説明

緊急避難用酸素マスク

【課題】水や圧縮酸素を携帯しなくとも、緊急状況で待避時間の間に酸素を発生させることができる緊急避難用酸素マスクを提供する。
【解決手段】着用者の顔面部に着用し、着用者の呼吸状態による圧力差を用いて酸素を着用者に供給したり、二酸化炭素及び湿気を排出する呼吸部と、前記呼吸部から排出した二酸化炭素と湿気を底面の二酸化炭素供給孔を介して供給する二酸化炭素供給部と、上面が開放された状態で、前記二酸化炭素供給部の外側に結合され、内部に充填された二酸化カリウム(KO2)と酸化炭素、又は二酸化カリウムと湿気の反応により酸素を発生させる酸素発生部と、酸素移動部により移動した酸素を貯蔵する酸素貯蔵部と、前記酸素移動部の両側面に各々取り付けられ、前記酸素貯蔵部に貯蔵された酸素に残留する二酸化炭素を除去し、当該酸素の温度及び湿度を下げて前記呼吸部に供給するフィルタ部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急避難用酸素マスクに関し、特に着用者が吐き出した息を酸素に変換して着用者が再呼吸することができるようにすると共に、着用が容易であり、且つメガネ部の脱着が容易な緊急避難用酸素マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物の内部装飾として合成高分子の使用量が増加するにつれて、火災の発生時、着用者が出口まで到達する前に、数分内に有毒ガスに起因して窒息死する事故がしきりに発生する。
【0003】
このような点に鑑みて、緊急避難用酸素マスクは、火災の発生時、初期に数秒乃至数分間酸素を供給されて呼吸しつつ、避難できるようにしたもので、従来、緊急避難用酸素マスクは、圧縮酸素を利用したり、水と化学物質との反応を通じて酸素を提供する方式を使用している。
【0004】
しかしながら、このように圧縮酸素、又は水と化学物質との反応を利用する場合、圧縮酸素タンクの体積が大きくて、且つ水を保管するための水桶の体積が大きいという問題点があった。
【0005】
また、緊急避難用酸素マスクに結合された多重の締結紐を具備していて、着用者が頭の上方から緊急避難用酸素マスクを被る形態を有している。
【0006】
この際、着用者の頭部の後方上側には、締結紐の束が位置し、マスクの垂れ下がりを防止するようになる。
【0007】
このような着用形態は、着用者が頭を保護するためのヘルメットを着用した場合、ヘルメットを脱いで、緊急避難用酸素マスクを着用しなければならないという不便があり、また、締結紐の束が着用者の頭部の後方上側に位置するので、ヘルメットの着用が容易ではないなどの問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、水や圧縮酸素を携帯しなくとも、緊急状況で避難時間の間に酸素を発生させることができる緊急避難用酸素マスクを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、簡単な構造を使用して酸素発生装置の体積を低減することができる緊急避難用酸素マスクを提供することにある。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、ヘルメットを着用した状態でも容易に着用することができ、メガネ部の脱着を容易にして、使用目的に応じてメガネ部を選択的に着用することができる緊急避難用酸素マスクを提供することにある。
【0011】
また、本発明のさらに他の目的は、着用者の顔面部との密着度を高めることによって、有毒ガスが顔面部との間隙に流入することを防止することができる緊急避難用酸素マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る緊急避難用酸素マスクは、着用者の顔面部に着用し、着用者の呼吸状態による圧力差を用いて酸素を着用者に供給したり、二酸化炭素及び湿気を排出する呼吸部と、前記呼吸部から排出した二酸化炭素と湿気を底面の二酸化炭素供給孔を介して供給する二酸化炭素供給部と、上面が開放された状態で、前記二酸化炭素供給部の外側に結合され、内部に充填された二酸化カリウム(KO2)と二酸化炭素の反応、又は二酸化カリウムと湿気の反応により酸素を発生させる酸素発生部と、酸素移動部により移動した酸素を貯蔵する酸素貯蔵部と、前記酸素移動部の両側面に各々取り付けられ、前記酸素貯蔵部に貯蔵された酸素に残留する二酸化炭素を除去し、当該酸素の温度及び湿度を下げて前記呼吸部に供給するフィルタ部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記呼吸部は、吸入口及び排気口を備え、着用者の呼吸器の周辺に、外気から分離される空間を設けるマスクと、前記マスクが離脱しないように固定し、且つ着用者の頭部の後方で相互締結が可能な第1及び第2締結紐と、前記第1及び第2締結紐に各々設けられ、着用者の耳が前記第1及び第2締結紐にひっかからずに締結され得るようにするイヤガイドと、前記第1及び第2締結紐を着用者の頭部の後方下段で相互締結可能なバンドクリップと、を備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る緊急避難用酸素マスクは、簡単な構造を使用して、着用者が吐き出した息に含まれた二酸化炭素を用いて酸素を発生させ、発生した酸素を着用者が呼吸するのに適当な温度や湿度に変換し、着用者が呼吸できるようにすることによって、避難時間の間に充分の酸素を供給することができるので、人命被害を低減することができ、保管と携帯が容易であるという効果がある。
【0015】
また、本発明の緊急避難用酸素マスクは、ヘルメット着用者がヘルメットを脱がなくても、緊急避難用酸素マスクを容易に着用することができるので、緊急避難用酸素マスクの着用時間を低減することができ、有害ガスから着用者の安全を一層保護することができるという効果がある。
【0016】
また、本発明の緊急避難用酸素マスクは、イヤガイドを適用して、締結紐が着用者の耳にひっかかることを防止することができると共に、着用者が妨害無しに周辺の声を聞くことができるようにして、着用の便宜性を向上させることができ、緊急時、周辺の案内に応じて迅速に避難することができるという効果がある。
【0017】
さらに、本発明の緊急避難用酸素マスクは、メガネ部の脱着が容易なので、使用目的に応じて容易にメガネ部を選択的に使用することができ、適用範囲を拡大することができると共に、経済的であるという効果がある。
【0018】
さらに、本発明の緊急避難用酸素マスクは、マスクと着用者の顔面とをさらに密着させる手段を設けることによって、火災などにより汚染された外気から着用者を一層安全に保護することができるという効果がある。
【0019】
また、本発明の緊急避難用酸素マスクは、太陽光又は室内照明を用いて電源を蓄積することによって、蓄積された電源を使用して、緊急避難用酸素マスク着用者の音声を増幅したり、非常照明を使用することができるようにして、管理の便宜性を向上させることができると共に、火災などの緊急時、避難路の確保と意志疎通を容易にするという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。下記の実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために一例として提示されるものである。したがって、本発明は、下記の実施形態に限らず、様々な変形が可能である。なお、 本明細書において、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0021】
<実施形態1>
図1は、本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクを示す前面透視図であり、図2は、その平面透視図であり、図3は、その使用状態図である。
【0022】
図1乃至図3を各々参照すれば、本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクは、着用者の呼吸器を外気から分離し、吸入口と吐出口を備えた呼吸部100と、前記呼吸部100の中央部に取り付けられた二酸化炭素流入部210と、前記二酸化炭素流入部210を介して流入された二酸化炭素及び湿気を二酸化カリウム(KO2)と反応させて酸素を発生させる酸素発生部220と、前記酸素発生部220から発生した酸素を、酸素発生部220の下部に取り付けられた酸素貯蔵部240に移動させる酸素移動部230と、前記酸素貯蔵部240の上部及び前記酸素移動部230の側面に配置され、前記未反応の二酸化炭素を除去すると共に、湿気を吸収し、浄化された酸素を前記呼吸部100に供給するフィルタ部250と、を備えて構成される。
【0023】
以下、前述のような本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの構成及び作用について詳細に説明する。
【0024】
まず、前記二酸化炭素流入部210、酸素発生部220及び酸素移動部230は、各々大きさが異なる半円周形状よりなり、着用時、着用者の顔面側が平面であり、外側が曲面である。
【0025】
また、当該酸素移動部230の両側面には、半円周形状のフィルタ部250が所定の角度をもって折り曲げられた状態で締結される。
【0026】
このような構造は、全体的に着用者の顔面に本発明のマスクが密着されることができ、大きさを低減しながらも、避難時間の間に充分の酸素を発生できる程度の容量を有するようになる。
【0027】
前記二酸化炭素流入部210には、前記呼吸部100を着用した着用者が吐き出した息に含まれた二酸化炭素と湿気が流入される。
【0028】
前記呼吸部100の吐出口及び吸入口には、圧力の差異によって開閉されるチェック弁111、121が設けられており、着用者が息を吐き出す時、チェック弁111が開弁し、チェック弁121が閉弁し、反対に、息を吸い込む時、チェック弁111が閉弁し、チェック弁121が開弁するようにすることができる。
【0029】
前記二酸化炭素流入部210の下段部には、二酸化炭素流入孔211が設けられており、当該二酸化炭素流入孔211は、所定の深さで前記酸素発生部220に充填された二酸化カリウム(KO2)に埋め込められている。
【0030】
前記酸素発生部220は、上面が開放されたものであって、その内部に二酸化カリウム(KO2)が充填されている。前記二酸化カリウム(KO2)は、下記の化学式1のように、二酸化炭素(CO2)と反応して酸素(O2)を発生させる。
【0031】
[化学式1]
2CO2+4KO2→2K2CO3+3O2+熱
【0032】
また、下記の化学式2のように、前記湿気もまた二酸化カリウムと反応して酸素を発生させる。
【0033】
[化学式2]
4KO2+2H2O→2KOH+3O2+熱
【0034】
すなわち、本発明は、着用者が吐き出した息の二酸化炭素及び湿気を二酸化カリウムと反応させて酸素を発生させる。
【0035】
前記化学式2の反応結果物である2KOHは、さらに下記の化学式3のような反応を通じて酸素を発生させる。このような二重反応を通じて酸素を発生させて、着用者が吐き出した息の二酸化炭素を用いて呼吸に必要な酸素を十分に発生させることができる。
【0036】
[化学式3]
2KOH+4CO2→K2CO3+3O2+H2
【0037】
この際、使用する二酸化カリウム(KO2)は、2〜4mm粒径の顆粒(granule)であることが好ましく、前記化学式1と化学式2及び化学式3の反応をさらに促進するために、触媒をさらに含むことができる。
【0038】
また、前記二酸化カリウムを通る二酸化炭素の流れが向流式なので、二酸化炭素と二酸化カリウムとの反応でクラスターが発生せずに、効果的な反応が生じるようになる。
【0039】
前記化学式1及び化学式2で発生した酸素は、温度が約40℃以上であり、このため、着用者が直接呼吸することが困難である。
【0040】
前記発生した酸素は、前記酸素移動部230を介して酸素貯蔵部240に貯蔵される。前記酸素移動部230の形状は、底面が開放された半円筒形状の構造となっており、前記酸素発生部220から発生した酸素が下向き移動し、酸素貯蔵部240に貯蔵されるようにする。
【0041】
この際、本発明に係る酸素発生装置の体積を低減するために、前記酸素が移動する経路は、前記酸素発生部220の外側面部に限定される。すなわち、前記酸素発生部220の前面と酸素移動部230の背面とは密着している。
【0042】
このように移動した酸素を貯蔵する酸素貯蔵部240は、発生した酸素を保管し、且つ温度を若干下げる役割をする。
【0043】
前記酸素貯蔵部240に貯蔵された酸素は、着用者の吸い込む息によりフィルタ部250に流入され、前記吸入口を介して呼吸部100に流入され、着用者が呼吸をしながら緊急に避難することができるようになる。
【0044】
前記フィルタ部250は、前記酸素貯蔵部240から流入される酸素に残存する二酸化炭素を除去する二酸化炭素吸着部251と、当該二酸化炭素が除去された酸素から湿気を除去する湿気除去部252とで構成される。
【0045】
前記二酸化炭素吸着部251及び湿気除去部252は、各々空気の流れが可能な仕切り膜253により分離され、当該吸着部251には、ソーダライム(soda lime)が充填されている。
【0046】
前記ソーダライムは、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、水酸化カリウム (potassium hydroxide)及び水酸化カルシウム(calcium hydroxide)の混合物であって、炭酸ガスを吸収する作用をする。
【0047】
このように、前記二酸化炭素吸着部251の作用により、着用者が呼吸する空気には、二酸化炭素がほとんど除去される。
【0048】
また、前記湿気除去部252には、シリカゲル(silica gel)が充填されており、この無水珪酸塩を主成分とする多孔性粒子を使用して、発生した酸素から湿気を除去する。
【0049】
この際、二酸化炭素を除去すると共に、湿気を除去することによって、前記着用者が呼吸する酸素の温度を下げることができる。
【0050】
すなわち、本発明は、簡単な構造を使用して着用者の吸い込む息に含まれた二酸化炭素を用いて酸素を発生させ、発生した酸素の温度を下げることによって、着用者が再呼吸することができるようにし、保管及び携帯が容易である。
【0051】
前記フィルタ部250は、前記酸素移動部230の外側面に所定の角度で折り曲げられて配置される半円筒型構造であり、その下部は、一部が前記酸素貯蔵部240に挿着されている。
【0052】
このような構造により、前記フィルタ部250と酸素移動部230の背面側は、着用者に密着することができ、前面側は、丸い曲面をなし、これにより、避難の際、障害物にひっかからずに避難することができる。
【0053】
<実施形態2>
図4は、本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部100を示す構成図である。
【0054】
図4を参照すれば、本発明の緊急避難用酸素マスクの呼吸部100は、着用者の顔面部の呼吸器の周辺を密閉し、吸入口11及び吐出口12を備えたマスク10と、各々の両端が前記マスク10の両側面の各々から所定の距離をもって離隔された位置に結合される締結紐20、30と、前記締結紐20、30の一部が挿入され、当該締結紐20、30各々の隔離距離を維持するイヤガイド(ear guide)40と、前記締結紐20、30の中央部に各々配設されるバンドクリップ50と、前記バンドクリップ50の内側に配置されるように前記一方の締結紐30の中央部に結合され、前記吸入口11を遮蔽したり、着用者の頭から締結紐20、30の垂れ下がりを防止するパッド60とを備えて構成される。
【0055】
以下、前述のように構成された本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部100の構成及び作用について詳細に説明する。
【0056】
まず、マスク10は、着用者の呼吸器である鼻と口の周辺に空間を設けることができる形状よりなり、当該空間の端部には、着用者の顔面と密着して、マスク10内の酸素が外部に漏れるか、外部の空気がマスク10内側に流入しない構造なら、その構造に関係なく使用することができる。
【0057】
また、前記マスク10には、着用者が吐き出した二酸化炭素を排気する吐出口12と、酸素の吸入のための吸入口11とが設けられており、当該吐出口12と吸入口11には、チェック弁が結合されることができる。
【0058】
前述のような構造のマスク10の両側面には、締結紐20、30が各々結合される。
【0059】
前記締結紐20、30は、各々単一のものであってもよく、各々の両端がマスク10の一側面部に所定の間隔をもって離隔された位置に結合される。
【0060】
前記締結紐20、30は、火災などの災難事故により停電された場合にも、着用者が容易に確認することができるようにすると共に、マスク10を着用した着用者を容易に確認することができるようにするために、蛍光物質が塗布されたり、蛍光シートが接着されたものを使用することができる。
【0061】
前記締結紐20、30の、マスク10と締結された両端と中央部との間には、イヤガイド40が配設される。
【0062】
着用者がマスク10を着用した状態で、前記イヤガイド40は、着用者の耳の後方に配設されるようになり、前記マスク10に結合された締結紐20、30の両端間隔を維持し、当該締結紐20、30が着用者の耳にひっかかって着用が不便になることを解消することができる。
【0063】
また、着用者の耳を常に露出された状態にして、火災などの災難時に、外部の声をよく聴取できるようにし、避難案内に応じて迅速に避難できるようにする。
【0064】
そして、前記締結紐20、30の中央部には、各々相互締結可能なバンドクリップ50が結合されている。
【0065】
図5は、本発明の好ましい一実施形態に係るバンドクリップ50を示す側面構成図である
【0066】
図5を参照すれば、前記バンドクリップ50は、一端が前記締結紐30の中央部に締結され、他端が折り曲げられたフックを備えたフック部51と、一端が前記締結紐20の中央部に締結され、他端が前記フック部51のフックに係着されるループを備えたループ部52とで構成される。
【0067】
前記フック部51の形状は、ループ部52が容易に離脱しないように、内側に突起を有することができる。
【0068】
また、前記バンドクリップ50の後面には、着用時、締結紐30が垂れ下がらないように、パッド60が設けられる。このパッド60は、ゴム材であり、マスク10の保管時、吸入口11を密閉する機能をも行う。
【0069】
図6は、本発明の好ましい一実施形態に係るパッド60を示す側面構成図である。
【0070】
図6を参照すれば、前記パッド60は、楕円形本体61と、該本体61の底面側から突出し、前記締結紐30の中央部が挿入固定される締結部62と、該締結部62とは反対側に突出した円形の吸入口密閉部63とを含む。
【0071】
前記パッド60に吸入口密閉部63を設けた理由は、前記マスク10の吸入口側に二酸化炭素を酸素に変換するための化学物質が充填された酸素発生器が結合された場合、当該酸素発生器の化学物質の変質を防止するためである。
【0072】
このように構成される本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの着用方法は、マスク10を着用者の顔面部の呼吸器側に密着させ、両側の締結紐20、30を頭部の後方下段部に引っ張って、前記バンドクリップ50のフック部51とループ部52とを相互締結して固定する。
【0073】
この際、着用者がヘルメットを使った状態でも、緊急避難用酸素マスクを着用できるようになり、イヤガイド40により着用者の耳に締結紐20、30がひっかからないようになり、容易に着用することができる。
【0074】
また、前記締結紐20、30を相互連結するバンドクリップ50が頭部の後方下段に配設されるので、ヘルメットと関係なく着用することができる。
【0075】
<実施形態3>
図7は、本発明の他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの分離構成図である。
【0076】
図7を参照すれば、前記締結紐20、30は、直接マスク10に締結されずに、マスク10の外面を包むマスクガイド75に締結される。
【0077】
前記マスクガイド75は、マスク10の外面の一部を覆う形状であり、前記マスク10の吸入口11及び吐出口12に対応する孔が設けられている。
【0078】
前記マスクガイド75は、不燃又は難燃材質であり、前記締結紐20、30により着用者の顔面部側に密着され、マスク10と着用者の顔面部をさらに密着させる役割をする。
【0079】
特に、前記マスクガイド75は、マスク10とは異なって、硬質のものを使用することができ、締結紐20、30の引っ張りによりマスク10が変形又は損傷されることを防止できるようになる。
【0080】
<実施形態4>
図8は、本発明の他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部の構成図である。
【0081】
図8を参照すれば、本発明の他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクは、前記実施形態1の構成に、着用者の鼻面とマスク10とを密着させるためのクリップ70をさらに含む。
【0082】
前記クリップ70は、中央部が折り曲げられ、且つ折り曲げ部の両側部が内側に適当な復原力を有するものを使用する。
【0083】
前記クリップ70の材質は、合成樹脂又は金属を使用することができる。
【0084】
人体の鼻面は、その高さと形状が着用者に応じて異なり、鼻面が標準値に比べてあまり高いか、低い場合、又は標準値に比べて太いか、薄い場合、前記マスク10と完全に密着しないことがある。
【0085】
前記マスク10と着用者の顔面部とが完全に密着しない場合、火災により発生した外部の一酸化炭素などがマスク10の内部に流入されることができるので、前記クリップ70を用いて着用者の鼻面とマスク10とを完全に密着させことによって、外部空気の流入を防止できるようになる。
【0086】
<実施形態5>
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部100の分離構成図である。
【0087】
図9を参照すれば、本発明の緊急避難用酸素マスクの呼吸部100には、マスク10の両側面部の上部に結合突起部13が設けられており、当該結合突起部13は、メガネ部80の底面に設けられた結合孔81に挿入され、メガネ部80をマスク10上に結合固定できるように構成される。
【0088】
前記メガネ部80は、着用者の目を保護するメガネ部本体82と、前記メガネ部本体82の側面に結合され、着用者の頭にメガネ部80を固定するメガネ部締結紐83とを備える。
【0089】
前記メガネ部締結紐83は、前記バンドクリップ50と同じ形態のクリップにより両端が締結されるものであってもよく、連結部がないものであってもよく、その他の連結手段を使用してメガネ部80を固定してもよい。
【0090】
前記メガネ部本体82は、その構造に関係なく多様な形態を使用することができるが、より好ましい構造は、鼻面が突出する部分に溝が設けられ、該溝は、マスク10と着用者の鼻面とを互いに密着させることができるように、狭い幅を有するものである。
【0091】
すなわち、マスク10と着用者の鼻面との間の着用者の呼吸がメガネ部80側に流出されることを防止することができ、メガネ部80に曇りが発生することを防止できるようになる。
【0092】
前記マスク10から突出した結合突起部13の形状は、上段部の直径がさらに大きく、当該直径がさらに大きい上段部の上部と下部は、各々傾斜面である。
【0093】
これは、結合突起部13によるメガネ部80の脱着が一層容易なようにしたものである。
【0094】
このように、本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクは、メガネ部80の脱着が可能なようにし、緊急避難用酸素マスクの適用分野に応じてメガネ部80を選択的に使用できるようになる。
【0095】
<実施形態6>
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの構成図である。
【0096】
図10を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部は、太陽電池90をさらに備えて構成される。
【0097】
前記太陽電池90は、包装状態でも選択的に露出され得るようにして、太陽光や室内照明により充填状態を維持できるようにする。
【0098】
前記太陽電池90に充填された電源は、緊急避難用酸素マスク着用者の音声を増幅する増幅器と、緊急避難用酸素マスクに取り付けられた緊急避難用照明などに利用されることができる。
【0099】
一般的な音声増幅器又は緊急避難用照明を使用する緊急避難用酸素マスクには、乾電池などの直流電源が設けられているが、緊急待避のための緊急避難用酸素マスクは、保管期限が約3年程度であり、使用せずに保管する期間が長いほど、直流電源の自然放電により直流電源を使用できない場合が発生し得る。
【0100】
本発明では、太陽電池90を用いて充填された電源を使用するので、緊急避難用酸素マスクの保管期間中に、電源が自然放電されることを防止することができ、信頼性を向上させることができるようになる。
【0101】
以上において説明した本発明は、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施形態及び添付された図面に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクを示す前面透視図である。
【図2】図1の平面透視図である。
【図3】本発明に係る緊急避難用酸素マスクの使用状態図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部を示す構成図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態に係るバンドクリップを示す側面構成図である。
【図6】本発明の好ましい一実施形態に係るパッドを示す側面構成図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクを示す分離構成図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部を示す構成図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクの呼吸部を示す分離構成図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る緊急避難用酸素マスクを示す構成図である。
【符号の説明】
【0103】
100 呼吸部
111 チェック弁
121 チェック弁
210 二酸化炭素流入部
211 二酸化炭素流入孔
220 酸素発生部
230 酸素移動部
240 酸素貯蔵部
250 フィルタ部
251 二酸化炭素吸着部
252 湿気除去部
10 マスク
20 締結紐
30 締結紐
40 イヤガイド
50 バンドクリップ
60 パッド
70 クリップ
75 マスクガイド
80 メガネ部
90 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔面部に着用し、着用者の呼吸状態による圧力差を用いて酸素を着用者に供給したり、二酸化炭素及び湿気を排出する呼吸部と、
前記呼吸部から排出した二酸化炭素及び湿気を底面の二酸化炭素供給孔を介して供給する二酸化炭素供給部と、
上面が開放された状態で、前記二酸化炭素供給部の外側に結合され、内部に充填された二酸化カリウム(KO2)と二酸化炭素の反応、又は二酸化カリウムと湿気の反応により酸素を発生させる酸素発生部と、
酸素移動部により移動した酸素を貯蔵する酸素貯蔵部と、
前記酸素移動部の両側面に各々取り付けられ、前記酸素貯蔵部に貯蔵された酸素に残留する二酸化炭素を除去し、当該酸素の温度及び湿度を下げて前記呼吸部に供給するフィルタ部と、を備えることを特徴とする、
緊急避難用酸素マスク。
【請求項2】
前記酸素発生部及び前記酸素移動部は、
各々半円筒型構造であり、前記酸素移動部内に前記酸素発生部が配置され、且つ側面部のみに酸素が移動する経路が設けられるように前記酸素発生部の前面と前記酸素移動部の背面が密着して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項3】
前記酸素発生部には、2乃至4mm粒径の二酸化カリウム(KO2)が充填されることを特徴とする、請求項1に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項4】
前記フィルタ部は、発生した酸素から残留二酸化炭素を除去する二酸化炭素吸着部と、前記二酸化炭素が除去された酸素から湿気を除去すると共に、当該酸素の温度を下げる湿気除去部とから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項5】
前記二酸化炭素吸着部には、ソーダライム(soda lime)が充填されることを特徴とする、請求項4に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項6】
前記湿気除去部には、シリカゲルが充填されることを特徴とする、請求項4に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項7】
前記呼吸部は、
吸入口及び排気口を備え、着用者の呼吸器の周辺に、外気から分離される空間を設けるマスクと、
前記マスクが離脱しないように固定し、且つ着用者の頭部の後方で相互締結が可能な第1及び第2締結紐と、
前記第1及び第2締結紐に各々設けられ、着用者の耳が前記第1及び第2締結紐にひっかからずに締結され得るようにするイヤガイドと、
前記第1及び第2締結紐を着用者の頭部の後方下段で相互締結可能なバンドクリップと、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項8】
前記第1及び第2締結紐は、各々の両端が前記マスクの両側面に各々互いに所定の距離をもって離隔して固定され、各々の中央部にバンドクリップが固定されることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項9】
前記第1及び第2締結紐の両端が各々両側面に各々互いに所定の距離をもって離隔して固定され、前記マスクの外面に密着して前記マスクと着用者の顔面部とを密着させるマスクガイドをさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項10】
前記第1又は第2締結紐の中央部に結合され、相互結合した前記第1又は第2締結紐の垂れ下がりを防止すると共に、前記マスクの保管時に吸入口を密閉するパッドをさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項11】
前記バンドクリップは、
前記第1又は第2締結紐の中央部に結合されるフックを含むフック部と、
前記第2又は第1締結紐の中央部に結合され、前記フックに脱着可能なループを含むループ部と、を備え、
前記フックの内側には、前記ループの離脱が容易でないように突出部が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項12】
前記マスクと着用者の鼻面とを密着させる折り曲げ型クリップをさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項13】
前記マスクの上部側から突出した多数の結合突起と、
前記結合突起により前記マスクの上部側に結合されるメガネ部と、をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。
【請求項14】
前記マスクには、太陽光又は室内照明により電源を充填する太陽電池(solar cell)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の緊急避難用酸素マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−175479(P2007−175479A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194744(P2006−194744)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(506243644)ソン ヤン テック シーオー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】