマーリレーに設定される所定時間は装置に必要な必要最小限の時間を設定する必要がある。
【0027】
リレーパネル部37のフリッカーリレー37bは、タワーランプ38を所定の周期でオン(ON)・オフ(OFF)する。この結果、タワーランプ38の赤表示部38aは点滅表示になる。この点滅表示によって、装置100の操作員及び保守員は、装置100に緊急事態が発生したことを知ることが出来る。
【0028】
パネル制御部は、押下された非常停止スイッチの場所をオペレートパネル20の該当する場所に点滅表示する。
【0029】
本発明の実施例では、非常通報スイッチを複数個使用した場合を説明したが、1個の場合も同様の効果が得られる。1個にするか複数個にするかは装置本体の大きさと、装置の操作員の配置によって設定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例による緊急表示機能付き紙葉類処理装置。
【図2】紙葉類処理装置の電源系統別構成を示すブロック図。
【図3】紙葉類処理装置のオペレートパネル・タワーランプ・非常停止スイッチの配置を示す図。
【図4】非常停止スイッチの外観図。
【図5】タワーランプ外観図。
【図6】オペレートパネル図。
【図7】非常停止スイッチが押下されてからタワーランプが点灯するまでの信号の流れを説明するブロック図。
【図8】非常停止スイッチが押下されてからタワーランプ点灯するまでの動作を説明するタイミングチャート。
【符号の説明】
【0031】
1 供給部
2 取出部
3 排除集積部
4 プレバーコード読取部
5 文字認識部
6 遅延搬送部
7 IJP印刷部
8 ベリファイバーコード読取部
9 分岐部
10 紙葉類供給・認識部モジュール
20 オペレートパネル
30 制御部
35 搬送・区分制御部
36 パネル制御部
37 リレーパネル部
38 タワーランプ
39a 本体電源
39b 操作・表示部電源
43 スイッチ制御回路
81 非常停止スイッチ
100 紙葉類処理装置
101 装置本体
102 操作・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を処理する紙葉類処理装置の本体と、
前記紙葉類処理装置を操作する操作手段と、
前記紙葉類処理装置の状態を表示する表示手段と、
前記本体に電源を供給する本体電源と、
前記操作手段及び前記表示手段に電源を供給する操作・表示部電源と、
前記本体に配置した複数の非常通報スイッチと、
前記非常通報スイッチが押下されたのに基づいて、この非常通報スイッチが押下されてから所定時間経過後、前記本体電源を遮断し、かつ、前記操作・表示部電源によって前記表示手段に緊急表示する制御手段と
を備えたことを特徴とする緊急表示機能付き紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、
押下された前記非常通報スイッチの配置位置を表示するオペレートパネルと、
前記紙葉類処理装置を操作する操作者が目視確認可能な緊急表示器と
を備え、前記非常通報スイッチが押下されたのに基づいて、前記オペレートパネルに押下された非常通報スイッチの配置位置を点滅し、かつ、前記緊急表示器も点滅することを特徴とする請求項1記載の緊急表示機能付き紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記表示手段はさらに、
動作する時間設定可能なタイマーリレーと、
所定の周期で点滅するフリッカーリレーと
を備え、前記非常通報スイッチが押下されたのに基づいて、前記タイマーリレーに接続された本体電源を、前記所定時間経過後に遮断し、かつ、前記フリッカーリレーに接続された前記緊急表示器を前記所定の周期で点滅することを特徴とする請求項1記載の緊急表示機能付き紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−96487(P2006−96487A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282780(P2004−282780)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】