緊急通報システム
【課題】居住者ができるだけ無線子機を携行することができるようにする。
【解決手段】無線子機1は、常に確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信する。管理室親機30は、応答信号を受信した無線機10を特定して無線子機1の現在位置を特定する。居住者の外出が検出された場合に、管理室親機30は無線機10により確認信号を送信させて無線子機1の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部20により無線子機1が居住者により携行されていないことを報知するようにしているので、居住者が無線子機1を住戸内に置いたままで、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機1が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機1を取りに住戸内に戻ると考えられる。
【解決手段】無線子機1は、常に確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信する。管理室親機30は、応答信号を受信した無線機10を特定して無線子機1の現在位置を特定する。居住者の外出が検出された場合に、管理室親機30は無線機10により確認信号を送信させて無線子機1の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部20により無線子機1が居住者により携行されていないことを報知するようにしているので、居住者が無線子機1を住戸内に置いたままで、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機1が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機1を取りに住戸内に戻ると考えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅などにおける居住者からの呼び出しを管理人などに通報する緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急通報システムでは、居住者が居住している住戸内に設置される子機に搭載される呼出操作部を居住者が押下することで、管理室に設置された管理室親機が呼び出し音を出力するなどして報知の動作を行い、居住者が管理室に居る管理人を呼び出すようにしている。
【0003】
このような緊急通報システムが集合住宅に適用される場合、居住者は、自分が居住している住戸内だけではなく、その他の場所でも管理人を呼び出す必要に迫られるケースがある。このようなケースは、居住者が集合住宅の玄関と自身が居住する住戸との間の移動の際や居住者が集合住宅内に設置された共用施設と自身が居住する住戸との間を移動する際に起こり得る。そのため、居住者によって携行される無線子機および管理人が居る管理室に設置された管理室親機を無線により接続し、居住者が無線子機の呼出操作部を操作することにより、管理室親機が呼び出し音を出力するなどして報知の動作を行うようにしている。
【0004】
ところで、住戸内で呼び出しを行う場合には、住戸内に設置された子機がその住戸に固定されているため、管理室親機では、子機から入力した識別情報を解析することで呼び出しを行った住戸を特定し、その住戸の部屋番号を表示するなどして、呼び出しが行われた場所を特定することができる。しかしながら、無線子機から呼び出しが行われた場合には、無線子機が無線子機を携行している居住者とともに移動していることから、管理室親機では、無線子機から受信した識別情報を解析することで、呼び出しを行った居住者を特定することはできるものの、呼び出しが行われた場所を特定することができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、設置位置が特定された状態で構内の各所に無線機を設置し、複数の無線機が無線端末(無線子機)からのデータを受信した場合に、強度が強い二つの無線機を特定し、その無線機の設置位置を呼び出し位置の候補として表示するようにした位置検出システムが知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−38817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術を含む従来技術では、居住者が無線子機を住戸内に置いたまま移動してしまうと、居住者が呼び出しを行うことができなくなってしまうという問題があった。本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、居住者ができるだけ無線子機を携行することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、居住者によって携行される無線子機は、常に無線子機の現在位置を確認するための確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信するようにしている。無線子機を管理する管理室親機は、応答信号を受信した無線機を特定することで、無線子機の現在位置を特定するようにしている。そして、居住者の外出が検出された場合に、管理室親機は無線機により確認信号を送信させて無線子機の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、無線子機の現在位置が住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部により無線子機が居住者により携行されていないことを報知するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、居住者が無線子機を置いたまま、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機を取りに住戸内に戻ると考えられるため、居住者にできるだけ無線子機を携行させるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による緊急通報システムの機器配置例を示す図である。
【図2】本実施形態による緊急通報システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による緊急通報システムの機器配置例を示す図である。また、図2は、本実施形態による緊急通報システムの構成例を示すブロック図である。図1および図2に示すように、本実施形態による緊急通報システムは、無線子機1、無線機10(10a〜10f)、報知装置20(20a〜20c)、管理室親機30を備えて構成されている。
【0012】
ここで、無線子機1は、居住者により携行され、無線子機1の筐体に取り付けられた紐などにより居住者の首などに掛けられる。また、本実施形態では、居住者が住んでいる住戸を102号室としており、同じフロアには、101号室〜103号室までの住戸が存在している。また、101号室には無線機10aが、102号室には無線機10bが、103号室には無線機10cが天井などにそれぞれ設置されている。また、廊下には、101号室の近傍の天井などに無線機10dが、102号室の近傍の天井などに無線機10eが、103号室の近傍の天井などに無線機10fがそれぞれ設置されている。つまり、無線機10は、居住者が集合住宅内の何処に居ても無線子機1から送信される呼出信号(後述する)や応答信号(後述する)を受信できるように分散配置されている。また、無線機10a〜10fは、管理室に設置された管理室親機30に接続されている。
【0013】
また、玄関には居住者の外出および帰宅を検出する図示しない検出装置が設置されており、管理室親機30に接続されている。ここで、検出装置は、電気錠などにより構成されており、電気錠が外から施錠された場合には外出を検出して外出信号を出力し、電気錠が解錠された場合、または、電気錠が内側から施錠された場合には帰宅を検出して帰宅信号を出力する。
【0014】
無線子機1は、子機制御部2、呼出操作部3、子機記憶部4、子機送受信部5を備えて構成されている。子機制御部2は、無線子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。呼出操作部3は、居住者が管理人を呼び出すために操作される。子機記憶部4は、無線子機1に固有に割り当てられた子機識別情報を記憶する。子機制御部2は、呼出操作部3の操作を検知し、呼出操作部3の操作が検知されると、子機記憶部4から子機識別情報を取得し、この子機識別情報を含む呼出信号を生成する。
【0015】
子機送受信部5は、子機制御部2にて生成された呼出信号や応答信号を無線送信するとともに、無線機10から送信された確認信号を受信する。ここで、確認信号は、無線子機1の現在位置を確認するための信号である。また、子機送受信部5は、常に確認信号を受信できる状態となっている。子機送受信部5が確認信号を受信すると、子機制御部2は、子機記憶部4から子機識別情報を取得し、この子機識別情報を含む応答信号を生成する。
【0016】
無線機10は、無線機制御部11、送受信部12、測定部13、無線機インターフェース14とを備えて構成されている。無線機制御部11は、無線機10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。送受信部12は、無線子機1から送信された呼出信号や応答信号を図示しないアンテナを介して受信するとともに、無線機10で生成された確認信号を送信する。
【0017】
測定部13は、送受信部12が受信した呼出信号の受信レベルや応答信号の受信レベルを測定して受信レベル情報として無線機制御部11へ出力する。通常、無線子機1が無線機10のアンテナに近いほど、測定部13で測定される呼出信号や応答信号の受信レベルは大きくなる。すなわち、無線子機1が101号室の中にあれば、無線機10aの受信レベルが大きくなり、102号室の中にあれば、無線機10bの受信レベルが大きくなって、103号室の中にあれば、無線機10cの受信レベルが大きくなる。また、無線子機1が101号室の前の廊下にあれば、無線機10dの受信レベルが大きくなり、102号室の前の廊下にあれば、無線機10eの受信レベルが大きくなって、103号室の前の廊下にあれば、無線機10fの受信レベルが大きくなる。
【0018】
無線機インターフェース14は、無線機10と管理室親機30とを接続するためのものであり、管理室親機インターフェース32との間を有線で接続している。無線機制御部11は、測定部13から出力された受信レベル情報を入力する。そして、送受信部12が受信した呼出信号や応答信号と受信レベル情報とを関連付けて無線機インターフェース14から出力する。
【0019】
報知装置20は、インターホンのスピーカーなどにより構成されており、各住戸の玄関近傍に設置されている。また、報知装置20は、管理室親機30に有線などにより接続されている。ここで、101号室の玄関には報知装置20aが設置されており、102号室の玄関には報知装置20bが設置されていて、103号室の玄関には報知装置20cが設置されている。この報知装置20は、後述する条件により、居住者に無線子機1を携行するよう促す報知を行う。
【0020】
管理室親機30は、管理室にて管理人が各住戸や各居住者の状況を監視するためのものである。管理室親機30は、親機制御部31、管理室親機インターフェース32、親機記憶部33、報知部34、位置表示部35を備えて構成されている。親機制御部31は、管理室親機30の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。管理室親機インターフェース32は、管理室親機30と無線機10とを接続するためのものであり、無線機インターフェース14との間を有線で接続している。そして、親機制御部31は、呼出信号とその呼出信号に関連付けられた受信レベル情報を、管理室親機インターフェース32を介して無線機10から入力する。
【0021】
ここで、管理室親機インターフェース32では、接続されている無線機10を識別可能である。例えば、管理室親機インターフェース32の入力端子の位置に応じて無線機10を識別可能としても良いし、各無線機10に無線機識別情報を記憶させるようにしても良い。また、複数の無線機10が無線子機1から送信された呼出信号や応答信号を受信した場合には、親機制御部31は、子機識別情報が同一である呼出信号や応答信号を複数入力することになる。親機記憶部33は、集合住宅内に設置された全ての無線機10の設置場所を示す設置場所情報を記憶している。これにより、管理室親機30では、全ての無線機10の設置場所を把握することができる。また、親機記憶部33は、全ての居住者が居住する住戸を示す情報(例えば、部屋番号など)を子機識別情報(住居者を識別する情報)に関連付けて記憶している。
【0022】
報知部34は、居住者から呼び出しがあったことを報知するためのものであり、スピーカなどの放音装置や液晶ディスプレイなどの表示装置により構成される。また、報知部34にて報知する場合に、親機制御部31は、呼出信号に含まれる子機識別情報によって、呼び出しを行った居住者を特定し、その名前を報知部の表示装置に表示させるようにしている。位置表示部35は、居住者が呼び出しを行った場合に、呼び出し位置の候補を表示する。ここで、位置表示部35は、液晶ディスプレイなどの表示装置により構成されており、報知部34の表示装置と兼用されていても良い。管理室親機インターフェース32が、子機識別情報が同一である呼出信号を複数の無線機10から入力すると、親機制御部31は、それぞれの呼出信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10を特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。そして、親機制御部31は、位置表示部35を制御して、居住者が呼び出しを行った位置の候補を表示する。
【0023】
また、居住者が住戸から外出すると、検出装置が居住者の外出を検出する。すると、親機制御部31は、各所に設置された無線機10を制御して、確認信号を送信させる。各無線機10では、無線機制御部11にて確認信号を生成し、送受信部12が無線機制御部11にて生成された確認信号を送信する。ここで、図2に示すように、102号室で居住者の外出が検出された場合には、各無線機10a〜10fにて確認信号が送信される。102号室の居住者の無線子機1は、確認信号を受信して、子機制御部2にて応答信号を生成し、子機送受信部5が子機制御部2にて生成された応答信号を送信する。無線子機1から送信された応答信号は、各無線機10にて受信される。応答信号を受信した無線機10は、応答信号とともに受信レベル情報を管理室親機30へ出力する。
【0024】
管理室親機インターフェース32は、応答信号および受信レベル情報を各無線機10から入力し、親機制御部31は、それぞれの応答信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10eを特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。親機制御部31は、取得した設置場所情報により特定される設置場所が住戸内であるか否かを判定する。102号室の居住者は、無線子機1を携行して外出しているため、親機制御部31は、設置場所が住戸内ではないと判断して処理を終了する。
【0025】
一方、図2に示すように、101号室で居住者の外出が検出された場合には、各無線機10a〜10fにて確認信号が送信される。101号室の居住者の無線子機1は、確認信号を受信して、子機制御部2にて応答信号を生成し、子機送受信部5が子機制御部2にて生成された応答信号を送信する。無線子機1から送信された応答信号は、各無線機10にて受信される。応答信号を受信した無線機10は、応答信号とともに受信レベル情報を管理室親機30へ出力する。管理室親機インターフェース32は、応答信号および受信レベル情報を各無線機10から入力し、親機制御部31は、それぞれの応答信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10dを特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。親機制御部31は、取得した設置場所情報により特定される設置場所が住戸内であるか否かを判定する。101号室の居住者は無線子機1を携行し忘れて外出しているため、親機制御部31は、設置場所が住戸内であると判断する。そして、親機制御部31は、101号室の玄関近傍に設置された報知装置20aを制御して、居住者に無線子機1を携行するよう促す報知を行わせる。
【0026】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、居住者によって携行される無線子機1は、常に無線子機1の現在位置を確認するための確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信するようにしている。無線子機1を管理する管理室親機30は、応答信号を受信した無線機10を特定することで、無線子機1の現在位置を特定するようにしている。そして、居住者の外出が検出された場合に、管理室親機30は無線機10により確認信号を送信させて無線子機1の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、無線子機1の現在位置が住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部20により無線子機1が居住者により携行されていないことを報知するようにしている。
【0027】
これにより、居住者が無線子機1を住戸内に置いたまま、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機1が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機1を取りに住戸内に戻ると考えられるため、居住者にできるだけ無線子機1を携行させるようにすることができる。
【0028】
なお、前述した実施形態では、子機送受信部5が常に確認信号を受信できる状態としているが、これに限定されない。例えば、子機送受信部5が間欠的(例えば、5〜10秒毎など)に確認信号を受信できるようにしても良い。これにより、無線子機1の電池の消耗を抑制することができる。
【0029】
また、前述した実施形態では、報知部20を各住戸の玄関近傍に設置しているが、これに限定されない。例えば、報知部20を廊下の天井に設置したり、報知部20を居住者が携行している携帯電話に兼用させたりするようにしても良い。
【0030】
また、前述した実施形態では、報知部20を各住戸の玄関近傍に設置しているが、これに限定されない。例えば、管理室親機30の報知部34にて報知を行うようにしても良い。これにより、管理人に対して、居住者が無線子機1を携行していないことを通知することができる。
【0031】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 無線子機
2 子機制御部
3 呼出操作部
4 子機記憶部
5 子機送受信部
10 無線機
11 無線機制御部
12 送受信部
13 測定部
14 無線機インターフェース
20 報知装置
30 管理室親機
31 親機制御部
32 管理室親機インターフェース
33 親機記憶部
34 報知部
35 位置表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅などにおける居住者からの呼び出しを管理人などに通報する緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急通報システムでは、居住者が居住している住戸内に設置される子機に搭載される呼出操作部を居住者が押下することで、管理室に設置された管理室親機が呼び出し音を出力するなどして報知の動作を行い、居住者が管理室に居る管理人を呼び出すようにしている。
【0003】
このような緊急通報システムが集合住宅に適用される場合、居住者は、自分が居住している住戸内だけではなく、その他の場所でも管理人を呼び出す必要に迫られるケースがある。このようなケースは、居住者が集合住宅の玄関と自身が居住する住戸との間の移動の際や居住者が集合住宅内に設置された共用施設と自身が居住する住戸との間を移動する際に起こり得る。そのため、居住者によって携行される無線子機および管理人が居る管理室に設置された管理室親機を無線により接続し、居住者が無線子機の呼出操作部を操作することにより、管理室親機が呼び出し音を出力するなどして報知の動作を行うようにしている。
【0004】
ところで、住戸内で呼び出しを行う場合には、住戸内に設置された子機がその住戸に固定されているため、管理室親機では、子機から入力した識別情報を解析することで呼び出しを行った住戸を特定し、その住戸の部屋番号を表示するなどして、呼び出しが行われた場所を特定することができる。しかしながら、無線子機から呼び出しが行われた場合には、無線子機が無線子機を携行している居住者とともに移動していることから、管理室親機では、無線子機から受信した識別情報を解析することで、呼び出しを行った居住者を特定することはできるものの、呼び出しが行われた場所を特定することができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、設置位置が特定された状態で構内の各所に無線機を設置し、複数の無線機が無線端末(無線子機)からのデータを受信した場合に、強度が強い二つの無線機を特定し、その無線機の設置位置を呼び出し位置の候補として表示するようにした位置検出システムが知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−38817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術を含む従来技術では、居住者が無線子機を住戸内に置いたまま移動してしまうと、居住者が呼び出しを行うことができなくなってしまうという問題があった。本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、居住者ができるだけ無線子機を携行することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明では、居住者によって携行される無線子機は、常に無線子機の現在位置を確認するための確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信するようにしている。無線子機を管理する管理室親機は、応答信号を受信した無線機を特定することで、無線子機の現在位置を特定するようにしている。そして、居住者の外出が検出された場合に、管理室親機は無線機により確認信号を送信させて無線子機の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、無線子機の現在位置が住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部により無線子機が居住者により携行されていないことを報知するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、居住者が無線子機を置いたまま、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機を取りに住戸内に戻ると考えられるため、居住者にできるだけ無線子機を携行させるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態による緊急通報システムの機器配置例を示す図である。
【図2】本実施形態による緊急通報システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による緊急通報システムの機器配置例を示す図である。また、図2は、本実施形態による緊急通報システムの構成例を示すブロック図である。図1および図2に示すように、本実施形態による緊急通報システムは、無線子機1、無線機10(10a〜10f)、報知装置20(20a〜20c)、管理室親機30を備えて構成されている。
【0012】
ここで、無線子機1は、居住者により携行され、無線子機1の筐体に取り付けられた紐などにより居住者の首などに掛けられる。また、本実施形態では、居住者が住んでいる住戸を102号室としており、同じフロアには、101号室〜103号室までの住戸が存在している。また、101号室には無線機10aが、102号室には無線機10bが、103号室には無線機10cが天井などにそれぞれ設置されている。また、廊下には、101号室の近傍の天井などに無線機10dが、102号室の近傍の天井などに無線機10eが、103号室の近傍の天井などに無線機10fがそれぞれ設置されている。つまり、無線機10は、居住者が集合住宅内の何処に居ても無線子機1から送信される呼出信号(後述する)や応答信号(後述する)を受信できるように分散配置されている。また、無線機10a〜10fは、管理室に設置された管理室親機30に接続されている。
【0013】
また、玄関には居住者の外出および帰宅を検出する図示しない検出装置が設置されており、管理室親機30に接続されている。ここで、検出装置は、電気錠などにより構成されており、電気錠が外から施錠された場合には外出を検出して外出信号を出力し、電気錠が解錠された場合、または、電気錠が内側から施錠された場合には帰宅を検出して帰宅信号を出力する。
【0014】
無線子機1は、子機制御部2、呼出操作部3、子機記憶部4、子機送受信部5を備えて構成されている。子機制御部2は、無線子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。呼出操作部3は、居住者が管理人を呼び出すために操作される。子機記憶部4は、無線子機1に固有に割り当てられた子機識別情報を記憶する。子機制御部2は、呼出操作部3の操作を検知し、呼出操作部3の操作が検知されると、子機記憶部4から子機識別情報を取得し、この子機識別情報を含む呼出信号を生成する。
【0015】
子機送受信部5は、子機制御部2にて生成された呼出信号や応答信号を無線送信するとともに、無線機10から送信された確認信号を受信する。ここで、確認信号は、無線子機1の現在位置を確認するための信号である。また、子機送受信部5は、常に確認信号を受信できる状態となっている。子機送受信部5が確認信号を受信すると、子機制御部2は、子機記憶部4から子機識別情報を取得し、この子機識別情報を含む応答信号を生成する。
【0016】
無線機10は、無線機制御部11、送受信部12、測定部13、無線機インターフェース14とを備えて構成されている。無線機制御部11は、無線機10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。送受信部12は、無線子機1から送信された呼出信号や応答信号を図示しないアンテナを介して受信するとともに、無線機10で生成された確認信号を送信する。
【0017】
測定部13は、送受信部12が受信した呼出信号の受信レベルや応答信号の受信レベルを測定して受信レベル情報として無線機制御部11へ出力する。通常、無線子機1が無線機10のアンテナに近いほど、測定部13で測定される呼出信号や応答信号の受信レベルは大きくなる。すなわち、無線子機1が101号室の中にあれば、無線機10aの受信レベルが大きくなり、102号室の中にあれば、無線機10bの受信レベルが大きくなって、103号室の中にあれば、無線機10cの受信レベルが大きくなる。また、無線子機1が101号室の前の廊下にあれば、無線機10dの受信レベルが大きくなり、102号室の前の廊下にあれば、無線機10eの受信レベルが大きくなって、103号室の前の廊下にあれば、無線機10fの受信レベルが大きくなる。
【0018】
無線機インターフェース14は、無線機10と管理室親機30とを接続するためのものであり、管理室親機インターフェース32との間を有線で接続している。無線機制御部11は、測定部13から出力された受信レベル情報を入力する。そして、送受信部12が受信した呼出信号や応答信号と受信レベル情報とを関連付けて無線機インターフェース14から出力する。
【0019】
報知装置20は、インターホンのスピーカーなどにより構成されており、各住戸の玄関近傍に設置されている。また、報知装置20は、管理室親機30に有線などにより接続されている。ここで、101号室の玄関には報知装置20aが設置されており、102号室の玄関には報知装置20bが設置されていて、103号室の玄関には報知装置20cが設置されている。この報知装置20は、後述する条件により、居住者に無線子機1を携行するよう促す報知を行う。
【0020】
管理室親機30は、管理室にて管理人が各住戸や各居住者の状況を監視するためのものである。管理室親機30は、親機制御部31、管理室親機インターフェース32、親機記憶部33、報知部34、位置表示部35を備えて構成されている。親機制御部31は、管理室親機30の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。管理室親機インターフェース32は、管理室親機30と無線機10とを接続するためのものであり、無線機インターフェース14との間を有線で接続している。そして、親機制御部31は、呼出信号とその呼出信号に関連付けられた受信レベル情報を、管理室親機インターフェース32を介して無線機10から入力する。
【0021】
ここで、管理室親機インターフェース32では、接続されている無線機10を識別可能である。例えば、管理室親機インターフェース32の入力端子の位置に応じて無線機10を識別可能としても良いし、各無線機10に無線機識別情報を記憶させるようにしても良い。また、複数の無線機10が無線子機1から送信された呼出信号や応答信号を受信した場合には、親機制御部31は、子機識別情報が同一である呼出信号や応答信号を複数入力することになる。親機記憶部33は、集合住宅内に設置された全ての無線機10の設置場所を示す設置場所情報を記憶している。これにより、管理室親機30では、全ての無線機10の設置場所を把握することができる。また、親機記憶部33は、全ての居住者が居住する住戸を示す情報(例えば、部屋番号など)を子機識別情報(住居者を識別する情報)に関連付けて記憶している。
【0022】
報知部34は、居住者から呼び出しがあったことを報知するためのものであり、スピーカなどの放音装置や液晶ディスプレイなどの表示装置により構成される。また、報知部34にて報知する場合に、親機制御部31は、呼出信号に含まれる子機識別情報によって、呼び出しを行った居住者を特定し、その名前を報知部の表示装置に表示させるようにしている。位置表示部35は、居住者が呼び出しを行った場合に、呼び出し位置の候補を表示する。ここで、位置表示部35は、液晶ディスプレイなどの表示装置により構成されており、報知部34の表示装置と兼用されていても良い。管理室親機インターフェース32が、子機識別情報が同一である呼出信号を複数の無線機10から入力すると、親機制御部31は、それぞれの呼出信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10を特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。そして、親機制御部31は、位置表示部35を制御して、居住者が呼び出しを行った位置の候補を表示する。
【0023】
また、居住者が住戸から外出すると、検出装置が居住者の外出を検出する。すると、親機制御部31は、各所に設置された無線機10を制御して、確認信号を送信させる。各無線機10では、無線機制御部11にて確認信号を生成し、送受信部12が無線機制御部11にて生成された確認信号を送信する。ここで、図2に示すように、102号室で居住者の外出が検出された場合には、各無線機10a〜10fにて確認信号が送信される。102号室の居住者の無線子機1は、確認信号を受信して、子機制御部2にて応答信号を生成し、子機送受信部5が子機制御部2にて生成された応答信号を送信する。無線子機1から送信された応答信号は、各無線機10にて受信される。応答信号を受信した無線機10は、応答信号とともに受信レベル情報を管理室親機30へ出力する。
【0024】
管理室親機インターフェース32は、応答信号および受信レベル情報を各無線機10から入力し、親機制御部31は、それぞれの応答信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10eを特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。親機制御部31は、取得した設置場所情報により特定される設置場所が住戸内であるか否かを判定する。102号室の居住者は、無線子機1を携行して外出しているため、親機制御部31は、設置場所が住戸内ではないと判断して処理を終了する。
【0025】
一方、図2に示すように、101号室で居住者の外出が検出された場合には、各無線機10a〜10fにて確認信号が送信される。101号室の居住者の無線子機1は、確認信号を受信して、子機制御部2にて応答信号を生成し、子機送受信部5が子機制御部2にて生成された応答信号を送信する。無線子機1から送信された応答信号は、各無線機10にて受信される。応答信号を受信した無線機10は、応答信号とともに受信レベル情報を管理室親機30へ出力する。管理室親機インターフェース32は、応答信号および受信レベル情報を各無線機10から入力し、親機制御部31は、それぞれの応答信号に関連付けられている受信レベル情報を解析する。その結果、親機制御部31は、受信レベルが最も大きい無線機10dを特定し、親機記憶部33に記憶されている設置場所情報を取得する。親機制御部31は、取得した設置場所情報により特定される設置場所が住戸内であるか否かを判定する。101号室の居住者は無線子機1を携行し忘れて外出しているため、親機制御部31は、設置場所が住戸内であると判断する。そして、親機制御部31は、101号室の玄関近傍に設置された報知装置20aを制御して、居住者に無線子機1を携行するよう促す報知を行わせる。
【0026】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、居住者によって携行される無線子機1は、常に無線子機1の現在位置を確認するための確認信号を受信できる状態であり、確認信号を受信すると応答信号を送信するようにしている。無線子機1を管理する管理室親機30は、応答信号を受信した無線機10を特定することで、無線子機1の現在位置を特定するようにしている。そして、居住者の外出が検出された場合に、管理室親機30は無線機10により確認信号を送信させて無線子機1の現在位置が住戸内であるか否かを判定し、無線子機1の現在位置が住戸内であると判定したときには、住戸の玄関近傍に設置された報知部20により無線子機1が居住者により携行されていないことを報知するようにしている。
【0027】
これにより、居住者が無線子機1を住戸内に置いたまま、居住者の外出が検出された場合には、居住者が居ると思われる玄関付近で、無線子機1が居住者により携行されていないことが報知されるので、その報知に気付いた居住者が無線子機1を取りに住戸内に戻ると考えられるため、居住者にできるだけ無線子機1を携行させるようにすることができる。
【0028】
なお、前述した実施形態では、子機送受信部5が常に確認信号を受信できる状態としているが、これに限定されない。例えば、子機送受信部5が間欠的(例えば、5〜10秒毎など)に確認信号を受信できるようにしても良い。これにより、無線子機1の電池の消耗を抑制することができる。
【0029】
また、前述した実施形態では、報知部20を各住戸の玄関近傍に設置しているが、これに限定されない。例えば、報知部20を廊下の天井に設置したり、報知部20を居住者が携行している携帯電話に兼用させたりするようにしても良い。
【0030】
また、前述した実施形態では、報知部20を各住戸の玄関近傍に設置しているが、これに限定されない。例えば、管理室親機30の報知部34にて報知を行うようにしても良い。これにより、管理人に対して、居住者が無線子機1を携行していないことを通知することができる。
【0031】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 無線子機
2 子機制御部
3 呼出操作部
4 子機記憶部
5 子機送受信部
10 無線機
11 無線機制御部
12 送受信部
13 測定部
14 無線機インターフェース
20 報知装置
30 管理室親機
31 親機制御部
32 管理室親機インターフェース
33 親機記憶部
34 報知部
35 位置表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者によって携行される無線子機と、集合住宅内の各住戸および前記集合住宅内の各共用部に分散配置される無線機と、管理室に設置される管理室親機とを備えた緊急通報システムであって、
前記無線子機は、
前記無線子機に固有に割り当てられた子機識別情報を記憶する子機記憶部と、
前記子機記憶部に記憶された子機識別情報を含む応答信号を生成する子機制御部と、
前記無線機から送信された確認信号を受信するとともに、前記確認信号を受信した場合に、前記子機制御部により生成された応答信号を無線送信する子機送受信部と、
前記無線機は、
前記無線子機が送信した応答信号を受信するとともに、確認信号を送信する送受信部と、
前記送受信部が受信した応答信号の受信レベルを測定し受信レベル情報として出力する測定部と、
前記送受信部が受信した応答信号と前記測定部から入力した受信レベル情報とを関連付けて出力する無線機制御部とを備え、
前記管理室親機は、
前記無線機が設置された場所を示す設置場所情報を記憶する親機記憶部と、
前記無線機により前記無線子機の存在を確認するための確認信号を送信させるとともに、前記無線機から出力された応答信号と受信レベル情報とを入力し、前記受信レベル情報を解析して受信レベルが高い無線機の設置場所情報を前記親機記憶部から抽出して、前記無線子機の位置を特定するとともに、集合住宅内の住戸において不在の設定がなされた場合に、前記無線機により確認信号を送信させて前記住戸を使用する居住者が使用する無線子機の現在位置が前記住戸内であるか否かを判定して、前記無線子機の現在位置が住戸内であると判定したときには、前記住戸の玄関近傍に設置された報知装置により無線子機が居住者により携行されていないことを報知させる親機制御部とを備えたことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項1】
居住者によって携行される無線子機と、集合住宅内の各住戸および前記集合住宅内の各共用部に分散配置される無線機と、管理室に設置される管理室親機とを備えた緊急通報システムであって、
前記無線子機は、
前記無線子機に固有に割り当てられた子機識別情報を記憶する子機記憶部と、
前記子機記憶部に記憶された子機識別情報を含む応答信号を生成する子機制御部と、
前記無線機から送信された確認信号を受信するとともに、前記確認信号を受信した場合に、前記子機制御部により生成された応答信号を無線送信する子機送受信部と、
前記無線機は、
前記無線子機が送信した応答信号を受信するとともに、確認信号を送信する送受信部と、
前記送受信部が受信した応答信号の受信レベルを測定し受信レベル情報として出力する測定部と、
前記送受信部が受信した応答信号と前記測定部から入力した受信レベル情報とを関連付けて出力する無線機制御部とを備え、
前記管理室親機は、
前記無線機が設置された場所を示す設置場所情報を記憶する親機記憶部と、
前記無線機により前記無線子機の存在を確認するための確認信号を送信させるとともに、前記無線機から出力された応答信号と受信レベル情報とを入力し、前記受信レベル情報を解析して受信レベルが高い無線機の設置場所情報を前記親機記憶部から抽出して、前記無線子機の位置を特定するとともに、集合住宅内の住戸において不在の設定がなされた場合に、前記無線機により確認信号を送信させて前記住戸を使用する居住者が使用する無線子機の現在位置が前記住戸内であるか否かを判定して、前記無線子機の現在位置が住戸内であると判定したときには、前記住戸の玄関近傍に設置された報知装置により無線子機が居住者により携行されていないことを報知させる親機制御部とを備えたことを特徴とする緊急通報システム。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2012−68824(P2012−68824A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212280(P2010−212280)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】
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