説明

総合監視盤の火災受信機ユニット

【課題】簡素な構成で総合監視盤ユニットと通信できること。
【解決手段】信号線L1を介して接続された複数の火報用端末機器AD1〜3を監視制御して火災を検出する火災受信機ユニット10と、火災以外のその他の設置環境の異常を検出する異常監視盤ユニットと、火災受信機ユニットと異常監視盤ユニットとを監視制御して警報する総合監視盤ユニット30とを備えた総合監視盤100であって、総合監視盤は、火災受信機ユニット、異常監視盤ユニット、及び総合監視盤ユニットを筐体内部に備え、かつ、総合監視盤ユニットの表示操作部を筐体外部から表示操作可能に配置するものであり、火災受信機ユニットは、火災受信機ユニットの設定データを記憶する記憶部16と、設定データ登録器40を着脱可能なポート17とを備え、火災受信機ユニットは、ポートを介して、総合監視盤ユニットと接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総合監視盤の火災受信機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
火災受信機は、一般の建物の他にも、例えば船舶などにも設置されて、設置環境における火災を検出して警報するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−132452公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設置物件によっては、火災受信機の他にも、火災以外のその他の異常を検出して警報するその他の監視盤が設置されることがある。例えば、船舶では、火災受信機の他に、船舶内の浸水を検出して警報する浸水監視盤が設置され、例えば管理人室などに併設されていたので、管理人による監視が煩雑であった。
【0005】
そのため、火災受信機とその他の監視盤とを一つの筐体内に収納し、総合監視盤として、共用の表示操作部により表示操作可能とすることが望まれている。
【0006】
そして、このような構成とするとき、火災受信機ユニットとしては、簡素な構成で総合監視盤ユニットと通信できることが要望されている。また、総合監視盤ユニットによる警報とのハウリングなどを考慮して、警報の有無を設定できるようにしたいという要望もある。また、共用の表示操作部が破損した場合にも、必要な操作を簡便に可能とすることが要望されている。また、火災受信機の機能として、リレー回路によって、外部機器に移報出力する機能があるが、その際に、単に火災等の発生時に移報出力するのか、又は、リレー回路の破損した場合にも移報出力して、外部機器に通知したいという要望もある。
【0007】
本発明は、簡素な構成で総合監視盤ユニットと通信できること、警報の有無を設定できること、共用の表示操作部が破損した場合にも、必要な操作を簡便に可能とすること、外部機器に通知する移報要因として、リレー回路の故障を含めるか否かを設定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、信号線を介して接続された複数の火報用端末機器を監視制御して火災を検出する火災受信機ユニットと、信号線を介して接続された火報用端末機器以外の端末機器を監視制御して火災以外のその他の設置環境の異常を検出する異常監視盤ユニットと、前記火災受信機ユニットと異常監視盤ユニットとを監視制御して警報する総合監視盤ユニットとを備えた総合監視盤であって、前記総合監視盤は、前記火災受信機ユニット、異常監視盤ユニット、及び総合監視盤ユニットを筐体内部に備え、かつ、前記総合監視盤ユニットの表示操作部を前記筐体外部から表示操作可能に配置するものであり、前記火災受信機ユニットは、当該火災受信機ユニットの設定データを記憶する記憶部と、当該記憶部に当該火災受信機ユニットの設定データを設定可能な設定データ登録器を着脱可能なポートとを備え、前記火災受信機ユニットは、前記ポートを介して、前記総合監視盤ユニットと接続されることを特徴とする。
【0009】
また、前記総合監視盤ユニットは、制御線を介して警報用端末機器に接続されて、前記火災受信機ユニットから送信される火災又は故障を示す信号を受信したときに、前記警報用端末機器から警報出力させる警報出力部を備え、一方、前記火災受信機ユニットは、音響部と、当該音響部による警報出力の有無に関する設定データを記憶する音響部機能設定記憶部と、当該火災受信機ユニットが火災又は故障を検出したときに、前記音響部機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、前記音響部による警報出力の有無を制御する警報制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記総合監視盤ユニットの表示操作部は、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作され、一方、前記火災受信機ユニットは、前記筐体外部に配置されて、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作される増設操作部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記火災受信機ユニットは、コイルと接点とを有する移報出力用のリレー回路と、通常時におけるコイルの励磁状態に関する設定データを記憶するリレー機能設定記憶部と、当該リレー機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、通常時におけるコイルの励磁状態を励磁又非励磁に制御し、又、火災又は故障を検出したときに、前記コイルの励磁状態を変化させて、前記接点の接続状態を切り替えることにより、前記リレー回路から移報信号を出力させる移報制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、信号線を介して接続された複数の火報用端末機器を監視制御して火災を検出する火災受信機ユニットと、信号線を介して接続された火報用端末機器以外の端末機器を監視制御して火災以外のその他の設置環境の異常を検出する異常監視盤ユニットと、前記火災受信機ユニットと異常監視盤ユニットとを監視制御して警報する総合監視盤ユニットとを備えた総合監視盤であって、前記総合監視盤は、前記火災受信機ユニット、異常監視盤ユニット、及び総合監視盤ユニットを筐体内部に備え、かつ、前記総合監視盤ユニットの表示操作部を前記筐体外部から表示操作可能に配置するものであり、前記火災受信機ユニットは、当該火災受信機ユニットの設定データを記憶する記憶部と、当該記憶部に当該火災受信機ユニットの設定データを設定可能な設定データ登録器を着脱可能なポートとを備え、前記火災受信機ユニットは、前記ポートを介して、前記総合監視盤ユニットと接続されるものであり、火災受信機ユニットは、設定データの初期登録時や更新登録時など以外に、普段はほとんど利用されない設定データ登録器用のポートを利用して、常時、総合監視盤ユニットと通信できて、部品点数を削減して簡素な構成とすることができる。
【0013】
また、前記総合監視盤ユニットは、制御線を介して警報用端末機器に接続されて、前記火災受信機ユニットから送信される火災又は故障を示す信号を受信したときに、前記警報用端末機器から警報出力させる警報出力部を備え、一方、前記火災受信機ユニットは、音響部と、当該音響部による警報出力の有無に関する設定データを記憶する音響部機能設定記憶部と、当該火災受信機ユニットが火災又は故障を検出したときに、前記音響部機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、前記音響部による警報出力の有無を制御する警報制御部とを備えたものであるので、総合監視盤ユニットによる警報とのハウリングなどを考慮して、警報の有無を設定できる。
【0014】
また、前記総合監視盤ユニットの表示操作部は、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作され、一方、前記火災受信機ユニットは、前記筐体外部に配置されて、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作される増設操作部を備えたものであるので、共用の表示操作部が破損した場合にも、必要な操作を、筐体外部から簡便に可能とすることができる。
【0015】
また、前記火災受信機ユニットは、コイルと接点とを有する移報出力用のリレー回路と、通常時におけるコイルの励磁状態に関する設定データを記憶するリレー機能設定記憶部と、当該リレー機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、通常時におけるコイルの励磁状態を励磁又非励磁に制御し、又、火災又は故障を検出したときに、前記コイルの励磁状態を変化させて、前記接点の接続状態を切り替えることにより、前記リレー回路から移報信号を出力させる移報制御部とを備えたものであるので、外部機器に通知する移報要因として、リレー回路の故障を含めるか否かを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態である総合監視盤の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施の形態である。
図1は本発明の実施の形態である総合監視盤の構成図である。総合監視盤100は、例えば、船舶内の管理人室などに設置されている。総合監視盤100の筐体101内には、火災受信機ユニット10と浸水監視盤ユニット25と総合監視盤ユニット30とが収納されている。筐体101は、詳細には図示しないが、本体(図示せず)と本体の前面開口部を覆う扉(図示せず)とによって構成されており、常時は、施錠部(図示せず)によって施錠されている。扉には、開口部(図示せず)が設けられ、この開口部内に総合監視盤ユニット30の表示操作部31が配置されて、筐体101の外部から表示操作可能となっている。一方、火災受信機ユニット10と浸水監視盤ユニット25とは、施錠部による施錠を開放しない限り、常時は表示操作不能となる筐体101内の位置に配置されている。
【0018】
火災受信機ユニット10は、信号線L1を介して接続された複数の火報用端末機器Sを監視制御して火災を検出する火災受信機の機能を有するユニットである。浸水監視盤ユニット25(異常監視盤ユニットの一例)は、信号線L2を介して接続された浸水検知センサW(火報用端末機器以外の端末機器の一例)を監視制御して浸水(火災以外のその他の設置環境の異常の一例)を検出する浸水監視盤の機能を有するユニットである。総合監視盤ユニット30は、火災受信機ユニット10と異常監視盤ユニット25とを監視制御して警報するユニットであり、火災受信機ユニット10及び異常監視盤ユニット25を通信により監視制御し、共用の表示操作部31を用いて、火災受信機ユニット10及び異常監視盤ユニット25から送信される必要な情報(信号)を集約して表示し、又、制御信号を送信するユニットである。
【0019】
つぎに、各ユニット10、25、30について説明する。まず、火災受信機ユニット10について説明する。火災受信機ユニット10は、操作部11と、表示部12と、端末伝送部13と、音響部14と、制御部15と、記憶部16と、ポート17と、電源部18と、リレー回路19と、増設操作部20とを有する。火災受信機ユニット10は、火災、故障などを検出したときに、必要な警報を行い、火災、故障などを示す信号を、総合監視盤ユニット30に通知する。
【0020】
操作部11は、管理人等が必要な操作入力を行う。表示部12は、火災受信機ユニット10が検出する火災、故障などの必要な情報を表示する。端末伝送部13は、個別アドレスADが付与された火災感知器などの火報用端末機器Sが、信号線L1を介して接続され、火報用端末機器Sとの間で、信号伝送を行う。制御部15は、火災受信機ユニット10の全体を制御する。電源部18は、火災受信機ユニット10の各部に電源を供給する。記憶部16は、各種の設定データを記憶する。記憶部16は、音響部機能設定記憶部16aと、操作部機能設定記憶部16bと、リレー機能設定記憶部16cとを有する(詳細は後述する)。
【0021】
ポート17は、配線H1を介して、総合監視盤ユニット30と接続されて、火災受信機ユニット10と総合監視盤ユニット30との間との通信経路となる。ここで、ポート17は、記憶部16の各種設定データを設定可能な設定データ登録器40が、設定データの初期登録時、更新登録時などに着脱可能に接続されるポートである。このように、設定データの初期登録時や更新登録時など以外に、普段はほとんど利用されない設定データ登録器40の接続用のポートを、総合監視盤ユニット30の接続用のポートとして兼用することで、簡易な構成で、常時、総合監視盤ユニット30と通信可能にできる。
【0022】
音響部14は、火災受信機ユニット10が火災、故障などを検出したときに、必要な警報を行う。ここで、火災受信機ユニット10が火災又は故障を検出したときに、後述するように、音響部14のみならず、総合監視盤ユニット30に接続されたベルB、ブザーBZ(警報用端末機器の一例)が鳴動する。そして、設置物件によっては、総合監視盤ユニット30による警報と音響部14による警報とのハウリングなどを考慮して、音響部14の警報の有無を設定できるようにしたいという要望がある。そのため、記憶部16には、音響部機能設定記憶部16aが設けられており、音響部14による警報出力の有無に関する設定データとして、「警報出力なし」又は「警報出力あり」が設定され記憶されている。設定作業は、例えば、設定データ登録器40により行われる。なお、本実施の形態では、「警報出力なし」が設定され記憶されているものとする。
【0023】
そして、制御部15(警報制御部の一例)は、火災受信機ユニット10が火災又は故障を検出したときに、音響部機能設定記憶部16aに記憶された設定データを参照して、音響部14による警報出力の有無を制御する。
【0024】
増設操作部20は、ベルB、ブザーBZの警報出力を停止するために操作されるベル・ブザー停止スイッチ20aと、火報用端末機器Sの復旧のために操作される復旧スイッチ20bとを有する。増設操作部20は、総合監視盤ユニット30の表示操作部31の故障時に操作するために設けられた操作部であり、筐体101の外部、本実施の形態では、筐体101の外部に近接して配置される。つまり、総合監視盤ユニット30の表示操作部31の故障時には、火災受信機ユニット10の操作部11を利用することも可能であるが、操作部11を操作する場合は、筐体101の施錠部の施錠を解除する必要がある。そのため、増設操作部20を筐体101の外部に配置することによって、共用の表示操作部31が破損した場合にも、必要な操作を、筐体101外部から簡便に可能とすることができる。
【0025】
なお、設置物件によっては、火災受信機ユニット10の操作部11による操作に関して、有効とするか否かを設定できるようにしたいという要望がある。そのため、記憶部16には、操作部機能設定記憶部16bが設けられている。操作部機能設定記憶部16bは、操作部11の操作の有効とするか否かを設定するための設定データとして、「有効」又は「無効」が設定され記憶されている。なお、「無効」が設定されていても、ベル・ブザー同時停止スイッチ20a、復旧スイッチ20bと同様機能のスイッチ操作は有効のまま保持する。設定作業は、例えば、設定データ登録器40により行われる。また、本実施の形態では、「無効」が設定され記憶されているものとする。
【0026】
そして、制御部15(操作制御部の一例)は、操作部機能設定記憶部16aに記憶された設定データを参照して、操作部11による操作を有効とするか否かを制御する。
【0027】
リレー回路19は、コイル19aと接点19bとを有し、接点19bの端子a、b、cに外部装置50が接続されて、火災受信機ユニット10が火災、故障などを検出したときに移報出力する回路である。リレー回路19は、直流電源19cと、コイル19aと、トランジスタ19dのコレクタが直列に接続され、トランジスタ19dのエミッタが接地され、トタンジスタ19dのベースが制御部15に接続されている。接点19bは、c接点であり、制御部15からオン信号が出力されてない場合は、トランジスタ19dのコレクタ−エミッタ間が導通しないことにより、コイル19aが非励磁状態となり、これによって、接点19bの端子cと端子aとの間が非接続となり、端子cと端子bとの間が接続される。一方、制御部15からオン信号が出力されている場合は、トランジスタ19dのコレクタ−エミッタ間が導通することにより、コイル19aが励磁状態となり、これによって、接点19bの端子cと端子aとの間が接続され、端子cと端子bとの間が非接続となる。
【0028】
ここで、従来の火災受信機は、通常時におけるコイル19aの励磁状態を非励磁とし、火災又は故障を検出したときに励磁していた。つまり、火災又は故障を検出したときに、コイル19aの励磁状態を非励磁から励磁に変化させて、接点19aの端子a、b、cの接続状態を、端子cと端子aとの間が非接続、端子cと端子bとの間が接続の状態から、端子cと端子aとの間が接続、端子cと端子bとの間が非接続の状態に切り替えるものであった。この場合、リレー回路19の故障、例えばコイル19aの脱落が生じた場合、火災又は故障を検出したときに、コイル19aの励磁状態は非励磁のまま保持されてしまい、接点19aの端子a、b、cの接続状態を切り替えることができず、つまりは、移報信号を出力することができなかった。そして、特に、船舶などでは、設置環境における振動要因が多いことから、リレー回路19の故障という不測の事態が発生した場合にも、接点19aの接続状態を切り替えて外部機器50に移報信号を出力したいという要望がある。
【0029】
そのため、本実施の形態では、記憶部16には、通常時におけるコイル16の励磁状態に関する設定データを記憶するリレー機能設定記憶部16cが設けられて、設定データとして、「励磁」又は「非励磁」が設定され記憶されている。設定作業は、例えば、設定データ登録器40により行われる。
【0030】
そして、制御部15(移報制御部の一例)は、リレー機能設定記憶部16cに記憶された設定データを参照して、通常時におけるコイル19aの励磁状態を励磁又非励磁に制御し、又、火災又は故障を検出したときに、コイル19aの励磁状態を変化させて、接点19bの接続状態を切り替えることにより、リレー回路19から移報信号を出力させる。
【0031】
ここで、本実施の形態では、火災受信機ユニット10は、船舶に設置されていることから、リレー機能設定記憶部16cには、「励磁」が設定され記憶されているものとする。
【0032】
そのため、図1に示すように、通常状態では、制御部15からオン信号が出力されて、トランジスタ19dのコレクタ−エミッタ間が導通することにより、コイル19aが励磁して、接点19bは、端子cと端子aとの間が接続され、端子cと端子bとの間が非接続となっている。そして、リレー回路19のコイル19aが脱落したときには、制御部15からオン信号の出力が保持されて、トランジスタ19dのコレクタ−エミッタ間が導通を保持するが、コイル19aは、脱落により非励磁に変化するので、接点19bは、端子cと端子aとの間が非接続、端子cと端子bとの間が接続に切り替えられる。また、火災受信機ユニット10で火災又は故障が検出されたときには、制御部15からオン信号の出力が停止されて、トランジスタ19dのコレクタ−エミッタ間が非導通となることにより、コイル19aが非励磁に変化して、接点19bは、端子cと端子aとの間が非接続、端子cと端子bとの間が接続に切り替えられる。このように、リレー機能設定記憶部16cの設定データとして、「励磁」を設定することによって、外部機器50に通知する移報要因として、リレー回路19の故障を含めることができる。
【0033】
つぎに、浸水監視盤ユニット25について説明する。浸水監視盤ユニット25は、詳細には図示しないが、火災受信機ユニット10と同様に、操作部と、表示部と、端末伝送部、音響部と、制御部と、記憶部と、ポートと、電源部とを有する(いずれも図示せず)。端末伝送部は、信号線L2を介して浸水検知センサWに接続される。また、ポートは、配線H2を介して、総合監視盤ユニット30に接続される。そして、浸水監視盤ユニット25は、浸水、故障などを検出したときに、必要な警報を行い、浸水、故障などを示す信号を、総合監視盤ユニット30に通知する。
【0034】
つぎに、総合監視盤ユニット30について説明する。総合監視盤ユニット30は、表示操作部31と、ポート32、33と、主警報出力部34と、副警報出力部35と、制御部36と、記憶部37と、電源部38とを有する。
【0035】
表示操作部31は、タッチパネル付きLCDであり、火災受信機ユニット10及び異常監視盤ユニット25から送信される必要な情報(信号)を集約して表示し、又、管理人等が必要な操作入力を行って、火災受信機ユニット10及び異常監視盤ユニット25に制御信号を送信する。表示操作部31は、操作部として、ベル・ブザー停止スイッチ(図示せず)、復旧スイッチ(図示せず)などの各種スイッチを有している。
【0036】
ポート32は、配線H1を介して、火災受信機ユニット10と接続されて、総合監視盤ユニット30と火災受信機ユニット10との間との通信経路となる。ポート33は、配線H2を介して、浸水監視盤ユニット25と接続されて、総合監視盤ユニット30と浸水監視盤ユニット25との間との通信経路となる。
【0037】
主警報出力部34は、ベルB(警報用端末機器の一例)が、制御線M1を介して接続され、火災受信機ユニット10で火災が検出されたとき、又は、浸水監視盤ユニット25で浸水が検出されたときに、ベルBを鳴動させて主警報を行う。副警報出力部35は、ブザーBZ(警報用端末機器の一例)が、制御線M2を介して接続され、火災受信機ユニット10、及び浸水監視盤ユニット25で故障が検出されたときに、ブザーBZを鳴動させて副警報を行う。制御部36は、総合監視盤ユニット30の全体を制御する。記憶部37は、各種の設定データを記憶する。電源部38は、総合監視盤ユニット30の各部に電源を供給する。
【0038】
つぎに、設定データ登録器40について説明する。設定データ登録器40は、汎用パソコン等によって構成され、スロットSLと、入力部41と、表示部42と、制御部43と、記憶部44と、ポート45と、電源部46とを有する。
【0039】
スロットSLは、メモリカードMCが着脱自在である。制御部43は、設定データ登録器40の全体を制御し、データベース作成部として機能する。記憶部44は、ハードディスク等で構成される。ポート45は、火災受信機ユニット10の設定データの初期登録時、更新登録時などの必要時に、配線H1を介して、火災受信機ユニット10のポート17に着脱自在に接続される。電源部46は、設定データ登録器40の各部に電源を供給する。
【0040】
ここで、火災受信機ユニット10の設定データの書替更新作業について説明する。まず、作業員は、メモリカードMCをスロットSLに挿入し、入力部41を介してデータを入力し、入力部41から入力されたデータに基づいて、制御部43が更新用の設定データを作成し、メモリカードMCと記憶部44とに書き込む。そして、作業員は、総合監視盤ユニット30のポート32から配線H1を取り外し、ポート45に接続して、ポート45と火災受信機ユニット10のポート17との間を、配線H1を介して、接続する。そして、入力部41の操作により、更新用設定データを、制御43が記憶部44から取り出し、配線H1を介して、火災受信機ユニット10の制御部15に転送する。そして、火災受信機ユニット10の制御部15は、更新用設定データ信号が、配線H1を介して入力されると、記憶部15内の対応する設定データを書き替える。
【0041】
以上のように構成された総合監視盤100の動作について、以下に説明する。まず、各ユニット10、25、30に電源が投入されて、初期設定が行われ、その後、通常監視動作を開始する。この初期設定時、火災受信機ユニット10は、音響部機能設定記憶部16aに「警報出力なし」が設定されているので、音響部14により警報出力しない警報出力停止モードとなる。また、操作部機能設定記憶部16bに「無効」が設定されているので、操作部11のベル・ブザー停止スイッチ(図示せず)、及び復旧スイッチ(図示せず)以外のスイッチの操作を無効とするモードとなる。また、リレー機能設定記憶部16cに「励磁」が設定されているので、制御部15が、トランジスタ19dにオン信号を出力し、コイル19aを励磁させて、接点19bの端子cと端子bとの間を非接続とし、端子cと端子aとの間を接続する。
【0042】
通常監視動作において、火災受信機ユニット10は、火報用端末機器Sの状態信号を収集し、火災が発生したか否かを判断する火災判別処理、また、例えば、ユニット10内の各部が故障したか否かを判断する故障判別処理などを行う。浸水監視盤ユニット25は、浸水検知センサWの状態信号を収集し、浸水が発生したか否かを判断する浸水判別処理、また、例えば、ユニット25内の各部が故障したか否かを判断する故障判別処理などを行う。総合監視盤ユニット30は、配線H1、H2を介して、各ユニット10、20と各種信号の送受信を行うなどの監視制御処理を行う。
【0043】
この通常監視動作において、火災受信機ユニット10は、火災判別処理によって、火災が発生したことを検出した場合は、表示部12に火災表示を行い、火災を示す信号を、ポート17を介して、総合監視盤ユニット30に送信する。又、故障判別処理によって、故障が発生したことを検出した場合は、表示部12に故障表示を行い、故障を示す信号を、ポート17を介して、総合監視盤ユニット30に送信する。このとき、火災受信機ユニット10は、制御部15が、トランジスタ19dにオン信号を出力することを停止し、コイル19aを励磁から非励磁に変化させて、接点19bの接続を、端子cと端子bとの間を接続し、端子cと端子aとの間を非接続にするように切り替えて、移報信号を外部装置50に出力する。なお、警報出力停止モードのため、音響部14からは、対応する警報出力をしない。
【0044】
また、浸水監視盤ユニット25は、浸水判別処理によって、浸水が発生したことを検出した場合は、表示部(図示せず)に浸水表示を行い、浸水を示す信号を、ポート(図示せず)を介して、総合監視盤ユニット30に送信する。又、故障判別処理によって、故障が発生したことを検出した場合は、表示部(図示せず)に故障表示を行い、故障を示す信号を、ポート(図示せず)を介して、総合監視盤ユニット30に送信する。このとき、音響部(図示せず)により、対応する警報出力をしてもよい。
【0045】
一方、総合監視盤ユニット30は、配線H1、H2を介して、各ユニット10、20から火災又は浸水を示す信号を受信した場合、制御部36の制御により、主警報出力部34が、ベルBを鳴動させて警報出力を行う。又、各ユニット10、20から故障を示す信号を受信した場合、制御部36の制御により、副警報出力部35が、ブザーBZを鳴動させて警報出力を行う。
【0046】
ここで、火災検出により警報を出力している場合を例に挙げて、現場復旧のための管理人の動作について説明する。管理人は、ベルBの鳴動によって、火災又は浸水が発生したことを認識すると、まず、表示操作部31のベル・ブザー停止スイッチ(図示せず)を操作する。すると、総合監視盤ユニット30は、制御部36の制御により、主警報出力部34が、ベルBの鳴動による警報出力を停止する。警報出力の停止後、管理人は、現場確認を行い、火災であれば消火するなどの必要な処置を行う。その後、管理人は、表示操作部31の復旧スイッチ(図示せず)を操作する。すると、総合監視盤ユニット30は、制御部36の制御により、復旧信号を、配線H1を介して、火災受信機ユニット10に送信する。火災受信機ユニット10は、制御部15が復旧信号を受信して、端末伝送部13を介して、火報用端末機器Sに復旧信号を送信し、当該復旧信号を受信した火報用端末機器Sが復旧する。
【0047】
上記現場復旧のための動作時において、LCDタッチパネルとしての表示操作部31が破損して操作不能になった場合は、管理人は、増設操作部20のベル・ブザー停止スイッチ20a、復旧スイッチ20bを操作する。これにより、火災受信機ユニット10は、ベル・ブザー停止を示す信号を、配線H1を介して、総合監視盤ユニット10に送信して、総合監視盤ユニット30は、警報出力を停止することができる。また、端末伝送部13を介して、火報用端末機器Sに復旧信号を送信し、当該復旧信号を受信した火報用端末機器Sが復旧することができる。
【0048】
また、通常監視動作において、火災受信機ユニット10は、リレー回路19のコイル19aの脱落が発生すると、コイル19aが励磁状態から非励磁状態に変化するので、接点19bの接続が、端子cと端子bとの間を接続し、端子cと端子aとの間を非接続にするように切り替えられるので、火災、浸水、故障時と同様に、移報信号を外部装置50に出力する。
【0049】
以上のように、本実施の形態に利用される総合監視盤100の火災受信機ユニット10は、信号線L1を介して接続された複数の火報用端末機器Sを監視制御して火災を検出する火災受信機ユニット10と、信号線L2を介して接続された火報用端末機器S以外の端末機器(浸水検知センサW)を監視制御して火災以外のその他の設置環境の異常(一例として、浸水)を検出する異常監視盤ユニット(浸水監視盤ユニット25)と、前記火災受信機ユニット10と異常監視盤ユニット25とを監視制御して警報する総合監視盤ユニット30とを備えた総合監視盤100であって、前記総合監視盤100は、前記火災受信機ユニット10、異常監視盤ユニット25、及び総合監視盤ユニット30を筐体101内部に備え、かつ、前記総合監視盤ユニット30の表示操作部31を前記筐体101外部から表示操作可能に配置するものであり、前記火災受信機ユニット10は、当該火災受信機ユニット10の設定データを記憶する記憶部16と、当該記憶部16に当該火災受信機ユニット10の設定データを設定可能な設定データ登録器40を着脱可能なポート17とを備え、前記火災受信機ユニット10は、前記ポート17を介して、前記総合監視盤ユニット30と接続されるものであり、火災受信機ユニット10は、設定データの初期登録時や更新登録時など以外に、普段はほとんど利用されない設定データ登録器40用のポート17を利用して、常時、総合監視盤ユニット30と通信できて、部品点数を削減して簡素な構成とすることができる。
【0050】
また、前記総合監視盤ユニット30は、制御線M1、M2を介して警報用端末機器(ベルB、ブザーBZ)に接続されて、前記火災受信機ユニット10から送信される火災又は故障を示す信号を受信したときに、前記警報用端末機器B、BZから警報出力させる警報出力部(主警報出力部34、副警報出力部35)を備え、一方、前記火災受信機ユニット10は、音響部14と、当該音響部14による警報出力の有無に関する設定データを記憶する音響部機能設定記憶部16aと、当該火災受信機ユニット10が火災又は故障を検出したときに、前記音響部機能設定記憶部16aに記憶された設定データを参照して、前記音響部14による警報出力の有無を制御する警報制御部(制御部15)とを備えたものであるので、総合監視盤ユニット30による警報とのハウリングなどを考慮して、警報の有無を設定できる。
【0051】
また、前記総合監視盤ユニット30の表示操作部31は、前記警報用端末機器B、BZの警報出力停止、又は、前記火報用端末機器Sの復旧のために操作され、一方、前記火災受信機ユニット10は、前記筐体101外部に配置されて、前記警報用端末機器B、BZの警報出力停止、又は、前記火報用端末機器Sの復旧のために操作される増設操作部20を備えたものであるので、共用の表示操作部31が破損した場合にも、必要な操作を、筐体101外部から簡便に可能とすることができる。
【0052】
また、前記火災受信機ユニット10は、コイル19aと接点19bとを有する移報出力用のリレー回路19と、通常時におけるコイル19aの励磁状態に関する設定データを記憶するリレー機能設定記憶部16cと、当該リレー機能設定記憶部16cに記憶された設定データを参照して、通常時におけるコイル19aの励磁状態を励磁又非励磁に制御し、又、火災又は故障を検出したときに、前記コイル19aの励磁状態を変化させて、前記接点19bの接続状態を切り替えることにより、前記リレー回路19から移報信号を出力させる移報制御部(制御部15)とを備えたものであるので、外部機器50に通知する移報要因として、リレー回路19の故障を含めるか否かを設定できる。
【符号の説明】
【0053】
10 火災受信機ユニット、11 操作部、12 表示部、13 端末伝送部、14音響部、15 制御部、16 記憶部、16a 音響部機能設定記憶部、16b 操作部機能設定記憶部、16c リレー機能設定記憶部、17 ポート、18 電源部、19 リレー回路、19a コイル、19b 接点、19c 直流電源、19d トランジスタ、20 増設操作部、20a ベル・ブザー停止スイッチ、20b 復旧スイッチ、25 浸水監視盤ユニット、30 総合監視盤ユニット、31 表示操作部、32 ポート、33 ポート、34 主警報出力部、35 副警報出力部、36 制御部、37 記憶部、38 電源部、40 設定データ登録器、41 入力部、42 表示部、43 制御部、44 記憶部、45 ポート、46 電源部、50 外部装置、101 筐体、B ベル、BZ ブザー、S 火報用端末機器、W 浸水検知センサ、L1 信号線、L2 信号線、M1 制御線、M2 制御線、H1 配線、H2 配線、MC メモリカード、SL スロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線を介して接続された複数の火報用端末機器を監視制御して火災を検出する火災受信機ユニットと、信号線を介して接続された火報用端末機器以外の端末機器を監視制御して火災以外のその他の設置環境の異常を検出する異常監視盤ユニットと、前記火災受信機ユニットと異常監視盤ユニットとを監視制御して警報する総合監視盤ユニットとを備えた総合監視盤であって、
前記総合監視盤は、前記火災受信機ユニット、異常監視盤ユニット、及び総合監視盤ユニットを筐体内部に備え、かつ、前記総合監視盤ユニットの表示操作部を前記筐体外部から表示操作可能に配置するものであり、
前記火災受信機ユニットは、当該火災受信機ユニットの設定データを記憶する記憶部と、当該記憶部に当該火災受信機ユニットの設定データを設定可能な設定データ登録器を着脱可能なポートとを備え、
前記火災受信機ユニットは、前記ポートを介して、前記総合監視盤ユニットと接続される
ことを特徴とする総合監視盤の火災受信機ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記総合監視盤ユニットは、
制御線を介して警報用端末機器に接続されて、前記火災受信機ユニットから送信される火災又は故障を示す信号を受信したときに、前記警報用端末機器から警報出力させる警報出力部を備え、
一方、前記火災受信機ユニットは、
音響部と、
当該音響部による警報出力の有無に関する設定データを記憶する音響部機能設定記憶部と、
当該火災受信機ユニットが火災又は故障を検出したときに、前記音響部機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、前記音響部による警報出力の有無を制御する警報制御部とを備えた
ことを特徴とする総合監視盤の火災受信機ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記総合監視盤ユニットの表示操作部は、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作され、
一方、前記火災受信機ユニットは、前記筐体外部に配置されて、前記警報用端末機器の警報出力停止、又は、前記火報用端末機器の復旧のために操作される増設操作部を備えた
ことを特徴とする総合監視盤の火災受信機ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3において、
前記火災受信機ユニットは、
コイルと接点とを有する移報出力用のリレー回路と、
通常時におけるコイルの励磁状態に関する設定データを記憶するリレー機能設定記憶部と、
当該リレー機能設定記憶部に記憶された設定データを参照して、通常時におけるコイルの励磁状態を励磁又非励磁に制御し、又、火災又は故障を検出したときに、前記コイルの励磁状態を変化させて、前記接点の接続状態を切り替えることにより、前記リレー回路から移報信号を出力させる移報制御部とを備えた
ことを特徴とする総合監視盤の火災受信機ユニット。

【図1】
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【公開番号】特開2013−37483(P2013−37483A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172106(P2011−172106)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】